(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6562433
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】金属用抽出剤及びそれを用いる抽出方法
(51)【国際特許分類】
C22B 3/26 20060101AFI20190808BHJP
C22B 11/00 20060101ALI20190808BHJP
C22B 61/00 20060101ALI20190808BHJP
B01D 11/04 20060101ALI20190808BHJP
C07C 49/04 20060101ALN20190808BHJP
【FI】
C22B3/26
C22B11/00 101
C22B61/00
B01D11/04 B
!C07C49/04 Z
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-202826(P2018-202826)
(22)【出願日】2018年10月29日
(62)【分割の表示】特願2018-57834(P2018-57834)の分割
【原出願日】2018年3月26日
【審査請求日】2019年6月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391023415
【氏名又は名称】株式会社アサカ理研
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田辺 寛幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 義人
(72)【発明者】
【氏名】下垣内 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮平
(72)【発明者】
【氏名】井上 博人
(72)【発明者】
【氏名】黒滝 真行
【審査官】
荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−235435(JP,A)
【文献】
NETE. M., et al.,Separation and isolation of tantalum and niobium from tantalite using solvent extraction and ion exchange,Hydrometallurgy,2014年 7月22日,Vol.149,pp.31-40,URL,http://dx.doi.org/10.1016/j.hydromet.2014.06.006
【文献】
PURCELL, W. et al.,Possible methodology for niobium, tantalum and scandium separation in ferrocolumbite,Minerals Engineering,2018年 2月 4日,Vol.119,pp.57-66,URL,https://doi.org/10.1016/j.mineng.2018.01.031
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 3/00− 3/26
B01D 11/00−11/04
C22B 11/00
C22B 34/00−34/24
C22B 61/00
C07C 49/00−49/04
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
WPIDS(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5−メチル−2−ヘキサノンを含有し、金又はレニウムの塩素錯体水溶液から金又はレニウムの塩素錯体を抽出するために用いられることを特徴とする金属用抽出剤。
【請求項2】
金又はレニウムの塩素錯体水溶液から金又はレニウムの塩素錯体を5−メチル−2−ヘキサノンを有効成分とする抽出溶媒により抽出することを特徴とする抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属用抽出剤及びそれを用いる抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、5−メチル−2−ヘキサノン(慣用名として、イソアミルメチルケトン又はメチルイソアミルケトン(MIAK))は、インキ、ペースト、塗料、レジスト等の溶媒としての用途が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−120389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、5−メチル−2−ヘキサノンは、第2石油類に分類され、保管できる指定数量も第1石油類の200リットルに比較して1000リットルと大きいので、前記溶媒としての用途以外に新たな用途の開発が望まれる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑み、5−メチル−2−ヘキサノンの新たな用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、5−メチル−2−ヘキサノンの新たな用途について鋭意検討した結果、塩素錯体又はフッ素錯体を形成し得る金属の該塩素錯体水溶液又は該フッ素錯体水溶液から該金属の塩素錯体又はフッ素錯体を抽出する金属用抽出剤として有用であることを見いだし本発明に到達した。
【0007】
そこで、本発明の金属用抽出剤は、5−メチル−2−ヘキサノンを含有し、
金又はレニウムの塩素錯体水溶
液から
金又はレニウムの塩素錯
体を抽出するために用いられることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、5−メチル−2−ヘキサノンを含有する金属用抽出剤を、
金又はレニウムの塩素錯体水溶
液に添加することにより、該水溶液から
金又はレニウムの塩素錯
体を抽出することができる。
【0009】
また、本発明の抽出方法は、
金又はレニウムの塩素錯体水溶
液から
金又はレニウムの塩素錯
体を5−メチル−2−ヘキサノンを有効成分とする抽出溶媒により抽出することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の金属用抽出剤による金又はレニウムの抽出工程を示すフローチャート。
【
図2】
本発明の金属用抽出剤による塩素イオン濃度に対する金の抽出率を示すグラフ。
【
図3】
本発明の金属用抽出剤による塩素イオン濃度に対するレニウムの抽出率を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0012】
本実施形態の金属抽出剤は、5−メチル−2−ヘキサノン(以下、MIAKと略記する)からなり、
金又はレニウムの塩素錯体水溶
液から
金又はレニウムの塩素錯
体を抽出するために用いられる。
【0013】
次に、
図1を参照して、塩
金又はレニウムの塩素錯体水溶液から
金又はレニウムの塩素錯体を抽出し、
金又はレニウムの粒子を回収する方法について、
金の場合を例として説明する。
【0014】
塩素錯体を形成し得る金属が金(Au)である場合には、まず、STEP1で、金の塩素錯体である塩化金酸(HAuCl
4)の水溶液を調製する。塩化金酸の水溶液は、例えば、金を含む原材料を王水又は6〜6.5Nの塩酸に溶解することにより得ることができる。
【0015】
次に、STEP2で、前記塩化金酸の水溶液にMIAKを添加し、塩化金酸をMIAKに抽出する。このとき、MIAKには塩化金酸以外の金属錯体等も抽出される。
【0016】
そこで、STEP3で、MIAKに希酸を添加して洗浄し、塩化金酸以外の金属錯体等を除去する。この結果、MIAKには実質的に塩化金酸のみが含有される状態となる。
【0017】
次に、STEP4で、MIAKにアルカリ水溶液を添加して水酸化金(Au(OH)
3)を生成させ、生成した水酸化金を水相に移動させる。次いで、STEP5で、油水分離することにより、MIAKから水酸化金を含むアルカリ水溶液を分離する。
【0018】
次に、STEP6で、分離されたアルカリ水溶液に塩酸を添加して、前記水酸化金を再び塩化金酸にする。そして、STEP7で、塩化金酸水溶液に還元性化合物を添加し、塩化金酸を還元することにより金の粒子を沈殿させ、STEP8で沈殿を濾別することにより金の粒子を回収する。
【0019】
また
、レニウム
の場合については図示しないが、
図1に示す金の場合と同様にして
レニウムの塩素錯体をMIAKにより抽出し、金の場合と同様の手順により
レニウムの粒子を回収することができる。
【実施例】
【0021】
〔実施例1〕
本実施例では、まず、金の濃度が1000mg/リットルの市販の原子吸光分析用標準液(和光純薬工業株式会社製)を10ミリリットルずつ複数の容器に分取した。次に、各容器に塩酸と水とを添加し、各容器の塩素イオン濃度が0〜10モル/リットルの範囲でそれぞれ異なる濃度となり、全体の液量が50ミリリットル(金濃度で50mg/リットル)になるように調整して、金の塩素錯体として塩化金酸を含む複数の試料溶液を調製した
。各試料溶液の塩素イオン濃度は、イオンクロマトグラフにより測定した。
【0022】
次に、各試料溶液のそれぞれとMIAKとを同体積ずつ分取して密封容器に封入した。このとき、各試料溶液中の金の初期質量Aを次式(1)により算出した。
【0023】
試料溶液中の金の初期質量A=試料溶液の金濃度×試料溶液の体積 ・・・(1)
次に、前記密封容器を所定時間撹拌し、試料溶液中の塩化金酸をMIAK中に抽出した後、試料溶液中の金の濃度を誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES)により測定し、各試料溶液中の金の撹拌後の質量Bを次式(2)により算出した。
【0024】
試料溶液中の金の撹拌後の質量B=試料溶液の撹拌後の金濃度×試料溶液の体積
・・・(2)
そして、次式(3)により塩素イオン濃度に対する金の抽出率を算出した。
【0025】
抽出率(%)={(A−B)/A}×100 ・・・(3)
塩素イオン濃度に対する金の抽出率を
図2に示す。
【0026】
〔実施例2〕
本実施例では、金に代えてレニウムを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、塩素イオン濃度に対するレニウムの抽出率を算出した。塩素イオン濃度に対するレニウムの抽出率を
図3に示す
。
【0027】
図2〜3から、本実施形態のMIAKからなる金属抽出剤によれば、
金又はレニウムの塩素錯体水溶
液から
金又はレニウムの塩素錯
体を抽出することができることが明らかである。
【要約】
【課題】5−メチル−2−ヘキサノンの新たな用途を提供する。
【解決手段】金属用抽出剤は、5−メチル−2−ヘキサノンを有効成分とし、塩素錯体又はフッ素錯体を形成し得る金属の該塩素錯体水溶液又は該フッ素錯体水溶液から該金属の塩素錯体又はフッ素錯体を抽出するために用いられる。
【選択図】
図1