【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0009】
(1) 本発明は、電池電極作製のための金属板(例えば、後述の集電体に相当)に電池電極スラリーを塗布する複数の塗布手段(例えば、
図3のコーター91、92に相当)に、電池電極スラリーを分配する電池電極スラリー分配装置(例えば、
図1の電池電極スラリー分配装置1に相当)であって、前記複数の塗布手段のそれぞれに接続される複数の接続手段(例えば、
図3の配管12、13に相当)と接続され、付勢された電池電極スラリーを循環させる循環手段(例えば、
図3の循環配管14に相当)と、前記複数の塗布手段のそれぞれへの、前記循環手段を循環する電池電極スラリーの供給を制御する制御手段(例えば、
図3の制御部70に相当)と、を備え、前記制御手段は、前記複数の塗布手段のうちのいずれか1つへの電池電極スラリーの供給を許可している期間では、当該複数の塗布手段のうち、電池電極スラリーの供給を許可している塗布手段を除くものへの電池電極スラリーの供給を禁止することを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
【0010】
この発明によれば、循環手段により、電池電極スラリーを循環させることとした。このため、電池電極スラリーは循環手段を循環することになる。したがって、電池電極スラリーが滞留してしまう時間を短くすることができるので、電池電極スラリーにおいて分離や再凝集が発生してしまうのを抑制することができる。
【0011】
また、この発明によれば、制御手段により、複数の塗布手段のうちのいずれか1つへの電池電極スラリーの供給を許可している期間では、これら複数の塗布手段のうち、電池電極スラリーの供給を許可している塗布手段を除くものへの電池電極スラリーの供給を禁止することとした。このため、複数の塗布手段のうち、循環手段から電池電極スラリーが同時に供給されるのは1つになる。したがって、付勢された電池電極スラリーは、複数の塗布手段に分散して供給されるのではなく、1つの塗布手段に集中して供給されることになる。つまり、複数の塗布手段に電池電極スラリーを同時に供給すると、循環手段を循環している電池電極スラリーの量の減り量によっては、電池電極スラリーの流速が大きく低下し、電池電極スラリーの滞留が生じてしまうおそれがある。これを防ぐためには、電池電極スラリーに対する付勢力を大きくすることが必要となる。しかしながら、上述のように1つの塗布手段に集中して電池電極スラリーを供給することで、循環手段を循環している電池電極スラリーの流速が大きく低下することがなくなるので、電池電極スラリーに対する付勢力を大きくする必要がなくなる。よって、同時に複数の塗布手段に電池電極スラリーを供給しようとした場合と比べて、電池電極スラリーに対する付勢力を大きくする必要がない。また、複数の塗布手段のそれぞれに対して、短時間で電池電極スラリーを供給することができる。
【0012】
また、この発明によれば、循環手段に、複数の接続手段を介して複数の塗布手段を接続することとした。このため、同じ電池電極スラリーを用いた電池電極の製造を複数ラインで行うことができるので、電池電極の均質性を向上させることができる。また、複数の塗布手段のうち、いずれか1つの塗布手段を駆動させて電池電極の製造を継続しつつ、他の塗布手段を停止させて清掃やメンテナンスを行うことなども、容易に行うことができる。
【0013】
(2) 本発明は、(1)の電池電極スラリー分配装置について、前記循環手段は、多角形状の環状に形成され、前記循環手段の複数の屈曲部(例えば、
図5の屈曲部141に相当)に、前記複数の接続手段のそれぞれが接続されることを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
【0014】
この発明によれば、(1)の電池電極スラリー分配装置において、循環手段を、多角形状の環状に形成し、循環手段の屈曲部に複数の接続手段を接続することとした。このため、屈曲部において、電池電極スラリーの流れる勢いが弱まるので、循環手段を流れる電池電極スラリーが接続手段に流れ込みやすくなる。したがって、複雑な制御を行うことなく、電池電極スラリーを、接続手段を介して塗布手段に供給することができる。
【0015】
(3) 本発明は、(1)または(2)の電池電極スラリー分配装置について、前記制御手段は、前記複数の接続手段のそれぞれにおける電池電極スラリーの流れを制御する開閉可能な弁(例えば、
図3の二方弁71、72に相当)を備え、当該複数の弁を同時に2つ以上開かないことを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
【0016】
この発明によれば、(1)または(2)の電池電極スラリー分配装置において、制御手段に弁を複数設け、これら複数の弁により、複数の接続手段のそれぞれにおける電池電極スラリーの流れを制御することとした。このため、それぞれの弁の開閉を制御することで、複数の塗布手段のそれぞれへの電池電極スラリーの供給量を独立して制御することができる。
【0017】
また、この発明によれば、(1)または(2)の電池電極スラリー分配装置において、複数の弁を、同時に2つ以上開かないこととした。このため、複数の塗布手段のうち、循環手段から電池電極スラリーが同時に供給されるのは1つになるので、電池電極スラリーに対する付勢力を小さくすることができるとともに、複数の塗布手段のそれぞれに対して、短時間で電池電極スラリーを供給することができる。
【0018】
(4) 本発明は、(1)から(3)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置について、前記複数の接続手段のそれぞれが、それぞれの底面に接続される複数の第1貯留手段(例えば、
図5の収容タンク911に相当)を備え、前記複数の第1貯留手段のそれぞれは、前記複数の接続手段のそれぞれを流れた電池電極スラリーを貯留することを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
【0019】
この発明によれば、(1)から(3)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置において、複数の第1貯留手段のそれぞれの底面に複数の接続手段のそれぞれを接続し、複数の第1貯留手段のそれぞれにより、複数の接続手段のそれぞれを流れた電池電極スラリーを貯留することとした。このため、第1貯留手段には、鉛直下方から湧き出るように電池電極スラリーが接続手段から供給されることになる。したがって、第1貯留手段の上方から電池電極スラリーを供給する場合と比べて、第1貯留手段の底面に電池電極スラリーが落下したり、第1貯留手段に既に収容されている電池電極スラリーの上に電池電極スラリーが落下したりすることがなくなる。よって、第1貯留手段の底面や電池電極スラリーに電池電極スラリーが勢いよく衝突することによって、電池電極スラリーに気泡が含まれてしまうのを、防止することができる。
【0020】
(5) 本発明は、(1)から(4)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置について、前記循環手段を循環する電池電極スラリーに含まれる不純物を除去する除去手段(例えば、
図3の脱泡部31やフィルタ41に相当)を備えることを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
【0021】
この発明によれば、(1)から(4)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置において、除去手段により、循環手段を循環する電池電極スラリーに含まれる不純物を除去することができ、電池電極スラリーの品質を向上させることができる。
【0022】
(6) 本発明は、(1)から(5)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置について、前記循環手段を循環する電池電極スラリーを貯留するとともに、貯留している電池電極スラリーを前記循環手段に供給する第2貯留手段(例えば、
図3のタンク21に相当)を備えることを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
【0023】
この発明によれば、(1)から(5)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置において、第2貯留手段により、循環手段を循環する電池電極スラリーを貯留するとともに、貯留している電池電極スラリーを循環手段に供給することとした。このため、第2貯留手段で電池電極スラリーが混ざり合うので、電池電極スラリーの品質のばらつきを小さくすることができ、電池電極スラリーの品質を均一にすることができる。
【0024】
また、循環手段に供給される電池電極スラリーが増減しても、第2貯留手段により、安定した量の電池電極スラリーを塗布手段に供給し続けることができる。具体的には、循環手段に供給される電池電極スラリーの量が、複数の塗布手段のそれぞれが要求する電池電極スラリーの量の総和よりも少ない場合には、不足分を第2貯留手段に貯留されている電池電極スラリーで補うことができる。また、循環手段に供給される電池電極スラリーの量が、複数の塗布手段のそれぞれが要求する電池電極スラリーの量の総和よりも多い場合には、超過分を第2貯留手段に貯留させることができる。
【0025】
(7) 本発明は、(1)から(6)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置について、前記循環手段を循環する電池電極スラリーの少なくとも一部を選択的に廃棄可能とする廃棄手段(例えば、
図6の廃棄部81に相当)を備えることを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
【0026】
この発明によれば、(1)から(6)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置において、廃棄手段により、循環手段を循環する電池電極スラリーの少なくとも一部を選択的に廃棄可能とした。このため、例えば循環手段を長時間循環し続けたために品質劣化の可能性がある電池電極スラリーを、容易に廃棄することができる。
【0027】
(8) 本発明は、(1)から(7)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置と、前記電池電極スラリー分配装置に接続され、当該電池電極スラリー分配装置に供給する電池電極スラリーを作製する電池電極スラリー作製装置(例えば、
図1の電池電極スラリー作製装置100に相当)と、を備え、前記電池電極スラリー作製装置は、前記電池電極スラリー分配装置と比べて高い位置に配置されることを特徴とする電池電極スラリー処理装置を提案している。
【0028】
この発明によれば、電池電極スラリー作製装置を、(1)から(7)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置と比べて高い位置に配置することとした。このため、電池電極スラリー作製装置から電池電極スラリー分配装置への電池電極スラリーの移送は、鉛直下方に向かって行われ、重力を利用することができる。したがって、電池電極スラリーの粘性が高くても、電池電極スラリー作製装置から電池電極スラリー分配装置に電池電極スラリーを供給しやすくすることができる。
【0029】
(9) 本発明は、電池電極作製のための金属板(例えば、後述の集電体に相当)に電池電極スラリーを塗布する複数の塗布手段(例えば、
図3のコーター91、92に相当)に電池電極スラリーを分配する電池電極スラリー分配装置(例えば、
図1の電池電極スラリー分配装置1に相当)における電池電極スラリー分配方法であって、前記複数の塗布手段に接続された循環手段(例えば、
図3の循環配管14に相当)において、付勢された電池電極スラリーを循環させる第1のステップと、前記複数の塗布手段のそれぞれへの、前記第1のステップにおいて循環させた電池電極スラリーの供給を制御する第2のステップと、を備え、前記第2のステップでは、前記複数の塗布手段のうちのいずれか1つへの電池電極スラリーの供給を許可している期間では、当該複数の塗布手段のうち、電池電極スラリーの供給を許可している塗布手段を除くものへの電池電極スラリーの供給を禁止することを特徴とする電池電極スラリー分配方法を提案している。
【0030】
この発明によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0031】
(10) 本発明は、懸濁液を用いて目的物を製造する複数の製造手段に、懸濁液を分配する懸濁液分配装置であって、前記複数の製造手段に接続され、付勢された懸濁液を循環させる循環手段と、前記複数の製造手段のそれぞれへの、前記循環手段を循環する懸濁液の供給を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記複数の製造手段のうちのいずれか1つへの懸濁液の供給を許可している期間では、当該複数の製造手段のうち、懸濁液の供給を許可している製造手段を除くものへの懸濁液の供給を禁止することを特徴とする懸濁液分配装置を提案している。
【0032】
この発明によれば、循環手段により、懸濁液を循環させることとした。このため、懸濁液は循環手段を循環することになる。したがって、懸濁液が滞留してしまう時間を短くすることができるので、懸濁液において分離や再凝集が発生してしまうのを抑制することができる。
【0033】
また、この発明によれば、制御手段により、複数の製造手段のうちのいずれか1つへの懸濁液の供給を許可している期間では、これら複数の製造手段のうち、懸濁液の供給を許可している製造手段を除くものへの懸濁液の供給を禁止することとした。このため、複数の製造手段のうち、循環手段から懸濁液が同時に供給されるのは1つになる。したがって、付勢された懸濁液は、複数の製造手段に分散して供給されるのではなく、1つの製造手段に集中して供給されることになる。つまり、複数の製造手段に懸濁液を同時に供給すると、循環手段を循環している懸濁液の量の減り量によっては、懸濁液の流速が大きく低下し、懸濁液の滞留が生じてしまうおそれがある。これを防ぐためには、懸濁液に対する付勢力を大きくすることが必要となる。しかしながら、上述のように1つの製造手段に集中して懸濁液を供給することで、循環手段を循環している懸濁液の流速が大きく低下することがなくなるので、懸濁液に対する付勢力を大きくする必要がなくなる。よって、同時に複数の製造手段に懸濁液を供給しようとした場合と比べて、懸濁液に対する付勢力を大きくする必要がない。また、複数の製造手段のそれぞれに対して、短時間で懸濁液を供給することができる。
【0034】
また、この発明によれば、循環手段に複数の製造手段を接続することとした。このため、同じ懸濁液を用いた目的物の製造を複数ラインで行うことができるので、目的物の均質性を向上させることができる。また、複数の製造手段のうち、いずれか1つの製造手段を駆動させて目的物の製造を継続しつつ、他の製造手段を停止させて清掃やメンテナンスを行うことなども、容易に行うことができる。
【0035】
(11) 本発明は、懸濁液を用いて目的物を製造する複数の製造手段に懸濁液を分配する懸濁液分配装置における懸濁液分配方法であって、前記複数の製造手段に接続された循環手段において、付勢された懸濁液を循環させる第1のステップと、前記複数の製造手段のそれぞれへの、前記第1のステップにおいて循環させた懸濁液の供給を制御する第2のステップと、を備え、前記第2のステップでは、前記複数の製造手段のうちのいずれか1つへの懸濁液の供給を許可している期間では、当該複数の製造手段のうち、懸濁液の供給を許可している製造手段を除くものへの懸濁液の供給を禁止することを特徴とする懸濁液分配方法を提案している。
【0036】
この発明によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。