【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 研究集会名 第1回内見会 主催者名 株式会社テクト/株式会社丸高工業 開催日 平成27年10月27日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
床面の所定の箇所に据え付けられる台車を備え、前記台車が、前記第1および第2ガイドレールの下端部を支持して幅方向へ延びる前端部と、前記前端部から後方へ所定寸法離間して幅方向へ延びる後端部と、前記前端部と前記後端部の間に位置して前後方向へ延びる両側部と、前記前端部の両側と前記後端部の両側とに取り付けられたキャスターとを有している請求項1に記載の壁材剥離装置。
床面に対する前記台車の幅方向および前後方向の傾きを調節しつつ前記壁材に上下方向に形成する切り込み溝に対する前記第1および第2ガイドレールの幅方向および前後方向の傾きを調節する傾き調整部材が、前記台車の前端部の両側と該台車の後端部の両側とのうちの少なくとも該台車の前端部の両側に設置されている請求項2に記載の壁材剥離装置。
前記壁材に向かって前後方向へ伸縮可能であって前記壁面または該壁材の外面に当接する第1押さえ部材が、前記台車の前端部に設置され、前記壁材に向かって前後方向へ伸縮可能であって前記壁面または該壁材の外面に当接する第2押さえ部材が、前記第1および第2ガイドレールの上端部に設置され、
前記ブレードを利用して前記壁材を前記壁面から剥がし取るときの該壁材へ近接する方向への移動を前記第1および第2押さえ部材が阻止する請求項2又は3に記載の壁材剥離装置。
前記第1および第2リフトが、前記ガイドレールに挿通されたケーシングと、前記ケーシングの内側に配置されて該ケーシングに回転可能に取り付けられ、前記ガイドレールの外周面に当接するローラとから形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の壁材剥離装置。
前記昇降機構が、電動機と、前記電動機につながって減速比に比例したトルクを発生させる減速機と、前記減速機につながって該減速機のトルクによって前記第1および第2リフトをそれらガイドレールに沿って上下方向へ移動させるチェーンとから形成されている請求項1ないし6いずれかに記載の壁材剥離装置。
前記昇降機構が、手動によって回転させて減速比に比例したトルクを発生させる手動回転機と、前記手動回転機につながって該手動回転機のトルクによって前記第1および第2リフトをそれらガイドレールに沿って上下方向へ移動させるチェーンとから形成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の壁材剥離装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示の屋内用RC壁解体装置は、回転するブレードを利用して壁を切断するが、壁に固着された壁材を壁面から剥がし取ることはできず、壁材の解体に使用することはできない。また、屋内用RC壁の解体を低騒音で行えるとしても、ブレードの回転を利用して壁を切断するから、壁の切断中に不快かつ大きな音圧レベルの切断音や摺動音が発生し、その切断音や摺動音が周囲に伝播することで不快な騒音をまき散らす場合があるとともに、壁を切断にともなって多くの塵埃が飛散し、周囲が塵埃によって広範囲に汚染される場合がある。さらに、切断対象の壁を墨出し線に沿って幅方向へ切断するとともに、ブレードを上下方向へ旋回させて壁を上下方向へ切断して壁を解体するが、一方向かつ一度の動作で所定面積の壁を解体することはできない。
【0005】
なお、壁に固着された壁材を壁面から剥がし取り、壁材を解体する場合、通常解体工がバールやハンマー等の解体工具を使用して壁材を破壊するが、壁材の解体に手間と時間とを要するとともに、体力が必要となる。また、壁材を破壊する際に不快かつ大きな音圧レベルの破壊音が発生し、壁材の破片(解体ゴミ)が床面に散らばるとともに、多くの塵埃が飛散し、周囲が破片や塵埃によって広範囲に汚染される。
【0006】
本発明の目的は、不快な騒音の発生がなく、さらに、塵埃や破片によって周囲を汚染することがなく、壁に固着された壁材を壁面から剥がし取ることができ、静穏かつ清潔な状態で壁材を解体することができる壁材剥離装置を提供することにある。本発明の他の目的は、上下方向の移動によって一度に所定面積の壁材を壁面から剥がし取ることができ、手間や時間を要さずに効率よく壁材剥離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の前提は、建造物の壁
の軽鉄に固着された壁材を壁面から剥がし取る壁材剥離装置である。
【0008】
前記前提における本発明の特徴は、幅方向へ所定寸法離間して上下方向へ平行して延びる一対の第1よび第2ガイドレールと、前記第1および第2ガイドレールに上下方向へ移動可能に設置された第1および第2リフトと、前記第1および第2リフトに設置されてそれらリフトの間において幅方向へ延在し、それらリフトの移動にともなって上下方向へ移動するブレードと、前記第1および第2リフトをそれらガイドレールに沿って上下方向へ移動させる昇降機構とを備え、
前記ブレードは、傾斜角度が調整可能に構成され、前記軽鉄の間隔に応じて固定ねじを抜き取るための凹部が形成されていることにある。
【0010】
本発明の他の一例としては、床面の所定の箇所に据え付けられる台車を
備え、台車が、第1および第2ガイドレールの下端部を支持して幅方向へ延びる前端部と、前端部から後方へ所定寸法離間して幅方向へ延びる後端部と、
前記前端部と前記後端部の間に位置して前後方向へ延びる両側部と、前端部の両側と後端部の両側とに取り付けられたキャスターとを有し、壁材剥離装置では、キャスターを利用して台車を移動可能であり、台車の床面における据え付け箇所を変更可能である。
【0011】
本発明の他の一例としては、床面に対する台車の幅方向および前後方向の傾きを調節しつつ切り込み溝に対する第1および第2ガイドレールの幅方向および前後方向の傾きを調節する傾き調整部材が台車の前端部の両側と台車の後端部の両側とのうちの少なくとも台車の前端部の両側に設置されている。
【0012】
本発明の他の一例としては、壁材に向かって前後方向へ伸縮可能であって壁面または壁材の外面に当接する第1押さえ部材が台車の前端部に設置され、壁材に向かって前後方向へ伸縮可能であって壁面または壁材の外面に当接する第2押さえ部材が第1および第2ガイドレールの上端部に設置され、壁材剥離装置では、ブレードを利用して壁材を壁面から剥がし取るときの壁材剥離装置の壁材へ近接する方向への移動を第1および第2押さえ部材が阻止する。
【0014】
本発明の他の一例として、ブレードには、
第1および第2ガイドレールから次第に離間するように傾斜して上下方向へ延びる所定面積の剥離部の両側縁から前後方向へ延出しつつ上下方向へ延びていて剥離部の上下方向の変形を防止する補強リブが形成され、補強リブが、第1および第2リフトに固定される固定部と、固定部から上下方向へ延びる延出部とを有する。
【0015】
本発明の他の一例としては、第1および第2リフトが、ガイドレールに挿通されたケーシングと、ケーシングの内側に配置されてケーシングに回転可能に取り付けられ、ガイドレールの外周面に当接するローラとから形成されている。
【0016】
本発明の他の一例としては、昇降機構が、電動機と、電動機につながって減速比に比例したトルクを発生させる減速機と、減速機につながって減速機のトルクによって第1および第2リフトをそれらガイドレールに沿って上下方向へ移動させるチェーンとから形成されている。
【0017】
本発明の他の一例としては、昇降機構が、手動によって回転させて減速比に比例したトルクを発生させる手動回転機と、手動回転機につながって該手動回転機のトルクによって第1および第2リフトをそれらガイドレールに沿って上下方向へ移動させるチェーンとから形成されている。
【0018】
本発明の他の一例として、壁材剥離装置では、第1および第2ガイドレールの軸線に対するブレードの剥離部の傾斜角度を5〜12度の範囲で変更可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる壁材剥離装置によれば、ブレードの先端を配置する箇所の壁材を壁面から剥がし取って剥離開始位置を作るとともに、壁材に幅方向へ所定寸法離間して上下方向へ平行して延びる切り込み溝を形成し、それらガイドレールを壁材の外面近傍(直前)に配置してブレードを切り込み溝の間に配置しつつ、ブレードの先端を剥離開始位置における壁面と壁材との間に配置した状態で、昇降機構を利用してそれらリフトとともにブレードを上方または下方へ移動させ、ブレードを利用して壁面と壁材とを剥離しつつ壁材を壁面から後方へ引き離すことで壁材を壁面から剥がし取るから、回転するブレード(切断刃)によって壁材を切断する場合やバールやハンマー等の解体工具を使用して壁材を破壊する場合と比較し、ブレードと壁材や壁面との不快な摺動音や解体工具による不快な解体音が発生することはなく、さらに、塵埃や破片によって周囲を汚染することがなく、不快な騒音を発生させずに壁に固着された壁材を壁面から剥がし取ることができ、静穏かつ清潔な状態で壁材を解体することができる。壁材剥離装置は、ブレードの上方への移動または下方への移動によって切り込み溝の間に延びる所定面積の壁材を壁面から剥がし取ることができ、手間や時間を要さずに効率よく壁材を解体することができる。壁材剥離装置は、壁材の解体にかかる手間を大幅に省くことができ、壁材の解体にかかる時間を大幅に短縮することができるとともに、壁材を低コストで解体することができる。
【0021】
第1および第2リフトが上方または下方へ停止することなく連続して移動しつつ、ブレードの上方または下方への連続した移動によって切り込み溝の間であって天井面と床面との間に延びる所定面積の壁材を壁面から一連に剥がし取る壁材剥離装置は、ブレードの上方への連続した移動または下方への連続した移動によって切り込み溝の間であって天井面と床面との間に延びる壁材を壁面から剥がし取ることができるから、切り込み溝の間であって天井面と床面との間に延びる所定面積の壁材を壁面から一気に剥がし取ることができ、天井面と床面との間に延びる壁材を壁面から複数回に分けて引き剥がす場合と比較し、壁面からの壁材の引き剥がしを短時間に行うことができ、壁材の解体を短い工期で行うことができる。
【0022】
床面の所定の箇所に据え付けられる台車を
備え、台車が第1および第2ガイドレールの下端部を支持して幅方向へ延びる前端部と前端部から後方へ所定寸法離間して幅方向へ延びる後端部と
前端部と後端部の間に位置して前後方向へ延びる両側部と前後端部の両側に取り付けられたキャスターとを有し
ている壁材剥離装置は、壁面から壁材を剥がし取った後、キャスターを利用して台車を移動させることで、次の剥離箇所に壁材剥離装置を容易に移動させることができるから、台車の床面における据え付け箇所を変えつつ壁材剥離装置によって壁材を壁面から順次剥がし取ることができ、壁に広範囲に固着された壁材のすべてを壁面から短時間に効率よく剥がし取ることができる。
【0023】
床面に対する前記台車の幅方向および前後方向の傾きを調節しつつ切り込み溝に対する第1および第2ガイドレールの幅方向および前後方向の傾きを調節する傾き調整部材が台車の前端部の両側と台車の後端部の両側とのうちの少なくとも台車の前端部の両側に設置されている壁材剥離装置は、床面に対して壁材が幅方向へ傾斜して設置されている場合、台座の前端部と後端部との少なくとも前端部の両側に設置された傾き調節部材を利用し、台座の幅方向の傾きを調節しつつ床面に対する第1および第2ガイドレールの幅方向の傾きを調節することで、第1および第2ガイドレールを切り込み溝に対して平行にすることができるとともに、ブレードの先端を切り込み溝の間に延びる壁材に対して平行にすることができ、ブレードを利用して壁に固着された壁材を壁面から確実に剥がし取ることができる。壁材剥離装置は、床面に対して壁材が前後方向へ傾斜して設置されている場合、台座の前端部と後端部との少なくとも前端部の両側に設置された傾き調節部材を利用し、床面に対する台車の前後方向の傾きを調節することで、第1および第2ガイドレールを切り込み溝に対して平行にすることができ、ブレードを利用して壁に固着された壁材を壁面から確実に剥がし取ることができる。
【0024】
壁材に向かって前後方向へ伸縮可能であって壁面または壁材の外面に当接する第1押さえ部材が台車の前端部に設置され、壁材に向かって前後方向へ伸縮可能であって壁面または壁材の外面に当接する第2押さえ部材が第1および第2ガイドレールの上端部に設置され、ブレードを利用して壁材を壁面から剥がし取るときの壁材剥離装置の壁材へ近接する方向への移動を第1および第2押さえ部材が阻止する壁材剥離装置は、ブレードによって壁材を壁面から剥がし取る際に、壁材剥離装置を壁材へ近接する方向へ移動させる力が装置に作用するが、装置の壁材へ近接する方向への移動を壁面または壁材の外面に当接するそれら押さえ部材が阻止するから、壁材を壁面から剥がし取るときの装置の不用意な動きを防ぐことができ、ブレードがズレ動きことはなく、ブレードを利用して壁に固着された壁材を壁面から確実に剥がし取ることができる。
【0025】
ブレードが第1および第2ガイドレールから次第に離間するように傾斜して上下方向へ延びる所定面積の剥離部と幅方向へ所定寸法離間して並ぶとともに剥離部の先端から後端に向かって上下方向へ凹む凹部とを有し、壁材が幅方向と上下方向とへ等間隔離間して並ぶ複数の固定ネジによって壁に固着され、壁面に対する固定ネジの螺着箇所にブレードの凹部を配置した状態でブレードを上方または下方へ移動させることで、凹部の凹み端縁が固定ネジに近接した時点で壁材が固定ネジから抜き取られ、凹部の凹み端縁が固定ネジの頭部を通過する壁材剥離装置は、ブレードの剥離部がガイドレールから次第に離間するように傾斜することで、ブレードを利用して壁材を壁面から剥がし取る際に、ブレードの剥離部が壁材を壁面から離間する後方へ引き離すから、ブレードの剥離部によって壁に固着された壁材を壁面から確実に剥がし取ることができる。壁材剥離装置は、壁材が幅方向と上下方向とへ等間隔離間して並ぶ複数の固定ネジによって壁に固着されている場合、固定ネジの螺着箇所にブレードの凹部を配置してブレードを上方または下方へ移動させ、ブレードの剥離部によって壁材を壁面から離間する後方へ引き離すことで、凹部の凹み端縁が固定ネジに近接した時点で壁材が固定ネジから抜き取られ、凹部の凹み端縁が固定ネジの頭部を通過するから、固定ネジによって壁材が壁に固着されていたとしても、ブレードが固定ネジに引っ掛かることなく、ブレードの剥離部によって壁に固着された壁材を壁面から円滑に剥がし取ることができる。
【0026】
ブレードの剥離部の両側縁から前後方向へ延出しつつ上下方向へ延びていて剥離部の上下方向の変形を防止する補強リブがブレードに形成され、補強リブが第1および第2リフトに固定される固定部と固定部から上下方向へ延びる延出部とを有する壁材剥離装置は、ブレードの剥離部によって壁材を壁面から剥がし取る際に、ブレードの剥離部を変形させる強い力が作用するが、ブレードの剥離部の両側縁に補強リブを形成することで、剥離部の上下方向の変形を防止することができ、ブレードの剥離部によって壁に固着された壁材を壁面から確実かつ円滑に剥がし取ることができる。
【0027】
第1および第2リフトがガイドレールに挿通されたケーシングとケーシングの内側に配置されてケーシングに回転可能に取り付けられてガイドレールの外周面に当接するローラとから形成されている壁材剥離装置は、ガイドレールの外周面に当接するローラを利用して第1および第2リフトを第1および第2ガイドレールに沿って上下方向へ円滑に移動させることができ、第1および第2リフトとともにリフトに固定されたブレードを上下方向へ円滑に移動させることで、壁に固着された壁材を壁面から確実かつ円滑に剥がし取ることができる。
【0028】
昇降機構が電動機と電動機につながって減速比に比例したトルクを発生させる減速機と減速機につながって減速機のトルクによって第1および第2リフトをそれらガイドレールに沿って上下方向へ移動させるチェーンとから形成されている壁材剥離装置は、電動機や減速機、チェーンを利用して第1および第2リフトとともにリフトに固定されたブレードを上下方向へ移動させることができ、人の力を利用することなく、壁材を壁面から自動的に剥がし取ることができる。壁材剥離装置は、電動機につながる減速機を備え、減速機によって電動機の回転軸の回転速度を減じることで減速比に比例したトルクを発生させることができるから、減速機のトルクによって第1および第2リフトとともにリフトに固定されたブレードを上下方向へ確実に移動させることができ、壁や壁材の抵抗に抗しつつ壁に固着された壁材を壁面から確実かつ円滑に剥がし取ることができる。
【0029】
昇降機構が手動によって回転させて減速比に比例したトルクを発生させる手動回転機と手動回転機につながって手動回転機のトルクによって第1および第2リフトをそれらガイドレールに沿って上下方向へ移動させるチェーンとから形成されている壁材剥離装置は、手動回転機およびチェーンを利用して第1および第2リフトとともにリフトに固定されたブレードを上下方向へ移動させることができ、ブレードを手で持って上下方向へ移動させることなく、壁材を壁面から剥がし取ることができる。壁材剥離装置は、手動回転機が減速比に比例したトルクを発生させるから、作業者が小さい力で手動回転機を回転させつつ、手動回転機のトルクを利用して第1および第2リフトとともにリフトに固定されたブレードを上下方向へ移動させることができ、小さい力で壁や壁材の抵抗に抗しつつ壁に固着された壁材を壁面から確実に剥がし取ることができる。
【0030】
第1および第2ガイドレールの軸線に対するブレードの剥離部の傾斜角度を5〜12度の範囲で変更可能である壁材剥離装置は、ガイドレールの軸線に対するブレードの剥離部の傾斜角度を前記範囲で変更可能であるから、剥がし取る壁材の厚み寸法によって剥離部の傾斜角度を自由に変えることができ、厚み寸法が大きい壁材であってもその壁材を壁面から剥がし取ることができる。壁材剥離装置は、ブレードの剥離部がガイドレールから次第に離間するようにガイドレールの軸線に対して前記角度で傾斜することで、ブレードを利用して壁材を壁面から剥がし取る際に、ブレードの剥離部によって壁材を壁面から離間する後方へ引き離すことができ、ブレードの剥離部を利用して壁に固着された壁材を壁面から確実に剥がし取ることができる。壁材剥離装置は、ブレードの剥離部がガイドレールの軸線に対して前記角度で傾斜するから、壁材が幅方向へ等間隔離間して上下方向へ並ぶ複数の固定ネジによって壁に固着されていたとしても、凹部の凹み端縁が固定ネジに近接した時点で壁材が固定ネジから抜き取られ、凹部の凹み端縁が固定ネジの頭部を通過することができ、ブレードが固定ネジに引っ掛かることなく、ブレードの剥離部によって壁に固着された壁材を壁面から剥がし取ることができる。
【0031】
壁材剥離装置は、第1および第2ガイドレールを壁材の外面近傍(直前)に配置してブレードを切り込み溝の間に配置しつつブレードの先端を壁面と石膏ボードや単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板との間に配置した状態で、昇降機構を利用して第1および第2リフトとともにブレードを上方または下方へ移動させ、ブレードを利用して壁面と石膏ボードや単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板とを剥離しつつ石膏ボードや単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板を壁面から後方へ引き離すことで石膏ボードや単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板を壁面から剥がし取るから、ブレードと壁面や石膏ボードや単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板との不快な摺動音や解体工具による不快な解体音が発生することはなく、さらに、塵埃や破片によって周囲を汚染することがなく、不快な騒音を発生させずに壁に固着された石膏ボードや単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板を壁面から剥がし取ることができ、静穏な状態で石膏ボードや単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板を解体することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
一例として示す壁材剥離装置10Aの背面図である
図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる壁材剥離装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、
図2は、壁材剥離装置10Aを右方から示す側面図であり、
図3は、壁材剥離装置10Aを左方から示す側面図である。
図4は、壁材剥離装置10Aを上方から見た上面図であり、
図5は、台車11を前方から示す拡大正面図である。
図6は、台車11を拡大して示す拡大側面図であり、
図7は、第1ガイドレール12aの上端部36を示す拡大側面図である。
図8は、第1リフト14aの一例を示す断面図であり、
図9は、第2リフト14bの一例を示す断面図である。
図10は、一例として示すブレード15の正面図であり、
図11は、ブレード15の側面図である。
【0034】
図1では、ブレード15が上方へ移動した状態を点線で示す。
図3,5では、電動機68、減速機69の図示を省略している。
図4では、電動機68、減速機69、第2および第3チェーン70b,70cの図示を省略している。
図1〜
図3では、上下方向を矢印Aで示し、幅方向を矢印Bで示すとともに、前後方向を矢印Cで示す。
【0035】
壁材剥離装置10Aは、建造物(建物)の壁81(内壁および外壁)に固着された石膏ボードや単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板(壁材77)を壁面78から剥がし取る場合に好適に利用される。壁材剥離装置10Aは、床面82の所定の箇所に据え付けられる台車11と、一対の第1および第2ガイドレール12a,12bと、上部ロッド13と、第1および第2リフト14a,14bと、ブレード15および昇降機構16とから形成されている。
【0036】
台車11は、鋼材から作られた所定面積の台座プレート17と、一対の第1および第2脚支柱18a,18bと、4つのキャスター19とから形成されている。台座プレート17は、幅方向へ延びる前端部20と、前端部20から後方へ所定寸法離間して幅方向へ延びる後端部21と、前後端部20,21の間に位置して前後方向へ延びる両側部22とを有する。台座プレート17の前端部20の内部には、幅方向へ延びる1本の第1回転軸23(シャフト)が回転可能に挿通(設置)されている。第1回転軸23は、その両端縁部24a,24bが台座プレート17の前端部20の両端開口から幅方向へ露出している。第1回転軸23の一方の端縁部24aには、第1鎖歯車25と第2鎖歯車26とが取り付けられ、第1回転軸23の一方の端縁部24bには、第1鎖歯車25が取り付けられている(
図5参照)。第1および第2鎖歯車25,26は、1本の第1回転軸23の回転によって同期して回転する。
【0037】
第1脚支柱18aは、台座プレート17の一方の側部22に取り付けられて前後方向へ延びている。第1脚支柱18aは、鋼材から作られた角柱パイプであり、台座プレート17の一方の側部22に固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって固定されている。第2脚支柱18bは、台座プレート17の他方の側部22に取り付けられて前後方向へ延びている。第2脚支柱18bは、鋼材から作られた角柱パイプであり、台座プレート17の他方の側部22に固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって固定されている。
【0038】
第1および第2脚支柱18a,18bの前端部27(台車11の前端部20の幅方向両側)には、一対の第1押さえロッド28(第1押さえ部材)が設置されている。第1および第2脚支柱18a,18bの前端部27における側面には、前後方向へ延びる開口部29(スリット)が作られている(
図6参照)。それら脚支柱18a,18bの後端部30(台車11の後端部21の幅方向両側)には、一対の傾き第2調節ボルト31(傾き第2調整部材)が設置されている。
【0039】
傾き第2調節ボルト31は、第1および第2脚支柱18a,18bの後端部30に穿孔された螺着孔に螺着されている。第1および第2脚支柱18a,18bの後端部30の螺着孔において傾き第2調節ボルト31を時計回り方向または反時計回り方向へ回転させ、第1および第2脚支柱18a,18bから下方への第2調節ボルト31の露出長さを調節することで、床面82に対する台車11の幅方向や前後方向の傾きを調節することができる。
【0040】
第1押さえロッド28は、鋼材から作られた角柱パイプであり、前後方向へ延びる摺動部32と、摺動部32の先端につながって幅方向外方へ延びる当接部33とを有する。押さえロッド28の摺動部32は、その大きさが第1および第2脚支柱18a,18bのそれよりもわずかに小さく、第1および第2脚支柱18a,18bの内部に摺動可能に挿通(収容)されている。押さえロッド28の摺動部43は、脚支柱18a,18bの前端部27から前後方向へ進退可能であり、前後方向へ進退させることで前後方向へ伸縮可能である。第1および第2脚支柱18a,18bの前端部27からの押さえロッド28の摺動部32の露出長さを調節することで、それら押さえロッド28の長さ寸法(脚支柱18a,18bの前端部27から前方へのそれら押さえロッド28の露出長さ)を変更することができる。
【0041】
開口部29(スリット)には、第1押さえロッド28の摺動部32を摺動不能に固定する固定ボルト34(ストッパー)が螺着されている。それら第1押さえロッド28を脚支柱18a,18bの前端部27から前方へ引き出した後、開口部29に螺着された固定ボルト34をねじ込むことで所定の長さ寸法に引き出された押さえロッド28の摺動部32を脚支柱18a,18bに固定することができ、押さえロッド28の長さ寸法を固定することができる。それら第1押さえロッド28は、その当接部33が壁面79または後記する壁材77(石膏ボードや単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板)の外面に当接する。
【0042】
第1押さえロッド28の当接部33(台車11(台座プレート17)の前端部20の幅方向両側)には、一対の傾き第1調節ボルト35(傾き第1調整部材)が設置されている。傾き第1調整ボルト35は、第1押さえロッド28の当接部33に穿孔された螺着孔に螺着されている。第1押さえロッド28の当接部33の螺着孔において傾き第1調節ボルト35を時計回り方向または反時計回り方向へ回転させ、当接部33から下方への第1調節ボルト35の露出長さを調節することで、床面82に対する台車11の幅方向や前後方向の傾きを調節することができる。なお、傾き第1調節ボルト35(傾き第1調整部材)のみが設置され、傾き第2調節ボルト31(傾き第2調整部材)が設置されていなくてもよい。
【0043】
キャスター19は、第1押さえロッド28(第1押さえ部材)の当接部33(台車11の前端部の幅方向両側)に固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって取り付けられ、台座プレート17の前端部20の幅方向両側(台車11の前端部の幅方向両側)に固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって取り付けられているとともに、それら脚支柱18a,18bの後端部30(台車11(台座プレート17)の後端部21の幅方向両側)に固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって取り付けられている。
【0044】
キャスター19に設置されたストッパー(図示せず)でキャスター19の回転を固定(ロック)することで、床面82の所定の位置に台車11を据え付ける(静止させる)ことができる。台車11は、キャスター19を利用して床面82を前後左右に移動(移動可能)させることができ、台車11を床面82の任意の箇所に移動させることができるとともに、台車11の床面82における据え付け箇所を自由に変える(変更可能)することができる。
【0045】
第1および第2ガイドレール12a,12bは、幅方向へ所定寸法離間して上下方向へ平行して延びている。第1ガイドレール12aは、上端部36および下端部38と、上下端部36,38の間に延びる中間部37とを有する。第1ガイドレール12aは、上下方向へ4つに分割され、1つの上部第1ガイドレール12a1と2つの中間第1ガイドレール12a2,12a3と1つの下部第1ガイドレール12a4とから形成されている。上部第1ガイドレール12a1や中間第1ガイドレール12a2,12a3、下部第1ガイドレール12a4には、鋼材から作られた角柱パイプが使用されている。
【0046】
上部第1ガイドレール12a1と中間第1ガイドレール12a2とは、中間第1ガイドレール12a2の上下方向へ延びる芯材(角パイプ)(図示せず)が上部第1ガイドレール12a1の内部に挿通され、芯材と上部第1ガイドレール12a1とが固定ボルトによって固定されることで、それらレール12a1,12a2が連結されている。中間第1ガイドレール12a2と中間第1ガイドレール12a3とは、中間第1ガイドレール12a3の上下方向へ延びる芯材(角パイプ)(図示せず)が中間第1ガイドレール12a2の内部に挿通され、芯材と中間第1ガイドレール12a2とが固定ボルトによって固定されることで、それらレール12a2,12a3が連結されている。中間第1ガイドレール12a3と下部第1ガイドレール12a4とは、下部第1ガイドレール12a4の上下方向へ延びる芯材(角パイプ)(図示せず)が中間第1ガイドレール12a3の内部に挿通され、芯材と中間第1ガイドレール12a3とが固定ボルトによって固定されることで、それらレール12a3,12a4が連結されている。
【0047】
第1ガイドレール12aは、その下端部38(下部第1ガイドレール12a4の下端部)が台車11(台座プレート17)の前端部20(前端部20と側部22との交差箇所)に固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって強固に固定されている。第1ガイドレール12aでは、図示はしていないが、異なる長さ寸法の複数本の中間第1ガイドレール12a2,12a3が用意され、長さ寸法が異なる中間第1ガイドレール12a2,12a3を上部第1ガイドレール12a1と下部第1ガイドレール12a4とに連結することで、第1ガイドレール12aの上下方向の長さ寸法を変えることができる。
【0048】
第2ガイドレール12bは、上端部36および下端部38と、上下端部36,38の間に延びる中間部37とを有する。第2ガイドレール12bは、上下方向へ4つに分割され、1つの上部第2ガイドレール12b1と2つの中間第2ガイドレール12b2,12b3と1つの下部第2ガイドレール12b4とから形成されている。上部第2ガイドレール12abや中間第2ガイドレール12b2,12b3、下部第1ガイドレール12b4には、鋼材から作られた角柱パイプが使用されている。
【0049】
上部第2ガイドレール12b1と中間第2ガイドレール12b2とは、中間第2ガイドレール12b2の上下方向へ延びる芯材(角パイプ)(図示せず)が上部第2ガイドレール12b1の内部に挿通され、芯材と上部第2ガイドレール12b1とが固定ボルトによって固定されることで、それらレール12b1,12b2が連結されている。中間第2ガイドレール12b2と中間第2ガイドレール12b3とは、中間第2ガイドレール12b3の上下方向へ延びる芯材(角パイプ)(図示せず)が中間第2ガイドレール12b2の内部に挿通され、芯材と中間第2ガイドレール12b2とが固定ボルトによって固定されることで、それらレール12b2,12b3が連結されている。中間第2ガイドレール12b3と下部第2ガイドレール12b4とは、下部第2ガイドレール12b4の上下方向へ延びる芯材(角パイプ)(図示せず)が中間第2ガイドレール12b3の内部に挿通され、芯材と中間第2ガイドレール12b3とが固定ボルトによって固定されることで、それらレール12b3,12b4が連結されている。
【0050】
第2ガイドレール12bは、その下端部38(下部第2ガイドレール12b4の下端部)が台車11(台座プレート17)の前端部20(前端部20と側部22との交差箇所)に固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって強固に固定されている。第2ガイドレール12bでは、図示はしていないが、異なる長さ寸法の複数本の中間第2ガイドレール12b2,12b3が用意され、長さ寸法が異なる中間第2ガイドレール12b2,12b3を上部第2ガイドレール12b1と下部第2ガイドレール12b4とに連結することで、第2ガイドレール12bの上下方向の長さ寸法を変えることができる。
【0051】
第1および第2ガイドレール12a,12bの上下方向の長さ寸法を変えることで、壁材剥離装置10Aによって剥がし取ることができる壁材77(石膏ボード、単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板)の上下寸法を変えることができる。第1および第2ガイドレール12a,12bの幅方向の離間寸法(台車の幅寸法)を変えることで、壁材剥離装置10Aによって剥がし取ることができる壁材77(石膏ボード、単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板)の幅寸法を変えることができる。
【0052】
上部ロッド13は、前後方向へ離間して並ぶ軸支持ロッド13aと固定ロッド13bとから形成されている。軸支持ロッド13aは、鋼材から作られた角柱パイプであり、その両端部39が第1および第2ガイドレール12a,12bの上端部36(上部第1ガイドレール12a1と上部第2ガイドレール12b1との上端部)に固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって強固に固定されている。軸支持ロッド13aの内部には、幅方向へ延びる1本の第2回転軸40(シャフト)が回転可能に挿通(設置)されている。第2回転軸40は、その両端縁部41a,41bが軸支持ロッド13aの両端開口から露出している。第2回転軸40の両端縁部41a,41bには、第3鎖歯車42が取り付けられている。それら第3鎖歯車42は、1本の第2回転軸40の回転によって同期して回転する。
【0053】
固定ロッド13bは、鋼材から作られた角柱パイプであり、軸支持ロッド13aの前後方向後方に位置している。固定ロッド13bは、軸支持ロッド13aの両端部39から後方に延びる連結ロッド43によって軸支持ロッド13aに連結されている。軸支持ロッド13aや固定ロッド13b、連結ロッド43は固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって強固に連結されている。固定ロッド13bの両端部44には、幅方向へ延びる摺動ロッド45と一対の第2押さえロッド46(第2押さえボルト)(第2押さえ部材)とが設置されている。固定ロッド13bの両端部44における側面には、幅方向へ延びる開口部47(スリット)が作られている。
【0054】
摺動ロッド45は、鋼材から作られた角柱パイプであり、その大きさが固定ロッド13bのそれよりもわずかに小さく、固定ロッド13bの内部に摺動可能に収容(挿通)されている。摺動ロッド45は、固定ロッド13bの両端開口(両端部44)から幅方向へ進退可能であり、幅方向へ進退させることで幅方向へ伸縮可能である。固定ロッド13bの両端開口からの摺動ロッド45の露出長さを調節することで、それら摺動ロッド45の長さ寸法(固定ロッド13bの両端開口(両端部44)から幅方向外方へのそれら摺動ロッド45(露出端部)の露出長さ)を変更することができる。
【0055】
開口部47(スリット)には、それら摺動ロッド45を摺動不能に固定する固定ボルト48(ストッパー)が螺着されている。それら摺動ロッド45を固定ロッド13bの両端開口(両端部44)から幅方向外方へ引き出した後、開口部47に螺着された固定ボルト48(ストッパー)をねじ込むことで所定の長さ寸法に引き出された摺動ロッド45を固定ロッド13bに固定することができ、固定ロッド13bの両端開口から露出する摺動ロッド45(露出端部)の長さ寸法を固定することができる。
【0056】
第2押さえロッド46(第2押さえ部材)は、摺動ロッド45に取り付けられて前後方向へ延びている。第2押さえロッド46は、その螺子部が固定ロッド13bの両端開口から露出する摺動ロッド45の露出端部に穿孔された螺着孔に螺着されている。摺動ロッド45の露出端部の螺着孔において第2押さえロッド46の螺子部を時計回り方向または反時計回り方向へ回転させ、摺動ロッド45の露出端部から前方への押さえロッド46の露出長さを調節することで、露出端部から前方への押さえロッド46の長さ寸法を変更することができる。第2押さえロッド46は、その先端に当接円盤金具49が取り付けられ、円盤金具49が後記する壁材77(石膏ボードや単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板)の外面または壁面79に当接する。
【0057】
第1リフト14aは、第1ガイドレール12aに設置され、ガイドレール12aに沿って上下方向へ移動する。第1リフト14aは、
図8に示すように、上下方向へ開口する中空のケーシング50と、ケーシング50の内側に配置された複数のガイドローラ51(ローラ)とから形成されている。ケーシング50は、鋼材から作られ、中空の略角柱状に成形されている。ケーシング50は、第1ガイドレール12aに挿通され、ガイドレール12aを取り囲んでいる。ケーシング50には、幅方向外方へ延びる巻き取りボルト92が取り付けられている。それらガイドローラ51は、第1ガイドレール12aとケーシング50との間の空間(スペース)に設置され、ベアリングの存在下にケーシング50に回転可能に取り付けられている。それらガイドローラ51は、その外周面が第1ガイドレール12aの外周面に当接し、ケーシング50の上下方向への移動によって回転する。
【0058】
第1リフト14aのケーシング50の前端の一側部には、鋼材から作られて幅方向外方へ延出する第1支持プレート52が固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって固定されている。第1支持プレート52には、緊張力調節部材53(緊張力アジャスタ)と固定金具54とが設置されている。第1リフト14aのケーシング50の前端の他側部には、鋼材から作られて幅方向内方へ延出する第2支持プレート55が固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって固定されている。第2支持プレート55には、ブレード15の後記する補強リブ62の固定部63が着脱可能に固定されている。
【0059】
第2リフト14bは、第2ガイドレール12bに設置され、ガイドレール12bに沿って上下方向へ移動する。第2リフト14bは、
図9に示すように、上下方向へ開口する中空のケーシング50と、ケーシング50の内側に配置された複数のガイドローラ51(ローラ)とから形成されている。ケーシング50は、鋼材から作られ、中空の略角柱状に成形されている。ケーシング50は、第2ガイドレール14bに挿通され、ガイドレール12bを取り囲んでいる。ケーシング50には、幅方向外方へ延びる巻き取りボルト92が取り付けられている。それらガイドローラ51は、第2ガイドレール12bとケーシング50との間の空間(スペース)に設置され、ベアリングの存在下にケーシング50に回転可能に取り付けられている。それらガイドローラ51は、その外周面が第2ガイドレール12bの外周面に当接し、ケーシング50の上下方向への移動によって回転する。
【0060】
第2リフト14bのケーシング50の前端の一側部には、鋼材から作られて幅方向外方へ延出する第3支持プレート56が固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって固定されている。第3支持プレート56には、緊張力調節部材53(緊張力アジャスタ)と固定金具54とが設置されている。第2リフト14bのケーシング50の前端の他側部には、鋼材から作られて幅方向内方へ延出する第4支持プレート57が固定手段(ボルトおよびナットや溶接)によって固定されている。第4支持プレート57には、ブレード15の後記する補強リブ62の固定部63が着脱可能に固定されている。
【0061】
ブレード15は、第1および第2リフト14a,14bの間(第1および第2ガイドレール1a,12bの間)において幅方向へ延びている。ブレード15は、第1および第2リフト14a,14bに着脱可能に取り付けられ、第1および第2リフト14a,14bの上下方向への移動にともなって上下方向へ移動(昇降)する。ブレード15は、鋼材から作られ、上下方向へ延びる所定面積の剥離部58と、剥離部58の先端59(刃先)から後端60(峰)に向かって上下方向下方へ凹む凹部61とを有する。剥離部58は、その後端60から先端59に向かうにつれて第1および第2ガイドレール12a,12bから次第に離間するように前後方向前方へ傾斜している。凹部61は、その正面形状がコ字状に成形され、幅方向へ所定寸法離間(等間隔)して並んでいる。ブレード15の幅方向の寸法に特に制限はなく、第1および第2ガイドレール1a,12bの幅方向の離間寸法によってブレード15の幅方向の寸法を自由に変えることができる。また、凹部61の数に特に制限はなく、ブレード15の幅方向の寸法によって1つの凹部61または3つ以上の凹部61が作られていてもよい。
【0062】
剥離部58の幅方向両側縁には、前後方向前方へ延出しつつ上下方向へ延びる補強リブ62が形成されている。補強リブ62は、剥離部58の略下半分に延びる固定部63と、固定部63から上下方向上方へ延びる(剥離部58の略上半分に延びる)延出部64とを有し、剥離部58の上下方向の変形を防止する。それら固定部63には、旋回軸となる螺着孔65と、前後方向へ弧を描いて延びる螺着開口部66(スリット)とが穿孔されている。螺着孔65を旋回軸としてブレード15を前後方向へ旋回させ、第1および第2ガイドレール12a,12bの軸線Lに対するブレード15の剥離部58の傾斜角度αを調節することができる。
【0063】
螺着孔65と螺着開口部66とに固定ボルト67を挿通し、ブレード15の剥離部58の傾斜角度αを調節した後、固定ボルト67にナットを螺着することで、固定部63を第1および第2リフト14a,14bの第2および第4支持プレート55,57に強固に固定する。なお、第1および第2ガイドレール12a,12bの軸線Lに対するブレード15の剥離部58の傾斜角度αは、5〜12度(好ましくは7〜10度)の範囲で変更することができる。固定部63の一方は、第1リフト14aのケーシング50に固定された第2支持プレート55に固定され、固定部63の他方は、第2リフト14bのケーシング50に固定された第4支持プレート57に固定されている。固定ボルト67およびナットを取り外すことで、第2支持プレート55や第4支持プレート57に対する固定部63の固定を解除することができ、第1および第2リフト14a,14bからブレード15を取り外すことができる。
【0064】
図12は、第1リフト14aに設置された第1プレートの正面図であり、
図13は、第2リフト14bに設置された第2プレートの正面図である。昇降機構16は、台車11の台座プレート17の側部22に設置された電動機68と、台車11の台座プレート17の側部22であって電動機68と第1ガイドレール12aとの間に設置された減速機69と、第1および第2リフト14a,14bをそれらガイドレール12a,12bに沿って上下方向へ移動(昇降)させる第1〜第3チェーン70a〜70c(レーノルドチェーン)とから形成されている。なお、昇降機構16として電動シリンダ(直線作動機)を利用することもできる。
【0065】
電動機68は、固定手段(固定金具、ボルトおよびナット)(図示せず)によって台車11の台座プレート17に固定されている。電動機68は、その回転軸71が減速機69の入力軸72に連結されている。電動機68には、正転/逆転レバー(図示せず)とON/OFFスイッチ(図示せず)が設置されている。電動機68は、ON/OFFスイッチのONによって時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。減速機69は、固定手段(固定金具、ボルトおよびナット)(図示せず)によって台車11の台座プレート17に固定されている。減速機69は、電動機68の回転軸71の回転速度を減じることで減速比に比例したトルクを得る。減速機69の出力軸73には、減速比に比例したトルクが発生する。減速機69の出力軸73には、第4鎖歯車74が取り付けられている。
【0066】
第1チェーン70aは、
図6に示すように、第1回転軸23の一方の端縁部24aに取り付けられた第2鎖歯車26と減速機69の出力軸73に取り付けられた第4鎖歯車74とに掛けられている。第2チェーン70bは、第1回転軸23の一方の端縁部24aに取り付けられた第1鎖歯車25と第2回転軸40の一方の端縁部41aに取り付けられた第3鎖歯車42とに掛けられている。第3チェーン70cは、第1回転軸23の他方の端縁部24bに取り付けられた第1鎖歯車25と第2回転軸40の他方の端縁部41bに取り付けられた第3鎖歯車42とに掛けられている。
【0067】
第2チェーン70bは、
図12に示すように、一方の端部75aが第1リフト14aの第1支持プレート52に設置された緊張力調節部材53に連結され、他方の端部75bが第1支持プレート52に設置された固定金具54に着脱可能に連結されている。第2チェーン70bの他方の端部75bは、その一部分(延長部分)が固定金具54から延出した状態でケーシング50に取り付けられた巻き取りボルト92に巻き取られている。
【0068】
第2チェーン70bが緩んだ場合、緊張力調節部材53を時計回り方向へ回転させ、緊張力調節部材53によって第2チェーン70bを引っ張ることで、第1鎖歯車25および第3鎖歯車42に掛けられた第2チェーン70bの緊張状態を保持することができる。逆に、第2チェーン70bの緊張力が強い場合、緊張力調節部材53を反時計回り方向へ回転させ、緊張力調節部材53によって第2チェーン70bを緩めることで、第1鎖歯車25および第3鎖歯車42に掛けられた第2チェーン70bの緊張力を調節することができる。
【0069】
第2チェーン70bの他方の端部75bを固定金具54から取り外し、巻き取りボルト92に巻き取れられた端部75bの一部分をボルト92から取り外し、端部75bの長さを長くした状態で一部分(延長部分)を固定金具54に連結することで、第2チェーン70bの長さ寸法を長くすることができる。第2チェーン70bの他方の端部75bを固定金具54から取り外し、端部75bの一部分を巻き取りボルト92に巻き付け、端部75bの長さを短くした状態での一部分(延長部分)を固定金具54に連結することで、第2チェーン70bの長さ寸法を短くすることができる。
【0070】
第3チェーン70cは、
図13に示すように、一方の端部76aが第2リフト14bの第3支持プレート56に設置された緊張力調節部材53に連結され、他方の端部76bが第3支持プレート56に設置された固定金具54に着脱可能に連結されている。第3チェーン70cの他方の端部76bは、その一部分(延長部分)が固定金具54から延出した状態でケーシング50に取り付けられた巻き取りボルト92に巻き取られている。
【0071】
第3チェーン70cが緩んだ場合、緊張力調節部材53を時計回り方向へ回転させ、緊張力調節部材53によって第3チェーン70cを引っ張ることで、第1鎖歯車25および第3鎖歯車42に掛けられた第3チェーン70cの緊張状態を保持することができる。逆に、第3チェーン70cの緊張力が強い場合、緊張力調節部材53を反時計回り方向へ回転させ、緊張力調節部材53によって第3チェーン70cを緩めることで、第1鎖歯車25および第3鎖歯車42に掛けられた第3チェーン70cの緊張力を調節することができる。
【0072】
第3チェーン70cの他方の端部76bを固定金具54から取り外し、巻き取りボルト92に巻き取れられた端部76bの一部分をボルト92から取り外し、端部76bの長さを長くした状態での一部分(延長部分)を固定金具54に連結することで、第3チェーン70cの長さ寸法を長くすることができ、第3チェーン70cの他方の端部76bを固定金具54から取り外し、端部76bの一部分を巻き取りボルト92に巻き付け、端部76bの長さを短くした状態での一部分(延長部分)を固定金具54に連結することで、第3チェーン70cの長さ寸法を短くすることができる。
【0073】
電動機68の正転/逆転レバーを正転の側に位置させ、電動機68のON/OFFスイッチをONにして電動機68を起動させ、電動機68の回転軸71が時計回り方向へ回転すると、減速機69の入力軸72が時計回り方向へ回転するとともに、減速機69の出力軸73が時計回り方向へ回転する。減速機69の出力軸73が時計回り方向へ回転すると、第4鎖歯車74が時計回り方向へ回転し、第1チェーン70aが第4鎖歯車74から繰り出されて第2鎖歯車26が時計回り方向へ回転する。
【0074】
第2鎖歯車26が時計回り方向へ回転すると、第1回転軸23が時計回り方向へ回転し、それによって第1回転軸23に取り付けられた第1鎖歯車25が時計回り方向へ回転する。第1鎖歯車25が時計回り方向へ回転すると、第2および第3チェーン70b,70cが繰り出されて第3鎖歯車42と第2回転軸40とが時計回り方向へ回転する。第1および第3鎖歯車25,42(第1および第2回転軸23,40)が時計回り方向へ回転することで、第2および第3チェーン70b,70cが連続して繰り出され、第1および第2リフト14a,14bが上方へ移動(上昇)する。
【0075】
電動機68の正転/逆転レバーを逆転の側に位置させ、電動機68のON/OFFスイッチをONにして電動機68を起動させ、電動機68の回転軸71が反時計回り方向へ回転すると、減速機69の入力軸72が反時計回り方向へ回転するとともに、減速機69の出力軸73が反時計回り方向へ回転する。減速機69の出力軸73が反時計回り方向へ回転すると、第4鎖歯車74が反時計回り方向へ回転し、第1チェーン70aが第4鎖歯車74から繰り出されて第2鎖歯車26が反時計回り方向へ回転する。
【0076】
第2鎖歯車26が反時計回り方向へ回転すると、第1回転軸23が反時計回り方向へ回転し、それによって第1回転軸23に取り付けられた第1鎖歯車25が反時計回り方向へ回転する。第1鎖歯車25が反時計回り方向へ回転すると、第2および第3チェーン70b,70cが繰り出されて第3鎖歯車42と第2回転軸40とが反時計回り方向へ回転する。第1および第3鎖歯車25,42(第1および第2回転軸23,40)が反時計回り方向へ回転することで、第2および第3チェーン70b,70cが連続して繰り出され、第1および第2リフト14a,14bが下方へ移動(下降)する。
【0077】
それら第1鎖歯車25が1本の第1回転軸23に設置され、それら第3鎖歯車42が1本の第2回転軸40に設置されているから、それら第1鎖歯車25が同期して回転するとともに、それら第3鎖歯車42が同期して回転し、第2および第3チェーン70b,70cが同期して繰り出される。したがって、第1および第2リフト14a,14bが同期して上方へ移動(上昇)し、第1および第2リフトが14a,14b同期して下方へ移動(下降)する。
【0078】
図14は、剥離方法のうちの剥離準備工程を示す正面図であり、
図15は、装置設置工程、傾き調節工程、押さえ部材設置工程を示す正面図である。
図16は、装置設置工程、傾き調節工程、押さえ部材設置工程を示す側面図である。
図15,16では、上下方向を矢印Aで示し、幅方向を矢印Bで示すとともに、前後方向を矢印Cで示す。壁材剥離装置10Aを使用し、石膏ボード77(壁材77)を軽鉄78の外面79(壁面79)から剥がし取る(剥離する)場合を例として剥離準備工程、装置設置工程、傾き調節工程、押さえ部材設置工程を説明すると、以下のとおりである。
【0079】
石膏ボード77は、建造物の躯体80に取り付けられた複数本の軽鉄78に固定ネジに83よって固着された下地石膏ボード77aと、下地石膏ボード77aに接着剤(図示せず)やタッカー針(図示せず)によって固定された化粧石膏ボード77bとから形成されている(
図18,19参照)。軽鉄78は、躯体80において幅方向へ等間隔離間して上下方向へ延びている。固定ネジ83は、
図14に示すように、幅方向と上下方向とへ等間隔離間して並び、下地石膏ボード77aに螺着されているとともに、軽鉄78に螺着されている。なお、図示例では、躯体80と軽鉄78とが壁81を形成し、躯体80の外面79および軽鉄78の外面79が壁81の壁面79になる。躯体80に軽鉄78が設置され巣に、石膏ボード77が躯体80に直接固着される場合は、躯体80の外面79が壁81の壁面79になる。
【0080】
壁材剥離装置10Aでは、第1および第2リフト14a,14bが台車11(第1および第2ガイドレール12a,12bの下端部39)まで下降し、ブレード15が最下に位置している。作業者は、床面82から天井面84までの石膏ボード77の高さ寸法を測り、中間第1および第2ガイドレール12a2,12a3,12b2,12b3を選定した後、選定した中間第1および第2ガイドレール12a2,12a3,12b2,12b3を上部第1および第2ガイドレール12a1,12b1や下部第1および第2ガイドレール12a4,12b4に連結して第1および第2ガイドレール12a,12bの長さ寸法を石膏ボード77の高さ寸法に合わせる。
【0081】
作業者は、床面82からブレード15の先端59(刃先)までの高さ寸法と略同一の高さに位置する化粧石膏ボード77bの外面に幅方向へ延びる第1ラインを引くとともに(墨出し)、壁材剥離装置10Aのブレード15の幅方向の寸法にあわせて壁面79から剥離する石膏ボード77の幅寸法を決定し、化粧石膏ボード77bの外面に幅方向へ所定寸法離間して上下方向へ平行に延びる第2ラインを引く(墨出し)。
【0082】
作業者は、
図14に示すように、電動カッターを使用して第1ラインに切り込み溝を入れた後、バールを使用して第1ラインの下方に存在する石膏ボード77(ブレード15を配置する箇所の石膏ボード77)を軽鉄78の外面79(壁面79)から剥がし取り(はつり)、軽鉄78および躯体80を露出させて剥離開始位置86を作るとともに、切削工具を使用して第2ラインに切り込み溝85を入れる(剥離準備工程)。切り込み溝85の深さ寸法は石膏ボード77の厚み寸法と同一であり、切り込み溝85が軽鉄78の外面79(壁面79)に達している。
【0083】
作業者は、ブレード15の補強リブ62の固定部63に穿孔された螺着孔65と螺着開口部66(スリット)とに螺着された固定ボルト67に対するナットの螺着を緩め、螺着孔65(ボルト)を旋回軸としてブレード15を前後方向へ旋回させてブレード15の剥離部58の傾斜角度αを調節した後、ボルト67にナットを締め付けて固定部63を支持プレート55,57に固定する。壁材剥離装置10Aは、剥がし取る壁材77の厚み寸法によって剥離部58の傾斜角度αを自由に変えることができる。
【0084】
作業者は、キャスター19のロックを解除し、壁材剥離装置10Aを動かして装置10Aを石膏ボード77(壁面79)の直前まで移動させる。壁材剥離装置10Aは、
図16に示すように、ブレード15の先端59(刃先)が石膏ボード77(壁面79)に対向するように、石膏ボード77の近傍に運ばれる。作業者は、一方の切り込み溝85(第2ライン)が第1ガイドレール12aの内側近傍に位置するとともに、他方の切り込み溝85(第2ライン)が第2ガイドレール12bの内側近傍に位置するように、第1および第2ガイドレール12a,12bを化粧石膏ボード77bの外面79近傍に配置してブレード15をそれら切り込み溝58(第2ライン)の間に配置しつつ、ブレード15の先端59(刃先)を剥離開始位置86における軽鉄78の外面79(壁面79)と下地石膏ボード77a(壁材77)との間に配置した後、ストッパーでキャスター19の回転を固定(ロック)して壁材剥離装置10Aを床面82に据え付ける(装置設置工程)。なお、ブレード15の凹部61が下地石膏ボード77aと軽鉄78(壁81)とを固着する固定ネジ83の螺着箇所に対向し、ブレード15の凹部61に軽鉄78が位置している。
【0085】
次に、切り込み溝85(第2ライン)に対する第1および第2ガイドレール12a,12bの幅方向の平行状態と前後方向の平行状態(第1ラインとブレード15の剥離部58の先端59との平行状態)とを確認する。作業者は、切り込み溝85に対して第1および第2ガイドレール12a,12bが幅方向へ非平行であると判断した場合、第1押さえロッド28の当接部33の螺着孔において傾き第1調節ボルト35を時計回り方向または反時計回り方向へ回転させ、または、第1および第2脚支柱18a,18bの後端部30の螺着孔において傾き第2調節ボルト31を時計回り方向または反時計回り方向へ回転させ、第1押さえロッド28の当接部33から下方への第1調節ボルト35の露出長さを調節しつつ、第1および第2脚支柱18a,18bから下方への第2調節ボルト31の露出長さを調節し、床面82に対する台車11の幅方向の傾きを調節する(傾き調節工程)。床面82に対する台車11の幅方向の傾きを調節することで、第1および第2ガイドレール12a,12bを切り込み溝85(第2ライン)に対して幅方向へ平行にすることができる。
【0086】
切り込み溝85(第2ライン)に対して第1および第2ガイドレール12a,12bが前後方向へ非平行であると判断した場合、第1押さえロッド28の当接部33の螺着孔において傾き第1調節ボルト35を時計回り方向または反時計回り方向へ回転させ、または、第1および第2脚支柱18a,18bの後端部30の螺着孔において傾き第2調節ボルト31を時計回り方向または反時計回り方向へ回転させ、第1押さえロッド28の当接部33から下方への第1調節ボルト35の露出長さを調節しつつ、第1および第2脚支柱18a,18bから下方への第2調節ボルト31の露出長さを調節し、床面82に対する台車11の前後方向の傾きを調節する(傾き調節工程)。床面82に対する台車11の前後方向の傾きを調節することで、第1および第2ガイドレール12a,12bを切り込み溝85(第2ライン)に対して前後方向へ平行にすることができる。
【0087】
次に、第1および第2脚支柱18a,18bの開口部29(スリット)に螺着された固定ボルト34(ストッパー)を反時計回り方向へ回転させてボルト34を緩め、第1押さえロッド28(第1押さえ部材)を脚支柱18a,18bの前端部27(前端開口)から前方へ引き出し、第1押さえロッド28の当接部33を躯体80の外面79(壁面79)に当接させる。なお、準備工程において切り込み溝85の間に存在する石膏ボード77のみを剥がし取った場合、第1押さえロッド28の当接部33は化粧石膏ボード77bの外面79(壁材77の外面79)に当接する。第1押さえロッド28の当接部33を躯体80の外面79(壁面79)に当接させた後、固定ボルト34を時計回り方向へ回転させてボルト34を締め、第1押さえロッド28の長さ寸法を固定し、押さえロッド28の当接部33の躯体80の外面79に対する当接状態を維持する(押さえ部材設置工程)。
【0088】
作業者は、固定ロッド13bの開口部47に螺着された固定ボルト48(ストッパー)を反時計回り方向へ回転させてボルト48を緩め、摺動ロッド45を固定ロッド13bの両端部44(両端開口)から幅方向へ引き出し、固定ロッド13bの両端部44から幅方向へ露出する摺動ロッド45の長さ寸法(露出寸法)を決めた後、固定ボルト48を時計回り方向へ回転させてボルト48を締め、摺動ロッド45の長さ寸法を固定する。壁材剥離装置10Aは、摺動ロッド45の幅方向の長さ寸法を調節することで、第2押さえロッド46の当接円盤金具49(先端)の化粧石膏ボード77bの外面79に対する当接箇所を調節することができる。
【0089】
作業者は、摺動ロッド45の露出端部の螺着孔において第2押さえロッド46を時計回り方向へ回転させ、露出端部から前方への押さえロッド46の露出長さを調節し、押さえロッド46の先端に取り付けられた当接円盤金具49を化粧石膏ボード77bの外面79(壁材77の外面79)に当接させる(押さえ部材設置工程)。なお、剥離箇所の幅方向両側または幅方向片側の石膏ボード77が既に剥がし取られている(剥離されている)場合、第2押さえロッド46の円盤金具49は躯体80の外面79(壁面79)または軽鉄78の外面79(壁面79)に当接する。
【0090】
図17は、剥離方法のうちの壁材剥離工程を示す正面図であり、
図18は、壁材剥離工程の側面図である。
図19は、ブレード15による石膏ボード77の剥離の状態を模式的に示す断面図であり、
図20は、
図19から続く石膏ボード77の剥離の状態を模式的に示す断面図である。
図21は、
図18から続く壁材剥離工程を示す側面図である。
図17,18では、上下方向を矢印Aで示し、幅方向を矢印Bで示すとともに、前後方向を矢印Cで示す。壁材剥離装置10Aを使用して石膏ボード77(壁材77)を壁面79から剥がし取る壁材剥離工程(剥離手順)を説明すると、以下のとおりである。なお、第2チェーン70bや第3チェーン70cの長さ寸法や緊張力は事前に調節されている。
【0091】
装置設置工程、傾き調節工程、押さえ部材設置工程が終了した後、作業者は、電動機68の正転/逆転レバーを正転の側に位置させ、ON/OFFスイッチをONにして電動機68を起動させる。電動機68が起動すると、電動機68の回転軸71が時計回り方向へ回転するとともに減速機69の出力軸73が時計回り方向へ回転し、第1チェーン70aが連続して繰り出されるとともに、第2および第3チェーン70b,70cが連続して繰り出され、第1および第2ガイドレール12a,12bに沿って第1および第2リフト14a,14bが上方へ連続的に移動(上昇)し、リフト14a,14bの上昇によってブレード15が上方へ連続的に移動(上昇)する。ブレード15の凹部61は、軽鉄78に沿って上方へ移動する。なお、スイッチをOFFにすることで、第1および第2リフト14a,14b(ブレード15)を第1および第2ガイドレール12a,12bの所定の位置で停止させることができる。
【0092】
第1および第2リフト14a,14bとともにブレード15が上方へ移動すると、ブレード15の剥離部58の先端59(刃先)が軽鉄78の外面79(壁面79)と下地石膏ボード77aの内面(剥離面)との間に次第に進入し、剥離部58の先端59(刃先)が軽鉄78の外面79から下地石膏ボード77aを順次剥離する(壁材剥離工程)。石膏ボード77は、剥離開始位置86から天井面84に向かって次第に剥がし取られる。ブレード15の剥離部58が後端60から先端59に向かってガイドレール12a,12bの軸線Lから次第に離間するように前後方向前方へ所定角度αで傾斜しているから、
図19に示すように、石膏ボード77(下地石膏ボード77aおよび化粧石膏ボード77b)をブレード15の剥離部58の外面に乗せた状態でブレード15が上方へ移動して石膏ボード77がブレード15の傾斜に沿って傾斜する。
【0093】
ブレード15の剥離部58の傾斜によって石膏ボード77が軽鉄78の外面79(壁面79)から離間する方向(前後方向後方)に傾斜することで、石膏ボード77が軽鉄78の外面79から後方へ引き離され、石膏ボード77が軽鉄78(壁81)から次第に剥がし取られる。なお、電動機68のON/OFFスイッチをON状態に保持することで、第1および第2リフト14a,14bが停止することなく上方へ連続して移動しつつ、ブレード15の上方への連続した移動によって切り込み溝85(第2ライン)の間であって床面82と天井面84との間に延びる所定面積の石膏ボード77が軽鉄78の外面79(壁面79)から連続して一連に(一気に)剥がし取られる(壁材剥離工程)。
【0094】
ブレード15の剥離部58が上方へ移動すると、ブレード15の凹部61に固定ネジ83が進入する。既述のように、ブレード15の剥離部58によって石膏ボード77が軽鉄78の外面79(壁面79)から離間する方向(後方)へ傾斜し、下地石膏ボード77aが固定ネジ83から次第に抜け出し、固定ネジ83がブレード15の凹部61の凹み端縁87に近づく途中で下地石膏ボード77aが固定ネジ83から抜き取られる。凹部61の凹み端縁87が固定ネジ83に近接した時点で下地石膏ボード77aが固定ネジ83から完全に抜き取られ、
図20に示すように、ブレード15の上方への移動にともなって凹部61の凹み端縁87が固定ネジ83の頭部88の直近(直上)を通過し、凹部61の下方に位置するブレード15の部分が固定ネジ83の頭部88を通過する。
【0095】
軽鉄78では固定ネジ83が上下方向へ等間隔離間して並んでいるが、ブレード15がそれら固定ネジ83の頭部88を通過し、ブレード15が固定ネジ83に引っ掛かることはない。石膏ボード77が軽鉄78の外面79(壁面79)から剥がし取られた後、固定ネジ83が軽鉄78に螺着された状態で軽鉄78に残存する。なお、固定ネジ83の長さ寸法によってブレード15の傾斜角度αを変更することで、ブレード15が固定ネジ83の頭部88を通過するように調節することができる。
【0096】
ブレード15を利用して石膏ボード77(壁材77)を軽鉄78(壁81)から剥がし取る場合、ブレード15が前後方向前方へ傾斜するとともに、ブレード15の剥離部58が軽鉄78の外面79と下地石膏ボード77aの内面との間に食い込むから、ブレード15が上方へ移動する過程(剥離過程)において、壁材剥離装置10Aを石膏ボード77(壁材77)の方向(前後方向前方)へ引っ張る力がブレード15に作用し、装置10Aを化粧石膏ボード77bへ近接させる方向(前後方向前方)へ移動させる力が装置10Aに作用する。
【0097】
壁材剥離装置10Aでは、第1押さえロッド28(第1押さえ部材)の当接部33の躯体80の外面79(壁81の壁面79)に対する当接状態が固定ボルト34によって維持され、第2押さえロッド46(第2押さえ部材)の当接円盤金具49の化粧石膏ボード77bの外面79(壁材77の外面79)に対する当接状態が維持されているから、第1押さえロッド28や第2押さえロッド46が壁材剥離装置10Aの化粧石膏ボード77bへ近接する方向(前後方向前方)への移動を阻止する。したがって、ブレード15による石膏ボード77の剥離過程において装置10Aが不用意に動くことはなく、装置10Aの床面82に対する据え付け状態が維持され、剥離過程においてブレード15がズレ動くことはない。
【0098】
図21に示すように、ブレード15が第1および第2ガイドレール12a,12bの上端部36まで移動(上昇)すると、切り込み溝85(第2ライン)の間に延びる石膏ボード77のすべてが軽鉄78(壁81)から取り外され、壁材剥離工程が終了する。壁材剥離装置10Aによって石膏ボード77を軽鉄78から剥がし取るときに、下地石膏ボード77aが固定ネジ83から抜き取られるだけであるから、不快な騒音が発生することはない。また、壁材剥離工程において石膏ボード77が切断されることや破壊されることはないから、石膏ボード77の破片(解体ゴミ)が床面に散らばることはなく、多くの塵埃が飛散することもなく、解体作業時にその周囲が破片や塵埃によって汚染されることはない。
【0099】
壁材剥離工程が終了した後、電動機68の正転/逆転レバーを逆転の側に位置させ、ON/OFFスイッチをONにして電動機68を再び起動し、第1および第2ガイドレール12a,12bの上端部36に位置する第1および第2リフト14a,14b(ブレード15)を下方へ移動(下降)させ、第1および第2リフト14a,14b(ブレード15)を台車11(第1および第2ガイドレール12a,12bの下端部38)まで下降させる。
【0100】
切り込み溝85(第2ライン)の間の石膏ボード77を剥がし取り、第1および第2リフト14a,14b(ブレード15)を台車11(第1および第2ガイドレール12a,12bの下端部38)まで下降させた後、キャスター19のロックを解除し、隣接する切り込み溝85(第2ライン)の外側近傍(直前)に第1ガイドレール12a,12bが位置するように、壁材剥離装置10Aを幅方向へ移動させて装置10Aを次の剥離箇所に移動させる(装置移動工程)。装置移動工程によって装置10Aを次の剥離箇所に移動させた後、
図14〜
図21に示す装置設置工程、傾き調節工程、押さえ部材設置工程、壁材剥離工程を繰り返すことで、建造物の壁81(軽鉄78)に固着されたすべての石膏ボード77(壁材77)を軽鉄78の外面79(壁面79)から順次剥がし取ることができる。
【0101】
図14〜
図21では、ブレード15を第1および第2ガイドレール12a,12bの下端部38から上端部36に向かって上方へ移動させ、石膏ボード77を軽鉄78の外面79(壁面79)から剥がし取る例を説明したが、ブレード15を第1および第2ガイドレール12a,12bの上端部36または中間部37から下端部38に向かって下方へ移動させ、石膏ボード77を軽鉄78の外面79(壁面79)から剥がし取ることもできる。
【0102】
この場合、ブレード15の先端59(刃先)を配置する箇所の石膏ボード77(壁材77)を軽鉄78の外面79(壁面79)から剥がし取って(剥離して)剥離開始位置86を作るとともに、石膏ボード77に幅方向へ所定寸法離間して上下方向へ平行して延びる切り込み溝85を形成し、それらガイドレール12a,12bを化粧石膏ボード77bの外面近傍(直前)に配置してブレード15を切り込み溝85の間に配置しつつ、ブレード15の先端59を軽鉄78の外面79と下地石膏ボード77aの内面との間に配置した状態で、昇降機構16を利用して第1および第2リフト14a,14bとともにブレード15を下方へ移動させる。なお、ブレード15を下方へ移動させて石膏ボード77を剥がし取る場合、ブレード15の先端59(刃先)が上下方向下方へ向かうようにブレード15を第1および第2リフト14a,14bに固定する。
【0103】
図14〜
図21では、下地石膏ボード77aと化粧石膏ボード77bとから形成された石膏ボード77の剥離を説明したが、1枚の石膏ボード77が壁面に固着され、壁材剥離装置10A(装置10Bを含む)を使用してその1枚の石膏ボード77を壁面79から剥がし取ることができることはいうまでもない。
【0104】
壁材剥離装置10Aは、ブレード15の先端59(刃先)を配置する箇所の石膏ボード77(壁材77)を軽鉄78の外面79(壁面79)から剥がし取る(剥離する)とともに石膏ボード77に幅方向へ所定寸法離間して上下方向へ平行して延びる切り込み溝85を形成し、それらガイドレール12a,12bを化粧石膏ボード77bの外面近傍(直前)に配置してブレード15を切り込み溝85の間に配置しつつ、ブレード15の先端59を軽鉄78の外面79と下地石膏ボード77aの内面との間に配置した状態で、昇降機構16(電動機68、減速機69、第1〜第3チェーン70a〜70c)を利用して第1および第2リフト14a,14bとともにブレード15を上方へ移動させ、ブレード15の剥離部59を利用して軽鉄78の外面79(壁面79)と下地石膏ボード77aとを剥離しつつ、石膏ボード77を軽鉄78の外面79から後方へ引き離すことで、石膏ボード77を軽鉄78の外面79から剥がし取るから、回転するブレード(切断刃)によって石膏ボード77(壁材77)を切断する場合やバールやハンマー等を使用して石膏ボード77(壁材77)を破壊する場合と比較し、ブレード15と石膏ボード77や軽鉄78の外面79(壁面79)との不快かつ大きな音圧レベルの切断音や摺動音、破壊音が発生することはなく、さらに、塵埃や破片によって周囲を汚染することがなく、軽鉄78(壁81)に固着された石膏ボード77を軽鉄78の外面79(壁面79)から剥がし取ることができ、静穏かつ清潔な状態で石膏ボード77を解体することができる。
【0105】
壁材剥離装置10Aは、ブレード15の剥離部59が第1および第2ガイドレール12a,12bの軸線Lから次第に離間するように前後方向前方へ傾斜することで、ブレード15を利用して石膏ボード77(壁材77)を軽鉄78の外面79(壁面79)から剥がし取る際に、ブレード15の剥離部59が石膏ボード77を軽鉄78の外面79から離間する前後方向後方へ引き離すから、ブレード15の剥離部59によって軽鉄78(壁81)に固着された石膏ボード77を軽鉄78の外面79から確実に剥がし取ることができる。
【0106】
壁材剥離装置10Aは、第1および第2リフト14a,14bが上方へ停止することなく連続して移動しつつ、ブレード15の上方への連続した移動によって切り込み溝85(第2ライン)の間であって床面82と天井面84との間に延びる所定面積の石膏ボード77(壁材77)を軽鉄78の外面79(壁面79)から一連の動作で連続的に剥がし取るから、所定面積の石膏ボード77を軽鉄78の外面79から一気に剥がし取ることができ、手間や時間を要さずに効率よく短時間で石膏ボード77を解体することができる。壁材剥離装置10Aは、石膏ボード77(壁材77)の解体にかかる手間を大幅に省くことができ、石膏ボード77の解体にかかる時間を大幅に短縮することができるとともに、石膏ボード77を低コストで解体することができる。
【0107】
壁材剥離装置10Aは、電動機68や減速機69、第1〜第3チェーン70a〜70cを利用して第1および第2リフト14a,14bとともにブレード15を上下方向へ移動させることができ、人の力を利用することなく、石膏ボード77(壁材77)を軽鉄78の外面79(壁面79)から自動的に剥がし取ることができるのみならず、減速機69のトルクによって第1および第2リフト14a,14bとともにブレード15を上下方向へ確実に移動させることができ、軽鉄78(壁81)や石膏ボード77の抵抗に抗しつつ軽鉄78に固着された石膏ボード77を軽鉄78の外面79から確実かつ円滑に剥がし取ることができる。
【0108】
壁材剥離装置10Aは、軽鉄78の外面79(壁面79)から石膏ボード77(壁材77)を剥がし取った後、キャスター19を利用して台車11を移動させることで、次の剥離箇所に装置10Aを容易に移動させることができるから、台車11の床面82における据え付け箇所を変えつつ装置10Aによって石膏ボード77を軽鉄78の外面79から順次剥がし取ることができ、躯体80(壁81)に広範囲に固着された石膏ボード77のすべてを軽鉄78の外面79から短時間に効率よく剥がし取ることができる。
【0109】
壁材剥離装置10Aは、石膏ボード77(壁材77)が幅方向と上下方向とへ等間隔離間して並ぶ複数の固定ネジ83によって軽鉄78(壁81)に固着されていたとしても、固定ネジ83の螺着箇所にブレード15の凹部61を配置してブレード15を上方へ移動させ、ブレード15の剥離部59によって石膏ボード77を軽鉄78の外面79(壁面79)から離間する前後方向後方へ引き離すことで、凹部61の凹み端縁87が固定ネジ83に近接した時点で下地石膏ボード77aが固定ネジ83から抜き取られ、凹部61の凹み端縁87が固定ネジ83の頭部88を通過するから、ブレード15が固定ネジ83に引っ掛かることなく、ブレード15の剥離部59によって軽鉄78に固着された石膏ボード77を軽鉄78の外面79から円滑に剥がし取ることができる。
【0110】
壁材剥離装置10Aは、壁81の上下方向の寸法が大きく、軽鉄78(壁81)に固着された石膏ボード77(壁材77)の上下方向の寸法が大きい場合、長さ寸法が長い中間第1および第2ガイドレール12a2,12a3,12b2,12b3を上部第1および第2ガイドレール12a1,12b1と下部第1および第2ガイドレール12a4,12b4とに連結することで、第1および第2ガイドレール12a,12bの上下方向の長さ寸法を長くすることができるから、石膏ボード77の上下方向の寸法に対応することができ、上下方向の寸法が大きい石膏ボード77のすべてを軽鉄78の外面79(壁面79)から剥がし取ることができる。逆に、壁81の上下方向の寸法が小さく、軽鉄78(壁81)に固着された石膏ボード77(壁材77)の上下方向の寸法が小さい場合、長さ寸法が短い中間第1および第2ガイドレール12a2,12a3,12b2,12b3を上部第1および第2ガイドレール12a1,12b1と下部第1および第2ガイドレール12a4,12b4とに連結することで、第1および第2ガイドレール12a,12bの上下方向の長さ寸法を短くすることができるから、石膏ボード77の上下方向の寸法に対応することができる。
【0111】
図22は、他の一例として示す壁材剥離装置10Bの正面図であり、
図23は、
図22の壁材剥離装置10Bを右方から示す側面図である。壁材剥離装置10Bは、
図1の壁材剥離装置10Aと同様に、建造物の壁81(内壁および外壁)に固着された石膏ボードや単板化粧合板、合成樹脂合板、プリント合板(壁材77)を壁面79から剥がし取る場合に好適に利用される。壁材剥離装置10Bは、床面82の所定の箇所に据え付けられる台車11と、一対の第1および第2ガイドレール12a,12bと、上部ロッド13と、第1および第2リフト14a,14bと、ブレード15および昇降機構16とから形成されている。
【0112】
この壁材剥離装置10Bが
図1のそれと異なるところは、手動回転機89が昇降機構16を形成している点にあり、その他の構成は
図1の壁材剥離装置10Aと同一であるから、
図1の装置10Aと同一の符号を付すとともに
図1の装置10Aの説明を援用することで、壁材剥離装置10Bにおけるその他の構成の説明は省略する。昇降機構16は、台車11の台座プレート17の側部22に設置された手動回転機89と、第1および第2リフト14a,14bをそれらガイドレール12a,12bに沿って上下方向へ移動(昇降)させる第1〜第3チェーン70a〜70c(レーノルドチェーン)とから形成されている。
【0113】
手動回転機89は、固定手段(固定金具、ボルトおよびナット)(図示せず)によって台車11の台座プレート17に固定されている。手動回転機89は、筐体90と、筐体90の側壁に取り付けられたハンドル91と、筐体90の内部に設置された減速ギア(図示せず)と、筐体90の側壁に延びる出力軸73とから形成されている。手動回転機89は、減速比に比例したトルクを発生させる。手動回転機89の出力軸73には、第4鎖歯車74が取り付けられている。手動回転機89は、作業者がハンドル91を手動によって時計回り方向へ回転させることで出力軸73が時計回り方向へ回転し、ハンドル91を手動によって反時計回り方向へ回転させることで出力軸73が反時計回り方向へ回転する。
【0114】
壁材剥離装置10Bにおける剥離準備工程や装置設置工程、傾き調節工程、押さえ部材設置工程は、装置10Aにおけるそれらと同一である。剥離準備工程や装置設置工程、傾き調節工程、押さえ部材設置工程が終了した後、作業者がハンドル91を時計回り方向へ回転させる。ハンドル91が時計回り方向へ回転すると、手動回転機89の出力軸73が時計回り方向へ回転し、第1チェーン70aが連続して繰り出されるとともに、第2および第3チェーン70b,70cが連続して繰り出され、第1および第2ガイドレール12a,12bに沿って第1および第2リフト14a,14bが上方へ連続的に移動(上昇)し、ブレード15が上方へ連続的に移動(上昇)する。
【0115】
第1および第2リフト14a,14bとともにブレード15が上方へ移動すると、ブレード15の剥離部58の先端59(刃先)が軽鉄78の外面79(壁面79)と下地石膏ボード77aの内面(剥離面)との間に次第に進入し、剥離部58の先端59(刃先)が軽鉄78の外面79から下地石膏ボード77aを順次剥離する(壁材剥離工程)。石膏ボード77は、剥離開始位置86から天井面84に向かって次第に剥がし取られる。ブレード15の傾斜によって石膏ボード77が軽鉄78の外面79(壁面79)から離間する方向(後方)に傾斜することで、石膏ボード77が軽鉄78の外面79から後方へ引き離され、石膏ボード77が軽鉄78(壁81)から次第に剥がし取られる。
【0116】
なお、
図1の壁材剥離装置10Aと同様に、ブレード15の上方への移動にともなって凹部61の凹み端縁87が固定ネジ83の頭部88の直近(直上)を通過し、凹部61の下方に位置するブレード15の部分が固定ネジ83の頭部88を通過する。また、第1押さえロッド28や第2押さえロッド46が壁材剥離装置10Bの化粧石膏ボード77aへ近接する方向(前後方向前方)への移動を阻止し、ブレード15による石膏ボード77の剥離過程において装置10Bが不用意に動くことはなく、装置10Bの床面82に対する据え付け状態が維持され、剥離過程においてブレード15がズレ動くことはない。
【0117】
切り込み溝85(第2ライン)の間の石膏ボード77を剥がし取り、第1および第2リフト14a,14b(ブレード15)を台車11(第1および第2ガイドレール12a,12bの下端部38)まで下降させた後、キャスター19のロックを解除し、隣接する切り込み溝85(第2ライン)の外側近傍(直前)に第1ガイドレール12a,12bが位置するように、壁材剥離装置10Bを幅方向へ移動させて装置10Bを次の剥離箇所に移動させる(装置移動工程)。装置移動工程によって装置10Bを次の剥離箇所に移動させた後、
図14〜
図21に示す装置設置工程、傾き調節工程、押さえ部材設置工程、壁材剥離工程、装置移動工程を繰り返すことで、建造物の壁81(軽鉄78)に固着されたすべての石膏ボード77(壁材77)を軽鉄78の外面79(壁面79)から順次剥がし取ることができる。
【0118】
壁材剥離装置10Bは、手動回転機89および第1〜第3チェーン70a〜70cを利用して第1および第2リフト14a,14bとともにリフト14a,14bに固定されたブレード15の剥離部58を上下方向へ移動させることができ、ブレード15を手で持って上下方向へ移動させることなく、石膏ボード77(壁材77)を軽鉄78の外面79(壁面79)から剥がし取ることができる。壁材剥離装置10Bは、手動回転機89が減速比に比例したトルクを発生させるから、作業者が小さい力で手動回転機89を回転させつつ、手動回転機89のトルクを利用して第1および第2リフト14a,14bとともにブレード15を上下方向へ移動させることができ、小さい力で軽鉄78(壁81)や石膏ボード77の抵抗に抗しつつ軽鉄78(壁81)に固着された石膏ボード77(壁材77)を軽鉄78の外面79(壁面79)から確実に剥がし取ることができる。