特許第6562366号(P6562366)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562366
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】蛍光体
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/64 20060101AFI20190808BHJP
   C09K 11/55 20060101ALI20190808BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20190808BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20190808BHJP
【FI】
   C09K11/64
   C09K11/55
   C09K11/08 B
   H01L33/50
【請求項の数】23
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-557180(P2017-557180)
(86)(22)【出願日】2016年5月6日
(65)【公表番号】特表2018-517806(P2018-517806A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】EP2016060208
(87)【国際公開番号】WO2016177890
(87)【国際公開日】20161110
【審査請求日】2017年11月17日
(31)【優先権主張番号】102015107162.2
(32)【優先日】2015年5月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】セイバルド マルクス
(72)【発明者】
【氏名】フィードラー ティム
(72)【発明者】
【氏名】バウマン ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】フッペルツ フーベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴルスト クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ハイマン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルヘルム ドミニク
【審査官】 安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/003076(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/180216(WO,A1)
【文献】 特表2013−539490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K11
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機化合物を含む蛍光体であって、前記無機化合物の実験式が、
Li1+y’/2Al11−y’/214−y’y’:E、
Li1−z’Al11−z’Zn2z’14:E、
LiAl11−x’Znx’14−x’x’:E、
LiAl11−y’’Mgy’’14−y’’y’’:E、
Li1+Z’’Al11−3z’’Si2z’’14:E、または
LiAl11−2x’’Six’’Mgx’’14:E
の1つであり、
式中、M=Ca、Sr、および/またはBaであり、
Eは、Mn、Cr、Ni、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Tm、Li、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
0≦y’≦14、
0≦z’≦1、
0≦x’≦11、
0≦y’’≦11、
0≦z’’≦3、および
0≦x’’≦5であり、
前記無機化合物は、KZnと同様の原子配列を有する結晶構造に結晶化する、蛍光体。
【請求項2】
前記結晶構造が、斜方晶空間群Pnnmと記述される、請求項1に記載の蛍光体。
【請求項3】
前記Eが、Euと、1種、2種、または3種のそれ以上の他の元素Eとの組み合わせである、請求項1に記載の蛍光体。
【請求項4】
前記無機化合物の実験式が、
4−xEuLi1+y’/2Al11−y’/214−y’y’
4−xEuLi1−z’Al11−z’Zn2z’14
4−xEuLiAl11−x’Znx’14−x’x’
4−xEuLiAl11−y’’Mgy’’14−y’’y’’
4−xEuLi1+z’’Al11−3z’’Si2z’’14、または
4−xEuLiAl11−2x’’Six’’Mgx’’14
の1つであり、
式中、
M=Ca、Sr、および/またはBaであり、
0≦y’≦14、
0≦z’≦1、
0≦x’≦11、
0≦y’’≦11、
0≦z’’≦3、
0≦x’’≦5、および
0<x≦2
である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体。
【請求項5】
前記無機化合物の実験式が、
4−xEuLiAl1114 であり、
式中、M=Ca、Sr、および/またはBaであり、0<x≦2である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光体。
【請求項6】
前記無機化合物の実験式が、
4−xEuLiAl1114 であり、
式中、M=Ca、Sr、および/またはBaであり、0.001≦x≦0.4である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蛍光体。
【請求項7】
M=Srである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の蛍光体。
【請求項8】
前記蛍光体の最大発光が、500から680nmの範囲内にある請求項1〜7のいずれか一項に記載の蛍光体。
【請求項9】
前記蛍光体の最大発光が、594nmから680nmの範囲内にある、請求項8に記載の蛍光体。
【請求項10】
前記蛍光体の主波長が、λ>500nmである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の蛍光体。
【請求項11】
前記蛍光体の主波長が、λ>600nmである、請求項10に記載の蛍光体。
【請求項12】
前記蛍光体の主波長が、λ>620nmである、請求項11に記載の蛍光体。
【請求項13】
請求項1に記載のEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体を含む赤色発光蛍光体であって、Cu−Kα1線を使用したX線粉末回折図において、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲に2つの特徴的反射がある、赤色発光蛍光体。
【請求項14】
前記赤色発光蛍光体がただ1つの相を含む、請求項13に記載のEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体を含む赤色発光蛍光体。
【請求項15】
前記赤色発光蛍光体が複数の異なる相を含む、請求項13に記載のEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体を含む赤色発光蛍光体。
【請求項16】
実験式Sr4−xEuLiAl1114を有する、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体の1つの相と、実験式SrLiAl:Eu2+の蛍光体の1つの相とを含む、請求項15に記載のEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体を含む赤色発光蛍光体。
【請求項17】
半値幅(FWHM)が90nm未満である、請求項13に記載のEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体を含む赤色発光蛍光体。
【請求項18】
下記の方法ステップ:
A) LiN、LiAlH、Sr、AlN、およびEuFを含む出発材料、またはLiN、LiAlH、Sr、AlN、SrH、およびEuFを含む出発材料を混合するステップ、
B) 上記A)で得られた混合物を、900から1400℃の間の温度に加熱するステップ、
C) 前記混合物を、900から1400℃の温度で5分から6時間焼き戻すステップ、
F) 前記混合物を室温に冷却するステップ
を含む、請求項1に記載の蛍光体を製造するための方法。
【請求項19】
方法ステップB)からF)を、フォーミングガス雰囲気下で行う、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
変換素子における、請求項1〜12のいずれか一項に記載の蛍光体または請求項13〜17のいずれか一項に記載の赤色発光蛍光体の使用。
【請求項21】
LEDの変換素子における、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
光をより長波長光に変換するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の蛍光体または請求項13〜17のいずれか一項に記載の赤色発光蛍光体の使用。
【請求項23】
光を赤色光を変換するための、請求項22に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体、蛍光体を製造するための方法、変換素子における蛍光体の使用、および光を変換するための蛍光体の使用に関する。
【0002】
本出願は、ドイツ特許出願DE 10 2015 107 162.2の優先権を主張し、当該出願の開示内容は、参照により本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
白色発光ダイオード(LED)に基づく装置、特に背面照明用の装置の場合には、LED蛍光体、特に電磁スペクトルの暗赤色領域で発光するLED蛍光体の要件を満たす固体蛍光体は、ほんの僅かしかない。これまでは、式(Sr,Ba)Si:Eu2+および(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+の2種の橙色〜赤色発光蛍光体が主に使用されてきた。しかし、これらには発光、色空間の有効範囲、半値幅(FWHM=半値全幅)、および分光フィルタリングに関して、著しい欠点がある。蛍光体(Sr,Ba)Si:Euの場合、その発光波長は、バリウムをストロンチウムで置換することによってスペクトルが橙色から赤色領域にシフトし得る。しかし、この置換の結果、蛍光体の長期安定性が低減する。(Sr,Ba)Si:Eu2+蛍光体は、上記に加えて大きな半値幅を示し、スペクトルの暗赤色領域ではいかなる発光も示さない、即ち、620nmを超える主波長では発光しない。(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+蛍光体は、既にスペクトルの暗赤色領域で発光を示すが、電磁スペクトルの非可視領域にまで至る非常に広範な発光であり、その結果、蛍光体のルミネセンス効率が低下する。したがって、電磁スペクトルの暗赤色領域での発光および小さい半値幅を示し、それによって電磁スペクトルの可視領域外ではほとんど発光しない蛍光体に対する強い要求が存在する。
【0004】
特許文献1および非特許文献1は、式SrLiAl:Eu2+の蛍光体を開示し、この蛍光体は、電磁スペクトルの暗赤色領域での発光および小さい半値幅を既に有しており、前記蛍光体はさらに、電磁スペクトルの可視領域外で発光をほとんど示さない。しかし、この蛍光体の量子効率は低い、即ち、放出された光子の数と吸収された光子の数との比が、(Sr,Ba)Si:Eu2+および(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+に比べて小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 2013/175336 A1
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Nature Materials 2014、P. Pust et al., "Narrow-band red emitting Sr[LiAl3N4]:Eu2+as a next-generation LED-phosphor material"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の少なくとも1つの実施形態の目的は、電磁スペクトルの可視領域外での発光が少なく、小さい半値幅を示し、さらに、量子効率の高い蛍光体を提供することである。他の目的は、蛍光体を製造するための効率的な方法、変換素子における蛍光体の使用、および光を変換するための蛍光体の使用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該目的は、請求項1〜14の特徴を有する蛍光体、請求項15および16の特徴を有する蛍光体の製造方法、ならびに請求項17〜19の特徴を有する蛍光体の使用によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】赤色発光蛍光体の3つの例示的な実施形態の、銅Kα1線を使用したX線粉末回折図である。
図2】赤色発光蛍光体の3つの例示的な実施形態から得た、発光スペクトルを示す図である。
図3】赤色発光蛍光体の3つの例示的な実施形態から得た、反射率を示す図である。
図4】赤色発光蛍光体の3つの例示的な実施形態の、銅Kα1線を使用したX線粉末回折図である。
図5】赤色発光蛍光体の3つの例示的な実施形態から得た、発光スペクトルを示す図である。
図6】赤色発光蛍光体の3つの例示的な実施形態から得た、反射率を示す図である。
図7】赤色発光蛍光体の3つの例示的な実施形態の、銅Kα1線を使用したX線粉末回折図である。
図8】赤色発光蛍光体の3つの例示的な実施形態から得た、発光スペクトルを示す図である。
図9】赤色発光蛍光体の3つの例示的な実施形態から得た、反射率を示す図である。
図10】赤色発光蛍光体の例示的な実施形態の、発光スペクトルを示す図である。
図11】赤色発光蛍光体の例示的な実施形態の、反射率を示す図である。
図12A】赤色発光蛍光体の例示的な実施形態から得た、銅Kα1線を使用したX線粉末回折図である。
図12B】赤色発光蛍光体の例示的な実施形態から得た、銅Kα1線を使用したX線粉末回折図である。
図13A】赤色発光蛍光体の例示的な実施形態から得た、銅Kα1線を使用したX線粉末回折図である。
図13B】赤色発光蛍光体の例示的な実施形態から得た、銅Kα1線を使用したX線粉末回折図である。
図14】赤色発光蛍光体の例示的な実施形態から得た、銅Kα1線を使用したX線粉末回折図である。
図15】赤色発光蛍光体の結晶構造の一部を示す図である。
図16A】赤色発光蛍光体の特徴的な性質を示す図である。
図16B】赤色発光蛍光体の特徴的な性質を示す図である。
図16C】赤色発光蛍光体の特徴的な性質を示す図である。
図17】SrLiAl1114をベースにした3つの置換変形例から得た、発光スペクトルを示す図である。
図18A】置換実験のための、電気的に中性な実験式の可能性のある式の選択を示す図である。
図18B】置換実験のための、電気的に中性な実験式の可能性のある式の選択を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
蛍光体を提供する。
【0011】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は無機化合物を含み、当該無機化合物は少なくとも1種の活性化剤E、ならびにNおよび/またはOをその実験式中に含む。ここで活性化剤Eは、Mn、Cr、Ni、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Tm、Li、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せを含む群から選ばれるものである。特に、活性化剤Eは、蛍光体から放出される光線の波長に関与する。好ましくはEは、1種、2種、またはそれ以上の他の元素E、好ましくはMnまたはLiから選択される元素と、Euとの組み合わせに等しい。特に非常に好ましくは、E=Euであり、好ましくはEu2+である。
【0012】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は当該無機化合物からなる。この場合、蛍光体は、少なくとも1種の活性化剤E、ならびにNおよび/またはOをその実験式中に含み、Eは、Mn、Cr、Ni、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Tm、Li、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せを含む群から選択される。
【0013】
一実施形態によれば、蛍光体は、異なる相、とりわけ無機化合物を含んでいる、あるいは1種または複数種の他の相と、無機化合物とからなるものでもよい。
【0014】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物は、KZnと同様の原子配列を有する結晶構造に結晶化する。無機化合物が、KZnと同様の原子配列を有する結晶構造に結晶化するということは、本願明細書を通じて、無機化合物の原子配列が、KZnにおける原子配列と同じパターンに従うことを意味する。言い換えれば、結晶構造は、KZnと同じ構造モチーフを有する。例えば、無機化合物または蛍光体が実験式(Sr,Eu)(Li0.5Al5.5)Nに従う場合、SrおよびEuは、KZn中のKの部位を占有し、LiおよびAlは、Znの部位を占有し、Nは、Oの部位を占有する。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物または蛍光体は、斜方晶空間群である空間群Pnnmと記述される。空間群Pnnmを有する斜方晶の記述において、格子定数cは特に3.21〜3.29Åの範囲内であり、格子定数aは10.24〜10.43Åの範囲内であり、格子定数bは10.29〜10.43Åの範囲にある。特に好ましくは、空間群Pnnmを有する斜方晶の記述における格子定数は、a=10.4291(7)Å、b=10.4309(7)Å、およびc=3.2349(2)であり、α=β=γ=90°である。あるいは結晶構造は、双晶形成および擬対称性に起因して、正方結晶系と記述することもできる。その他の空間群における記述も可能である。
【0016】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物は、下記の一般実験式:
(AXAYAZ)(BVBWBXBYBZ)(CXCY):E、または
(AXAYAZ)(BVBWBXBYBZ)(CXCY
の1つを含み、式中、
AXは、1価の金属の群から選択され、
AYは、2価の金属の群から選択され、
AZは、3価の金属の群から選択され、
BVは、1価の金属の群から選択され、
BWは、2価の金属の群から選択され、
BXは、3価の元素の群から選択され、
BYは、4価の元素の群から選択され、
BZは、5価の元素の群から選択され、
CXは、O、S、C、F、Cl、Br、I、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
CY=Nであり、
Eは、Mn、Cr、Ni、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Tm、Li、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
1a+2b+3c+1d+2e+3f+4g+5h−2n−3y=z、
3<a+b+c<5、
10<d+e+f+g+h<14、
12<n+y<16、および
−0.5≦z≦0.5である。
【0017】
次の条件: 1a+2b+3c+1d+2e+3f+4g+5h−2n−3y=z、3<a+b+c<5、10<d+e+f+g+h<14、12<n+y<16、および−0.5≦z≦0.5を満たす場合、個々のパラメータa、b、c、d、e、f、g、h、n、またはyを、ゼロ値と仮定することが可能である。言い換えれば、元素AX、AY、AZ、BV、BW、BX、BY、BZ、CX、およびCYの全てが必ずしも無機化合物に含有されるわけではない。
【0018】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物は、下記の一般実験式:
(AXAYAZ)(BVBWBXBYBZ)(CXCY):E、または
(AXAYAZ)(BVBWBXBYBZ)(CXCY
の1つを含み、式中、
AXは、Li、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
AYは、Mg、Ca、Sr、Ba、Eu、Yb、Mn、Ni、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
AZは、Sc、Y、La、Pr、Ce、Yb、Cr、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
BV=Liであり、
BWは、Mg、Zn、Mn、Ni、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
BXは、B、Al、Ga、Ce、Cr、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
BYは、Si、Ge、Mn、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
BZ=Pであり、
CXは、O、S、C、F、Cl、Br、I、およびこれらの組合せを含む群から選択され、CXは好ましくは、O、S、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
CY=Nであり、
Eは、Mn、Cr、Ni、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Tm、Li、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せを含む群から選択される。この場合、下記条件:
1a+2b+3c+1d+2e+3f+4g+5h−2n−3y=z、
3<a+b+c<5、
10<d+e+f+g+h<14、
12<n+y<16、および
−0.5≦z≦0.5が適用される。
【0019】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物は、下記の一般実験式:
(AXAYAZ)(BVBWBXBYBZ)(CXCY):E
を含み、式中、
AXは、Li、Na、K、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
AYは、Mg、Ca、Sr、およびBaを含む群から選択され、
AZは、Sc、Y、La、Pr、Ce、Yb、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
BV=Liであり、
BWは、Mg、Zn、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
BXは、B、Al、Ga、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
BYは、Si、Ge、Mn、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
CXは、O、S、およびこれらの組合せを含む群から選択され、
CY=Nであり、
Eは、Mn、Cr、Ni、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Tm、Li、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せを含む群から選択され、h=0である。
【0020】
好ましい実施形態によれば、下記条件:
1a+2b+3c+1d+2e+3f+4g+5h−2n−3y=z、
a+b+c=4、
d+e+f+g+h=12、
n+y=14、および
−0.1≦z≦0.1
が適用される。
【0021】
少なくとも1つの実施形態によれば、z=0である。したがってこの実施形態は、電気的に中性の無機化合物または電気的に中性の蛍光体に関する。よって蛍光体は非常に安定で、ほとんど全ての適用例に利用され得る。蛍光体は、発光ダイオードでの利用に特に適しており、それは、発光ダイオードの耐用寿命の間、安定した均一な発光を示すためである。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物または蛍光体は、下記実験式:
Li1+y’/2Al11−y’/214−y’y’:E、
Li1−z’Al11−z’Zn2z’14:E、
LiAl11−x’Znx’14−x’x’:E、
LiAl11−y’’Mgy’’14−y’’y’’:E、
Li1+Z’’Al11−3z’’Si2z’’14:E、または
LiAl11−2x’’Six’’Mgx’’14:E
の1つを含む。
【0023】
この場合、下記条件:
M=Ca、Sr、および/またはBa、
0≦y’≦14、
0≦z’≦1、
0≦x’≦11、
0≦y’’≦11、
0≦z’’≦3、ならびに
0≦x’’≦5
が適用される。特にEは、実験式中のMを置換し、Mの格子サイトを占有する。
【0024】
少なくとも1つの実施形態によれば、Mは、少なくともSrを含有する、例えば、SrとBa、またはSrとCaを含有する。特に非常に好ましくは、M=Srである。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物または蛍光体は、下記の実験式:
4−xEuLi1+y’/2Al11−y’/214−y’y’
4−xEuLi1−z’Al11−z’Zn2z’14
4−xEuLiAl11−x’Znx’14−x’x’
4−xEuLiAl11−y’’Mgy’’14−y’’y’’
4−xEuLi1+z’’Al11−3z’’Si2z’’14、または
4−xEuLiAl11−2x’’Six’’Mgx’’14
の1つを含む。
【0026】
この場合、下記条件:
M=Ca、Sr、および/またはBa、ならびに
0≦y’≦14、
0≦z’≦1、
0≦x’≦11、
0≦y’’≦11、
0≦z’’≦3、
0≦x’’≦5、および
0<x≦2
が適用される。
【0027】
好ましくは、0.001≦x≦0.4の条件が適用され、特に好ましくは、0.01≦x≦0.2である。この場合、EuまたはEu2+イオンはMを置換し、Mの格子サイトを占有する。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物または蛍光体は、実験式M4−xEuLi1+y’/2Al11−y’/214−y’y’を有し、好ましくは実験式Sr4−xEuLi1+y’/2Al11−y’/214−y’y’を有する。式中、y’=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14であり、0<x≦2である。実験式M4−xEuLiAl1114に基づけば、この実施形態では、AlNは、LiOにより部分的に置換されてもよい。驚くべきことに、結晶構造を保持しながらも、蛍光体のスペクトルの位置、よって蛍光体のピーク波長がシフトする。特にピーク波長は、より短波長にシフトする。その結果、下記の実験式が得られる:
4−xEuLiAl1114
(M4−xEuLiAl2126
(M4−xEu0.5LiAlO、
(M4−xEuLiAl1922
4−xEuLiAl10
(M4−xEuLiAl171810
(M4−xEu0.5LiAl
(M4−xEuLiAl151414
4−xEuLiAl
(M4−xEuLi11Al131018
(M4−xEu0.5LiAl
(M4−xEuLi13Al1122
4−xEuLiAl12
(M4−xEuLi15Al26、もしくは
(M4−xEu0.5LiAl、および/または
Sr4−xEuLiAl1114
(Sr4−xEuLiAl2126
(Sr4−xEu0.5LiAlO、
(Sr4−xEuLiAl1922
Sr4−xEuLiAl10
(Sr4−xEuLiAl171810
(Sr4−xEu0.5LiAl
(Sr4−xEuLiAl151414
Sr4−xEuLiAl
(Sr4−xEuLi11Al131018
(Sr4−xEu0.5LiAl
(Sr4−xEuLi13Al1122
Sr4−xEuLiAl12
(Sr4−xEuLi15Al26、もしくは
(Sr4−xEu0.5LiAl
【0029】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物または蛍光体は、実験式M4−xEuLi1−z’Al11−z’Zn2z’14を有し、好ましくはSr4−xEuLi1−z’Al11−z’Zn2z’14を有し、式中、z’=0または1であり、0<x≦2である。実験式M4−xEuLiAl1114に基づけば、この実施形態では、LiAlは、Znにより部分的に置換されてもよい。驚くべきことに、結晶構造を保持しながらも、蛍光体のスペクトルの位置、よって蛍光体のピーク波長がシフトし得る。その結果、下記の実験式が得られる:
4−xEuLiAl1114もしくはM4−xEuAl10Zn14、および/または
Sr4−xEuLiAl1114もしくはSr4−xEuAl10Zn14
【0030】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物または蛍光体は、実験式M4−xEuLiAl11−x’Znx’14−x’x’を有し、好ましくはSr4−xEuLiAl11−x’Znx’14−x’x’を有し、式中、x’=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11であり、0<x≦2である。実験式M4−xEuLiAl1114に基づけば、この実施形態では、AlNは、ZnOによって部分的に置換されてもよい。
【0031】
驚くべきことに、結晶構造を保持しながら、スペクトルの位置、よって蛍光体のピーク波長がシフトする。特に、ピーク波長は、より短波長にシフトする。その結果、下記の実験式が得られる:
4−xEuLiAl1114
4−xEuLiAl10Zn13O、
4−xEuLiAlZn12
4−xEuLiAlZn11
4−xEuLiAlZn10
4−xEuLiAlZn
4−xEuLiAlZn
4−xEuLiAlZn
4−xEuLiAlZn
4−xEuLiAlZn
4−xEuLiAlZn1010
4−xEuLiZn1111、あるいは
Sr4−xEuLiAl1114
Sr4−xEuLiAl10Zn13O、
Sr4−xEuLiAlZn12
Sr4−xEuLiAlZn11
Sr4−xEuLiAlZn10
Sr4−xEuLiAlZn
Sr4−xEuLiAlZn
Sr4−xEuLiAlZn
Sr4−xEuLiAlZn
Sr4−xEuLiAlZn
Sr4−xEuLiAlZn1010
Sr4−xEuLiZn1111
【0032】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物または蛍光体は、実験式M4−xEuLiAl11−y’’Mgy’’14−y’’y’’を有し、好ましくはSr4−xEuLiAl11−y’’Mgy’’14−y’’y’’を有し、式中、y’’=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11であり、0<x≦2である。実験式M4−xEuLiAl1114に基づけば、この実施形態では、AlNは、MgOにより部分的に置換されてもよい。驚くべきことに、結晶構造を保持しながらも、スペクトルの位置、よって蛍光体のピーク波長はシフトする。特に、ピーク波長は、より短波長にシフトする。その結果、下記の実験式が得られる:
4−xEuLiAl1114
4−xEuLiAl10Mg13O、
4−xEuLiAlMg12
4−xEuLiAlMg11
4−xEuLiAlMg10
4−xEuLiAlMg
4−xEuLiAlMg
4−xEuLiAlMg
4−xEuLiAlMg
4−xEuLiAlMg
4−xEuLiAlMg1010
4−xEuLiMg1111、あるいは
Sr4−xEuLiAl1114
Sr4−xEuLiAl10Mg13O、
Sr4−xEuLiAlMg12
Sr4−xEuLiAlMg11
Sr4−xEuLiAlMg10
Sr4−xEuLiAlMg
Sr4−xEuLiAlMg
Sr4−xEuLiAlMg
Sr4−xEuLiAlMg
Sr4−xEuLiAlMgO、
Sr4−xEuLiAlMg1010
Sr4−xEuLiMg1111
【0033】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物または蛍光体は、実験式M4−xEuLi1+z’’Al11−3z’’Si2z’’14を有し、好ましくはSr4−xEuLi1+z’’Al11−3z’’Si2z’’14を有し、式中、z’’=0、1、2、または3であり、0<x≦2である。実験式M4−xEuLiAl1114に基づけば、この実施形態では、Alは、SiLiにより部分的に置換されてもよい。驚くべきことに、結晶構造を保持しながら、スペクトルの位置、よって、蛍光体のピーク波長はシフトし得る。その結果、下記の実験式が得られる:
4−xEuLiAl1114
4−xEuLiAlSi14
4−xEuLiAlSi14
4−xEuLiAlSiN1、あるいは
Sr4−xEuLiAl1114
Sr4−xEuLiAlSi14
Sr4−xEuLiAlSi14
Sr4−xEuLiAlSi14
【0034】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物または蛍光体は、実験式M4−xEuLiAl11−2x’’Six’’Mgx’’14を有し、好ましくはSr4−xEuLiAl11−2x’’Six’’Mgx’’14を有し、式中、x’’=0、1、2、3、4、または5であり、0<x≦2である。実験式M4−xEuLiAl1114に基づけば、この実施形態では、Alは、MgSiによって部分的に置換されてもよい。驚くべきことに、結晶構造を保持しながら、スペクトルの位置、よって、蛍光体のピーク波長はシフトし得る。その結果、下記の実験式が得られる:
4−xEuLiAl1114
4−xEuLiAlSiMgN14
4−xEuLiAlSiMg14
4−xEuLiAlSiMg14
4−xEuLiAlSiMg14
4−xEuLiAlSiMg14、あるいは
Sr4−xEuLiAl1114
Sr4−xEuLiAlSiMgN14
Sr4−xEuLiAlSiMg14
Sr4−xEuLiAlSiMg14
Sr4−xEuLiAlSiMg14
Sr4−xEuLiAlSiMg14
【0035】
興味深いことに、実験式Sr4−xEuLiAl1114の蛍光体をベースにした置換実験から得られた単結晶、例えば、AlNがLiOによって部分的に置換されたもの、LiAlがZnによって部分的に置換されたもの、AlNがZnOによって部分的に置換されたもの、AlNがMgOによって部分的に置換されたもの、AlがSiLiによって部分的に置換されたもの、またはAlがMgSiによって部分的に置換されたものは、非置換Sr4−xEuLiAl1114に比べ、格子定数に関して著しいばらつきを示すものの、結晶構造は保持される。ここで格子定数cは、3.21〜3.29Åの範囲内であり、格子定数aは、10.24〜10.42Åの範囲内であり、格子定数bは、10.29〜10.43Åの範囲内である。置換の結果、発光波長に関してもばらつきが観察され得る。発光の最大強度、即ちピーク波長は、SrLiAl1114:Eu2+については、594nmから670nmの間で変化する。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物または蛍光体は、下記の実験式:M4−xEuLiAl1114で表され、式中、M=Ca、Sr、および/またはBaであり、0<x≦2である。好ましくは、M=Sr、またはSrとBa、またはSrとCaである。この実施形態は、ニトリドアルミネート蛍光体に関する。
【0037】
一実施形態では、Cu−Kα1線を使用したX線粉末回折図において、無機化合物または蛍光体には、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲で2つの特徴的な反射がある。X線回折データは、Bragg−Brentano幾何形状で、X−Celerator CCD検出機を備えた粉末回折計(PANalytical Empyrean)上の平型サンプルホルダを用いて記録した。
【0038】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体の最大発光は、500から680nmの範囲内、好ましくは594nmから680nmの間にある。最大発光は、ピーク波長としても知られている。
【0039】
本発明の場合、本願における「ピーク波長」とは、ピークの最大強度が位置するピークの波長を意味する。
【0040】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体の主波長は、λ>500nm、好ましくはλ>600nm、特に好ましくはλ>620nmである。主波長は、類似した色知覚を呼び起こすスペクトル(単色)光の観点から、非スペクトル(多色)光混合について記述する方法の1つである。CIE色空間では、特定の色に関する点と、点x=0.333、y=0.333とを接続する線を、2点で空間のアウトラインと一致するように外挿してもよい。当該色のより近くに存在する交点は、色の主波長を、この交点での純粋なスペクトルの色の波長として表す。したがって主波長は、人の眼で知覚される波長である。
【0041】
一実施形態によれば、蛍光体は、赤色発光蛍光体を含む。したがって蛍光体は、電磁スペクトルの赤色領域の発光を示す。
【0042】
一実施形態によれば、赤色発光蛍光体は、ニトリドアルミネート蛍光体を含む。言い換えれば、無機化合物はニトリドアルミネート蛍光体であってもよい。特に、ニトリドアルミネート蛍光体はEu2+でドープされている。
【0043】
「赤色発光」とは、本明細書を通じて、蛍光体がとりわけスペクトルの赤色領域で発光を示すことを意味すると理解される。例えば、蛍光体のピーク波長または主波長はスペクトルの緑色領域に存在してもよいが、スペクトルの赤色領域でも発光を示してもよい。
【0044】
一実施形態によれば、蛍光体または赤色発光蛍光体は、異なる相、とりわけEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体を含むもの、またはEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体と、1つもしくは複数の他の相とからなるものであってもよい。
【0045】
一実施形態では、蛍光体または赤色発光蛍光体は、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体からなる。これは赤色発光蛍光体が、ただ1つの相、即ち、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体からなることを意味する。赤色発光蛍光体は、ただ1つの結晶構造内に存在する、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体からなるものであってもよい。
【0046】
一実施形態によれば、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、KZnと同様の原子配列を有する結晶構造に結晶化する。
【0047】
結晶構造は、特に、斜方晶空間群Pnnmと記述されてもよい。空間群Pnnmを有する斜方晶の記述において、格子定数cは特に3.21〜3.29Åの範囲であり、格子定数aは10.24〜10.43Åの範囲であり、格子定数bは10.29〜10.43Åの範囲である。特に、空間群Pnnmを有する斜方晶の記述における格子定数は、a=10.4291(7)Å、b=10.4309(7)Å、およびc=3.2349(2)であり、α=β=γ=90°である。あるいは結晶構造は、双晶形成および擬対称性に起因して、正方結晶系と記述されてもよい。その他の空間群における記述も可能である。
【0048】
一実施形態によれば、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体または無機化合物は、実験式M4−xEuLiAl1114を有し、式中、M=Ca、Sr、および/またはBaであり、0<x≦2、好ましくは0.001≦x≦0.4、特に好ましくは0.01≦x≦0.2が適用される。この場合のEu2+イオンは、特にMの代わりに用いられ、Mの格子サイトを占有する。実験式M4−xEuLiAl1114を有する、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、好ましくは、KZnと同様の原子配列を有する結晶構造に結晶化する。
【0049】
蛍光体または無機化合物は、他の元素を、例えば不純物の形で含むことが可能であり、これら不純物の合計が、蛍光体の重量に対する割合として、最大でも1パーミル、または100ppm、または10ppm(百万分率)を構成することが好ましい。
【0050】
少なくとも1つの実施形態によれば、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体または無機化合物は、実験式Sr4−xEuLiAl1114を有し、0<x≦2、好ましくは0.001≦x≦0.4、特に好ましくは0.01≦x≦0.2が適用される。
【0051】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体または赤色発光蛍光体は、実験式M4−xEuLiAl1114を有する、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体からなる。したがって赤色発光蛍光体は、相を1つのみ含む。しかしAlNからなる他の相を存在させることも可能である。
【0052】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体または赤色発光蛍光体は、複数の異なる相を含み、特に、実験式Sr4−xEuLiAl1114を有する、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体の1つの相と、実験式SrLiAl:Eu2+の蛍光体の1つの相とを含むか、または赤色発光蛍光体は、これらの相および/または蛍光体からなる。
【0053】
一実施形態では、蛍光体または赤色発光蛍光体、特にEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、Cu−Kα1線を使用するそのX線粉末回折図において、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲で2つの特徴的な反射を含む。X線回折データを、Bragg−Brentano幾何形状で、X−Celerator CCD検出機を備えた粉末回折計(PANalytical Empyrean)上の平型サンプルホルダを用いて記録した。公知の蛍光体SrLiAl:Eu2+(特許文献1および非特許文献1)には、これらの反射がない。
【0054】
式SrLiAl:Eu2+の公知の蛍光体と比較すると、赤色発光蛍光体、特にEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、より高い量子効率を示す。量子効率、即ち、放出された光子の数と吸収された光子の数との比、を測定するために、本発明の赤色発光蛍光体および式SrLiAl:Eu2+を有する公知の蛍光体を、それぞれ加圧して粉末錠剤にし、標準蛍光体YAG:Ce3+(セリウムがドープされた、イットリウムアルミニウムガーネット)と比較した相対量子効率を、同一条件下で、Fluoromax分光計で決定した。公知の蛍光体は、この場合は、非特許文献1に示される方法と同等の条件下で製造した。蛍光体は、X線粉末回折図に基づくRietveld分析によって特徴付けた。標準蛍光体YAG:Ce3+に対して測定したとき、本発明の赤色発光蛍光体は、驚くべきことに、公知の蛍光体SrLiAl:Eu2+と比べて、その相対量子効率が15%も高い。
【0055】
一実施形態では、赤色発光蛍光体の最大発光、即ちピーク波長は、620から680nmの範囲内、好ましくは640から680nmの範囲内、特に好ましくは660から680nmの範囲内である。したがって発光は、電磁スペクトルの、暗赤色領域のスペクトルに存在する。特に、この実施形態による蛍光体は、実験式M4−xEuLiAl1114を有し、式中、M=Ca、Sr、および/またはBaであり、0<x≦2であり、またはこの化合物を、無機化合物としてもしくはEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体として含む。
【0056】
一実施形態では、620から680nmの範囲のピーク波長の赤色発光蛍光体は、その半値幅(FWHM)が90nm未満、好ましくは70nm未満、特に好ましくは65nm未満、特に好ましくは60nm未満である。そのような小さい半値幅では、本発明の蛍光体は、電磁スペクトルの可視領域のみ、またはほぼこの領域のみの発光が可能であり、これは、電磁スペクトルの非可視領域の発光による効率の損失が、全くまたはごく僅かしか生じないことを意味する。これに比べて、公知の蛍光体である(Sr,Ba)Si:Eu2+の半値幅は90nmよりも大きく、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+の半値幅は70nmよりも大きく、SrLiAl:Eu2+の半値幅は48nm以上である。しかし、蛍光体SrLiAl:Eu2+に対して、本発明の蛍光体は、検出可能なほどのより高い量子効率を示す。
【0057】
一実施形態では、蛍光体または赤色発光蛍光体は、スペクトルの可視領域外の光線を全くまたはごく僅かしか放出しない。したがって、全ての、または実質的に全ての放出された光子は、人の眼で検知可能な範囲内にあり、電磁スペクトルの非可視領域への放出による効率の損失を排除する、または最小限に抑える。このようにして、高いルミネセンス効率が実現される。
【0058】
一実施形態では、蛍光体または赤色発光蛍光体は、LiN、LiAlH、AlN、SrおよびEuF、またはLiN、LiAlH、AlN、Sr、SrHおよびEuFを含む出発材料から製造される。蛍光体は、これらの出発材料からなるように製造されてもよい。驚くべきことに、本発明の蛍光体または赤色発光蛍光体は、これらの出発材料から高い量子効率で製造され得ることがわかった。出発材料であるLiNおよびLiAlHの存在が、本発明の蛍光体の製造に必須であることが実験によって示された。これら出発材料の1種のみが使用される場合、X線粉末回折図は、11.5〜12.5°2θの角度範囲、および18.5〜19.5°2θの角度範囲の特徴的な反射を示さない。特に、蛍光体または無機化合物は、この場合には、KZnと同様の原子配列を有する結晶構造を有していない。
【0059】
一実施形態では、赤色発光蛍光体の主波長がλ>620nmである。
【0060】
一実施形態では、蛍光体または赤色発光蛍光体は、電磁スペクトルのUV領域から青色領域の光線によって励起可能である。例えば、蛍光体または赤色発光蛍光体は、波長が240nmから500nmの、好ましくは400nmから500nmの、例えば460nmの光線によって励起可能である。公知の蛍光体SrLiAl:Eu2+と比較すると、本発明の蛍光体または赤色発光蛍光体は、450nmから500nmの範囲で、より高い吸収を示す。
【0061】
蛍光体または赤色発光蛍光体について記述した実施形態は、以下に記述される方法によって製造することができる。したがって、蛍光体に関して記述される全ての特徴は、それを製造するための方法にも適用され、また、その逆も同様である。
【0062】
蛍光体を製造するための方法が提供される。
【0063】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は無機化合物を含み、当該無機化合物は、その実験式に少なくとも1種の活性化剤E、ならびにNおよび/またはOを含む。ここで活性化剤Eは、Mn、Cr、Ni、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Tm、Li、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せを含む群から選ばれるのものである。
【0064】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体を含むか、またはEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体からなる、赤色発光蛍光体である。
【0065】
一実施形態によれば、Cu−Kα1線を使用するX線粉末回折図では、蛍光体または赤色発光蛍光体には、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの範囲に2つの特徴的な反射がある。
【0066】
一実施形態によれば、無機化合物またはEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、KZnと同様の原子配列を有する結晶構造に結晶化する。結晶構造は、斜方晶空間群Pnnmと特に記述されてもよい。特に、空間群Pnnmを有する斜方晶の記述における格子定数は、a=10.4291(7)Å、b=10.4309(7)Å、およびc=3.2349(2)であり、α=β=γ=90°である。あるいは結晶構造は、双晶形成および擬対称性に起因して、正方結晶系と記述されてもよい。その他の空間群における記述も可能である。
【0067】
一実施形態によれば、無機化合物またはEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、実験式M4−xEuLiAl1114を有し、式中、M=Ca、Sr、および/またはBaであり、0<x≦2、好ましくは0.001≦x≦0.4、特に好ましくは0.01≦x≦0.2が適用される。この場合のEu2+イオンは、特に、Mの代わりに用いられ、Mの格子サイトを占有する。実験式M4−xEuLiAl1114を有する、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、好ましくは、KZnと同様の原子配列を有する結晶構造に結晶化する。
【0068】
少なくとも1つの実施形態によれば、無機化合物またはEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、実験式Sr4−xEuLiAl1114を有し、0<x≦0.4、好ましくは0.01≦x≦2、特に好ましくは0.01≦x≦0.2が適用される。
【0069】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体または赤色発光蛍光体は、実験式M4−xEuLiAl1114を有する、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体からなる。したがって蛍光体または赤色発光蛍光体は、1つの相のみを含む。しかし、AlNからなる他の相を存在させることも可能である。
【0070】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体または赤色発光蛍光体は、複数の異なる相を含み、特に、実験式Sr4−xEuLiAl1114を有する、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体の1つの相と、実験式SrLiAl:Eu2+の蛍光体の1つの相とを含む、あるいは蛍光体もしくは赤色発光蛍光体は、これらの相および/または蛍光体からなる。
【0071】
当該方法は、下記の方法ステップを含む。
A) LiN、LiAlH、M、AlN、およびEuFを含むか、これらからなる出発材料、またはLiN、LiAlH、M、MH、AlN、およびEuFを含むか、これらからなる出発材料であって、式中、M=Sr、Ca、および/またはBaである出発材料を混合するステップ、
B) A)で得られた混合物を、900から1400℃の間の温度T1に加熱するステップ、および
C) 当該混合物を、900から1400℃の温度T1で5分から6時間焼き戻す(anneal)ステップ。
【0072】
一実施形態によれば、方法は、以下の方法ステップを含む。
A) LiN、LiAlH、Sr、AlN、およびEuFを含むか、これらからなる出発材料、またはLiN、LiAlH、Sr、SrH、AlN、およびEuFを含むか、これらからなる出発材料を混合するステップ、
B) A)で得られた混合物を、900から1400℃の間の温度T1に加熱するステップ、および
C) 当該混合物を、900から1400℃の温度T1で5分から6時間焼き戻すステップ。
【0073】
驚くべきことに、本発明の蛍光体または赤色発光蛍光体は、出発材料LiN、LiAlH、Sr、AlN、およびEuF、またはLiN、LiAlH、Sr、SrH、AlN、およびEuFから製造可能なことが判明した。実験は、出発材料LiNおよびLiAlHの存在が、本発明の蛍光体または赤色発光蛍光体の製造に必須であることを示した。これらの出発材料の1種のみが使用される場合、X線粉末回折図は、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲の特徴的な反射を示さない。言い換えれば、本発明の蛍光体または本発明の赤色発光蛍光体は、LiNおよびLiAlHを出発材料として使用しない限り、形成されない。このようにして製造した蛍光体は、驚くべきことに、その量子効率が高い。
【0074】
少なくとも1つの実施形態によれば、LiO、SiO、ZnO、MgO、LiCO、Si、および/またはZnを、追加の出発材料として使用してもよい。
【0075】
一実施形態では、出発材料は粉末状で存在する。
【0076】
少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、下記の方法ステップを含む。
A) LiN、LiAlH、M、AlN、およびEuFを含むか、これらからなる出発材料、またはLiN、LiAlH、M、MH、AlN、およびEuFを含むか、これらからなる出発材料であって、式中、M=Sr、Ca、および/またはBaである出発材料を混合するステップ、
B) A)で得られた混合物を、1000から1400℃の間の温度T1に加熱するステップ、および
C) 混合物を、1000から1400℃、好ましくは1300℃から1400℃、例えば1400℃の温度T1で、5分から1時間、例えば15分間焼き戻すステップ。特に、LiN、LiAlH、M、MH、AlN、およびEuFからなる出発材料を使用する場合には、驚くべきことに、本発明者らは、主として形成される蛍光体または赤色発光蛍光体が、実験式M4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体を含むか、またはこの蛍光体からなることを確立した。M=Srが好ましい。
【0077】
一実施形態では、LiAlH:LiNのモル比が5:1から1:1の間、好ましくは4:1から1:1の間であり、例えば1:1または3:1である。特に、赤色発光蛍光体がLiN、LiAlH、Sr、AlN、およびEuFからなる出発材料から製造される場合に、このモル比が存在する。この場合、特に実験式Sr4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体の1つの相、および実験式SrLiAl:Eu2+の蛍光体の1つの相を含む蛍光体または赤色発光蛍光体が形成され得る。
【0078】
一実施形態では、T1は1100から1300℃の間、例えば1250℃であり、方法ステップC)の焼き戻しは、1時間から5時間実施する。
【0079】
一実施形態では、方法ステップC)の後に、下記の他の方法ステップが続く。
D) 当該混合物を温度T2に冷却するステップであって、室温<T2<T1が適用されるステップ。室温とは、20℃を意味すると理解される。
【0080】
一実施形態では、方法ステップD)の後、下記の他の方法ステップが続く。
E) 当該混合物を、800から1300℃の温度T2で5分から2時間焼き戻すステップ。焼き戻しは、好ましくは5分から60分間、特に好ましくは10分から30分間実施する。特に、方法ステップD)およびE)を行う場合、方法ステップC)の焼き戻しは、5分から2時間、好ましくは5分から60分、特に好ましくは10分から30分間実行してもよい。
【0081】
一実施形態では、T2は800℃から1300℃の間、好ましくは900℃から1200℃の間、特に好ましくは950℃から1100℃の間であり、例えば1000℃である。
【0082】
一実施形態では、T1=1250℃およびT2=1000℃である。この実施形態では、方法ステップC)およびE)の焼き戻しは、それぞれを10分から30分間、例えばそれぞれを15分間実施することができる。
【0083】
一実施形態では、方法ステップC)またはE)の後に、下記の他の方法ステップが続く。
F) 混合物を室温に冷却するステップ。
【0084】
一実施形態では、方法ステップF)における混合物の室温への冷却は、1時間当たり100から400℃、好ましくは1時間当たり150から300℃、特に好ましくは1時間当たり220から270℃の冷却速度、例えば1時間当たり250℃の冷却速度で進行する。
【0085】
一実施形態では、方法ステップD)における混合物のT2への冷却は、1時間当たり100から400℃、好ましくは1時間当たり100から300℃、特に好ましくは1時間当たり150から200℃の冷却速度、例えば1時間当たり170℃の冷却速度で進行する。
【0086】
一実施形態では、方法ステップB)、C)、D)、E)、および/またはF)は、フォーミングガス雰囲気下で進行する。フォーミングガスは、好ましくは窒素:水素の比が92.5:7.5である。
【0087】
一実施形態では、方法ステップB)、C)、D)、E)、および/またはF)は、管型炉内で行われる。
【0088】
一実施形態では、方法ステップB)での加熱は、1時間当たり100から400℃、特に好ましくは1時間当たり150から300℃、特に好ましくは1時間当たり200から250℃の加熱速度、例えば1時間当たり250℃の加熱速度で進行する。
【0089】
一実施形態では、出発材料を、AlN:Sr:LiN:LiAlH:EuF=1:0.05〜0.3:0.05〜0.2:0.05〜0.4:0.001〜0.009のモル比で使用する。出発材料は、好ましくはAlN:Sr:LiN:LiAlH:EuF=1:0.1〜0.2:0.05〜0.1:0.05〜0.3:0.001〜0.003のモル比、特に好ましくはAlN:Sr:LiN:LiAlH:EuF=1:0.1〜0.15:0.06〜0.1:0.08〜0.2:0.001〜0.002のモル比で使用する。特にこれらのモル比においては、実験式Sr4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体の1つの相と、実験式SrLiAl:Eu2+の蛍光体の1つの相とを含む、蛍光体または赤色発光蛍光体が形成され得る。
【0090】
温度T1、温度T2、方法ステップC)の持続時間、方法ステップE)の持続時間、および/または出発材料のモル比を変化させることによって、赤色発光蛍光体の半値幅を制御することが可能であることを見出した。特にLiN、LiAlH、Sr、AlN、およびEuFを出発材料として使用する場合、温度および方法ステップC)の持続時間を選択することによって、赤色発光蛍光体の組成を変化させることができる。
【0091】
さらに、温度T1、方法ステップC)の持続時間、および/または出発材料のモル比を変化させること、あるいは出発材料を選択することによって、赤色発光蛍光体の組成に影響を与えることが可能であることも見出した。特に、LiN、LiAlH、M、MH、AlN、およびEuFからなる出発材料が使用され、方法ステップC)では混合物の焼き戻しが1000℃から1400℃、好ましくは1300℃から1400℃、例えば1400℃の温度T1で5分から1時間を実施する場合、形成された蛍光体または赤色発光蛍光体は、実験式M4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体を主として含むか、またはこの蛍光体からなる。
【0092】
蛍光体または赤色発光蛍光体の上述した実施形態は、以下に記述される用途に使用することができる。蛍光体の特徴も、その使用に関して開示され、その逆も同様である。
【0093】
光をより長波長の光に変換するための、蛍光体の使用を提供する。これは、光が蛍光体に吸収され、より長波長の光として放出されることを意味すると理解することができる。
【0094】
光をより長波長の赤色光に変換するための、赤色発光蛍光体の使用をさらに提供する。これは、光が赤色発光蛍光体に吸収され、スペクトルの赤色領域に位置付けられる、より長波長の光として放出されることを意味すると理解することができる。
【0095】
一実施形態によれば、変換素子における蛍光体または赤色発光蛍光体の使用を提供する。
【0096】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は無機化合物を含み、当該無機化合物は、少なくとも1種の活性化剤E、ならびにNおよび/またはOをその実験式中に含む。ここで活性化剤Eは、Mn、Cr、Ni、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Tm、Li、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せを含む群から選ばれるものである。
【0097】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体を含むか、またはEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体からなる、赤色発光蛍光体である。
【0098】
一実施形態によれば、Cu−Kα1線を使用するX線粉末回折図において、蛍光体には、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲に2つの特徴的反射がある。
【0099】
一実施形態によれば、無機化合物またはEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、KZnと同様の原子配列を有する結晶構造に結晶化する。結晶構造は、特に、斜方晶空間群Pnnmと記述されてもよい。特に、空間群Pnnmを有する斜方晶の記述における格子定数は、a=10.4291(7)Å、b=10.4309(7)Å、およびc=3.2349(2)であり、α=β=γ=90°である。あるいは結晶構造は、双晶形成および擬対称性に起因して、正方結晶系と記述されてもよい。その他の空間群における記述も可能である。
【0100】
一実施形態によれば、無機化合物またはEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、実験式M4−xEuLiAl1114で表され、式中、M=Ca、Sr、および/またはBaであり、0<x≦2、好ましくは0.001≦x≦0.4、特に好ましくは0.01≦x≦0.2が適用されるものである。Eu2+イオンは、この場合、特にMの代わりに用いられ、Mの格子サイトを占有する。実験式M4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、好ましくは、KZnと同じ原子配列を有する結晶構造に結晶化する。
【0101】
少なくとも1つの実施形態によれば、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、実験式Sr4−xEuLiAl1114で表され、0<x≦2、好ましくは0.001≦x≦0.4、特に好ましくは0.01≦x≦0.2が適用されるものである。
【0102】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体または赤色発光蛍光体は、実験式M4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体からなる。したがって蛍光体または赤色発光蛍光体は、1つの相のみを含む。しかし、AlNからなる他の相が存在することも可能である。
【0103】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体または赤色発光蛍光体は、複数の異なる相を含み、特に、実験式Sr4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体の1つの相と、実験式SrLiAl:Eu2+の蛍光体の1つの相とを含む、または赤色発光蛍光体は、これらの相および/または蛍光体からなる。
【0104】
使用の一実施形態では、青色光をより長波長の赤色光に変換するために、蛍光体または赤色発光蛍光体を使用する。例えば青色光は、その波長が400nmから500nmである。
【0105】
使用の一実施形態では、変換素子が、発光ダイオード(LED)に含まれる。
【0106】
使用の一実施形態では、LEDは、動作中に400nmから500nmの波長範囲、例えば460nmの青色光を放射する半導体チップを含む。動作中に青色光を放射するのに適した半導体チップは、例えば窒化ガリウムまたは窒化ガリウムインジウムに基づくものである。
【0107】
LEDは、好ましくは白色光を放射する。この実施形態では、変換素子がさらに、電磁スペクトルの緑色領域の光を放射する蛍光体を含んでいてもよい。
【0108】
記述した実施形態の蛍光体または赤色発光蛍光体を、発光ダイオードの変換素子に使用することができる。
【0109】
発光ダイオードが提供される。このダイオードは、デバイスの動作中、400nmから500nmの波長範囲の青色光を放射する半導体チップと、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体を含む赤色発光蛍光体を含む変換素子とを含む。
【0110】
一実施形態によれば、Cu−Kα1線を使用するX線粉末回折図において、蛍光体または赤色発光蛍光体は、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲に2つの特徴的な反射を有する。赤色発光蛍光体は、半導体チップにより放出された発光を、発光ダイオードが動作しているときに、620nmから680nmの間の波長の2次発光に変換するように構成される。
【0111】
一実施形態によれば、無機化合物またはEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、KZnと同じ原子配列を有する結晶構造に結晶化する。結晶構造は、特に、斜方晶空間群Pnnmと記述されてもよい。特に、空間群Pnnmを有する斜方晶の記述における格子定数は、a=10.4291(7)Å、b=10.4309(7)Å、およびc=3.2349(2)であり、α=β=γ=90°である。あるいは結晶構造は、双晶形成および擬対称性に起因して、正方結晶系と記述されてもよい。その他の空間群における記述も可能である。
【0112】
一実施形態によれば、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、実験式M4−xEuLiAl1114で表され、式中、M=Ca、Sr、および/またはBaであり、0<x≦2、好ましくは0.001≦x≦0.4、特に好ましくは0.01≦x≦0.2が適用される。この場合Eu2+イオンは、特にMの代わりに用いられ、Mの格子サイトを占有する。実験式M4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、好ましくは、KZnと同等の原子配列を有する結晶構造に結晶化する。
【0113】
少なくとも1つの実施形態によれば、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、実験式Sr4−xEuLiAl1114で表され、0<x≦2、好ましくは0.001≦x≦0.4、特に好ましくは0.01≦x≦0.2が適用される。
【0114】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体または赤色発光蛍光体は、実験式M4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体からなる。したがって赤色発光蛍光体は、1つの相のみを含む。しかし、AlNからなる他の相を存在させることも可能である。
【0115】
少なくとも1つの実施形態によれば、赤色発光蛍光体は複数の異なる相を含み、特に、実験式Sr4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体の1つの相と、実験式SrLiAl:Eu2+の蛍光体の1つの相とを含む、あるいは赤色発光蛍光体は、これらの相および/または蛍光体からなる。
【0116】
変換素子の1つの可能性ある実施形態は、注封化合物の形状の実施形態であり、ここで注封化合物は、適合する形状の半導体チップを封入している。さらに、適合する形状の半導体チップを封入した注封化合物は、側壁、例えば、パッケージのとなりで安定化させ、例えば、そのようなパッケージのリセス部に位置付けることができる。注封化合物用の材料は、当業者に公知である。
【0117】
変換素子はさらに、変換層の形をとってもよい。変換層の場合、変換層と半導体チップとの間に直接的な接触があり、変換層の厚さは、例えば、半導体チップの厚さ未満であってもよく、例えば全ての発光出口面で一定であってもよい。
【0118】
変換素子はさらに、プレートまたはフィルムの形状をとってもよい。プレートまたはフィルムは、半導体チップ上に配置される。変換素子の、これらのさらなる変種となる変形実施形態では、変換素子と半導体チップとの間に、任意の直接および/または適合した形状の接触が必ずしも必要なわけではない。即ち、変換素子と半導体チップとの間に隙間があってもよい。言い換えれば、変換素子を半導体チップの下流に配置し、半導体チップの放出した光によって照射される。したがって、注封本体または空隙が、変換素子と半導体チップとの間に形成され得る。
【0119】
一実施形態によれば、発光ダイオードはバックライト用に使用することができる。
【0120】
本発明の他の有利な実施形態およびさらなる発展形は、図面と併せて以下に記述される例示的な実施形態により明らかとなる。
【0121】
図1は、銅Kα1線を使用した3つのX線粉末回折図を示す。回折角は、°2θ値を単位としてx軸にプロットし、強度はy軸にプロットする。参照記号Iで示したX線粉末回折図は、本発明の赤色発光蛍光体の第1の例示的な実施形態の回折図を示す。この図には、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲の2つの特徴的な反射がある。本発明の赤色発光蛍光体のこれらの特徴的な反射は、X線粉末回折図中の最も強い反射と比べて、相対強度が2%超(絶対強度)または1%超(積分強度)である。これらの反射の強度は、X線粉末回折図中の平均ノイズの少なくとも3倍程度大きく、したがって、有意な反射であり、赤色発光蛍光体と関連し得る。参照記号IIで示したX線粉末回折図は、式SrLiAl:Eu2+の公知の蛍光体の回折図に相当する。ここから明らかなように、この公知の蛍光体は、本発明の赤色発光蛍光体に特徴的な、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲の反射を示さない。参照記号IIIで示したX線粉末回折図は、式SrLiAlの化合物のシミュレーションした回折図である。ここに示したX線粉末回折図から明らかなように、本発明の赤色発光蛍光体は、式SrLiAl:Eu2+の公知の蛍光体とは異なる蛍光体である。このことは、公知の蛍光体と本発明の赤色発光蛍光体との比較に見られる、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲の追加の反射によっても証明されている。本発明の蛍光体は、公知の蛍光体SrLiAl:Eu2+を含み、さらに実験式Sr4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体のその他の1つの相も含む。
【0122】
図1の参照記号Iで示したX線粉末回折図を有する本発明の蛍光体の第1の例示的な実施形態は、下記の通り製造した。0.0591molのSr、0.0297のLiN、0.089molのLiAlH、0.445molのAlN、および0.0007molのEuFを、一緒に均質に混合する。AlN:Sr:LiN:LiAlH:EuFのモル比は、1:0.1328:0.0667:0.2:0.0016である。混合物をタングステン坩堝に移し、この坩堝を管型炉に移す。フォーミングガス雰囲気下(N:H=92.5:7.5)で混合物を、1時間当たり250℃の加熱速度で1250℃の温度に加熱する。混合物を、1250℃の温度で15分間焼き戻し、次いで1000℃への冷却を、1時間当たり170℃の冷却速度で実行する。混合物を1000℃で15分間保持し、次いで1時間当たり250℃の冷却速度で室温に冷却する。
【0123】
図2は、図1に関して記述したように合成した、本発明の蛍光体の第1の例示的な実施形態の発光スペクトルを示す。ナノメートルを単位とする波長をx軸にプロットし、パーセントを単位とする発光強度をy軸にプロットする。発光スペクトルを測定するために、本発明の蛍光体を、波長460nmの青色光で励起した。蛍光体の半値幅は59nmであり、主波長は627nmであり、最大発光は約654nmにある。したがって半値幅が90nmよりも大きい公知の蛍光体(Sr,Ba)Si:Eu2+および半値幅が70nmよりも大きい公知の蛍光体(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+と比較すると、本発明の蛍光体の半値幅はより小さい。したがって本発明の蛍光体は、事実上、電磁スペクトルの可視範囲内でのみ発光し、IR領域での損失の低減に繋がる。公知の蛍光体SrLiAl:Eu2+の半値幅は約50nmであるが、蛍光体SrLiAl:Eu2+と比較すると、本発明の蛍光体の量子効率の方が高い。
【0124】
図3は、図1に関して記述したように合成した、本発明の蛍光体の第1の例示的な実施形態の反射率を、波長の関数として示す。ナノメートルを単位とする波長をx軸にプロットし、パーセントを単位とする反射率をy軸にプロットする。図から明らかなように、本発明の蛍光体は、450から500nmの間に最小反射率があり、したがって吸収がこの波長で特に高いため、450から500nmの間の波長で最も良く励起される。公知の蛍光体SrLiAl:Eu2+と比較すると、本発明の蛍光体は、450nmから500nmの範囲でより高い吸収を示す。
【0125】
図4は、銅Kα1線を使用した3つのX線粉末回折図を示す。回折角は、°2θ値を単位としてx軸にプロットし、強度はy軸にプロットする。参照記号I’で示したX線粉末回折図は、本発明の赤色発光蛍光体の第2の例示的な実施形態の回折図を示す。第1の例示的な実施形態のように、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲に2つの特徴的な反射がある。第1の例示的な実施形態と比較すると、特徴的反射の強度は、より高い。参照記号IIで示したX線粉末回折図は、式SrLiAl:Eu2+の公知の蛍光体の回折図である。図1のように、この図からもまた、公知の蛍光体には11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲の、本発明の蛍光体に特徴的な反射がないことが明らかである。参照記号IIIで示したX線粉末回折図は、式SrLiAlの化合物のシミュレーションした回折図である。
【0126】
本発明の蛍光体の第2の例示的な実施形態、そのX線粉末回折図を図4に参照記号I’で示したものは、下記の通り製造した。0.0509molのSr、0.0383のLiN、0.0383molのLiAlH、0.4216molのAlN、および0.0006molのEuFを均質な混合物とした。AlN:Sr:LiN:LiAlH:EuFのモル比は、1:0.1207:0.0908:0.0908:0.0014である。混合物をタングステン坩堝に移し、この坩堝を管型炉に移す。フォーミングガス雰囲気下(N:H=92.5:7.5)で混合物を、1時間当たり250℃の加熱速度で1250℃の温度に加熱し、この温度で1時間保持し、次いで1時間当たり250℃の冷却速度で室温に冷却する。第2の例示的な実施形態の本発明の蛍光体は、公知の蛍光体SrLiAl:Eu2+、さらに1つの、実験式Sr4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体のその他の相も含む。
【0127】
図5は、図4に関して記述したように合成した、本発明の蛍光体の第2の例示的な実施形態の発光スペクトルを示す。ナノメートルを単位とする波長をx軸にプロットし、パーセントを単位とする発光強度はy軸にプロットする。発光スペクトルを測定するために、本発明の蛍光体を波長460nmの青色光で励起した。蛍光体の半値幅は61nmであり、主波長は627nmであり、最大発光は約654nmである。
【0128】
図6は、図4に関して記述したように合成した、本発明の蛍光体の第2の例示的な実施形態の反射率を、波長の関数として示す。ナノメートルを単位とする波長をx軸にプロットし、パーセントを単位とする反射率をy軸にプロットする。図から明らかなように、本発明の蛍光体は、450から500nmの間に最小反射率があり、したがって吸収がこの波長で特に高いため、450から500nmの間の波長で最も良く励起される。公知の蛍光体SrLiAl:Eu2+と比較すると、本発明の蛍光体の第2の例示的な実施形態は、450nmから500nmの範囲にも、より高い吸収を示す。
【0129】
図7は、銅Kα1線を使用した3つのX線粉末回折図を示す。回折角は、°2θ値を単位としてx軸にプロットし、強度はy軸にプロットする。参照記号I’’で提示されるX線粉末回折図は、本発明の赤色発光蛍光体の第3の例示的な実施形態の回折図を示す。第1および第2の例示的な実施形態のように、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲に2つの特徴的な反射がある。第1および第2の例示的な実施形態と比較すると、特徴的な反射の強度は、より高い。参照記号IIで示したX線粉末回折図は、式SrLiAl:Eu2+の蛍光体の回折図である。図1および4のように、この図からもまた、公知の蛍光体には11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲の、本発明の蛍光体の特徴的な反射がないことが明らかである。参照記号IIIで示したX線粉末回折図は、式SrLiAlの化合物のシミュレーションした回折図である。第3の例示的な実施形態の本発明の蛍光体は、公知の蛍光体SrLiAl:Eu2+、さらに1つの、実験式Sr4−xEuLiAl1114で表される、Eu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体のその他の相も含む。
【0130】
本発明の蛍光体の第3の例示的な実施形態、そのX線粉末回折図を図7に参照記号I’’で示したものは、下記の通り製造した。0.0591molのSr、0.0297のLiN、0.089molのLiAlH、0.445molのAlN、および0.0007molのEuFを、均質な混合物とした。AlN:Sr:LiN:LiAlH:EuFモル比は、1:0.1328:0.0667:0.20:0.0016である。混合物をタングステン坩堝に移し、この坩堝を管型炉に移す。フォーミングガス雰囲気下(N:H=92.5:7.5)で混合物を、1時間当たり250℃の加熱速度で1250℃の温度に加熱し、この温度で5時間保持し、次いで時間当たり250℃の冷却速度で室温に冷却する。
【0131】
図8は、図7に関して記述したように合成した、本発明の蛍光体の第3の例示的な実施形態の発光スペクトルを示す。ナノメートルを単位とする波長をx軸にプロットし、パーセントを単位とする発光強度はy軸にプロットする。発光スペクトルを測定するため、本発明の蛍光体を、波長460nmの青色光で励起した。蛍光体の半値幅は68nmであり、主波長は625nmであり、最大発光は約652nmである。
【0132】
図9は、図7に関して記述したように合成した、本発明の蛍光体の第3の例示的な実施形態の反射率を、波長の関数として示す。ナノメートルを単位とする波長をx軸にプロットし、パーセントを単位とする反射率をy軸にプロットする。図から明らかなように、本発明の蛍光体は、450から500nmの間に最小反射率があり、したがって吸収がこの波長で特に高いため、450から500nmの間の波長で最も良く励起される。公知の蛍光体SrLiAl:Eu2+と比較すると、本発明の蛍光体の第3の例示的な実施形態も、450nmから500nmの範囲でより高い吸収を示すことができる。
【0133】
全体として、本発明の赤色発光蛍光体の3つの例示的な実施形態から、温度T1、方法ステップC)の持続時間、および/または出発材料のモル比を変化させることによって、赤色発光蛍光体または赤色発光蛍光体組成物の半値幅が変化可能であることが明らかである。まとめると、3つの例示的な実施形態それぞれの半値幅および主波長は下記の通りである。
【0134】
【表1】
【0135】
図10は、本発明の赤色発光蛍光体の第4の例示的な実施形態の発光スペクトルを示す。ナノメートルを単位とする波長をx軸にプロットし、パーセントを単位とする発光強度はy軸にプロットする。発光スペクトルを測定するために、粉末錠剤の形状の本発明の蛍光体を、波長460nmの青色光で励起した。蛍光体の半値幅は85nmであり、主波長は623.5nmであり、最大発光は670nmである。
【0136】
本発明の蛍光体の第4の例示的な実施形態を、下記の通り製造した。161.75mmolのSr、485.26mmolのSrH、828.27mmolのLiAlH、48.72mmolのLiN、1843.60mmolのAlN、および3.90mmolのEuFを均質な混合物とした。。AlN:Sr:SrH:LiAlH:LiN:EuFモル比は、1:0.088:0.263:0.449:0.026:0.002である。混合物をタングステン坩堝に移し、この坩堝をさらに管型炉に移す。フォーミングガス雰囲気下(N:H=92.5:7.5)で混合物を、1時間当たり250℃の加熱速度で1400℃の温度に加熱し、この温度で15分間保持し、次いで1時間当たり250℃の冷却速度で室温に冷却する。蛍光体は、実験式SrLiAl1114:Eu2+を有し、式中、Eu2+はSrを部分的に置換している。この実験式は、代わりにSr4−xEuLiAl1114と書くことができる。赤色発光蛍光体、またはEu2+がドープされたニトリドアルミネート蛍光体は、KZnと同じ原子配列を有する結晶構造に結晶化する。結晶構造は、特に、斜方晶空間群Pnnmと記述されてもよい。特に、空間群Pnnmの斜方晶の記述における格子定数は、a=10.4291(7)Å、b=10.4309(7)Å、およびc=3.2349(2)であり、α=β=γ=90°である。その他の空間群における記述も可能である。
【0137】
図11は、図10に関して記述されるように合成した、本発明の蛍光体の第4の例示的な実施形態の反射率を、波長の関数として示す。ナノメートルを単位とする波長をx軸にプロットし、パーセントを単位とする反射率をy軸にプロットする。図から明らかなように、本発明の蛍光体は、450から500nmの間に最小反射率があり、したがって吸収がこの波長で特に高いため、450から500nmの間の波長で最も良く励起される。公知の蛍光体SrLiAl:Eu2+と比較すると、本発明の蛍光体の第2の例示的な実施形態は、450nmから500nmの範囲にも、より高い吸収を示す。
【0138】
図12Aは、図10に関して記述されるように合成された、第4の例示的な実施形態の、銅Kα1線を使用したX線粉末回折図を示す。回折角は、°2θ値を単位としてx軸にプロットし、強度はy軸にプロットする。第4の例示的な実施形態にも、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲に2つの特徴的反射がある。
【0139】
図12Bは、図12Aから得たX線粉末回折図の一部を示す。この場合でも、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの角度範囲に2つの特徴的反射が明らかに存在する。
【0140】
図13Aは、銅Kα1線を使用した2つのX線粉末回折図を示す。回折角は、°2θ値を単位としてx軸にプロットし、強度はy軸にプロットする。参照記号I’’’で示したX線粉末回折図は、本発明の赤色発光蛍光体の第4の例示的な実施形態の回折図である。参照記号IIで示したX線粉末回折図は、式SrLiAl:Eu2+の蛍光体の回折図である。図1および図4および図7のように、ここでも公知の蛍光体には、11.5〜12.5°2θの角度範囲および18.5〜19.5°2θの範囲の、本発明の蛍光体の特徴的な反射がないことが明らかである。
【0141】
図13Bは、図13AのX線粉末回折図の一部を示す。
【0142】
図14は、銅Kα1線を使用した2つのX線粉末回折図を示す。回折角は、°2θ値を単位としてx軸にプロットし、強度はy軸にプロットした。参照記号I’’’で示したX線粉末回折図は、本発明の赤色発光蛍光体の第4の例示的な実施形態について測定したX線粉末回折図である。参照記号IVで示した回折図は、式Sr4−xEuLiAl1114の本発明の蛍光体の単結晶データから計算された、X線粉末回折図に相当する。の印を付した反射は、AlNの第2の相に割り当てられるべきである。この反射は、出発材料からも得られる可能性や、蛍光体の部分的な分解に起因する可能性もある。図から明らかなように、参照記号I’’’の測定されたX線粉末回折図と、参照記号VIの計算された図との間の一致は、非常に高い。
【0143】
図15は、蛍光体Sr4−xEuLiAl1114の斜方結晶構造の概略図である。蛍光体は、空間群Pnnmで斜方晶状に結晶化する。蛍光体の構造は、単結晶回折データに基づいて決定した。構造は、頂点が連結され、縁部が連結された(Al,Li)N−四面体である。Sr原子が、四面体の網状構造中に配置されている。その他の空間群における記述も可能である。したがって本発明の蛍光体は、KZnと同じ原子配列である。
【0144】
図16Aは、Sr4−xEuLiAl1114の結晶学的データを示す。
【0145】
図16Bは、Sr4−xEuLiAl1114の構造内の原子層を示す。
【0146】
図16Cは、Sr4−xEuLiAl1114に関する異方性変位パラメータを示す。
【0147】
図17は、蛍光体Sr4−xEuLiAl1114の3つの置換異形例の発光スペクトルを示す。ここでは、置換異形例は、これら蛍光体において、実験式Sr4−xEuLiAl1114中の元素Sr、Eu、Li、Al、および/またはNが、その他の元素によって部分的に置換されていることを意味すると理解されたい。ナノメートルを単位とする波長をx軸にプロットし、パーセントを単位とする発光強度Eをy軸にプロットする。発光スペクトルを測定するために、個別の結晶状のサンプルを、波長460nmの青色光で励起した。半値幅を保ちながら(即ち原子配列を保ちながら)、組成を変えることにより、短波長側への発光帯での有意なシフトを実現することが可能であり、その結果、視認感度と重複する領域が増大することから、より効率的な蛍光体が得られる。参照記号Aを付した発光を示す蛍光体は、EDX測定において、Al:Siモル比が約1:1であり、636nmにピーク波長がある。よって、670nmにピーク波長がある非置換蛍光体SrLiAl1114:Eu2+と比較すると、著しく青側に偏移している。
【0148】
図18Aおよび18Bは、一般実験式(AXAYAZ)(BVBWBXBYBZ)(CXCY):Eと同様に、置換実験により実現される可能性のある、電気的中性となり得る化合物の表である。示した置換は単なる例示であり、結晶構造を保ちながらも、その他の同様の置換が可能である。
【0149】
例示的な実施形態を参照する記述は、本発明をこれら実施形態に限定するものではない。むしろ本発明は、特に特許請求の範囲に記載の特徴の任意の組合せも含めた、任意の新規な特徴および任意の特徴の組合せを包含するものであり、例え、このような特徴および組合せそれ自体が特許請求の範囲または例示的な実施形態に明示されていないとしても、本発明に包含される。
【符号の説明】
【0150】
I、II、III、IV、I’、I’’、I’’’ X線粉末回折図
A 発光
E 発光強度
R 反射率
X 波長
nm ナノメートル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18A
図18B