(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記放電容器と一緒に回転し、遠心方向外周側が回転方向に向かって湾曲すると共に、回転方向に排出孔を穿孔したふるい排出部が遠心方向外周側に配置される孔付きすくい部材を有する
攪拌羽根を備える
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
棒状電極が第一誘電体で被覆されて形成される放電棒を互いに平行に所定の周方向間隔で円環状に配設した電極ユニットを内側に配置する一方、外部電極体を外側に配置し、前記電極ユニットと外部電極体との間に、第二誘電体を有する筒状の放電容器を介設し、該放電容器に被処理物を封入する封入工程と、
内部を不活性気体雰囲気にした放電容器を回転装置によって回転しつつ、前記電極ユニットと外部電極体との間に交流またはパルス電圧を印加してグロー放電を発生させることにより、放電域拡張構造で前記電極ユニットの内外に拡張したグロー放電の放電域内に、前記被処理物を流動させてプラズマ処理を行う処理工程とを備えた
プラズマ処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、詳細に検討すると、前述の網状電極では、ステンレス鋼線などでできた網の表面をガラスなどの誘電体で被覆する際、誘電体による被覆厚を網全体にわたって均一化させるのは難しい。特に、溶融したガラスなどの誘電体に網を浸漬して被覆する際、網の交差部や直線部の間で、誘電体による被覆厚が大きく異なったり、網目が小さいと、誘電体によって網目が閉塞される場合がある。このため、網状電極から発生するグロー放電が不安定となり、局所的な絶縁破壊や剥離が生じて電極が破損しやすい。しかも、誘電体で閉塞された網目の数が多いと、放電容器内の中心部と外周部の間を流動する粉体の量が減少し、効率の良い粉体の攪拌ですら困難となる。
【0008】
更に、複数の細い棒状電極に関する前述の特許文献3では、円環状に配置した複数の棒状電極(以下、「棒状電極群」とする)のうち、中心部を挟んで離間対向する棒状電極の間にも放電域を設ける必要から、棒状電極群の内径は小さく制限される。このため、中心部に粉体を多くは貯溜できず、粉体の貯溜量を大幅に増加するのは難しい。
【0009】
逆に、棒状電極群の内径を大きくして中心部への粉体の貯溜量を増やそうとすると、棒状電極群の内側のグロー放電が不安定となるため、安定した放電域は棒状電極群の外側のみとなる。このため、複数の部屋内で粉体にプラズマを連続照射する特許文献2の場合とは異なり、粉体にはプラズマを間欠的にしか照射できず、プラズマ処理に要する処理時間が長くなる。
【0010】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、コンパクトでありながら、粉体などの被処理物の一回あたりの処理量が大きく増加し、処理時間も短いプラズマ処理装置、およびその処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明のプラズマ処理装置は、棒状電極が第一誘電体で被覆されて形成される放電棒を互いに略平行に所定の周方向間隔で略円環状に配設した電極ユニットと、該電極ユニットの外側に配置され、被処理物が内部に封入されると共に、第二誘電体を有する筒状の放電容器と、該放電容器の外側に配置した外部電極体と、前記電極ユニットと外部電極体との間に交流またはパルス電圧を印加してグロー放電を発生させた状態で、前記放電容器を回転させる回転装置と、前記グロー放電の放電域を電極ユニットの内外に拡張可能な放電域拡張構造とを備えている。
【0012】
そして、棒状電極が第一誘電体で被覆されて放電棒が形成されることによって、電極寿命の向上による部品コストの低減や、負荷軽減による電源設備の小型化を図ることができる。すなわち、略一定の厚みを有する第一誘電体によって棒状電極を被覆し、安定したグロー放電を発生させ、局所的な絶縁破壊や剥離を抑制して放電棒の破損が防止できると共に、棒状電極では電界の集中効果によって放電開始が容易となり、電源への負担が小さい。
【0013】
更に、放電棒を互いに略平行に所定の周方向間隔で略円環状に配設した電極ユニットを備えることによって、被処理物の良好で均一な表面品質の確保や、電極ユニットの内側への被処理物の貯溜を可能とすることができる。すなわち、安定したグロー放電のおかげで閉塞される恐れのない放電棒間の隙間を介して、被処理物が電極ユニットの内外間を自在に流動できるようになり、被処理物の移動空間を大きく確保して被処理物を効率良く攪拌できると共に、電極ユニットの内側にも被処理物が流入する。
【0014】
特に、各放電棒を別体にして互いに分離可能とした場合は、電極ユニットのメンテナンス性や、官能基変更への即時対応性を向上させることができる。すなわち、放電棒が破損した際は、電極ユニット全体ではなく破損した放電棒のみを交換するだけで済み、また、被処理物に付加する官能基を変更する際は、既に配設している放電棒を、放電時に所定の官能基を供給可能な成分を含む第一誘電体を有する放電棒に交換すれば済み、不活性気体中への官能基含有気体の混入や、被処理物への官能基供給物の追加投入が不要となる。
【0015】
加えて、電極ユニットの外側に配置され、被処理物が内部に封入されると共に、第二誘電体を有する筒状の放電容器と、該放電容器の外側に配置した外部電極体と、前記電極ユニットと外部電極体との間に交流またはパルス電圧を印加してグロー放電を発生させた状態で、前記放電容器を回転させる回転装置とを備えることによって、被処理物の処理量の著しい増加を図ることができる。すなわち、プラズマ処理中は同じ電極ユニット内の放電棒を全て等電位とし、中心部を挟んで離間対向する放電棒の間にはグロー放電を発生させないようにすることで、電極ユニットの内径を拡大可能にして被処理物の貯溜量を大幅に増加させることができる。しかも、放電容器内に封入された被処理物は、放電容器が回転される間に、放電棒間の隙間を介して電極ユニットの内外間を自在に流動し、安定した放電域を効率良く攪拌されながら通過するようになり、被処理物の表面は万遍なく処理されて、良好で均一な表面品質が確保できる。
【0016】
更に、グロー放電の放電域を電極ユニットの内外に拡張可能な放電域拡張構造を備えることによって、プラズマ処理の処理時間の大幅な短縮を図ることができる。すなわち、放電域を拡張することにより、被処理物が放電域を通過する時間が長くなり、プラズマ照射時間を長くできる。
【0017】
また、前記放電棒を、放電容器内で、第一誘電体と第二誘電体との間の径方向間隔、及び隣り合う第一誘電体の間の周方向間隔のいずれも2〜20mmとなるように配置する場合は、放電棒の周りに被処理物の流動に必要な隙間を充分に確保しつつ、径方向間隔を適正に制限して、高電圧印加によるグロー放電からアーク放電への移行を抑制すると共に、周方向間隔を適正に制限して、隣り合う放電棒によるグロー放電の放電域の重なり具合の適正化を図る。これにより、被処理物の流動が阻害されることなく、安定したグロー放電下で適正なプラズマ密度による短時間処理が可能な放電域を確保することができる。
【0018】
そして、径方向間隔が2mm未満では、第一誘電体と第二誘電体との間の隙間を被処理物が通過する際の流動抵抗が大きくなり、放電域内での被処理物の流動が阻害される。一方、径方向間隔が20mmを超えると、放電棒と外部電極体との間の電極間距離が大きくなり、両電極間の放電に必要な電圧も高くなることから、アーク放電に移行しやすくなり、グロー放電が不安定となる。
【0019】
更に、周方向間隔が2mm未満では、隣り合う第一誘電体の間の隙間を被処理物が通過する際の流動抵抗が大きくなり、電極ユニットの内外間の被処理物の流動が阻害される。一方、周方向間隔が20mmを超えると、隣り合う放電棒によるグロー放電の照射領域の重なり部分が小さくなり、プラズマ密度が不充分となる。
【0020】
また、前記放電域拡張構造が、前記電極ユニットよりも内側の空間に、前記放電棒を互いに略平行に所定の周方向間隔で略円環状に配設した副電極ユニットを、前記電極ユニットと略同心状に単一または複数有する場合は、電極ユニットと副電極ユニットとの間、または内外に隣り合う副電極ユニット間に交流またはパルス電圧を印加すると、グロー放電の放電域が電極ユニットの内方にも形成される。これにより、被処理物が放電域を通過する時間が長くなり、プラズマ照射時間を長くして、プラズマ処理の処理時間を大幅に短縮することができる。
【0021】
また、前記放電容器内で径方向最内側の副電極ユニットが、所定の放電棒に代えて、冷却媒体が棒状電極と第一誘電体との間の内部隙間を流動可能な冷却タイプ放電棒と、冷却媒体が内部を流動可能な前記第一誘電体単体の少なくとも一方を有する場合は、冷却タイプ放電棒の内部隙間、第一誘電体の内部空間に冷却媒体を流すことで、冷却が困難な放電容器中心側にある放電棒を効率よく冷却することができる。これにより、放電容器内を流動する樹脂などの被処理物が、放電に伴う熱によって互いに溶着したり、容器内に付着したり、表面が変質したりするのを防止することができ、被処理物の品質向上や、プラズマ処理の適用対象の拡大を図ることができる。
【0022】
また、前記放電容器内の軸心上に配置され、冷却媒体が内部を流動可能な筒状電極が第三誘電体で被覆されて形成される冷却タイプ放電筒、または前記軸心上に配置され、冷却媒体が内部を流動可能な前記第三誘電体単体を備える場合は、冷却タイプ放電筒の筒状電極、または第三誘電体の内部空間に冷却媒体を流すことで、冷却が困難な放電容器中心側にある放電棒を効率よく冷却することができる。これにより、放電容器内を流動する樹脂などの被処理物であっても、放電に伴う熱によって互いに溶着したり、容器内に付着したり、表面が変質したりするのを防止することができ、被処理物の品質向上や、プラズマ処理の適用対象の拡大を図ることができる。
【0023】
また、前記放電域拡張構造が、前記放電容器内で、前記放電棒の端部のみを軸方向端面に取り付けて該放電棒を支持すると共に、略同一円周上に配置されて略円環を形成可能な複数の円弧状の取付部材と、前記略円環の軸心から複数の枝部が径方向に延びる放射状の支持部材と、該枝部に対する前記取付部材の取付位置を変更して径方向間隔を拡大可能な調整機構とを有する場合は、調整機構によって取付部材の径方向位置を調整すると、第一誘電体と第二誘電体との間の隙間が大きくなり、グロー放電の放電域が電極ユニットの外方に拡張される。これにより、被処理物が放電域を通過する時間が長くなり、プラズマ照射時間を長くして、プラズマ処理の処理時間を大幅に短縮することができる。
【0024】
特に、放電棒の端部が放射状の支持部材に絶縁支持された状態で、放電棒に通電する場合は、他の構成部材に広範囲で接触する絶縁部材に放電棒の端部が支持されものとは異なり、各部材の表面を伝って外部に電流が漏出するのを最小限に抑えることができ、電力コストを低減することができる。
【0025】
また、前記放電容器と一緒に回転し、遠心方向外周側が回転方向に向かって湾曲するすくい部材と、該すくい部材の回転方向前面で遠心方向内周側にある流入口、該流入口に連通する滞留室、及び該滞留室に連通すると共に滞留室よりも遠心方向外周側にあって前記流入口よりも小面積の排出口が設けられ、すくい上げた前記被処理物が、前記流入口から途中の滞留室を介して排出口を通り、前記放電域に向かって徐々に流下する滞留排出部とを有する攪拌羽根を備える場合は、放電容器の軸心が略水平姿勢または傾斜姿勢である際、放電容器下部に溜まった状態の被処理物は、回転する攪拌羽根によって更に効率よく攪拌されると共に、一部はすくい部材によってすくい上げられて流入口から滞留室に流入した後、攪拌羽根が放電容器と一緒に回転して下位置から上位置まで上昇する間に、流入した被処理物は排出口を通り自重により少しずつ流下して放電域内を通過する。これにより、被処理物が放電域を通過する時間が長くなり、プラズマ照射時間を長くして、プラズマ処理の処理時間を更に大幅に短縮することができる。
【0026】
また、前記放電容器と一緒に回転し、遠心方向外周側が回転方向に向かって湾曲すると共に、回転方向に排出孔を穿孔したふるい排出部が遠心方向外周側に配置される孔付きすくい部材を有する攪拌羽根を備える場合は、放電容器の軸心が略水平姿勢または傾斜姿勢である際、放電容器下部に溜まった状態の被処理物は、回転する攪拌羽根によって更に効率よく攪拌されると共に、一部は孔付きすくい部材によってすくい上げられ、攪拌羽根が放電容器と一緒に回転して下位置から上位置まで上昇する間に、ふるい排出部の排出孔を通り自重により少しずつ流下して放電域内を通過する。これにより、被処理物が放電域を通過する時間が長くなり、プラズマ照射時間を長くして、プラズマ処理の処理時間を更に大幅に短縮することができる。
【0027】
また、電極ユニットと、放電容器の開口を閉塞すると共に電極ユニットを支持する蓋ユニットと、電極ユニットで隣接する放電棒の間に介設されると共に、軸方向端部が蓋ユニットに固設され、軸方向側縁部が放電容器の内壁に摺動可能に当接して支持される攪拌羽根とが、一体的に組み込まれた電極構造体を備える場合は、攪拌羽根を放電容器の内壁に摺動させながら、電極構造体を放電容器内に挿着するだけで、攪拌羽根と一緒に電極構造体に組み込まれている電極ユニットの放電棒も、内壁から所定の径方向位置に保持される。これにより、攪拌羽根を利用して電極ユニットを適正位置に支持することができ、電極ユニットのための複雑な支持構造が不要となって、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0028】
更に、攪拌羽根と一緒に電極構造体に組み込まれている蓋ユニットも、放電容器に対して所定位置に保持される。これにより、攪拌羽根を利用して放電容器に対する蓋ユニットの位置決めを迅速に行うことができ、プラズマ処理装置の組み立てに要する組み立て時間が短縮される。
【0029】
加えて、この電極構造体は、攪拌羽根を介するだけで放電容器内に保持されており、この放電容器とは分離可能な別体に構成されている。これにより、プラズマ処理後に電極構造体を脱着させるだけで、放電容器内には被処理物のみが残留した状態にすることができ、被処理物の回収が容易になると共に、放電容器内の付着物の除去も容易となって、プラズマ処理全体に要する処理時間の短縮やメンテナンス性の更なる向上を図ることができる。
【0030】
また、蓋ユニットが、開口を閉塞する蓋体に形成された孔に開閉可能に装着されると共に、グロー放電のための電流路と通気経路が一体的に組み込まれたプラグ部を有する場合は、グロー放電のための電流路と通気経路を、電極構造体を構成するプラグ部に集中配置することができる。これにより、電極構造体の挿着と同時に電流路と通気経路をプラズマ処理装置に容易かつ迅速に組み込むことができ、プラズマ処理装置の組み立てに要する時間が短縮され、作業効率の向上を図ることができる。
【0031】
更に、電極構造体においてプラグ部だけを蓋体から脱着し、蓋体の孔を開放することができる。これにより、電極構造体からプラグ部を除いた部分(以下、「基礎構造部」とする)を放電容器内に挿着したままで、開放された孔を介して、被処理物を放電容器内に流し込むことができ、プラズマ処理前の被処理物の供給や、プラズマ処理途中における被処理物の補給が容易となる。
【0032】
特に、プラズマ処理前の被処理物の供給の際に、放電容器内に被処理物が貯溜されている状態で電極構造体を挿着すると、この電極構造体の先端部が放電容器の底面上の被処理物と干渉するような場合には、基礎構造部を先に放電容器に挿着しておき、蓋体の孔を介して被処理物を放電容器内に流し込んだ後に、プラグ部を孔に取り付ける。これにより、被処理物を電極構造体と干渉させることなく放電容器内に供給することができる。
【0033】
また、上記の目的を達成するために、本発明のプラズマ処理方法は、棒状電極が第一誘電体で被覆されて形成される放電棒を互いに略平行に所定の周方向間隔で略円環状に配設した電極ユニットを内側に配置する一方、外部電極体を外側に配置し、前記電極ユニットと外部電極体との間に、第二誘電体を有する筒状の放電容器を介設し、該放電容器に被処理物を封入する封入工程と、内部を不活性気体雰囲気にした放電容器を回転装置によって回転しつつ、前記電極ユニットと外部電極体との間に交流またはパルス電圧を印加してグロー放電を発生させることにより、放電域拡張構造で前記電極ユニットの内外に拡張したグロー放電の放電域内に、前記被処理物を流動させてプラズマ処理を行う処理工程とを備えている。
【0034】
そして、棒状電極が第一誘電体で被覆されて放電棒が形成されることによって、電極寿命の向上による部品コストの低減や、負荷軽減による電源設備の小型化を図ることができる。すなわち、略一定の厚みを有する第一誘電体によって棒状電極を被覆し、安定したグロー放電を発生させ、局所的な絶縁破壊や剥離を抑制して放電棒の破損が防止できると共に、棒状電極では電界の集中効果によって放電開始が容易となり、電源への負担が小さい。
【0035】
更に、放電棒を互いに略平行に所定の周方向間隔で略円環状に配設した電極ユニットによって、被処理物の良好で均一な表面品質の確保や、電極ユニットの内側への被処理物の貯溜を可能とすることができる。すなわち、安定したグロー放電のおかげで閉塞される恐れのない放電棒間の隙間を介して、被処理物が電極ユニットの内外間を自在に流動できるようになり、被処理物の移動空間を大きく確保して被処理物を効率良く攪拌できると共に、電極ユニットの内側にも被処理物が流入する。
【0036】
特に、各放電棒を別体にして互いに分離可能とした場合は、電極ユニットのメンテナンス性や、官能基変更への即時対応性を向上させることができる。すなわち、放電棒が破損した際は、電極ユニット全体ではなく破損した放電棒のみを交換するだけで済み、また、被処理物に付加する官能基を変更する際は、既に配設している放電棒を、放電時に所定の官能基を供給可能な成分を含む第一誘電体を有する放電棒に交換すれば済み、不活性気体中への官能基含有気体の混入や、被処理物への官能基供給物の追加投入が不要となる。
【0037】
加えて、棒状電極が第一誘電体で被覆されて形成される放電棒を互いに略平行に所定の周方向間隔で略円環状に配設した電極ユニットを内側に配置する一方、外部電極体を外側に配置し、前記電極ユニットと外部電極体との間に、第二誘電体を有する筒状の放電容器を介設し、該放電容器に被処理物を封入する封入工程を備えることによって、異なる表面処理や表面改質に対するプラズマ処理の汎用性が向上する。すなわち、表面処理や表面改質に適した官能基供給源を、第一誘電体に含有させたり、被処理物と一緒に放電容器内に投入するだけで、後工程における電極ユニットと外部電極体との間のグロー放電によって、様々な官能基を被処理物に付加することができる。
【0038】
更に、内部を不活性気体雰囲気にした放電容器を回転装置によって回転しつつ、前記電極ユニットと外部電極体との間に交流またはパルス電圧を印加してグロー放電を発生させることにより、放電域拡張構造で前記電極ユニットの内外に拡張したグロー放電の放電域内に、前記被処理物を流動させてプラズマ処理を行う処理工程を備えることによって、被処理物の処理量の著しい増加と、プラズマ処理の処理時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0039】
すなわち、プラズマ処理中は同じ電極ユニット内の放電棒を全て等電位とし、中心部を挟んで離間対向する放電棒の間にはグロー放電を発生させないようにすることで、電極ユニットの内径を拡大可能にして被処理物の貯溜量を大幅に増加させることができる。しかも、放電容器内に封入された被処理物は、放電容器が回転される間に、放電棒間の隙間を介して電極ユニットの内外間を自在に流動し、電極ユニットと外部電極体との間の安定した放電域を、効率良く攪拌されながら通過するようになり、被処理物の表面は万遍なく処理されて、良好で均一な表面品質が確保できる。そして、放電域を拡張することにより、被処理物が放電域を通過する時間が長くなり、プラズマ照射時間を長くできる。
【0040】
また、前記放電棒を、放電容器内で、第一誘電体と第二誘電体との間の径方向間隔、及び隣り合う第一誘電体の間の周方向間隔のいずれも2〜20mmとなるように配置する場合は、放電棒の周りに被処理物の流動に必要な隙間を充分に確保しつつ、径方向間隔を適正に制限して、高電圧印加によるグロー放電からアーク放電への移行を抑制すると共に、周方向間隔を適正に制限して、隣り合う放電棒によるグロー放電の放電域の重なり具合の適正化を図る。これにより、被処理物の流動が阻害されることなく、安定したグロー放電下で適正なプラズマ密度による短時間処理が可能な放電域を確保することができる。
【0041】
そして、径方向間隔が2mm未満では、第一誘電体と第二誘電体との間の隙間を被処理物が通過する際の流動抵抗が大きくなり、放電域内での被処理物の流動が阻害される。一方、径方向間隔が20mmを超えると、放電棒と外部電極体との間の電極間距離が大きくなり、両電極間の放電に必要な電圧も高くなることから、アーク放電に移行しやすくなり、グロー放電が不安定となる。
【0042】
更に、周方向間隔が2mm未満では、隣り合う第一誘電体の間の隙間を被処理物が通過する際の流動抵抗が大きくなり、電極ユニットの内外間の被処理物の流動が阻害される。一方、周方向間隔が20mmを超えると、隣り合う放電棒によるグロー放電の放電域の重なり部分が小さくなり、プラズマ密度が不充分となってプラズマ処理の処理時間が長くなる。
【0043】
また、前記放電域拡張構造が、前記電極ユニットよりも内側の空間に、前記放電棒を互いに略平行に所定の周方向間隔で略円環状に配設した副電極ユニットを、前記電極ユニットと略同心状に単一または複数有する場合は、電極ユニットと副電極ユニットとの間、または内外に隣り合う副電極ユニット間に交流またはパルス電圧を印加すると、グロー放電の放電域が電極ユニットの内方にも形成される。これにより、被処理物が放電域を通過する時間が長くなり、プラズマ照射時間を長くして、プラズマ処理の処理時間を大幅に短縮することができる。
【0044】
また、前記放電容器内で径方向最内側の副電極ユニットが、所定の放電棒に代えて、冷却媒体が棒状電極と第一誘電体との間の内部隙間を流動可能な冷却タイプ放電棒と、冷却媒体が内部を流動可能な前記第一誘電体単体の少なくとも一方を有する場合は、冷却タイプ放電棒の内部隙間、第一誘電体の内部空間に冷却媒体を流すことで、冷却の困難な放電容器中心側の放電棒を効率よく冷却することができる。これにより、放電容器内を流動する樹脂などの被処理物が、放電に伴う熱によって互いに溶着したり、容器内に付着したり、表面が変質したりするのを防止することができ、被処理物の品質向上や、プラズマ処理の適用対象の拡大を図ることができる。
【0045】
また、前記放電容器内の軸心上に配置され、冷却媒体が内部を流動可能な筒状電極が第三誘電体で被覆されて形成される冷却タイプ放電筒、または前記軸心上に配置され、冷却媒体が内部を流動可能な前記第三誘電体単体を備える場合は、冷却タイプ放電筒の筒状電極内、または第三誘電体の内部空間に冷却媒体を流すことで、冷却の困難な放電容器中心側の放電棒を効率よく冷却することができる。これにより、放電容器内を流動する樹脂などの被処理物が、放電に伴う熱によって互いに溶着したり、容器内に付着したり、表面が変質したりするのを防止することができ、被処理物の品質向上や、プラズマ処理の適用対象の拡大を図ることができる。
【0046】
また、前記放電域拡張構造が、前記放電容器内で、前記放電棒の端部のみを軸方向端面に取り付けて該放電棒を支持すると共に、略同一円周上に配置されて略円環を形成可能な複数の円弧状の取付部材と、前記略円環の軸心から複数の枝部が径方向に延びる放射状の支持部材と、該枝部に対する前記取付部材の取付位置を変更して径方向間隔を拡大可能な調整機構とを有する場合は、調整機構によって取付部材の径方向位置を調整すると、第一誘電体と第二誘電体との間の隙間が大きくなり、グロー放電の放電域が電極ユニットの外方に拡張される。これにより、被処理物が放電域を通過する時間が長くなり、プラズマ照射時間を長くして、プラズマ処理の処理時間を大幅に短縮することができる。
【0047】
特に、放電棒の端部が放射状の支持部材に絶縁支持された状態で、放電棒に通電する場合は、他の構成部材に広範囲で接触する絶縁部材に放電棒の端部が支持されものとは異なり、各部材の表面を伝って外部に電流が漏出するのを最小限に抑えることができ、電力コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明に係わるプラズマ装置およびその方法は、コンパクトでありながら、粉体などの被処理物の一回あたりの処理量が大きく増加し、処理時間も短いものとなっている。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、プラズマ処理装置およびその方法に関する本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
なお、
図1、
図10、
図17中で矢印Fで示す方向を前方とし、矢印Lで示す方向を左方とし、更に
図26中で矢印Tで示す方向を上方とし、以下で述べる各部の位置や方向等はこれら前方、左方、上方を基準とするものである。
【0051】
まず、本発明を適用したプラズマ処理装置1の全体構成について、
図1乃至
図4、
図20により説明する。
【0052】
プラズマ処理装置1においては、前面視U字状の基台7の上面には、車輪8L、8Rと車輪9L、9Rが前後に配置され、これらの車輪8L、8R、9L、9Rは、図示せぬ回転用の電動機からの出力軸に連動連結されており、車輪8L、8R、9L、9R上に載置した筒状の放電容器3を回転可能な回転装置5が形成される。
【0053】
そして、基台7の左右の縁部7a、7b間を跨るようにして、帯板状の浮上防止材10が左右方向に延設され、この浮上防止材10の右端部は、基台7の右縁部7aを中心に左右回動可能に連結される一方、浮上防止材10の左端部は、基台7の左縁部7bより立設する鉤部材11に、長孔10aを介して抜脱できるようにしている。これにより、浮上防止材10全体を放電容器3の外周に弾性状態で囲繞させ、放電容器3が上下振動などによって車輪8L、8R、9L、9Rから浮き上がるのを、防止することができる。
【0054】
また、前述した放電容器3は、筒状の本体部12aの後端にカップ状の底部12bを留め具38で着脱可能に設けて有底筒状とした容器本体12と、この本体部12a前端の開口12a1を開閉自在に閉鎖する蓋体13とを有している。
【0055】
このうちの容器本体12の内周面には、放電容器3の内部に封入された被処理物である粉体を周方向に掻き上げるための長板状の攪拌羽根14が、本実施例では周方向に略等間隔あけて3カ所に、前から順に設けた脚部14a、14b、14cを介して取り付けられている。
【0056】
一方、容器本体12の外周面には、前後方向外側面が前述した車輪8L、8R、9L、9Rの前後方向内側面に当接される係止リング15F、15Rが、前後に外嵌され、この係止リング15F、15Rは、ステンレス製のリング状の取付帯16F、16Rを介して、容器本体12の外周面に固定されている。そして、この係止リング15F、15Rによって放電容器3の前後方向への摺動を規制し、放電容器3が前後振動などのせいで車輪8L、8R、9L、9Rから滑落するのを防止することができる。
【0057】
更に、蓋体13は、容器本体12の開口12a1との間に図示せぬパッキンなどを介設した状態で、固定具17によって、開口12a1に着脱可能に固定されている。これにより、蓋体13を開いて開口12a1から粉体を容器本体12内に流し込んだ後、再び蓋体13を閉じて固定具17で固定するようにして、放電容器3の内部に粉体を封入することができる。
【0058】
この蓋体13には、軸心を貫通する貫通筒13aが一体的に形成され、この貫通筒13aには、通常、ゴム等からなる封止栓18が挿嵌されている。この封止栓18を介して、後述するように、電極ユニット2、副電極ユニット21の支持や、ヘリウムガス、窒素ガスなどを含む混合ガス37の放電容器3内への給排が行えるようにしている。
【0059】
加えて、このような蓋体13と前述の容器本体12のいずれも、第二誘電体であるガラスによって形成されており、容器本体12のうちで後述の金網4が外嵌される部分において、誘電体バリア放電によるグロー放電が行えるようにしている。なお、本実施例では、プラズマ処理中の処理状況を外部から観察できるように放電容器3全体にガラスを使用しているが、外部観察の必要がなければ、プラスチック、セラミックス、酸化アルミニウムなどの誘電体を使用してもよく、また、金網4が外嵌される部分以外に、誘電体以外のものを使用してもよい。
【0060】
また、放電容器3の容器本体12の外側で、前述した係止リング15F、15Rの間には、外部電極体であるステンレス製の金網4が配置されている。
【0061】
そして、この金網4の前後の縁部に、前述した取付帯16F、16Rが外嵌されると共に、金網4の側面の一部が、この取付帯16F、16Rに前後の端部が挟持されたステンレス製の長板状の取付帯16Sで押止されるようにして、金網4は容器本体12の外周面に固定されている。
【0062】
更に、金網4は、このような取付帯16F、16R、16Sや、取付帯16F、16S間を接続するアース線20などを介して、接地される。
【0063】
また、外側に金網4を配置した放電容器3の容器本体12の内側には、電極ユニット2が配置され、この電極ユニット2よりも更に内側の空間には、後で詳述する放電域拡張構造としての副電極ユニット21が同心状に配置されている。
【0064】
このうちの電極ユニット2は、複数の放電棒6を互いに平行に所定の周方向間隔yで円環状に配設することにより構成される。そして、この放電棒6は、ステンレス線などの棒状電極6aと、棒状電極6aを取り囲み筒状で略一定の厚みを有するガラス管6bとから成り、このガラス管6bの外側で誘電体バリア放電が行えるようにしている。
【0065】
更に、副電極ユニット21も、電極ユニット2と同様に、複数の放電棒26を互いに平行に所定の周方向間隔yで円環状に配設することにより構成され、電極ユニット2と同心状に設けられている。そして、この放電棒26も、放電棒6と同様に、ステンレス線などの棒状電極26aと、棒状電極26aを取り囲む筒状のガラス管26bとから成り、このガラス管26bの外側で誘電体バリア放電が行えるようにしている。
【0066】
加えて、電極ユニット2における放電棒6の棒状電極6aは、後述する支持構造体24などを介して交流電源23に接続され、副電極ユニット21における放電棒26の棒状電極26aも、同様に、支持構造体24などを介して接地されている。
【0067】
以上のような構成により、留め具38を外して底部12bを取り除き、電極ユニット2などを容器本体12内に組み込んでから、再び底部12bを閉じた後、蓋体13開閉して放電容器3内に粉体を封入し、その後、封止栓18を介して混合ガス37を放電容器3内へ給排しつつ、接地した金網4、副電極ユニット21と、電極ユニット2との間に、交流またはパルス電圧、本実施例では交流電圧を印加すると、グロー放電が発生する。
【0068】
そして、この放電状態において、浮上防止材10で囲繞した放電容器3を回転装置5によって回転させ、粉体を攪拌羽根14で掻き上げるようにして攪拌すると、流動する粉体の表面に適正なプラズマ処理を施すことができる。
【0069】
次に、電極ユニット2と副電極ユニット21の詳細構成について、
図1乃至
図4により説明する。
【0070】
電極ユニット2と副電極ユニット21の支持構造体24は、筒状の放電容器3の軸心上に配置され、前述した封止栓18の軸心を貫通して後端開口25bが放電容器3内に挿入された軸パイプ25と、この軸パイプ25の前端部に設けられた前支持部27と、軸パイプ25の後端部に設けられた後支持部31とから構成される。
【0071】
このうちの軸パイプ25の前端開口25aは、ヘリウムガスボンベ35と窒素ガスボンベ36に連通される一方、封止栓18の外周部には、前後方向に貫通する切り欠き溝18aが凹設されている。
【0072】
これにより、混合ガス37は、軸パイプ25を通って後端開口25bから放電容器3内に注入され、その後、封止栓18の切り欠き溝18aを通って放電容器3外に排出され、放電容器3内は常に新しい混合ガス37で充填されるようにしている。なお、切り欠き溝18aと軸パイプ25の前端開口25aとを接続して連通し、その通気経路途中にポンプを介設することにより、混合ガス37を循環させて繰り返し使用し、ガスコストの低減を図るようにしてもよい。
【0073】
更に、前支持部27は、副電極ユニット21の放電棒26の前端部を取り付けて支持する副取付支持部材28と、電極ユニット2の放電棒6の前端部を取り付けて支持する主取付支持部材29と、これら副取付支持部材28、主取付支持部材29を放電容器3の容器本体12の内壁12a2に3点支持により固定する突張り部材30とを有している。
【0074】
そして、副取付支持部材28は、軸パイプ25の前部に外嵌される前基部パイプ28aと、その後端より径方向に放射状に延びる3本の枝部28b1から成る前支持部材28bと、各枝部28b1の延出端に一体的に形成された円環状の前取付部材28cとを有する。
【0075】
主取付支持部材29は、前基部パイプ28aに外嵌される前基部パイプ29aと、前方より各枝部28b1の前面にそれぞれ当接される3本の枝部29b1から成る前支持部材29bと、各枝部29b1の延出端に一体的に形成された円環状の前取付部材29cとを有し、この前取付部材29cは、副取付支持部材28の前取付部材28cよりも大径に形成されており、前取付部材29cに取り付ける放電棒6が、前述した前取付部材28cに取り付ける放電棒26と干渉しないようにしている。
【0076】
突張り部材30は、前基部パイプ29aに外嵌される前基部パイプ30aと、前方より各枝部29b1の前面にそれぞれ当接される3本の枝部30b1から成る前支持部材30bとを有し、この前支持部材30bは、主取付支持部材29の前取付部材29cよりも長径に形成され、枝部30b1の延出端に装着された滑り止め39を介して、放電容器3の容器本体12の内壁12a2に摺動困難に押圧されている。
【0077】
そして、軸パイプ25の周りに内側から順に外嵌された、これらの前基部パイプ28a、29a、30aから軸パイプ25を径方向に貫通するようにして、連結ピン41が貫設されており、副取付支持部材28、主取付支持部材29、突張り部材30を有する前支持部27が、放電容器3と一体的に回転できるようにしている。
【0078】
加えて、後支持部31も、前支持部27と同様に、副電極ユニット21の放電棒26の後端部を取り付けて支持する副取付支持部材32と、電極ユニット2の放電棒6の後端部を取り付けて支持する主取付支持部材33と、これら副取付支持部材32、主取付支持部材33を放電容器3の容器本体12の内壁12a2に3点支持により固定する突張り部材34とを有している。
【0079】
そして、副取付支持部材32は、軸パイプ25の後部に外嵌される後基部パイプ32aと、その前端より径方向に放射状に延びる3本の枝部32b1から成る後支持部材32bと、各枝部32b1の延出端に一体的に形成された円環状の後取付部材32cとを有する。
【0080】
主取付支持部材33は、後基部パイプ32aに外嵌される後基部パイプ33aと、後方より各枝部32b1の後面にそれぞれ当接される3本の枝部33b1から成る後支持部材33bと、各枝部33b1の延出端に一体的に形成された円環状の後取付部材33cとを有し、この後取付部材33cは、副取付支持部材32の後取付部材32cよりも大径に形成されており、後取付部材33cに取り付ける放電棒6が、前述した後取付部材32cに取り付ける放電棒26と干渉しないようにしている。
【0081】
突張り部材34は、後基部パイプ33aに外嵌される後基部パイプ34aと、後方より各枝部33b1の後面にそれぞれ当接される3本の枝部34b1から成る後支持部材34bとを有し、この後支持部材34bは、主取付支持部材33の後取付部材33cよりも長径に形成され、枝部34b1の延出端に装着された滑り止め39を介して、放電容器3の容器本体12の内壁12a2に摺動困難に押圧されている。
【0082】
そして、前述した前支持部27と同様に、軸パイプ25の周りに内側から順に外嵌された、これらの後基部パイプ32a、33a、34aから軸パイプ25を径方向に貫通するようにして、連結ピン41が貫設されており、副取付支持部材32、主取付支持部材33、突張り部材34を有する後支持部31が、放電容器3と一体的に回転できるようにしている。
【0083】
なお、以上のような構成の支持構造体24を容器本体12内へ挿入する際は、留め具38を外し、底部12bを本体部12aから脱着して行うようにしている。
【0084】
また、このようにして放電容器3と一体的に回転可能な支持構造体24おいて、前取付部材29cと後取付部材33cには、短パイプ状の複数の嵌合凹部29c1と短パイプ状の複数の嵌合凹部33c1とが、それぞれ、正面視で同一円周上にて重なるように、対向して形成されている。
【0085】
そして、嵌合凹部29c1と嵌合凹部33c1の内部には、圧縮状態で取付バネ40が収納されており、対向する嵌合凹部29c1と嵌合凹部33c1に、放電棒6の前後端をそれぞれ挿嵌した上で、放電棒6を取付バネ40によって前後から押圧するようにして保持することができる。これにより、複数の放電棒6が互いに平行に所定の周方向間隔yで円環状に配置されて、電極ユニット2が形成される。
【0086】
同様にして、前取付部材28cと後取付部材32cにも、短パイプ状の複数の嵌合凹部28c1と短パイプ状の複数の嵌合凹部32c1が、それぞれ、正面視で同一円周上にて重なるように、対向して形成されている。
【0087】
そして、嵌合凹部28c1と嵌合凹部32c1の内部にも、圧縮状態で取付バネ40が収納されており、対向する嵌合凹部28c1と嵌合凹部32c1に、放電棒26の前後端をそれぞれ挿嵌した上で、放電棒26を取付バネ40によって前後から押圧するようにして保持することができる。これにより、複数の放電棒26が互いに平行に所定の周方向間隔yで円環状に配置され、副電極ユニット21が形成される。
【0088】
なお、放電棒6の一端を、取付バネ40の弾性力に抗して、嵌合凹部29c1と嵌合凹部33c1のいずれか一方に押し込み、放電棒6を傾けながら他方から引き出すようにして放電棒6を取り外し、逆の順序で放電棒6を嵌合凹部29c1と嵌合凹部33c1との間に装着することができる。放電棒26においても同様であって、放電棒6、26は別体で互いに分離可能であり、支持構造体24から自在に着脱することができる。
【0089】
更に、前支持部27において、副取付支持部材28、主取付支持部材29、突張り部材30、連結ピン41は、ステンレスなどの導電性材料で形成されると共に互いに絶縁され、後支持部31においても、同様に、副取付支持部材32、主取付支持部材33、突張り部材34、連結ピン41は、ステンレスなどの導電性材料で形成されると共に互いに絶縁されている。
【0090】
そして、このうちの副取付支持部材28において、前基部パイプ28aの前部が、軸パイプ25に外嵌されたままで封止栓18を貫通して外部に露出し、その露出部には、アース線を介して接地されたクリップ42が係止されている。同様に、主取付支持部材29においても、前基部パイプ29aの前部が、前基部パイプ28aに外嵌されたままで封止栓18を貫通して外部に露出し、その露出部には、リード線を介して交流電源23に接続されたクリップ43が係止されている。
【0091】
一方、放電棒26の棒状電極26aは、取付バネ40との間の金属円盤44を介して、副取付支持部材28における前取付部材28cの嵌合凹部28c1に接続されている。放電棒6の棒状電極6aも、取付バネ40との間の金属円盤44を介して、主取付支持部材29における前取付部材29cの嵌合凹部29c1に接続されている。
【0092】
これにより、電極ユニット2の放電棒6を、全て、主取付支持部材29を介して交流電源23に接続に接続させ、副電極ユニット21の放電棒26を、全て、副取付支持部材28を介して接地させることができる。この際、前述の如く、金網4も接地されている。
【0093】
従って、金網4と電極ユニット2との間に交流電圧が印加されてグロー放電が発生し、放電容器3の内壁12a2と、放電棒6のガラス管6bとの間の空間には、放電域45が形成される。
【0094】
更には、電極ユニット2と副電極ユニット21との間にも交流電圧が印加されてグロー放電が発生し、放電棒6のガラス管6bと、放電棒26のガラス管26bとの間の空間にも、放電域46が形成され、副電極ユニット21が、グロー放電の放電域を電極ユニット2の内方に拡張させる放電域拡張構造として機能している。
【0095】
以上のような構成において、筒状で略一定の厚みを有するガラス管6b、26bによって棒状電極6a、26aが被覆され、安定したグロー放電が発生することになり、局所的な絶縁破壊や剥離を抑制して放電棒6、26の破損が防止できると共に、棒状電極6a、26aでは電界の集中効果によって放電開始が容易になって、電源への負担が小さくなる。
【0096】
更に、安定したグロー放電のおかげで閉塞される恐れのない放電棒6、26間の隙間を介して、粉体が電極ユニット2、副電極ユニット21の内外間を自在に流動できるようになり、粉体の移動空間を大きく確保して粉体を効率良く攪拌できると共に、電極ユニット2、副電極ユニット21の内側にも粉体を流入させることができる。
【0097】
特に、本実施例のように、放電棒6、26を別体にして互いに分離可能とした場合は、放電棒6、26が破損した際は、電極ユニット2、副電極ユニット21全体ではなく破損した放電棒6、26のみを交換するだけで済み、また、粉体に付加する官能基を変更する際は、既に配設している放電棒6、26を、放電時に所定の官能基を供給可能な成分を含むガラス管を有する放電棒に交換すれば済む。
【0098】
加えて、プラズマ処理中は、電極ユニット2内の放電棒6は全て等電位とし、副電極ユニット21内でも放電棒26を全て等電位とすることで、中心部を挟んで離間対向する放電棒6、26の間にはグロー放電を発生させないようにすることで、電極ユニット2、副電極ユニット21の内径を拡大可能とする。しかも、放電容器3内に封入された粉体は、放電容器3が回転される間に、放電棒6、26間の隙間を介して電極ユニット2、副電極ユニット21の内外間を自在に流動し、安定した放電域45、46を、効率良く攪拌されながら通過するようになり、粉体の表面は万遍なく処理される。
【0099】
更に、放電域46を新たに形成して、放電域45を電極ユニット2の内方に拡張可能とすることにより、粉体が放電域を通過する時間が長くなり、プラズマの照射時間を長くして、プラズマ処理の処理時間を大幅に短縮することができる。
【0100】
次に、プラズマ処理装置1における冷却構造と攪拌構造の各種形態について、
図5乃至
図9により説明する。
【0101】
まず、冷却構造の各種形態について説明する。
図5(a)に示す副電極ユニット21Aは、前述したプラズマ処理装置1における副電極ユニット21の放電棒26の一部に代えて、冷却タイプの放電棒26Aを配置したものである。
【0102】
本実施例では、互いに平行に所定の周方向間隔yで円環状に配置された複数の放電棒26において、2本おきに放電棒26Aを配置している。そして、この放電棒26Aには、部品共有化による部品コストの低減などの観点から、通常の放電棒26と同一のものを使用し、その端部を軸パイプ25に連通する構成としており、棒状電極26aとガラス管26bとの間の内部隙間67を、冷却媒体である混合ガス37が流動できるようにしている。
【0103】
これにより、放電棒26Aの内部隙間67に混合ガス37を流すと、冷却が困難な放電容器3中心側にある副電極ユニット21Aの放電棒26、26Aを効率よく冷却することができる。
【0104】
図5(b)に示す副電極ユニット21Bは、プラズマ処理装置1における副電極ユニット21の放電棒26の一部に代えて、冷却専用の冷却管26Bを配置したものである。
【0105】
副電極ユニット21Aと同様に、互いに平行に所定の周方向間隔yで円環状に配置された複数の放電棒26において、2本おきに冷却管26Bを配置している。そして、この冷却管26Bは、部品共有化による部品コストの低減などの観点から、放電棒26から棒状電極26aを抜いたガラス管26b単体から形成し、その端部を軸パイプ25に連通する構成としており、このガラス管26b単体の内部空間68を、冷却媒体である混合ガス37が流動できるようにしている。
【0106】
これにより、冷却管26Bの内部空間68に混合ガス37を流すと、冷却が困難な放電容器3中心側にある副電極ユニット21Bの放電棒26を効率よく冷却することができる。
【0107】
図6(a)に示すプラズマ処理装置1Aは、外側に金網4を配置した放電容器3内で電極ユニット2よりも内側の空間に、外側から順に、副電極ユニット21と副電極ユニット22を同心状に配置すると共に、この最も内側の副電極ユニット22よりも内側で、放電容器3内の軸心3a上に、冷却タイプの放電筒47を配置したものである。
【0108】
この放電筒47は、冷却媒体である混合ガス37や冷却水が内部空間52を流動可能な筒状電極48と、この筒状電極48の外周を被覆するガラス筒49とから形成される。
【0109】
ここで、金網4、副電極ユニット21、筒状電極48は接地され、電極ユニット2、副電極ユニット22は交流電源23に接続されており、金網4、副電極ユニット21、筒状電極48と、電極ユニット2、副電極ユニット22との間に交流電圧を印加すると、放電容器3の内壁12a2からガラス筒49にかけて、複数の放電域45、46、50、51が連続して形成されて放電域が大きく拡張される一方、放電容器3内も高温となる。
【0110】
そこで、放電筒47の筒状電極48内の内部空間52に混合ガス37や冷却水を流すことにより、冷却が困難な放電容器3中心側にある副電極ユニット21、副電極ユニット22の放電棒26、53が効率よく冷却され、放電容器3内の高温化を抑制することができる。
【0111】
図6(b)に示すプラズマ処理装置1Bは、前述したプラズマ処理装置1Aにおいて、放電筒47に代えて、冷却専用の冷却筒55を配置したものである。
【0112】
この冷却筒55は、前述した放電筒47から筒状電極48を抜いたガラス筒49単体から形成され、このガラス筒49単体の内部空間54を、冷却媒体である混合ガス37や冷却水が流動できるようにしている。
【0113】
ここで、金網4、副電極ユニット21は接地され、電極ユニット2、副電極ユニット22は交流電源23に接続されており、金網4、副電極ユニット21と、電極ユニット2、副電極ユニット22との間に交流電圧を印加すると、放電容器3の内壁12a2から副電極ユニット22にかけて、複数の放電域45、46、50が連続して形成されて、プラズマ処理装置1Aと同様に、放電域が大きく拡張される一方、放電容器3内も高温となる。
【0114】
そこで、冷却筒55の内部空間54に混合ガス37や冷却水を流すことにより、冷却が困難な放電容器3中心側にある副電極ユニット21、副電極ユニット22の放電棒26、53が効率よく冷却され、放電容器3内の高温化を抑制することができる。
【0115】
以上で示した副電極ユニット21A、21B、プラズマ処理装置1A、1Bによって、放電容器3中心側にある放電棒26、26A、53などが効率よく冷却されると、放電容器3内を流動する粉体が樹脂などであっても、グロー放電に伴う熱によって互いに溶着したり、放電容器3内に付着したり、表面が変質したりするのを、確実に防止することできる。
【0116】
図7に示すプラズマ処理装置1Cは、前述したプラズマ処理装置1における放電容器3の外表面からの空冷性能を高めたものである。
【0117】
具体的には、基台7の左右両側に、それぞれ、左右の支持台56L、56Rの側部を固定し、この支持台56L、56Rの上面に、放電容器3を囲繞するようにして、空冷ハウジング57を設置し、更に、この空冷ハウジング57の上平板部57aに、空冷ファン58を載置固定して、空冷機構59が形成される。
【0118】
そして、この空冷ハウジング57において、その下部には左右の吸気孔57b、57cが開口され、前述の上平板部57aの平面視略中央には連通孔57a1が開口されている。更に、空冷ファン58は、電動機や回転羽根などからなるファン本体58aと、このファン本体58aを取り囲むケース58bとを有し、このケース58bの下部には、空冷ハウジング57の連通孔57a1に連通する連通孔58b1が開口されると共に、ケース58bの側部には、排気孔58b2が開口されている。
【0119】
これにより、ファン本体58aを駆動させると、空冷ハウジング57の外部の空気が、吸気孔57b、57cから吸引された後、放電容器3の外周に沿って上昇し、連通孔57a1、58b1から、ケース58b内を通って、排気孔58b2より外部に排出される。この間、放電容器3と、その周りの金網4が直接空冷されると共に、放電容器3内部の電極ユニット2、副電極ユニット21も間接的に冷却される。
【0120】
従って、このような空冷機構59を設けるだけで、前述した副電極ユニット21A、21B、プラズマ処理装置1A、1Bのように放電容器3の内部構成を変更せずに、冷却性能を高めることができ、汎用性に優れた冷却構造を提供できる。
【0121】
また、攪拌構成の各種形態について説明する。
図8に示す攪拌羽根60は、前述した攪拌羽根14に比べ、攪拌効率の向上とプラズマ照射時間の拡大を図ったものである。
【0122】
この攪拌羽根60においては、放電容器3の容器本体12の前後の内壁に取付板62、62が固設され、この取付板62、62の間に、前後方向に長いすくい部材63が橋設されており、このすくい部材63は、回転方向69に回転する放電容器3と一緒に回転する。
【0123】
すくい部材63は、遠心方向内周側の平板基部63aと、遠心方向外周側の湾曲部63bとを有し、遠心方向外周側が回転方向69に向かって湾曲されると共に、湾曲部63bの先端部63cは、隣り合う放電棒6の間まで延出されている。
【0124】
更に、すくい部材63の平板基部63aの外側には、滞留板部材65が対向配置され、この滞留板部材65と前述した平板基部63aとの間に、滞留排出部64が形成されている。
【0125】
この滞留排出部64には、すくい部材63の回転方向69の前面で、遠心方向内周側に設けた流入口64aと、この流入口64aに連通する滞留室64bと、この滞留室64bに連通される共に、遠心方向外周側あって流入口64aよりも小面積の排出口64cとが設けられている。
【0126】
これにより、すくい部材63ですくい上げた粉体70は、前述した流入口64aから途中の滞留室64bを介して排出口64cを通り、湾曲部63b上を遠心方向に転動していき、その先端部63cからこぼれ落ち、放電棒6の間を通って放電域45内に向かって徐々に流下していく。
【0127】
すると、放電容器3の軸心が略水平姿勢または傾斜姿勢である際、放電容器3下部に溜まった状態の粉体70は、回転する攪拌羽根60によって、前述の攪拌羽根14よりも効率よく攪拌されると共に、一部はすくい部材63によってすくい上げられて流入口64aから滞留室64bに流入した後、攪拌羽根60が放電容器3と一緒に回転して下位置から上位置まで上昇する間に、流入した粉体70は排出口64cを通り自重により少しずつ流下して放電域45内を通過するため、粉体70が放電域45を通過する時間が長くなり、プラズマ照射時間を長くすることができる。
【0128】
図9に示す攪拌羽根61も、前述した攪拌羽根60と同様に、攪拌効率の向上とプラズマ照射時間の拡大を図ったものである。
【0129】
この攪拌羽根61において、前述した前後の取付板62、62の間に、前後方向に長い孔付きすくい部材66が橋設されており、この孔付きすくい部材66も、回転方向69に回転する放電容器3と一緒に回転する。
【0130】
そして、この孔付きすくい部材66は、遠心方向内周側の平板基部66aと、遠心方向外周側で回転方向69に湾曲した平板状のふるい排出部66bとを有し、遠心方向外周側が回転方向69に向かって湾曲されると共に、ふるい排出部66bの先端部66cは、前述した放電棒6の間を通って、放電容器3の容器本体12の内壁12a2まで近接するように延出されている。そして、このふるい排出部66bには、多数の排出孔66b1が回転方向69に穿孔されている。
【0131】
これにより、孔付きすくい部材66ですくい上げた粉体70は、すくい部材66内のふるい排出部66b上を転動しながら、前述した排出孔66b1を通り、放電棒6の間を介して放電域45内に向かって、徐々に流下していく。
【0132】
すると、前述の攪拌羽根60と同様に、放電容器3の軸心が略水平姿勢または傾斜姿勢である際、放電容器3下部に溜まった状態の粉体70は、回転する攪拌羽根61によって、効率よく攪拌されると共に、一部は孔付きすくい部材66によってすくい上げられ、攪拌羽根61が放電容器3と一緒に回転して下位置から上位置まで上昇する間に、排出孔66b1を通り自重により少しずつ流下して放電域45内を通過するため、粉体70が放電域45を通過する時間が長くなり、プラズマ照射時間を長くすることができる。
【0133】
次に、別形態のプラズマ処理装置1Dについて、
図10乃至
図16により説明する。
【0134】
図10乃至
図15に示すように、このプラズマ処理装置1Dは、前述したプラズマ処理装置1とは異なり、放電域45を電極ユニット2の内方ではなく外方に拡張可能とすることで、プラズマ処理の処理時間の短縮を図ったものである。
【0135】
プラズマ処理装置1Dも、プラズマ処理装置1と同様に、棒状電極6aが筒状の誘電体であるガラス管6bで被覆されて形成される放電棒6を互いに平行に所定の周方向間隔yで円環状に配設した電極ユニット2と、この電極ユニット2の外側に配置され、粉体が内部に封入されると共に、ガラスから形成される筒状の放電容器3Aとを備え、更に、この放電容器3Aの外側に配置した金網4と、前述の電極ユニット2と金網4との間に交流電圧を印加してグロー放電を発生させた状態で、放電容器3Aを回転させる回転装置5も備えている。
【0136】
なお、このうちの放電容器3Aについては、支持構造体71が、後述するように、その径方向サイズを径方向伸縮構造90、91や調整機構84、85によって調整可能な構成であり、小さな開口12Aaを介しても、支持構造体71を容器本体12A内へ挿入できるため、プラズマ処理装置1とは異なり、放電容器3Aの容器本体12Aを一体物として分割できないようにし、部品点数の削減を図っている。
【0137】
一方、プラズマ処理装置1との大きな相違点は、副電極ユニット21がなく、電極ユニット2のみが設けられている点、及び、この電極ユニット2の支持構造体71が前述の支持構造体24とは異なりサイズが調整できる点である。
【0138】
そこで、この支持構造体71について詳細に説明する。
支持構造体71は、筒状の放電容器3Aの軸心上に配置され、封止栓18の軸心を貫通して後端開口25bが放電容器3A内に挿入された軸パイプ25と、この軸パイプ25の前端部に設けられた前支持部72と、軸パイプ25の後端部に設けられた後支持部76とから構成される。
【0139】
このうちの軸パイプ25の前端開口25aは、前述のプラズマ処理装置1と同様に、ヘリウムガスボンベ35と窒素ガスボンベ36に連通されると共に、封止栓18の外周部には、切り欠き溝18aが凹設されており、混合ガス37が、軸パイプ25から放電容器3A内に注入された後、封止栓18の切り欠き溝18aを通って放電容器3A外に排出され、放電容器3A内が常に新しい混合ガス37で充填されるようにしている。
【0140】
また、前支持部72は、放電容器3A内で、放電棒6の前端部を軸方向端面に取り付けて放電棒6を支持すると共に、同一円周上に配置されて円環を形成可能な3個の円弧状の取付部材74と、この取付部材74のそれぞれを1本の枝部73bによって支持する支持部材73と、この支持部材73を放電容器3Aの容器本体12Aの内壁12Abに3点支持により固定する突張り部材75と、前述した枝部73bに対する取付部材74の取付位置を変更して径方向間隔を拡大可能な調整機構84とを有している。
【0141】
このうちの取付部材74において、その外周縁部には、短パイプ状の複数の嵌合凹部74aが、後方開口状態にて所定間隔で円弧状に形成されている。一方、取付部材74の内周縁部には、その途中部から連結ステー74bが内方に突設されている。
【0142】
支持部材73は、前述した軸パイプ25の前部に外嵌され、連結ネジ86によって軸パイプ25に固定される基部パイプ73aと、この基部パイプ73aの前端より径方向に放射状に延びる3本の前述した枝部73bとを有する。
【0143】
そして、枝部73bの先部73b1は、拡幅された上で、長孔87が周方向に2個並設されると共に、枝部73bの径方向途中部にも、長孔88が1個形成されている。
【0144】
突張り部材75は、後面が枝部73bの前面に当接され、軸心方向に肉厚の基部ブロック75aと、この基部ブロック75aの外側に一体的に連結された長板状の突き出し材75bとを有し、この突き出し材75bの延出端にも、前述した滑り止め39が装着され、放電容器3Aの容器本体12Aの内壁12Abに摺動困難に押圧されている。
【0145】
このうちの基部ブロック75aには、2個のネジ孔75a1が径方向に並設されており、2個の調整ネジ89を、後方から前述の長孔88を通して、ネジ孔75a1に螺挿することにより、突張り部材75を支持部材73の各枝部73bに締結できるようにしている。
【0146】
これにより、2個の調整ネジ89を緩めた後、調整ネジ89を長孔88の内周に摺動させるようにして、突張り部材75を枝部73b基準に径方向に伸縮させ、突張り部材75の外端75b1が所定の径方向位置に達すると、2個の調整ネジ89を締め、突張り部材75を枝部73bに締結するようにして、突張り部材75を所定長さに自在に伸縮させることができ、径方向伸縮構造90が構成される。
【0147】
調整機構84は、枝部73bに対して取付部材74を径方向に伸縮する径方向伸縮構造80と、隣接する取付部材74間の周方向間隔を変更する周方向移動構造81とを有する。
【0148】
このうちの径方向伸縮構造80では、取付部材74の連結ステー74bの内周縁部には、2個のネジ孔74b1が周方向に並設されており、2個の調整ネジ92を、後方から前述の長孔87を通して、ネジ孔74b1に螺挿することにより、取付部材74を支持部材73の各枝部73bに締結できるようにしている。
【0149】
これにより、2個の調整ネジ92を緩めた後、調整ネジ92を長孔87の内周に摺動させるようにして、取付部材74を枝部73b基準に径方向に伸縮させ、取付部材74に設けた嵌合凹部74aが所定の径方向位置に達すると、2個の調整ネジ92を締め、取付部材74を枝部73bに締結するようにして、取付部材74を所定長さに自在に伸縮させることができる。
【0150】
そして、周方向移動構造81では、取付部材74の内周縁部の周方向端部には、連結孔74cが穿孔される一方、取付部材74の周方向端部の背面には連結板94が配置され、この連結板94の一端には切り欠き94aが形成され、他端には貫通孔94bが穿孔されており、2個の調整ネジ93を、後方から切り欠き94aと貫通孔94bを通して、連結孔74cに螺挿することにより、隣接する取付部材74の周方向端部間を締結できるようにしている。
【0151】
これにより、2個の調整ネジ93のうちで切り欠き94aに通した方の調整ネジ93を緩めた後、この調整ネジ93を切り欠き94aの内周に摺動させるようにして、取付部材74を周方向に移動させ、その後、切り欠き94aに通した方の調整ネジ93を締めて、隣接する取付部材74間を連結板94を介して締結するようにして、隣接する取付部材74の周方向間隔を自在に変更することができる。
【0152】
また、後支持部76も、上述した前支持部72と同様に、放電棒6を支持すると共に、同一円周上に配置されて円環を形成可能な3個の円弧状の取付部材78と、この取付部材78を枝部77bによって支持する支持部材77と、この支持部材77を放電容器3Aの内壁12Abに固定する突張り部材79と、前述した枝部77bに対する取付部材78の取付位置を変更して径方向間隔を拡大可能な調整機構85とを有している。
【0153】
このうちの取付部材78においても、短パイプ状の複数の嵌合凹部78aが、前方開口状態にて所定間隔で円弧状に形成される一方、取付部材78の内周縁部には、その途中部から連結ステー78bが内方に突設されている。
【0154】
支持部材77も、連結ネジ86によって軸パイプ25に固定される基部パイプ77aと、この基部パイプ77aの後端より径方向に放射状に延びる3本の枝部77bとを有する。そして、この枝部77bの先部77b1は、長孔95が周方向に2個並設されると共に、枝部77bの径方向途中部に、長孔96が1個形成されている。
【0155】
突張り部材79も、前面が枝部77bの後面に当接され、軸心方向に肉厚の基部ブロック79aと、この基部ブロック79aの外側に一体的に連結された長板状の突き出し材79bとを有し、この突き出し材79bの延出端にも滑り止め39が装着され、放電容器3Aの容器本体12Aの内壁12Abに摺動困難に押圧されている。
【0156】
このうちの基部ブロック79aにも、2個のネジ孔79a1が径方向に並設されており、2個の調整ネジ89を、前方から長孔96を通して、ネジ孔79a1に螺挿することにより、突張り部材79を支持部材77の各枝部77bに締結できるようにしている。
【0157】
これにより、2個の調整ネジ89を緩めた後、調整ネジ89を長孔96の内周に摺動させるようにして、突張り部材79を枝部77b基準に径方向に伸縮させ、突張り部材79の外端79b1が所定の径方向位置に達すると、2個の調整ネジ89を締め、突張り部材79を枝部77bに締結するようにして、突張り部材79を所定長さに自在に伸縮させることができ、突張り部材75の径方向伸縮構造91が形成される。
【0158】
このような後支持部76の径方向伸縮構造91と、前述した前支持部72の径方向伸縮構造90を設けることにより、容器本体12Aの内径が異なる種々の放電容器3Aを使用してプラズマ処理装置1Dを製造することができ、様々な装置仕様への対応が可能となり、汎用性が向上する。
【0159】
調整機構85も、取付部材78を径方向に伸縮する径方向伸縮構造82と、隣接する取付部材78間の周方向間隔を変更する周方向移動構造83とを有する。
【0160】
このうちの径方向伸縮構造82では、取付部材78の連結ステー78bの内周縁部には、2個のネジ孔78b1が周方向に並設されており、2個の調整ネジ92を、前方から長孔95を通して、ネジ孔78b1に螺挿することにより、取付部材78を支持部材77の各枝部77bに締結できるようにしている。
【0161】
これにより、2個の調整ネジ92を緩めた後、調整ネジ92を長孔95の内周に摺動させるようにして、取付部材78を枝部77b基準に径方向に伸縮させ、取付部材78に設けた嵌合凹部78aが所定の径方向位置に達すると、2個の調整ネジ92を締め、取付部材78を枝部77bに締結するようにして、取付部材78を所定長さに自在に伸縮させることができる。
【0162】
そして、周方向移動構造83では、取付部材78の内周縁部の周方向端部には、連結孔78cが穿孔される一方、取付部材78の周方向端部の前面には連結板97が配置され、この連結板97の一端には切り欠き97aが形成され、他端には貫通孔97bが穿孔されており、2個の調整ネジ93を、前方から切り欠き97aと貫通孔97bを通して、連結孔78cに螺挿することにより、隣接する取付部材78の周方向端部間を締結できるようにしている。
【0163】
これにより、2個の調整ネジ93のうちで切り欠き97aに通した方の調整ネジ93を緩めた後、この調整ネジ93を切り欠き97aの内周に摺動させるようにして、取付部材78を周方向に移動させ、その後、切り欠き97aに通した方の調整ネジ93を締めて、隣接する取付部材78間を連結板94を介して締結するようにして、隣接する取付部材78の周方向間隔を自在に変更することができる。
【0164】
以上のような構成において、前支持部72と後支持部76のいずれも、基部パイプ73a、77aを介し、共通の軸パイプ25上に連結ネジ86によって固定されると共に、突張り部材75、79を介して放電容器3Aの内壁12Abに固定されており、支持構造体71が放電容器3Aと一体的に回転可能となっている。
【0165】
更に、取付部材74の嵌合凹部74aと、取付部材78の嵌合凹部78aとは、正面視で同一円周上にて重なるように、対向して形成されると共に、この嵌合凹部74a、78a内部に圧縮状態で収納された取付バネ40によって、放電棒6を前後から押圧して保持し、必要に応じて支持構造体71から着脱できるようにしている。
【0166】
図10、
図15、
図16に示すように、このような支持構造体71を有するプラズマ処理装置1Dにおいても、プラズマ処理装置1と同様に、電極ユニット2の放電棒6は、全て、取付部材74、支持部材73、軸パイプ25、クリップ98を介して交流電源23に接続に接続される一方、金網4は接地されており、金網4と電極ユニット2との間には交流電圧が印加されると、グロー放電が発生して放電域45が形成される。
【0167】
そこで、前述した周方向移動構造81、83において、調整ネジ93を緩め、隣接する取付部材74間、78間が周方向に移動可能とした状態で、前述した径方向伸縮構造80、82において、調整ネジ92を緩め、取付部材74、78を径方向に伸縮させる。
【0168】
例えば、
図16に示すように、軸パイプ25、支持部材77、放電容器3Aなどの位置はそのままで、調整ネジ93を緩めた後、調整ネジ92を緩めて支持部材77の長孔95の内周面を、位置99、位置100、位置101の順に内方へ摺動させると、支持部材77の端面が、位置102、位置103、位置104の順に周方向外側に移動して、隣接する支持部材77の周方向間隔が狭くなると共に、ガラス管6bの最外面が、位置105、位置106、位置107の順に内方へ移動する。
【0169】
これにより、第一誘電体である放電容器3Aと第二誘電体である放電棒6のガラス管6bとの間の径方向間隔xが、x1、x2、x3と増加していき、その結果、グロー放電の放電域45が電極ユニット2の外方に拡張される。つまり、前後の支持部72、76が放電域拡張構造として機能し、粉体が放電域45を通過する時間が長くなり、プラズマ照射時間を長くして、プラズマ処理の処理時間を大幅に短縮することができる。
【0170】
次に、別形態のプラズマ処理装置1Eについて、
図17乃至
図19により説明する。
【0171】
図17、
図18に示すように、このプラズマ処理装置1Eは、前述したプラズマ処理装置1Dとは異なり、放電棒6、特にガラス管6bの交換を容易にすることにより、電極ユニット2のメンテナンス性や、官能基変更への即時対応性の更なる向上を図ったものである。
【0172】
このプラズマ処理装置1Eも、プラズマ処理装置1Dと同様に、放電棒6を互いに平行に円環状に配設した電極ユニット2と、この電極ユニット2の外側に配置され、粉体が内部に封入されると共に、ガラスから形成される筒状の放電容器108とを備え、更に、この放電容器108の外側に配置して設けたステンレス製の金属フィルム109と、電極ユニット2と金属フィルム109との間に交流電圧を印加してグロー放電を発生させた状態で、放電容器108を回転させる回転装置5も備えている。
【0173】
一方、プラズマ処理装置1Dとの大きな相違点は、電極ユニット2の支持構造体110が前述の支持構造体71と構成が異なる点である。
【0174】
そこで、この支持構造体110について詳細に説明する。
支持構造体110は、放電棒6の前端部を挿嵌固定すると共に、通電路、通気経路を有する本体部110aと、放電棒6の後端部を挿嵌固定する支持部材110bとから構成される。
【0175】
このうちの本体部110aにおいては、ヘリウムガスボンベ35と窒素ガスボンベ36に連通されるガス管111が設けられ、このガス管111の後端は、放電容器108の軸心上に配置されたステンレス製の配管113の前端に、自在継手112を介して連通連結されている。
【0176】
この配管113の後端は、放電容器108の軸心上に配置されたステンレス製の円盤114の中心部に連通連結され、この円盤114は、放電容器108の軸心上に配置された短円柱状の支持ブロック115の前面に、パッキンなどのシール部材123を介して気密に、複数の固定ネジ118で締結固定されている。一方、配管113の途中部には、カーボン製の軸受け126が外嵌され、この軸受け126は、リード線116などを介して交流電源23に接続されている。
【0177】
この支持ブロック115の前部の正面視中央部分には、前方に開いた凹部115aが形成され、この凹部115aの正面視外周部分に、支持ブロック115を前後方向に貫通する挿嵌孔115bの前端が連通されている。
【0178】
そして、支持ブロック115の前半部の正面視外周部分からは、径方向にフランジ部115dが突設される一方、支持ブロック115の後半部の正面視外周部分には、外周側面の前後途中部から後端まで連通する溝部115cが形成され、この溝部115cの後端には、フィルタ122が装着されている。
【0179】
ここで、放電容器108は後端が蓋体119で閉塞され、前方が開いた筒状であって、前端には、径方向にフランジ部108aが突設されている。
【0180】
これにより、放電容器108を、後方から支持ブロック115に向かって移動し、支持ブロック115の後半部に外嵌させながら摺動させ、放電容器108のフランジ部108aを支持ブロック115のフランジ部115dに当接させた後、両フランジ部115d、108a間を跨るようにして連結バンド121を巻回し、止めネジ120によって、放電容器108を支持ブロック115に対し、着脱自在に装着することができる。
【0181】
更に、前述した挿嵌孔115bには、放電棒6が、パッキンなどのシール部材127を介して気密に、後方より挿嵌されるが、放電棒6の棒状電極6aは、円盤114を貫通して前方に突出し、その突出端は溶接などによって円盤114の前面114aに固定される。これに対し、放電棒6のガラス管6bの先端部は、棒状電極6aの前部に前後摺動可能に外嵌されたリング128に当接され、このリング128は、凹部115aから挿嵌孔115bの前部まで棒状電極6aに巻回された取付バネ125によって、後方に付勢されている。
【0182】
また、支持部材110bは、リング状であって、その外周側面は、放電容器108の内壁108bの後部に固定されている。そして、支持部材110bの前後方向には、同軸上に、挿嵌孔129と、この挿嵌孔129よりも小径の通気孔130とが前後に連設され、この通気孔130の後端には、フィルタ124が装着されている。
【0183】
これにより、放電容器108を支持ブロック115に装着すると、放電棒6のガラス管6bの後端部が前方より支持部材110b内に挿嵌された上で、圧縮状態で収納された取付バネ125により、リング128を介し、ガラス管6bの前端部が後方に押圧され、円盤114に固定された棒状電極6aに沿って前後摺動させるようにして、放電棒6を、本体部110aと支持部材110b間に保持することができる。
【0184】
以上のような構成において、放電容器108を支持ブロック115に装着すると、放電棒6が互いに平行に所定の周方向間隔で円環状に配置されて電極ユニット2が形成される。
【0185】
その上で、ガス管111に混合ガス37を供給すると、混合ガス37は、自在継手112、配管113、支持ブロック115の凹部115aを通って挿嵌孔115bに注入され、放電棒6における棒状電極6aとガラス管6bとの間の内部隙間131から通気孔130を通り、フィルタ124で濾過された後、放電容器108内に注入される。この際に、混合ガス37によって電極ユニット2が効率よく空冷される。その後、プラズマ処理に使用された混合ガス37は、支持ブロック115に設けたフィルタ122を介して溝部115c内に流入し、フランジ部115dの外周から放電容器108外に排出される。
【0186】
このようにして放電容器108内に混合ガス37を充填しながら、金属フィルム109と電極ユニット2との間に交流電圧を印加すると、グロー放電が発生し、放電容器108の内壁108bと、放電棒6のガラス管6bとの間の空間には放電域45が形成される。そして、回転装置5によって回転する放電容器108内では、粉体が電極ユニット2の内外間を自在に流動し、安定した放電域45を、効率良く攪拌されながら通過し、粉体の表面は万遍なく処理される。
【0187】
図17,
図19に示すように、このようなプラズマ処理装置1Dにおいて、放電棒6を交換する際には、まず、止めネジ120を緩めて連結バンド121を取り外した後(矢印132)、内外に支持部材110bと金属フィルム109を固定した状態の放電容器108を、支持ブロック115から後方に引き抜く(矢印133)。
【0188】
すると、支持部材110bの挿通孔129から放電棒6のガラス管6bの後端部が抜けて、放電棒6は、支持ブロック115側に残され、露出した状態となる。このため、破損した放電棒6へのアクセスが簡単となり、その補修や交換が容易となる。
【0189】
特に、粉体に付加する官能基を変更する場合には、円盤114に先端部が固定された棒状電極6aを支持ブロック115側に残したまま、ガラス管6bだけを支持ブロック115の挿嵌孔115bから後方に引き抜くようにして、ガラス管6bを所定の官能基生成に適したものに容易に交換することができる。
【0190】
次に、別形態のプラズマ処理装置1Fについて、
図20乃至
図28により説明する。
【0191】
このプラズマ処理装置1Fは、前述したプラズマ処理装置1Eとは異なり、電極ユニット2A、その支持構造、電流路、通気経路などを組み込んだ電極構造体142を、攪拌羽根144を利用して放電容器140内に容易に着脱可能とすることにより、部品コストの低減、メンテナンス性の向上、及び組み立て時間や処理時間の短縮を図ったものである。
【0192】
図20に示すように、このプラズマ処理装置1Fも、プラズマ処理装置1Eと同様、放電棒6Aを互いに平行に円環状に配設した電極ユニット2Aと、この電極ユニット2Aの外側に配置され、粉体70が内部に封入されると共に、ガラスから形成される筒状の放電容器140とを備え、更に、この放電容器140の外側に配置して設けたステンレス製の金属フィルム109と、電極ユニット2Aと金属フィルム109との間に交流電圧を印加してグロー放電を発生させた状態で、放電容器140を回転させる回転装置5も備えている。
【0193】
一方、プラズマ処理装置1Eとの大きな相違点は、電極構造体142が前述の支持構造体110とは構成が異なる点である。
【0194】
そこで、この電極構造体142について詳細に説明する。
図20、
図21に示すように、この電極構造体142は、前述の電極ユニット2Aと、後端が閉塞された有底筒状の放電容器140の前端の開口140aを閉塞すると共に電極ユニット2Aを支持する蓋ユニット143と、電極ユニット2Aで隣接する放電棒6Aの間に介設される攪拌羽根144とが、一体的に組み込まれて構成されている。
【0195】
このうちの蓋ユニット143は、開口140aを閉塞し、電極ユニット2A、攪拌羽根144の前端部を支持固定すると共に、通電路、通気経路を有する本体部143aと、電極ユニット2A、攪拌羽根144の後端部を支持固定する支持部材143bとから構成される。
【0196】
図20乃至
図22、
図24に示すように、このうちの本体部143aは、放電容器140の軸心147上に配置された樹脂製の蓋体である円盤179を有する蓋部145と、この円盤179の軸心147上に形成された孔179aに開閉可能に装着されるプラグ部146とを有している。
【0197】
このうちの蓋部145においては、円盤179の裏面179cの外周部が、放電容器140の前端より径方向に突設するフランジ部140a1の前面に、パッキンなどのシール部材148を介して気密に、固定具149により着脱可能に挟持固定されており、円盤179によって放電容器140の開口140aを閉塞できるようにしている。
【0198】
そして、円盤179の裏面179cには、同一円周上に配置されて円環を形成可能な3個の円弧状の導電性の取付部材150が、その周方向端部の径方向内側に設けた複数の導電ボルト151によって締結固定されている。そして、この取付部材150の径方向外側に、放電棒6Aの前端部を取り付けて支持すると共に、攪拌羽根144は、隣接する取付部材150の周方向端部間に配置することで、前述の如く、隣接する放電棒6Aの間に介設できるようにしている。
【0199】
更に、円盤179の表面179bで孔179aの外周部には、軸心147上に配置された支持筒体152の後端のフランジ部152aが、パッキンなどのシール部材153を介し、複数の導電ボルト154によって気密に締結固定され、通常は、孔179aに連通するようにして、支持筒体152が円盤179と一体化されている。なお、導電ボルト154は、取付部材150を円盤179に締結固定した前述の導電ボルト151に、リード線155を介して接続される。
【0200】
プラグ部146においては、軸心147上に通気経路157aが形成された筒状の導電性の導入管部157と、同じ軸心147上に通気経路158aが形成された筒状の導電性の排気管部158とが、前後に連設されている。
【0201】
そして、導入管部157の後端のフランジ部157eと排気管部158の前端のフランジ部158bとの間に、導電性の連結具171を介装し、両フランジ部157e、158b間を離間させた状態で、ボルト165で締結することにより、導入管部157と排気管部158とが一体化された吸排気管159が形成される。更に、両フランジ部157e、158bによって、その間に径方向に延びる通気経路170が形成され、この通気経路170の内端は、前述の排気管部158の通気経路158aの前端に連通されている。
【0202】
導入管部157では、その前端開口157bには、ヘリウムガスボンベ35と窒素ガスボンベ36に連通されるガス管161が、自在継手162を介して連通されている。
【0203】
そして、導入管部157でフランジ部157eより前方には、リング状の外周溝157cが凹設され、この外周溝157cに、カーボン製の軸受け160が外嵌されており、この軸受け160は、リード線163を介して交流電源23に接続されている。なお、軸受け160は、外周溝157cを左右のカーボンブラック160a、160bで挟んだ上で、カーボンブラック160a、160b間を上下のボルト168で締結するようにして、外周溝157cに摺動可能に外嵌されている。
【0204】
一方、導入管部157の後端開口157dには、前後方向に延びる導入パイプ164の前端164aが連通可能に連結され、この導入パイプ164の後端開口164bは、円盤179の孔179aを通って放電容器140内に挿入されている。
【0205】
排気管部158は、前述の蓋部145の支持筒体152の内側に同心状に配置されると共に、排気管部158の外周面には雄ねじが螺刻され、支持筒体152の内周面には雌ねじが螺刻されており、排気管部158を支持筒体152内に着脱可能に螺挿することができる。更に、排気管部158のフランジ部158bの隅部には、Oリング等のシール部材156が外嵌固定されており、排気管部158を回転して支持筒体152に螺挿して締結する際、このシール部材156が支持筒体152の先部内側に当接され、排気管部158と支持筒体152間が気密に螺合されるようにしている。
【0206】
そして、排気管部158の後端開口158cには、前述の導入パイプ164の外側に同心状に配置された排気パイプ166の前端166aが、連通可能に連結される一方、この排気パイプ166の後端166bと、導入パイプ164の途中部の外周側面との間は、気密に閉塞されている。
【0207】
更に、この排気パイプ166の外周側面には、径方向に貫通する多数の排気孔166cが穿孔されると共に、これらの排気孔166cの全てを外側から覆うようにして、袋状のフィルタ167が覆設されている。
【0208】
以上のような構成において、蓋部145の円盤179によって、放電容器140の開口140aを閉塞すると共に、排気管部158を支持筒体152内に螺挿して、プラグ部146を蓋部145に装着した後、ヘリウムガスボンベ35と窒素ガスボンベ36を開栓すると、混合ガス37が、プラグ部146におけるガス管161、自在継手162、導入管部157の通気経路157a、及び導入パイプ164から成る導入通気経路173を通って、この導入パイプ164の後端開口164bより放電容器140内に注入される。その後、この注入された混合ガス37は、フィルタ167、排気孔166c、排気パイプ166、排気管部158の通気経路158a、及び通気経路170から成る排気通気経路174を通って、吸排気管159から放電容器140外に排出される。このようにして、放電容器140内を常に新しい混合ガス37で充填することができる。
【0209】
更に、交流電源23に接続されるリード線163は、プラグ部146におけるカーボン製の軸受け160、導入管部157、連結具171、排気管部158、及び支持筒体152を介して、円盤179に螺挿された導電ボルト154に接続され、そして、この導電ボルト154は、リード線155、導電ボルト151を介して、取付部材150に接続されており、この取付部材150に後述するようにして前端部を取り付けた放電棒6Aから成る電極ユニット2Aと、前述の金属フィルム109との間に、交流電圧を印加することができる。
【0210】
これにより、円盤179の孔179aに開閉可能に装着されると共に、グロー放電のための電流路と通気経路173、174が一体的に組み込まれたプラグ部146を形成することができるため、グロー放電のための電流路と通気経路173、174を、電極構造体142を構成するプラグ部146に集中配置し、電極構造体142の挿着と同時に電流路と通気経路173、174をプラズマ処理装置1Fに容易かつ迅速に組み込むことができ、プラズマ処理装置1Fの組み立てに要する時間が短縮され、作業効率の向上を図ることができる。
【0211】
図20、
図22、
図23に示すように、前述の支持部材143bは、放電容器140内の後部の軸心147上に配置されると共に、樹脂製でリング状に形成されている。
【0212】
そして、この支持部材143bの径方向外側の前面と、前述の取付部材150の径方向外側の後面との間に、放電棒6Aが、後で詳述するようにして挟持されている。
【0213】
更に、支持部材143bの前面の周方向上には、3枚の攪拌羽根144の後端部144bが、所定の周方向間隔で前方から当接され、後方から螺挿される各2本のボルト169によって、支持部材143bに締結固定されている。一方、円盤179の裏面179cには、この攪拌羽根144の前端部144aが、同じ周方向間隔で後方から当接され、前方から螺挿される各2本のボルト172によって、円盤179に締結固定されている。
【0214】
これにより、蓋ユニット143の支持部材143bを、3枚の攪拌羽根144を介して、蓋ユニット143の本体部143aの円盤179に強固に連結した上で、この円盤179に設けた取付部材150と支持部材143bとの間に、放電棒6Aを挟持するようにして、電極ユニット2A、蓋ユニット143、及び攪拌羽根144が一体的に組み込まれた電極構造体142を構成することができる。
【0215】
また、
図20、
図22、
図23、
図25(a)に示すように、電極ユニット2Aは、複数の放電棒6Aを互いに平行に所定の周方向間隔で円環状に配設することにより構成されている。
【0216】
そして、この放電棒6Aは、ステンレス線などの棒状電極6aと、棒状電極6aを取り囲み筒状で略一定の厚みを有するガラス管6bと、棒状電極6aの前後端部に外嵌固定され外周部内側面をガラス管6bの両端面に当接することにより、ガラス管6bを棒状電極6a上の所定位置に保持する、導電性のプッシュナットなどのリング状の前後の係止部材175、176とにより構成される。
【0217】
更に、この放電棒6Aを前後から挟持する取付部材150と支持部材143bには、それぞれ、短パイプ状の複数の嵌合凹部150aと短パイプ状の複数の嵌合凹部143b1とが、正面視で最外周部が同一円周上にて重なるように、対向して形成されている。
【0218】
このうちの嵌合凹部150aの同軸上には、カラス管6bの前端面に当接される係止部材175よりも小径の小径孔150a1と、この係止部材175よりも大径の大径孔150a2とが、前後に連設されている。
【0219】
一方、嵌合凹部143b1は、ガラス管6bの後端面に当接される係止部材176よりも大径に形成されている。更に、この係止部材176と嵌合凹部143b1の底面との間には、取付バネ177が圧縮状態で介設されている。
【0220】
これにより、電極構造体142を組み立てると、圧縮状態で嵌合凹部143b1内に収納された取付バネ177により、放電棒6Aが係止部材176を介して前方に押圧され、嵌合凹部150aの大径孔150a2や嵌合凹部143b1の内壁を摺動させるようにして、放電棒6Aを取付部材150と支持部材143b間に安定して保持することができる。
【0221】
更に、電極構造体142を組み立てた後であっても、放電棒6Aを取付バネ177の弾性力に抗して後方に押動することにより、放電棒6Aの前端を嵌合凹部150aの大径孔150a2から脱着させ、放電棒6Aを取付部材150と支持部材143b間から取り外して交換することができる。
【0222】
加えて、放電棒6Aの棒状電極6aは、係止部材175を介して取付部材150に接続されており、このため、前述の如く、電極ユニット2Aと金属フィルム109との間に交流電圧を印加することができる。
【0223】
また、
図20乃至
図23に示すように、攪拌羽根144は、前述の如く、長板状に形成されているが、放電容器140の内壁140bに当接する径方向外側の軸方向側縁部144cは、正面断面視で内方に開いたU字状に形成されている。
【0224】
これにより、組み上がった電極構造体142を放電容器140内に挿着する際、3枚の攪拌羽根144の軸方向側縁部144cが、放電容器140の内壁140bに当接しながら円滑に摺動し、電極構造体142が所定位置までガイドされる。すなわち、電極構造体142は、攪拌羽根144を介するだけで放電容器140に対して所定位置に保持されると共に、この放電容器140とは分離可能な別体に構成されている。
【0225】
このため、3枚の攪拌羽根144を放電容器140の内壁140bに摺動させながら、電極構造体142を放電容器140内に挿着するだけで、攪拌羽根144と一緒に電極構造体142に組み込まれている電極ユニット2Aの放電棒6Aも、内壁140bから所定の径方向位置に保持されることとなり、攪拌羽根144を利用して電極ユニット2Aを適正位置に支持することができ、前述した支持構造体110のような複雑な支持構造が不要となって、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0226】
更に、攪拌羽根144と一緒に電極構造体142に組み込まれている蓋ユニット143も、放電容器140に対して所定位置に保持されることとなり、攪拌羽根144を利用して放電容器140に対する蓋ユニット143の位置決めを迅速に行うことができ、プラズマ処理装置1Fの組み立てに要する組み立て時間が短縮される。
【0227】
また、
図20乃至
図22、
図25(b)に示すように、導電ボルト151を、円盤179を貫通して取付部材150の長孔150bに挿通させ、その先部にナット181を螺嵌するようにして、取付部材150が円盤179に締結固定されている。
【0228】
そして、この長孔150bは、径方向に長く形成されているため、導電ボルト151を緩めて各取付部材150を径方向に移動させ、所定の径方向位置に達すると再び導電ボルト151を締めることにより、放電棒6Aの前端部を取り付ける大径孔150a2の径方向位置を調整することができる。
【0229】
一方、嵌合凹部143b1を形成した支持部材143bを、前述したボルト169を緩めることにより、電極構造体142の攪拌羽根144から脱着させて、嵌合凹部143b1が所定の径方向位置にある支持部材と交換した後、再びボルト169を締めることにより、放電棒6Aの後端部を取り付ける嵌合凹部143b1の径方向位置を調整することができる。
【0230】
これにより、大径孔150a2と嵌合凹部143b1の径方向位置を調整することにより、第一誘電体である放電容器140と第二誘電体である放電棒6Aのガラス管6bとの間の径方向間隔を増加させることができ、この際、取付部材150の長孔150b、着脱可能な支持部材143bが放電域拡張構造として機能し、粉体70が放電域を通過する時間が長くなり、プラズマ照射時間を長くして、プラズマ処理の処理時間を大幅に短縮することができる。
【0231】
また、以上のような構成から成る電極構造体142を使用した場合の粉体70の供給構成や取り出し構成について、
図20、
図26乃至
図28により説明する。
【0232】
このうちの粉体70の供給構成について説明する。
図20、
図26に示すように、回転装置5上に放電容器140を載置する前に、外側に金属フィルム109を巻いた放電容器140を、その開口140aが上方を向くようにして立設させる。
【0233】
一方、蓋ユニット143の本体部143aにおける円盤179の裏面179cに、3枚の攪拌羽根144の前端部144aをボルト172で締結固定し、更に、この攪拌羽根144の後端部144bに、リング状の支持部材143bをボルト169で締結固定する。その後、放電棒6Aの下端を、取付バネ177の弾性力に抗して、支持部材143bの嵌合凹部143b1内で押し下げながら、放電棒6Aの上端を、円盤179の裏面179cに締結固定された取付部材150の大径孔150a2内に挿入するようにして、放電棒6Aを取付部材150と支持部材143b間に介設することにより、電極構造体142からプラグ部146を除いた基礎構造部178を形成する。
【0234】
続いて、攪拌羽根144の軸方向側縁部144cを放電容器140の内壁140bに摺動させながら、この基礎構造部178を開口140aから放電容器140内に挿入し、円盤179の外周部が放電容器140のフランジ部140a1に当接するまで、基礎構造部178を下降させた後、前述の固定具149によって、円盤179を放電容器140に挟持固定するようにして、基礎構造部178を先に放電容器140に挿着しておく。
【0235】
その後、
図27に示すように、円盤179の孔179aから立設する支持筒体152内にロート180の流出口180aを挿入し、このロート180を通して粉体70を孔179aから放電容器140内に流し込んで供給する。続いて、連結具171を持ってプラグ部146を把持し、導入パイプ164を下にして支持筒体152から放電容器140内に挿入させながら、この支持筒体152内にプラグ部146の排気管部158を螺挿することにより、プラグ部146を蓋部145に装着する。
【0236】
これにより、プラズマ処理前に粉体70を供給する際に、放電容器140内に粉体70が貯溜されている状態で電極構造体142を挿着しようとすると、この電極構造体142の先端にある支持部材143bと放電容器140の底面140cとの間隔が小さいなどの理由で、電極構造体142の先端部が底面140c上の粉体70と干渉して電極構造体142が挿着できない場合であっても、粉体70を、電極構造体142と干渉させることなく、放電容器140内に容易に供給することができる。
【0237】
更に、プラズマ処理途中に粉体70を補給する際でも、
図27とは逆の手順で、組み立てた電極構造体142において、排気管部158を締結方向とは逆方向に回転させて支持筒体152から脱着し、円盤179の孔179aを開放することにより、基礎構造部178を放電容器140内に挿着したままで、支持筒体152から孔179aを介して、粉体70を放電容器140内に流し込むことができ、プラズマ処理途中における粉体70の補給が容易となる。
【0238】
粉体70の取り出し構成について説明する。
図20、
図28に示すように、回転装置5上で放電容器140を略水平軸を中心に回転させながら粉体70にプラズマ処理を施した後、電極構造体142を挿着したままの放電容器140を、その開口140aが上方を向くようにして立設させる。
【0239】
続いて、電極構造体142の円盤179と放電容器140のフランジ部140a1とを挟持固定している固定具149を取り外した後、攪拌羽根144の軸方向側縁部144cを放電容器140の内壁140bに摺動させながら、電極構造体142を上昇させて開口140aから取り出し、放電容器140から脱着させる。
【0240】
これにより、プラズマ処理後に、放電容器140とは分離可能な別体に構成された電極構造体142を脱着させるだけで、放電容器140内には粉体70のみが残留した状態にすることができる。このため、放電容器140だけを取り扱うことができ、処理後の粉体70の回収が容易になると共に、放電容器140内の付着物の除去も容易になって、プラズマ処理全体に要する処理時間の短縮やメンテナンス性の更なる向上を図ることができる。
【0241】
次に、グロー放電に適した放電棒6の配置構成について調査した結果を、
図10、
図11、
図29、
図30により説明する。
【0242】
[処理方法]
図10、
図11に示すように、前述したプラズマ処理装置1Dを使い、放電容器3A内に、平均粒径300μm、1kgのポリプロピレン粉末(日本ポリプロ株式会社製、NOVATEC P8000S、以下「粉末」とする)を封入する(封入工程)。この際、粉末に施す表面処理や表面改質に応じて、支持構造体71から放電棒6を取り外してガラス管6bの種類を変更したり、別剤として粉末と一緒に放電容器3A内に投入することができる。なお、放電容器3A内の放電棒6の棒状電極6aはステンレス線(直径1.6mm)で形成し、ガラス管6bは石英ガラス管(外径4mm、内径2mm)で形成している。
【0243】
続いて、軸パイプ25から、20l/minのヘリウムガスと2l/minの窒素ガスを含む混合ガス37を放電容器3A内に充填して不活性気体雰囲気とし、この放電容器3Aを略水平に回転装置5に載せてから5〜8rpmの回転速度範囲内にて回転させつつ、交流電源23にて電極ユニット2と金網4の間に15kHzの正弦波電圧を印加し、プラズマ出力100〜2000Wで所定時間のプラズマ処理を行った(処理工程)。
【0244】
[観察方法]
図29に示すように、電極ユニット2において、隣り合うガラス管6bの周方向間隔yと、ガラス管6bとガラス製の容器本体12Aの内壁12Abとの間の径方向間隔xとを変化させて、グロー放電の放電状況を観察し、同時に、放電容器3A内を流れる粉末の流動性も観察した。
【0245】
具体的には、放電状況、流動性のいずれも外部から目視観察を行い、このうちの放電状況は、各放電棒6におけるグロー放電の放電が安定し、しかも照射領域135の重なりが大きいためにプラズマ密度が充分であり、発光むらが無くて発光強度も強い場合(発光強度大)、放電は安定しているものの、照射領域135の重なり部分が小さいため、発光むらは発生しないが発光強度が小さい場合(発光むら無)、放電が不安定か、照射領域135が全く重ならないためにプラズマ密度が不充分となって、発光むらが発生する場合(発光むら有)の3段階に分類した。
【0246】
流動性は、隣り合うガラス管6bの周方向隙間137や、ガラス管6bと容器本体12Aとの間の径方向隙間136のいずれでも粉末が円滑に流動する場合(優良)、径方向隙間136、周方向隙間137のいずれでも粉末が流動するものの、少なくとも一方に粉末の淀みが認められる場合(良)、径方向隙間136、周方向隙間137の少なくとも一方に粉末の詰まりが発生して流動が阻害される場合(不良)の3段階に分類した。
【0247】
[観察結果]
図30に示すように、径方向間隔x、周方向間隔yのいずれも2〜20mmの範囲において、発光むらが無く、粉末の流動性も良好となっている。これは、径方向間隔xが2mm未満では、径方向隙間136を粉末が通過する際の流動抵抗が大きくなり、放電域45内での粉末の流動が阻害され、一方、径方向間隔xが20mmを超えると、放電棒6と金網4との間の電極間距離が大きくなり、両電極間の放電に必要な電圧も高くなることから、アーク放電に移行しやすくなり、グロー放電が不安定となるためと考えられる。
【0248】
更に、周方向間隔yが2mm未満では、隣り合うガラス管6b間の周方向隙間137を粉末が通過する際の流動抵抗が大きくなり、電極ユニット2の内外間の粉末の流動が阻害され、一方、周方向間隔yが20mmを超えると、隣り合う放電棒6によるグロー放電の照射領域135の重なり部分が小さくなり、プラズマ密度が不充分になるためと考えられる。
【0249】
すなわち、放電棒6の周りに粉体の流動に必要な隙間136、137を充分に確保しつつ、径方向間隔xを適正に制限して、高電圧印加によるグロー放電からアーク放電への移行を抑制すると共に、周方向間隔yを適正に制限して、隣り合う放電棒によるグロー放電の放電域の重なり具合の適正化を図ることができた。
【0250】
なお、径方向間隔xは5〜15mm、周方向間隔yは6〜15mmの範囲に設定するのが、より好ましい。この範囲では、発光むらが無い上に発光強度が大きく、粉末も淀みなく円滑に流動させることができる。
【0251】
次に、前述した放電棒6の適正配置条件においてプラズマ処理を行った結果を、表1により説明する。
【0252】
[処理方法]
42本の放電棒6を適正間隔(径方向間隔x=10mm、周方向間隔y=6mm)で配置した前述のプラズマ処理装置1Dにおいて、前述した処理方法と同様に、放電容器3A内に粉末(平均粒径300μm、1kg)を封入した後、ヘリウムガス(20l/min)と窒素ガス(2l/min)を含む混合ガス37を充填して不活性気体雰囲気とした放電容器3Aを回転(5〜8rpm)させつつ、交流電源23(15kHz、1000W)で5分間のプラズマ処理を行った。
【0253】
[分析方法]
入手したままの粉末(以下、「未処理粉末」とする)と、この未処理粉末に前述した処理方法でプラズマ処理を施した粉末(以下、「処理粉末」とする)について、その深さ数nmの表層部を、X線光電子分光装置(島津製作所製、ESCA3400)にて分析した。
【0254】
[分析結果]
表1に、粉末のXPSスペクトルから算出した、窒素と炭素の原子比N/Cと、酸素と炭素の原子比O/Cとを、未処理粉末と処理粉末との間で比較した結果を示す。
【0256】
表1によると、N/Cについては、未処理粉末で検出されなかったものが処理粉末では検出されるようになり、O/Cについては、処理粉末では未処理粉末の約10倍に増加している。
【0257】
すなわち、本発明のプラズマ処理装置を使って適正なプラズマ処理を施すことにより、粉末の表面には、窒素官能基、酸素官能基のいずれも、正常に付加させることができた。
【0258】
以上のように、本発明を適用したプラズマ装置およびその方法は、コンパクトでありながら、粉体などの被処理物の一回あたりの処理量が大きく増加し、処理時間も短いものとなっている。