特許第6562272号(P6562272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562272
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】照明制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20190808BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20190808BHJP
   G10G 1/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H05B37/02 F
   H05B37/02 E
   G10K15/04 302F
   G10G1/00
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-159760(P2016-159760)
(22)【出願日】2016年8月16日
(65)【公開番号】特開2018-29003(P2018-29003A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2018年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】515127887
【氏名又は名称】株式会社ネオレスポール
(74)【代理人】
【識別番号】100180057
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 忠志
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−069050(JP,A)
【文献】 特開平07−073975(JP,A)
【文献】 特開2012−159810(JP,A)
【文献】 特開2008−197272(JP,A)
【文献】 特開2015−049262(JP,A)
【文献】 特表2012−511792(JP,A)
【文献】 特開2012−146536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
G10K 15/04
G10G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または2以上の照明接続端子と、
楽曲ファイルを特定する楽曲ファイル識別子、楽曲ファイルの再生経過時間に関連づけて設定した切替えポイント、および、各切替えポイントによって区分された時間帯ごとに電圧を印加すべき照明接続端子を指定した照明パターンを記憶する記憶手段と、
楽曲ファイルを収容する楽曲再生装置に対し、前記楽曲ファイル識別子に対応する楽曲ファイルの再生開始タイミングを指示するとともに、該記憶手段から、楽曲ファイルに対応する切替えポイントおよび時間帯ごとに指定した照明パターンを読み出し、再生経過時間の進行につれて各時間帯に対応する照明パターンに基づいて前記照明接続端子に電圧を印加する制御手段と
前記切替えポイントの数および/または位置を編集可能なユーザーインターフェイス部と
を備えた照明制御装置。
【請求項2】
前記切替えポイントが、トリガー発生手段によるトリガーの発生タイミングによって設定可能な請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記記憶手段が、さらに楽曲ファイルごとに付した識別子を記憶しており、前記制御手段は、当該識別子にしたがって、楽曲再生装置に対して楽曲ファイルの再生を指示することができる請求項1または請求項2に記載の照明制御装置。
【請求項4】
前記記憶手段が、楽曲ファイルごとに付した識別子と切替えポイントと照明パターンとの組み合わせを演目識別子として記憶し、前記制御手段は、指定した演目識別子が付された組み合わせを読み出すことができる請求項1または請求項2に記載の照明制御装置。
【請求項5】
前記記憶手段が、演目識別子の順列をプログラム識別子として記憶し、前記制御手段が、指定したプログラム識別子に含まれる演目識別子の順列にしたがって組み合わせの処理を順次行うことができる請求項4に記載の照明制御装置。
【請求項6】
楽曲ファイルの再生開始タイミングを前記制御手段から楽曲再生装置に指示するための出力端子を備えた請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の照明制御装置。
【請求項7】
前記トリガーは、デジタル信号である請求項2に記載の照明制御装置。
【請求項8】
前記トリガー発生手段が、押しボタンである請求項2に記載の照明制御装置。
【請求項9】
前記トリガー発生手段が、光電センサ、熱センサまたは音センサである請求項2に記載の照明制御装置。
【請求項10】
前記制御手段が、時計を備え、指定した日時、タイミングまたは期間に、指定したプログラム識別子の演目を実行することができる請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の照明制御装置。
【請求項11】
さらに前記照明接続端子に接続された照明装置を備えた請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の照明制御装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の照明制御装置と、当該照明制御装置の入力端子または出力端子に直接もしくは間接的に接続された音楽再生装置とを備えた音楽連動照明制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音楽に連動してイルミネーションを変化させる発想の端緒は定かでないが、十数年前、電子ピアノのような電子鍵盤楽器の開発に際して、ステージでの演奏をさらに印象的に見せる手段として提案されたことが確認される(特許文献1)。
【0003】
音楽に連動してイルミネーションを変化させる発想は、今日夜間の大規模なライトアップイルミネーションにおいて実用化され、視聴する人々に気分の高揚感を与えるに至っている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−196750号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ヤマハリゾートつま恋/つま恋サウンドイルミネーション、インターネット<URL: http://www.tsumagoi.net/soundillumi/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記文献に記載された音楽連動照明制御の発想は、実質的に曲データ中のパーカッションパートのリズム(音符)と点灯パターンとを一対一で対応づけるものである。したがって、曲のリズムに合わせて点灯パターンが忙しなく切り替わることになるが、このように点灯パターンをリズム基準で一律に切り替える手法は、楽曲それぞれが持つ固有の特徴を減殺するため、楽曲によっては(例えば、スローテンポのムーディーな曲、大きな曲調変化を含む曲等)、視聴する人の気分の高揚を効果的にもたらすことができないものと考えられる。また一般家庭や小規模店舗等で、曲変更時にその曲の雰囲気に合わせた適切なタイミングで点灯パターンを変更したい時などにおいて、点灯パターンの切替えポイントを曲の進行にあわせて高い自由度で作成編集できることがより望ましいと考えられる。
【0007】
本発明の目的は、上記現状に鑑み、曲毎の照明パターンデータの作成・編集が高い自由度と柔軟性をもって行える照明制御装置を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の1つの側面は、1または2以上の照明接続端子と、楽曲ファイルの再生経過時間に関連づけて設定した切替えポイント、および、各切替えポイントによって区分された時間帯ごとに電圧を印加すべき照明接続端子を指定した照明パターンを記憶する記憶手段と、楽曲ファイルに対応する切替えポイントおよび時間帯ごとに指定した照明パターンを記憶手段から読み出し、再生経過時間の進行につれて各時間帯に対応する照明パターンに基づいて前記照明接続端子に順次電圧を印加する制御手段とを備えた照明制御装置である。楽曲の再生経過時間に関連づけて切替えポイントを設定できることから、ユーザーが曲を変更する時などにその曲の雰囲気に合わせて任意の時点(例えば、曲の小節終わり、AメロとBメロとの境界、転調タイミング、休符と音符との間といった、曲調が変化する任意のタイミング)で照明パターンが切り替わるように設定でき、照明パターンデータの作成・編集の自由度および柔軟性が向上する。また、照明制御装置に楽曲ファイル自体を記憶せず切替えポイントのみを記憶するので、例えば安価な汎用のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)を使用して装置を構築できるようになり、製造原価の低減が図れる。また楽曲を増やしたいときも安価な市販の外部記憶媒体の増設により対応できる。
【0009】
上記照明制御装置は、一態様において、切替えポイントが、トリガー発生手段によるトリガーの発生タイミングによって設定可能なものである。ユーザー判断による曲調変化のタイミングの記憶手段への入力、および、適当な曲調変化検出ソフトウェアを用いた曲調変化のタイミングのパソコン等を経由した記憶手段への入力が可能になる。
【0010】
上記照明制御装置は、一態様において、上記記憶手段が、さらに楽曲ファイルごとに付した識別子を記憶しており、上記制御手段は、当該識別子にしたがって、楽曲再生装置に対して再生すべき楽曲ファイルの再生を指示することができるものである。斯かる構成により、楽曲再生装置の記憶媒体に複数の楽曲がある場合も、収録された曲順の再生でなく、自由に曲選択ができるようになる。
【0011】
上記照明制御装置は、一態様において、上記記憶手段が、楽曲ファイルごとに付した識別子と切替えポイントと照明パターンとの組み合わせを演目識別子として記憶し、上記制御手段は、指定した演目識別子が付された組み合わせを読み出すことができるものである。斯かる構成により、音楽と対応する照明演出とが紐付けされ、組み合わせに含まれる楽曲ファイルの識別子にしたがって、楽曲再生装置に対して再生すべき楽曲ファイルの再生を指示するとともに、楽曲に対応する切替えポイントおよび照明パターンに基づいて所定のタイミングで電圧を印加できるようになる。
【0012】
上記照明制御装置は、一態様において、上記記憶手段が、演目識別子の順列をプログラム識別子として記憶し、上記記制御手段が、指定したプログラム識別子に含まれる演目識別子の順列にしたがって組み合わせの処理を順次行うことができるものである。斯かる構成により、演目識別子の並べ替え、削除・追加により曲順変更や曲目変更が自由になり、演目識別子の変更に応じて照明演出も変更されるので、曲目順の演出プログラムの作成編集が容易になる。
【0013】
上記照明制御装置は、一態様において、楽曲ファイルの再生開始タイミングを前記制御手段から楽曲再生装置に指示するための出力端子を備えたものである。斯かる構成により、制御手段からの指示なくして次の楽曲が再生されることがなくなるので、照明演出の尺が楽曲ファイルの尺に依存しなくなり、楽曲再生が終了した後も照明のみを一定時間続けて余韻をもたせる演出が可能になる。
【0014】
上記照明制御装置は、一態様において、トリガーがデジタル信号である。斯かる構成により、汎用のPLCに対して直接的に切替えポイントが設定可能となる。
【0015】
上記照明制御装置は、一態様において、トリガー発生手段が押しボタン(接触ボタン)であるものである。斯かる構成により、ユーザーが曲の雰囲気に合わせて任意のタイミングで切替えポイントを設定することができ、操作性がより直感的かつ簡便になる。
【0016】
上記照明制御装置は、一態様において、トリガー発生手段が、光電センサ、熱センサまたは音センサであるものである。斯かる構成により、ボタンを押すことが困難な障がい者でもセンサを使用して容易に切替えポイントの設定が可能になる。
【0017】
上記照明制御装置は、一態様において、制御手段が時計を内蔵し、指定した日時、タイミングまたは期間に、指定したプログラム識別子の演目を実行することができるものである。斯かる構成により、夜間のみの音楽連動照明作動や季節に応じたプログラム変更が可能になり、視聴する人に飽きがこない演出プログラム設定が可能になるうえ、照明効果がない昼間などの無駄な電力消費がなくなる。また夜間に音楽を再生連動させず照明のみを変化させることで防犯目的での使用も可能になる。
【0018】
上記照明制御装置は、一態様において、さらに上記照明接続端子に接続された照明装置を備えたものである。
【0019】
上記目的を達成するためになされた本発明の別の側面は、上記照明制御装置と、当該照明制御装置の入力端子または出力端子に直接もしくは間接的に接続された音楽再生装置とを備えた音楽連動照明制御装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の照明制御装置により、曲毎の照明パターンデータの作成・編集が高い自由度と柔軟性で行えるようになり、視聴する人の気分の高揚感を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態に係る照明制御装置の構成例。
図2】本発明の照明制御装置で使用する階層構造のデータの構築例を示す図。
図3】ユーザーインターフェイスが有する時間帯編集機能による楽曲冒頭への無照明時間帯の挿入を模式的に表した図。
図4】ユーザーインターフェイスが有する時間帯編集機能による楽曲終了後の無音照明時間帯の付加を模式的に表した図。
図5】楽曲毎の切替えポイント情報の設定手順を示すフローチャート。
図6】照明パターンの設定手順を示すフローチャート。
図7】演目の実行手順を示すフローチャート。
図8】タッチパネル入力手段のレイアウト例を示す図。
図9】第2の実施形態に係る照明制御装置の構成例。
図10】第3の実施形態に係る照明制御装置の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態について以下に図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1に示す典型的な照明制御装置は、所定の情報を記憶する記憶手段と、情報を読み出して処理し装置外部に出力する制御手段と、記憶手段に情報を入力設定するとともに制御手段に所定の指示を送るユーザーインターフェイス(UI)部と、制御手段から外部ユニットに所定の出力をするための外部出力端子と、制御手段に接続され再生経過時間を計測するタイマーとで構成されている。
【0023】
記憶手段には、1または2以上の演目構成プログラムと、1つの演目構成プログラム内に含まれる1または2以上の演目と、1つの演目内に含まれる楽曲ファイル識別子、1または2以上の切替えポイントおよび1または2以上の照明パターンという階層構造のデータが記憶されている。図2の例では、プログラム識別子#11が付された演目構成プログラム内に2つの演目が含まれている。演目1には演目識別子#60、演目2には演目識別子#8が付されており、演目はこの順に進行するように構成している。ここで、演目識別子#60が付された演目には、楽曲ファイル番号#5が割り当てられており、さらに楽曲ファイル番号#5が対応する楽曲の切替えポイント情報、照明パターン情報および押釦識別子を3種一組としてn個、楽曲の進行順に番号付けされて含まれている(パターン番号1〜n)一方、演目識別子#8には、楽曲ファイル番号#1が指定され、楽曲ファイル番号#1が対応する楽曲の切替えポイント情報、照明パターン情報および押釦識別子を3種一組でm個、楽曲の進行順に番号付けされて含まれている(パターン番号1〜m)。ここでn,mは互いに独立した1以上の正の整数である。本実施態様において、階層構造のデータは全て後述するUI部から設定できるように構成している。
【0024】
楽曲ファイル識別子は、照明制御装置と出力端子を介して接続される音楽再生装置で再生可能な外部記憶媒体上の楽曲ファイルと対応づけられており、再生すべき楽曲ファイルを指定する番号である。
【0025】
切替えポイント情報は、楽曲ファイルの再生開始時刻を0秒とする時間軸において、楽曲ファイルの再生経過時間に関連づけて設定された、照明パターンを切り替える時刻(タイミング)の羅列(数列)である。ここで切替えポイントは、各楽曲ファイルの再生開始時刻を基準とする時間軸を区分しているのであって、楽曲ファイル自体を分割しているわけではないことに留意すべきである。本実施態様ではタイミングは0.1秒刻みで設定しているが特に限定されない。
【0026】
楽曲ファイルの再生経過時間は、楽曲ファイルの再生開始からの経過時間である。したがって、楽曲の再生経過時間は、楽曲自体の再生所要時間とは別異の概念であり、後述するUI部の時間帯編集機能により、楽曲に応じて、楽曲の再生所要時間より長くすることも短くすることも等しくすることも可能になっている。
【0027】
楽曲ファイルの再生経過時間は、n個の切替えポイントによってn個の時間帯(時間窓)に区分されており、各時間帯には、曲構成分類情報および照明パターン情報が割り当てられている。
【0028】
照明パターン情報は、電圧を印加すべき1または2以上の照明接続端子を各々に割り当てられた固有の識別子(番号)で指定したものである。これにより時間帯ごとに、識別子で指定された照明接続端子に電圧が印加されるように構成されている。
【0029】
UI部は、制御ボックス盤面上に設けられた、記憶手段に対して階層構造のデータを構築するとともにプログラム識別子を指定して制御手段に実行させるためのタッチパネル入力手段と、楽曲ファイル内の1以上の切替えポイントを記憶手段に対して直感的かつ簡便に入力するための押しボタンとで構成されている。
【0030】
タッチパネル入力手段は、時間帯編集機能を有する。時間帯編集機能とは、押しボタンによって切替えポイントおよび時間帯を一旦設定したのち、特定の時間帯を事後的に再度区画し直したり、切替えポイントの位置(タイミング)を微調整したり、任意のタイミングで新たな切替えポイントおよび時間帯を付け加えたりする機能のことである。この機能により、例えば図3に示すように、楽曲ファイル再生開始直後のイントロ時間帯の中に無音時間帯や音量が極端に小さい時間帯がある場合に、その時間帯だけ事後的にブランク時間帯として区画しなおしたり、図4に示すように、楽曲ファイルの再生終了後に照明のみ作動する時間帯を3秒付加したりすること等が可能になる。図3および図4の例では、時間帯編集機能により、切替えポイントおよび時間帯がそれぞれ同数分だけ増えることになる。
【0031】
タッチパネル入力手段は、テスト再生機能を有する。テスト再生機能とは、タッチパネル入力手段で指定したプログラム識別子の演目を制御手段に試験的に実行させることで楽曲と照明との連動(同期)が上手くなされているかを確認する機能のことである。テスト再生機能の実行時、タッチパネルはユーザーによる演目進行の確認のため、現在再生中の演目の組み合わせ設定の内容を表示するように構成されている。またテスト再生機能実行時には時間帯編集機能は実行できないように構成されている。
【0032】
押しボタンは、一般的な曲構成であるイントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、間奏、Cメロ、アウトロおよびその他に対応づけて制御ボックス盤面上に設置された、表示灯付きスイッチである。楽曲ファイルを再生すると、再生経過時間が0からタイマーカウントされ、押しボタンを押下すると、押下したタイミングが切替えポイントとして記憶手段に記憶されるとともに、押下した押しボタンの識別子(押釦識別子)が、曲構成分類情報として、切替えポイントの直前の時間帯に対して付与されるように構成されている。本実施形態においては、記憶手段および制御手段として汎用のPLCを採用しているため、トリガーとしてデジタル信号を採用している。
【0033】
制御手段は、UI部への入力によって記憶手段に構築された階層構造のデータを記憶手段から読み出すことができる。制御手段がデータを読み出すタイミングは、(1)プログラム識別子が変更された時点で階層構造のデータをまとめて読み出してもよいし、(2)演目の進行にしたがって次の演目の演目識別子が読み出されるタイミングで逐次データを読み出してもよいし、(3)プログラム識別子が設定変更された時点で当該識別子によって指定されるプログラムに含まれる全ての演目の識別子が読み出されるとともに組み合わせ設定のデータを読み出してもよいが、PLCを使用する場合は、(3)である。
【0034】
制御手段はまた、外部出力端子を通じて外部ユニットに所定の出力をすることができる。本実施形態においては、出力端子を介して、指定した楽曲ファイル識別子に対応する楽曲ファイルの再生開始タイミングを音楽再生装置に指示するほか、記憶手段から読み出された照明パターン情報に基づいて1または2以上の特定の照明接続端子に電圧信号を印加するように構成されている。
【0035】
制御手段はさらに時計を内蔵し、タッチパネル入力手段で指定した日時、タイミングまたは時間帯に、指定したプログラム識別子の演目を記憶手段から読み出し、楽曲ファイル識別子で指定された楽曲を再生するように音楽再生装置に指示するとともに、楽曲の再生進行にしたがって、当該照明パターンに基づいて前記照明接続端子に順次電圧を印加するように構成されている。日時設定をしてスタートした場合、タッチパネルの表示は日時設定時の状態のまま切り替わらないが、ユーザーが任意で切り替え可能なように構成されている。ただしプログラム実行時には時間帯編集機能は実行できないように構成されている。
【0036】
出力端子に接続する音楽再生装置としては、楽曲ファイルの再生開始タイミングを指示可能な仕様、即ち外部接点入力端子を備えたものであれば特に限定されない。また外部記憶媒体としては、音楽再生装置の仕様に合わせてCD、CD−R、USBメモリ等を適宜使用可能である。本実施形態では、音楽再生装置としてエステック社製MP3プレーヤーを採用し、外部記憶媒体としてSDカードを採用している。1つの楽曲ファイルには、1つまたは2つ以上の楽曲が含まれており、本実施形態では、照明と連動させたい楽曲が001.mp3〜007.mp3という名称および拡張子の楽曲ファイルとして収容されている。楽曲ファイルの作成編集は、市販またはインターネット上で商用利用/無償利用が許可されている楽曲編集ソフトを使用することができる。
【0037】
照明接続端子に接続する照明装置としては、電圧印加によって、1または2以上の照明単位が点灯、点滅またはパターン点滅するものであれば、いかなるものも採用可能である。照明単位としては、例えば、LED素子;LCDモジュール;フィラメント管;ニキシー管、水銀灯、蛍光灯等の放電灯を適宜組み合わせて採用することができる。照明装置は、照明単位が個々に独立した形態であっても、マトリックス状に照明単位の集合体として配置形成された一般にライトアップ照明と称されるものであっても、マトリックス状に照明単位の集合体として形成されアドレス指定によって個々の照明単位を点灯するものであってもよい。また照明装置としては、照明単位や本発明の照明制御装置とは別個独立に制御ユニットを有し、該制御ユニットへの設定および電圧印加により、素子または素子の集合体が、2以上の点灯もしくは点滅パターンまたは発光色変化を示すものであってもよい。
【0038】
以上に挙げた制御手段、記憶手段およびタイマーは、機能上構成要素として形式的に分離したが、1つのデバイス(例えば、PLCのCPU)がこれらの全部または一部を統合して担うこととしてもよい。
【0039】
以上の構成に基づく照明制御装置の動作について説明する。
階層構造のデータは、図5に示す切替えポイント情報設定フローおよび図6に示す照明パターン設定フローによって構築することができ、該階層構造のデータに基づくプログラムの実行は図7に従って進行する。なお、タッチパネル入力手段のレイアウトは図8の構成を前提として説明する。
(切替えポイント情報設定フロー)
まずタッチパネル上で楽曲識別子(例えば音楽5)が指定される(S1)と、制御手段のタイマーがリセットされ(S2)、再生経過時間が0秒になる。それと同時に外部の音楽再生装置へリレー出力(S3)により同期信号が入り、指定した楽曲識別子に対応する楽曲(005.mp3)の再生が開始される。これをトリガーとして再生経過時間のタイマーカウントが始まる(S4)。次いで制御手段は、制御ボックス盤面にある押釦スイッチの押下を監視し(S5)、押下した時点でタイマーの時刻(S6)、押下したボタンの種類(S7)、および楽曲の再生開始からのボタン押下の回数に関する情報を取得する。ここで押下の回数nはパターン番号nに対応し、n−1回目の押下からn回目の押下までの時間帯に対してパターン番号nが割り当てられることになる。パターン番号nには、取得したn個目の切替えポイントに相当するタイマー時刻とともにそのタイマー時刻の直前の時間帯の曲構成分類情報に相当する押釦識別子の情報が記録される。記録した情報をタッチパネル上に表示し終えると(S9)、パターン番号を1増やす(S10)。なお、タイマーカウント中は、タッチパネル上の決定釦が押されたか否かを常に監視しており(S11)、決定釦が押されない限り、次の押釦スイッチの押下を監視し続ける(S5)。決定釦が押されたことを判定した時点でパターン番号に対応する切替えポイント設定が完了する(S20)。なお、以上のフローによって設定された切替えポイント情報は、上述したタッチパネルの時間帯編集機能によって事後的なタイミングの微修正を行うこともできる。
(照明パターン設定フロー)
照明パターンの設定(S31)にあたって、タッチパネル入力手段はパターン番号の入力を受け付ける(S32)と同時にメイン画面ボタンの押下も監視する(S39)。パターン番号の入力があった場合、当該パターン番号に格納された電圧印加すべき照明端子番号に関するデータを参照し(S33)、照明端子番号ボタンのオン/オフ変更を受け付ける(S34)と同時にメイン画面ボタンの押下も監視する(S38)。オン/オフ変更があった場合、変更をパターン番号のデータに反映させる(S35)とともに、変更があった照明接続端子への電圧印加/遮断を切り替える(S36)。その後、次パターンへ選択コピーボタンが押下されたときは、パターン番号を1増加し(S41)、そこに1増加する前のパターン番号に格納された照明端子番号ボタンのオン/オフ情報を転写したうえで(S42)、その1増加したパターン番号を参照する(S33)。オン/オフ変更の後または変更しないでメイン画面ボタンが押下(S38)された場合は、次のパターン番号入力またはメイン画面ボタンの押下を受け付ける画面(S32、S39)に遷移し、そこで再度メイン画面ボタンの押下(S39)があれば、組み合わせ設定は完了する(S40)。
(プログラム実行フロー)
ユーザーによるタッチパネル上でのプログラム識別子の指定(S51)を受け、プログラム識別子の演目1に収容された演目識別子が読み出され(S52)、当該演目識別子内の楽曲識別子が読み出される(S53)。すると、制御手段のタイマーがリセットされ(S54)、再生経過時間が0秒になる。それと同時に外部の音楽再生装置へリレー出力(S55)により同期信号が入り、指定した楽曲識別子に対応する楽曲の再生が開始される。これをトリガーとして再生経過時間のタイマーカウントが始まる(S56)。直ちに記憶手段から1つ目のパターン番号を参照し(S57)、該パターン番号に対応する照明パターンを出力する(S58)と同時に1つ目の切替えポイント情報が読み出される(S59)。このときタッチパネルは1つ目のパターン番号を点滅表示する一方、パターン番号1に記録された押釦識別子の押釦の表示灯が点灯される。そしてタイマーカウントが切替えポイントに到達するまで監視する(S60)。到達を確認すると、次のパターン番号が存在するかを確認し(S61)、存在する場合はパターン番号を1つ増加し(S62)、そのパターン番号を参照する(S57)。一方、次のパターン番号が存在しない場合は直ちに演目1の実行が終了する(S63)。演目1が終了すると、次いで同一のプログラム識別子で指定されたプログラム内に次の演目(演目2)があるか否かが判断され、演目がある場合は、その演目識別子を読み出す(S52)。以降の手順は同様である。
【0040】
(第2の実施形態)
本実施形態の第2の実施形態との相違点は、図9に示すように、記憶手段に情報を入力設定するとともに制御手段に所定の指示を送る入力端子を備えた点にある。
【0041】
入力端子は、シリアル通信ケーブルによって汎用コンピュータに接続されており、汎用コンピュータからの電気信号(デジタル信号)をPLCに送信可能になっている。汎用コンピュータには、曲調変化を読み出すアルゴリズムを実装したソフトウェアが導入されている。当該ソフトウェアは、楽曲ファイルを取り込んでデータ解析することで、曲調変化点を切替えポイント情報として検出可能になっている。汎用コンピュータは、検出された切替えポイント情報を電気信号に変換するように構成されている。曲調変化を読み出すアルゴリズムとしては、特開平5−273976号公報、特開2004−184769号公報、特開2004−233965号公報等に開示されたものを採用することができる。
【0042】
本実施形態では、ユーザーによる押し釦を用いた切替えポイント作成作業がコンピュータによって自動化され、楽曲毎の時間帯編集作業が簡略化する利点がもたらされる。
【0043】
(第3の実施形態)
本実施形態の第2の実施形態との相違点は、図10に示すように、汎用コンピュータがタイマーを備える構成とした点、汎用コンピュータが楽曲再生装置および照明制御装置内の制御手段に対して、音楽および照明の開始タイミングを直接指示する構成とした点、入出力手段がLANケーブルによって統合されている点にある。
【0044】
本実施形態では、タッチパネル等の入力手段を廃したことで照明制御装置が小型化され、汎用コンピュータで演目の作成編集から実行までワンストップでできる利点がもたらされる。
【0045】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内においてさらに種々の形態で実施することができる。例えば、第1の実施態様においてタッチパネル入力手段は、制御ボックス盤面上に固定したが、別ボックスとして構成し、延長コードで離れたところまで持ち運び可能な構成としてもよいし、着脱可能な構成とすることもできる。また第1の実施態様では、トリガー発生手段として、押しボタンを使用したが、これに代えて光電センサ、熱センサまたは音センサを使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、一般家庭や小規模店舗、商店街において、イルミネーションをより手軽に好みの音楽に連動させることができるほか、文化祭、合唱コンクール等の学校行事、冠婚葬祭用イベント、ダンスやライブでの演出用途等にも利用可能であり、さらに音楽再生装置と接続しないでまたは音楽再生装置を作動させないで照明制御装置単体で防犯用途等に利用可能であり、各種イルミネーションやPLCの需要も喚起することから産業上の利用価値は高い。
【符号の説明】
【0047】
1,101,201 照明制御装置

図1
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図5
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図7
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図10