(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鉄筋コンクリート建物を形成する外断熱仮枠構造において、多面形状に形成した外壁用のステンレス化粧鋼板の両端を並行に折り曲げ袖固定部を成形すると共に、2枚のベニヤ板で発泡スチロールをサンドイッチ状に接着した断熱パネルに断熱サッシ用開口部を形成し、断熱サッシ用開口部の室内側のベニヤ板に断熱サッシ窓枠を固定し、断熱パネルの一方の端部に概ねコの字形をして室内側の辺にセパレーターを取り付けるための穴を開けた断熱パネル固定部材を嵌め込み固定し、さらに隣り合う断熱パネルの他方の端部に嵌め込むための概ねコの字形をした断熱パネル嵌込部材と断熱パネル固定部材の間に、横方向に複数個並べた隣り合うステンレス化粧鋼板の互いの両端部の袖固定部を重ね合せて挟み込みボルトで固定することにより断熱パネル仮枠を形成し、断熱パネル固定部材にセパレーターを取り付け、室内側の仮枠せき板を透明平板樹脂で形成したことを特長とする鉄筋コンクリート建物を成形する外断熱の透明仮枠構造。
多面形状に形成したステンレス化粧鋼板の多面形状部を、断熱サッシ窓枠の上下外寸法に合せ窓開口部を成形すると共に、切断した上下の多面形状部に多面形状に合致するように平板鋼板で形成した目隠し蓋を取り付けたことを特長とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート建物を成形する外断熱の透明仮枠構造。
室内側の透明平板樹脂に、断熱パネルの断熱サッシ用開口部と相対する位置に額縁取付用開口部を形成すると共に、断熱サッシ用開口部と額縁取付用開口部の間のコンクリート壁に窓空間を形成するため、断熱サッシ窓枠に、室内側の左右部を多段折曲部材で広く形成し上下部を左右の多段折曲部材の形状に合致させた額縁を取り付けたことを特長とする請求項1又は2に記載の鉄筋コンクリート建物を成形する外断熱の透明仮枠構造。
室内側の透明平板樹脂の額縁取付用開口部の下側に仮枠にコンクリートを流し込むための開閉式のコンクリート流込口を形成したことを特長とする請求項1乃至3に記載の鉄筋コンクリート建物を成形する外断熱の透明仮枠構造。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
下記の2件の特許文献においても、いずれも鉄筋コンクリート建物の躯体コンクリートを構築後、躯体コンクリートの外壁面に断熱材を接着材で貼り付け、その断熱材に貼り付けたガラス繊維ネット等をアンカー等で躯体コンクリートに固定したり、又は外断熱用断熱パネルをアンカー等で直接躯体コンクリートに固定している。
【特許文献1】特開2003−13583
【特許文献2】特開2010−174501
【0007】
このように、何れの外断熱工法においても、鉄筋コンクリート建物の躯体コンクリートを構築後、躯体コンクリートの外壁面に断熱材を施工するため、建物の外側に足場を設置しなければならず、そのため隣地との間に足場構築用の空間を40cm以上空けなければならず、土地の有効利用の妨げとなっていた。
【0008】
さらに、断熱材の建物外側に施工する外装材には、ガラス繊維や補強セメント等が使われてきたため、真夏の暑い太陽熱や暴風雨等が外装材へ悪影響を与え、長期的には外装材の耐久性が問題となり定期的に外壁のメンテナンスをする必要があった。
【0009】
さらに、鉄筋コンクリート建物の仮枠にコンクリートを打設する際、コンクリートは、材料を適切に選定し施工性能に優れて硬化後の品質が確保されるように配合が行なわれると、通常は仮枠の中にスムーズに打ち込まれ、しっかりと締め固めをしておけば耐久性のある躯体を造ることができる。
しかし、鉄筋コンクリートを打ち込みやすくすることは、流動性を高めることになり、その流動性に応じて材料分離抵抗性(コンクリートの粘性)を高めなければ、材料分離(粗骨材がモルタル部分から離れる現象)が発生する。
また、材料分離抵抗性を高めても、流動させれば骨材は沈み、流動しやすいモルタルは流れて分離する。
また、一般的にコンクリートの打設時には高周波バイブレーターを使用するが、高周波バイブレーターでコンクリートに振動を長く与えると骨材が沈み材料分離が生じる。
材料分離をすると、モルタルの多い箇所ではひび割れが生じやすくなるものの、ジャンカ(コンクリートの表面に骨材が集まった「豆板」、コンクリートの内部が詰まっていない「空洞」、コンクリートの表面に空洞が見られる「巣」等を総称してジャンカと呼ぶ)はできない。
ジャンカができるのは、骨材が集まるような打ち込みが主原因である。
たとえば、長い斜めシュートでコンクリートを打ち込むと、粗骨材は転がって遠い方に骨材が集まり、モルタルは粘性が高いためシュート面に沿ってゆっくり流れシュートの下で分離する。
配筋された仮枠内に斜めシュートを用いて打ち込む場合に、この分離を見逃すと、部分的に粗骨材が集まってジャンカができることがある。
また、ポンプ圧送による打ち込みは、材料分離を少なくさせる打ち込み方法の一つと考えられているが、打ち始めの時点や段取り替えの際に、配管内のコンクリートが落下することになり、骨材が先に走ってジャンカを造ることがある。
ジャンカができる原因にはいくつかのパターンがある。
(1)流動性が不足して未充てんになる場合。
(2)打ち込み速度が速く締固めが不十分になる場合。
(3)粗骨材が一部に集まる場合(この場合は、高周波バイブレーターで振動を与えてもモルタルは粗骨材の隙間を充てんできない)。
(4)モルタルが仮枠の隙間から抜け出して骨材だけが残される場合。
いずれも材料分離による影響が原因で発生する。
配筋状態や仮枠の形状に応じた施工性能をもつコンクリートであれば、(1)や(2)の原因のジャンカはできないし、仮枠を精度よく組み立てていれば(4)はありえない。
しかし、(3)の原因は案外と見逃されやすく、ポンプ圧送を用いた施工であるにも係らず、ジャンカが生じてしまうことがある。
順調に圧送されている段階では筒先のフレキシブルホースを水平にして打ち込むため、筒先からの落下高さは自ずと小さく問題になるほどの材料分離は生じないが、ところが、仮枠内のコンクリートをバランスよく打ち上げていくためには、筒先を移動する必要が生ずる。
その際には、フレキシブルホース内のコンクリートを一旦吐き出し、ブームを他の場所に移動して打ち込みを再開するが、ブームの中では斜めシュートの材料分離と同様の現象が起き、コンクリートの中で粗骨材が先行して吐き出されてしまう。
このように、仮枠にコンクリートを打ち込む際は、常にジャンカの発生を予測し、事前に対策を講ずることが必要である。
【0010】
しかしながら、工事現場で一般的に用いられている木製仮枠のほとんどは、厚手のベニヤ板(コンパネ)の片側表面にコンクリートの付着を防ぐよう、平滑にするための塗料が塗布された合板仮枠のため、仮枠内部に打ち込まれたコンクリートの状態を見ることができないためジャンカの生じた場所を特定することができず、従来は、個人の経験と感覚だけで高周波バイブレーター等を使用して対応してきたため、ジャンカの発生を未然に防ぐことは困難だった。
【0011】
発生したジャンカを補修する一般的な方法としては、ジャンカの程度によりA〜Eの補修方法がある。
A.砂利が表面に露出していない場合。
補修は不要。
B.砂利が露出しているが、表面の砂利を叩いても剥落することがなく、はつり取る必要がない程度。
補修方法は、ポリマーセメントモルタル等を塗布。
C.砂利が露出し、表層の砂利を叩くと剥落する場合。
補修方法は、不用部分をはつり取り正常な部分を露出させ、ポリマーセメントペースト等を塗布後、ポリマーセメントモルタル等を充填。
D.鋼材のかぶりから、やや奥まで砂利が露出し、空洞も観られる場合。
補修方法は、不用部分をはつり取り正常な部分を露出させ、無収縮モルタルを充填する。
E.コンクリートの内部に空洞が多数見られる場合。
補修方法は、不用部分をはつり取り正常な部分を露出させ、コンクリートで打ち換える。このように、ジャンカを補修する作業には、多くの労力とお金が必要であった。
【0012】
上記のような問題が発生しているため、半透明の樹脂を用いたパネル仮枠が販売されている。
その中でも日本プラスチック型枠工業会に所属する「天馬株式会社」が製造販売しているリサイクル可能な複合強化プラスチック製型枠、商品名「カタパネル」、さらに、「大和技研工業株式会社」が製造販売しているコンクリート打設用樹脂製型枠、商品名「セフコン」が一般に知られている。
【0013】
このように、コンクリートを打ち込む際に仮枠内部を観察することができる半透明製のプラスチック製仮枠も市販されているが、プラスチック製仮枠は金型を用いてプレス機により製作するため縦横のサイズが限定され、木製仮枠のように縦横サイズを自由に製作することが困難であった。
【0014】
さらに、市販されているプラスチック製仮枠は、いずれの製品も半透明のため、コンクリートを打ち込んでいる最中の仮枠内部のコンクリートの状態を正確に把握することが難しく、そのため高周波バイブレーター等を的確な位置に挿入し振動時間を調整してジャンカを防ぐことが困難であった。
【実施例】
【0024】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態]
【0025】
図1乃至
図14には、この発明の実施の形態を示す。
【0026】
図1は、鉄筋コンクリート建物の外壁の外側仮枠に用いる断熱パネル1の部材を分解図で示す。断熱パネル1は2枚のベニヤ板2(厚さ2.5mm)、ベニヤ板4(厚さ7.5mm)と、板状に成形した発泡スチロール3(縦3m、横50cm、厚さ50mm)で構成し、発泡スチロール3をベニヤ板2、4によりサンドイッチ状に接着剤で貼り合せることにより、
図2で示すような断熱パネル1が形成される。
【0027】
図2は、
図1で説明した断熱パネル1をサンドイッチ状に貼り合せた状態を示すと共に、隣り合う断熱パネル1を固定するための概ねコの字形をした断熱パネル嵌込部材8と、概ねコの字形をした断熱パネル固定部材9を組み立てる前の位置関係を立体図で示す。
【0028】
断熱パネル嵌込部材8は、横並びに配置する断熱パネル1の一端をくわえ込み、ステンレス化粧鋼板36又は37(
図3で説明する)を断熱パネル固定部材9に取り付けるための部材で、厚さ1mmのステンレス鋼板を概ねコの字形の形状(室外側の辺長50mm、室内側の辺長55mm、高さ62mm、長さ100mm)に成形し、室内側の辺長の先端部を折り曲げて折曲部13を形成すると共に、高さ62mmの当接面14には断熱パネル固定部材9とステンレス化粧鋼板36又は37(
図3で説明する)をボルト10で固定するための取付穴15(点線で示す)が開けられる。
【0029】
断熱パネル固定部材9は、断熱パネル嵌込部材8とステンレス化粧鋼板36又は37(
図3で説明する)を断熱パネル1に固定し、さらにセパレーター65(
図6で説明する)を固定するための部材で、厚さ4.5mmの平板鋼板を概ねコの字形の形状(室外側の辺長40mm、室内側の辺長35mm、高さ69mm、長さ100mm)に成形し、室内側の辺は、先端部を室内側に折り曲げて折曲部22を形成すると共に、セパレーター65(
図6で説明する)を取り付けるためのタッピングネジ用の下穴17(点線で示す)を開け、室外側の辺には断熱パネル固定部材9を木ネジ11で断熱パネル1に固定するための固定穴20を開け、高さ69mmの当接面18には断熱パネル固定部材9にボルト10でステンレス化粧鋼板36又は37(
図3で説明する)と断熱パネル嵌込部材8を固定するためのタッピングネジ用の下穴19が開けられる。
【0030】
さらに断熱パネル1には、断熱サッシ窓枠60(
図5で示す)を取り付けるための断熱サッシ用開口部12が開けられる。
【0031】
図3は、
図2で説明した断熱パネル固定部材9を断熱パネル1の断熱パネル端部26に嵌め込み木ネジ11で固定すると共に、建物の外部方向から、断熱パネル1に取り付けるステンレス化粧鋼板36、37を組み立てる前に配置した状態を立体図で示す。ステンレス化粧鋼板36は、
図8の断面図にも示すとおり、平板のステンレス鋼板(厚さ1mm)を多面形状に折り曲げて成形する外壁用の化粧鋼板で、隣り合うステンレス化粧鋼板36又は37を断熱嵌込部材8と断熱パネル固定部材9に固定するためステンレス化粧鋼板36の両端を並行に約35mm折り曲げて袖固定部28、30を形成し、その袖固定部28、30にはステンレス化粧鋼板36を断熱パネル嵌込部材8、断熱パネル固定部材9、隣り合うステンレス化粧鋼板36又は37に固定するための複数の穴29、53(
図5で説明する)を開口すると共に、ステンレス化粧鋼板36の袖固定部28と袖固定部30の間は概ね台形形の多面形状部(外袖部31、内袖部32、平部33、内袖部34、外袖部35の5面形状を示す)に折り曲げた多面形状で形成される。
【0032】
ステンレス化粧鋼板37は、ステンレス化粧鋼板36と同様に平板状のステンレス鋼板を多面形状に折り曲げて形成した化粧鋼板で、ステンレス化粧鋼板36と異なる点は、多面状に形成した多面形状部(外袖部42、内袖部41、平部40、内袖部39、外袖部38の5面形状を示す)を断熱サッシ窓枠の上下外寸法に合せて水平に切断して窓開口部45を成形すると共に、切断した上下の多面形状部(外袖部42、内袖部41、平部40、内袖部39、外袖部38を示す)に合致するように平板鋼板で形成した概ね台形形の目隠し蓋49、50を取り付け、窓開口部45の左右両端には断熱サッシ窓枠の左右外寸法に合せステンレス鋼板でベニヤ板4を保護するため、ベニヤ板保護材46、47の端部を袖固定部44、48と目隠し蓋49、50に接合することにより窓開口部45が成形される。その他の袖固定部44、48と、袖固定部44、48の穴43、54(
図5で説明する)、多面形状部(外袖部42、内袖部41、平部40、内袖部39、外袖部38の5面形状を示す)についてはステンレス化粧鋼板36の形状と同一である。
【0033】
図4は、
図3で説明したステンレス化粧鋼板36の袖固定部28とステンレス化粧鋼板37の袖固定部44を重ね合せて、断熱パネル1に固定した断熱パネル固定部材9の当接面18と断熱パネル嵌込部材8の当接面14の間に重ね合せて挟み込み、ボルト10を断熱パネル嵌込部材8の取付穴15とステンレス化粧鋼板36の袖固定部28の穴とステンレス化粧鋼板37の袖固定部44の穴43に挿入し、断熱パネル固定部材9の当接面18に開けたタッピングネジ用の下穴19にねじ込むことによりステンレス化粧鋼板36と37を断熱パネル1に固定した状態を示す。
【0034】
図5は、
図3で説明したステンレス化粧鋼板36、37と断熱パネル1と断熱パネル嵌込部材8と断熱パネル固定部材9について、室内方向から組み立てる前の配置した状態を立体図で示すと共に、断熱パネル1に開口した断熱サッシ用開口部12に取り付けるための断熱サッシ窓枠60を示す。断熱サッシ窓枠60は、窓を開閉するための窓レールを取り付けたサッシ枠55と、そのサッシ枠55を壁に固定するための窓固定外枠61と、その窓固定外枠61に取り付けられ、コンクリート壁に窓開口部を開口するための額縁66(
図6で説明する)を取り付けるための額縁固定部58で構成される。
【0035】
図6は、
図5で説明したステンレス化粧鋼板36の袖固定部30とステンレス化粧鋼板37の袖固定部48を、断熱パネル1に固定した断熱パネル固定部材9の当接面18と断熱パネル嵌込部材8の当接面14の間に重ね合せて挟み込み、ボルト10を断熱パネル嵌込部材8の取付穴15(点線で示す)とステンレス化粧鋼板37の袖固定部48の穴54とステンレス化粧鋼板36の袖固定部30の穴29に挿入し、断熱パネル固定部材9の当接面18に成形したタッピングネジ用の下穴19にねじ込むことによりステンレス化粧鋼板36、37を断熱パネル1に固定し、断熱パネル固定部材9に形成したタッピングネジ用の下穴17にセパレーター65を取り付け、断熱サッシ窓枠60のサッシ枠55を断熱サッシ1に開口した断熱サッシ用開口部12に嵌め込み窓固定外枠61に開けた穴56に木ネジ57を挿入し窓固定外枠61を断熱パネル1のベニヤ板2に取り付けることにより断熱サッシ窓枠60が断熱パネル1に固定されると共に、断熱パネル仮枠64と室内側の仮枠用せき板(
図9で示す透明平板樹脂79、80)の間のコンクリート壁に窓開口部を成形するための額縁66を配置した状態を示す。
【0036】
額縁66は、断熱パネル1の断熱サッシ用開口部12に取り付けた断熱サッシ窓枠60の窓固定外枠61にすき間なく固定させるため、額物80の室外側の開口部に、四面が枠状で断熱サッシ窓枠60の額縁固定部58に開けた穴59に対応する位置に穴68を開けた額縁固定部70を形成すると共に、額縁66の左右面は鋼板を多段に折り曲げ左右対称に室内側を広く形成した多段折曲部材69で形成し、その多段折曲部材69の室内側の先端部をL形に折り曲げ、せき板固定枠73を形成し、そのせき板固定枠73にセパレーター65に対応する位置に額縁66をセパレーター65に固定するための穴72を開け、額縁66の上下面を左右の多段折曲部材69の形状に合致させたL形状の鋼板で形成することにより、室内側から窓外の左右の景色を広く見ることが出来るようになった。
【0037】
図7は、
図6で説明した額縁66の額縁固定部70を断熱サッシ1に取り付けた断熱サッシ窓枠60の額縁固定部58に嵌め込み、ネジ71を額縁66の穴68と断熱サッシ窓枠60の額縁固定部58の穴59に挿入して断熱サッシ窓枠60に額縁66を固定し、セパレーター65を額縁66のせき板固定枠73に開けた穴72に挿入した状態を示す。このように構成することにより、セパレーター65で額縁66を固定することが出来るようになり、コンクリートを打ち込む際、コンクリートの圧力で額縁66が押されて変形することを防ぐことが可能となった。
【0038】
図8aは、
図3、
図4で説明した、隣り合う断熱パネル1にステンレス化粧鋼板36を固定するため、断熱パネル1に断熱パネル嵌込部材8、断熱パネル固定部材9、ボルト10、木ネジ11、セパレーター65を組み立てる前の配置した状態を断面図で示す。隣り合う断熱パネル1の断熱パネル端部26に断熱パネル固定部材9を嵌め込み、木ネジ11を断熱パネル固定部材9の固定穴20に挿入して断熱パネル1に断熱パネル固定部材9を固定し、さらに断熱パネル嵌込部材8の当接面14と断熱パネル固定部材9の当接面18の間に、隣り合うステンレス化粧鋼板36の袖固定部28、30を重ねて挟み込み、ボルト10を断熱パネル嵌込部材8の取付穴15(点線で示す)と重ね合せたステンレス化粧鋼板36の穴29、53に挿入し、さらに断熱パネル固定部材9のタッピングネジ用の下穴19にボルト10をねじ込み固定し、断熱パネル固定部材9のタッピングネジ用の下穴17にセパレーター65をねじ込み固定した状態を
図8bの断熱パネル仮枠64で示す。
【0039】
このように構成することにより、断熱パネル1の断熱パネル端部27が断熱パネル嵌込部材8に固定されることなく、断熱パネル嵌込部材8の嵌込部16と断熱パネル1の間に多少のすき間が生じた場合でも、断熱パネル1を断熱パネル嵌込部材8に組み込むことが可能となり、工場で断熱パネルを製造する際に発生するロットによる断熱パネル1のサイズ誤差、ステンレス化粧鋼板36と37の曲げ誤差、切断誤差、施工現場の床スラブの水平誤差に対し、施工現場で本商品を組み立てをする際、ずれ誤差を施工現場で納めて施工することが可能となった。
【0040】
図9は、
図7で説明した断熱パネル仮枠64に取り付けるための透明平板樹脂79、80(室内側の仮枠せき板)を、断熱パネル仮枠64に透明平板樹脂79、80を組み立てる前の配置した状態を示す。
【0041】
透明平板樹脂79、80(室内側の仮枠せき板)は隣り合う2枚の透明状の平板樹脂の端部を透明平板樹脂契合部87で結合させ一枚の仮枠せき板として形成した部材で、断熱パネル仮枠64に取り付けたセパレーター65の位置と相対する透明平板樹脂79、80の位置にセパレーター65の太さと同一の穴81を開けると共に、断熱パネル仮枠64に取り付けた額縁66の室内側開口部75と相対する透明平板樹脂79、80の位置に室内側開口部75と同一の大きさの額縁取付用開口部82を開口した状態を示す。さらに額縁取付用開口部82の下側の透明平板樹脂80に、仮枠にコンクリートを打ち込む際に額縁66の下部にコンクリートが回り込む量が不足して生じた空洞にコンクリートを流し込むため、透明平板樹脂80に、枠84に開閉可能な開閉蓋86を取り付けたコンクリート流込口83をネジ85で透明平板樹脂80に開けた開口部に取り付けることにより、コンクリートの打設時に額縁66の下部のコンクリートの打ち込み状態を確認しながら、コンクリートの回り込み量が不足する場合はコンクリート流込口83から新たにコンクリートを流し込み、額縁66の下部の空洞をコンクリートにより埋めることが可能となった。
【0042】
図10は、
図9で説明した透明平板樹脂契合部87を構成する部材を示す。
【0043】
図10aで示すように、透明平板樹脂契合部87(
図10bで示す)は凸形契合部91と凹形契合部92で構成され、凸形契合部91を形成する挿入用平板樹脂94は、長板状の平板樹脂の先端を斜め形状に成形して透明平板樹脂79の端部に接着剤で固定され、さらにその上面に凹形契合部92との段差を無くすため長板状で中央部に透明平板樹脂79と挿入用平板樹脂94を貫通する穴105を開けた段差調整平板樹脂95を接着剤で固定することにより、透明平板樹脂79と挿入用平板樹脂94と段差調整平板樹脂95が凸形に形成され凸形契合部91を形成すると共に、横並びに配置する透明平板樹脂80の端部に、受止用平板樹脂98を透明平板樹脂80と長板状の押え用平板樹脂103の間に挟まるように接着剤で凹形契合部92を形成し、さらに凸形契合部91に開けた穴105から水平方向の凹形契合部92の透明平板樹脂80と受止用平板樹脂98と押え用平板樹脂103に穴106を開け、凸形契合部91の穴105にボルト96を挿入すると共に、凹形契合部92の穴106にボルト101を挿入し、そのボルト101に半丸形の契合穴99を開口した打掛錠タイプの回転式打掛金具100を取り付け、ナット102で回転式打掛金具100を回転自在に固定し、つづいて凸形契合部91の挿入用平板樹脂94を凹形系郷部92の差込部93に差し込み、つづいて回転式打掛金具100を回転させて回転式打掛金具100の契合穴99をボルト96に嵌め込み、次にナット97をボルト96に取り付け、ナット97を締め付けることにより回転式打掛金具100とボルト96が固定し、凸形契合部91と凹形契合部92が一体となり、
図10bで示すように透明平板樹脂契合部87が形成され、複数枚の隣り合う透明平板樹脂79と透明平板樹脂80を横並びに一体となることにより室内側の仮枠せき板を形成することが可能となった。
【0044】
図11は、
図10で説明した透明平板樹脂79、80(室内側の仮枠せき板を形成し、材質はアクリル板、又は塩ビ板、又はPET板、又はポリカーボネート板を用い、板厚は1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mmを部位により適位使用する)をセパレーター65に固定するための透明せき板樹脂押え部材117を、透明平板樹脂79、80に取り付ける前の配置した状態を示す。透明せき板樹脂押え部材117は室内側から透明平板樹脂79、80を断熱パネル仮枠64に固定するため、軽量溝形鋼113(厚さ1.6mm、ウェブ巾50mm、フランジ巾10mm)の透明平板樹脂押え部111(フランジ部)を透明平板樹脂80と相対するように縦に複数本配置し、その複数本の軽量溝形鋼113の室内側の軽量溝形鋼押え当接部112(フランジ部)に、横方向に配置した複数本のL形鋼板(各辺25mm)をボルト115とナット114で固定した状態を示す。
【0045】
図12は、
図11で説明した透明せき板樹脂押え部材117を透明平板樹脂80に設置すると共に、このように設置した透明平板樹脂80の穴81にセパレーター65を挿入した状態を示す。
【0046】
図13は、
図12で説明したセパレーター65に間隔保持ボルト137(
図14で示す)を取り付け、仮枠間隔保持材121を間隔保持ボルト137に固定し、軽量溝形鋼押え部材122、123で透明せき板樹脂押え部材117を固定した状態を示す。
【0047】
図14は、
図13で説明した断熱パネル仮枠64と、セパレーター65と、透明せき板樹脂押え部117と、軽量溝形鋼押え部材122、123と、仮枠間隔保持材121を組み立てた状態の断面図である。
【0048】
図14aの拡大図で示すように、軽量溝形鋼押え部材122、123は平板鋼板の両端部を互いに逆方向に直角に折り曲げた押え部126、127(厚さ1.6mm、巾15mm)と、支え部128、130(厚さ1.6mm、巾60mm)と、折り曲げ部129、131(厚さ1.6mm、巾15mm)で形成し、このように形成した軽量溝形鋼押え部材122と軽量溝形鋼押え部材123を、間隔保持ボルト137を挟むようにして上下逆さに配置し、軽量溝形鋼押え部122、123で軽量溝形鋼113を固定するため、間隔保持ボルト137の室内側に長方形の平板鋼板をコの字形に折り曲げ、そのウェブ面に間隔保持ボルト137を固定するための穴125(
図13aで示す)を開け、両側のフランジ面の上部にコの字形をした乗せ台132を成形し、下部に柄杓状の挟み込み部133を成形した仮枠間隔保持材121を配置し、仮枠間隔保持材121の乗せ台132に軽量溝形鋼押え部122の折り曲げ部131を乗せ、挟み込み部133に軽量溝形鋼押え部123の折り曲げ部129を挟み込み、間隔保持ボルト137を仮枠間隔保持材121の穴125(
図13で示す)に挿入し、ナット134で仮枠間隔保持材121を間隔保持ボルト137に固定することにより軽量溝形鋼押え部材122、123の押え部126、127が透明せき板樹脂押え部材117を固定し、さらに透明せき板樹脂押え部材117が透明平板樹脂79を固定することにより室内側のパネル仮枠が構成され、倉庫や施工現場で軽量溝形鋼押え部材122、123を保管する場合、軽量溝形鋼押え部材122、123を重ねて保管することが出来るようになるため、狭い倉庫や施工現場で保管することが容易になると共に、軽量な軽量溝形鋼押え部材122、123と、取り扱いが簡単な仮枠間隔保持材121を使用することにより施工現場で仮枠職人さんの労力を軽減させることが可能になった。
【0049】
以上、実施の形態に基づいて、本発明に係る鉄筋コンクリート建物を成形する外断熱の透明仮枠構造について詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
【0050】
図3で、ステンレス化粧鋼板36、37の形状を概ね台形形の5面形状と説明したが、5面形状は一実施例としての多面形状であり、他にも複数面の折り曲げ形状でステンレス化粧鋼板を形成することも、もちろん可能である。