(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非イオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項3に記載のナノ材料複合体。
前記n型ナノ材料は、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノロッドおよびナノシートからなる群より選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のナノ材料複合体。
前記非イオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項9に記載のナノ材料複合体の製造方法。
前記n型ナノ材料は、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノロッドおよびナノシートからなる群より選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一項に記載のナノ材料複合体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
【0016】
〔1.ナノ材料複合体の熱電特性に関する指標〕
まず、ナノ材料複合体の熱電特性に関する指標について説明する。当該指標としては出力因子(パワーファクター)が挙げられる。出力因子は、以下の式(i)によって求められる。
【0017】
PF=α
2σ (i)
式(i)中、PFは出力因子、αはゼーベック係数、σは導電率を示す。ナノ材料複合体においては、例えば、出力因子が310Kにて100μW/mK
2以上であることが好ましく、200μW/mK
2以上であることがより好ましく、400μW/mK
2以上であることがさらに好ましい。ナノ材料複合体の出力因子が310Kにて100μW/mK
2以上であれば、従来のp型ナノ材料複合体と同等またはそれを上回る値であるため、好ましい。このような高出力のn型ナノ材料複合体を得るためには、ゼーベック係数または導電率のいずれか一方、もしくはその両方を向上させることが考えられる。
【0018】
ゼーベック係数とは、ゼーベック効果を示す回路の、高温接合点と低温接合点との間の温度差に対する、開放回路電圧の比をいう(「マグローヒル科学技術用語大辞典 第3版」より)。ゼーベック係数は、例えば、ゼーベック効果測定装置(MMR Technologies社製)または後述する実施例で用いた熱電変換特性評価装置(アドバンス理工社製、ZEM−3)等を用いて測定することができる。ゼーベック係数の絶対値が大きいほど、熱起電力が大きいことを表す。
【0019】
また、ゼーベック係数の符号は、カーボンナノチューブ等がp型導電性を有しているか、n型導電性を有しているかの指標となり得る。具体的には、ゼーベック係数が正の値を示す場合は、p型導電性を有しているといえる。これに対して、ゼーベック係数が負の値を示す場合は、n型導電性を有しているといえる。
【0020】
ナノ材料複合体においては、ゼーベック係数が−20μV/K以下であることが好ましく、−30μV/K以下であることがより好ましく、−40μV/K以下であることがさらに好ましい。ただし、低温熱源などの微小エネルギーを用いて発電を行う場合においては、熱起電力の増大とともに導電率の増大により、昇圧回路に要求されるインピーダンスの抑制を必要とする場合もある。この場合は、ナノ材料複合体のゼーベック係数が−250〜−20μV/Kであることがより好ましい。
【0021】
導電率は、例えば、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、ロレスタGP)または後述する実施例で用いた熱電変換特性評価装置(アドバンス理工社製、ZEM−3)を用いた4探針法により測定することができる。
【0022】
ナノ材料複合体においては、導電率が1000S/cm以上であることが好ましく、1500S/cm以上であることがより好ましく、2000S/cm以上であることがさらに好ましい。導電率が1000S/cm以上であれば、ナノ材料複合体が高出力であるため、好ましい。
【0023】
〔2.ナノ材料複合体〕
本発明の一実施形態に係るナノ材料複合体(以下、本ナノ材料複合体とも称する)は、ポリエチレングリコール誘導体と、金属カチオンと、n型ナノ材料とを含み、前記ポリエチレングリコール誘導体は、下記式(1)で表される鎖状構造を有することを特徴とする。
−(CH
2CH
2O)
n− ・・・(1)
式(1)中、nは4以上の整数である。
【0024】
前記ポリエチレングリコール誘導体は、前記式(1)で表される鎖状構造を有している(以下、「PEG鎖」と称することもある)。ポリエチレングリコール誘導体中のPEG鎖部分が金属カチオンに配位結合し、錯体を形成する。このとき、ポリエチレングリコール誘導体と金属カチオンとの錯体は、環状構造を有しているポリエチレングリコール(例えばクラウンエーテル)と金属カチオンとの錯体に類似する構造を形成すると考えられる。例えば、下記(I)のように、金属塩(NaX)とnが6であるポリエチレングリコール誘導体とを溶液中に分散した場合、金属カチオン(Na
+(ナトリウムイオン))とnが6であるPEG鎖とは、金属カチオンとPEG鎖の酸素上の非共有結合とが配位結合し、金属カチオンの周囲をPEG鎖が取り囲むように錯体を形成すると考えられる。この錯体の構造は、クラウンエーテル(例えば15−クラウン−5)とナトリウムイオンとが配位結合することによって形成された錯体の構造に類似すると考えられる。
【0026】
前記ポリエチレングリコール誘導体は、前記PEG鎖の酸素上の非共有電子対を通じて金属カチオンを溶媒和できる。このとき、対イオンであるアニオンはかさ高いポリエチレングリコール誘導体により正電荷と遮蔽されているため不安定であり、反応性が高い。このことを利用して、アニオンによる還元反応、すなわち、ナノ材料への電子注入が行われ、ナノ材料がn型化すると考えられる。なお、後述するように、ナノ材料をn型化する方法は、ナノ材料への電子注入に限定されない。
【0027】
前記n型ナノ材料は、負の電荷が非局在化した状態となっており、軟らかい塩基(soft base)となっている。一方、前記錯体は、正の電荷が非局在化した軟らかい酸(soft acid)となっている。軟らかい塩基に対しては、軟らかい酸を作用させることで安定化することができる。そのため、本ナノ材料複合体は、ポリエチレングリコール誘導体と金属カチオンとの錯体をn型ナノ材料に作用させることにより、安定したn型導電性を示す。なお、軟らかい酸および塩基の定義は、HSAB理論に基づく(R. G. Pearson, J. Am. Chem. Soc. 85 (22), 3533-3539, 1963)。
【0028】
本ナノ材料複合体は、必要に応じて、ポリエチレングリコール誘導体、金属カチオンおよびn型ナノ材料以外の物質を含んでいてもよい。このような物質としては、錯体による前記効果を阻害しないものであれば特に限定されない。
【0029】
<2−1.ポリエチレングリコール誘導体>
本ナノ材料複合体は、ポリエチレングリコール誘導体を含んでいる。当該ポリエチレングリコール誘導体は、下記式(1)で表される鎖状構造を有することを特徴とし、
−(CH
2CH
2O)
n− ・・・(1)
式(1)中、nは4以上の整数である。
【0030】
なお、本明細書において、「ポリエチレングリコール誘導体」との表現は、少なくとも式(1)で表されるPEG鎖を有し、疎水基および親水基を問わず、種々の末端基をさらに有する化合物を意図する。式(1)の末端は、水素原子または水酸基であってもよい。ポリエチレングリコール誘導体は、PEG鎖を1つ有していても、複数有していてもよい。また、ポリエチレングリコール誘導体は、鎖状であっても分枝状であってもよい。ただし、ポリエチレングリコール誘導体は、環状ではない(すなわち、クラウンエーテルを除く)。
【0031】
式(1)中、nが4以上の整数であれば、前述のように前記ポリエチレングリコール誘導体と金属カチオンとは、金属カチオンの周囲をPEG鎖が取り囲むように錯体を形成し、正電荷を遮蔽できる。
【0032】
前記ポリエチレングリコール誘導体としては、nが4以上の前記式(1)で表される鎖状構造を有していればよく、特に限定されない。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンジアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0033】
前記ポリエチレングリコール誘導体は、疎水基を有していることが好ましい。前記ポリエチレングリコール誘導体が疎水基を有していることで、両親媒性を示し、水および有機溶媒等の溶媒に分散しやすいため好ましい。疎水基の例としては、飽和または不飽和の、環式炭化水素基、非環式炭化水素基(鎖状であっても分枝状であってもよい)、芳香族基、ハロゲン基等が挙げられる。また、前記ポリエチレングリコール誘導体は、式(1)の末端基の一部に疎水基を有することが好ましく、例えば、疎水基は、アルキル基、アルキレン基、フェニレン基、またはポリプロピレンオキシド鎖(PPO鎖)であってもよい。
【0034】
また、前記ポリエチレングリコール誘導体は、非イオン系界面活性剤であることが好ましい。ポリエチレングリコール誘導体が非イオン系界面活性剤であれば、水等の溶媒に分散しやすいため好ましい。また、ポリエチレングリコール誘導体が非イオン系界面活性剤であれば、溶媒中でイオン化しないためn型ナノ材料の電子状態に影響が少ないため好ましい。上記非イオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンジアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0035】
上記非イオン系界面活性剤としては、安価で手に入れることができるという観点から、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
【0036】
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーの例としては、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(例えば、製品名:Pluronic(登録商標)F127)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(例えば、製品名:Pluronic(登録商標)F−68)、ポリオキシエチレン(300)ポリオキシプロピレン(55)グリコール(例えば、製品名:Pluronic(登録商標)F−108)等のPluronic(登録商標)系界面活性剤が挙げられる。
【0037】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−ラウレート(例えば、製品名:Tween(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−パルミテート(例えば、製品名:Tween(登録商標)40)、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−ステアレート(例えば、製品名:Tween(登録商標)60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレエート(例えば、製品名:Tween(登録商標)80)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート(例えば、製品名:Tween(登録商標)85)等のTween(登録商標)系界面活性剤が挙げられる。
【0038】
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの例としては、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(例えば、製品名:Triton(登録商標) X−100)、ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル(例えば、製品名:Triton(登録商標) X−405)等のTriton(登録商標)系界面活性剤;ポリ(オキシエチレン)p−オクチルフェニルエーテル(例えば、製品名:Nonidet(登録商標)P−40);オクチルフェニルポリエチレングリコール(例えば、製品名:Igepal(登録商標)CA−630)が挙げられる。
【0039】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの例としては、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(例えば、製品名:Brij(登録商標)35)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(例えば、製品名:Brij(登録商標)58)、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(例えば、製品名:Brij(登録商標)78)、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(例えば、製品名:Brij(登録商標)97)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(例えば、製品名:Brij(登録商標)56)、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル(例えば、製品名:Brij(登録商標)76)、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(例えば、製品名:Brij(登録商標)98)、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(例えば、製品名:Brij(登録商標)S100)等のBrij(登録商標)系界面活性剤が挙げられる。
【0040】
前記非イオン系界面活性剤としては、安くて入手しやすいという観点から、Pluronic(登録商標)F127、Pluronic(登録商標)F−68、Pluronic(登録商標)F−108、TWEEN(登録商標)80、Triton(登録商標)X−100およびBrij(登録商標)S100等の市販品がさらに好ましい。
【0041】
<2−2.金属カチオン>
本ナノ材料複合体は、金属カチオンを含んでいる。
【0042】
金属カチオンとしては、典型金属イオン(アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオン)および遷移金属イオン等が挙げられる。前記金属カチオンは、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、フランシウムイオン、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、ラジウムイオンおよびスカンジウムイオン等であってもよい。
【0043】
上述した金属カチオンの中でも、入手が容易であるとの観点からは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオンおよびセシウムイオンが好ましい。
【0044】
<2−3.n型ナノ材料>
本ナノ材料複合体は、n型ナノ材料、すなわちn型化されたナノ材料を含んでいる。本明細書において、「ナノ材料」とは、少なくとも1つの方向の寸法がナノスケール(例えば100nm以下)の物質を意味する。前記ナノ材料は、例えばカーボンナノチューブ等である。
【0045】
ナノ材料をn型化する方法は特に限定されず、例えば、ナノ材料にn型ドーパント(例えば、特定のアニオン)を作用させる方法が挙げられる。より具体的には、後述する工程(ii)が挙げられる。
【0046】
前記ナノ材料は、低次元ナノ材料であってもよい。本明細書において、「低次元」とは、3次元よりも小さい次元を意図する。すなわち、本明細書において、「低次元」とは、0次元、1次元、または2次元を意図する。そして、本明細書において、「低次元ナノ材料」とは、「低次元」にて立体構造を略規定し得るナノ材料を意図する。
【0047】
0次元のナノ材料としては、例えば、ナノ粒子(量子ドット)が挙げられる。1次元のナノ材料としては、例えば、ナノチューブ、ナノワイヤおよびナノロッドが挙げられる。2次元のナノ材料としては、例えばナノシートが挙げられる。前記ナノ材料は、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノロッドおよびナノシートからなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0048】
前記n型ナノ材料は、炭素、半導体、半金属および金属からなる群より選択される少なくとも1つ以上を含んでいてもよい。前記n型ナノ材料は、炭素、半導体、半金属および金属からなる群より選択される少なくとも1つ以上からなるナノ材料であってもよい。軽量であることおよび炭素−炭素結合に由来する柔軟性の観点からは、前記ナノ材料は、炭素からなるナノ材料であることが好ましい。炭素からなるナノ材料としては、例えば、カーボンナノチューブおよびグラフェン(すなわち、炭素からなるナノシート)等が挙げられる。本明細書においては、カーボンナノチューブを「CNT」と称する場合もある。
【0049】
半導体としては、例えば、ケイ素化鉄、コバルト酸ナトリウムおよびテルル化アンチモン等が挙げられる。半金属としては、例えば、テルル、ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、セレンおよびグラファイト等が挙げられる。金属としては、例えば、金、銀、銅、白金およびニッケル等が挙げられる。
【0050】
前記ナノチューブおよび前記ナノシートは、単層、または多層(二層、三層、四層、またはそれよりも多層)の構造を有していてもよい。例えば、前記n型ナノ材料は、単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブであってもよい。
【0051】
本ナノ材料複合体は、熱電変換デバイス等として、様々な応用および用途が考えられる。ここで、熱電変換デバイスに柔軟性があれば、人体および配管等の複雑な三次元表面に密着させることができ、体温および廃熱等を効率的に利用できるため好ましい。熱電変換デバイスの柔軟性を増すため、本ナノ材料複合体に優れた機械的特性(引張強度、ヤング率および弾性率など)を付与するという観点からは、前記n型ナノ材料は、単層カーボンナノチューブであることが好ましい。
【0052】
本ナノ材料複合体において、前記n型ナノ材料は、所望の形状に成形されていてもよい。例えば、本ナノ材料複合体は、ナノ材料が集積したフィルムを含んでいてもよい。ここで、前記「フィルム」は、シートまたは膜とも言い換えられる。フィルムは、例えば、0.1μm〜1000μmの厚みであってもよい。フィルムの密度は特に限定されないが、0.05〜1.0g/cm
3であってもよく、0.1〜0.5g/cm
3であってもよい。前記フィルムは、ナノ材料同士が互いに絡み合うように不織布状の構造を形成している。そのため、前記フィルムは軽量であり、且つ、柔軟性を有している。
【0053】
<2−4.インク>
本発明の一実施形態に係るインク(以下、本インクとも称する)は、ナノ材料複合体と溶媒とを含むことを特徴とする。
【0054】
前記ナノ材料複合体は、所望の形状に成形されていてもよく(例えばフィルム)、成形されていなくてもよい。ナノ材料複合体が成形されている場合は、例えば、成形されたナノ材料複合体を溶媒に分散させることによって、インクを作製することができる。ナノ材料複合体が成形されていない場合は、例えば、ナノ材料複合体を溶媒中に分散させることによって、インクを作製することができる。また、〔3.ナノ材料複合体の製造方法〕において後述するように、工程(i)(すなわち、n型ナノ材料に、ポリエチレングリコール誘導体と、金属カチオンとを接触させる工程)または工程(i)と工程(ii)(すなわち、ナノ材料をn型化する工程)との両方を行うことで作製されたナノ材料複合体自体を、インクとして用いてもよい。
【0055】
インク中のナノ材料複合体の濃度は、0.1〜1000mMであることが好ましく、10〜100mMであることがより好ましい。なお、インク中のナノ材料複合体の濃度は、例えば、ナノ材料がカーボンナノチューブの場合は、炭素の原子量を12として、インク中のカーボンナノチューブの質量から算出できる。
【0056】
前記溶媒は、インクとして使用する上で適したものの中から適宜選択されればよく、水および有機溶媒等が挙げられる。有機溶媒の例としては、トルエン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフランおよびクロロホルムが挙げられる。前記溶媒としては、取扱いが容易であり、比較的安全で、ナノ材料複合体の分散性が良好であり、かつ種々の用途に用いることができるという観点から水が好ましい。
【0057】
本インクは、必要に応じて、ナノ材料複合体および溶媒以外の物質を含んでいてもよい。このような物質としては、ナノ材料複合体の熱電特性を損なわないものであれば特に限定されない。
【0058】
本インクは、例えば、基板上に塗布されることにより使用される。
【0059】
前記基板としては、ガラス、透明セラミックス、金属、プラスチックフィルム等の基板を用いることができる。
【0060】
前記基板の厚さは、特に限定されないが、1μm〜1000μmが好ましい。
【0061】
インクを基板上に塗布する方法としては、特に限定されないが、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット印刷、ディスペンス等の公知の塗布方法を用いることができる。
【0062】
また、インクの塗布に適した各種装置を用いることができ、特に限定されない。
【0063】
本インクによって、種々の形状の効率的に発電ができる熱電変換デバイスを設計することが可能となる。また、柔軟性を備え、かつ小型軽量化された熱電変換デバイスを実現できる。
【0064】
〔3.ナノ材料複合体の製造方法〕
本発明の一実施形態に係るナノ材料複合体の製造方法(以下、本製造方法とも称する)は、n型ナノ材料に、ポリエチレングリコール誘導体と、金属カチオンとを接触させる工程を含み、前記ポリエチレングリコール誘導体は、下記式(1)で表される鎖状構造を有することを特徴とする。
−(CH
2CH
2O)
n− ・・・(1)
式(1)中、nは4以上の整数である。
【0065】
なお、〔2.ナノ材料複合体〕にて既に説明した事項について、以下では説明を省略し、適宜、上述の記載を援用する。
【0066】
以下、n型ナノ材料に、ポリエチレングリコール誘導体と、金属カチオンとを接触させる工程を工程(i)と記載する。
【0067】
前記工程(i)では、n型ナノ材料に、ポリエチレングリコール誘導体と、金属カチオンとを接触させることができればよく、その方法は特に限定されない。n型ナノ材料と、ポリエチレングリコール誘導体と、金属カチオンとを十分に接触させる観点から、ポリエチレングリコール誘導体および金属カチオンを含む溶液をナノ材料に接触させる方法が好ましい。具体的には、溶液をナノ材料に含浸させる方法、または、溶液中にナノ材料をせん断分散させることによって、ナノ材料と溶液とを接触させる方法が好ましい。
【0068】
前記溶液における溶媒は、水であってもよく有機溶媒であってもよい。当該溶媒は、好ましくは有機溶媒であり、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはN−メチルピロリドンである。プロパノールとしては、1−プロパノールおよび2−プロパノールが挙げられる。ブタノールとしては、1−ブタノールおよび2−ブタノールが挙げられる。
【0069】
溶液中のポリエチレングリコール誘導体および金属カチオンのイオンの濃度は、任意の濃度であってよく、1〜1000mMが好ましく、10〜100mMがより好ましい。
【0070】
溶液をナノ材料に含浸させる方法としては、例えば、後述のように所望の形状に成形したナノ材料(例えばフィルム)を溶液に浸漬させる方法が挙げられる。また、溶液中にナノ材料をせん断分散させる方法としては、例えば、均質化装置を用いてナノ材料を溶液中に分散させる方法が挙げられる。
【0071】
前記均質化装置としては、ナノ材料を溶液中で均質に分散させることができる装置であれば特に限定されないが、例えば、撹拌ホモジナイザーまたは超音波ホモジナイザー等の公知の手段を用いることができる。
【0072】
均質化装置の運転条件としては、ナノ材料を溶液中に分散させることができる条件であれば特に限定されない。例えば、均質化装置として、撹拌ホモジナイザーを用いる場合は、ナノ材料を加えた溶液を、撹拌速度(回転数)20000rpmにて、室温(23℃)にて10分間処理することによって、ナノ材料を溶液中に分散させることができる。
【0073】
また、成形済のナノ材料を溶液に浸漬させる方法の場合、浸漬させる時間は特に限定されないが、10〜600分であることが好ましく、100〜600分であることがより好ましく、200〜600分であることがさらに好ましい。
【0074】
なお、工程(i)の前に、工程(ii)ナノ材料をn型化する工程が含まれていてもよい。ナノ材料をn型化する方法は特に限定されず、例えば、ナノ材料に特定のアニオンを作用させる方法が挙げられる。
【0075】
工程(ii)は工程(i)と同時に行われてもよい。この場合、例えば、溶媒に溶解した際にアニオンと金属カチオンとを生じる金属塩と、ポリエチレングリコール誘導体とを溶解させた溶液にナノ材料を接触させる。錯体を効率的に形成させるという観点からは、前記溶液は、金属カチオンとポリエチレングリコール誘導体とを、そのモル比が1:1になるように含んでいることが好ましい。
【0076】
前記アニオンは、ナノ材料のキャリアを正孔から電子へと変化させる。これによって、ナノ材料のゼーベック係数が変化するとともに、ナノ材料は負に帯電する。
【0077】
アニオンの例としては、ヒドロキシイオン(OH
−)、アルコキシイオン(CH
3O
−、CH
3CH
2O
−、i−PrO
−およびt−BuO
−等)、チオイオン(SH
−、並びにCH
3S
−およびC
2H
5S
−等のアルキルチオイオン等)、シアヌルイオン(CN
−)、I
−、Br
−、Cl
−、BH
4−、カルボキシイオン(CH
3COO
−等)、CO
32−、HCO
3−、NO
3−、BF
4−、ClO
4−、TfO
−、並びにTos
−等が挙げられる。なかでも、アニオンは、OH
−、CH
3O
−、CH
3CH
3O
−、i−PrO
−、t−BuO
−、SH
−、CH
3S
−、C
2H
5S
−、CN
−、I
−、Br
−、Cl
−、BH
4−、およびCH
3COO
−からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましく、OH
−およびCH
3O
−のうち少なくとも一方であることがより好ましい。前記アニオンによれば、効率よくナノ材料のゼーベック係数を変化させることができる。
【0078】
アニオンがナノ材料をn型化するドーパントとして作用する理由の一つとしては、アニオンが非共有電子対を有していることが考えられる。アニオンは、その非共有電子対に基づいて、ドーピングの対象となるナノ材料と相互作用するか、または化学反応を誘起すると推測される。また、ドーピングの効率においては、ドーパントのルイス塩基性、分子間力および解離性が重要であると考えられる。
【0079】
本明細書において、「ルイス塩基性」とは、電子対を供与する性質を意図している。ルイス塩基性の強いドーパントは、ゼーベック係数の変化に対して、より大きな影響を与えると考えられる。
【0080】
また、ドーパントの分子間力も、ナノ材料に対するドーパントの吸着性に関連していると考えられる。ドーパントの分子間力としては、例えば、水素結合、CH−π相互作用およびπ−π相互作用等が挙げられる。前記アニオンのなかでも、弱い水素結合を与えるアニオンが好ましい。弱い水素結合を与えるアニオンとしては、例えば、OH
−、CH
3O
−、CH
3CH
2O
−、i−PrO
−およびt−BuO
−が挙げられる。また、アニオンは、π−π相互作用を与えるアニオンであることが好ましい。π−π相互作用を与えるアニオンの例としては、例えば、CH
3COO
−が挙げられる。
【0081】
本製造方法は、工程(i)の前または後に工程(iii)ナノ材料を集積させてフィルムを成形する工程を含んでいてもよい。すなわち、工程(iii)は、前記工程(i)の前にナノ材料を所望の形状(例えばフィルム)に成形する工程であってもよく、前記工程(i)によって得られたナノ材料を所望の形状に成形する工程であってもよい。
【0082】
フィルムを成形する方法の例としては、特に限定されないが、例えば、溶媒中にナノ材料を分散させ、得られた分散液をメンブレンフィルター上で濾過することによってフィルムを成形する方法が挙げられる。具体的には、ナノ材料の分散液を、0.1〜2μm孔のメンブレンフィルターを用いて吸引濾過を行い、メンブレンフィルター上に残った膜を、50〜150℃にて、1〜24時間、減圧乾燥させることにより、フィルムを成形することができる。また、ナノ材料の分散液を遠心分離し、その上澄みをメンブレンフィルター上で濾過することによってフィルムを成形してもよい。
【0083】
ナノ材料を分散させる溶媒は、水であってもよく有機溶媒であってもよい。当該溶媒は、好ましくは有機溶媒であり、より好ましくはo−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレンまたはシクロヘキサノンである。これらの溶媒であれば、ナノ材料を効率的に分散させることができる。
【0084】
ナノ材料を分散させる方法としては、上述の工程(i)における均質化装置を用いてナノ材料を溶液中に分散させる方法と同様の方法を用いることができる。
【0085】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0086】
以下、実施例、比較例および参考例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0087】
〔電子状態の同定〕
ポリエチレングリコール誘導体を用いることによって、ナノ材料をn型化できるかどうかを確認するため、フーリエ変換赤外分光光度計(ブルカーオプティクス社製、製品名:HYPERION2000)を用いて測定試料の吸光度を測定することにより、ナノ材料の電子状態の同定を行った。
【0088】
5mgのCNT(名城ナノカーボン社製、製品名:EC−2.0)を、規定濃度(1mM、10mM、100mM)の炭酸カリウム(K
2CO
3、和光純薬工業社製)と1重量%のPluronic(登録商標)F127(BASF社製)との水溶液へ10分間の超音波照射により分散させた。分散には、超音波ホモジナイザー(Qsonica社製、Q125)を用いた。続いて、得られた分散液に対して、遠心分離機(久保田商事、製品名:テーブルトップ冷却遠心機5500)を用いて10000rpm、30分間の遠心分離を行い、70体積%程度の量の上清を回収した。当該上清をメンブレンフィルター(0.2μmポア、メルクミリポア社製、製品名:オムニポアメンブレンフィルター JGWP02500)を用いて濾過および乾燥した後、フィルター上に堆積したCNT膜をPETフィルム(帝人フィルムソリューション社製、製品名:テイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルムG2)上に載せたものを測定試料とした。
【0089】
測定結果を
図2に示す。
図2に示すように、用いる炭酸カリウム(すなわち、金属カチオンおよびアニオン)の濃度を上げるにつれて、S
11のバンドギャップ吸収の減少が観察された。これは、伝導帯への電子注入、つまりCNTのn型化を示唆している。また、炭酸カリウム(すなわち、金属カチオンおよびアニオン)の濃度を上げるにつれてS
22の吸収スペクトルが消失していることから、特許文献3に記載のようなクラウンエーテルを用いたドーピングの場合と同等の電子移動が起きていることがわかった。
【0090】
〔熱電特性の評価〕
(a)導電率
後述の実施例、比較例および参考例にて得られた測定試料について、熱電変換特性評価装置(アドバンス理工社製、製品名:ZEM−3)を用いた4探針法によって導電率を測定した。測定温度は310K(37℃)であった。
【0091】
(b)ゼーベック係数
後述の実施例、比較例および参考例にて得られた測定試料のゼーベック係数を、熱電変換特性評価装置(アドバンス理工社製、製品名:ZEM−3)を用いて測定した。測定温度は310K(37℃)であった。
【0092】
(c)出力因子
後述の実施例、比較例および参考例にて得られた測定試料について、上述の方法で得られた導電率σおよびゼーベック係数αを用いて、下記式(i)により出力因子PFを算出した。
【0093】
PF=α
2σ (i)
〔熱電特性の比較〕
<実施例1>
5mgのCNT(名城ナノカーボン社製、製品名:EC−2.0)を、規定濃度(0.1mM、0.25mM、0.5mM、1mM、2.5mM、5mM、10mM、50mM、100mM)の炭酸カリウム(K
2CO
3、和光純薬工業社製)と1重量%のPluronic(登録商標)F127(BASF社製)との水溶液へ10分間の超音波照射により分散させた。分散には、超音波ホモジナイザー(Qsonica社製、Q125)を用いた。続いて、得られた分散液に対して、遠心分離機(久保田商事、テーブルトップ冷却遠心機5500)を用いて10000rpm、30分間の遠心分離を行い、70体積%程度の量の上清を回収した。当該上清をメンブレンフィルター(0.2μmポア、メルクミリポア社製、製品名:オムニポアメンブレンフィルター JGWP02500)を用いて濾過および乾燥した後、フィルター上に堆積したCNT膜をPETフィルム(帝人フィルムソリューション社製、製品名:テイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルムG2)上に載せたものを測定試料とした。なお、分散液中のナノ材料複合体の濃度は、約20mMであった。
【0094】
各測定試料について、導電率およびゼーベック係数の測定結果を
図3Aに、出力因子の算出結果を
図3Bにそれぞれ示す。また、各測定試料について、導電率、ゼーベック係数および出力因子の具体的な数値を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
図3AおよびB、表1に示すように、用いる炭酸カリウムの濃度を変化させるに伴い、熱電特性が連続的に変化することがわかった。つまり、本発明においては、金属塩の添加量を変えることで、熱電特性をコントロールすることができる。
【0097】
<実施例2>
実施例1において、100mMの炭酸カリウム(K
2CO
3、和光純薬工業社製)を用い、Pluronic(登録商標)F127の代わりにPluronic(登録商標)F108(BASF社製)を用いた以外は実施例1と同様に測定試料を作製した。
【0098】
<実施例3>
実施例1において、100mMの炭酸カリウム(K
2CO
3、和光純薬工業社製)を用い、Pluronic(登録商標)F127の代わりにBrij(登録商標)S100(クローダ社製)を用いた以外は実施例1と同様に測定試料を作製した。
【0099】
<実施例4>
5mgのCNTを、100mMの炭酸カリウム(K
2CO
3、和光純薬工業社製)と1重量%のPluronic(登録商標)F127(BASF社製)との水溶液へ10分間の超音波照射により分散させた。分散には、超音波ホモジナイザー(Qsonica社製、Q125)を用いた。得られた分散液をメンブレンフィルター(0.2μmポア、メルクミリポア社製、オムニポアメンブレンフィルター JGWP02500)を用いて濾過および乾燥した後、フィルター上に堆積したCNT膜をPETフィルム(帝人フィルムソリューション社製、製品名:テイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルムG2)上に載せたものを測定試料とした。
【0100】
<比較例1>
実施例1において、炭酸カリウム(K
2CO
3、和光純薬工業社製)の濃度を100mMとし、Pluronic(登録商標)F127の代わりに18−クラウン−6−エーテル(シグマアルドリッチ社製)を用いたところ、超音波照射を行った場合であってもCNTを溶液中に分散させることができず、分散液を得ることができなかった。
【0101】
<結果>
各測定試料について、導電率およびゼーベック係数の測定結果、出力因子の算出結果を表2に示す。なお、表2中の実施例1では、実施例1において100mMの炭酸カリウム(K
2CO
3、和光純薬工業社製)を用いて作製した測定試料についてのデータを示す。
【0102】
【表2】
【0103】
表2より、実施例1〜4のいずれにおいても、優れた熱電特性を有していることがわかった。すなわち、実施例1〜4の導電率はいずれも1000s/cmを超え、ゼーベック係数はいずれも−20μV/K以下であり、出力因子はいずれも100μW/mK
2を超えた。
【0104】
〔熱安定性の評価〕
実施例1で得られた測定試料(炭酸カリウム(K
2CO
3、和光純薬工業社製)の濃度が100mMの場合)について、100℃の電気炉の中で所定の時間(30分、1時間、2時間、3時間、72時間、120時間、168時間、240時間、288時間、336時間、408時間)熱処理した後、各測定試料について、導電率およびゼーベック係数を測定した。
【0105】
各測定試料について、導電率およびゼーベック係数の測定結果、出力因子の算出結果を
図4に示す。
【0106】
図4からわかるように、100℃の電気炉の中で400時間熱処理した後であっても、測定試料の導電率およびゼーベック係数は変化することなく、一定の値を保っていた。