特許第6562402号(P6562402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562402
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】金属表面の被膜形成方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/12 20060101AFI20190808BHJP
   C23C 14/02 20060101ALI20190808BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   C23C14/12
   C23C14/02 Z
   C23C14/06 Q
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-72635(P2016-72635)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-179552(P2017-179552A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年2月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591117206
【氏名又は名称】株式会社東亜電化
(73)【特許権者】
【識別番号】306017014
【氏名又は名称】地方独立行政法人 岩手県工業技術センター
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(72)【発明者】
【氏名】三浦 修平
(72)【発明者】
【氏名】千葉 裕
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一孝
(72)【発明者】
【氏名】村松 真希
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−226329(JP,A)
【文献】 特開2009−227857(JP,A)
【文献】 特開2006−274296(JP,A)
【文献】 特開2008−246992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/56
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂表面に量子ビームを照射し、次いで、次の化1又は化2で表わされるトリアジンチオール誘導体が5g/lを超えて13g/l以下の濃度で溶解した溶液に、量子ビームが照射された樹脂を浸漬させることにより、樹脂の表面が前記トリアジンチオール誘導体で加飾された改質樹脂を調製し、該改質樹脂を、金属表面上に真空蒸着法によって成膜して改質樹脂膜を形成し、次いで、改質樹脂膜上に、更に、樹脂を真空蒸着法によって成膜して樹脂膜を形成して積層樹脂層を設けることを特徴とする、金属表面の被膜形成方法。
化1
(ただし、R1は、アルン(−CH=CH−)又はアルン(−C≡C−)、R2は、−C2m+1(mは1〜18までの整数)、−C2m−1(mは1〜18までの整数)又はCH=CH(CHCOOCHCH−(mは1〜10までの整数)であり、M1又はM2は、Hもしくはアルカリ金属を示す。)
化2
(ただし、M1、M2、M3は、Hもしくはアルカリ金属を示す。)
【請求項2】
請求項1記載の金属表面の被膜形成方法において、樹脂は含フッ素有機化合物であり、該含フッ素有機化合物は、分子内にアミノ基(−NH)、アミド基(−CONH)もしくは不飽和結合を有することを特徴とする、金属表面の被膜形成方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の金属表面の被膜形成方法において、改質樹脂膜の上に形成される樹脂膜の樹脂は、トリアジンチオール誘導体で加飾するのに用いた樹脂と同じ樹脂であることを特徴とする、金属表面の被膜形成方法。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの項記載の金属表面の被膜形成方法において、表面が加飾される樹脂とトリアジンチオール誘導体とは、トリアジンチオール誘導体が5g/lを超えて13g/l以下の濃度で溶解した溶液140mlに対して、量子ビームが照射された樹脂を50gの割合となるようにすることを特徴とする、金属表面の被膜形成方法。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかの項記載の金属表面の処理方法において、前記溶液は、水又は水にシクロヘキサン、ベンゼン、4塩化炭素、ジエチルエーテルから成る群の少なくとも1種を混合した溶液を溶媒として、トリアジンチオール誘導体を溶解させた溶液で、当該溶液を10〜45℃とし、該溶液に樹脂を8時間以上浸漬することを特徴とする、金属表面の被膜形成方法。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかの項記載の金属表面の被膜形成方法において、真空蒸着は、金属基板を予め加熱して実施することを特徴とする、金属表面の被膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属表面の被膜形成方法に関し、特に乾式法である真空蒸着法を組み合わせて、金属表面に、樹脂の表面を改質した改質樹脂と樹脂との2層構造の薄膜を形成させて、離型性に優れ、耐久性を有する、金属の表面被膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製品を成形する金型の離型性を改善する方法として、フィルム成形や金型への離型剤の塗布、又は成形材料への離型剤添加などが行なわれている。
しかしながら、フィルム成形では、製品の厚みや形状が制限される上、製品として使用されないフィルム部分が多く、製造価格の増加、フィルムからの製品の取り外しにかかる作業性の低下などの問題を生じていた。光学製品用金型では、成形品の表面に微細形状の形成が必要であるのに対して、その転写性悪化の問題が生じている。
また、金型への離型剤塗布は、製品への離型剤の付着や環境汚染などの問題を生じ、さらに成形材料への離型剤添加は、製品の特性低下や金型汚染の問題を生じていた。
【0003】
他方、離型剤を金型に塗布する代わりに、金型へ被膜形成を行ない、離型性を改善することも行なわれている。TiC、TiCN、DLC、フッ素系高分子重合膜、フッ化ニッケル膜、PTFE含有Niメッキ、自己潤滑Crメッキなどがある。しかしながら、これらの被膜は膜の厚みが数μm以上あり、高精度な光学製品を製造する上では好ましくない。
【0004】
このため、LEDやマイクロレンズアレイフィルム(MLAF)等の光学製品などの高精度な製品を成型するには、数十nm以下の厚みを有する被膜であり、離型性が良く、金型表面に均一な厚みの膜が形成でき、耐久性が高く、膜形成にかかる作業負担の少ない、金属表面被膜の形成方法が求められている。
【0005】
この種の金属表面の処理方法としては、例えば、特許文献1(特開平11−140626号公報)あるいは特許文献2(特表2002−542392号公報)に掲載された技術が知られている。これらの技術は、例えば真空技術でトリアジンを含む有機モノマーを、金属表面に形成させ、熱又は放射線照射下で、重合反応を起こさせ、高分子薄膜に変化させるものである。また、従来の技術としては、特許文献3(特開平2004−9340号公報)あるいは特許文献4(特開平2004−14584号公報)に記載のものがある。これらの技術は、例えば真空蒸着法によりトリアジンチオール誘導体を金属表面に付着し、その後、熱又は紫外線などの放射線照射を行なうとともに、トリアジンチオール誘導体の蒸着膜にフッ素樹脂などの被膜を形成する。
【0006】
ところで、このような従来の金属表面の処理方法では、例えば半導体や発光ダイオード(LED)などをエポキシ樹脂やシリコン系樹脂で熱硬化して封止する金型に用いると、トリアジンチオール誘導体の分子間反応による重合膜が得られても、その高分子間の架橋は必ずしも満足のいくものは得られず、薄膜自体の強度や耐久性に欠けるという問題があり、長期間効果を持続させる被膜の形成方法については未だ十分ではない。
【0007】
また、特許文献1又は2に開示された単独膜においては、離型性が十分に発現しておらず、他方、特許文献3又は4に開示された二層膜では、離型性は若干よくなるが、金型の立上り部やエッジ部への被膜の堆積が難しく、微細形状部を有する金型への均一成膜性に劣るという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−140626号公報
【特許文献2】特表2002−542392号公報
【特許文献3】特開平2004−9340号公報
【特許文献4】特開平2004−14584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、このような上記問題点に鑑みてなされたもので、金属表面に耐久性に優れる高分子薄膜の均一な被膜が形成でき、離型性が高く、かつ薄膜表面の機能性を維持しつつ薄膜を長時間の使用に耐えるようにし、広範な用途に適用することができる、金属表面への被膜形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の技術的特徴を備えるものである。
(1)本発明の金属表面の被膜形成方法は、樹脂表面に量子ビームを照射し、次いで、次の化1又は化2で表わされるトリアジンチオール誘導体が5g/lを超えて13g/l以下の濃度で溶解した溶液に、量子ビームが照射された前記樹脂を浸漬させることにより、前記樹脂の表面が前記トリアジンチオール誘導体で加飾された改質樹脂を調製し、改質樹脂を金属表面上に真空蒸着法によって成膜して改質樹脂膜を形成し、次いで、改質樹脂膜上に、更に、樹脂を真空蒸着法によって成膜して樹脂膜を形成して、積層樹脂層を設けることを特徴とする、金属表面の被膜形成方法である。
【0011】
【化1】
【0012】
(ただし、R1は、アルン(−CH=CH−)又はアルン(−C≡C−)、R2は、−C2m+1(mは1〜18までの整数)、−C2m−1(mは1〜18までの整数)又はCH=CH(CHCOOCHCH−(mは1〜10までの整数)であり、M1又はM2は、Hもしくはアルカリ金属を示す。)
【0013】
【化2】
【0014】
(ただし、M1、M2、M3は、Hもしくはアルカリ金属を示す。)
【0015】
(2)上記(1)の金属表面の被膜形成方法において、樹脂は含フッ素有機化合物であり、該含フッ素有機化合物は、分子内にアミノ基(−NH)、アミド基(−CONH)もしくは不飽和結合を有することを特徴とする。
【0016】
(3)上記(1)又は(2)の金属表面の被膜形成方法において、改質樹脂膜の上に形成される樹脂膜の樹脂は、トリアジンチオール誘導体で加飾するのに用いた樹脂と同じ樹脂であることを特徴とする。
【0017】
(4)上記(1)乃至(3)いずれかの金属表面の被膜形成方法において、表面が加飾される樹脂とトリアジンチオール誘導体とは、トリアジンチオール誘導体が5g/lを超えて13g/l以下の濃度で溶解した溶液140mlに対して、量子ビームが照射された樹脂を50gの割合となるようにすることを特徴とする、金属表面の被膜形成方法である。
【0018】
(5)上記(1)乃至(4)の金属表面の被覆形成方法において、前記溶液は、水又は水にシクロヘキサン、ベンゼン、4塩化炭素、ジエチルエーテルから成る群の少なくとも1種を混合した溶液を溶媒として、トリアジンチオール誘導体を溶解させた溶液で、当該溶液を10〜45℃とし、該溶液に樹脂を8時間以上浸漬することを特徴とする。
【0019】
)上記(1)乃至(5)いずれかの金属表面の被膜形成方法において、真空蒸着は、金属基板を予め加熱して実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の金属表面の被膜形成方法によれば、トリアジンチオール誘導体により樹脂の表面が加飾された改質樹脂による被膜を金属表面上に乾式法により形成した後、更にその上に、樹脂による被膜を乾式法により形成して、樹脂積層膜を形成させることにより、金属表面に形成された当該樹脂膜の架橋膜形成が容易となり、均一な被膜が形成でき、離型性が高く、耐久性に優れる被膜を金属表面に形成することが可能となる。
【0021】
また、金属表面の被膜形成方法において、乾式法として真空蒸着法を用い、該真空蒸着には、被膜を形成する金属を加熱する加熱処理を併用することで、更に耐久性の高い被膜を得ることができる。
従って、ナノオーダーの成形品を製造する金型に適用しても、離型性に優れ、耐久性に優れるため、微細構造を有する成形品を大量に製造することが容易となる。
乾式成膜業界において有効に適用することができ、太陽電池用フィルム、電池電極フィルム、光学フィルム、細胞培養フィルム等の微細な形状を有する成形品の大量生産の用途に適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】真空蒸着装置の一例を示す概略図である。
図2】実施例および比較例で得られた樹脂成膜の接着回数による耐久性の試験結果を示す図である。
図3】実施例および比較例で得られた樹脂成膜の接着回数とトリアジンチオール化合物溶液濃度(加飾濃度)との関係を示す図である。
図4】他の実施例および比較例で得られた樹脂成膜の接着回数による耐久性の試験結果を示す図である。
図5】他の実施例および比較例で得られた樹脂成膜の接着回数による耐久性の試験結果を示す図である。
図6】他の実施例および比較例で得られた樹脂成膜の接着回数による耐久性の試験結果を示す図である。
図7】他の実施例および比較例で得られた樹脂成膜の接着回数とトリアジンチオール化合物溶液濃度(加飾濃度)との関係を示す図である。
図8】実施例及び比較例で得られた樹脂成膜のモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の金属表面の被膜形成方法について、以下の実施態様に基づき説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明の金属表面の被膜形成方法は、樹脂表面に量子ビームを照射し、次いで、上記化1又は化2で表わされるトリアジンチオール誘導体が5g/lを超えて13g/l以下の濃度で溶解した溶液に、量子ビームが照射された樹脂を浸漬させることにより、樹脂の表面が前記トリアジンチオール誘導体で加飾された改質樹脂を調製し、該改質樹脂を、金属表面上に真空蒸着法によって成膜して改質樹脂膜を形成し、次いで、改質樹脂膜上に、更に、樹脂を真空蒸着法によって成膜して樹脂膜を形成して、積層樹脂層を設けることにより、金属表面に被膜を形成する方法である。
【0024】
(改質樹脂の調製)
本発明の金属表面への被膜形成方法においては、まず金属表面に改質樹脂の薄膜を第1層として形成するが、改質樹脂は以下のようにして調製されるものを用いる。
表面を改質される樹脂としては、特に限定されず、市場で入手し得る任意の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いることができ、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、4フッ化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)の何れかの含フッ素樹脂などの含ハロゲン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリアセタールなどのポリエーテル系樹脂、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸系樹脂などが例示される。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、フラン樹脂などが例示される。
【0025】
特に含フッ素有機化合物を用いることが望ましく、含フッ素有機化合物としては、分子内にアミノ基(−NH)、アミド基(−CONH)、若しくは不飽和基を有し、分子量は1000以上であることが好ましく、例えば、4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が例示でき、これらを単体でも混合物としても使用できる。
また、末端に前記アミノ基等を有していると、トリアジンチオール誘導体と相互作用があると考えられるため、好適に使用できる。これにより、トリアジンチオール誘導体との結合性が高くなることが可能となる。
【0026】
また、樹脂の形態としては、樹脂フィルム、樹脂粉末などの任意の形態のものを用いることが可能である。
特に、樹脂が粉末の形態の場合には、例えば、樹脂粉末の平均径DがD=5μm〜1mmの範囲であることが、より望ましくは、平均径DがD=50μm〜500μmの範囲であることが好ましい。
上記平均径より小さい平均径が微細な粉末は、粉末自体の凝集が起こり易く、樹脂粉末を溶媒へ均一に溶解させることが困難となる場合があり、また上記範囲より平均径が大きくなると、樹脂粉末の改質面積の比率が小さくなり、被膜形成時に金属との強固な固着強度が得られ難い場合もあることから、上記範囲の平均径を有する粉末樹脂を用いることが好ましい。
【0027】
前記樹脂表面は、予め量子ビームを照射して、樹脂表面を活性化させておくことが好ましく、これによりトリアジンチオール誘導体による樹脂表面の加飾を、より容易に行うことができる。
量子ビームは、広義には全ての電磁波および粒子線を示すが、本発明においては、特に、照射される樹脂に対して電離作用を有する量子ビームを好適に用いることができる。
量子ビームとしては、例えば、X線、γ線、短波長の紫外線、高速荷電粒子線、高速中性子線などの放射線、電子線、イオンビーム等を例示することができる。
【0028】
樹脂表面に量子ビームを照射すると、量子ビームが照射された樹脂表面から電子が放出されてイオンを形成したり、分解してラジカルを生成等することで、樹脂表面が活性化される。
【0029】
上記樹脂、好ましくは量子ビームを樹脂表面に照射して活性化された上記樹脂を、トリアジンチオール誘導体を溶解させた溶液に浸漬して樹脂表面にトリアジンチオール誘導体を結合させて、樹脂表面を加飾して改質樹脂を得る。
トリアジンチオール誘導体としては、下記化3又は化4で示されるトリアジンチオール誘導体を用いることができる。トリアジンチオール誘導体の−SHの特徴を活用して、金属に密着性良好な被膜が形成される。
【0030】
【化3】
【0031】
R1は、アルン(−CH=CH−)、アルン(−C≡C−)のような不飽和基を含む置換基である。R2は、−CH、−CH−CH等の−C2m+1、−CHCH=CH等の−C2m−1、CH=CH(CHCOOCHCH−等のCH=CH(CHCOOCHCH−(mは1〜10までの整数)である。M1、M2は、HもしくはLi、Na、K、Ca等のアルカリ金属を示す。
【0032】
【化4】
【0033】
M1、M2、M3は、HもしくはLi、Na、K、Ca等のアルカリ金属を示す。
【0034】
トリアジンチオール誘導体の溶液としては、水もしくは水にシクロヘキサン、ベンゼン、4塩化炭素、ジエチルエーテルの少なくとも1種を溶媒として、トリアジンチオール誘導体を溶解させた溶液が例示される。
特に好ましくは、該溶液の温度は10〜45℃とすることが、樹脂の表面を均一にトリアジンチオール誘導体で加飾することができるため望ましい。
【0035】
かかる溶液には、トリアジンチオール誘導体が、5g/lを超えて13g/l以下の濃度、好ましくは6〜13g/lの濃度で溶解している溶液を用いて、樹脂表面を加飾する。
これにより、得られる2層構造の樹脂成膜の耐久性が向上し、優れた離型性能を発揮することが可能となる。
【0036】
次いで、上記樹脂、好ましくは量子ビームを照射して樹脂を、前記溶液に浸漬するが、前記トリアジンチオール誘導体溶液中に含まれるトリアジンチオール誘導体が、当該溶液に浸漬する樹脂の表面を十分に加飾できるような濃度と量であれば、任意の量等を設定することが可能である。例えば、トリアジンチオール誘導体が5g/lを超えて13g/l以下の濃度で溶解した溶液140mlに、量子ビームが照射された樹脂、好ましくは前記平均径を有する樹脂を50gの割合で浸漬させることを例示することができる。また、好ましくは8時間以上浸漬処理する。かかる工程により樹脂表面が均一に加飾されることが可能となる。
【0037】
また、量子ビームを照射した樹脂表面は活性化されているので、溶液中で、樹脂表面にはトリアジンチオール誘導体が確実に結合する。量子ビームを照射された樹脂表面は、電子を放出しイオンになったり、分解してラジカルを生成したりする。生成したイオンやラジカルが反応開始剤として作用する。溶媒中のトリアジンチオール誘導体は、樹脂表面の反応開始剤によって、チイルラジカルを形成し、チイルラジカルは、樹脂表面上で、ジスルフィド結合、あるいはアリル基への付加により、アリル基の2重結合開裂反応を引き起こす。このようにチイルラジカルとのカップリングや他の分子のアリル基への付加反応などを引き起こし、樹脂表面に化学反応した重合膜を形成すると考えられる。
【0038】
その後、トリアジンチオール誘導体で表面が加飾された前記樹脂を乾燥させる。乾燥方法は特に限定されないが、例えば真空乾燥機にて10Pa程度まで真空引きし、約40℃にて4時間乾燥する方法等が例示できる。樹脂が粉末の場合には、溶液を濾紙でろ過し、表面が加飾された樹脂粉末と液とを分離し、濾紙上の前記樹脂粉末を、同様に、真空乾燥機にて10Pa程度まで真空引きし、約40℃にて4時間乾燥することも可能である。これにより、表面が加飾された改質樹脂を得る。
【0039】
(金属表面への改質樹脂の成膜:第1層)
このようにして得られた改質樹脂を、金属表面に成膜固着させるが、その固着方法は乾式法であれば特に限定されず、例えばコールドスプレー法、真空蒸着法により蒸着させて改質樹脂の成膜を金属上に形成することができる。
例えば、改質樹脂の形態がフィルム形態の場合には、金属表面が接合して、その後加熱処理して固着させることができ、また粉末形態の場合には、例えばコールドスプレー法、真空蒸着法により蒸着してその後加熱処理して固着させることも可能である。
【0040】
金属としては、導電性である金属であれば特に限定されず、鉄及び鉄合金(ステンレス、パーマロイなど)、銅及び銅合金、ニッケル、金、銀、コバルト、アルミニウム、亜鉛、錫及び錫合金、チタン又はクロムなどを挙げることができる。
金属の前処理は有機物などの異物が付着している場合はこれを除去する前処理を実施しなければならないが、酸化物等は表面の導電性を著しく低下させない限り問題ではなく、活性化処理等も同様である。
前処理としては、金属表面を清浄化できる処理であれば、公知の処理を適用でき、例えば、酸に浸漬等する処理が例示できる。
【0041】
必要に応じて前処理を実施した金属に、上記改質樹脂膜を成膜させる方法としては、乾式法、例えば、コールドスプレー法、真空蒸着法等が例示される。
一例としては、真空蒸着装置により、改質樹脂を金属表面に付着させる。真空度は一般に1.0〜1.0×10−6Pa、望ましくは、1.0×10−1〜1.0×10−4Paである。改質樹脂を加熱させるヒータの温度は、一義的に定めることはできないが、例えば、200〜400℃、望ましくは、270〜360℃であるが、改質樹脂の分子量および真空度とヒータ温度との兼ね合いで最適な蒸着条件を決定することができる。電離真空計を用いて真空蒸着装置内を一定の真空度に調整した後、蒸発源のるつぼをヒータで加熱して改質樹脂を気化又は昇華させる。このとき、被膜を形成する物を覆うシャッターは閉じておき、蒸発源を覆うシャッターは開けておき、改質樹脂が気化又は昇華していることを水晶振動子式膜厚計など利用して確認し、蒸発速度を所望する値に調整し、調整されたところで被膜を形成する物を覆うシャッターを開き、蒸着を開始する。このようにすることで、所定の成膜速度を確保することができ、均一な成膜が可能となる。
【0042】
かかる真空蒸着装置による蒸着においては、真空中で改質樹脂の分子を加熱蒸発又は昇華することによって、金属等の固体表面に堆積させる。これは、多くの金属表面に分子を堆積させて薄膜を作製することができる手法である。真空中で蒸発源から飛行し堆積する分子は、固体表面での結晶核の生成、固体表面での拡散などにより衝突、反応して薄膜が成長する。固体表面に均一に分散した結晶核の形成が、その後の膜成長状態に影響し、規則的に分子配列しながら膜成長する。
また、かかる蒸着は、1回又は複数回の蒸着による手法としてもよい。形状への付着性を良好にするためには、ワーク位置、向きを変更しながら複数回に分けて蒸着することが好ましい。改質樹脂膜の厚みは、厚ければ耐久性が増していくこととなる。
【0043】
また、真空蒸着は、好ましくは予め金属基板を加熱して実施することが望ましい。
金属体を加熱することで、トリアジンチオール誘導体と含フッ素有機化合物等の樹脂の結合をより強固にすることが可能となる。加熱温度は、トリアジンチオール誘導体及び含フッ素有機化合物等の樹脂の選定、並びに被膜の厚さにも依存するが、例えば、150〜400℃、230〜270℃、特に約250℃程度が好ましい。
【0044】
(樹脂膜の成膜:第2層)
上記のようにして形成された改質樹脂層膜の上に、別途、樹脂膜を乾式法、例えば真空蒸着法により形成する。
このように、更に第2層目の樹脂膜を形成して2層積層構造の被膜とすることで、耐久性を向上させて優れた離型性を得ることができる。
ここで樹脂としては、上記改質樹脂を調製するために用いた上記樹脂であれば任意の樹脂を用いることができ、改質樹脂に用いた樹脂と同種の樹脂であっても別種の樹脂であっても特に限定されないが、特に、改質樹脂に用いた樹脂と同種の樹脂を用いて第2層の樹脂膜を形成することが、より耐久性を向上させて、更に優れた離型性を得ることができるため望ましい。特に望ましくは含フッ素有機化合物が用いられる。
【0045】
前記樹脂を、改質樹脂層膜の上に成膜させる乾式法としての真空蒸着法は、例えば、改質樹脂を金属表面に蒸着させる上記真空蒸着の手法を適用することができ、前記樹脂、好ましくは含フッ素有機化合物の蒸着膜を、改質樹脂層膜上に、容易に形成することができる。
また、樹脂が、末端に前記アミノ基等を有していると、改質樹脂表面のトリアジンチオール誘導体と相互作用があると考えられるため、好適に使用できる。例えば、FEPなどの3級フルオロカーボンを含有する化合物は、離型効果も高く好適に用いることができる。
【0046】
更に望ましくは、真空蒸着により含フッ素有機化合物を付着させる際に及び/又は真空蒸着膜形成後に、金属固体を加熱することで、改質樹脂の表面のトリアジンチオール誘導体と含フッ素有機化合物との結合をより強固にすることが可能となる。加熱温度は、トリアジンチオール誘導体及び含フッ素有機化合物の材料の選定、並びに被膜の厚さにも依存するが、例えば、150〜400℃、230〜270℃、特に約250℃程度が好ましい。
【0047】
このようにして本発明により金属表面に形成された2層構造の樹脂被膜の薄膜により、金属表面に形成された高分子薄膜の架橋膜形成を容易に行なうことができるとともに、得られた薄膜表面の機能性を維持しつつ、特に、優れた耐剥離性に関して、長期間の効果の持続性が向上する。
【実施例】
【0048】
本発明を以下の実施例、比較例及び試験例により説明するが、これらに限定されるものではない。
(1)前処理
まず市販のニッケル基板(株式会社ニラコ製 純度99%以上)の表面を、以下の前処理を実施して、清浄化した。
具体的には、前記ニッケル基板を濃度10質量%で温度が約25℃の塩酸に60秒間浸漬し、次いで濃度0.1g/lで温度が約25℃の次亜リン酸溶液に5分間浸漬して、ニッケル基板表面を清浄化した。
【0049】
(2)改質樹脂の調製
平均粒径DがD=150μm(粒径範囲:100〜200μm)の4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP)の粉末を、透明な袋に投入して、約10Pa程度に減圧した。
なお、4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP)の粉末としては、テフロン(登録商標)FEP−140J(三井デュポンフロロケミカル株式会社製)を用いた。
【0050】
次いで、電子線照射装置(ウシオ電機株式会社製:min−EB)にて、前記減圧した真空中で、1回の吸収線量が20kGyに設定して、照射距離50mmで得られる電子線を5分間照射した。このときの照射線量は、約100kGyであった。
【0051】
具体的には、電子線照射装置は、フィラメントで加熱される電子線発生部が配され、高真空で封止した構造を有する。熱カソードで発生した電子は、照射窓との間の電位差(例えば加速電圧60kV)によって加速され、窓を透過して、照射室のテーブル上に載置した樹脂に電子線を照射した。樹脂粉末の場合には、樹脂粉末を均一に並べ、照射による帯電で粉末が散らばらないように、粉末の上にステンレス製のメッシュを設置した。照射距離を所定の高さに調整した後、照射室を閉め、真空引きを行った。照射室が5×10−2Pa以下となったら、照射準備をし、所定の条件で照射を行った。照射を止め、照射室に窒素ガスを導入しながら大気開放した。
【0052】
電子線照射した4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP)の粉末樹脂を、以下の化5で表わされるトリアジンチオール化合物(DAN)を水溶液(温度23℃)に溶解させた溶液に、一昼夜(12時間)浸漬し、その後、乾燥して改質樹脂粉末を得た。
【0053】
【化5】
【0054】
(3)金属表面への2層構造の樹脂積層膜の形成
図1に示される真空蒸着装置を用いて、該装置の室10内に上記(1)で表面を清浄化したニッケル基板Mを保持体7にセットした。図1に示される真空蒸着装置のバルブ11を介して真空ポンプを作動させ、電離真空計により真空度が5×10−4Paに達したら、蒸発源ヒータ2の温度を275℃まであげて、基板温度が250℃になったら、シャッター4を開け、るつぼ1に入れた上記(2)で得られた改質樹脂粉末3成膜速度が約0.02nm/secであることを確認して、該ニッケル基板上に蒸着させて成膜させた。所定の成膜速度になったら更にメインシャッター5を開け、水晶振動子式膜厚計6にて計測して改質樹脂粉末の真空蒸着を行い、一定の厚みの改質樹脂層膜を得た。
【0055】
次いで、上記改質樹脂の薄膜が形成されたニッケル基板に、更に、4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP)の粉末樹脂膜を、図1の真空蒸着装置を用いて、同様にして、改質樹脂層膜上に蒸着させて積層し、ニッケル基板上に2層構造の樹脂積層膜を得た。
【0056】
(実施例1〜2、比較例1〜3:改質樹脂膜のトリアジンチオール化合物水溶液の濃度の変化による影響)
上記(2)の改質樹脂粉末を調製するにあたり、電子線照射した4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP)の粉末樹脂50gを浸漬する上記化5に示すトリアジンチオール化合物(DAN)水溶液(140ml)の濃度(加飾濃度)を、1.0g/l(比較例1)、2.5g/l(比較例2)、5.0g/l(比較例3)、7.5g/l(実施例1)、10.0g/l(実施例2)と種々変化させて各改質樹脂粉末を調製した。
【0057】
このようにして種々の改質樹脂粉末を用いて、上記(1)のニッケル基板上に、上記(3)に示すようにして、改質樹脂膜を第1層目とし(厚み:約16.8nm)、その上にFEP樹脂膜を第2層目(厚み:約35.3nm)として、2層積層構造の樹脂膜を成膜した。
【0058】
(試験例1:耐久性試験)
上記各実施例1〜2及び比較例1〜3で得られた2層の樹脂成膜された各基板について、自動簡易成形試験機(エンジニアリング・システム(株)製 AIMT0101)を用いて、エポキシ樹脂により接着試験を行い、その接着試験回数について調べた試験結果を、図2及び図3に示す。
なお、エポキシ樹脂は市販の離型剤を含有しない熱硬化性タイプ(商品名:日東電工株式会社製 NT600)を用いた。
【0059】
具体的には、まず、自動簡易成形試験機中の160℃に加熱したホットプレートに、2層の樹脂成膜基板を5分間放置した。その上に熱硬化型エポキシ樹脂(日東電工株式会社製NT−600)を塗布し(φ13×2mmのサイズ)、2分間加熱して、エポキシ樹脂を硬化させた。2分後ホットプレートから基板を下して、空冷した。
【0060】
室温まで冷却された後に、上記自動簡易成形試験機により、剥離荷重を計測しながら成形試験を繰り返し行った。剥離荷重が0.2Nを超えた場合を接着として、被接着回数による離型性の耐久性試験を行った。
その結果を図2及び図3に示す。
【0061】
図2及び図3より、上記(2)で改質樹脂を調製するにあたり、表面が加飾される樹脂50gあたり、トリアジンチオール化合物の溶液濃度を7.5g/l以上とすることで、金属表面に成膜した2層構造の樹脂成膜の耐久性が向上して、離型性に優れることがわかる。
【0062】
(実施例3〜7、比較例4〜8)
上記(2)の改質樹脂粉末を調製するにあたり、電子線照射した4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP)の粉末樹脂50gを浸漬する、上記化5に示すトリアジンチオール化合物(DAN)水溶液(140ml)の濃度を、1g/l(比較例4)、2.5g/l(比較例5)、5g/l(比較例6)、6g/l(実施例3)、7.5g/l(実施例4)、10g/l(実施例5)、12.5g/l(実施例6)、15g/l(実施例7)、20g/l(比較例7)、30g/l(比較例8)に種々変化させて改質樹脂粉末を調製した。
【0063】
このようにして得られた種々の改質樹脂粉末を用いて、上記(1)のニッケル基板上に、上記(3)に示すようにして2層構造の樹脂膜を成膜した(図8(1)):但し、○はFEP樹脂を示す)。
但し、改質樹脂による第1層の膜厚は、約16nmで、FEPによる第2層の膜厚は約17nmとし、全体の積層膜厚は約33nmとした。
【0064】
(比較例9:DAN層膜+FEP樹脂層膜)
上記(1)で前処理したニッケル基板に、上記化5で示すDAN化合物(5.5g/l)と電解質であるNaNO化合物(7g/l)とが溶解した電解溶液を、電解セルに入れて、温度40度で15分間、0.8Vの条件で電解処理を行って、上記化5で示すDAN化合物を該ニッケル基板上に形成した。但し、電解処理において、電解液槽中、処理金属基板を陽極とし、対極を陰極とした。
電解処理後、水で洗浄して未反応物を除き乾燥させた。
【0065】
次いで、上記湿式の電解法にてニッケル基板上に形成したDAN化合物の第1膜上に、更に、4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP)の粉末樹脂膜を、図1の真空蒸着装置を用いて、FEPを蒸着させて積層し、ニッケル基板上に2層積層構造の樹脂積層膜を成膜した(図8(2):但し、○はFEP樹脂を示す)。
但し、DAN化合物による第1層の膜厚は、約5nmで、FEPによる第2層の膜厚と併せて全体の積層膜厚は約33nmとした。
【0066】
(比較例10:FEP樹脂層膜単体)
(1)で前処理したニッケル基板上に、改質樹脂粉末の第1層を設けることなく、4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP)の粉末樹脂膜を、図1の真空蒸着装置を用いて、FEPを蒸着させて、ニッケル基板上にFEPの単層構造の樹脂膜を成膜した(図8(3)):但し、○はFEP樹脂を示す)。
但し、積層膜厚は約33nmとした。
【0067】
(試験例2:耐久性試験)
上記各実施例3〜7及び比較例4〜10で得られた樹脂成膜された各基板について、自動簡易成形試験機(エンジニアリング・システム(株)製 AIMT0101)を用いて、エポキシ樹脂により接着試験を行い、その被接着試験回数について調べた試験結果を、それぞれ図4〜7に示す。
エポキシ樹脂は市販の離型剤を含有しない熱硬化性タイプ(商品名:日東電工株式会社製 NT600)を用いた。
【0068】
具体的には、まず、自動簡易成形試験機中の160℃に加熱したホットプレートに、2層の樹脂成膜基板を5分間放置した。その上に熱硬化型エポキシ樹脂(日東電工株式会社製NT−600)を塗布し(φ13×2mmのサイズ)、2分間加熱して、エポキシ樹脂を硬化させた。2分後ホットプレートから基板を下して、空冷した。
【0069】
室温まで冷却された後に、上記自動簡易成形試験機により、剥離荷重を計測しながら成形試験を繰り返し行った。剥離荷重が0.2Nを超えた場合を接着として、被接着回数による離型性の耐久性試験を行った。
その結果を図4〜7に示す。
【0070】
図4〜7より、上記(2)で改質樹脂を調製するにあたり、トリアジンチオール化合物溶液濃度(加飾濃度)を7.5g/l以上とすることで、金属表面に成膜した2層構造の樹脂成膜の耐久性が向上して(被接着回数が500回を超える)、離型性に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の金属表面の被膜形成方法により形成された金属表面の樹脂被膜は、耐久性が良好で、離型性にも優れるため、太陽電池用フィルム、電池電極フィルム、光学フィルム、細胞培養フィルム等の微細な形状を有する成形品の大量生産に適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 るつぼ
2 ヒータ
3 蒸着物質
4 サブシャッター
5 メインシャッター
6 水晶振動子式膜厚計
7 保持体
8 ガス導入バルブ
9 ランプヒーター
10 室
11 真空引きバルブ
M 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8