(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係止機構は、前記開閉ストッパーが閉じた状態で、前記開閉ストッパーの先端が、前記カンの前記係止用幅狭穴に位置する前記ベロの前記係合凸部の根元側の側面に、当該係合凸部を先端側に押しながら当接するように構成することで実現されていることを特徴とする請求項2記載の布部材留め具。
前記係止機構は、前記開閉ストッパーの先端に設けられたストッパー突起と、前記ベロの前記係合凸部の根元側の側面に設けられた、前記ストッパー突起が嵌まり込む係止切欠とを備えることを特徴とする請求項3記載の布部材留め具。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、布部材留め具として、脚に装着されたガーターストッキングがずり落ちるのを防ぐために、ガーターストッキングの上端開口の縁部を留めるガーターボストンについて説明する。
図1は、本実施形態に係るガーターボストンの開いた状態の斜視図である。
図2は、本実施形態に係るガーターボストンの閉じた状態の側面図である。
【0011】
図3は、本実施形態に係るカンの正面図である。
図4は、本実施形態に係る開閉ストッパーの構成を示す図であり、
図4(a)は正面図、
図4(b)は側面図である。
図5は、本実施形態に係るベロの構成を示す図であり、
図5(a)は正面図、
図5(b)は側面図である。
図6は、本実施形態に係るガーターボストンの使用態様を示す図である。
【0012】
ガーターボストン1は、カン10と、ヒンジ構造によってカン10に連結された開閉ストッパー20と、同じくヒンジ構造によってカン10に連結されたベロ30とを備える。ガーターボストン1は、カン10、開閉ストッパー20及びベロ30が重なり合って閉じた状態と、カン10を真ん中にしてカン10に対して開閉ストッパー20とベロ30とがそれぞれ所定の角度で逆方向に開いた状態との間で開閉自在である。
【0013】
また、開閉ストッパー20及びベロ30は、それぞれ独立してカン10に対して開閉自在であり、開閉ストッパー20の開閉軸をストッパー開閉軸、ベロ30の開閉軸をベロ開閉軸とする。ストッパー開閉軸とベロ開閉軸は平行であり、互いに近傍に位置している。また、本実施形態では、カン10の長手方向を縦方向、ストッパー開閉軸及びベロ開閉軸方向を横方向とし、縦方向において、開閉軸側を根元側、開閉先端側を先端側とする。
【0014】
カン10は、周枠11と、横桿12と、ヒンジ軸14とを備えている。周枠11の内部には、周枠11と横桿12とにより囲まれた、後述するベロ30の係合凸部32を係止するための係止用穴13が形成されている。係止用穴13は、根元側に位置する挿入用幅広穴13aと、先端側に位置する係止用幅狭穴13bとから構成されており、両者は連続してつながって一つの穴(係止用穴13)を構成している。
【0015】
ヒンジ軸14は、横桿12の根元側において、周枠11に対して横方向に一体に設置された棒状部材である。横桿12と、ヒンジ軸14と、周枠11の根元部分とによって囲まれた二つの穴は、後述するベロ30のヒンジ部37がカン10に係合するために通されるヒンジ用穴15として機能する。なお、周枠11、横桿12及びヒンジ軸14は、金属製であり、一体に形成されると共に、表面には合成樹脂がコーティングされている。
【0016】
開閉ストッパー20は、カン1に対して閉じることで、ベロ30が開くのを阻止する合成樹脂製のストッパーであり、後述するベロ30の折返し部39によって、カン10の根元部分に対してヒンジ構造で開閉自在に連結されている。開閉ストッパー20は、略長方形状の板であり、根元部分には、後述するベロ30のヒンジ部37が通される、横方向に延在する長穴であるヒンジ用穴21が形成されている。
【0017】
ベロ30のヒンジ部37がヒンジ用穴21に通されると、ヒンジ部37によって囲まれた、ヒンジ用穴21の根元側に位置する横方向に延在する部分がヒンジ軸22として機能し、開閉ストッパー20がカン10に対して開閉自在となる。
【0018】
ここで、開閉ストッパー20のサイズは、横方向の幅が略カン10と同じであり、縦方向の長さは、閉じた際に開閉ストッパー20の先端が、カン10の挿入用幅広穴13aの先端よりも若干根元側に位置すると共に、後述するように閉じているベロ30の係合凸部32の根元側の側面にちょうど当接する程度の長さである。よって、閉じた状態の開閉ストッパー20は、カン10の挿入用幅広穴13aの大部分を覆う形状及びサイズである。
【0019】
なお、開閉ストッパー20の先端には、後述するベロ30の係合凸部32の根元側の側面に形成された係止切欠341に嵌まり込むストッパー突起25が形成されている。また、開閉ストッパー20の両側面には、閉じた状態の開閉ストッパー20を開く際に爪を引っ掛けるための引っ掛け凹部26が形成されている。
【0020】
ベロ30は、カン10と略同じ大きさの合成樹脂製の部材であり、可撓性の帯状片31と、帯状片31の先端近傍のカン10側の面上に形成された係合凸部32と、帯状片31の根元部分に形成されたヒンジ部37とを備えている。
【0021】
係合凸部32は、カン10の係止用穴13に挿入されて係合する部分であり、先端側に位置する略円筒状で大径の頭部33と、根元側(帯状片31側)に位置する略円筒状で小径の首部34とを備えている。頭部33は、カン10の挿入用幅広穴13aを通過可能であるが、係止用幅狭穴13bを通過できない形状・サイズであり、首部34は、挿入用幅広穴13a及び係止用幅狭穴13bの双方を通過できる形状・サイズである。
【0022】
また、係合凸部32の根元側の側面では、首部34の部分がくびれておらず、頭部33と首部34の側面が同一平面上に位置している(
図5(b)等参照)。さらに、係合凸部32の根元側の側面には、頭部33から首部34にかけて先端側に向けて切り込まれた係止切欠341が形成されている。
【0023】
ヒンジ部37は、ヒンジ構造によるカン10との連結を実現するためにベロ30の根元側端部に形成された部分であり、帯状片31が折り返された部分である折返し部39と、根元側端部に形成された突起である返し爪38を備えている。
【0024】
カン10と開閉ストッパー20とベロ30とを連結する際には、ヒンジ部37をカン10のヒンジ用穴15aに通し、さらに開閉ストッパー20のヒンジ用穴21に通した後に、端部の返し爪38をヒンジ用穴15bに続けて挿入する。そうすると、返し爪38がカン10の横桿12等に引っ掛かり、ヒンジ部37がカン10に対して抜けないように係止される。
【0025】
これにより、ベロ30の根元部分のヒンジ部37が、カン10の根元部分のヒンジ軸14及び開閉ストッパー20の根元部分のヒンジ軸22の回りを周回して固定される。これにより、ベロ30は、折返し部39のヒンジ軸14近傍の部分をベロ開閉軸(回動軸)として、カン10に対して開閉自在となる。
【0026】
また、開閉ストッパー20のヒンジ軸22は、カン10のヒンジ軸14と一緒にベロ30の折返し部39に巻かれることで、カン10のヒンジ軸14とベロ30の折返し部39との間に挟まれる。この挟まれた空間においてストッパー開閉軸であるヒンジ軸22が回動することで、開閉ストッパー20はカン10に対して開閉自在となる。
【0027】
このように、本実施形態では、ベロ30がカン10に対してヒンジ(リビングヒンジ)構造により開閉自在に連結されると共に、開閉ストッパー20もカン10に対してヒンジ構造により開閉自在に連結される。
【0028】
リビングヒンジ構造により連結されたカン10とベロ30とは、ベロ30の係合凸部32をカン10の係止用穴13に挿入して係止させることで、カン10に対してベロ30を閉じた状態で固定することができる。閉じる前に、カン10とベロ30との間にガーターストッキングの上端開口の縁部を挟んでおくことで、ガーターボストン1によりガーターストッキング7の縁部を留めることができる(
図6参照)。
【0029】
係合凸部32を係止用穴13に挿入する際には、ベロ30を湾曲させながら係合凸部32を根元側に移動させ、カン10の挿入用幅広穴13aに頭部33を斜めに挿入する。このとき、本実施形態では、開閉ストッパー20がカン10に対して開閉自在であるため、係合凸部32を係止用穴13に挿入する際には、開閉ストッパー20を開いた状態としておけば、頭部33を挿入用幅広穴13aに容易に挿入することができる。
【0030】
挿入用幅広穴13aに挿入された頭部33は、係止用幅狭穴13b内には侵入できないが、首部34まで挿入用幅広穴13aに挿入されると、首部34は係止用幅狭穴13b内に進入できる。
【0031】
このとき、頭部33は、係止用穴13を通り抜けてカン10の反対側に飛び出している。よって、首部34が係止用幅狭穴13b内に位置する状態で、係合凸部32をカン10の先端側にスライドさせると、係合凸部32が係止用幅狭穴13bの先端付近まで移動することができる。
【0032】
係合凸部32が係止用幅狭穴13bの先端付近まで移動すると、係止用幅狭穴13b周囲の周枠11が頭部33と帯状片31との間に挟まれているため、係合凸部32は、スライド方向(長手方向)のみに移動することができ、挿入用幅広穴13aまで移動しない限り、係止用穴13から抜けることはない。
【0033】
一方、このように閉じた状態で係止されたガーターボストン1を開く際には、係合凸部32を挿入用幅広穴13aまでスライドさせれば、係止用穴13を貫通した頭部33を抜くことができる。これにより、係止状態が解除され、ガーターボストン1を開くことができる。
【0034】
ところで、
図2に示すように、係合凸部32を係止用穴13に挿入して係止用幅狭穴13bにおいて係止させ、ベロ30をカン10に対して閉じた状態で、開閉ストッパー20をカン10に重なるように閉じると、開閉ストッパー20は、カン10の係止用穴13の挿入用幅広穴13aの大部分を覆う状態となる。
【0035】
このため、閉じた状態で係止用幅狭穴13b内に位置するベロ30の係合凸部32が挿入用幅広穴13aへと移動しようとしても、頭部33が閉じた開閉ストッパー20の先端に衝突して移動できない。
【0036】
開閉ストッパー20を閉じた状態では、先端のストッパー突起25がベロ30の係合凸部32の根元側の側面に形成された係止切欠341に嵌まり込んで、係合凸部32を先端側に押している。よって、いったん閉じた開閉ストッパー20は、ストッパー開閉軸回りに容易には開かない。
【0037】
本実施形態では、開閉ストッパー20の側面に形成された引っ掛け凹部26に爪を引っ掛ける等して、開閉ストッパー20を開く方向に強く引っ張ることで、閉じた開閉ストッパー20を開くことができる。
【0038】
このように、閉じた状態の開閉ストッパー20は、ベロ30の係合凸部32が根元側に移動しないように制限するストッパーとして機能し、開閉ストッパー20が閉じた状態では、係合凸部32を係止用穴13から抜くことはできず、閉じたベロ30を開くことはできない。
【0039】
なお、開閉ストッパー20を閉じた状態で係止して固定するための係止機構としては、上述したような開閉ストッパー20の先端のストッパー突起25と、ベロ30の係合凸部32の根元側に形成された係止切欠341との組み合わせ限らず、適宜他の係止機構を採用することができる。
【0040】
例えば、開閉ストッパー20の先端のストッパー突起25とベロ30の係合凸部32の係止切欠341が無かったとしても、閉じた際に、開閉ストッパー20の先端が、係止用幅狭穴13bに位置する係合凸部32の根元側の側面に、当該係合凸部32を先端側に押しながら当接するように構成すれば、摩擦力により開閉ストッパー20は容易には開かず、係止機構を実現することができる。
【0041】
また、開閉ストッパー20のカン10側の面の両側部付近にカン10の周枠11に引っ掛けるような爪を設置したり、カン10の周枠11の側面に突起部を形成すると共に開閉ストッパー20に当該突起部が嵌まり込む凹部を設けたりすることで、係止機構を実現しても良い。
【0042】
以上、ガーターボストン1の構成について説明したが、続いて、
図6を参照しながら、ガーターボストン1の使用態様について説明する。ガーターボストン1は、腰回りに装着されたガーターベルトに吊り紐9によって吊り下げられた状態で、脚に装着されたガーターストッキングの上端開口縁部を留めることで、ガーターストッキング7を吊り上げるように使用することができる。
【0043】
ガーターボストン1を装着する際には、ベロ30が内側(脚側)、カン10が外側に位置する姿勢で、ガーターストッキング7の上端開口縁部を挟み込み、ベロ30の係合凸部32をカン10の係止用穴13に挿入して先端側へスライドさせて、ベロ30を閉じる。
【0044】
続いて、開閉ストッパー20を閉じれば、係合凸部32が根元側にスライドしないように阻止することができ、ベロ30を閉じた状態で固定することができる。よって、本実施形態によれば、ガーターストッキング7をカン10とベロ30との間に強固に挟み込んだ状態で固定することができ、ガーターボストン1が外れたりすることなく、ガーターストッキング7の縁部を安定して留めることができる。
【0045】
また、ガーターストッキング7を留めた状態のガーターボストン1では、閉じた状態の開閉ストッパー20が、カン10の挿入用幅広穴13aの部分を覆うカバーとなっている。
【0046】
従来のガーターボストン1であれば、カン10とベロ30との間に挟まれて皺状になったガーターストッキングがカン10の挿入用幅広穴13aから外部に露出して丸見えの状態である。これに対して、本実施形態であれば、開閉ストッパー20により挿入用幅広穴13aを覆うことで、ガーターストッキング7の挟まれた部分を覆い隠すことができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、開閉ストッパー20が平板であるため、表面側にロゴやデザイン等を容易に印刷することができ、装着時のデザイン性に優れたガーターボストン1を提供することができる。
【0048】
続いて、本実施形態の変形例1について説明する。本変形例1では、開閉ストッパー20’の構成が上記実施形態と異なっており、主として異なる構成について説明する。
図7は、本変形例1に係る開閉ストッパーの正面図である。
【0049】
本変形例1に係る開閉ストッパー20’は、上記実施形態に係る開閉ストッパー20と比較して、ヒンジ用穴21の側部に開口28が形成されており、ヒンジ用穴21の一部が開放されていることを特徴としている。
【0050】
このように、ヒンジ用穴21の側部が開放されていると、ヒンジ軸22の一端がどこにも接続されない自由端となり、開閉ストッパー20をカン10に対して連結する際に、ベロ30のヒンジ部37をその先端からヒンジ用穴21に通さなくても、開口28の部分からヒンジ部37をヒンジ用穴21に挿入することもできる。
【0051】
以上、本変形例1によれば、上記実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、既に連結されているカン10とベロ30に対して、後から開閉ストッパー20を追加で連結したり、開閉ストッパー20だけを外したりすることを容易に行うことができる。
【0052】
以上、変形例も含めて本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、ガーターボストンを構成する部材のサイズや形状等は適宜変更可能である。また、上記実施形態では、ベロとカンとを別材料から別体に構成したが、合成樹脂等の同じ材料から一体に成形しても良い。また、ベロは布製であっても良い。
【0053】
また、上記実施形態では、布部材留め具であるガーターボストンによって留める対象として、脚に装着されたガーターストッキング(筒状布部材)を例に挙げて説明したが、開口を有する筒状布部材に限らず、種々の布部材の縁部を布部材留め具で留めることができる。
【0054】
例えば、本発明者が特開2010−154994号公報で開示した筒状布部材であるおむつ用陰茎固定具の開口縁部を留めるためにも、本発明に係る布部材留め具を用いることができる。
【0055】
また、開閉ストッパーの形状も適宜変更可能であり、横紐を留めるためのエイトカンとして機能するように穴を開けても良いし、板状ではなく、ベロの頭部を覆うような立体的な以上であっても良い。