(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562425
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】トレッドミル
(51)【国際特許分類】
A63B 22/02 20060101AFI20190808BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
A63B22/02
A61H1/02 R
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-238964(P2017-238964)
(22)【出願日】2017年12月13日
(65)【公開番号】特開2019-103674(P2019-103674A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2018年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】514229203
【氏名又は名称】株式会社マイスティア
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】野中 充
【審査官】
谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−85586(JP,A)
【文献】
特開2016−22176(JP,A)
【文献】
米国特許第9568382(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 22/02
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1踏み板と、
前記第1踏み板を間に挟む位置に設けられた一対の第1従動ローラーと、
前記第1踏み板と前記一対の第1従動ローラーの一方との間の上方に設けられた第1駆動ローラーと、
一対の第1従動ローラー間に掛け回され、かつ前記第1駆動ローラーを迂回する第1無端ベルトと、
前記第1無端ベルトの前記第1駆動ローラーを迂回する部分の前後位置において前記第1無端ベルトを外側から押さえる一対の第1押えローラーと、
前記第1駆動ローラーを上下方向に移動可能に支持する第1ブラケット部と
を有するトレッドミル。
【請求項2】
前記第1踏み板に並設される第2踏み板と、
前記第2踏み板を間に挟む位置であって前記一対の第1従動ローラーと同軸上に並設される一対の第2従動ローラーと、
前記第2踏み板と前記一対の第2従動ローラーの一方との間の上方であって前記第1駆動ローラーの軸線と平行かつオフセットした状態に設けられた第2駆動ローラーと、
一対の第2従動ローラー間に掛け回され、かつ前記第2駆動ローラーを迂回する第2無端ベルトと、
前記第2無端ベルトの前記第2駆動ローラーを迂回する部分の前後位置において前記第2無端ベルトを外側から押さえる一対の第2押えローラーと、
前記第2駆動ローラーを上下方向に移動可能に支持する第2ブラケット部と、
前記第1駆動ローラーと略同軸上であって前記第2無端ベルト上方の位置に設けられた第1駆動モーターと、
前記第2駆動ローラーと略同軸上であって前記第1無端ベルト上方の位置に設けられた第2駆動モーターと
を有する請求項1記載のトレッドミル。
【請求項3】
前記第1、第2駆動モーターと前記第1、第2駆動ローラーとはそれぞれフレキシブルカップリングにより連結されていることを特徴とする請求項2記載のトレッドミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動用あるいは医療用等のトレッドミルに関する。
【背景技術】
【0002】
運動用あるいは医療用等のトレッドミルとして、例えば特許文献1〜3に記載のものが知られている。この種のトレッドミルでは、駆動ローラー(プーリーモーター)と従動ローラー(プーリー)とに無端ベルトを掛け回し、駆動ローラーを迂回するベルトに押えローラーを設け、この押えローラーの無端ベルトに対する圧接力を調整することにより、無端ベルトの駆動ローラーに対する滑りを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2935690号公報
【特許文献2】特許第4413653号公報
【特許文献3】特許第3492610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のベルトコンベアのように無端ベルトに押えローラーを単に押さえ付ける構成では、ベルトを裏から支持する踏み板(固定支持板、支承板)との位置関係もあり、押えローラーの移動範囲が限られる。そのため、圧接力の調整範囲が小さく、歩行時にベルトが滑ってしまうことがある。
【0005】
そこで、本発明では、運動用あるいは医療用等のトレッドミルにおいて、無端ベルト上の歩行時にベルトの滑りを防止することが可能なトレッドミルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のトレッドミルは、第1踏み板と、第1踏み板を間に挟む位置に設けられた一対の第1従動ローラーと、第1踏み板と一対の第1従動ローラーの一方との間の上方に設けられた第1駆動ローラーと、一対の第1従動ローラー間に掛け回され、かつ第1駆動ローラーを迂回する第1無端ベルトと、第1無端ベルトの第1駆動ローラーを迂回する部分の前後位置において第1無端ベルトを外側から押さえる一対の第1押えローラーと、第1駆動ローラーを上下方向に移動可能に支持する第1ブラケット部とを有するものである。
【0007】
本発明のトレッドミルによれば、第1ブラケット部に上下方向に移動可能に支持される第1駆動ローラーを上下方向に移動させることで、第1無端ベルトの張りを調整することができる。このとき、第1駆動ローラーの上下方向の移動範囲は、第1踏み板、一対の第1従動ローラーおよび一対の第1押えローラーの配置に影響されないため、自由に設定することができ、張りの調整範囲を広くすることが可能である。
【0008】
特に、左右に一対の無端ベルトが並設され、それぞれの無端ベルトが独立して回動可能なトレッドミルの場合、さらに、第1踏み板に並設される第2踏み板と、第2踏み板を間に挟む位置であって一対の第1従動ローラーと同軸上に並設される一対の第2従動ローラーと、第2踏み板と一対の第2従動ローラーの一方との間の上方であって第1駆動ローラーの軸線と平行かつオフセットした状態に設けられた第2駆動ローラーと、一対の第2従動ローラー間に掛け回され、かつ第2駆動ローラーを迂回する第2無端ベルトと、第2無端ベルトの第2駆動ローラーを迂回する部分の前後位置において第2無端ベルトを外側から押さえる一対の第2押えローラーと、第2駆動ローラーを上下方向に移動可能に支持する第2ブラケット部と、第1駆動ローラーと略同軸上であって第2無端ベルト上方の位置に設けられた第1駆動モーターと、第2駆動ローラーと略同軸上であって第1無端ベルト上方の位置に設けられた第2駆動モーターとを有することが望ましい。
【0009】
左右一対の第1、第2無端ベルトが並設されるトレッドミルにおいて、第1、第2無端ベルトが左右で互いにオフセットした状態で設けられた第1、第2駆動ローラーにより回動され、これらの第1、第2駆動ローラーは互いに反対側の第2、第1無端ベルト上方に設けられた第1、第2駆動モーターにより駆動されるので、互いに干渉することなく第1、第2無端ベルトが独立して回動可能となる。このとき、前述の第1無端ベルトに加えて、第2無端ベルトについても、第2ブラケット部に上下方向に移動可能に支持される第2駆動ローラーを上下方向に移動させることで、第2無端ベルトの張りを調整することができる。
【0010】
また、第1、第2駆動モーターと第1、第2駆動ローラーとはそれぞれフレキシブルカップリングにより連結されていることが望ましい。これにより、第1、第2駆動ローラーをそれぞれ上下方向に移動して第1、第2無端ベルトの張りを調整する際、第1、第2駆動モーターを第1、第2駆動ローラーの移動に伴って移動させることなく、第1、第2駆動ローラーを駆動することが可能となり、第1、第2駆動モーターに移動機構を設けることなく固定することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
(1)第1踏み板と、第1踏み板を間に挟む位置に設けられた一対の第1従動ローラーと、第1踏み板と一対の第1従動ローラーの一方との間の上方に設けられた第1駆動ローラーと、一対の第1従動ローラー間に掛け回され、かつ第1駆動ローラーを迂回する第1無端ベルトと、第1無端ベルトの第1駆動ローラーを迂回する部分の前後位置において第1無端ベルトを外側から押さえる一対の第1押えローラーと、第1駆動ローラーを上下方向に移動可能に支持する第1ブラケット部とを有する構成により、第1無端ベルトの張りを調整して歩行時の第1無端ベルトの滑りを防止することが可能となる。また、第1駆動ローラーの上下方向の移動範囲は自由に設定することが可能であるため、張りの調整範囲を広くして歩行時の第1無端ベルトの滑りを防止することが可能となる。
【0012】
(2)さらに、第1踏み板に並設される第2踏み板と、第2踏み板を間に挟む位置であって一対の第1従動ローラーと同軸上に並設される一対の第2従動ローラーと、第2踏み板と一対の第2従動ローラーの一方との間の上方であって第1駆動ローラーの軸線と平行かつオフセットした状態に設けられた第2駆動ローラーと、一対の第2従動ローラー間に掛け回され、かつ第2駆動ローラーを迂回する第2無端ベルトと、第2無端ベルトの第2駆動ローラーを迂回する部分の前後位置において第2無端ベルトを外側から押さえる一対の第2押えローラーと、第2駆動ローラーを上下方向に移動可能に支持する第2ブラケット部と、第1駆動ローラーと略同軸上であって第2無端ベルト上方の位置に設けられた第1駆動モーターと、第2駆動ローラーと略同軸上であって第1無端ベルト上方の位置に設けられた第2駆動モーターとを有する構成により、左右に一対の無端ベルトが並設され、それぞれの無端ベルトが独立して回動可能なトレッドミルにおいて、第1、第2無端ベルトの張りを独立して調整することができ、歩行時の第1、第2無端ベルトの滑りが防止される。また、第1、第2駆動モーターは互いに略同軸上の反対側の第2、第1無端ベルト上方に設けられているため、第1、第2駆動モーターが第1、第2無端ベルトの前後左右に張り出さず、設置面積が小さなトレッドミルが得られる。
【0013】
(3)第1、第2駆動モーターと第1、第2駆動ローラーとはそれぞれフレキシブルカップリングにより連結されている構成により、第1、第2駆動モーターに移動機構を設けることなく固定することができ、装置構成を簡素化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態におけるトレッドミルの全体斜視図である。
【
図2】
図1のトレッドミルの駆動部の拡大斜視図である。
【
図3】(A)は右足側の無端ベルトの概略断面図、(B)は左足側の無端ベルトの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の実施の形態におけるトレッドミルの全体斜視図、
図2は
図1のトレッドミルの駆動部の拡大斜視図、
図3(A)は右足側の無端ベルトの概略断面図、(B)は左足側の無端ベルトの概略断面図、
図4は
図1のA−A断面図、
図5は
図1のB−B断面図、
図6は
図1のC−C断面図である。なお、
図1においては、無端ベルトの図示を省略している。
【0016】
図1〜
図6に示すように、本発明の実施の形態におけるトレッドミル1は、左右に並設された第1、第2の無端ベルト2L,2R(
図3参照。)が独立して動作することにより歩行機能改善を行う医療用であり、左右の前後方向に延設されたフレーム10L,10R間に、第1、第2の駆動ローラー3L,3R、一対の第1、第2の従動ローラー4L,4R、一対の第1、第2の押えローラー5L,5Rおよび第1、第2の踏み板6L,6Rを有する。
【0017】
第1の従動ローラー4Lおよび第2の従動ローラー4Rは、
図4に示すように、フレーム10L,10Rに両端が固定されたシャフト40を共通の軸とし、シャフト40に対して回転自在に支持されたものである。すなわち、一対の第1の従動ローラー4Lと一対の第2の従動ローラー4Rとは、同軸となるように並設されている。また、一対の第1、第2の従動ローラー4L,4Rは、それぞれ第1、第2の踏み板6L,6Rを間に挟む位置に平行に設けられている。
【0018】
第1、第2の駆動ローラー3L,3Rは、
図3に示すように、それぞれ第1、第2の踏み板6L,6Rと一対の第1、第2の従動ローラー4L,4Rの一方(前方)の第1、第2の従動ローラー4L,4Rとの間の上方に設けられている。第1、第2の駆動ローラー3L,3Rは、それぞれの両端部が第1、第2のブラケット部30L,30Rによって上下方向に移動可能に支持されている。第1、第2のブラケット部30L,30Rは、左右のフレーム10L,10Rおよびこれらの間に設けられたフレーム11に固定されている。第1の駆動ローラー3Lと第2の駆動ローラー3Rとは、同軸ではなく、互いの軸線31L,31Rと平行かつ前後にオフセットした状態に設けられている。
【0019】
第1、第2の駆動ローラー3L,3Rは、それぞれ第1、第2の駆動モーター7L,7Rにより駆動される。第1の駆動モーター7Lは第2の無端ベルト2Rの上方位置に、第2の駆動モーター7Rは第1の無端ベルト2Lの上方位置にそれぞれ設けられている。第1、第2の駆動モーター7L,7Rは、第1、第2のブラケット部30L,30Rに固定されたモーター取付ブラケット70L,70Rに固定されている。第1、第2の駆動モーター7L,7Rは、それぞれ第1、第2の駆動ローラー3L,3Rと略同軸上に設けられ、それぞれフレキシブルカップリング8L,8Rにより連結されている。
【0020】
図3に示すように、第1、第2の無端ベルト2L,2Rは、一対の第1、第2の従動ローラー4L,4R間に掛け回され、かつ第1、第2の駆動ローラー3L,3Rを迂回するように設けられている。一対の第1、第2の押えローラー5L,5Rは、この第1、第2の無端ベルト2L,2Rの第1、第2の駆動ローラー3L,3Rを迂回する部分の前後位置において第1、第2の無端ベルト2L,2Rを外側から押さえるように設けられている。また、第1、第2の踏み板6L,6Rは、それぞれ第1、第2の無端ベルト2L,2Rの裏側に並設され、第1、第2の無端ベルト2L,2Rを裏側から支持する。
【0021】
上記構成のトレッドミル1は、第1、第2の駆動モーター7L,7Rを回転駆動すると、第1、第2の駆動ローラー3L,3Rが回転し、この第1、第2の駆動ローラー3L,3Rの回転により第1、第2の無端ベルト2L,2Rが回動するので、この第1、第2の無端ベルト2L,2R上にそれぞれ左足FLおよび右足FRを載せて歩行する。この第1、第2の無端ベルト2L,2Rはそれぞれ独立して動作することにより、歩行機能改善を行うことが可能となっている。
【0022】
そして、このトレッドミル1では、第1、第2のブラケット部30L,30Rに上下方向に移動可能に支持される第1、第2の駆動ローラー3L,3Rをそれぞれ独立して上下方向に移動させることで、第1、第2の無端ベルト2L,2Rの張りをそれぞれ独立して調整することが可能となっており、第1、第2の無端ベルト2L,2Rの張りを調整して歩行時の第1、第2の無端ベルト2L,2Rの滑りを防止することが可能となっている。このとき、第1、第2の駆動ローラー3L,3Rの上下方向の移動範囲は、第1、第2の踏み板6L,6R、一対の第1、第2の従動ローラー4L,4Rおよび一対の第1、第2の押えローラー5L,5Rの配置に影響されないため、自由に設定することができ、張りの調整範囲を広くすることが可能である。
【0023】
また、このトレッドミル1では、第1、第2の無端ベルト2L,2Rが左右で互いにオフセットした状態で設けられた第1、第2の駆動ローラー3L,3Rにより回動され、これらの第1、第2の駆動ローラー3L,3Rは互いに反対側の第2、第1の無端ベルト2L,2Rの上方に設けられた第1、第2の駆動モーター7L,7Rにより駆動されるので、互いに干渉することなく第1、第2の無端ベルト2L,2Rが独立して回動可能となっている。また、第1、第2の駆動モーター7L,7Rは、互いに略同軸上の反対側の第2、第1の無端ベルト2L,2Rの上方に設けられているため、第1、第2の駆動モーター7L,7Rが第1、第2の無端ベルト2L,2Rの前後左右に張り出さず、設置面積が小さい。
【0024】
また、このトレッドミル1では、第1、第2の駆動モーター7L,7Rと第1、第2の駆動ローラー3L,3Rとが、それぞれフレキシブルカップリング8L,8Rにより連結されているので、第1、第2の駆動ローラー3L,3Rをそれぞれ上下方向に移動して第1、第2の無端ベルト2L,2Rの張りを調整する際、第1、第2の駆動モーター7L,7Rを第1、第2の駆動ローラー3L,3Rの移動に伴って移動させる必要がない。そのため、第1、第2の駆動モーター7L,7Rに移動機構等を設けることなく固定した構成とすることができるので、装置構成が簡素化されている。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のトレッドミルは、運動用あるいは医療用等のトレッドミルとして有用であり、特に、左右の無端ベルトが独立して動作することにより歩行機能改善を行う医療用のトレッドミルとして好適である。
【符号の説明】
【0026】
1 トレッドミル
2L,2R 無端ベルト
3L,3R 駆動ローラー
4L,4R 従動ローラー
5L,5R 押えローラー
6L,6R 踏み板
7L,7R 駆動モーター
8L,8R フレキシブルカップリング
10L,10R,11 フレーム
30L,30R ブラケット部