(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562365
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/40 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
D06F37/40 A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-539640(P2017-539640)
(86)(22)【出願日】2015年11月23日
(65)【公表番号】特表2018-503464(P2018-503464A)
(43)【公表日】2018年2月8日
(86)【国際出願番号】CN2015095296
(87)【国際公開番号】WO2016119513
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2017年12月22日
(31)【優先権主張番号】201510048097.8
(32)【優先日】2015年1月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】呂佩師
(72)【発明者】
【氏名】楊林
(72)【発明者】
【氏名】張剛金
(72)【発明者】
【氏名】田云
(72)【発明者】
【氏名】周春霞
【審査官】
高田 基史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−210892(JP,A)
【文献】
特開平05−196059(JP,A)
【文献】
特開平09−191724(JP,A)
【文献】
特開平03−284295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00−51/02
58/00−60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内槽、外槽、減速クラッチ、内槽の底部に配置された第1排水孔、および、外槽の底部に設けられた排水制御機構を備える洗濯機であって、
前記減速クラッチは、
入力軸と、入力スリーブと、ギアトレーンと、パルセータを駆動する出力軸と、内槽を駆動する出力スリーブと、入力スリーブの外側に位置し、入力スリーブと摺動可能、回転不可能に接続するクラッチスリーブとを含み、
前記入力軸が前記ギアトレーンを介して前記出力軸と接続され、前記入力スリーブが前記出力スリーブと接続され、前記クラッチスリーブが軸方向に下部まで摺動して駆動装置と接続され、上部まで摺動して固定プレートと接続され、
前記クラッチスリーブ上部が、前記固定プレートとの嵌合部分に少なくとも1つの突起を有し、前記固定プレートには前記突起と対応する凹部が設けられ、
前記クラッチスリーブが上部まで摺動し、円周方向で1つの位置のみが固定プレートと接続することができ、
前記クラッチスリーブ上部の前記突起と前記内槽の前記第1排水孔との間の夾角と、前記突起と嵌合される前記固定プレートの前記凹部と前記外槽の前記排水制御機構との間の夾角とが等しいことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記クラッチスリーブが前記固定プレートと歯により接続され、前記クラッチスリーブが一周回転すると、1つの位置で、前記クラッチスリーブの前記突起が前記固定プレートの前記凹部に挿入され、両者を嵌合接続することができ、該接続位置により、入力スリーブ、出力スリーブおよび内槽が、円周方向の定位を実現することを特徴とする、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記クラッチスリーブ上部が、前記固定プレートとの嵌合部分に前記突起を1つのみ有し、前記固定プレートに前記突起と対応する前記凹部が1つのみ設けられ、前記突起の形状および大きさが前記凹部の形状および大きさと同じであり、両者が嵌合すると、周方向に相対して回転することができず、これにより前記内槽を定位することを特徴とする、請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記クラッチスリーブ上部が、前記固定プレートとの嵌合部分に複数の前記突起を有し、このうちの1つの突起の形状および/または大きさが、その他の突起の形状および/または大きさと異なり、前記固定プレートに、前記突起と対応する凹部が設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記クラッチスリーブ上部が、固定プレートとの嵌合部分に複数の突起を有し、複数の突起が円周上で不均等に設置され、前記固定プレートに突起と対応する凹部が設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記クラッチスリーブの上端面が前記固定プレートの下端面と嵌合接続し、
前記クラッチスリーブの上端面に突起を有し、前記固定プレートの下端面に凹部を有するか、
または前記クラッチスリーブの上端面に凹部を有し、前記固定プレートの下端面に突起を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記クラッチスリーブ上部の外円周が、前記固定プレート下部の内円周と嵌合接続し、
前記クラッチスリーブ上部の外円周に突起を有し、前記固定プレート下部の内円周に凹部を有するか、
または前記クラッチスリーブ上部の外円周に凹部を有し、前記固定プレート下部の内円周に突起を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記クラッチスリーブ上部の内円周が、前記固定プレート下部の外円周と嵌合接続し、 前記クラッチスリーブ上部の内円周に突起を有し、前記固定プレート下部の外円周に凹部を有するか、
または前記クラッチスリーブ上部の内円周に凹部を有し、前記固定プレート下部の外円周に突起を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記内槽上部に第2排水孔が1周に設けられ、洗濯時、内槽は水槽であり、内槽、外槽の間に水は存在しないことを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯機の分野に関し、特に内槽を定位することができる減速クラッチおよび洗濯機である。
【背景技術】
【0002】
既存のパルセータ式洗濯機は内槽に透水孔を有し、内外槽間は通じる。内槽は洗濯槽、外槽は水槽であり、内槽および外槽の側壁の間に充満するこの部分の水は、洗濯に関与しない。洗濯に関与するのは内槽中の水のみであり、これにより水資源の浪費が比較的多くなる。他に、内外槽間の水が過度に多いと、洗濯液中の洗剤/粉末洗剤の濃度が低下する。これと同時に、水流は内槽、外槽の間で頻繁に出入りするため、使用し続けると、内槽および外槽の側壁間の領域は、汚れが隠れた空間にもなる。水道水の水垢、粉末洗剤の遊離物、衣類のセルロース、人体の有機物、衣類がもたらす埃および細菌は、内槽および外槽の側壁間に極めて容易に溜まる。これらのカビは、長く使用している洗濯機内部に蓄積した大量の汚れであり、効果的に除去することができないために繁殖したものである。ユーザから見えないこれらの汚れを洗浄しない場合、次回の洗濯で細菌が衣類に付着し、人体に交差感染する問題が引き起こされる。
【0003】
中国特許第201210011789.1号明細書は密封式の内槽に関し、一体につながる側壁および底部を含む。前記側壁、底部は密封して設置され、側壁の頂部に排水溝が設けられる。内槽内の水流および衣類内の水分は、全て該排水溝から内槽外に排出される。さらに密封式の内槽を応用した洗濯機および洗濯機の衣類洗浄方法に関する。内槽の無孔設計により、洗濯水を内槽および外槽間の領域に進入させる必要はなく、これにより洗濯水を大幅に節約する目的を達成する。さらに、内槽および外槽間の領域に溜まった汚れ、繁殖した細菌が、水流によって内槽の衣服と接触することはなく、これにより細菌の交差感染を効果的に防止することができる。洗濯機の使用をより衛生的、エコ、安全にするが、あらゆる水が上部から排出され、水中の糸屑、泥、砂などはきれいに排出されない。内槽中に溜まり、次回の洗濯時に汚染となる。
【0004】
中国特許第200420107890.8号明細書は全自動洗濯機に関し、主に筐体、洗濯脱水槽、水槽および駆動装置を含む。水槽は洗濯脱水槽の外側に取り付けられて、筐体と固定接続され、水槽の内壁底面と洗濯脱水槽の外壁底面との間に密封装置が設けられ、密封装置内で密封空洞を形成する。洗濯脱水槽の外側壁は貫通孔が無く、底部に密封空洞と通じる排水孔が設けられる。水槽に排水管とつながる第1排水孔が設けられ、排水管に排水バルブが設けられる。水槽は、吊棒で筐体と固定接続される。吊棒の一端は筐体の上端の内壁と接続され、もう一端は水槽の外壁と接続される。しかし長時間運転すると、密封構造が長時間の運転で摩耗するため、容易に摩耗による漏水が引き起こされる。水質が比較的悪く、砂の含有量が比較的高い場合、使用寿命は大幅に短くなり、あるべき機能を示すことができなくなる。洗濯容量が多い状態での使用にも適応せず、信頼性が比較的劣る。
【0005】
好ましい方式は、内槽底部にある排水孔を内槽底部の中心部分に設けず、内槽底部の一側に設け、排水孔の制御構造を外槽底部に設けることである。しかし、一側に設けた場合、脱水時に内槽が回転するため、脱水が終了するたび、または洗濯の取水の前に、内槽を定位し、内槽の排水孔が外槽の排水孔の制御構造と正確に合うことを保証する必要がある。
【0006】
このことを考慮して、本発明を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特許第201210011789.1号明細書
【特許文献2】中国特許第200420107890.8号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は既存技術の不足を克服することであり、内槽を定位することができる減速クラッチおよび洗濯機を提供する。減速クラッチは洗濯、脱水状態の切替を制御することも、内槽を定位、ロックすることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
該目的を実現するため、本発明は以下の技術案を採用する。内槽を定位することができる減速クラッチは、入力軸と、入力スリーブと、ギアトレーンと、パルセータを駆動する出力軸と、内槽を駆動する出力スリーブと、入力スリーブの外側に位置し、入力スリーブと摺動可能、回転不可能に接続するクラッチスリーブとを含む。入力軸はギアトレーンを介して出力軸と接続し、入力スリーブは出力スリーブと接続する。クラッチスリーブは軸方向に下部まで摺動して駆動装置と接続し、上部まで摺動して固定プレートと接続する。前記クラッチスリーブが上部まで摺動し、円周方向で1つの位置のみが固定プレートと接続することができる。該接続位置により、入力スリーブ、出力スリーブおよび内槽は、円周方向の定位を実現する。
【0010】
前記クラッチスリーブは、前記固定プレートと歯により接続される。前記クラッチスリーブ上部は、固定プレートとの嵌合部分に少なくとも1つの突起を有し、固定プレートに突起と対応する凹部が設けられる。クラッチスリーブが一周回転すると、1つの位置で、クラッチスリーブの突起が固定プレートの凹部に挿入され、両者を嵌合接続することができる。該接続位置により、入力スリーブ、出力スリーブおよび内槽は、円周方向の定位を実現する。
【0011】
前記クラッチスリーブ上部は、固定プレートとの嵌合部分に突起を1つのみ有し、前記固定プレートに、突起と対応する凹部が1つのみ設けられる。前記突起の形状および大きさは、凹部の形状および大きさと同じである。両者が嵌合すると、周方向に相対して回転することができず、これにより内槽を定位する。
【0012】
前記クラッチスリーブ上部は、固定プレートとの嵌合部分に複数の突起を有し、このうちの1つの突起の形状および/または大きさは、その他の突起の形状および/または大きさと異なる。前記固定プレートに、突起と対応する凹部が設けられる。
【0013】
前記クラッチスリーブ上部は、固定プレートとの嵌合部分に複数の突起を有し、複数の突起は円周上で不均等に設置される。前記固定プレートに、突起と対応する凹部が設けられる。
【0014】
前記クラッチスリーブの上端面は、固定プレートの下端面と嵌合接続する。
前記クラッチスリーブの上端面に突起を有し、前記固定プレートの下端面に凹部を有する。
または前記クラッチスリーブの上端面に凹部を有し、前記固定プレートの下端面に突起を有する。
【0015】
前記クラッチスリーブ上部の外円周は、固定プレート下部の内円周と嵌合接続する。
前記クラッチスリーブ上部の外円周に突起を有し、前記固定プレート下部の内円周に凹部を有する。
または前記クラッチスリーブ上部の外円周に凹部を有し、前記固定プレート下部の内円周に突起を有する。
【0016】
前記クラッチスリーブ上部の内円周は、固定プレート下部の外円周と嵌合接続する。
前記クラッチスリーブ上部の内円周に突起を有し、前記固定プレート下部の外円周に凹部を有する。
または前記クラッチスリーブ上部の内円周に凹部を有し、前記固定プレート下部の外円周に突起を有する。
【0017】
上記内槽を定位することができる減速クラッチを有する洗濯機は、内槽底部に第1排水孔が設けられ、内槽上部に第2排水孔が1周に設けられる。第1排水孔および第2排水孔以外に、内槽に外槽と通じる孔は無く、すなわち洗濯時の内槽は水槽である。内槽、外槽の間に水は存在せず、外槽底部に第1排水孔の開/閉を制御する排水制御機構が設けられる。前記クラッチスリーブ上部の突起と内槽の第1排水孔との間の夾角、ならびに突起と嵌合する固定プレートの凹部と外槽の排水制御機構との間の夾角は等しい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の前記技術案を採用すると、以下の有益な効果がもたらされる。
1、本発明は単独の定位構造を省くことができ、洗濯機の構造を簡略化した。減速クラッチは洗濯、脱水状態の切替を制御することも、内槽を定位、ロックすることもできる。減速クラッチは最大限に利用することができ、制御が信頼できる。
【0019】
2、洗濯時、洗濯水は内槽中にしか存在せず、内外槽間に洗濯水は存在せず、水を節約する特徴を有する。排水および/または脱水過程において、第1排水孔が開き、大部分の水および泥、砂、顆粒などの沈殿物が、下部の第1排水孔から外槽中に排出される。衣類中の水は内槽の高速回転による脱水時に、内槽上部の第2排水孔から外槽中に排出され、外槽底の排水口、排水管から洗濯機外に直接排出される。迅速な排水を実現し、排水、汚れの排出効果は良好である。
【0020】
以下、図を組み合わせて、本発明の具体的な実施方式について、さらに詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の減速クラッチの構造断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の減速クラッチの構造分解図である。
【
図3】
図3は、本発明の固定プレートの構造図である。
【
図4】
図4は、本発明のクラッチスリーブの構造図である。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施例における固定プレートの構造図である。
【
図6】
図6は、本発明の別の実施例におけるクラッチスリーブの構造図である。
【
図7】
図7は、本発明の別の実施例におけるクラッチスリーブの上面概要図である。
【
図8】
図8は、本発明の別の実施例におけるクラッチスリーブの上面概要図である。
【
図9】
図9は、本発明の前記洗濯機の構造概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図9に示すように、本発明の前記洗濯機は内槽100、外槽200を含む。内槽底部に第1排水孔105が設けられ、内槽上部に第2排水孔106が1周に設けられる。第1排水孔および第2排水孔以外に、内槽に外槽と通じる孔は無い。洗濯時、内槽底部の第1排水孔は閉じ、内槽中にしか水は存在せず、内槽100と外槽200との間に水は存在しない。洗濯終了後、内槽底部の第1排水孔105が開き、大部分の水は第1排水孔105から排出される。脱水時、内槽が回転し、衣類から出た水が遠心力の作用を受けて、槽壁に沿って上昇し、内槽上部の第2排水孔106により、内槽から内外槽間に排出され、さらに外槽の排水孔から排出される。このように洗濯時、洗濯水は内槽中にしか存在せず、内外槽間に洗濯水は存在せず、水を節約する特徴を有する。排水および/または脱水過程において、第1排水孔105が開き、大部分の水および泥、砂、顆粒などの沈殿物が、下部の第1排水孔から外槽中に排出される。衣類中の水は、内槽の高速回転による脱水時に、内槽上部の第2排水孔106から外槽中に排出され、外槽底の排水孔、排水管から洗濯機外に直接排出される。迅速な排水を実現し、排水、汚れの排出効果は良好である。
【0023】
本発明は第1排水孔105の底部に、第1排水孔の開/閉を制御する排水制御機構400が設置され、排水制御機構は外槽底部に設置される。洗濯時、排水制御機構は第1排水孔を閉じるように制御し、脱水時、排水制御機構は第1排水孔を開くように制御する。第1排水孔が内槽に設置されるため、脱水時、内槽が回転し、洗濯状態に切り替わって、排水制御機構が第1排水孔105を閉じる必要があるとき、両者の位置は必ずしも同じ位置とは限らない。洗濯機中の減速クラッチは、クラッチスリーブの上下の摺動により脱水および洗濯状態の切替を実現する。洗濯時、クラッチスリーブが上に摺動し、内槽を固定し、パルセータのみが回転する。脱水時、クラッチスリーブが下に摺動し、内槽およびパルセータが一緒に回転する。内槽の第1排水孔は脱水時に回転するが、第1排水孔105の排水制御機構400は動かない。洗濯状態に切り替わるとき、第1排水孔を排水制御機構に正確に合わせる必要がある。本発明中の減速クラッチをうまく利用する構造において、クラッチスリーブが上に摺動して、洗濯状態に切り替わるとき、内槽が毎回同じ位置に定位されるように制御し、内槽の第1排水孔および排水制御機構が対応することを保証する。さらに内槽をロックし、洗濯時に内槽が回転し、第1排水孔および排水制御機構の位置がずれ、排水制御機構が作用せず、内槽から漏水するのを防止する。
【0024】
図1、
図2に示すように、本発明の前記内槽を定位することができる減速クラッチは入力軸1と、入力スリーブ2と、ギアトレーン3と、パルセータを駆動する出力軸4と、内槽を駆動する出力スリーブ5と、入力スリーブ5の外側に位置し、入力スリーブ5と軸方向に摺動可能、周方向に回転不可能に接続するクラッチスリーブ6とを含む。入力軸1はギアトレーン3を介して出力軸4と接続し、入力スリーブ2は出力スリーブ5と接続する。クラッチスリーブ6は軸方向に下部まで摺動して、駆動装置7と接続し、上部まで摺動して、固定プレート8と接続する。前記クラッチスリーブ6が上部まで摺動し、円周方向で1つの位置のみが固定プレート8と接続することができる。該接続位置により、入力スリーブ2、出力スリーブ5、および内槽100は、円周方向の定位を実現する。このように、内槽のみが第1排水孔まで回転して排水制御機構と対応するとき、クラッチスリーブは上部まで摺動して固定プレートと接続し、内槽をロックする。内槽は洗濯時、左右に回転することはなく、洗濯機の洗濯効果およびエネルギー効率を効果的に上昇させることができる。さらに第1排水孔部分の漏水を防止し、最適な洗濯体験を可能とする。
【0025】
クラッチスリーブ6は入力スリーブ2と摺動可能、回転不可能に接続し、好ましくはキー溝接続する。クラッチスリーブ6の内壁に軸方向のキー/溝が設けられ、入力スリーブ2の外周に軸方向の溝/キーが設けられ、軸方向に沿って相対して摺動することしかできず、軸方向に相対して回転することはできない。入力スリーブ2は出力スリーブ5と一体に接続し、出力スリーブ5は内槽と固定接続するため、クラッチスリーブ6は内槽の周方向と相対して固定され、クラッチスリーブ6は内槽底部の第1排水孔とも、周方向に相対して固定される。固定プレート8は減速クラッチのハウジングに取り付けられ、固定構造であり、外槽は吊棒で洗濯機の筐体に接続され、固定構造である(振動を考慮しない)。固定プレート8は外槽と周方向に相対して固定され、固定プレートは外槽底部の排水制御機構とも相対して固定される。クラッチスリーブが上部まで摺動し、周方向で1つ位置のみが固定プレートと接続することができる。クラッチスリーブ6が固定プレート8と接続するとき、第1排水孔は排水制御機構と対応し、排水制御機構は第1排水孔を閉じる。このとき内槽中に取水して、洗濯し、内槽中に水が存在するが、内外槽間に水は存在しない。
【0026】
クラッチスリーブ6は、前記固定プレート8と歯により接続される。前記クラッチスリーブ6上部は、固定プレート8との嵌合部分に少なくとも1つの突起9を有し、固定プレート8に突起9と対応する凹部10が設けられる。クラッチスリーブ6が一周回転すると、1つの位置で、クラッチスリーブ6の突起9が固定プレート8の凹部10に挿入され、両者を嵌合接続することができ、これにより入力スリーブ2、出力スリーブ5、内槽100は、円周方向の定位を実現する。前記クラッチスリーブ6上部の突起9と内槽の第1排水孔と間の夾角、ならびに固定プレート8の凹部10と外槽の排水制御機構との間の夾角は等しい。クラッチスリーブ6の突起9が固定プレート8の凹部10に挿入され、両者を嵌合接続することができることを保証するとき、内槽の第1排水孔は外槽の排水制御機構と対応する。
【0027】
図3、
図4に示すように、クラッチスリーブ6上部は、固定プレートとの嵌合部分に突起9を1つのみ有し、前記固定プレート8に突起9と対応する凹部10が1つのみ設けられる。前記突起9の形状および大きさは、凹部10の形状および大きさと同じであり、クラッチスリーブ6が一周回転すると、1つの位置で、クラッチスリーブ6の突起9が固定プレート8の凹部に挿入され、両者を嵌合接続することができることを保証する。接続すると、両者は相対して回転することができない。クラッチスリーブ6上部の突起と内槽の第1排水孔との間の夾角、ならびに固定プレート8の凹部10と外槽の排水制御機構との間の夾角は等しい。クラッチスリーブ6の突起9が固定プレート8の凹部10に挿入され、両者を嵌合接続することができることを保証するとき、内槽の第1排水孔は外槽の排水制御機構と対応する。単独の定位構造を省くことができ、洗濯機の構造を簡略化した。減速クラッチは洗濯、脱水状態の切替を制御することも、内槽を定位、ロックすることもできる。減速クラッチは最大限に利用することができ、制御は信頼できる。
【0028】
図5、
図6、
図8に示すように、クラッチスリーブ6上部は、固定プレート8との嵌合部分に複数の突起9を有し、このうちの1つの突起9の形状および/または大きさは、その他の突起の形状および/または大きさと異なる。前記固定プレート8に、突起9と対応する凹部10が設けられる。形状および/または大きさがその他と異なる突起9が固定プレート8の凹部10と対応するときしか、クラッチスリーブ6は固定プレート8と接続することができない。クラッチスリーブ6が一周回転すると、1つの位置で、クラッチスリーブ6の突起9が固定プレート8の凹部10に挿入され、両者を嵌合接続することができることを保証する。接続すると、両者は相対して回転することができない。クラッチスリーブ6上部における形状および/または大きさがその他と異なる突起9と内槽の第1排水孔との間の夾角、ならびに固定プレート8における形状および/または大きさがその他と異なる凹部と外槽の排水制御機構との間の夾角は等しい。クラッチスリーブ6の突起9が固定プレート8の凹部10に挿入され、両者を嵌合接続することができることを保証するとき、内槽の第1排水孔は外槽の排水制御機構と対応する。
【0029】
図7に示すように、クラッチスリーブ6上部は、固定プレート8との嵌合部分に複数の突起9を有し、複数の突起9は円周で不均等に設置される。前記固定プレート8に、突起9と対応する凹部10が設けられる。クラッチスリーブ6が一周回転すると、1つの位置で、クラッチスリーブ6の突起9が固定プレート8の凹部10に挿入され、両者を嵌合接続することができることを保証する。接続すると、両者は相対して回転することができない。クラッチスリーブ6上部の突起9と内槽の第1排水孔との間の夾角、ならびに固定プレート8の凹部10と外槽の排水制御機構との間の夾角は等しい。クラッチスリーブ6の突起9が固定プレート8の凹部10に挿入され、両者を嵌合接続することができることを保証するとき、内槽の第1排水孔は外槽の排水制御機構と対応する。
【0030】
クラッチスリーブ6の上端面は、固定プレート8の下端面と嵌合接続する。前記クラッチスリーブ6の上端面に突起9を有し、前記固定プレート8の下端面に凹部10を有するか、または前記クラッチスリーブ6の上端面に凹部10を有し、前記固定プレート8の下端面に突起9を有する。端面に突起および凹部を加工しており、加工が便利で、誤差が小さく、角度を0度に保持して回転する。
【0031】
クラッチスリーブ6上部の外円周は、固定プレート8下部の内円周と嵌合接続する。前記クラッチスリーブ6上部の外円周に突起9を有し、前記固定プレート8下部の内円周に凹部10を有するか、または前記クラッチスリーブ6上部の外円周に凹部10を有し、前記固定プレート8下部の内円周に突起9を有する。あるいはクラッチスリーブ6上部の内円周は、固定プレート8下部の外円周と嵌合接続する。前記クラッチスリーブ6上部の内円周に突起9を有し、前記固定プレート8下部の外円周に凹部10を有するか、または前記クラッチスリーブ6上部の内円周に凹部10を有し、前記固定プレート8下部の外円周に突起9を有する。端面において、突起部分の高さを低くして設置することができ、軸方向の高さを効果的に低下させることができる。減速クラッチの軸方向の占用空間を低下させ、洗濯機の洗濯空間を増大させる。
【0032】
内槽を定位する方法は、脱水終了後、または洗濯の取水前に、クラッチスリーブ6を上に運動させる。駆動モータの作用下、または慣性の作用下で、入力スリーブ2がクラッチスリーブ6を周方向に運動させ、クラッチスリーブ6の突起9が固定プレート8の凹部10と対応すると、突起9は凹部10内に挿入されて両者は嵌合接続する。入力スリーブ2、出力スリーブ5、内槽を1つの位置に定位、ロックし、内槽の排水口を排水口の制御構造と対応させる。クラッチスリーブ6が一周回転すると、1つの位置で、クラッチスリーブ6の突起9が固定プレート8の凹部10に挿入され、両者を嵌合接続することができるため、内槽を毎回同じ位置にロックし、内槽の排水口を排水口の制御構造と対応させることができる。
【0033】
脱水から洗濯に変わるとき、まず内槽を定位、ロックした後、排水制御機構が動作して第1排水孔を閉じる。位置が対応してから、排水制御機構が動作することを保証し、正確性を保証する。洗濯から脱水に変わるとき、排水制御機構が先に動作して第1排水孔を開く。排水制御機構が動作して第1排水孔を開き、内槽の回転が排水制御機構に対して損傷を引き起こすのを防止する。
【0034】
クラッチスリーブが下部の駆動装置から離脱した後、上部の固定プレートと接続されていない場合、このとき内槽の慣性により、クラッチスリーブは周方向に運動し、クラッチスリーブおよび固定プレートの周方向の相対位置を調整する。クラッチスリーブが下部の駆動装置から離脱した後、上部の固定プレートとすぐに接続することができる場合、このとき駆動装置の駆動力により、クラッチスリーブは周方向に運動し、クラッチスリーブおよび固定プレートの周方向の相対位置を調整する。
【0035】
以上の記載は、本発明の好ましい実施方式に過ぎない。当業者は本発明の原理を逸脱しない前提で、数種の変形および改良を行うこともできるが、これらも本発明の保護範囲と見なすべきであると指摘しなければならない。
【符号の説明】
【0036】
1 入力軸
2 入力スリーブ
3 ギアトレーン
4 出力軸
5 出力スリーブ
6 クラッチスリーブ
7 駆動装置
8 固定プレート
9 突起
10 凹部
11 上ハウジング
12 下ハウジング
13 シフトフォーク
14 トラクションモータ
15 固定子
16 回転子
17 トルクスリーブ
100 内槽
200 外槽
400 排水制御機構
500 減速クラッチ
105 第1排水孔
106 第2排水孔
301 ロック孔