(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記ラウリン酸脂肪成分は、ココナッツオイル、ヤシ核油、ココナッツオイル留分、ヤシ核油留分、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の脂肪混合物。
【背景技術】
【0002】
トリグリセリド脂肪は、製菓産業において広く使用されている。多くの脂肪は、脂肪を最も安定な結晶形に転換する調質工程を必要とする。
【0003】
チョコレートは、不安定な多形性の結晶形のトリグリセリドからなり、不安定な形態からより安定な形態への遷移に関連する物理的変化を受ける傾向がある。これらの物理的変化は、チョコレートの外観および/または食感に悪影響を与える可能性がある。使用される加工条件に依存して、ココアバターは異なる結晶形に結晶化され得、それぞれの結晶形は異なる融点および密度を有する。調質の目的は、十分で均一な種結晶を製造して、調質状態を安定にし、その後のチョコレートの塊全体の結晶化を、安定な結晶形へと生じさせることである。適切に調質されたチョコレートは、鋳型からの分離(収縮)、硬度、ポキンと折れる性質、口の中での感触、風味、つや、およびファットブルームの抑制等の品質にとって重要である。
【0004】
同様に、チョコレート様の菓子類におけるココアバターに取って代わることが意図される脂肪の中には、同じ理由により調質される必要のある脂肪がある。
【0005】
脂肪の調質を促進するために、トリグリセリド脂肪に結晶化開始剤がしばしば加えられる。Modern Technology of Confectionery Industries with Formulae & Processes, Minni Jha, 2003, Asia Pacific Business Press Inc, 8178330997, page 208には、結晶化開始剤は、融点が55℃〜70℃である高融点トリグリセリドであり、これが脂肪中に2.5〜3%の割合で含まれるときに調質工程を促進すると記載されている。脂肪が溶融状態から冷却されるとき、結晶化開始剤が結晶を形成し、これらの結晶が、脂肪を望ましい多形性の結晶形において生じることを可能にする。
【0006】
欧州特許出願公開第803196号には、ランダムにエステル交換されたヤシステアリンのうち、中程度の融点をもつ留分を含むハードバター添加剤が記載されている。ハードバター添加剤組成物は、ファットブルームおよび/または脂肪の粒状化を防ぎ、調質工程無しにチョコレートまたはセンタークリーム等のハードバター製品の鋳型からの脱着性を向上させるために使用される。
【0007】
国際公開公報WO2012/084420号には、50〜85重量%の水相と15%〜50重量%の脂肪相とを含み、当該脂肪相は脂肪相の総重量の8〜50%の量のHOHトリグリセリドと脂肪相の総重量の1〜6%の量のHHHトリグリセリドとを含み、当該HHHトリグリセリドの少なくとも25%は少なくとも2つの異なる脂肪酸残基を含む、油中水型エマルション(「H」は16〜24個の炭素原子を有する飽和脂肪酸残基を表し、「O」はオレイン酸残基を表す)が記載されている。
【0008】
本出願人による係属中の欧州特許出願第13275192.6号(2013年8月22日出願)は、結晶化開始剤として使用することができる脂肪組成物であって、70重量%よりも多いパルミチン酸と2〜12重量%のP
2Oトリグリセリド(すなわち、2つのパルミトイル基と1つのオレオイル基とを有するトリグリセリド;PPOおよびPOP)とを含み(Pはパルミチン酸であり、Oはオレイン酸である)、SSOトリグリセリド:SOSトリグリセリドの重量比が0.3よりも大きい(Sはステアリン酸またはパルミチン酸であり、Oはオレイン酸である)脂肪組成物に関する。
【0009】
しばしば、液体油を含む食料製品も構造化剤を含んでいる。構造化剤は、一般的に室温(20℃)で固体である脂肪であり、油相に構造を与える。例えば、いくつかの菓子類の充填脂肪は液体油と構造化剤との混合物であり、当該構造化剤は液体油相中に結晶のネットワークを形成することによって当該混合物にある程度の硬さを与える。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の脂肪組成物は、パルミチン酸およびステアリン酸を合計で75重量%よりも多く含む。パルミチン酸およびステアリン酸の全てではないにしても殆どは、グリセリド(すなわち、トリグリセリドならびに存在し得る任意のモノグリセリドおよびジグリセリド)において共有結合した状態で存在する。好ましくは、本発明の脂肪組成物は、パルミチン酸およびステアリン酸を合計で80重量%よりも多く(例えば、80重量%〜90重量%)含む。
【0019】
本発明の脂肪組成物は、好ましくは10重量%〜60重量%のステアリン酸を含む。
【0020】
本発明の脂肪組成物は、好ましくは30重量%〜75重量%のパルミチン酸を含む。
【0021】
本発明の脂肪組成物は、1〜25重量%のオレイン酸、より好ましくは5〜25重量%(例えば、5〜20重量%、7〜18重量%または9〜15重量%)のオレイン酸を含む。オレイン酸の全てではないにしても殆どは、グリセリド(すなわち、トリグリセリドならびに存在し得る任意のモノグリセリドおよびジグリセリド)において共有結合した状態で存在する。
【0022】
本発明の脂肪組成物は、20重量%よりも多いP
2StトリグリセリドとPSt
2トリグリセリドとの混合物を含み(Pはパルミチン酸であり、Stはステアリン酸である)、好ましくは20重量%〜60重量%のP
2StトリグリセリドとPSt
2トリグリセリドとの混合物を含み、さらに好ましくは25重量%〜55重量%のP
2StトリグリセリドとPSt
2トリグリセリドとの混合物を含む。
【0023】
本発明の脂肪組成物は、トリグリセリドであるPPPとP
2StとPSt
2とを合計で55重量%よりも多く含み(Pはパルミチン酸であり、Stはステアリン酸である)、好ましくは58重量%よりも多く含み、最も好ましくは60〜70重量%含む。
【0024】
本書で使用されるとき、P
2StにはPPStおよびPStPが包含され、PSt
2にはPStStおよびStPStが包含される。
【0025】
本書で使用される脂肪酸の全パーセンテージは、グリセリドにおけるアシル基として結合している脂肪酸を指し、グリセリドにおけるアシル基として脂肪組成物に存在するC12〜C24脂肪酸の合計を基準とする重量である。本発明の組成物中に存在する脂肪酸のレベルは、GC−FAME等の当業者に周知の方法によって決定され得る。
【0026】
脂肪酸という用語は、本書で使用されるとき、12〜24個の炭素原子を有する直鎖の飽和または不飽和(モノ不飽和、ジ不飽和およびポリ不飽和を包含する)カルボン酸を指す。脂肪という用語は、概して、脂肪酸グリセリドの混合物を含む組成物を指す。
【0027】
本発明の脂肪組成物は、典型的には、90重量%よりも多いトリグリセリドを含み、より好ましくは少なくとも95重量%のトリグリセリドを含む。
【0028】
脂肪組成物は、P
2Stトリグリセリド:PPPトリグリセリドの重量比が0.5よりも大きく、好ましくは0.5〜5(例えば、0.5〜4)である。
【0029】
化学的エステル交換を含む方法によって製造される本発明の脂肪組成物のいくつかは、SSOトリグリセリド:SOSトリグリセリドの重量比が0.3よりも大きく、好ましくは0.5よりも大きく、さらに好ましくは0.7よりも大きい(Sはステアリン酸またはパルミチン酸であり、Oはオレイン酸である)。例えば、SSOは、PPO、PStO、StPOおよびStStOを包含する(Pはパルミチン酸であり、Stはステアリン酸である)。
【0030】
本発明の脂肪組成物は、好ましくは、ヤシ油ステアリンとシアオレインとの混合物、またはヤシ油ステアリンとステアリン酸との混合物をエステル交換することによって得られる生成物のステアリン留分である。エステル交換は、例えば、塩基(例えば、ナトリウムメトキシド)等の触媒を用いて化学的に、または、例えばリパーゼ(例えば、Rhizopus oryzae由来、またはThermomyces lanuginosus由来)を用いて酵素学的に行われてもよい。
【0031】
脂肪および油を、高い融点の留分と低い融点の留分とに分留することは、当業者に周知の技術である。低い融点の留分はオレインと称され、高い融点の留分はステアリンと称される。分留は、アセトン等の溶媒の存在下で行われてもよいし(湿潤)、溶媒を使わずに行われてもよい(乾燥)。特に、本発明の方法の(c)における分留は、乾燥分留によって行われてもよい。
【0032】
本発明の脂肪組成物は、好ましくは5〜50重量%のトリグリセリドPPP(Pはパルミチン酸である)を含む。
【0033】
脂肪組成物は、好ましくは12重量%よりも多いステアリン酸を含み、より好ましくは13〜60重量%のステアリン酸を含む。
【0034】
本発明の脂肪組成物の飽和脂肪酸(SAFA)含有量は、存在する脂肪酸を基準として、好ましくは75〜95重量%であり、好ましくは80〜90重量%である。本発明の脂肪組成物のモノ不飽和脂肪酸(MUFA)の含有量は、存在する脂肪酸を基準として、好ましくは1〜25重量%であり、より好ましくは5〜20重量%である。
【0035】
脂肪の物理的性質はN値で定義されることがある。これらは、所与の(given)温度における組成物中の固体脂肪のパーセンテージを表す。したがって、Nxという用語は、NMRと組み合わせた技術によって測定された、x℃という温度における固体脂肪含量を指す。N値を決定する方法は、ISO法8292−1またはACCS Cd 16b−93である。本発明の脂肪組成物は、好ましくは90よりも大きいN10を有し、80よりも小さい(75よりも小さい(例えば、60〜80)等)N40を有する。
【0036】
本発明の好ましい脂肪組成物は、
75重量%よりも多いパルミチン酸およびステアリン酸;
5〜25重量%のオレイン酸;ならびに
25〜60重量%のP
2StトリグリセリドとPSt
2トリグリセリドとの混合物(Pはパルミチン酸であり、Stはステアリン酸である)
を含んでおり、
P
2Stトリグリセリド:PPPトリグリセリドの重量比が0.5〜5である。
【0037】
本発明の別の好ましい脂肪組成物は、
75〜95重量%のパルミチン酸およびステアリン酸;
5〜20重量%のオレイン酸;
5〜50重量%のトリグリセリドPPP;ならびに
20〜60重量%のP
2StトリグリセリドとPSt
2トリグリセリドとの混合物(Pはパルミチン酸であり、Stはステアリン酸である)
を含んでおり、
P
2Stトリグリセリド:PPPトリグリセリドの重量比が0.5〜5である。
【0038】
本発明のさらに好ましい脂肪組成物は、ヤシ油ステアリンとステアリン酸源(好ましくは、シアバター、シアバターの留分(シアオレイン等)、またはステアリン酸)とのエステル交換混合物のステアリン留分であって、
75重量%よりも多いパルミチン酸およびステアリン酸;
5〜20重量%のオレイン酸;ならびに
20重量%よりも多いP
2StトリグリセリドとPSt
2トリグリセリドとの混合物(Pはパルミチン酸であり、Stはステアリン酸である)
を含んでおり、
P
2St:PPPトリグリセリドの重量比が0.5よりも大きい。
【0039】
本発明の脂肪混合物は、0.5〜10重量%、好ましくは1〜7重量%(2〜5重量%または2.5〜3.5重量%等)の本発明の脂肪組成物を、当該脂肪混合物の残部としての1以上の他の脂肪と共に含む。
【0040】
本発明の脂肪混合物中の1つ以上の他の脂肪として好ましくは、非水素化ヤシ留分および/またはラウリン脂肪が挙げられる。
【0041】
脂肪混合物は、少なくとも30重量%の1つ以上の非水素化ヤシ留分および/または液体油(ヒマワリ油、ナタネ油、オレイン高含有ヒマワリ油、またはこれらの混合物等)を含んでいてもよい。好ましくは、非水素化ヤシ留分は、ヤシオレイン(55よりも大きい、または60よりも大きいIVを有するヤシオレイン等)である。
【0042】
別の実施態様では、脂肪混合物は少なくとも80重量%のラウリル脂肪成分を含む。ラウリル脂肪成分は、好ましくは、ココナッツオイル、ヤシ核油、ココナッツオイル留分、ヤシ核油留分、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0043】
本発明の好ましい脂肪混合物は、
(i)1〜5重量%の、ヤシ油ステアリンとステアリン酸源(シアオレイン等)とのエステル交換混合物のステアリン留分であって、
75重量%よりも多いパルミチン酸およびステアリン酸;
5〜25重量%のオレイン酸;ならびに
20重量%よりも多いP
2StトリグリセリドとPSt
2トリグリセリドとの混合物(Pはパルミチン酸であり、Stはステアリン酸である)を含んでおり、
上記脂肪組成物は、P
2Stトリグリセリド:PPPトリグリセリドの重量比が0.5よりも大きく、および
(ii)95重量%〜99重量%の、非水素化ヤシ留分、非水素化ヤシ留分と液体油との混合物、ラウリン脂肪、およびそれらの混合物から選択される1つ以上の他の脂肪、
を含む。
【0044】
本発明の脂肪組成物および脂肪混合物は、好ましくは植物由来である。植物由来の脂肪は、好ましくは植物源から直接的または間接的に得られる。植物性脂肪は、好ましくは精製されている。用語「精製される」は、本書で使用されるとき、脱色工程とそれに続く濾過および脱臭工程とを少なくとも含む方法(蒸気精製等)によって脂肪の純度が高くなる方法を指す。脂肪は、典型的には、水素化されない。
【0045】
植物性脂肪は多量のコレステロールを含まないので、本発明の脂肪組成物および脂肪混合物は、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満のコレステロールを含む。
【0046】
また、非水素化植物性脂肪は多量のトランス脂肪を含まないので、本発明の脂肪組成物および脂肪混合物は、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満のトランス脂肪酸を含む。
【0047】
脂肪混合物は、典型的には、エマルション(油中水型エマルションまたは水中油型エマルション等)の形態ではない。
【0048】
本発明の脂肪組成物を製造する方法は、
(a)ヨウ素価(IV)が10〜40であるヤシ油ステアリンを得るためにヤシ油を分留する工程;
(b)このようにして得られたヤシ油ステアリンをステアリン酸源(ココアバター、ココアバター留分、シアバター、シアオレイン等のシアバターの留分、またはステアリン酸等)を用いてエステル交換する工程(ステアリン酸源は、好ましくはシアバター、シアオレイン等のシアバターの留分、またはステアリン酸である);および
(c)工程(b)のエステル交換生成物を分留し(好ましくは乾燥分留による)、工程(b)のエステル交換生成物を基準として8〜25重量%の収率でステアリン留分を生産する工程
を含む。
【0049】
上記(b)におけるエステル交換は、化学的に行われてもよいし、酵素学的に行われてもよいが、好ましくは、化学的なランダムな交換反応である。エステル交換は、好ましくは、適当な触媒の存在下で行われる。ナトリウムメトキシドは、化学的なランダムなエステル交換の好ましい触媒である。
【0050】
ヨウ素価は、AOCS Cd 1c−85によって決定され得る。
【0051】
本発明の脂肪組成物を製造する好ましい方法は、
(a)ヨウ素価(IV)が10〜40であるヤシ油ステアリンを得るためにヤシ油を分留する工程;
(b)このようにして得られたヤシ油ステアリンを、シアオレインおよび/またはステアリン酸を用いてエステル交換する工程;および
(c)工程(b)のエステル交換生成物を分留し、工程(b)のエステル交換生成物を基準として8〜25重量%の収率でステアリン留分を生産する工程
を含む。
【0052】
本発明の脂肪組成物を製造する別の好ましい方法は、
(a)ヨウ素価(IV)が10〜40であるヤシ油ステアリンを得るためにヤシ油を分留する工程;
(b)このようにして得られたヤシ油ステアリンを、シアオレインを用いてエステル交換する工程;および
(c)30〜50℃の温度で工程(b)のエステル交換生成物を乾燥分留し、工程(b)のエステル交換生成物を基準として8〜25重量%の収率でステアリン留分を生産する工程
を含む。
【0053】
本発明の脂肪組成物を製造するさらに別の好ましい方法は、
(a)ヨウ素価(IV)が20〜40であるヤシ油ステアリンを得るためにヤシ油を分留する工程;
(b)このようにして得られたヤシ油ステアリンを、ステアリン酸を用いてエステル交換する工程;および
(c)15〜30℃の温度で溶媒としてアセトンを用いて、溶媒分留によって工程(b)のエステル交換生成物を分留し、工程(b)のエステル交換生成物を基準として8〜25重量%の収率でステアリン留分を生産する工程
を含む。
【0054】
本発明の脂肪組成物は、菓子類またはベーカリーへの適用において脂肪または脂肪混合物の結晶化を促進する、高める、または加速するために使用されてもよい。換言すれば、脂肪組成物は、結晶化開始剤として使用されてもよい。
【0055】
驚くべきことに、本発明の脂肪組成物は、結晶化開始剤として機能するだけでなく、脂肪混合物において構造形成性を提供することもできる。したがって、脂肪混合物の硬度を上げることができ、一定の食品用途においてより有用な脂肪組成物である。
【0056】
当該脂肪混合物は、20℃における硬度が、本発明の組成物を含まない脂肪混合物中の1つ以上の脂肪よりも大きい脂肪混合物であり得る。
【0057】
本発明の脂肪組成物および脂肪混合物は、菓子類製品において使用されてもよい。
【0058】
本発明の菓子類製品は、少なくとも20重量%の本発明に係る脂肪混合物と、少なくとも30重量%の糖とを含む。
【0059】
本発明によって製造される菓子類製品は、典型的にはチョコレート様の製品であり、例えば、棒状、充填物、ビスケットクリームおよび菓子用コーティングから選択され得る。菓子類製品は、好ましくは、スキムミルク粉末、ココアバター、ナッツベース材料(例えば、ヘーゼルナッツ片および/またはヘーゼルナッツペースト)、および乳化剤(例えば、レシチン、PGPR、ソルビタントリステアレートまたはそれらの混合物)等の1つ以上の他の成分を含むであろう。さらなる任意成分として、着香料(例えば、バニラ、バニリン、ミント、オレンジ等)、着色料および添加物(菓子類および果物片等)が挙げられる。
【0060】
本発明の菓子類製品は糖を含む。糖としては、例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、およびそれらの混合物が挙げられる。糖は、典型的にはスクロースである。糖は好ましくは粉末化されている。好ましくは、糖は、本発明の菓子類製品中に、組成物の重量を基準として、30〜70重量%、より好ましくは35〜55重量%で、さらに好ましくは40〜50重量%の量において存在する。
【0061】
本発明の菓子類製品は、好ましくは、20〜50重量%(25〜40重量%等)の量において脂肪混合物を含む。
【0062】
好ましくは、菓子類製品は、少なくとも5%の、ミルク粉末、植物性ミルク粉末、乳製品粉末、またはそれらの混合物を含む。好ましい菓子類製品は、少なくとも5%のナッツベース材料を含む菓子用充填物である。
【0063】
レシチンは、好ましい乳化剤であり、菓子類製品の1重量%まで(0.1〜1重量%等)の量において存在することが好ましい。
【0064】
菓子類製品は、ココア粉末を含んでもよく、菓子類製品の15重量%まで(1〜15重量%等)の量において含むことがより好ましい。
【0065】
本発明の好ましい菓子類製品は、35〜55重量%の糖および25〜50重量%の脂肪混合物を含み、当該脂肪混合物は、
(i)1〜5重量%の、ヤシ油ステアリンとステアリン酸源(好ましくは、シアバター、シアオレイン等のシアバターの留分、またはステアリン酸)とのエステル交換混合物のステアリン留分であって、
75重量%よりも多いパルミチン酸およびステアリン酸;
5〜25重量%のオレイン酸;ならびに
25重量%〜60重量%のP
2StトリグリセリドとPSt
2トリグリセリドとの混合物(Pはパルミチン酸であり、Stはステアリン酸である)
を含んでおり、
P
2Stトリグリセリド:PPPトリグリセリドの重量比が0.5〜5である、ステアリン留分と、
(ii)95重量%〜99重量%の、非水素化ヤシ留分、非水素化ヤシ留分と液体油との混合物、ラウリン酸脂肪、およびそれらの混合物から選択される1つ以上の他の脂肪と、を含む。
【0066】
本発明の組成物および製品における全ての成分のパーセンテージ量が、言及されていない成分を含めて、合計100%になることが理解されるであろう。
【0067】
菓子類製品またはベーカリー製品にコーティングが施されてもよい。菓子類はアイスクリームを包含する。菓子類製品は、周囲温度(すなわち、5〜30℃)で販売および/または消費される製品上のコーティングとして使用されてもよい。
【0068】
菓子類製品は、ベース製品(好ましくは焼き菓子である)に部分的な、または完全なコーティングをするために使用されてもよい。ベーカリー製品は、典型的にはオーブン中で焼かれる。ベーカリー製品は、好ましくは小麦粉を使って作られる。ベーカリー製品の例としては、ビスケット、クッキー、ケーキ、ドーナッツおよびパイ類(pastries)が挙げられる。カップケーキは、本発明のための焼き菓子類製品の特に好ましい例である。
【0069】
コーティングされたベーカリー製品は、菓子類製品を溶かし(例えば、35℃よりも高い温度)、それをコーティングされていないベーカリー製品に付け(例えば、コーティングされていないベーカリー製品上にそれを注ぐことによって、またはその中にコーティングされていないベーカリー製品を浸すことによって)、温度を低くしてそれを冷却することで当該菓子類製品を固化させることによって製造され得る。適当な方法は、当業者に公知である。
【0070】
コーティングされたベーカリー製品は、さらに、アイシングおよび/もしくはチョコレートの糸もしくはチップまたは糖の糸(これは一色または多色であり得る)等のコーティングに付着する成分で装飾されてもよい。
【0071】
菓子類製品は、また、本発明の組成物でコーティングされてもよい。適当な菓子類製品としては、チョコレート、チョコレート様製品およびゼリーが挙げられる。
【0072】
本明細書の、明らかに先に公開された文書に関する列挙または議論は、当該文書が技術水準の一部である、または普通の一般的知識であることを認めるものとして必ずしも理解されるべきではない。
【0073】
本発明の所与の局面、実施態様、特徴またはパラメータに関する優先および選択肢は、文脈において別途示さない限り、本発明の全ての他の局面、実施態様、特徴およびパラメータについて、任意のおよび全ての優先および選択肢と組み合わせて開示されたものとみなされるべきである。例えば、脂肪組成物の好ましい特徴は、当該脂肪組成物が本発明の脂肪混合物において使用される場合に適用されてもよく、また、脂肪混合物の好ましい特徴は、当該脂肪混合物が菓子類製品において使用される場合に適用されてもよい。
【0074】
以下の非限定的な実施例は、本発明を説明するものであり、その範囲を限定するものでは全くない。実施例および本明細書全体において、全てのパーセンテージ、部および比は、別に記載がある場合を除き、重量による。
【実施例】
【0075】
〔実施例1〕
ヨウ素価14のヤシステアリン40重量%とシアオレイン60重量%との混合物約1200gを、ナトリウムメトキシドを用いて化学的にエステル交換した。エステル交換した混合物を、40℃で乾燥分留した。得られた油をまず70℃に加熱し、次いで以下のように35℃〜45℃に冷却した:
3〜7時間かけて70℃から40℃〜47℃まで下げる、
40℃〜47℃で2〜8時間保持する、
5〜10時間かけて35℃〜45℃にさらに冷却し、この温度で5〜10時間保持する。
【0076】
形成された結晶を、圧濾過を用いて分離した。スラリーを以下のプログラムを使って圧搾した:
0〜24バールへ圧力を60分間かけて増加させて、24バールで30分間圧搾する。
【0077】
このようにして、収率約19%でステアリンが得られた。分析結果は表1(製造物1)に示されている。
【0078】
このステアリン留分は、結晶化/構造化剤として、水素化ヤシ油60(hPO60)に取って代わるのに適している。
【0079】
〔実施例2〕
ヨウ素価34のヤシステアリン80重量%とシアオレイン20重量%との混合物約890gを、ナトリウムメトキシドを用いて化学的にエステル交換した。エステル交換した混合物を、37℃〜45℃で乾燥分留した。得られた油をまず70℃に加熱し、次いで以下のように37℃〜45℃に冷却した:
1〜5時間かけて70℃から48℃〜52℃まで下げる、
48℃〜52℃で2〜6時間保持する、
5〜10時間かけて37℃〜45℃にさらに冷却し、この温度で5〜10時間保持する。
【0080】
形成された結晶を、圧濾過を用いて分離した。スラリーを以下のプログラムを使って圧搾した:
0〜24バールへ圧力を60分間かけて増加させて、24バールで30分間圧搾する。
【0081】
このようにして、収率約20%でステアリンが得られた。分析結果は表1(製造物2)に示されている。
【0082】
このステアリン留分は、結晶化/構造化剤として、水素化ヤシ油60(hPO60)に取って代わるのに適している。
【0083】
〔実施例3〕
ヤシ油中融点留分(PMF IV34)50重量%とステアリン酸50重量%との混合物約1200gを、エステル交換した。この反応は、Rhizopus oryzae由来の1,3−特異的リパーゼを触媒とした。エステル交換したPMF((PMF IV34)中の)を、溶媒としてアセトンを用いて20〜25℃で溶媒分留した。溶媒/油混合物を、撹拌しながら20℃〜25℃へ冷却した。形成された結晶を濾過し、溶媒を蒸留によって蒸発させた。得られた上層のステアリン留分(約10%収率)は、水素化ヤシ油60(hPO60)の代替品として利用し得た。分析結果は表1(製造物3)に示されている。
【0084】
【表1】
【0085】
〔実施例4〕
構造特性を硬度の測定によって決定した。ヨウ素価64のヤシオレインを液体油として用いた。120gのPOf IV64に3重量%の製造物1〜3を加えた。この油混合物を60℃に加熱し、その後室温まで冷却した。冷却したサンプルは、10℃で3日間保存した。サンプルを、ブルックフィールドテクスチュア分析器を用いて測定した。サンプルを冷蔵庫(10℃)から取り出し、直径12.7mmのプラスチック製円筒型プローブで一度突き通した。最大の力(加圧時に測定)を記録し、最大の硬度として表した。突き通す速度および距離は、それぞれ2.0mm/秒および10mmに設定した。結果は表2に示されている。
【0086】
【表2】