(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
人物を検知する検知手段を複数備え、前記検知手段ごとの検知範囲内での前記人物の検知の有無に応じて、警備対象の警備状態を警備セット又は警備解除に制御する警備装置であって、
前記警備装置は、
前記人物を検知した前記検知手段の検知順序が、予め記憶されている警備セット用又は警備解除用の前記検知手段の検知順序と一致しているか否か比較する検知順序比較部と、
前記検知順序比較部の比較により、前記人物を検知した前記検知手段の検知順序と前記警備セット用又は前記警備解除用の前記検知手段の検知順序とが一致した場合、前記警備対象の警備状態を前記警備解除から前記警備セットに制御し、又は前記警備セットから前記警備解除に制御する制御部と、
時刻tnにおける前記人物を検知した前記検知手段の検知範囲での検知信号を取得して、前記検知信号の強度に基づいて前記人物がどの検知手段の検知範囲内にいるかを把握する人物検知位置把握部と、を備える
ことを特徴とする警備装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の一例を説明する。
【0012】
[警備装置]
本実施形態の警備装置は、人物を検知する検知手段を複数備え、前記検知手段ごとの検知範囲内での前記人物の検知の有無に応じて、警備対象の警備状態を警備セット又は警備解除に制御する警備装置である。
【0013】
以下、本実施形態で説明する「警備対象」には、「住宅」や、事務所(営業所)、公共施設、興行場、等の「建物」や、神社、仏閣、ビニールハウス、等の「建造物」や、自動車、自転車、現金輸送車といった車両及びヨット、ボートといった船舶、等の「動産」も含まれる。
【0014】
本実施形態では、前記警備対象に警備エリアと警戒エリアとが定められている。前記警備エリアとは、前記警備対象に係る住宅や、事務所(営業所)、公共施設、興行場、等の建物の内部を警備するエリアである。前記警戒エリアとは、前記警備対象に係る住宅や、事務所(営業所)、公共施設、興行場、等の建物や、神社、仏閣、ビニールハウス、等の建造物や、自動車、自転車、現金輸送車といった車両及びヨット、ボートといった船舶、等の動産の周辺で、かつ後述する検知手段の検知範囲内を警戒するエリアである。
【0015】
例えば、警備対象22の例として
図3(a)に示されている住宅には、
図3(d)に示すように、その室内が警備エリア23として定められ、前記住宅の周辺が警戒エリア24として定められている。
図3(b)に示されている神社には、
図3(d)に示すように、その本殿の設置エリアが警備エリア23として定められ、前記本殿の周辺が警戒エリア24として定められている。
図3(c)に示されているボート等の船舶では、
図3(d)に示すように、船舶の設置エリアが警備エリア23として定められ、前記船舶の周辺が警戒エリア24として定められている。なお、警備エリア23及び警戒エリア24以外の部分は非警戒エリア25となる。
【0016】
そして、本実施形態の警備装置が警備エリア23及び/又は警戒エリア24に設置されて警備対象22が警備される。
【0017】
また、本実施形態で説明する「警備セット」には、従来公知の施錠装置を作動させて施錠を行う処理や、後述する撮像手段が警備対象の警備状態を撮影する処理、等が含まれ、「警備解除」には、前記施錠を解除する処理、等が含まれる。
【0018】
1.警備装置の第一の実施形態
図1に示す警備装置1Aは、種々の情報処理を制御する制御装置2を備え、警備エリア23及び/又は警戒エリア24に設置される。制御装置2には、検知手段14、警報手段15、撮像手段16が接続されているとともに、インターネット通信網、無線通信規格で定められる無線通信網、有線通信規格で定められる有線通信網、等の通信ネットワークを介して、警備対象22に係るユーザが使用するスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のユーザ端末や、警備事業者が使用・設置するサーバ装置、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の事業者端末を含む外部端末17が通信可能に接続されている。
【0019】
検知手段14は、従来公知の人感センサや、RFIDリーダライタ、光電センサ、超音波センサ、等を使用することができる。本実施形態では、
図4に示すように警備装置1Aは検知手段14を複数備えている。
【0020】
図4(a)に示す例では、警備エリア23及び/又は警戒エリア24に設置されている3つの検知手段14A、14B、14Cで人物を検知することになる。また、一の検知手段14の検知範囲26の一部と他の検知手段14の検知範囲26の一部とが重なり、重複検知範囲27a、27bが形成されている。各検知手段の検知範囲26では一定の強度レベルの検知信号が出力される。
【0021】
図4(b)に示す例では、検知手段14A、14Bはそれぞれ検知強度の異なる複数の検知範囲26a、26b、26cを有している。検知範囲26aでは、例えば、強度レベルを「1」とする検知信号が出力され、検知範囲26bでは、例えば、強度レベルを「2」とする検知信号が出力され、検知範囲26cでは、例えば、強度レベルを「3」とする検知信号が出力される。
【0022】
なお、
図1に示す形態では、検知手段14が警備装置1A内に配備された形態となっているが、警備装置1Aとは独立させて、警備装置1Aに付設する形態とすることもできる。
【0023】
警報手段15は、従来公知の警報ブザー、発光装置等を使用することができる。後述する判定部10が、警備対象22が警備セット又は警備解除されている状態での警備対象22への不審者の侵入の有無を判定した結果、侵入異常と判定した場合に警報ブザーが警報を発報し、発光装置が発光して異常を報知する。
【0024】
撮像手段16は、従来公知の監視カメラ、Webカメラ等を使用することができる。撮像手段16は、警備対象22についての警備エリア23、警戒エリア24の警備状態を静止画や動画として記録する。
【0025】
制御装置2は、
図1に示すように、情報送受信部3、記憶部8、検知順序比較部9、判定部10、人物検知位置把握部11、検知条件設定部12、警備状態制御部13を備えている。
【0026】
情報送受信部3は、検知手段14、警報手段15、撮像手段16、外部端末17と情報の送受信を行う。本実施形態では、情報送受信部3は、検知信号取得部4、判定結果通知部5、映像情報送信部6、警報指示部7を備えている。
【0027】
検知信号取得部4は、検知手段14が出力する検知信号を取得する。
【0028】
判定結果通知部5は、後述する判定部10が警備対象22への不審者の侵入の有無を判定した結果を外部端末17に通知する。外部端末17を所有、使用する前記ユーザや前記警備事業者は警備対象22の警備状態を知ることができ、その後の対応をとることが可能となる。
【0029】
映像情報送信部6は、警備対象22の警備状況に関する情報を外部端末17に送信する。例えば、撮像手段16による警備対象22についての警備エリア23、警戒エリア24が撮影された前記静止画や動画からなる映像情報を外部端末17に送信する。外部端末17を所有、使用する前記ユーザや前記警備事業者は前記送信された警備対象22の警備状況に関する情報により警備対象22の警備状態を知ることができ、その後の対応をとることが可能となる。
【0030】
警報指示部7は、後述する判定部10が、警備対象22が警備セット又は警備解除されている状態での警備対象22への不審者の侵入の有無を判定した結果、侵入異常と判定した場合、警報手段15に上述した異常を報知するよう指示を行う。
【0031】
記憶部8には、後述する検知順序比較部9が行う比較処理のための警備セット用又は警備解除用の検知手段の検知順序、撮像手段16による警備対象22についての警備エリア23、警戒エリア24が撮影された映像情報、等種々の情報が記憶されている。
【0032】
検知順序比較部9は、人物を検知した検知手段14の検知順序が、予め記憶部8に記憶されている前記警備セット用又は前記警備解除用の検知手段の検知順序と一致しているか否か比較する処理を行う。この比較処理については後述する判定処理1で説明する。
【0034】
(判定処理1)
検知順序比較部9による、人物を検知した検知手段14の検知順序が、予め記憶部8に記憶されている前記警備セット用又は前記警備解除用の検知手段の検知順序と一致しているか否かの比較結果に応じて、警備対象22の警備状態を判定する。
【0035】
図4(a)、
図5に示す形態では、記憶部8には、前記警備セット用又は前記警備解除用の検知手段の検知順序を「1番目:検知手段14A、2番目:検知手段14Aと14Bの組み合わせ、3番目:検知手段14B、4番目:検知手段14Bと検知手段14Cの組み合わせ、5番目:検知手段14C」とする情報が予め記憶されている。
【0036】
図5(a)において、警備対象22の警備状態が警備セット又は警備解除され、ある人物が警備エリア23又は警戒エリア24を移動経路28aに沿って移動した場合、検知手段14Aの検知範囲26、検知手段14Aと検知手段14Bの重複検知範囲27a、検知手段14Bの検知範囲26、検知手段14Bと検知手段14Cの重複検知範囲27b、検知手段14Cの検知範囲26の順序で前記人物が検知される。
【0037】
検知順序比較部9は、移動経路28aに沿って前記人物を検知した検知手段14の上述の検知順序が、予め記憶部8に記憶されている前記警備セット用又は前記警備解除用の検知手段の検知順序と一致しているか否か比較する。
【0038】
図5(a)に示す警備対象22の警備状態が警備セット又は警備解除されている状態において、移動経路28aに沿って前記人物を検知した検知手段14の上述の検知順序は、予め記憶部8に記憶されている上述の前記警備セット用又は前記警備解除用の検知手段の検知順序と一致しているので、判定部10は進入処理異常なし又は退出処理異常なしと判定する。
【0039】
一方、
図5(b)において、警備対象22の警備状態が警備セット又は警備解除され、ある人物が警備エリア23又は警戒エリア24を移動経路28bに沿って移動した場合、検知手段14Bの検知範囲26、検知手段14Bと検知手段14Cの重複検知範囲27b、検知手段14Cの検知範囲26の順序で前記人物が検知される。また、ある人物が警備エリア23又は警戒エリア24を移動経路28cに沿って移動した場合、検知手段14Cの検知範囲26で前記人物が検知される。
【0040】
検知順序比較部9は、移動経路28b、28cに沿って前記人物を検知した検知手段14の上述の検知順序が、予め記憶部8に記憶されている前記警備セット用又は前記警備解除用の検知手段の検知順序と一致しているか否か比較する。
【0041】
図5(b)に示す警備対象22の警備状態が警備セット又は警備解除されている状態において、移動経路28b、28cに沿って前記人物を検知した検知手段14の上述の検知順序は、いずれも予め記憶部8に記憶されている上述の前記警備セット用又は前記警備解除用の検知手段の検知順序と一致していないので、判定部10は侵入異常と判定する。
【0042】
人物検知位置把握部11は、時刻t
nにおける人物を検知した検知手段14の検知範囲26での検知信号を取得して、前記検知信号の強度に基づいて前記人物がどの検知手段14の検知範囲26にいるかを把握する処理を行う。
【0043】
図6(a)に示す形態では、
図4(b)に示す複数の検知手段14A、14Bが、警備エリア23及び/又は警戒エリア24に設置され、警備対象22の警備状態が警備セット又は警備解除されている。検知手段14A、14Bが例えば
図6(b)に示すような時刻t
nにおける検知信号を出力した場合、人物検知位置把握部11は以下のように人物の検知位置を把握する処理を行う。
【0044】
時刻t
1では検知手段14A、14Bのいずれもが検知信号を出力していないので、人物検知位置把握部11は警備エリア23又は警戒エリア24に人物がいないと判断する。
【0045】
時刻t
2では検知手段14Aが検知信号強度を「1」とする検知信号を出力したので、人物検知位置把握部11は、検知手段14Aの検知範囲26aに人物がいると判断する。
【0046】
時刻t
3では検知手段14Aが検知信号強度を「2」とする検知信号を出力したので、人物検知位置把握部11は、検知手段14Aの検知範囲26bに人物がいると判断する。
【0047】
時刻t
4では検知手段14Aが検知信号強度を「3」とする検知信号を出力したので、人物検知位置把握部11は、検知手段14Aの検知範囲26cに人物がいると判断する。
【0048】
時刻t
5では検知手段14Aが検知信号強度を「2」とする検知信号を出力したので、人物検知位置把握部11は、検知手段14Aの検知範囲26bに人物がいると判断する。
【0049】
時刻t
6では検知手段14Aが検知信号強度を「2」とする検知信号を出力し、検知手段14Bが検知信号強度を「1」とする検知信号を出力したので、人物検知位置把握部11は、検知手段14Aの検知範囲26bと検知手段14B検知範囲26aとの重複検知範囲27aに人物がいると判断する。
【0050】
時刻t
7では検知手段14Aが検知信号強度を「1」とする検知信号を出力し、検知手段14Bが検知信号強度を「1」とする検知信号を出力したので、人物検知位置把握部11は、検知手段14Aの検知範囲26aと検知手段14B検知範囲26aとの重複検知範囲27bに人物がいると判断する。
【0051】
時刻t
8では検知手段14Aが検知信号強度を「1」とする検知信号を出力し、検知手段14Bが検知信号強度を「2」とする検知信号を出力したので、人物検知位置把握部11は、検知手段14Aの検知範囲26aと検知手段14B検知範囲26bとの重複検知範囲27cに人物がいると判断する。
【0052】
時刻t
9では検知手段14Bが検知信号強度を「2」とする検知信号を出力したので、人物検知位置把握部11は、検知手段14Bの検知範囲26bに人物がいると判断する。
【0053】
以上のような処理を繰り返し行うことで、
図6に示す形態では、例えば移動経路28dに沿ってある人物が警備エリア23又は警戒エリア24を移動したことが、検知手段14の検知信号強度の時系列評価で把握される。
【0054】
検知条件設定部12は、検知手段14による人物の検知の有無に応じて、検知手段ごとの検知間隔を設定する処理を行う。この場合において、一の検知手段には、当該一の検知手段に隣接する他の検知手段が関連付けられており、前記一の検知手段が前記人物を検知した時に、当該一の検知手段に関連付けられている前記他の検知手段も連動して検知間隔が設定されるように制御される。
【0055】
図7(a)に示す形態では、
図4(a)に示す複数の検知手段14A、14B、14Cが、警備エリア23及び/又は警戒エリア24に設置され、警備対象22の警備状態が警備セット又は警備解除されている。検知手段14Aには隣接する検知手段14Bが関連づけられ、検知手段14Bには隣接する検知手段14A及び14Cが関連付けられ、検知手段14Cには隣接する検知手段14Bが関連づけられている。
【0056】
ある人物が警備エリア23又は警戒エリア24を移動経路28eに沿って移動する場合、検知条件設定部12は以下のように検知手段14A、14B、14Cの検知間隔を設定する処理を行う。
【0057】
非警戒エリア25(状態A)では、検知手段14A、14B、14Cの検知範囲外なので、検知条件設定部12は、各検知手段の検知間隔を例えば10〜20秒とする「長」の状態に設定する。
【0058】
検知手段14Aの検知範囲26(状態B)では検知手段14Aが前記人物を検知するので、検知条件設定部12は、検知手段14Aの検知間隔を例えば2〜4秒とする「短」の状態に設定する。この場合、検知手段14B、14Cは前記人物を検知しないが、検知手段14Aに検知手段14Bが関連付けられているので、検知条件設定部12は、前記人物を検知した検知手段14Aに隣接する検知手段14Bの検知間隔も前記「短」の状態に設定する。
【0059】
検知手段14Aと検知手段14Bとの重複検知範囲27a(状態C)では、検知手段14A、14Bが前記人物を検知する。この場合、検知手段14Cは前記人物を検知しないが、検知手段14Bに検知手段14Cが関連付けられているので、検知条件設定部12は、前記人物を検知した検知手段14Bに隣接する検知手段14Cの検知間隔も前記「短」の状態に設定する。
【0060】
検知手段14Bの検知範囲26(状態D)では検知手段14Bが前記人物を検知する。この場合、検知手段14A、14Cは前記人物を検知しないが、検知手段14Bに検知手段14A及び14Cが関連付けられているので、検知条件設定部12は、前記人物を検知した検知手段14Bに隣接する検知手段14A及び14Cの検知間隔を前記「短」の状態に維持する。
【0061】
検知手段14Bと検知手段14Cとの重複検知範囲27b(状態E)では、検知手段14B、14Cが前記人物を検知する。この場合、検知手段14Aは前記人物を検知しないが、検知手段14Bに検知手段14Aが関連付けられているので、検知条件設定部12は、検知手段14Aの検知間隔を前記「短」の状態に維持する。
【0062】
検知手段14Cの検知範囲26(状態F)では検知手段14Cが前記人物を検知する。この場合、検知手段14Aは前記人物を検知しないので、検知条件設定部12は、検知手段14Aの検知間隔を前記「長」に設定する。また、検知手段14Bは前記人物を検知しないが、検知手段14Cに検知手段14Bが関連付けられているので、検知条件設定部12は、検知手段14Bの検知間隔を前記「短」の状態に維持する。
【0063】
非警戒エリア25(状態G)では、検知手段14A、14B、14Cの検知範囲外なので、検知条件設定部12は、検知手段14B及び14Cの検知間隔を前記「長」の状態に設定する。
【0064】
この他、判定部10による上記判定処理の結果、侵入異常と判定した場合、検知条件設定部12は、検知手段14A、14B、14Cの検知間隔を前記「短」の状態に設定する。
【0065】
また、
図7に示す形態では、検知間隔を前記「長」、「短」の2種類としているが、様々な種類の検知間隔で検知手段の検知間隔を設定することができる。例えば、5〜9秒とする「中」の検知間隔を準備し、一の検知手段が前記「短」の検知間隔に設定される際に、当該一の検知手段に関連づけられている他の検知手段の検知間隔を前記「中」に設定することもできる。
【0066】
検知条件設定部12による処理により、警備エリア23又は警戒エリア24内の人物を複数の検知手段14で検知間隔を変動させながら検知することができるので、より正確に前記人物の位置、移動方向を把握することができる。
【0067】
上述した人物検知位置把握部11による処理を行うことによって、ある人物の警備エリア23又は警戒エリア24内での位置を把握することや、検知条件設定部12による処理を行うことによって検知手段14の検知頻度を上げて前記人物の移動経路を確認することができる。
【0068】
例えば、
図12(a)に示すように、複数の重複検知範囲27を形成するように複数の検知手段14を備える警備装置1Aを警備エリア23及び/又は警戒エリア24に設置し、人物検知位置把握部11による処理を行うこと及び検知条件設定部12による処理を行うことによって、ある人物がどの検知手段14のどの検知範囲26にいるのか、又はどのような移動を行っているのかを把握することができる。
【0069】
警備状態制御部13は、検知順序比較部9の比較により、前記人物を検知した検知手段14の検知順序と前記警備セット用又は前記警備解除用の検知手段の検知順序とが一致した場合、警備対象22の警備状態を前記警備解除から前記警備セットに制御し、又は前記警備セットから前記警備解除に制御する。
【0070】
このように、本実施形態では、住宅、事務所(営業所)、公共施設、興行場、等の建物や、神社、仏閣、ビニールハウス、等の建造物や、自動車、自転車、現金輸送車といった車両及びヨット、ボートといった船舶、等の動産を警備対象とし、この警備対象に定められている警備エリア及び/又は警戒エリアに設置可能な警備装置となっている。そのため、従来のような建物内への不審者の侵入の有無だけでなく、その建物の範囲外の警戒エリアで前記不審者の侵入の有無を検知することができる。
【0071】
また、上述した警備対象の警備状態の判定処理によって、警戒エリアから警備エリアへの不審者の侵入の有無を確認しやすく、また、検知手段の種々の検知パターンにより警備対象の警備状態を自動で警備セットに制御できるので、警備セットの失念を防ぎ高いセキュリティ性を実現できる。
【0072】
2.警備装置の第二の実施形態
図2に示す警備装置1Bは、
図1図示の警備装置1Aが備える構成に加えて、リーダライタ機能を有するRFID受信装置19を備えている。また、警備装置1Bの制御装置2は、
図1図示の警備装置1Aの制御装置2が備える構成に加えてRFID識別部20を備えている。
図1図示の警備装置1Aと共通する構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
RFID受信装置19は、RFIDタグ18と無線通信を行い、RFIDタグ18が発信する識別情報を受信する。RFIDタグ18との通信方式については、アクティブ方式やパッシブ方式を採用することできる。通信距離については、いずれの方式でも数10mとすることができる。
【0074】
図2に示す形態では、RFID受信装置19が警備装置1B内に配備された形態となっているが、警備装置1Bとは独立させて、警備装置1Bに付設する形態とすることもできる。また、RFID受信装置19は検知手段14ごとに配備されていてもよい。
【0075】
記憶部8にはRFID識別部20がRFIDタグ18を識別するための照合用のRFID識別情報が記憶されている。
【0076】
RFID識別部20は、RFID受信装置19が受信したRFIDタグ18の識別情報と一致する識別情報を、記憶部8に記憶されている前記照合用のRFID識別情報の中から検索し、RFIDタグ18を識別する処理を行う。
【0077】
判定部10は、上述した判定処理1の他、以下の判定処理を行う。
【0078】
(判定処理2)
検知手段14による検知範囲26内での人物の検知の有無と、RFID受信装置19によるRFIDタグ18の識別情報の受信の有無又はRFID識別部20によるRFIDタグ18の識別の有無に応じて、警備対象22への不審者の侵入の有無を判定する。
【0079】
図9(a)に示す形態では、記憶部8には、警備解除用の検知手段の検知順序「1番目:検知手段14A」とする情報が記憶され、警備セット用の検知手段の検知順序「1番目:検知手段14B、2番目:検知手段14A」とする情報が記憶されている。
【0080】
図9(a)において、警備対象22の警備状態が警備セットされ、ユーザ29がRFIDタグ18を持参し、警戒エリア24へ移動した場合、検知手段14Aがユーザ29を検知する。また、RFID受信装置19AがRFID18の識別情報を受信し、RFID識別部20がRFIDタグ18を識別する処理を行う。
【0081】
検知順序比較部9の上述した比較処理により、ユーザ29を検知した検知手段14の検知順序と、予め記憶部8に記憶されている前記警備解除用の検知手段の検知順序とが一致し、RFID受信装置19が受信したRFIDタグ18の識別情報に基づいてRFID識別部20がRFID18を識別した場合、判定部10は、検知順序比較部9による比較結果とRFID識別部20によるRFID18の認識処理結果とに基づいて、進入処理異常なしと判定する。この場合、警備状態制御部13は、警備対象22の警備状態を警備解除に設定する処理を行う。
【0082】
警備解除後は、上述した人物検知位置把握部11による処理を行うことによって、ユーザ29の警備エリア23又は警戒エリア24内での位置を把握することや、検知条件設定部12による処理を行うことによって検知手段14の検知頻度を上げてユーザ29の移動経路を確認することができる。
【0083】
また、判定結果通知部5は、判定部10による進入処理常なしと判定した結果を外部端末17に通知し、映像情報送信部6は、撮像手段16による警備対象22についての警備エリア23、警戒エリア24が撮影された前記静止画や動画からなる映像情報を外部端末17に送信するので、外部端末17を所有、使用する前記警備事業者は警備対象22の警備状態を知ることができる。
【0084】
なお、映像情報送信部6が前記映像情報を外部端末17に送信する際に、RFIDタグ18の識別情報を前記映像情報に関連付けることもできる。このような場合、
図2に示すように、外部端末17においてユーザ29が撮影された映像とともにRFIDタグ18の識別情報が表示されるので、前記事業者はRFIDタグ18の所有者確認を行うことができる。
【0085】
例えば、
図12(b)に示すように、警備エリア23を複数有する施設において、各警備エリア23及び警備エリア23、23間の警戒エリア24に検知手段14とRFID受信装置19を備える警備装置1Bを設置し、判定部10による判定処理、人物検知位置把握部11による処理、検知条件設定部12による処理を行うことによって、入口ゲート30から入場した人物がどの検知手段14のどの検知範囲26にいるのか、又はどのような移動を行っているのかを把握することができ、外部端末17においてユーザ29が撮影された映像とともにRFIDタグ18の識別情報が表示されるので、前記事業者はRFIDタグ18の所有者確認を行うことができる。
【0086】
図9(a)に示す前記警備解除されている警備対象22の警備状態において、ユーザ29が警戒エリア24から非警戒エリア25へ移動した場合、検知手段14Bの検知範囲26、検知手段14Aの検知範囲26の順序でユーザ29が検知される。検知順序比較部9の上述した比較処理により、ユーザ29を検知した検知手段の検知順序と、予め記憶部8に記憶されている前記警備セット用の検知手段の検知順序とが一致し、RFIDタグ18がRFID受信装置19との通信範囲から外れた場合、判定部10は、検知順序比較部9による比較結果とRFID受信装置19によるRFIDタグ18の受信処理結果とに基づいて、退出処理異常なしと判定する。この場合、警備状態制御部13は、警備対象22の警備状態を警備セットに設定する処理を行う。
【0087】
一方、警備セットされている警備対象22の警備状態において、以下の場合、判定部10は侵入異常と判定する。
【0088】
(1)前記警備セットされている警備対象22の警備状態において、検知順序比較部9の比較により、人物を検知した検知手段14の検知順序と、記憶部8に記憶されている前記警備解除用の検知手段の検知順序とが一致しなかった場合
これは、前記人物が複数の侵入経路のうちの一つの経路で警備エリア23又は警戒エリア24に侵入した場合が該当する。例えば、
図9(a)に示す形態において、警備解除用の検知手段の検知順序「1番目:検知手段14A」にしたがった経路ではなく、検知手段14Bの検知範囲26で前記人物が検知された場合である。
【0089】
(2)前記警備セットされている警備対象22の警備状態において、検知順序比較部9の比較により、人物を検知した検知手段14の検知順序と、記憶部8に記憶されている前記警備解除用の検知手段の検知順序とが一致したが、RFID受信装置19がRFIDタグ18の識別情報を受信しなかった場合
これは、前記人物がRFIDタグ18を所持していない場合が該当する。
【0090】
(3)検知順序比較部9の比較により、人物を検知した検知手段14の検知順序と、記憶部8に記憶されている前記警備解除用の検知手段の検知順序とが一致したが、RFID識別部20がRFIDタグ18を識別しなかった場合
これは、前記人物がRFIDタグ18を所持しているが、RFID受信装置19との通信が失敗した場合が該当する。
【0091】
(4)前記警備解除されている警備対象22の警備状態において、RFID受信装置19がRFIDタグ18の識別情報を受信せず、検知順序比較部9の比較により、人物を検知した検知手段14の検知順序と、記憶部8に記憶されている前記警備セット用の検知手段の検知順序とが一致しなかった場合
これは、前記人物が複数の侵入経路のうちの一つの経路で警備エリア23又は警戒エリア24に侵入し、当該人物がRFID18を所持していない場合が該当する。例えば
図9(b)、(c)に示す警備対象22(ボート、現金輸送車)の警備状態が警備解除されいている状態において、不審者がRFIDタグ18を所持しないで警戒エリア24に侵入し、検知手段14が当該不審者を検知した場合である。
【0092】
これらによって侵入異常と判定された場合、上述した人物検知位置把握部11による処理を行うことによって不審者の警備エリア23又は警戒エリア24内での位置を把握することや、検知条件設定部12による処理を行うことによって検知手段14の検知頻度を上げて前記不審者を追跡することができる。
【0093】
また、判定結果通知部5は、判定部10による侵入異常と判定した結果を外部端末17に通知し、映像情報送信部6は、撮像手段16による警備対象22についての警備エリア23、警戒エリア24が撮影された前記静止画や動画からなる映像情報を外部端末17に送信するので、外部端末17を所有、使用する前記ユーザや前記警備事業者は警備対象22の警備状態を速やかに知ることができ、その後の対応をとることが可能となる。
【0094】
また、警報指示部7は、判定部10による上記判定の結果、侵入異常と判定した場合、警報手段15に上述した異常を報知するよう指示を行う。警報手段15は、上述したように異常を報知する。
【0095】
このように、本実施形態でも、住宅、事務所(営業所)、公共施設、興行場、等の建物や、神社、仏閣、ビニールハウス、等の建造物や、自動車、自転車、現金輸送車といった車両及びヨット、ボートといった船舶、等の動産を警備対象とし、この警備対象に定められている警備エリア及び/又は警戒エリアに設置可能な警備装置となっている。そのため、従来のような建物内への不審者の侵入の有無だけでなく、その建物の範囲外の警戒エリアで前記不審者の侵入の有無を検知することができる。
【0096】
また、上述した警備対象の警備状態の判定処理によって、警戒エリアから警備エリアへの不審者の侵入の有無を確認しやすく、また、検知手段の種々の検知パターンにより警備対象の警備状態を自動で警備セットに制御できるので、警備セットの失念を防ぎ高いセキュリティ性を実現できる。
【0097】
[警備装置による警備処理]
図1に示す警備装置1A及び
図2に示す警備装置1Bによる警備処理フローを
図8〜
図11に基づいて説明する。
【0098】
1.警備処理パターンA
図8(b)、
図10(a)に示す警備処理パターンAでは、判定部10による上述した判定処理1が行われる。
【0099】
(S101)警備対象22を住宅とし、警備エリア23である住宅内に警備装置1A(非図示)、検知手段14Aが設置され、警戒エリア24である玄関先に検知手段14Bが設置され、警備対象22の警備状態が警備解除に設定されている。また、警備装置1Aの記憶部8には、警備セット用の検知手段の検知順序「1番目:検知手段14A、2番目:検知手段14B」とする情報が記憶されている。
【0100】
(S102)検知手段14A、14Bはそれぞれの検知範囲26で家人(ユーザ29)を検知する。
【0101】
(S103)検知順序比較部9は、ユーザ29を検知した検知手段14の検知順序が、記憶部8に記憶されている前記警備セット用の検知手段の検知順序と一致しているか否か比較する。
【0102】
(S104)ユーザ29が外出することにより警備エリア23及び警戒エリア24を移動経路28fに沿って移動すると、検知手段14Aの検知範囲26、検知手段14Aと検知手段14Bの重複検知範囲27、検知手段14Bの検知範囲26の順序でユーザ29が検知される。
検知順序比較部9による検知順序の比較処理の結果、移動経路28fに沿ってユーザ29を検知した検知手段14の検知順序が、記憶部8に記憶されている前記警備セット用の検知手段の検知順序と一致しているので、判定部10は退出処理異常なしと判定する。
警備状態制御部13は、警備対象22の警備状態を警備セット(例えば外部端末17による監視モードへの移行)に設定する処理を行う。これ以降、後述する警備処理パターンBに移行する。
【0103】
(S105)一方、
図8(b)において、不審者が住宅内に侵入した場合、検知手段14Bの検知範囲26、検知手段14Aと検知手段14Bの重複検知範囲27、検知手段14Aの検知範囲26の順序で前記不審者が検知される。
検知順序比較部9による検知順序の比較処理の結果、前記不審者を検知した検知手段14の検知順序が、記憶部8に記憶されている前記警備セット用の検知手段の検知順序と一致していないで、判定部10は侵入異常と判定する。
判定結果通知部5は、判定部10による判定結果を外部端末17に通知する。また、映像情報送信部6は、撮像手段16による警備対象22についての警備エリア23、警戒エリア24の警備状態が撮影された前記静止画や動画からなる映像情報を外部端末17に送信する。外部端末17を所有、使用する前記ユーザや前記警備事業者は警備対象22の警備状態を知ることができ、その後の対応をとることが可能となる。
【0104】
(S106)警報指示部7は、警報手段15に警報を出力するよう指示を行う。警報ブザーは警報を発報し、発光装置は発光して異常を報知する。この他、上述した人物検知位置把握部11による処理を行うことによって前記不審者の警備エリア23又は警戒エリア24内での位置を把握し、検知条件設定部12による処理を行うことによって検知手段14の検知頻度を上げて前記不審者を追跡する。
【0105】
2.警備処理パターンB
図8(c)、
図10(b)に示す警備処理パターンBでも、判定部10による上述した判定処理1が行われる。警備装置1Aの記憶部8には、警備解除用の検知手段の検知順序「1番目:検知手段14B、2番目:検知手段14A」とする情報が記憶されている。上述したS104により警備対象22の警備状態が警備セットに設定されている。
【0106】
(S107)検知手段14A、14Bはそれぞれの検知範囲26で家人(ユーザ29)を検知する。
【0107】
(S108)検知順序比較部9は、ユーザ29を検知した検知手段14の検知順序が、記憶部8に記憶されている前記警備解除用の検知手段の検知順序と一致しているか否か比較する。
【0108】
(S109)ユーザ29が帰宅することにより警戒エリア24及び警備エリア23を移動経路28gに沿って移動すると、検知手段14Bの検知範囲26、検知手段14Aと検知手段14Bの重複検知範囲27、検知手段14Aの検知範囲26の順序でユーザ29が検知される。
検知順序比較部9による検知順序の比較処理の結果、移動経路28gに沿ってユーザ29を検知した検知手段14の検知順序が、記憶部8に記憶されている前記警備解除用の検知手段の検知順序と一致しているので、判定部10は進入処理異常なしと判定する。
警備状態制御部13は、警備対象22の警備状態を警備解除(例えば外部端末17による監視モードの解除)に設定する処理を行う。これ以降、上述した警備処理パターンAに移行する。
【0109】
(S110)一方、不審者が警戒エリア24に止まっている場合(警戒エリア24内を徘徊している状態、等)は、検知手段14Bが前記不審者を検知し、前記不審者が検知手段14Bによる検知を介さずに警備エリア23に侵入した場合は、検知手段14Aが前記不審者を検知する。検知順序比較部9による検知順序の比較処理の結果、前記不審者を検知した検知手段14の検知順序が、記憶部8に記憶されている前記警備解除用の検知手段の検知順序と一致していないで、判定部10は侵入異常と判定する。
判定結果通知部5は、判定部10による判定結果を外部端末17に通知する。また、映像情報送信部6は、撮像手段16による警備対象22についての警備エリア23、警戒エリア24の警備状態が撮影された前記静止画や動画からなる映像情報を外部端末17に送信する。外部端末17を所有、使用する前記ユーザや前記警備事業者は警備対象22の警備状態を知ることができ、その後の対応をとることが可能となる。
【0110】
(S111)警報指示部7は、警報手段15に警報を出力するよう指示を行う。警報ブザーは警報を発報し、発光装置は発光して異常を報知する。この他、上述した人物検知位置把握部11による処理を行うことによって前記不審者の警備エリア23又は警戒エリア24内での位置を把握し、検知条件設定部12による処理を行うことによって検知手段14の検知頻度を上げて前記不審者を追跡する。
【0111】
3.警備処理パターンC
図9、
図11(a)に示す警備処理パターンCでは、判定部10による上述した判定処理2が行われる。
【0112】
(S201)警備対象22をヨット・ボート等船舶とし、警戒エリア24である停泊地に
図4(a)に示す検知手段14A、14Bと、RFID受信装置19A、19Bを備える警備装置1Bが設置され、警備対象22の警備状態が警備セットに設定されている。また、前記ヨット・ボート等船舶の所有者(ユーザ29)はRFIDタグ18を所有している。警備装置1Bの記憶部8には、警備解除用の検知手段の検知順序「1番目:検知手段14A」とする情報が記憶されている。
【0113】
(S202)検知手段14A、14Bはそれぞれの検知範囲26でユーザ29を検知する。
【0114】
(S203)検知順序比較部9は、ユーザ29を検知した検知手段14の検知順序が、記憶部8に記憶されている前記警備解除用の検知手段の検知順序と一致しているか否か比較する。
【0115】
(S204)検知順序比較部9の比較により、ユーザ29を検知した検知手段14の検知順序と、記憶部8に記憶されている前記警備解除用の検知手段の検知順序とが一致した場合(S203:Y)、RFID識別装置19はRFIDタグ18の識別情報を受信する処理を行う。
図9(a)に示す形態では、RFID識別装置19AがRFIDタグ18の識別情報を受信する処理を行う。
【0116】
(S205)RFID識別装置19AがRFID18の識別情報を受信した場合(S204:Y)、RFID識別部20は、RFID受信装置19Aが受信したRFIDタグ18の識別情報と一致する識別情報を、記憶部8に記憶されている前記照合用のRFID識別情報の中から検索し、RFIDタグ18を識別する処理を行う。
【0117】
(S206)RFID受信装置19Aが受信したRFIDタグ18の識別情報に基づいて、RFID識別部20がRFID18を識別した場合(S205:Y)、判定部10は、検知順序比較部9による比較結果とRFID識別部20によるRFID18の認識処理結果とに基づいて、進入処理異常なしと判定する。この場合、警備状態制御部13は、警備対象22の警備状態を警備解除に設定する処理を行う。これ以降、後述する警備処理パターンDに移行する。
警備解除後は、上述した人物検知位置把握部11による処理を行うことによって、ユーザ29の警備エリア23又は警戒エリア24内での位置を把握することや、検知条件設定部12による処理を行うことによって検知手段14の検知頻度を上げてユーザ29の移動経路を確認することができる。
また、判定結果通知部5は、判定部10による進入処理異常なしと判定した結果を外部端末17に通知し、映像情報送信部6は、RFIDタグ18の識別情報を撮像手段16による警備対象22についての警備エリア23、警戒エリア24の警備状態が撮影された前記静止画や動画からなる映像情報に関連づけて外部端末17に送信するので、外部端末17を所有、使用する前記警備事業者は警備対象22の警備状態を知ることができるとともに、RFIDタグ18の所有者確認を行うことができる。
【0118】
(S207)一方、警備セットされている警備対象22の警備状態において、以下の場合、判定部10は侵入異常と判定する。
(1)検知順序比較部9の比較により、人物を検知した検知手段14の検知順序と、記憶部8に記憶されている前記警備解除用の検知手段の検知順序とが一致しなかった場合(S203:N)
これは、前記人物が検知手段14Bの検知範囲26で検知された場合、すなわち複数の侵入経路のうちの一つによって警戒エリア24に侵入された場合が該当する。
(2)検知順序比較部9の比較により、人物を検知した検知手段14の検知順序と、記憶部8に記憶されている前記警備解除用の検知手段の検知順序とが一致したが、RFID受信装置19がRFIDタグ18の識別情報を受信しなかった場合(S203:Y、S204:N)
これは、前記人物がRFIDタグ18を所持していない場合が該当する。
(3)検知順序比較部9の比較により、人物を検知した検知手段14の検知順序と、記憶部8に記憶されている前記警備解除用の検知手段の検知順序とが一致したが、RFID識別部20がRFIDタグ18を識別しなかった場合(S203:Y、S204:Y、S205:N)
これは、前記人物がRFIDタグ18を所持しているが、RFID受信装置19との通信が失敗した場合が該当する。
【0119】
(S208)判定結果通知部5は、判定部10による判定結果を外部端末17に通知する。また、映像情報送信部6は、撮像手段16による警備対象22についての警備エリア23、警戒エリア24の警備状態が撮影された前記静止画や動画からなる映像情報を外部端末17に送信する。外部端末17を所有、使用する前記ユーザや前記警備事業者は警備対象22の警備状態を知ることができ、その後の対応をとることが可能となる。
【0120】
(S209)警報指示部7は、警報手段15に警報を出力するよう指示を行う。警報ブザーは警報を発報し、発光装置は発光して異常を報知する。この他、上述した人物検知位置把握部11による処理を行うことによって前記不審者の警戒エリア24内での位置を把握し、検知条件設定部12による処理を行うことによって検知手段14の検知頻度を上げて前記不審者を追跡する。
【0121】
4.警備処理パターンD
図9、
図11(b)に示す警備処理パターンDでも、判定部10による上述した判定処理2が行われる。警備装置1Bの記憶部8には、警備セット用の検知手段の検知順序「1番目:検知手段14B、2番目:検知手段14A」とする情報が記憶されている。上述したS206により警備対象22の警備状態が警備解除に設定されている。
【0122】
(S210)検知手段14A、14Bはそれぞれの検知範囲26でユーザ29を検知する。
【0123】
(S211)RFID識別装置19はRFIDタグ18の識別情報を受信する処理を行う。
【0124】
(S212)ユーザ29が退出することにより、RFID識別装置19AがRFID18の識別情報を受信しなかった場合(S211:N)、すなわちユーザ29が警戒エリア24から非警戒エリア25へ移動し、RFIDタグ18がRFID受信装置19Aとの通信範囲から外れた場合、検知順序比較部9は、ユーザ29を検知した検知手段14の検知順序が、記憶部8に記憶されている前記警備セット用の検知手段の検知順序と一致しているか否か比較する。
【0125】
(S213)検知順序比較部9の比較により、ユーザ29を検知した検知手段14の検知順序と、記憶部8に記憶されている前記警備セット用の検知手段の検知順序とが一致した場合(S212:Y)、判定部10は、検知順序比較部9による比較結果とRFID受信装置19AによるRFIDタグ18の受信処理結果とに基づいて、退出処理異常なしと判定する。この場合、警備状態制御部13は、警備対象22の警備状態を警備セットに設定する処理を行う。以下、警備処理パターンCへと移行する。
【0126】
(S214)一方、警備セットされている警備対象22の警備状態において、以下の場合、判定部10は侵入異常と判定する。
・RFID受信装置19がRFIDタグ18の識別情報を受信せず(S211:N)、検知順序比較部9の比較により、人物を検知した検知手段14の検知順序と、記憶部8に記憶されている前記警備セット用の検知手段の検知順序とが一致しなかった場合(S212:N)
これは、前記人物が複数の侵入経路のうちの一つの経路で警備エリア23又は警戒エリア24に侵入し、当該人物がRFID18を所持していない場合が該当する。例えば
図9(b)、(c)に示す警備対象22(ボート、現金輸送車)の警備状態が警備解除されいている状態において、不審者がRFIDタグ18を所持しないで警戒エリア24に侵入し、検知手段14が当該不審者を検知した場合である。
【0127】
(S215)判定結果通知部5は、判定部10による判定結果を外部端末17に通知する。また、映像情報送信部6は、撮像手段16による警備対象22についての警備エリア23、警戒エリア24の警備状態が撮影された前記静止画や動画からなる映像情報を外部端末17に送信する。外部端末17を所有、使用する前記ユーザや前記警備事業者は警備対象22の警備状態を知ることができ、その後の対応をとることが可能となる。
【0128】
(S216)警報指示部7は、警報手段15に警報を出力するよう指示を行う。警報ブザーは警報を発報し、発光装置は発光して異常を報知する。この他、上述した人物検知位置把握部11による処理を行うことによって前記不審者の警戒エリア24内での位置を把握し、検知条件設定部12による処理を行うことによって検知手段14の検知頻度を上げて前記不審者を追跡する。
【0129】
[警備システム]
本実施形態の警備システムは、人物を検知する検知手段による検知範囲内での前記人物の検知の有無と、RFID受信装置によるRFIDの識別情報の受信の有無又は前記RFID受信装置による前記RFIDタグの識別の有無に応じて、警備対象の警備状態を警備セット又は警備解除に制御する警備システムである。
【0130】
図13に示す警備システム31は、警備事業者が設置するサーバ装置32、
図2に示す警備装置1B、警備対象22に係るユーザ29が使用するスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のユーザ端末33、前記警備事業者が使用するスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の事業者端末34を備えている。
図2に示す警備装置1Bの形態と共通する構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0131】
警備装置1B、ユーザ端末33及び事業者端末34はそれぞれ、インターネット通信網、無線通信規格で定められる無線通信網、有線通信規格で定められる有線通信網、等の通信ネットワーク35を介してサーバ装置32と通信可能に接続されている。
【0132】
サーバ装置32は、
図13に示すように、情報送受信部36、制御部37、記憶部38、認証部39、警備状態設定指示部40、警備状態情報作成部41、経過時間計測部42、異常検知情報作成部43を備えている。
【0133】
情報送受信部36は、警備装置1B、ユーザ端末33、事業者端末34と情報の送受信を行う。
【0134】
認証部39は、警備装置1Bに対して警備対象22の警備状態を警備セット又は警備解除に設定する指示を行うための認証要求をユーザ端末33から取得して、認証処理を行う。この認証処理は公知の認証技術を用いて行われる。
【0135】
警備状態設定指示部40は、認証に成功したユーザ端末33に対して、警備対象22の警備状態の選択を促す処理を行う。ユーザ端末33には所定の選択画面が表示され、警備対象22の警備状態について警備セット又は警備解除を選択することができる。
【0136】
警備状態情報作成部41は、ユーザ端末33が選択した警備対象22の警備状態又は警備装置1Bが設定した警備対象22の警備状態に基づいて、警備状態情報を作成する処理を行う。
【0137】
例えば、表1に示すように、警備状態設定指示部40が、認証に成功したユーザ端末33に対して、警備対象22の警備状態の選択を促す処理を行い、ユーザ端末33が警備対象22の警備状態について警備セットから警備解除の状態を選択した場合、警備状態情報作成部41は、ユーザ端末33からの選択指示情報(警備解除の選択指示)に、警備対象22の警備状態が警備解除の待機状態であることを示すフラグ「1」を関連付けた警備状態情報を作成し、警備装置1Bに送信する。
【0138】
この場合、警備装置1Bは警備対象22を警備中であるが、ユーザ29が保有するRFIDタグ18を識別して警備解除が設定可能な待機状態となっている。
【0139】
また、警備装置1Bの判定部10による上述した判定処理2によって警備装置1Bの警備状態制御部13が警備対象22の警備状態を警備解除の状態に設定すると(
図11:S206)、警備状態情報作成部41は、警備装置1Bの設定処理情報(警備解除の設定)に、警備対象22の警備状態を警備セットから警備解除したことを示すフラグ「1」を関連付けた警備状態情報を作成し、警備装置1Bに送信する。
【表1】
【0140】
記憶部38には、認証部39がユーザ端末33の認証に必要なユーザ29のIDやパスワード等の認証に関する情報、警備状態情報作成部41が作成した警備状態情報、警備装置1Bから送信される判定部10による判定結果、警備対象22の警備状況に関する情報(撮像手段16による映像情報)、等が記憶される。
【0141】
経過時間計測部42は、警備状態設定指示部40が、認証に成功したユーザ端末33に対して、警備対象22の警備状態の選択を促す処理を行い、ユーザ端末33が警備対象22の警備状態について警備セットから警備解除の状態を選択した場合に、その選択された時から経過時間を計測し、所定の時間(例えば10分)を超えたかを判断する。これは上述した警備対象22の警備状態について警備解除の設定可能な待機状態を取り消すためである。
【0142】
経過時間計測部42が前記所定の時間を経過したと判断した場合、すなわち、ユーザ29が保有するRFID18の識別が行われなかった場合、警備装置1Bの警備状態制御部13は警備対象22の警備状態を警備セットの状態に維持し、警備状態情報作成部41は警備装置1Bの設定処理情報に、警備対象22の警備解除の設定可能な待機状態を取り消したことを示すフラグ「0」を関連付けた警備状態情報を作成し、警備装置1Bに送信する。
【0143】
経過時間計測部42が前記所定の時間を経過していないと判断した場合、すなわち、ユーザ29がRFIDタグ18を所持して警戒エリア24まで来た場合、警備装置1Bの判定部10は、上述した警備処理パターンCにしたがって警備対象22の警備状態を判定する。
【0144】
その結果、進入処理異常なしと判定した場合、警備装置1Bの警備状態制御部13は、サーバ装置32から取得した前記警備状態情報に基づいて、警備対象22の警備状態を警備解除に設定する。
【0145】
異常検知情報作成部43は、警備装置1Bから送信される判定部10による判定結果に基づいて、警備対象22に異常が検知されたことを通知するための異常検知情報を作成する処理を行う。作成された異常検知情報はユーザ端末33、事業者端末34へ送信される。
【0146】
ユーザ29や前記警備事業者は前記送信された異常検知情報により警備対象22の警備状態を即座に知ることができ、その後の対応をとることが可能となる。
【0147】
これら各部が行う処理は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部37によって制御される。
【0148】
このように、本実施形態では、住宅、事務所(営業所)、公共施設、興行場、等の建物や、神社、仏閣、ビニールハウス、等の建造物や、自動車、自転車、現金輸送車といった車両及びヨット、ボートといった船舶、等の動産を警備対象とし、この警備対象に定められている警備エリア及び/又は警戒エリアに構築可能な警備システムとなっている。そのため、従来のような建物内への不審者の侵入の有無だけでなく、その建物の範囲外の警戒エリアで前記不審者の侵入の有無を検知することができる。
【0149】
また、上述した警備対象の警備状態の判定処理によって、警戒エリアから警備エリアへの不審者の侵入の有無を確認しやすく、また、検知手段の種々の検知パターンにより警備対象の警備状態を自動で警備セットに制御できるので、警備セットの失念を防ぎ高いセキュリティ性を実現できる。
【0150】
[警備システムによる警備処理]
図13に示す警備システム31による警備処理フローを
図14、
図15に基づいて説明する。なお、警備システム31が備える警備装置1Bによる警備処理フローは上述した警備処理パターンC、Dとなるので、その説明を省略する。
【0151】
1.警備処理パターンE
警備対象22をヨット・ボート等船舶とし、警戒エリア24である停泊地に
図4(a)に示す検知手段14A、14Bと、RFID受信装置19A、19Bを備える警備装置1Bが設置され、警備対象22の警備状態が警備セットに設定されている(
図9参照)。また、前記ヨット・ボート等船舶の所有者(ユーザ29)はRFIDタグ18を所有している。警備装置1Bの記憶部8には、警備解除用の検知手段の検知順序「1番目:検知手段14A」とする情報が記憶されている。
【0152】
(S301)ユーザ端末33は、本実施形態の警備システム31に係るアプリケーションプログラムを実行し、警備装置1Bに対して警備対象22の警備状態を警備セット又は警備解除に設定する指示を行うための認証要求をサーバ装置32へ送信する。
【0153】
(S302)認証部39は、記憶部38に記憶されているユーザ29のIDやパスワード等の認証に関する情報に基づいてユーザ端末33の認証処理を行う。
【0154】
(S303)警備状態設定指示部40は、認証に成功したユーザ端末33に対して、警備対象22の警備状態の選択を促す処理を行う。ユーザ端末33には所定の選択画面が表示され、警備対象22の警備状態について警備セット又は警備解除を選択する。
【0155】
(S304〜S307)警備対象22が警備セットされている状態のため、ユーザ端末33は警備対象22の警備状態について警備解除を選択する(S304、S305:Y)。
警備状態情報作成部41は、ユーザ端末33からの選択指示処理情報(警備解除の選択指示)に、警備対象22の警備状態が警備解除の待機状態であることを示すフラグ「1」を関連付けた警備状態情報を作成し、警備装置1Bに送信する(S307)。この場合、警備装置1Bは警備対象22を警備中であるが、ユーザ29が保有するRFIDタグ18を識別して警備解除の設定可能な待機状態となっている。
【0156】
(S308、S309)経過時間計測部42は、ユーザ端末33が警備対象22の警備状態について警備セットから警備解除の状態を選択した場合に、その選択された時から経過時間を計測し、所定の時間(例えば10分)を超えたかを判断する。
【0157】
(S310)前記所定の時間を超えていない場合(S309:N)、すなわち、船舶の所有者(ユーザ29)がRFIDタグ18を所持して警戒エリア24まで来た場合、警備装置1Bの判定部10は、上述した警備処理パターンCにしたがって警備対象22の警備状態を判定する。
その結果、進入処理異常なしと判定した場合、警備装置1Bの警備状態制御部13は、サーバ装置32から取得した前記警備状態情報に基づいて、警備対象22の警備状態を警備解除に設定する。
以降、上述した警備処理パターンDに移行する。
警備解除後は、上述した人物検知位置把握部11による処理を行うことによって、ユーザ29の警備エリア23又は警戒エリア24内での位置を把握することや、検知条件設定部12による処理を行うことによって検知手段14の検知頻度を上げてユーザ29の移動経路を確認することができる。
また、判定結果通知部5は、判定部10による異常なしと判定した結果を外部端末17に通知し、映像情報送信部6は、RFIDタグ18の識別情報を撮像手段16による警備対象22についての警備エリア23、警戒エリア24の警備状態が撮影された前記静止画や動画からなる映像情報に関連づけて外部端末17に送信するので、外部端末17を所有、使用する前記警備事業者は警備対象22の警備状態を知ることができるとともに、RFIDタグ18の所有者確認を行うことができる。
【0158】
(S311〜S313)警備対象22が警備解除されている状態において、ユーザ端末33が警備対象22の警備状態について警備セットを選択すると(S304、S305:N、S306:Y)、警備状態情報作成部41は、ユーザ端末33の選択指示処理情報に、警備対象22の警備状態が警備セットの状態であることを示すフラグ「0」を関連付けた警備状態情報を作成し、警備装置1Bに送信する(S307)。この場合、警備装置1Bの警備状態制御部13は警備対象22の警備状態を警備セットの状態に設定する(S308:N、S311:Y、S313)。
また、警備対象22が警備セットされている状態において、ユーザ端末33が警備対象22の警備状態について警備解除を選択し、経過時間計測部42がその選択された時から時間を計測して前記所定の時間を経過したと判断した場合(S308:Y、S309:Y)、すなわち、前記所有者(ユーザ29)がRFIDタグ18を所持して警戒エリア24まで来なかった場合、警備装置1Bの警備状態制御部13は警備対象22の警備状態を警備セットの状態に維持する(S313)。また、警備状態情報作成部41は警備装置1Bの設定処理情報に、警備対象22の警備解除の設定可能な待機状態を取り消したことを示すフラグ「0」を関連付けた警備状態情報を作成する。
以降、この警備処理パターンEと、上述した警備処理パターンDに移行する。
【0159】
2.警備処理パターンF
(S207、S214)上述した警備装置1Bによる警備処理パターンC、Dにおいて、判定部10が警備対象22の警備状態が侵入異常であると判定した場合、判定結果通知部5は、その判定結果をサーバ装置32へ送信する(
図11のS208、S215)。
【0160】
(S401)サーバ装置32の異常検知情報作成部43は、前記判定結果や警備装置1Bから送信される撮像手段16による映像情報に基づいて、警備対象22に異常が検知されたことを通知するための異常検知情報を作成する処理を行う。作成された異常検知情報はユーザ端末33、事業者端末34へ送信される。
【0161】
(S402)前記所有者(ユーザ29)や前記警備事業者は前記送信された異常検知情報により警備対象22の警備状態を即座に知ることができ、その後の対応(例えば警察への通報、警備員の出動、等)を迅速にとることが可能となる。
この他、上述した人物検知位置把握部11による処理を行うことによって前記不審者の警備エリア23又は警戒エリア24内での位置を把握し、検知条件設定部12による処理を行うことによって検知手段14の検知頻度を上げて前記不審者を追跡する。
人物を検知する検知手段を複数備え、前記検知手段ごとの検知範囲内での前記人物の検知の有無に応じて、警備対象の警備状態を警備セット又は警備解除に制御する警備装置であって、前記警備装置は、前記人物を検知した前記検知手段の検知順序が、予め記憶されている警備セット用又は警備解除用の前記検知手段の検知順序と一致しているか否か比較する検知順序比較部と、前記検知順序比較部の比較により、前記人物を検知した前記検知手段の検知順序と前記警備セット用又は前記警備解除用の前記検知手段の検知順序とが一致した場合、前記警備対象の警備状態を前記警備解除から前記警備セットに制御し、又は前記警備セットから前記警備解除に制御する制御部と、を備える警備装置。