(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図5を参照して、この発明を腕時計に適用した第1実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1〜
図4に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、ケース本体2と外装カバー3とで構成されている。
【0011】
この腕時計ケース1の上部開口部、つまりケース本体2の上部開口部には、
図1〜
図4に示すように、時計ガラス4がガラスパッキン4aを介して取り付けられている。この腕時計ケース1の下部、つまりケース本体2の下部には、裏蓋(図示せず)が取り付けられている。また、この腕時計ケース1の内部、つまりケース本体2の内部には、時計モジュール(図示せず)が設けられている。
【0012】
この腕時計ケース1の12時側と6時側とには、
図1に示すように、時計バンド(図示せず)が取り付けられるバンド取付部5がそれぞれ設けられている。また、この腕時計ケース1の2時側、3時側、4時側、8時側、および10時側には、スイッチ部6がそれぞれ設けられている。
【0013】
ところで、腕時計ケース1のケース本体2は、
図3および
図4に示すように、第1ケース部7と第2ケース部8とで構成されている。第1ケース部7は、ステンレスなどの金属または硬質の合成樹脂によって、全体がほぼ筒状に形成されている。この第1ケース部7は、その内部に時計モジュール(図示せず)が配置され、外周部に複数のスイッチ部6(
図1参照)が取り付けられるように構成されている。
【0014】
第2ケース部8は、
図3および
図4に示すように、ステンレスなどの金属によって、全体がほぼリング状に形成され、第1ケース部7の上部に防水リング7aを介して取り付けられている。すなわち、この第2ケース部8は、第1ケース部7の上部に取り付けられるリング状のベース部8aと、このベース部8a上に起立して設けられたリング状の壁部8bと、を備えている。
【0015】
これにより、第2ケース部8は、
図3および
図4に示すように、壁部8bの内周側と外周側とに切欠き部がそれぞれ形成されている。これにより、第2ケース部8は、壁部8bの内周側に位置する切欠き部の内周面に時計ガラス4がガラスパッキン4aを介して取り付けられ、壁部8bの外周側に位置する切欠き部に後述する外装カバー3の内面の一部が配置されるように構成されている。
【0016】
一方、外装カバー3は、
図1〜
図4に示すように、ポリウレタンなどの軟質の合成樹脂によって形成され、ケース本体2の上部および外周部にこれらを覆って取り付けられるように構成されている。すなわち、この外装カバー3は、ケース本体2の第2ケース部8の上部および外周部から第1ケース部7の外周部に亘ってこれらを覆い、この状態でバンド取付部5の各両側部に位置する箇所が複数のビス10によって第2ケース部8に取り付けられるように構成されている。
【0017】
また、この外装カバー3は、
図1に示すように、複数のビス10が取り付けられるバンド取付部5の各両側部に位置する箇所と、3時側に位置する箇所と、9時側に位置する箇所とが、その内周側と外周側とに突出する形状に形成されている。これにより、外装カバー3は、
図2〜
図4に示すように、その内周側に突出した部分が、時計ガラス4の外周に位置する縁部から時計ガラス4の上面に亘って配置されるように構成されている。
【0018】
この場合、外装カバー3の3時側と9時側とに位置する箇所は、
図1および
図2に示すように、その径方向の長さがバンド取付部5の各両側部における径方向の長さよりも長く形成されている。また、3時側と9時側とに位置する箇所の外装カバー3の各内周部は、その径方向の各両側部3aを除いて切欠き部3bがそれぞれ設けられている。
【0019】
この外装カバー3は、
図1および
図2に示すように、バンド取付部5の各両側部に位置する箇所がビス10によって固定されることにより、バンド取付部5の各両側部に位置する箇所の内周部が時計ガラス4に対してめくれないように取り付けられている。また、この外装カバー3は、3時側と9時側とに位置する箇所の内周部が時計ガラス4に対してめくれ易くなっている。
【0020】
このため、この外装カバー3は、
図3〜
図5に示すように、3時側と9時側とに位置する箇所の内周面にその内周部のめくれを防ぐための補強部材11がそれぞれ埋め込まれている。すなわち、この補強部材11は、ポリアミドやポリカーボネートなどの剛性の高い合成樹脂によって外装カバー3と一体に形成されている。また、この補強部材11は、第1〜第3の補強部12〜14を備えている。
【0021】
第1補強部12は、
図3〜
図5に示すように、上部水平板部であり、外装カバー3の内周部側に位置する下面に配置されて、ケース本体2の第2ケース部8における壁部8bの上端部および時計ガラス4の外周部に対応するように構成されている。また、この第1補強部12は、その内周部が外装カバー3の内周部と同じ形状に形成されている。
【0022】
すなわち、この第1補強部12は、
図2〜
図5に示すように、その内周部が外装カバー3の内周部における径方向の両側部3aとその間に設けられた切欠き部3bとに対する形状に形成されている。これにより、第1補強部12は、その内周部および両側部の各縁部が外装カバー3の内周側の外部に露出するように構成されている。また、この第1補強部12には、外装カバー3が食込んで固着する円形状の複数の第1食込み孔12aが径方向(長手方向)に沿って所定間隔で設けられている。
【0023】
第2補強部13は、
図3〜
図5に示すように、縦板部であり、外装カバー3の内面に配置されて、ケース本体2の第2ケース部8における壁部8bの外周面8cに対応するように構成されている。この第2補強部13は、第1補強部12の外周端部から第2ケース部8の壁部8bの外周面8cに沿ってベース部8aの上面に到達する状態で、第1補強部12と一体に形成されている。この第2補強部には、外装カバー3が食込んで固着する四角形状の複数の第2食込み孔13aが径方向に沿って所定間隔で設けられている。
【0024】
第3補強部14は、
図3〜
図5に示すように、下部水平板部であり、外装カバー3の外周側に位置する下面に配置されて、ケース本体2の第2ケース部8における壁部8bの外周側に設けられた切欠き部に位置するベース部8aの上面に対応するように構成されている。
【0025】
すなわち、この第3補強部14は、
図3〜
図5に示すように、第2補強部13の下端部から第2ケース部8における壁部8bの外周側に設けられた切欠き部に位置するベース部8aの外周端部に亘った状態で、第2補強部13と一体に形成されている。この第3補強部14には、外装カバー3が食込んで固着する円形状の複数の第3食込み孔14aが径方向に沿って所定間隔で設けられている。
【0026】
また、この補強部材11は、
図3〜
図5に示すように、外部からの衝撃を逃す衝撃逃し部15を備えている。この衝撃逃し部15は、径方向に長い板状部であり、第2補強部13の上端部に位置した状態で、第1補強部12の上面にその上方に突出した状態で一体に形成されている。
【0027】
この衝撃逃し部15にも、
図3〜
図5に示すように、外装カバー3が食込んで固着する円形状の複数の第4食込み孔15aが、径方向に沿って所定間隔で設けられている。これにより、衝撃逃し部15は、外装カバー3が上方から衝撃を受けた際に、その衝撃を外装カバー3の内周側と外周側とに分散させて逃すと共に、複数の第4食込み孔15aによって衝撃を緩衝するように構成されている。
【0028】
一方、補強部材11は、
図3〜
図5に示すように、第1〜第3の補強部12〜14、および衝撃逃し部15の各変形を規制する変形規制部16を備えている。この変形規制部16は、第1規制部である第3補強部14と複数の第2規制部17とを備えている。第1規制部である第3補強部14は、下部水平板部であり、外装カバー3の外周側に位置する下面に配置されて、ケース本体2の第2ケース部8における壁部8bの外周側に設けられた切欠き部に位置するベース部8aの上面に対応するように構成されている。
【0029】
複数の第2規制部17は、
図4および
図5に示すように、第2補強部13の外周面と第1規制部である第3補強部14の上面とに梁渡された三角形状の梁部であり、第2補強部13と第3補強部14とに一体に形成されている。すなわち、これら複数の第2規制部17は、第2補強部13と第3補強部14とにおける径方向の両側部と、この両側部の間で且つ第3補強部14の複数の第3食込み孔14a間に位置する箇所に設けられ、第2補強部13と第3補強部14との相互の変形を規制するように構成されている。
【0030】
さらに、この補強部材11の径方向(長手方向)の両側部には、
図2および
図5に示すように、装飾部18がそれぞれ一体に形成されている。これら装飾部18は、第1補強部12の長手方向の両側部から第2補強部13の長手方向の両側部を経て第2規制部17に到達する鍔状部である。これら装飾部18は、第1補強部12と同様、その両側部の縁部が外装カバー3の外部に露出するように構成されている。
【0031】
この場合、補強部材11は、外装カバー3と同じ色であっても良いが、
図2に示すように、外装カバー3と異なる色であることが望ましい。これにより、補強部材11は、第1補強部12の内周部と装飾部18の両側部との各縁部が外装カバー3と異なる色で外装カバー3の外部に露出することにより、デザイン的なアクセントになるように構成されている。
【0032】
次に、この腕時計ケース1の作用について説明する。
この腕時計ケース1の外装カバー3と補強部材11とは、2色成型によって一体に形成されている。このため、外装カバー3と補強部材11とを2色成型によって形成する場合には、まず、第1の成型用金型で補強部材11を成型する。
【0033】
この場合、第1の成型用金型は、上金型と下金型とを備えている。これら上金型と下金型とで補強部材11を成型する。そして、上金型と下金型とを離型する際には、成型された補強部材11を下金型内に残した状態で、上金型のみを離型して取り外す。この後、第2の成型用金型で外装カバー3を成型する。
【0034】
この第2の成型用金型で外装カバー3を成型する際には、補強部材11が取り残された第1の成型用金型の下金型に第2の成型用金型の上金型を重ね合わせ、この状態で外装カバー3を成型する。これにより、補強部材11が外装カバー3の内周面に埋め込まれた状態で、補強部材11と外装カバー3とが一体に形成される。このときには、補強部材11に設けられた第1〜第4の食込み孔12a〜15aに外装カバー3が食い込んで形成される。
【0035】
このようにして補強部材11が一体に成型された外装カバー3をケース本体2に取り付ける場合には、ケース本体2の第2ケース部8の上部および外周部から第1ケース部7の外周部に亘って外装カバー3を装着する。この状態で、バンド取付部5の各両側部に位置する箇所を複数のビス10によって第2ケース部8に取り付けられている。これにより、腕時計ケース1が組み立てられる。
【0036】
このように組み立てられた腕時計ケース1は、外装カバー3に埋め込まれた補強部材11の第1補強部12が第2ケース部8における壁部8bの上端部に対応して配置され、第2補強部13が第2ケース部8における壁部8bの外周面8cに対応して配置される。また、変形規制部16の第1規制部を兼ねる第3補強部14は、第2ケース部8における壁部8bの外周側に位置するベース部8aの上面に対応して配置される。
【0037】
このときには、補強部材11の第1補強部12の内周部と装飾部18の両側部との各縁部が外装カバー3の外部に露出して配置される。このため、補強部材11が外装カバー3と異なる色で形成されていることにより、第1補強部12の内周部と装飾部18の両側部との各縁部が外装カバー3と異なる色で外装カバー3の外部に露出する。これにより、デザイン的なアクセントになり、デザイン性が向上する。
【0038】
この状態で、腕時計ケース1の外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わった際には、補強部材11がポリアミドやポリカーボネートなどの剛性の高い合成樹脂によって外装カバー3と一体に形成され、かつ補強部材11に設けられた第1〜第4の食込み孔12a〜15aに外装カバー3が食い込んで固着されるので、この補強部材11によって外装カバー3の内周部がめくれることがない。
【0039】
すなわち、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わると、その外力によって補強部材11の第1補強部12の内周部が押し上げられようとするが、第2補強部13が第2ケース部8の壁部8bの外周面8cに当接することにより、第1補強部12が押し上げられることがない。このため、外装カバー3の内周部がめくれることがない。
【0040】
また、このときには、変形規制部16によって第1補強部12と第2補強部13との変形を防ぐことができる。すなわち、この変形規制部16は、第1規制部である第3補強部14が第2ケース部8の外周側の切欠き部に位置するベース部8aの上面に当接し、複数の第2規制部17が第1規制部である第3補強部14と第2補強部13とに梁渡されている。
【0041】
このため、第2補強部13が第2ケース部8の壁部8bの外周面8cに当接した状態で、第1補強部12の内周部が押し上げられようとする際には、変形規制部16の第1規制部である第3補強部14と第2規制部17とによって、第2補強部13の外周側への変形が阻止されるため、第1補強部12が押し上げられることがない。
【0042】
これにより、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わり、その外力によって補強部材11の第1補強部12の内周部が押し上げられようとしても、第2、第3の補強部13、14および変形規制部16によって、第1補強部12の内周部が押し上げられるのを阻止して、外装カバー3のめくれを確実に防ぐことができる。
【0043】
また、外装カバー3がその上方から衝撃を受けた際には、外装カバー3が弾性変形して衝撃を緩衝すると共に、補強部材11の衝撃逃し部15が衝撃を外装カバー3の内周側と外周側とに分散させて逃すことができる。このときにも、変形規制部16によって第2補強部13の外周側への変形が確実に阻止されるので、衝撃逃し部15が衝撃を外装カバー3の内周側と外周側とに分散させて良好に逃すことができる。また、外装カバー3が弾性変形して衝撃を緩衝する際には、衝撃逃し部15に設けられた複数の第4食込み孔15aによっても衝撃を緩衝する。
【0044】
このように、この腕時計ケース1によれば、硬質材料で形成されたケース本体2と、軟質の合成樹脂で形成されてケース本体2の上部および外周部にこれらを覆って装着された外装カバー3と、硬質の合成樹脂で形成されて外装カバー3の内面に埋め込まれ、ケース本体2に対する外装カバー3の内周側のめくれを防ぐ補強部材11と、を備えていることにより、押え部材などの別部品を用いずに、ケース本体2に対する外装カバー3のめくれを確実に防ぐことができ、これにより外装カバー3をケース本体2に良好に取り付けることができる。
【0045】
すなわち、この腕時計ケース1では、補強部材11がポリアミドやポリカーボネートなどの剛性の高い硬質の合成樹脂によって形成されて、外装カバー3の内面に埋め込まれているので、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わっても、補強部材11によって外装カバー3の内周部のめくれを確実に防ぐことができる。
【0046】
この場合、補強部材11は、外装カバー3の内周部に配置されてケース本体2の第2ケース部8の上端部に対応する第1補強部12と、外装カバー3の内面に配置されて第2ケース部8の壁部8bの外周面8cに対応する第2補強部13と、外装カバー3の外周側の内面に配置されて第2ケース部8の外周側に位置する切欠き部に対応するベース部8aの上面に対応する第3補強部14と、を備えていることにより、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わっても、補強部材11の第1〜第3の補強部12〜14によって外装カバー3の内周部のめくれを確実に防ぐことができる。
【0047】
すなわち、この補強部材11は、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わった際に、その外力によって第1補強部12の内周部が押し上げられようとするが、第2補強部13が第2ケース部8の壁部8bの外周面8cに当接することにより、第1補強部12が押し上げられるのを確実に防ぐことができる。また、このときには、第3補強部14が第2ケース部8の外周側に位置するベース部8aの上面に当接することにより、第2補強部13の外周側への変形を抑制することができる。
【0048】
また、この補強部材11は、外装カバー3がその上方から衝撃を受けた際に、その衝撃を逃す衝撃逃し部15を備えていることにより、外装カバー3がその上方から衝撃を受けると、外装カバー3が弾性変形して衝撃を緩衝することができると共に、衝撃逃し部15がその上方からの衝撃を外装カバー3の内周側と外周側とに分散させて逃すことができるので、外部からの衝撃を効率良く良好に緩衝することができる。
【0049】
この場合、補強部材11は、第1〜第3の補強部12〜14および衝撃逃し部15の各変形を規制する変形規制部16を備えていることにより、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わった際、または外装カバー3がその上方から衝撃を受けた際に、変形規制部16によって第1〜第3の補強部12〜14および衝撃逃し部15が変形するのを確実に防ぐことができる。
【0050】
すなわち、この変形規制部16は、外装カバー3の外周部側の内面に配置されて第2ケース部8の外周側に位置する切欠き部に対応するベース部8aの上面に対応する第1規制部である第3補強部14と、第2補強部13と第1規制部である第3補強部14とに梁渡されて相互の変形を規制する第2規制部17と、を備えていることにより、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わった際、または外装カバー3がその上方から衝撃を受けた際に、その外力や衝撃によって第1〜第3の補強部12〜14および衝撃逃し部15の各変形を確実に防ぐことができる。
【0051】
この場合、変形規制部16は、第1規制部である第3補強部14が第2ケース部8のベース部8aの上面に押し当てられ、第2規制部17が第2補強部13と第1規制部である第3補強部14とに梁渡されているので、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わった際、または外装カバー3がその上方から衝撃を受けた際に、その外力や衝撃によって第2補強部13が外周側に向けて変形するのを確実に防ぐことができ、これにより衝撃逃し部15の撓み変形を防ぐことができる。
【0052】
また、この補強部材11は、外装カバー3が食込んで固着する第1〜第4の食込み孔12a〜15aを備えていることにより、外装カバー3に補強部材11を埋め込んだ際に、外装カバー3を第1〜第4の食込み孔12a〜15aに食い込ませることができるので、補強部材11を外装カバー3に確実にかつ強固に固着させることができる。
【0053】
このため、この補強部材11では、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わっても、外装カバー3が第1補強部12に強固に固定されているので、外装カバー3のめくれを確実に防ぐことができると共に、外装カバー3にその上方から衝撃が加わった際に、外装カバー3で衝撃を緩衝することができると共に、第1〜第4の食込み孔12a〜15aによっても衝撃を緩衝することができる。
【0054】
さらに、この腕時計ケース1では、補強部材11の第1補強部12の内周側の縁部が外装カバー3の内周側の外部に露出することにより、第1補強部12の内周側の縁部を外装カバー3の外部から見ることができ、これによりデザイン性を向上させることができる。すなわち、補強部材11と外装カバー3とを異なる色で形成することにより、第1補強部12の内周部の縁部を外装カバー3の外部に露出させることにより、デザイン的なアクセントになるため、デザイン性を高めることができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、
図6〜
図9を参照して、この発明を腕時計に適用した第2実施形態について説明する。なお、
図1〜
図5に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計は、
図6〜
図9に示すように、腕時計ケース1の補強部材20における変形規制部21が第1実施形態と異なる構造であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構造になっている。
【0056】
すなわち、この補強部材20は、第1実施形態と同様、ポリアミドやポリカーボネートなどの剛性の高い合成樹脂によって外装カバー3と一体に形成されている。この補強部材20は、
図6〜
図9に示すように、第1〜第3の補強部12〜14、衝撃逃し部15、および装飾部18を備えている。また、この補強部材20には、第1〜第3の補強部12〜14および衝撃逃し部15の各変形を規制するための変形規制部21が一体に形成されている。
【0057】
この変形規制部21は、
図7〜
図9に示すように、第1規制部である第3補強部14と複数の第2規制部22とを備えている。第1規制部である第3補強部14は、下部水平板部であり、第1実施形態と同様、外装カバー3の外周側に位置する下面に配置されて、ケース本体2の第2ケース部8における壁部8bの外周側に設けられた切欠き部に位置するベース部8aの上面に対応するように構成されている。
【0058】
この第1規制部である第3補強部14は、
図7〜
図9に示すように、第1実施形態と同様、第2補強部13の下端部から第2ケース部8における壁部8bの外周側に設けられた切欠き部に位置するベース部8aの外周端部に亘った状態で、第2補強部13と一体に形成されている。この第1規制部である第3補強部14には、外装カバー3が食込んで固着する円形状の複数の第3食込み孔14aが径方向に沿って所定間隔で設けられている。
【0059】
複数の第2規制部22は、
図8および
図9に示すように、第2補強部13の外周面と第1規制部である第3補強部14の上面とに架け渡された角棒状の梁部であり、第2補強部13と第3補強部14との径方向(長手方向)に沿って等間隔で設けられている。このため、第1規制部である第3補強部14には、複数の第3食込み孔14aが複数の第2規制部22間に位置して設けられている。
【0060】
また、第2補強部13と第1規制部である第3補強部14との角部と、これに対応する複数の第2規制部22との間には、
図8および
図9に示すように、三角形状の第2食込み孔22aが設けられている。また、第2補強部13には、複数の第2規制部22が所定間隔で設けられているため、この第2補強部13には、食込み孔が設けられていない。
【0061】
この場合にも、補強部材20は、
図6に示すように、外装カバー3と異なる色で形成されていることが望ましい。これにより、補強部材20は、第1実施形態と同様、第1補強部12の内周部と装飾部18の両側部との各縁部が外装カバー3と異なる色で外装カバー3の外部に露出することにより、デザイン的なアクセントになるように構成されている。
【0062】
次に、この腕時計ケース1の作用について説明する。
この腕時計ケース1の外装カバー3と補強部材20とは、2色成型によって一体に形成されている。このため、外装カバー3と補強部材11とを2色成型によって形成する場合には、第1実施形態と同様、まず、第1の成型用金型で補強部材20を成型する。
【0063】
この場合には、第1の成型用金型の下金型内に、第2補強部13と第1規制部である第3補強部14との角部と、これに対応する複数の第2規制部22との間の三角形状の第2食込み孔22aを形成するためのスライドコアを配置する。そして、第1の成型用金型の上金型と下金型とで補強部材20を成型し、この成型した補強部材20とスライドコアとを下金型内に残した状態で、上金型のみを離型して取り外す。
【0064】
この後、第1実施形態と同様、補強部材20が取り残された第1の成型用金型の下金型に第2の成型用金型の上金型を重ね合わせ、この状態で外装カバー3を成型する。そして、成型した補強部材20とスライドコアとを第1の成型用金型の下金型内に残した状態で、第2の成型用金型の上金型を離型する。この状態で、第1の成型用金型の下金型内に設けられたスライドコアをスライドさせて取り出すことにより、第1の成型用金型の下金型内から、成型された補強部材20を取り出すことができる。
【0065】
これにより、補強部材20の第2補強部13と第1規制部である第3補強部14との角部と、これに対応する複数の第2規制部22との間に三角形状の第2食込み孔22aが形成された補強部材20が、外装カバー3の内周面に埋め込まれた状態で、補強部材20と外装カバー3とが一体に形成される。このときには、補強部材20に設けられた第1〜第4の食込み孔12a、22a、14a、15aに外装カバー3が食い込んで形成される。
【0066】
このように補強部材20が一体に形成された外装カバー3をケース本体2に取り付ける場合には、第1実施形態と同様、ケース本体2の第2ケース部8の上部および外周部から第1ケース部7の外周部に亘って外装カバー3を装着する。この状態で、バンド取付部5の各両側部に位置する箇所を複数のビス10によって第2ケース部8に取り付けられている。これにより、腕時計ケース1が組み立てられる。
【0067】
このような腕時計ケース1は、第1実施形態と同様、外装カバー3に埋め込まれた補強部材20の第1補強部12が第2ケース部8における壁部8bの上端部に対応して配置され、第2補強部13が第2ケース部8における壁部8bの外周面に対応して配置される。また、変形規制部21の第1規制部を兼ねる第3補強部14が第2ケース部8における壁部8bの外周側に位置するベース部8aの上面に対応して配置される。
【0068】
このときには、補強部材20は、第1補強部12の内周部と装飾部18の両側部との各縁部が外装カバー3の外部に露出して配置される。このため、補強部材20が外装カバー3と異なる色で形成されていることにより、第1補強部12の内周部と装飾部18の両側部との各縁部が外装カバー3と異なる色で外装カバー3の外部に露出する。これにより、デザイン的なアクセントになり、デザイン性が向上する。
【0069】
この状態で、腕時計ケース1の外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わった際には、第1実施形態と同様、補強部材20がポリアミドやポリカーボネートなどの剛性の高い合成樹脂によって外装カバー3と一体に形成され、かつ補強部材20に設けられた第1〜第4の食込み孔12a、22a、14a、15aに外装カバー3が食い込んで固着されるので、この補強部材20によって外装カバー3の内周部がめくれることがない。
【0070】
すなわち、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わると、第1実施形態と同様、その外力によって補強部材20の第1補強部12の内周部が押し上げられようとするが、第2補強部13が第2ケース部8の壁部8bの外周面8cに当接することにより、第1補強部12が押し上げられることがない。このため、外装カバー3の内周部がめくれることがない。
【0071】
また、このときには、変形規制部21によって第1補強部12と第2補強部13との変形を防ぐことができる。すなわち、この変形規制部21は、第1規制部である第3補強部14が第2ケース部8の外周側の切欠き部に位置するベース部8aの上面に当接し、複数の第2規制部22が第1規制部である第3補強部14と第2補強部13とに梁渡されている。
【0072】
このため、第2補強部13が第2ケース部8の壁部8bの外周面8cに当接した状態で、第1補強部12の内周部が押し上げられようとする際には、変形規制部21の第1規制部である第3補強部14と第2規制部22とによって、第2補強部13の外周側への変形が阻止されるため、第1補強部12が押し上げられるのを防ぐことができる。
【0073】
これにより、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わり、その外力によって補強部材20の第1補強部12の内周部が押し上げられようとしても、第2、第3の補強部13、14および変形規制部21によって、第1補強部12の内周部が押し上げられるのを阻止して、外装カバー3のめくれを確実に防ぐことができる。
【0074】
また、外装カバー3がその上方から衝撃を受けた際には、外装カバー3が弾性変形して衝撃を緩衝すると共に、補強部材20の衝撃逃し部15が衝撃を外装カバー3の内周側と外周側とに分散させて逃すことができる。このときにも、変形規制部21によって第2補強部13の外周側への変形が確実に阻止されるので、衝撃逃し部15が衝撃を外装カバー3の内周側と外周側とに分散させて良好に逃すことができる。また、外装カバー3が弾性変形して衝撃を緩衝する際には、衝撃逃し部15に設けられた複数の第4食込み孔15aによっても衝撃を緩衝する。
【0075】
このように、この腕時計ケース1によれば、硬質材料で形成されたケース本体2と、軟質の合成樹脂で形成されてケース本体2の上部および外周部にこれらを覆って装着された外装カバー3と、硬質の合成樹脂で形成されて外装カバー3の内面に埋め込まれ、ケース本体2に対する外装カバー3のめくれを防ぐ補強部材20と、を備えていることにより、第1実施形態と同様、押え部材などの別部品を用いずに、ケース本体2に対する外装カバー3のめくれを確実に防ぐことができ、これにより外装カバー3をケース本体2に良好に取り付けることができる。
【0076】
すなわち、この腕時計ケース1においても、第1実施形態と同様、補強部材20がポリアミドやポリカーボネートなどの剛性の高い硬質の合成樹脂によって形成されて、外装カバー3の内面に埋め込まれているので、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わっても、補強部材20によって外装カバー3の内周部のめくれを確実に防ぐことができる。
【0077】
この場合にも、補強部材20は、外装カバー3の内周部に配置されてケース本体2の第2ケース部8の上端部に対応する第1補強部12と、外装カバー3の内面に配置されて第2ケース部8の壁部8bの外周面8cに対応する第2補強部13と、外装カバー3の外周側の内面に配置されて第2ケース部8の外周側に位置する切欠き部に対応するベース部8aの上面に対応する第3補強部14と、を備えていることにより、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わっても、補強部材20の第1〜第3の補強部12〜14によって外装カバー3の内周部のめくれを確実に防ぐことができる。
【0078】
この場合、補強部材20は、第1〜第3の補強部12〜14、および衝撃逃し部15の各変形を規制する変形規制部21を備えていることにより、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わった際、または外装カバー3がその上方から衝撃を受けた際に、その外力や衝撃によって第1〜第3の補強部12〜14および衝撃逃し部15が変形するのを確実に防ぐことができる。
【0079】
すなわち、この変形規制部21は、外装カバー3の外周部側に配置されて第2ケース部8の外周側に位置する切欠き部に対応するベース部8aの上面に対応する第1規制部である第3補強部14と、第2補強部13と第1規制部である第3補強部14とに梁渡されて相互の変形を規制する第2規制部22と、を備えていることにより、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わった際、または外装カバー3がその上方から衝撃を受けた際に、その外力や衝撃によって第1〜第3の補強部12〜14、および衝撃逃し部15の各変形を確実に防ぐことができる。
【0080】
この場合、変形規制部21は、第1規制部である第3補強部14が第2ケース部8のベース部8aの上面に押し当てられ、第2規制部22が第2補強部13と第3補強部14とに梁渡されているので、外装カバー3の内周部にこれをめくれるような外力が加わった際、または外装カバー3がその上方から衝撃を受けた際に、その外力や衝撃によって第2補強部13が外周側に向けて変形するのを確実に防ぐことができる。
【0081】
また、この補強部材20は、外装カバー3が食込んで固着する第1〜第4の食込み孔12a、22a、14a、15aを備えていることにより、第1実施形態と同様、外装カバー3に補強部材11を埋め込んだ際に、外装カバー3を第1〜第4の食込み孔12a、22a、14a、15aに食い込ませることができるので、補強部材20を外装カバー3に確実にかつ強固に固着させることができ、これにより外装カバー3の内周部のめくれを確実に防ぐことができる。
【0082】
なお、上述した第1、第2の実施形態では、ケース本体2を第1ケース部7と第2ケース部8とで構成し、第2ケース部8の上部外周に切欠き部を設けた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えばケース本体を単体で形成し、その上部外周に切欠き部を設けた構成であっても良い。
【0083】
また、上述した第1、第2の実施形態では、変形規制部16、21の第1規制部を兼ねる第3補強部14を第2ケース部8のベース部8aの上面に直接当接させた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば第1規制部を兼ねる第3補強部14と第2ケース部8のベース部8aの上面との間に外装カバー3の一部が配置されるように、第1規制部を兼ねる第3補強部14を外装カバー3内に埋め込んだ構造であっても良い。
【0084】
さらに、上述した第1、第2の実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は必ずしも時計である必要はなく、例えば携帯電話機、携帯情報端末機などの電子機器にも適用することができる。
【0085】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0086】
(付記)
請求項1に記載の発明は、硬質材料で形成されたケース本体と、軟質の合成樹脂で形成されて前記ケース本体の上部および外周部にこれらを覆って装着された外装カバーと、硬質の合成樹脂で形成されて前記外装カバーの内面に埋め込まれ、前記ケース本体に対する前記外装カバーの内周側のめくれを防ぐ補強部材と、を備えていることを特徴とするケースである。
【0087】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のケースにおいて、前記補強部材は、前記ケース本体の上端部に対応する第1補強部と、前記ケース本体の前記上端部の外周面に対応する第2補強部と、前記ケース本体の上部外周に設けられた切欠き部に対応する第3補強部と、を備えていることを特徴とするケースである。
【0088】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のケースにおいて、前記補強部材は、前記外装カバーがその上方から衝撃を受けた際に、その衝撃を逃す衝撃逃し部を備えていることを特徴とするケースである。
【0089】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のケースにおいて、前記補強部材は、前記第1補強部、前記第2補強部、および前記外装カバーがその上方から衝撃を受けた際に、その衝撃を逃す衝撃逃し部の変形を規制する変形規制部を備えていることを特徴とするケースである。
【0090】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のケースにおいて、前記変形規制部は、前記外装カバーの外周部側の内面に配置されて前記ケース本体の上部外周に設けられた切欠き部の上面に対応する第1規制部と、前記第2補強部と前記第1規制部とに梁渡されて相互の変形を規制する複数の第2規制部と、を備えていることを特徴とするケースである。
【0091】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のケースにおいて、前記補強部材は、前記外装カバーが食込んで固着する複数の食込み孔を備えていることを特徴とするケースである。
【0092】
請求項7に記載の発明は、請求項2、4、5のいずれかに記載のケースにおいて、前記補強部材は、少なくとも前記第1補強部の内周側の縁部が前記外装カバーの内周側の外部に露出することを特徴とするケースである。
【0093】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載されたケースを備えていることを特徴とする時計である。