【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 独立行政法人 海上技術安全研究所 研究発表会講演集 2014年6月19日 独立行政法人海上技術安全研究所発行
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、実船と相似の船速応答を有する模型船を実験で再現するためには、実船の本的性能推定に基づき、外力下において変化する船側の前後方向成分を測定しながら、その計測データに基づいてプロペラ回転数と補助推力装置の出力の双方を制御することが必要である。
【0011】
また、波・風等の外力による船の船速低下は、船の基本的な性能の一つに属し、運航計画を左右する重要な要素となる。近年では、国連海事機関を中心として船からの温暖化ガスの排出削減を目的とした規制が始まっており、その指標にも波・風が併存する実海域環境下での船速低下率が考慮されている。その一方で、国連海事機関の規制を満足するような燃料消費量の少ない船の開発が進む中、必要以上に出力の小さい機関を搭載した船が荒天下で操船不能になって海難事故に至る可能性が増加することが指摘されている。
【0012】
荒天下でどの程度船速が低下するのか、どの程度荒れた海象まで操船可能であるのかといったことを推定するための手法としては現状では推定計算によるほかない。波浪中における抵抗の増加に関する研究実績に基づき、外力下における通常航行時の船速低下に関する推定計算は実用的な水準に達していると考えられる。しかし、通常航行時の船速低下とは異なり、荒天下で操船不能近くまで船速が低下する状況では外力の船の前後方向成分だけではなく左右方向成分と回頭モーメント成分まで精度良く推定し、さらに操舵力も含めて船の航行状態を推定する必要がある。ところが、特に波漂流力の左右方向成分と回頭モーメント成分の実用的な推定法は現段階では確立されているとは言えない。
【0013】
本発明は、航行中のプロペラ回転数と補助推力手段の出力を制御できる自由航走模型船を用いて、外力下における推進器関連特性を前記実船と相似にした自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法及び自由航走模型船の推進器関連特性実船相似装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に係る自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法は、実船の基本的性能推定を基に、自由航走模型船の外力下で変化する船速を計測し、計測した前記船速に基づき前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力手段の出力を制御し、前記自由航走模型船の外力下における推進器関連特性を前記実船と相似に
する方法であって、前記自由航走模型船の前記プロペラ回転数と前記補助推力手段の出力を、
【数1】
ts :実船の推力減少率
T’s : 実船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
tm :自由航走模型船の推力減少率
T’m :自由航走模型船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
fTA :補助推力係数
T’SFC:摩擦修正に必要な力(無次元値、船速の関数)
を基に導出される前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力係数fTAに基づき制御し、操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が必要ない場合または別途確保される場合について、前記実船と前記自由航走模型船の外力下でのプロペラ推進力の相似性を考慮し、前記自由航走模型船の船速応答の相似性を確保したことを特徴とする自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にすることを特徴とする。
【0018】
具体的には、
【数2】
Ts’ : 実船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
T
m’
:自由航走模型船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
で表される前記プロペラ推進力の相似性を確保するために前記補助推力係数f
TAを1として前記自由航走模型船のプロペラ回転数を求めて制御することが好適である。
【0019】
本発明の請求項3に係る自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法は、実船の基本的性能推定を基に、自由航走模型船の外力下で変化する船速を計測し、計測した前記船速に基づき前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力手段の出力を制御し、前記自由航走模型船の外力下における推進器関連特性を前記実船と相似にする方法であって、前記自由航走模型船の前記プロペラ回転数と前記補助推力手段の出力を、
【数3】
ts :実船の推力減少率
T’s : 実船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
tm :自由航走模型船の推力減少率
T’m :自由航走模型船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
fTA :補助推力係数
T’SFC:摩擦修正に必要な力(無次元値、船速の関数)
を基に導出される前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力係数fTAに基づき制御し、操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が必要ない場合又は操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が別途確保される場合、前記実船と前記自由航走模型船の外力下でのプロペラトルクの相似性に基づいて前記自由航走模型船の船速応答の相似性を確保
したことを特徴とする。
【0020】
具体的には、前記数式(
3)と、
【数4】
Q
S’ :実船のプロペラトルク(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
Q
m’ :自由航走模型船のプロペラトルク(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
を連立させることで前記自由航走模型船のプロペラ回転数と前記補助推力係数f
TAを求めて制御することが好適である。
【0021】
本発明の請求項5に係る自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法は、実船の基本的性能推定を基に、自由航走模型船の外力下で変化する船速を計測し、計測した前記船速に基づき前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力手段の出力を制御し、前記自由航走模型船の外力下における推進器関連特性を前記実船と相似にする方法であって、前記自由航走模型船の前記プロペラ回転数と前記補助推力手段の出力を、
【数5】
ts :実船の推力減少率
T’s : 実船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
tm :自由航走模型船の推力減少率
T’m :自由航走模型船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
fTA :補助推力係数
T’SFC:摩擦修正に必要な力(無次元値、船速の関数)
を基に導出される前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力係数fTAに基づき制御し、操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が必要ない場合又は操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が別途確保される場合、前記実船と前記自由航走模型船の外力下でのプロペラ回転数の相似性に基づいて前記自由航走模型船の船速応答の相似性を確保
したことを特徴とする。
【0022】
具体的には、前記数式(
5)と、
【数6】
n
s’:実船のプロペラ回転数(無次元値)
n
m’: 自由航走模型船のプロペラ回転数(無次元値)
を連立させることで前記自由航走模型船のプロペラ回転数と前記補助推力係数f
TAを求めて制御することが好適である。
【0023】
本発明の請求項7に係る自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法は、実船の基本的性能推定を基に、自由航走模型船の外力下で変化する船速を計測し、計測した前記船速に基づき前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力手段の出力を制御し、前記自由航走模型船の外力下における推進器関連特性を前記実船と相似にする方法であって、前記自由航走模型船の前記プロペラ回転数と前記補助推力手段の出力を、
【数7】
ts :実船の推力減少率
T’s : 実船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
tm :自由航走模型船の推力減少率
T’m :自由航走模型船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
fTA :補助推力係数
T’SFC:摩擦修正に必要な力(無次元値、船速の関数)
を基に導出される前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力係数fTAに基づき制御し、操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が必要ない場合又は操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が別途確保される場合、前記実船と前記自由航走模型船の外力下での馬力の相似性に基づいて前記自由航走模型船の船速応答の相似性を確保
したことを特徴とする。
【0024】
具体的には、前記数式(
7)と、
【数8】
n
s’ :実船のプロペラ回転数(無次元値)
Q
S’ :実船のプロペラトルク(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
n
m’ :自由航走模型船のプロペラ回転数(無次元値)
Q
m’ :自由航走模型船のプロペラトルク(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
を連立させることで前記自由航走模型船のプロペラ回転数と前記補助推力係数f
TAを求めて制御することが好適である。
【0025】
本発明の請求項9に係る自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法は、実船の基本的性能推定を基に、自由航走模型船の外力下で変化する船速を計測し、計測した前記船速に基づき前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力手段の出力を制御し、前記自由航走模型船の外力下における推進器関連特性を前記実船と相似にする方法であって、前記自由航走模型船の前記プロペラ回転数と前記補助推力手段の出力を、
【数9】
ts :実船の推力減少率
T’s : 実船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
tm :自由航走模型船の推力減少率
T’m :自由航走模型船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
fTA :補助推力係数
T’SFC:摩擦修正に必要な力(無次元値、船速の関数)
を基に導出される前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力係数fTAに基づき制御し、操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が必要ない場合又は操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が別途確保される場合、前記実船と前記自由航走模型船の外力下でのプロペラスリップ比を一致させて前記自由航走模型船の船速応答の相似性を確保
したことを特徴とする。
【0026】
具体的には、前記数式(
9)と、
【数10】
S
s:実船のプロペラスリップ比(プロペラ回転数と船速の関数)
S
m:自由航走模型船のプロペラスリップ比(プロペラ回転数と船速の関数)
を連立させることで前記自由航走模型船のプロペラ回転数と前記補助推力係数f
TAを求めて制御することが好適である。
ここで、前記実船の前記基本的性能推定は、プロペラ回転数一定、プロペラトルク一定、プロペラ出力一定、あるいは逆転を含む任意のプロペラ回転数変化を含むことが好適である。
【0027】
請求項
12に記載の自由航走模型船の推進器関連特性実船相似装置は、プロペラと補助推力手段を有した自由航走模型船と、前記自由航走模型船の船速
の前後方向成分を計測する船速計測手段と、実船の基本的性能推定と計測した前記船速に基づき前記プロペラのプロペラ回転数と前記補助推力手段の出力を制御する制御手段を備え、前記自由航走模型船の外力下における推進器関連特性を前記実船と相似にすることを特徴とする。
【0028】
ここで、前記制御手段は、上記自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法を実行することが好適である。
【0029】
また、前記制御手段は、上記自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法により予め求めた前記自由航走模型船のプロペラ回転数と前記補助推力係数f
TAの前記船速との関係を記憶して制御することが好適である。
【0030】
また、前記船速計測手段は、前記自由航走模型船の船速の前後方向成分を計測することが好適である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の請求項1に係る自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法によれば、実船の基本的性能推定を基に、自由航走模型船の外力下で変化する船速を計測し、計測した前記船速に基づき前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力手段の出力を制御し、前記自由航走模型船の外力下における推進器関連特性を前記実船と相似に
する方法であって、前記自由航走模型船の前記プロペラ回転数と前記補助推力手段の出力を、
【数11】
ts :実船の推力減少率
T’s : 実船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
tm :自由航走模型船の推力減少率
T’m :自由航走模型船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
fTA :補助推力係数
T’SFC:摩擦修正に必要な力(無次元値、船速の関数)
を基に導出される前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力係数fTAに基づき制御し、操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が必要ない場合または別途確保される場合について、前記実船と前記自由航走模型船の外力下でのプロペラ推進力の相似性を考慮し、前記自由航走模型船の船速応答の相似性を確保したことを特徴とする自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にすることによって、模型船を用いて外力下における操縦性能試験を実施し、外力下における実船の操船特性を推定及び確認することができる。
【0035】
具体的には、
【数12】
Ts’ : 実船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
T
m’
:自由航走模型船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
で表される前記プロペラ推進力の相似性を確保するために前記補助推力係数f
TAを1として前記自由航走模型船のプロペラ回転数を求めて制御することによって、船速変化とプロペラ推進力を相似にした条件下において模型船を用いて実船の操船特性を推定及び確認する操縦性能試験を実施する具体的な方法を提供することができる。
【0036】
本発明の請求項3に係る自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法によれば、実船の基本的性能推定を基に、自由航走模型船の外力下で変化する船速を計測し、計測した前記船速に基づき前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力手段の出力を制御し、前記自由航走模型船の外力下における推進器関連特性を前記実船と相似にする方法であって、前記自由航走模型船の前記プロペラ回転数と前記補助推力手段の出力を、
【数13】
ts :実船の推力減少率
T’s : 実船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
tm :自由航走模型船の推力減少率
T’m :自由航走模型船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
fTA :補助推力係数
T’SFC:摩擦修正に必要な力(無次元値、船速の関数)
を基に導出される前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力係数fTAに基づき制御し、操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が必要ない場合又は操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が別途確保される場合、前記実船と前記自由航走模型船の外力下でのプロペラトルクの相似性に基づいて前記自由航走模型船の船速応答の相似性を確保することによって、船速変化とプロペラトルクを相似にした条件下において模型船を用いて実船の操船特性を推定及び確認する操縦性能試験を実施することができる。
【0037】
具体的には、前記数式(
13)と、
【数14】
Q
S’ :実船のプロペラトルク(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
Q
m’ :自由航走模型船のプロペラトルク(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
を連立させることで前記自由航走模型船のプロペラ回転数と前記補助推力係数f
TAを求めて制御することによって、船速変化とプロペラトルクを相似にした条件下において模型船を用いて実船の操船特性を推定及び確認する操縦性能試験を実施する具体的な方法を提供することができる。
【0038】
本発明の請求項5に係る自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法によれば、実船の基本的性能推定を基に、自由航走模型船の外力下で変化する船速を計測し、計測した前記船速に基づき前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力手段の出力を制御し、前記自由航走模型船の外力下における推進器関連特性を前記実船と相似にする方法であって、前記自由航走模型船の前記プロペラ回転数と前記補助推力手段の出力を、
【数15】
ts :実船の推力減少率
T’s : 実船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
tm :自由航走模型船の推力減少率
T’m :自由航走模型船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
fTA :補助推力係数
T’SFC:摩擦修正に必要な力(無次元値、船速の関数)
を基に導出される前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力係数fTAに基づき制御し、操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が必要ない場合又は操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が別途確保される場合、前記実船と前記自由航走模型船の外力下でのプロペラ回転数の相似性に基づいて前記自由航走模型船の船速応答の相似性を確保することによって、船速変化とプロペラ回転数を相似にした条件下において模型船を用いて実船の操船特性を推定及び確認する操縦性能試験を実施することができる。
【0039】
具体的には、前記数式(
15)と、
【数16】
n
s’:実船のプロペラ回転数(無次元値)
n
m’: 自由航走模型船のプロペラ回転数(無次元値)
を連立させることで前記自由航走模型船のプロペラ回転数と前記補助推力係数f
TAを求めて制御することによって、船速変化とプロペラ回転数を相似にした条件下において模型船を用いて実船の操船特性を推定及び確認する操縦性能試験を実施する具体的な方法を提供することができる。
【0040】
本発明の請求項7に係る自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法によれば、実船の基本的性能推定を基に、自由航走模型船の外力下で変化する船速を計測し、計測した前記船速に基づき前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力手段の出力を制御し、前記自由航走模型船の外力下における推進器関連特性を前記実船と相似にする方法であって、前記自由航走模型船の前記プロペラ回転数と前記補助推力手段の出力を、
【数17】
ts :実船の推力減少率
T’s : 実船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
tm :自由航走模型船の推力減少率
T’m :自由航走模型船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
fTA :補助推力係数
T’SFC:摩擦修正に必要な力(無次元値、船速の関数)
を基に導出される前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力係数fTAに基づき制御し、操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が必要ない場合又は操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が別途確保される場合、前記実船と前記自由航走模型船の外力下での馬力の相似性に基づいて前記自由航走模型船の船速応答の相似性を確保することによって、船速変化と馬力を相似にした条件下において模型船を用いて実船の操船特性を推定及び確認する操縦性能試験を実施する具体的な方法を提供することができる。
【0041】
具体的には、前記数式(
17)と、
【数18】
n
s’ :実船のプロペラ回転数(無次元値)
Q
S’ :実船のプロペラトルク(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
n
m’ :自由航走模型船のプロペラ回転数(無次元値)
Q
m’ :自由航走模型船のプロペラトルク(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
を連立させることで前記自由航走模型船のプロペラ回転数と前記補助推力係数f
TAを求めて制御することによって、船速変化と馬力を相似にした条件下において模型船を用いて実船の操船特性を推定及び確認する操縦性能試験を実施する具体的な方法を提供することができる。
【0042】
本発明の請求項9に係る自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法によれば、実船の基本的性能推定を基に、自由航走模型船の外力下で変化する船速を計測し、計測した前記船速に基づき前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力手段の出力を制御し、前記自由航走模型船の外力下における推進器関連特性を前記実船と相似にする方法であって、前記自由航走模型船の前記プロペラ回転数と前記補助推力手段の出力を、
【数19】
ts :実船の推力減少率
T’s : 実船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
tm :自由航走模型船の推力減少率
T’m :自由航走模型船のプロペラ推進力(無次元値、プロペラ回転数と船速の関数)
fTA :補助推力係数
T’SFC:摩擦修正に必要な力(無次元値、船速の関数)
を基に導出される前記自由航走模型船のプロペラ回転数と補助推力係数fTAに基づき制御し、操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が必要ない場合又は操舵・斜航・旋回抵抗の相似性が別途確保される場合、前記実船と前記自由航走模型船の外力下でのプロペラスリップ比を一致させて前記自由航走模型船の船速応答の相似性を確保することによって、船速変化の相似と共にプロペラスリップ比を一致させた条件下において模型船を用いて実船の操船特性を推定及び確認する操縦性能試験を実施する具体的な方法を提供することができる。
【0043】
具体的には、前記数式(
19)と、
【数20】
S
s:実船のプロペラスリップ比(プロペラ回転数と船速の関数)
S
m:自由航走模型船のプロペラスリップ比(プロペラ回転数と船速の関数)
を連立させることで前記自由航走模型船のプロペラ回転数と前記補助推力係数f
TAを求めて制御することによって、船速変化の相似と共にプロペラスリップ比を一致させた条件下において模型船を用いて実船の操船特性を推定及び確認する操縦性能試験を実施する具体的な方法を提供することができる。
ここで、前記実船の前記基本的性能推定は、プロペラ回転数一定、プロペラトルク一定、プロペラ出力一定、あるいは逆転を含む任意のプロペラ回転数変化を含むことによって、それぞれの条件下における実船の操船特性を推定及び確認する操縦性能試験を実施することができる。
【0044】
請求項
12に記載の自由航走模型船の推進器関連特性実船相似装置は、プロペラと補助推力手段を有した自由航走模型船と、前記自由航走模型船の船速を計測する船速計測手段と、実船の基本的性能推定と計測した前記船速に基づき前記プロペラのプロペラ回転数と前記補助推力手段の出力を制御する制御手段を備え、前記自由航走模型船の外力下における推進器関連特性を前記実船と相似にすることによって、特に、前記制御手段は、上記自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法を実行することよって、模型船を用いて操縦性能試験を実施し、実船の操船特性を推定及び確認することが可能な実船相似装置を実現することができる。
【0045】
また、前記制御手段は、上記自由航走模型船の推進器関連特性を実船相似にする方法により予め求めた前記自由航走模型船のプロペラ回転数と前記補助推力係数f
TAの前記船速との関係を記憶して制御することによって、リアルタイムで制御に必要なパラメータを算出することなく、模型船を用いて実船の操船特性を推定及び確認する操縦性能試験を実施することができる。
【0046】
また、前記船速計測手段は、前記自由航走模型船の船速の前後方向成分を計測することにより、前記自由航走模型船の船速の前後方向成分に応じて模型船を用いて実船の操船特性を推定及び確認する操縦性能試験を実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
[第1の実施の形態]
<自由航走模型船試験方法>
本実施の形態では、実船の基本的性能推定に基づき、外力下で変化する船速の前後方向成分uを計測しながらその計測データに基づきプロペラ回転数と補助推力装置の出力を制御することで外力下における模型船の船速応答を実船と相似にする。外力下では船は一般に操舵を必要とする。操舵は舵抵抗と斜航・旋回抵抗を誘起するので、船速応答を相似にするためにはこれらの抵抗成分も模型船と実船で相似にする必要がある。
【0049】
外力下における船舶の前後方向の運動は数式(
21)で表わされる。
【数21】
ここで、水の密度ρ、船の長さL、重力加速度gを用いて、質量はρL
3、速度は√(g/L)、力はrL
3g、時間は√(L/g)によって無次元化を行っている。また、無次元値を’(ダッシュ)をつけて表す。変数の上の点は無次元時間に関する微分を表す。水の密度ρと船の長さLについては実船と模型船それぞれに対応する値を用いる。
【0050】
また、mは船の質量、m
xは船の前後揺れに起因する前後方向の付加質量をそれぞれ示す。uは船速の前後方向成分(以下特に断らない限り「船速」と記す)、tは推力減少率、Tはプロペラ推進力、Rは船の平水中直進時の抵抗、Eは波と風による外力、Fは操舵・斜航・旋回による抵抗を示す。
【0051】
波との出会周期の船体動揺や波による水粒子の円運動が伴流係数などの自航要素やプロペラ有効流入速度への影響は高周波数の成分として無視し得るか別途考慮する。
【0052】
また、後述する船速の左右方向成分v’と無次元回頭角速度r’が伴流係数などの自航要素に及ぼす影響に関しては、直接ではなく、これらが船速u’や後述するプロペラ荷重度に及ぼす影響を通して考慮できると仮定する。
【0053】
上記を考慮すると無次元化プロペラ推進力T’は次のような関数型と見なすことができる。
【数22】
ここで、n’は次式で表される無次元プロペラ回転数である。
【数23】
さらに、無次元化された船の平水中直進時の抵抗R’は次のような関数型と考えられる。
【数24】
ここで、R
nは水を対象としたレイノルズ数、u’は無次元船速を示す。無次元化の定義によりu’は船速の前後方向成分を代表船速としたフルード数と同義である。
【0054】
また、無次元化された波と風による外力E’は次のような関数型と見なすことができる。
【数25】
ここで、W
aは船と波との出会角と波長船長比、波振幅船長比に代表される波に関する条件を示す。W
iは風向と無次元風速に代表される風に関する条件を示す。W
iとW
aはフルードの相似則に基づいて決められる。
【0055】
本実施の形態では、波と風の影響を表す無次元化された波と風による外力E’には波との出会周波数の高周波数成分を無視してゆっくり変動する低周波数成分のみを考慮する。また、風の力には空気に関するレイノルズ数の影響が考えられるが、本実施の形態では水面下の現象に着目することとし、風のレイノルズ数の影響は無視し得るか実験技術上別途解決できるものとして変数としては扱わない。
【0056】
無次元化された操舵・斜航・旋回による抵抗F’には船の質量に基づく遠心力成分と付加質量に基づく流体力成分が含まれる。これらは無次元化された船の質量m’と同じように実船と模型船の幾何学的相似によって実船と模型船で同じ値とすることができるから、この部分を分けて標記すると次式となる。
【数26】
【0057】
なお、m
y及びm
26は船の左右揺れに起因する左右方向及び船の船首揺れに起因する左右方向の付加質量をそれぞれ示す。ここで、F
0’は次のような関数型と見なすことができる。
【数27】
ここで、δは舵角、v’は船速の左右成分、r’は無次元回頭角速度をそれぞれ示す。
【0058】
無次元回頭角速度r’は次式で定義される。
【数28】
【0059】
以上の変数のうち模型実験で状態変数として与えることができるのは無次元プロペラ回転数n’と風向と無次元風速に代表される風に関する条件W
iと船と波との出会角と波長船長比、波振幅船長比に代表される波に関する条件W
aである。ここで、W
iとW
aは実船が想定する気海象に応じて任意に与えることができる。
【0060】
ところで、外力の変動成分が船の慣性力に比べて小さく、船速の応答が十分ゆっくりしたものであるとすると式(
21)は准定常的取り扱いが可能となる。ここで、外力が作用しない平水中定常直進時には次式の釣り合い式が成り立つ。
【数29】
【0061】
式(
29)は実船でも模型船でも成り立つべき関係であるが、レイノルズ数が実船と模型船で大きく異なるため式(
29)を満足しながらも無次元化プロペラ推進力T’と無次元化された船の平水中直進時の抵抗R’は実船と模型船でそれぞれ異なる値となる。R’が模型船と実船で異なるため、無次元船速u’が同じであっても無次元プロペラ回転数n’は実船と模型船で異なる。
【0062】
平水中では式(
21)の第2項と第3項の和が0であることで実船と模型船の相似を確保することができる。しかしながら、外力下において実船と模型船が同じW
iとW
aの環境下で船速が変化した場合、変化した船速に対して無次元化プロペラ推進力T’と無次元化された船の平水中直進時の抵抗R’は異なった挙動を示すため、第2項と第3項の和は外力下では一般に0にならず、かつ実船と模型船で一般に同じ値にならない。その結果、外力下での船速の変化は実船と模型船で相似にならない。
【0063】
そこで、外力下船速変化の相似性確保するために模型船に補助推力装置を設けた場合について考察する。ここで、補助推力装置とは、自由航走模型船に搭載したダクト式ファンや圧縮空気吹き出し装置、あるいは自由航走する模型船を追尾・併走する曳引台車等によって船の他の運動に影響を与えることなく前後方向にのみ力を加えることができる機構・装置すべてを含むものとする。
【0064】
模型船に補助推力T
A’を負荷した場合の運動方程式を実船の運動方程式と対比すると次式となる。
【数30】
ここで、添字のsは実船の値を示し、mは模型船の値であることを示す。実船と模型船で同じ値に設定できる変数には添字をつけない。
【0065】
実船と模型船が同じW
iとW
aの環境下で船速応答が相似になる、すなわち無次元船速u’が同じ応答になるためには、無次元船速u’の変化に対して式(
29)の右辺の変化が実船と模型船で同じであればよい。
【0066】
式(
25)より、同じ無次元船速u’であれば同じW
iとW
aの設定によって次式が成り立つ。
【数31】
【0067】
さらに、同じ無次元船速u’について舵角δ、船速の左右方向成分v’及び無次元回頭角速度r’が実船と模型船で同じであれば式(
32)が成り立つ。
【数32】
【0068】
ただし、式(
32)は実船と模型船の無次元船速u’と舵角δ、船速の左右方向成分v’及び無次元回頭角速度r’がある与えられた無次元プロペラ回転数n’等の条件下で結果として同じになったときに成立するものであってプロペラ回転数や風・波の条件のように設定によって与えられるものではない。舵角δ、船速の左右方向成分v’及び無次元回頭角速度r’の影響が相似となるようにするためには舵効きが相似であることが必要である。
【0069】
式(
29)の右辺第2項については実船と模型船で等しくすることはできない。したがって、補助推力を使わない場合は右辺第1項も等しくすることはできない。これが通常の自由航走模型試験において外力下船速応答が相似性を維持できない理由である。本実施の形態では、補助推力を使うことによって補助推力項T
A’を与えることができる。そこで、舵効きの相似を前提とすれば、任意の無次元船速u’について式(
33)が成立すれば実船と模型船の相似性が確保される。
【数33】
【0070】
すなわち、実験条件の設定によって式(
31)が成り立つようにし、舵効きを相似にすることで式(
32)を成立させ、さらに補助推力項T
A’の制御によって式(
33)が成立するようにすることで式(
30)の右辺が実船と模型船でu’に対して等しく振る舞うようにできる。これによって、船速応答の相似性が確保される。
【0071】
なお、外力が船に対して左右対称の場合や舵角δ、船速の左右方向成分v’及び無次元回頭角速度r’が小さい等の理由によって式(
32)の両辺とも0に近い場合は特殊な場合として舵効きの相似性確保の条件は除外し得る。
【0072】
ここで、摩擦修正に必要な補助推力を表す補助推力係数を導入する。補助推力項T
A’は任意に与えることができるので、次式のように補助推力係数f
TAといわゆる摩擦修正に必要な力T
SFC’を導入して補助推力項T
A’を定めることができる。
【数34】
摩擦修正に必要な力T
SFC’は次式で定義される無次元船速u’とレイノルズ数R
nの関数である。
【数35】
【0073】
式(
35)を用いると式(
33)は式(
36)に書き直すことができる。
【数36】
【0074】
有効伴流率を推力一致法で求めた場合、実船の無次元化プロペラ推進力T
s’と模型船の無次元化プロペラ推進力T
m’はプロペラ単独特性を用いて次式で表現できる。
【数37】
ここで、D’はプロペラ直径の無次元値を示し、次式で定義される。
【数38】
【0075】
K
TsとK
Tmは実船と模型船のプロペラ単独特性を示し、それぞれ次式で定義される実船と模型船のプロペラ前進率の関数である。
【数39】
ここで、wは有効伴流率を示す。
【0076】
推力減少係数1−tと有効伴流係数1−wはプロペラ荷重度tの関数として取り扱われることが多い。ここで、プロペラ荷重度tは次式で定義される。
【数40】
【0077】
式(
40)式のJ
Hは船の見かけの前進率を示し、次式で表される。
【数41】
【0078】
相似とする対象となる実船の状態を考えると、対象船の形状影響係数と相当平板摩擦抵抗係数、造波抵抗係数、推力減少係数1−t、有効伴流係数1−w、プロペラ単独特性及びこれらの尺度影響はその有無も含めて既知である。無次元船速u’の変化に応じた実船の状態は実船の無次元プロベラ回転数n
s’によって異なるものになる。
【0079】
無次元プロベラ回転数n
s’は、プロペラ回転数一定とプロペラトルク一定、馬力一定等の条件下において推定することができる。すなわち、基準となる平水時に式(
29)を満足する無次元船速u’、実船の無次元プロベラ回転数n
s’、プロペラトルク、馬力の組み合わせを決め、上記に例を示した条件のいずれかに応じて船速が変化したときの状態量の変化を推定する。この推定値のいずれかを後述する船速変化を相似にする方法において拘束条件として用いる。
【0080】
なお、実船状態の推定には機関特性を考慮した方法を用いてもよい。ただし、前述のように波との出会周期で変動するような高周波成分は無視してゆっくり変動する低周波数成分のみを考慮することが好適である。
【0081】
以下、外力下において実船と模型船とにおいて船速変化を相似にする方法について説明する。
【0082】
式(
36)における未知数は模型船の無次元プロペラ回転数n
m’と補助推力係数f
TAの2つである。拘束条件は式(
32)を満足するための舵効きの相似である。式(
32)を満足させるための舵効きの相似(u
Rm’=u
Rs’)を拘束条件として、式(
33)を解く場合は未知数の無次元プロペラ回転数n
m’と補助推力係数f
TAは一意に定まる。ここで、u
Rm’は模型船の舵有効流入速度の無次元前後方向成分であり、u
Rs’は実船の舵有効流入速度の無次元前後方向成分である。
【0083】
一方、舵効きの相似を舵角の補正或いは舵面積の修正等の別の方法によって確保する場合、又は前述のように対称性等の理由によって舵効きの相似が拘束条件とならない場合は式(
33)に対して未知数が2つあるため解の組み合わせは無数となる。補助推力係数f
TAを0とする補助推力を使わない解も、模型船の無次元プロペラ推進力T
m’を0とするプロペラを使わない解のいずれもあり得る。なお、舵効きの相似を舵角の補正又は舵面積の修正で確保する場合は式(
33)を満足する無次元プロペラ回転数n
m’と補助推力係数f
TAの組み合わせに対応した補正または修正が必要である。以下、模型船を用いた実験の実用性を考慮して幾つかの方法を提案する。
【0084】
(1)船速変化とプロペラ推進力を相似にする方法
第1の方法では、船速変化の相似性だけではなく、プロペラ推進力の相似性も確保する。当該方法は、外力下でのプロペラ推進力の変化やこれに関係する現象を調べるための模型実験などに適している。
【0085】
プロペラ推進力の相似は式(
42)で表される。
【数42】
【0086】
このとき、式(
37)より式(
43)が導出される。
【数43】
【0087】
無次元船速u’が実船と模型船で同じ値であるとき、式(
40)と式(
41)を考慮すると式(
44)を得る。
【数44】
【0088】
すなわち、プロペラ推進力の相似は、プロペラ荷重度が実船と模型船で等しいことを意味する。さらに、推力減少係数1−tがプロペラ荷重度t又は無次元船速u’の関数であるとすれば式(
45)が成り立つ。
【数45】
【0089】
式(
45)と式(
36)を比較すると、プロペラ推進力の相似は式(
46)と同値である。
【数46】
【0090】
このとき式(
34)より式(
47)の関係が得られる。
【数47】
【0091】
すなわち、プロペラ推進力の相似はいわゆる摩擦修正によって得られることがわかる。プロペラ推進力を実船と模型船で相似にするためには補助推力係数f
TAを1とおいた上で式(
33)により模型船の無次元プロペラ回転数n
m’を無次元船速u’の関数として求めてやればよい。
【0092】
(2)船速変化とプロペラトルクを相似にする方法
第2の方法では、船速変化の相似性だけではなく、プロペラトルクの相似性も確保する。当該方法は、外力下でのプロペラトルクの変化やこれに関係する現象、特に外力下で船速が変化する際に主機にかかる負荷を調べるための模型実験などに適している。
【0093】
実船と模型船のプロペラトルクの相似は式(
48)で与えられる。
【数48】
ここで、Qはプロペラトルクを表し、その無次化にはρL
4gを用いる。有効伴流係数を推力一致法で求めた場合、プロペラトルクQの無次元値はプロペラ単独性能を用いて式(
49)で表現される。
【数49】
ここで、上式でK
Qはトルクに関するプロペラ単独性能、η
Rはプロペラ船後効率比を示す。
【0094】
この方法では、式(
48)を拘束条件として模型船の無次元プロペラ回転数n
m’を求めた上で
式(
33)に基づいて対応する補助推力係数f
TAを求めることで模型船の無次元プロペラ回転数n
m’と補助推力係数f
TAをそれぞれ無次元船速u’の関数として求めることができる。
【0095】
(3)船速変化とプロペラ回転数を相似にする方法
第3の方法では、船速変化の相似性だけではなく、プロペラ回転数も実船と模型船で相似性を確保する。この場合、式(
50)に示すように、見掛けの前進率も実船と模型船で等しくなる。
【数50】
【0096】
本方法では、式(
51)に基づいて、模型船の無次元プロペラ回転数n
m’を決め、その上で、式(
33)に基づいて、対応する補助推力係数f
TAを求めることで模型船の無次元プロペラ回転数n
m’と補助推力係数f
TAをそれぞれ無次元船速u’の関数として求めることができる。
【数51】
【0097】
(4)船速変化と馬力を相似にする方法
第4の方法では、船速変化の相似性だけではなく、馬力の相似性も確保する。外力下での馬力の変化やこれに関係する現象、特に外力下で船速が変化する際の主機馬力を調べるための模型実験などに適している。
【0098】
馬力の相似は式(
52)で与えられる。
【数52】
【0099】
本方法では、式(
52)を拘束条件として模型船の無次元プロペラ回転数n
m’を求めた上で、式(
33)に基づいて、対応する補助推力係数f
TAを求めることで模型船の無次元プロペラ回転数n
m’と補助推力係数f
TAをそれぞれ無次元船速u’の関数として求めることができる。
【0100】
(5)船速変化の相似と共にプロペラスリップ比を一致させる方法
第5の方法では、船速変化の相似性だけではなく、プロペラスリップ比も実船と模型船で同じ値にする。このとき、プロペラ前進率も実船と模型船で同じ値となる。異なる伴流中ではあるが、プロペラの作動状況が相似にできるため、外力下で船速が変化する場合のプロペラ特性を調べるための模型実験などに適している。
【0101】
実船及び模型船のプロペラスリップ比s
s,s
mは、式(
53)により示される。
【数53】
【0102】
プロペラスリップ比s
s,s
mの一致は、式(
53)から示されるように、一致はプロペラ前進率J
s及びJ
mの一致にほかならない。
【0103】
この方法では、式(
54)を拘束条件として模型船の無次元プロペラ回転数n
m’を求めた上で、式(
33)に基づいて、対応する補助推力係数f
TAを求めることで模型船の無次元プロペラ回転数n
m’と補助推力係数f
TAをそれぞれ無次元船速u’の関数として求めることができる。
【数54】
【0104】
なお、式(
54)は式(
55)と同値である。
【数55】
【0105】
<計算例>
以下、対象実船をKVLCC1(平水中基準船速15.5kt)とし、その模型船は実船1/110の縮尺模型としたときの計算例について示す。計算対象とする項目は、船速変化を実船と相似にするための模型船の無次元プロペラ回転数n
m’及び補助推力係数f
TAの設定値並びに模型船の舵有効流入速度の無次元前後方向成分u
Rm’,プロペラスリップ比s
m,無次元補助推力T
A’,無次元化プロペラ推進力T
m’,無次元プロペラトルクQ
m’,無次元馬力P
m’の船速に対する変化とした。
【0106】
相似にすべき実船の状態は、プロペラ回転数n
s’、プロペラトルクQ’及び馬力P’を一定にした3状態のうち1つとする。また、模型船の状態は、船速u’の相似と同時に舵有効流入速度の無次元前後方向成分(舵効き)u
Rm’、プロペラ推進力T
m’、プロペラトルクQ
m’、馬力P
m’、プロペラスリップ比s
m、プロペラ回転数n
m’のいずれかを実船の舵効きu
Rs’、プロペラ推進力T
s’、プロペラトルクQ
s’、馬力P
s’、プロペラスリップ比s
s、プロペラ回転数n
s’と相似にした状態及び補助推力なし(w/oAT)で船速変化を実船と相似にした状態とした。
【0107】
計算に用いた係数において、平水中抵抗は3次元外挿法によるものとした。尺度影響と粗度修正はITTC法によるものとした。また、実船と模型船のプロペラ単独特性K
T,K
Q及び有効伴流係数1−wの尺度影響はITTC法によるものとした。また、形状影響係数、造波抵抗係数、推力減少係数1−t、プロペラ船後効率比η
R、舵位置の伴流係数とプロペラ位置の伴流係数の比ε及びプロペラ後流の増速率に関する係数κに尺度影響は考慮しないものとする。また、プロペラ船後効率比η
Rは1.0と仮定する。さらに、有効伴流係数1−w及び推力減少係数1−tは船速及びプロペラ荷重度によらず一定値とする。
【0108】
図1は、実船のプロペラ回転数n
s’を一定とし、模型船の舵有効流入速度の前後方向成分u
Rm’,プロペラ推進力T
m’,プロペラトルクQ
m’,馬力P
m’のいずれかを実船の舵有効流入速度の前後方向成分u
Rs’、プロペラ推進力T
s’、プロペラトルクQ
s’、馬力P
s’と相似にした状態にしたときの計算結果を示す。計算結果は、船速(無次元船速u’と平水中船速u
0’との比)を変化させたときの各項目の変化を示す。
【0109】
図2は、実船のプロペラ回転数n
s’を一定とし、模型船の舵有効流入速度の無次元前後方向成分u
Rm’,プロペラスリップ比s
m及びプロペラ回転数n
m’のいずれかを実船の舵有効流入速度の無次元前後方向成分u
Rs’,プロペラスリップ比s
s及びプロペラ回転数n
s’と相似にした状態にしたときの計算結果を示す。また、補助推力T
Aを与えなかった場合(w/oAT)の計算結果も同時に示す。計算結果は、船速(無次元船速u’を平水中船速u
0’)を変化させたときの各項目の変化を示す。
【0110】
図3は、実船のプロペラトルクQ
s’を一定とし、模型船の舵有効流入速度の前後方向成分u
Rm’,プロペラ推進力T
m’,プロペラトルクQ
m’,馬力P
m’のいずれかを実船の舵有効流入速度の前後方向成分u
Rs’、プロペラ推進力T
s’、プロペラトルクQ
s’、馬力P
s’と相似にした状態にしたときの計算結果を示す。計算結果は、船速(無次元船速u’を平水中船速u
0’)を変化させたときの各項目の変化を示す。
【0111】
図4は、実船のプロペラトルクQ
s’を一定とし、模型船の舵有効流入速度の無次元前後方向成分u
Rm’,プロペラスリップ比s
m及びプロペラ回転数n
m’のいずれかを実船の舵有効流入速度の無次元前後方向成分u
Rs’,プロペラスリップ比s
s及びプロペラ回転数n
s’と相似にした状態にしたときの計算結果を示す。また、補助推力T
Aを与えなかった場合(w/oAT)の計算結果も同時に示す。計算結果は、船速(無次元船速u’を平水中船速u
0’)を変化させたときの各項目の変化を示す。
【0112】
図5は、実船の馬力P
s’を一定とし、模型船の舵有効流入速度の前後方向成分u
Rm’,プロペラ推進力T
m’,プロペラトルクQ
m’,馬力P
m’のいずれかを実船の舵有効流入速度の前後方向成分u
Rs’、プロペラ推進力T
s’、プロペラトルクQ
s’、馬力P
s’と相似にした状態にしたときの計算結果を示す。計算結果は、船速(無次元船速u’を平水中船速u
0’)を変化させたときの各項目の変化を示す。
【0113】
図6は、実船の馬力P
s’を一定とし、模型船の舵有効流入速度の無次元前後方向成分u
Rm’,プロペラスリップ比s
m及びプロペラ回転数n
m’のいずれかを実船の舵有効流入速度の無次元前後方向成分u
Rs’,プロペラスリップ比s
s及びプロペラ回転数n
s’と相似にした状態にしたときの計算結果を示す。また、補助推力T
Aを与えなかった場合(w/oAT)の計算結果も同時に示す。計算結果は、船速(無次元船速u’を平水中船速u
0’)を変化させたときの各項目の変化を示す。
【0114】
<自由航走模型船の推進器関連特性実船相似装置>
図7は、本発明の実施の形態における自由航走模型船試験方法を実現するための自由航走模型船試験装置100を示す図である。
【0115】
自由航走模型船試験装置100は、
図7に示すように、自由航走模型船10に搭載されたアナログ/パルス変換器12、モータ増幅器14、ダクトファンモータ16及び検力計18と、自動追尾台車20に搭載されたカメラ22、検力計増幅器24及び制御コンピュータ(制御PC)26、プロペラ28及びプロペラ駆動部30、を含んで構成される。
【0116】
自由航走模型船10は、試験対象となる実際の船舶を模倣した模型船である。自由航走模型船10は、以下に説明する補助推力系とは別にプロペラ28等の主推力系を有し、水上を自由航走することができるように構成されている。プロペラ駆動部30は、自由航走模型船10の主駆動系であるプロペラ28を駆動するためのモータを含む。プロペラ駆動部30は、サーボモータ等の回転数を制御可能なモータとすることが好適である。
【0117】
自動追尾台車20は、カメラ22によって自由航走模型船10を撮像し、その情報に基づいて制御コンピュータ26による制御によって自由航走模型船10を自動に追尾するように構成されている。例えば、自動追尾台車20は、試験用プール上に配置されたレールに取り付けられ、レール上を走行することによって自由航走模型船10を追尾できるように構成される。さらに、自動追尾台車20の追尾によって自由航走模型船10の速度(船速)が測定され、制御コンピュータ26に入力される。
【0118】
自動追尾台車20の追尾によって自由航走模型船10の速度(船速)が測定され、制御コンピュータ26に入力される。制御コンピュータ26では、試験条件及び自由航走模型船10の速度に基づいて補助推力及びプロペラ回転数が設定され、設定された補助推力及びプロペラ回転数に応じた補助推力指令信号及びプロペラ回転数指令信号が生成される。補助推力指令信号は、アナログ/パルス変換器12、モータ増幅器14を介してダクトファンモータ16に入力され、ダクトファンモータ16が駆動される。これにより、ダクトファンモータ16によって自由航走模型船10に対して所望の補助推力が与えられる。また、プロペラ回転数指令信号は、プロペラ駆動部30に入力され、これによりプロペラ28の回転数が制御される。
【0119】
具体的には、補助推力付加手段としてダクトファンモータ16が搭載されている。ダクトファンモータ16は、アナログ/パルス変換器12に入力された補助推力指令信号に基づいて出力が制御され、その出力が自由航走模型船10の主推力系とは別に設けられた補助推力となる。アナログ/パルス変換器12に補助推力指令信号が入力されると、その信号に応じた推力を生み出すようにダクトファンモータ16を制御するパルス信号に変換され、パルス信号がモータ増幅器14によって増幅されてダクトファンモータ16に入力され、ダクトファンモータ16が駆動される。これにより、ダクトファンモータ16によって自由航走模型船10に対して所望の補助推力が与えられる。
【0120】
また、自由航走模型船10には、ダクトファンモータ16の出力を検出して出力する検力計18が搭載されている。検力計18は、ダクトファンモータ16の補助出力を検出して、検力計増幅器24へ出力する。
【0121】
自動追尾台車20には、検力計増幅器24が搭載されており、検力計18で検出された実際の補助出力が入力される。検力計増幅器24は、実際の補助出力を増幅して制御PC26に出力する。制御PC26は、検力計増幅器24から補助出力に応じた信号を受けて、補助出力を所望の値となるように補助推力指令信号を生成してアナログ/パルス変換器12へ出力する。このように、フィードバック制御を行うことによって、自由航走模型船10に対して所望の補助推力を付与することができる。
【0122】
また、
図8に示す自由航走模型船試験装置102のような構成としてもよい。自由航走模型船試験装置102では、検力計増幅器24及び制御コンピュータ(制御PC)26も自由航走模型船10に搭載される。なお、自由航走模型船試験装置100と同じ構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0123】
自由航走模型船試験装置102では、さらに船速検出器32が自由航走模型船10に搭載される。船速検出器32は、自由航走模型船10の速度(船速)を計測し、制御コンピュータ26に入力する。船速検出器32は、例えば、ピトー管等の速度計測手段から船速を求めてもよいし、GPS等の位置計測手段から得られる自由航走模型船10の位置の時間的な変化から船速を求めてもよい。また、電磁LOGセンサやドップラーLOGセンサ等を用いて対水船速を求めてもよい。
【0124】
また、
図9に示す自由航走模型船試験装置104のような構成としてもよい。自由航走模型船試験装置104では、船速検出器32の代わりに、自由航走模型船10には船速情報受信器34が搭載される。船速情報受信器34は、陸上に設けた船速検出器36から自由航走模型船10の船速の情報を受信し、制御コンピュータ26に入力する。船速検出器36は、例えば、光学的方法や無線を用いた方法により自由航走模型船10の船速を求めるようにすればよい。また、GPS等の位置計測手段から得られる自由航走模型船10の位置の時間的な変化から船速を求めてもよい。
【0125】
なお、自由航走模型船試験装置102,104では、自由航走模型船10に電池等の電源を搭載し、試験に必要な電力を当該電源から供給するようにしてもよい。これにより、自動追尾台車20等から外部電力を供給することなく、自由航走模型船10単体で試験を実施することができる。
【0126】
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態では、実船のプロペラ回転数が正転である場合のみを対象とした。しかしながら、同じ考え方はプロペラ逆転による停止性能の推定にも適用できる。実際、IMO操縦性基準に規定された逆転停止試験では逆転停止時に舵を中央に保持することとされており、さらに、プロペラ逆転時は一般に舵は効かないことが知られているからである。
【0127】
IMO操縦性基準で規定されている平水時に加えて、外乱下において自由航走模型船で逆転停止試験をおこなう場合、どのように補助推力と模型プロペラ回転数を制御すればよいかを以下に示す。
【0128】
助走時と逆転停止発令後のプロペラ正転中は第1の実施の形態に基づいて計算をおこなう。プロペラ回転数が逆転状態になると、舵の力は0とし、プロペラ逆転による不平衡力の前後力・左右力・回頭モーメント成分を考慮し、船速が0になるまで計算するのが従来の一般的な計算手順である。
【0129】
プロペラ逆転中の不平衡力は、船舶の見掛けの前進率J
Hの関数として整理される。船舶の見掛けの前進率J
Hは式(
56)で定義される。
【数56】
【0130】
船舶の見掛けの前進率J
Hは、船速の前後方向成分u、プロペラ回転数n、プロペラ直径Dによって表わされるが、プロペラ逆転時を考える場合にはプロペラ回転数nは負の値をとる。現在のところプロペラ逆転停止時の不平衡力の推定は模型実験によるしかない。
【0131】
理論計算におけるプロペラ逆転時の不平衡力は一般に船舶の見掛けの前進率J
Hの関数として与えていると思われる。固有の船の逆転停止性能を模型尺度のみで考える場合は逆転時の力を船舶の見掛けの前進率J
Hの関数として与えて問題ない。なお、プロペラ逆転中の不平衡力を船舶の見掛けの前進率J
Hではなく、式(
56)のプロペラ直径Dをプロペラピッチに置き換えた変数の関数と見なす場合もあるが、計算手順上の本質的な違いはない。
【0132】
ここで、プロペラ逆転時の尺度影響を考慮すると、前述の理論計算によれば逆転停止時の船体運動はプロペラ逆転時の不平衡力に支配されるから、尺度影響は船舶の見掛けの前進率J
Hに支配される。また、プロペラ逆転時の力を考えるとき、プロペラ周りの流場が支配的影響をおよぼすと考えられることから、実船と模型船の尺度影響を考える際にはこれらの力は船舶の見掛けの前進率J
Hではなくプロペラ前進率Jの関数と見なしたほうが適切と考える。ここで、プロペラ前進率Jは式(
57)で定義される。
【数57】
【0133】
尺度影響は伴流係数1−wに現れる。上記の考えに基づき、逆転停止性能の尺度影響を議論するためにプロペラ逆転時の不平衡力をプロペラ前進率Jの関数とみなす。なお、プロペラ前進率Jの関数と見なすことはプロペラスリップsの関数と見なすことに等しい。プロペラスリップsは式(
58)で定義される。
【数58】
ここで、Pはプロペラピッチを示す。
【0134】
逆転停止時の相似則を考慮する際に、模型船制御のために解くべき連立方程式について考察する。以下、第2の実施の形態においても、無次元値にダッシュ’を付けて示す。また、模型船と実船で異なる無次元値をとる変数は添え字にmとsをそれぞれ付ける。同じ無次元値をとる変数はmもsも付けない。
【0135】
プロペラ正転中は舵が効くので一般に舵効きの相似が必要となるので舵効き船速修正を適用する。外乱下の場合は舵効き船速修正が必須である。舵効き船速修正は式(
59)で表される。
【数59】
【0136】
式(
59)がプロペラ正転中に模型船を制御する補助推力係数f
TAと模型船のプロペラ回転数n
m’を求めるために解くべき方程式である。ただし、平水時のプロペラ正転中には特別な場合がある。平水中において助走時は直進中であり、IMO操縦性基準の規定に従えば逆転停止発令後も舵角0なので実は舵効きの相似は必要なく、プロペラ回転数は模型船自航点であっても実船自航点であってもあるいはそれら以外、たとえばプロペラ前進率Jを模型船と実船で一致させたプロペラ回転数nであっても、船速さえ相似であれば支障ない。
【0137】
プロペラが逆転に入ったら、プロペラ逆転時の不平衡力が相似になるように模型船のプロペラ前進率Jを実船と同じ値にする。プロペラ前進率Jを一致させることでプロペラ逆転時の不平衡力が相似になり、これが誘起する船体運動が相似になるので外乱力も相似になり、結果としての船体運動も相似になる。
【0138】
模型船と実船のプロペラ前進率J
m及びJ
sは式(
60)及び式(
61)で表される。
【数60】
【数61】
【0139】
プロペラ前進率Jの一致と前進速度の相似は次の連立方程式で表される。
【数62】
【0140】
式(
60)及び式(
61)から式(
62)は次式と同値である。
【数63】
【0141】
式(
62)又は式(
63)がプロペラ逆転中に模型船を制御する補助推力係数f
TAと模型プロペラ回転数n
m’を求めるために解くべき連立方程式である。式(
62)又は式(
63)を解くためにはまず実船のプロペラ回転数n
s’を与える必要がある。実船のプロペラ回転数n
s’は船速に無関係に時間の関数としてたとえば式(
64)のように与えられる。
【数64】
ここで、n
0s’は助走時のプロペラ回転数、n
rs’は指令逆転回転数を示す。指令逆転回転数n
rs’は負の値である。時刻0がプロペラ逆転発令時刻、t
1’はプロペラ回転数が0となる時刻、t
2’はプロペラ回転数が指令逆転回転数に達する時刻を示す。u’の初期値u
0s’は、助走時のプロペラ回転数n
0s’に対応した値として与えられる。逆転発令後のu’は、自由航走模型船の船速u’として時々刻々計測される。
【0142】
実船のプロペラ回転数n
s’と船速u’を条件として、時刻t
1’までは式(
59)を解いて、時刻t
1’以降は式(
62)又は式(
63)を解いて模型船のプロペラ回転数n
m’及び補助推力係数f
TAを時々刻々求めて模型船を制御すればよい。
【0143】
本実施の形態によれば、風や波等の外力の影響が考慮された自由航走模型試験を実現することができる。これにより、外力下においても自由航走模型試験によって実船の基本性能を推定することができる。