特許第6562298号(P6562298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562298
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】放電ランプ
(51)【国際特許分類】
   H01J 61/88 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   H01J61/88 U
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-146399(P2015-146399)
(22)【出願日】2015年7月24日
(65)【公開番号】特開2017-27826(P2017-27826A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】相原 和也
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−507731(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0179388(US,A1)
【文献】 特開平11−329353(JP,A)
【文献】 実開昭58−079855(JP,U)
【文献】 特開2014−053237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 61/30
H01J 61/88
H01J 61/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定点灯時に22W以上、28W以下の電力で点灯させる放電ランプであって、
金属ハロゲン化物が封入された放電空間を内部に有する発光部と;
前記放電空間の内部に突出し、所定の距離を置いて対向配置させた一対の電極と;
を具備し、
前記電極が延びる方向において、前記放電空間は、前記放電空間の中央部分に位置する第1の領域と、前記第1の領域の両側に位置する第2の領域と、を有し、
前記第1の領域は、略円柱状を呈し、
前記第2の領域は、略円錐状を呈し、前記放電空間の端部に向かうに従い、前記電極が延びる方向と直交する方向における寸法が漸減し、
前記第2の領域における前記発光部の内壁と、前記電極と、がなす角度が、27.8°以上、35.2°以下である放電ランプ。
【請求項2】
前記電極が延びる方向において、前記第2の領域の寸法は、1.5mm以上、2.1mm以下である請求項1記載の放電ランプ。
【請求項3】
前記電極が延びる方向と直行する方向において、前記電極の表面と、前記第1の領域における前記発光部の内壁と、の間の距離は、1.0mm以上、1.2mm以下である請求項1または2に記載の放電ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
金属ハロゲン化物が封入された放電空間を内部に有する発光部と、放電空間の内部に突出し、所定の距離を置いて対向配置させた一対の電極とを備えた放電ランプがある。
近年においては、省電力化の要求から、安定点灯時に30W以下(例えば、25W)の電力で点灯させる放電ランプが求められている。
ところが、低電力の放電ランプは、明るさが暗くなるという問題がある。
そのため、発光部を小さくする(放電空間を小さくする)ことで、明るさを明るくした放電ランプが提案されている。
しかしながら、単に、発光部を小さくすると、発光部が損傷しやすくなるという新たな問題が生じる。
そのため、低電力の放電ランプであっても、明るさが暗くなるのを抑制することができ、且つ、発光部が損傷するのを抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−172056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、低電力の放電ランプであっても、明るさが暗くなるのを抑制することができ、且つ、発光部が損傷するのを抑制することができる放電ランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る放電ランプは、安定点灯時に22W以上、28W以下の電力で点灯させる放電ランプである。
放電ランプは、金属ハロゲン化物が封入された放電空間を内部に有する発光部と;前記放電空間の内部に突出し、所定の距離を置いて対向配置させた一対の電極と;を具備している。
前記電極が延びる方向において、前記放電空間は、前記放電空間の中央部分に位置する第1の領域と、前記第1の領域の両側に位置する第2の領域と、を有している。
前記第1の領域は、略円柱状を呈している。
前記第2の領域は、略円錐状を呈し、前記放電空間の端部に向かうに従い、前記電極が延びる方向と直交する方向における寸法が漸減している。
前記第2の領域における前記発光部の内壁と、前記電極と、がなす角度は、27.8°以上、35.2°以下である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、低電力の放電ランプであっても、明るさが暗くなるのを抑制することができ、且つ、発光部が損傷するのを抑制することができる放電ランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係る放電ランプ100を例示するための模式図である。
図2】発光部11の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態に係る発明は、安定点灯時に22W以上、28W以下の電力で点灯させる放電ランプであって、金属ハロゲン化物が封入された放電空間を内部に有する発光部と;前記放電空間の内部に突出し、所定の距離を置いて対向配置させた一対の電極と;を具備し、ている。
前記電極が延びる方向において、前記放電空間は、前記放電空間の中央部分に位置する第1の領域と、前記第1の領域の両側に位置する第2の領域と、を有している。
前記第1の領域は、略円柱状を呈している。
前記第2の領域は、略円錐状を呈し、前記放電空間の端部に向かうに従い、前記電極が延びる方向と直交する方向における寸法が漸減している。
前記第2の領域における前記発光部の内壁と、前記電極と、がなす角度は、27.8°以上、35.2°以下である。
この放電ランプによれば、低電力の放電ランプであっても、明るさが暗くなるのを抑制することができ、且つ、発光部が損傷するのを抑制することができる。
【0009】
また、前記電極が延びる方向において、前記第2の領域の寸法は、1.5mm以上、2.1mm以下とすることができる。
この様にすれば、発光部が損傷するのをより効果的に抑制することができる。
【0010】
また、前記電極が延びる方向と直行する方向において、前記電極の表面と、前記第1の領域における前記発光部の内壁と、の間の距離は、1.0mm以上、1.2mm以下とすることができる。
この様にすれば、発光部が損傷するのをより効果的に抑制することができる。
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
本発明の実施形態に係る放電ランプは、例えば、自動車の前照灯に用いられるHID(High Intensity Discharge)ランプとすることができる。また、放電ランプが自動車の前照灯に用いられるHIDランプである場合には、いわゆる水平点灯を行うものとすることができる。
【0012】
本発明の実施形態に係る放電ランプの用途は、自動車の前照灯に限定されるわけではないが、ここでは一例として、放電ランプが自動車の前照灯に用いられるHIDランプである場合を例に挙げて説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る放電ランプ100を例示するための模式図である。
なお、図1においては、放電ランプ100を自動車に取り付けた場合に、前方となる方向を前端側、後方となる方向を後端側、上方となる方向を上端側、下方となる方向を下端側としている。
図2は、発光部11の模式断面図である。
【0014】
図1に示すように、放電ランプ100には、バーナー101およびソケット102が設けられている。
バーナー101には、外管5、内管1、電極マウント3、サポートワイヤ35、スリーブ4、および金属バンド71が設けられている。
【0015】
外管5は、内管1の外側に内管1と同芯に設けられている。すなわち、バーナー101は、外管5と内管1とによる二重管構造を有している。
外管5は、内管1の円筒部14付近に接合(溶着)されている。
内管1と外管5との間に形成された閉空間には、ガスが封入されている。封入されるガスは、誘電体バリア放電が可能なガスとすることができる。封入されるガスは、例えば、ネオン、アルゴン、キセノン、窒素から選択された一種のガス、またはこれらの混合ガスとすることができる。ガスの封入圧力は、例えば、常温(25℃)で0.3atm以下とすることができる。なお、ガスの封入圧力は、常温(25℃)で0.1atm以下とすることがより好ましい。
【0016】
外管5は、内管1の材料の熱膨張係数に近く、且つ、紫外線遮断性を有する材料から形成することが好ましい。外管5は、例えば、チタン、セリウム、アルミニウム等の酸化物が添加された石英ガラスから形成することができる。
【0017】
内管1は、透光性と耐熱性を有する材料から形成されている。内管1は、例えば、石英ガラスなどから形成することができる。
内管1は、発光部11、封止部12、境界部13、および円筒部14を有する。
【0018】
発光部11は、ほぼ楕円体状の外形形状を有している。発光部11は、内管1の中央付近に設けられている。
内管1の軸方向における発光部11の寸法(球体長)は、例えば、8mm程度とすることができる。
内管1の軸方向に直行する方向における発光部11の寸法は、例えば、5mm程度とすることができる。
【0019】
発光部11の内部には、放電空間111が設けられている。
放電空間111は、領域111a(第1の領域の一例に相当する)と、領域111b(第2の領域の一例に相当する)を有する。
電極32が延びる方向(内管1の軸方向)において、領域111aは、放電空間111の中央部分に位置している。領域111aは、ほぼ円柱状を呈している。
領域111bは、領域111aの両側に位置している。領域111bは、放電空間111の端部に向かうに従い電極32が延びる方向と直交する方向における寸法が漸減している。領域111bは、ほぼ円錐状を呈している。
【0020】
放電空間111には、放電媒体が封入されている。放電媒体は、金属ハロゲン化物2と、不活性ガスとを含む。
金属ハロゲン化物2は、例えば、インジウムのハロゲン化物、ナトリウムのハロゲン化物、スカンジウムのハロゲン化物、亜鉛のハロゲン化物などを含むものとすることができる。ハロゲンとしては、例えば、ヨウ素を例示することができる。ただし、ヨウ素の代わりに臭素や塩素などを用いることもできる。
本実施の形態に係る放電ランプ100においては、環境保護の観点から、放電媒体は水銀を含んでいない。
【0021】
放電空間111に封入される不活性ガスは、例えば、キセノン、ネオン、アルゴン、クリプトンから選択された一種のガス、またはこれらの混合ガスとすることができる。
不活性ガスの封入圧力は、例えば、常温(25℃)で10atm以上、15atm以下とすることが好ましい。
【0022】
封止部12は、板状を呈し、発光部11の両側に設けられている。
封止部12は、例えば、ピンチシール法を用いて形成することができる。なお、封止部12は、シュリンクシール法により形成され、円柱状を呈したものであってもよい。
一方の封止部12には、境界部13を介して円筒部14が接合されている。
境界部13および円筒部14は、封止部12の、発光部11側とは反対側の端部に接合されている。
なお、発光部11、封止部12、境界部13、および円筒部14は、一体に形成することができる。
【0023】
電極マウント3は、封止部12の内部に設けられている。
電極マウント3は、金属箔31、電極32、コイル33、およびリード線34を有する。
【0024】
金属箔31は、封止部12の内部に設けられている。
金属箔31は、電極32の、放電空間111側とは反対側の端部の近傍に接合されている。
金属箔31は、薄板状を呈し、例えば、モリブデンから形成されている。
【0025】
電極32は、線状を呈している。電極32の断面形状は、例えば、円形とすることができる。
電極32の太さ寸法(断面形状が円形の場合には直径寸法)は、0.2mm以上、0.4mm以下とすることができる。
一対の電極32の先端同士の間の距離(電極間距離)は、例えば、3.4mm以上、4.4mm以下とすることができる。
【0026】
電極32は、例えば、純タングステン、ドープタングステン、レニウムタングステンなどから形成することができる。なお、電極32は、トリウムを含有していてもよいし、トリウムを含有していなくてもよい。
【0027】
電極32の一方の端部は、放電空間111内に突出している。一対の電極32は、所定の距離を空けて互いに対向するように設けられている。
電極32の他方の端部は、金属箔31の、発光部11側の端部近傍に接合されている。電極32と金属箔31の接合は、例えば、レーザ溶接により行うことができる。
【0028】
コイル33は、例えば、ドープタングステンからなる金属線から形成することができる。コイル33は、封止部12の内部に設けられた電極32の外側に巻きつけられている。例えば、コイル33の線径は30μm〜100μm程度、コイルピッチは600%以下とすることができる。
【0029】
リード線34は、線状を呈している。リード線34の断面形状は、例えば、円形とすることができる。リード線34は、例えば、モリブデンなどから形成することができる。
リード線34の一方の端部側は、金属箔31の、発光部11側とは反対側の端部近傍に接合されている。リード線34と金属箔31の接合は、レーザ溶接により行うことができる。リード線34の他方の端部側は、内管1の外部にまで延びている。
【0030】
サポートワイヤ35は、L字状を呈し、放電ランプ100の前端側から出ているリード線34の端部に接合されている。サポートワイヤ35とリード線34との接合は、レーザ溶接により行うことができる。サポートワイヤ35は、例えば、ニッケルから形成することができる。
スリーブ4は、サポートワイヤ35の内管1と平行に延びる部分を覆っている。スリーブ4は、例えば、円筒状を呈している。スリーブ4は、例えば、セラミックスから形成することができる。
金属バンド71は、外管5の後端側の端部近傍に固定されている。
【0031】
ソケット102は、本体部6、取り付け金具72、底部端子81、および側部端子82を有する。
本体部6は、樹脂などの絶縁性材料から形成されている。本体部6の内部には、リード線34の後端側、サポートワイヤ35の後端側、およびスリーブ4の後端側が設けられている。
【0032】
取り付け金具72は、本体部6の端部に設けられている。取り付け金具72は、前端側に設けられている。取り付け金具72は、本体部6から突出している。取り付け金具72は、金属バンド71を保持する。取り付け金具72により金属バンド71を保持することで、バーナー101がソケット102に保持される。
【0033】
底部端子81は、本体部6の内部に設けられている。底部端子81は、後端側に設けられている。底部端子81は、導電性材料から形成されている。底部端子81は、リード線34と電気的に接続されている。
側部端子82は、本体部6の側壁に設けられている。側部端子82は、後端側に設けられている。側部端子82は、導電性材料から形成されている。側部端子82は、サポートワイヤ35と電気的に接続されている。
【0034】
底部端子81と側部端子82は、図示しない点灯回路と電気的に接続される。この場合、底部端子81は、点灯回路の高圧側と電気的に接続される。側部端子82は、点灯回路の低圧側と電気的に接続される。
放電ランプ100が自動車の前照灯の場合には、放電ランプ100は、中心軸(管軸)がほぼ水平の状態で、且つ、サポートワイヤ35がほぼ下端側(下方)に位置するように取り付けられる。なお、この様な方向に取り付けられた放電ランプ100を点灯することは、水平点灯と称される。
また、本実施の形態に係る放電ランプ100は、低電力仕様の放電ランプである。
そのため、点灯回路は、安定点灯時に22W以上、28W以下(例えば、25W)の電力で放電ランプ100を点灯させる。
【0035】
ここで、放電ランプ100に供給される電力が小さくなると、光束の低下や発光効率の低下が生じる。そのため、放電ランプ100に供給される電力が小さくなると、明るさが暗くなる。
この場合、発光部11の内部寸法(放電空間111の寸法)を小さくすれば、明るさが暗くなるのを抑制することができる。
このことは、以下のように説明することができる。
つまり、発光部11の内部寸法を小さくすれば、発光部11の外形寸法も小さくなる。発光部11の外形寸法が小さくなれば、発光部11からの放熱量を少なくすることができる。
発光部11からの放熱量が少なくなれば、発光部11の内部温度(放電空間111の温度)が高くなり、金属ハロゲン化物2の蒸気圧が高くなる。
金属ハロゲン化物2の蒸気圧が高くなれば、電極32から放出された電子と、金属ハロゲン化物2の分子とが衝突する割合が増える。
電子と金属ハロゲン化物2の分子とが衝突する割合が増えると、光束が増加し、発光効率も高くなる。
そのため、放電ランプ100に供給される電力が小さい場合であっても、発光部11の内部寸法を小さくすれば、明るさが暗くなるのを抑制することができる。
【0036】
ところが、発光部11の内部寸法を小さくすれば、発光部11の損傷が発生しやすくなる。
本発明者の得た知見によれば、発光部11の損傷が発生しやすくなる原因は以下のように説明することができる。
電極32の温度は、点灯時(放電時)に高くなり、消灯時には放熱により低くなる。
ところが、前述したように、発光部11の内部寸法を小さくすれば、発光部11の内部温度は高くなる。
そのため、電極32における放熱が妨げられ、電極32の温度は高いまま維持されやすくなる。
【0037】
ここで、電極32間における放電の形態は、電極32の温度により変化する。
例えば、電極32の温度が低いときに放電を開始させれば、図2に示すように、電極32の先端同士の間で放電S1が生じる。
ところが、電極32の温度が高いときに放電を開始させれば、図2に示すように、一方の電極32の封止部12の近傍にある部分と、他方の電極32の先端との間で放電S2が生じる。
放電空間111の領域111bは、ほぼ円錐状を呈している。そのため、図2に示すように、領域111bにおいて、発光部11の内壁と、放電S2との間の距離が極めて短くなる。
すなわち、発光部11の内部寸法を小さくすれば、電極32の温度が高いまま維持されやすくなるので、発光部11の内壁との間の距離が短くなる放電S2が生じ易くなる。また、発光部11の内壁と電極32との間の距離も短くなる。
そのため、領域111bにおいて、放電S2による損傷が、発光部11の内壁に発生しやすくなる。
【0038】
次に、放電空間111の形態と、発光部11における損傷の発生との関係を説明する。 放電空間111の形態と、発光部11における損傷の発生との関係を表1および表2に示す。
表1および表2における評価試験においては、1秒間の点灯と1秒間の消灯を100000回繰り返し、その後、発光部11における損傷の発生と損傷の程度を判定した。
なお、1秒間の点灯と1秒間の消灯を繰り返せば、電極32の温度は高いまま維持されるので、放電S2が発生しやすくなる。
また、図2に示すように、領域111bにおける発光部11の内壁と、電極32とがなす角度をθとした。
電極32が延びる方向における領域111bの寸法をAとした。
電極32が延びる方向と直行する方向において、電極32の表面と、領域111aにおける発光部11の内壁との間の距離をBとした。
なお、発光部11の外形寸法は同じとしている。
また、「○」は損傷の発生が認められなかった場合、「△」は損傷の発生が認められるが、損傷の程度が実用上問題がない場合、「×」は損傷の発生が認められ、且つ、損傷の程度が実用上問題がある場合である。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
表1から分かる様に、角度θを大きくすれば、損傷の発生を抑制することができる。
これは、角度θを大きくすれば、放電S2と、発光部11の内壁との間の距離を長くすることができるためであると考えられる。
すなわち、角度θを27.8°以上とすれば、放電S2による損傷の発生を抑制することができる。
【0042】
ところが、表2から分かるように、角度θを大きくしすぎると、損傷の発生が抑制できなくなる。
これは、角度θを大きくしすぎると発光部11の肉厚が薄くなりすぎる部分が生じて、肉厚が薄い部分の温度が高くなりすぎるためであると考えられる。
すなわち、角度θを35.2°以下とすれば、過熱による損傷の発生を抑制することができる。
【0043】
つまり、表1および表2から分かるように、角度θを27.8°以上、35.2°以下とすれば、放電S2による損傷の発生および過熱による損傷の発生を抑制することができる。
この場合、寸法Aは、1.5mm以上、2.1mm以下とすることが好ましい。
また、距離Bは、1.0mm以上、1.2mm以下とすることが好ましい。
また、放電空間111の形態を以上の様にすれば、安定点灯時に35W程度の電力で点灯させる放電ランプとほぼ同等の明るさを得ることもできる。
【0044】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 内管、2 金属ハロゲン化物、3 電極マウント、5 外管、11 発光部、12 封止部、31 金属箔、32 電極、100 放電ランプ、101 バーナー、102 ソケット、111 放電空間、111a 領域、111b 領域、S1 放電、S2 放電
図1
図2