(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
生物液体混合物中の複数の成分を濃縮および回収するための遠心分離機であって、前記成分は異なる比重を有し、かつ、前記遠心分離機により生じる遠心力場において層を形成することが可能であり、前記遠心分離機はチャンバーを備えており、
a)前記チャンバーは、先細になった管状の胴体と、末端壁と、第1のポートとを備えており、前記管状の胴体および前記末端壁は、中心長手軸を有する中空の内部を画定しており、前記第1のポートは、前記中心長手軸から第1の半径方向距離に設けられており、
b)前記チャンバーは、前記チャンバーの前記内部と流体連通する流入点を有するチャネルを備えており、前記チャネルは、前記中心長手軸から第2の半径方向距離に設けられており、前記第2の半径方向距離は前記第1の半径方向距離よりも短く、前記チャネルは、前記流入点から前記第1のポートまで延びており、前記チャンバーは、前記中心長手軸の周りで回転するように設けられており、それにより、前記生物液体混合物中の成分は、前記成分の異なる比重に応じて少なくとも2つの同心層状の成分層に分離し、前記第1のポートは、前記遠心力場による圧力の増大の結果として、前記少なくとも2つの同心層状の成分層のうちの第1の層の少なくとも一部が前記第1のポートを通じて前記チャンバーから自動で吐出されるよう、第1のバルブによって選択的に開くことが可能であり、前記チャネルは、前記チャネルの寸法の減少によって、前記チャネルへの前記流入点での前記少なくとも2つの同心層状の成分層のうちの前記第1の層の速度が、前記第1のポートでの前記少なくとも2つの同心層状の成分層のうちの前記第1の層の速度と比べて減少するように設けられており、
前記チャンバーはウェッジ部をさらに備えており、前記ウェッジ部は先細になった前記胴体の内部に延びており、先細になって前記胴体と共に前記チャネルを画定しており、
前記ウェッジ部は基部を有しており、前記遠心分離機は第2のポートをさらに備えており、前記第2のポートは、前記軸からの第3の半径方向距離に設けられて、かつ、前記ウェッジ部の基部の近傍に配置されている、遠心分離機。
前記遠心分離機は、前記チャンバーから吐出される層状の成分層の量の少なくとも部分的な代わりとして前記チャンバーに空気を流入させる通気孔をさらに備える、請求項1又は2に記載の遠心分離機。
前記遠心分離機は、再使用可能な部分と使い捨ての部分とをさらに備えており、前記使い捨ての部分は、前記再使用可能な部分に作動的に取り付けることが可能であり、前記再使用可能な部分はモータを含んでおり、前記使い捨ての部分は前記チャンバーを含んでいる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の遠心分離機。
前記遠心分離機は血液の分離用に設けられており、前記遠心分離機は駆動部分と血液分離チャンバー部分とを備えており、その駆動部分と血液分離チャンバー部分は着脱可能に互いに固定されており、前記血液分離チャンバー部分は前記チャンバーを含んでおり、前記駆動部分は、固定された位置にあるとき、前記チャンバーを前記中心長手軸の周りで回転させることにより、血液を比重によって分離させ、前記チャネルは、前記中心長手軸に対して角度をなして延びており、かつ、前記チャネルの端部にプレナムを有しており、前記第1のポートは、前記中心長手軸から第1の半径方向距離にあり、かつ、前記プレナムと流体連通している、請求項1に記載の遠心分離機。
前記第2のポートは、前記少なくとも2つの同心層状の成分層のうちの第2の層の少なくとも一部を排出するように設けられており、前記少なくとも2つの同心層状の成分層のうちの前記第2の層は、前記少なくとも2つの同心層状の成分層のうちの前記第1の層よりも低い比重を有している、請求項1に記載の遠心分離機。
生物液体混合物中の複数の成分を分離するための遠心分離機であって、前記遠心分離機はモータと回転可能な分離チャンバーとを備えており、前記チャンバーは、中心長手軸を有する先細になった管状部材と、前記中心長手軸から第1の半径方向距離に設けられた第1のポートと、前記中心長手軸から第3の半径方向距離に設けられた第2のポートと、角ばって延びるチャネルと、分離面とを備えており、前記分離面は前記チャンバーの内部に設けられて、かつ、前記中心長手軸に対して略垂直に延びており、少なくとも1つのチャネルは入口と出口を有しており、前記チャネルの前記入口は、前記チャンバーの内部と連通して、かつ、前記分離面と直接に隣接して設けられており、前記チャネルは、前記中心長手軸から第2の半径方向距離に設けられており、前記第2の半径方向距離は前記第1の半径方向距離よりも短く、前記第3の半径方向距離は前記第1の半径方向距離よりも短く、前記チャネルの前記出口は、前記第1のポートと流体連通しており、前記チャンバーは、前記中心長手軸の周りで前記モータによって回転されるように設けられており、それにより、前記チャンバー内の生物液体混合物は、前記チャンバーの回転により生じる遠心力場によって同心層状の複数の成分層に分離され、前記同心層状の複数の成分層は、第1の成分層と、第2の成分層と、第3の成分層とを含んでおり、前記第1のポートは前記チャネルと流体連通しており、前記第1のポートは、前記第1の成分層の一部が前記チャネルおよび前記第1のポートを通じて前記チャンバーから排出されるよう、第1のバルブによって選択的に開くことが可能であり、前記チャネルは、前記チャネルの寸法の減少によって、前記入口に流入する前記第1の成分層の速度が、前記第1のポートに入るべく前記チャネルから流出する前記第1の成分層の速度よりも減少するように設けられており、前記第2のポートは、前記第2の成分層の一部が前記第2のポートを通じて胴体から排出されるよう、第2のバルブによって選択的に開くことが可能である、遠心分離機。
前記生物液体混合物は血液からなり、前記第1の成分層は赤血球を含み、前記第2の成分層は血漿を含み、前記第3の成分層はバフィーコートを含み、前記チャンバーが回転して複数の赤血球が前記第1のポートから排出された後には、バフィーコート層が前記分離面と直接に隣接して配置され、赤血球層の一部が前記チャネル内に配置され、血漿層が前記第2のポート上に配置される、請求項11に記載の遠心分離機。
前記第3の成分層を回収するための前記中央回収部分は、前記チャンバーの中心に設けられており、そのため、前記第1の成分層の一部が排出された後、前記チャンバーの回転が停止したときに、前記第1の成分層の別の一部が前記チャネル内に留まり、前記第3の成分層中の成分が前記中央回収部分に集積する、請求項18に記載の遠心分離機。
前記チャンバーは、先細になった内面と、前記チャンバーの内部に設けられた環状の円錐台部分とを有しており、前記環状の円錐台部分は外面と内面を有しており、前記内面は、前記中心長手軸から前記外面よりも短い半径方向距離に設けられており、前記チャネルは環状であって、かつ、前記円錐台部分の前記外面と前記チャンバーの前記内面との間に形成されている、請求項11〜19のいずれか一項に記載の遠心分離機。
前記スリーブは、少なくとも1つのフォロワーによって、前記軸に沿って軸方向に平行移動され、前記少なくとも1つのフォロワーは、前記チャンバーに対して同軸であるドラムの回転によって、軸方向に平行移動される、請求項23に記載の遠心分離機。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1aは、本発明が網羅する装置の動作原理を説明するための図を提供する。本質的に円錐台形のチャンバー1は、密度の異なる数種類の液体の混合物を含んでおり、長手軸XXの周囲で回転する。断面AAに示すように、液体2、3、4は半径方向において明確な層に分離する。先細り形状はいくつかの点において有利であり、その1つ目は、類似の寸法の直円柱の全長にわたって同量の液体を分布させた場合に得られる半径方向深度と比較して、先細り形状では少量の液体で大きな半径方向深度(符号11で示す)が得られることである(
図1b、符号14参照)。2つ目は、先細り形状は、外側の液体成分を、大きな円錐直径部分に配置されたポート9に向けて洗い流す助けとなる半径方向への加速力の組成要素を提供することである。3つ目は、先細り形状により、成分の境界を、いくつかの実施形態の符号7、8のような半径方向の場所ではなく、符号5、6のような軸方向の場所として視覚化できることである。
この局面において、用語「先細」または「先細りした」は、その通常の定義感覚、つまり、一端に向かって次第に小さくなる、または徐々に縮小すると言う意味において用いられていることが指摘されるべきである。したがって、チャンバーの先細りは、本明細書に含まれる例示的実施形態で示すように必ずしも直線ではなく、弧状、または本明細書の段落0077で述べているようなその他の形状であってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の成分がポート(例えばポート9、10)から放出されると、
図1の壁12が径大部へ移動し、中央の成分3は元の容量に保たれたままで、円錐台形の容量が減少する。別の実施形態では、壁12は適所に留まり、ポート9、10からの成分2、4の放出を許容するために中心線13上に空気が導入され、排出された成分に代わって空心が拡大する。
【0019】
図2は、本質的に円形の装置の主要縦断面図である(外部ハウジングは図示していない)。
図2では、液密可変容量部
、チャンバー(BSC)が、先細り形の胴体206、ピストン210、ピストンシール部211、端部キャップ215によって形成されている。ピストン210およびピストンシール部211は、バネ209によってBSCの大型端部へと付勢されている。胴体206の大型端部は端部キャップ215によって閉鎖されている。
胴体206の内面がチャンバーの先細りする側壁を形成している状態で、端部キャップ215の内面がチャンバーの径大の末端壁を形成している。この装置を全血から血漿を濃縮するために使用するケースでは、内部をくり抜いて作った通路216、217を端部キャップ215に設け、通路217から赤血球を、通路216から血漿を通過させられるようにする。図示の通路217は、端部キャップの、先細り形胴体206の外壁と整列した外部裾を通っている。符号217で示した通路から90°の角度でくり抜き、最大ID位置にて端部キャップ215の内面を通っている通路は、符号217で示す通路と機能的に同等であり、その形状は通路216のものと類似している。通路217、216は、各凹部226内に押し込まれて、スリーブ213内のポート228、227とそれぞれ協働する各Oリング218によって形成されたバルブに連結している。
図3b、
図3dに、これらのバルブ構成要素の拡大図を示す。スリーブ213が端部キャップ215上に滑動可能に嵌合しており、運転中の適切な時点でポート穴228、227を通路216、217と連結できるようになっている。スリーブ213は端部キャップ215にキー留めされ、これら構成部の間に回転運動を伝達できるようになっている(キーは図示せず)。挿入部219が端部キャップ215に固定され、回転組み立て体の左手側を支持するボールベアリング220用の回転軸を提供している。スリーブ213はチャンバーと共に回転するので、ボールベアリング221を設けていることで、スリーブを、カラー部225およびロッド222を介して非回旋ノブ223に連結させている。ノブおよびスリーブは次の3つの位置に配置できる。第1位置(ポート228開放、ポート227閉鎖)、第2位置(両ポート227、228閉鎖)、第3位置(ポート228閉鎖、ポート227開放)。胴体206は、ネジ207を使用して電気モータ201のシャフト205に固定されている。モータ端部には追加のベアリングを設けていないが、モータベアリングで十分に胴体を支持することができる。組み立て体全体がフレーム208によって支持されており、挿入ベアリング220ならびにモータ201がこの同じフレーム上に配置されている。全ての回転構成要素は軸XXの周囲で回転する。
【0020】
PRPの調製にこの装置を使用するには、針234を装着し、抗凝固全血で充填した注射器233を、弾性シール部214から装置内に挿入して、チャンバーに全血229を詰める。ノブ223を第1位置に配し、チャンバーが血液で充填されるに従ってポート228から空気が排出されるようにする。チャンバーを完全に満たした全血229がピストン210およびシール部211を最右へ押圧し、バネ209を圧縮する。
【0021】
図3aは、
図2中のAA部分の断面図であり、ノブ223およびロッド構成要素222の構造を明瞭に示している。
図3bは
図2中のBB部分の断面図であり、バルブ構成要素、つまり端部キャップ215の凹部226、Oリング218、スリーブ213のポート228の詳細を示している(ポート227用のバルブの構造も同一である)。
図3Cは、
図2のCC部分の断面図を示す。
【0022】
チャンバーが全血で満たされると、ノブならびにスリーブが、両バルブが閉鎖する第2位置に配されて、注射器223が取り除かれ、モータが始動する。次に、モータが使用速度に応じて15〜90秒間走行する。高速回転チャンバー外部で1000〜6000gの遠心加速力を発生させるために、10,000〜25,000rpmの速度が使用された。
【0023】
図4は、
図2の装置が高速で回転しながら運転中の状態を示す。RBCポート228および血漿ポート227は共に閉鎖している。RBC
層と血漿
層の間の境界を符号237で示す。ピストン210はまだ充填位置にあり、バネ209は完全に圧縮されている。バネには、赤血球がポート228を介してチャンバーから排出される際にピストンを左へ移動させる機能と、回旋する液体に最小限の圧力をつくり出す機能の2つの機能があり、これらの機能により、液体の高速回転コアが液体の蒸気圧に達することを防ぎ、状況によっては細胞障害を抑えることができる。
【0024】
装置の回転中に赤血球と血漿が分離すると、ノブとスリーブが第1位置に配され、赤血球がポート228から、装置を包囲しているケーシング内へ排出される(ケーシングは示されていないが、
図17および
図18を参照)。
図5は、ピストン210が中間位置にある時の、RBC231排出における中間点の状況を示す。赤血球の大部分が排出されると、バルブが第3位置に配され、血漿230がポート227から排除される。
図6は、濃縮工程の最後の状況を示し、ここで、血漿ポート227はまだ開放状態で、ピストンは最左位置近くにあり、血漿と赤血球の中間の
比重を有する血小板が赤血球と血漿の境界
層237に閉じ込められており、さらに血漿ポートが閉鎖しようとしており、モータが停止している。
【0025】
典型的なチャンバーの容量は20〜100mLであり、手順の終了時における濃縮血漿の除去量は、所望の濃縮度に応じて、元の容量の約1/4〜1/8である。
RBCと血漿の境界に集中している全ての血小板および他の因子を保持するために、全ての赤血球が除去される前にポート228を閉鎖することが必須であり、閉鎖しない場合には、これらの成分が残りの赤血球と共に流れ出してしまう危険がある。これが起こらないようにするには、血液試料のヘマトクリット値を使用して、RBCポートを閉鎖すべき時のチャンバーの残量を判断する。この容量はピストン軸位置として観察することができ、また、ピストンがこの所定位置に到達するとバルブが位置1から位置3へ移動する。
【0026】
図2〜
図6で説明している装置は、先細りした管の内部を移動するピストンおよびシール部を使用するが、しかし、血液以外の液体の混合物については直円柱でも適切に上手く機能でき、この場合、第1液体排出後の残量はそれほど重要ではない。先細りした管には
図1の説明で述べた利点がある。ピストンの位置は、胴体上の目盛り(図示せず)から操作者が視覚的に判断することが可能であり、あるいは、光学検出器および自動バルブ操作システムを使用できる(図示せず)。
【0027】
残った濃縮血漿は患者に注入し戻すので、本装置に使用する材料、少なくとも血液と接触する構成部分についての材料は、医療グレード材料でなければならない。胴体206、端部キャップ215、スリーブ213、フレーム208、ノブ223、カラー225にはポリカーボネートまたはPTEが適している。挿入部219は、適切なグレードの不動態化ステンレス鋼、例えばステンレス鋼416または420から出来ている。ボールベアリングは高速で作業しなければならないが、しかし一度に動作できる時間は非常に短いため、グレードABMA1〜3のステンレス鋼から成るベアリングが適切である。Oリング218ならびにシール部211はシリコンゴム製である。モータは血液と接触しないので、工業用モータ(例えば、Mabucci社製)が適している。
【0028】
図7は、可撓なブラダが最初は胴体306の内径と一致している状態の実施形態を示し、ブラダは、
図10、
図11に示すようなその可反転性を介して可変容量チャンバーを提供する。この実施形態は、捕獲された気泡の影響を減少させる上で役立つ。
【0029】
図7では、液密な可変容量遠心分離機チャンバ(BSC)は先細り形の胴体306で形成されており、この胴体はその輪郭にぴったり合ったブラダ312、端部キャップ315を含んでいる。ブラダは、胴体突起部338と端部キャップ315の間の戻り折り畳み部339に捕えられている。胴体306の大型端部は端部キャップ315で閉鎖されている。全血から血漿を濃縮するために本装置を使用するケースでは、端部キャップ315に通路316、317をくり抜いて、通路317から赤血球を、通路316から血漿を通過させるようになっている。通路317、316は、凹部326内部に押し込められてスリーブ313のポート328、327と協働するOリング318で形成されたバルブに連結している。運転中の適切な時点にポート328、327を通路316、317と連結させるために、スリーブ313が端部キャップ315上に滑動可能に嵌合している。ノブ323とスリーブ313は次の3つの位置に配することができる:第1位置(ポート328は開放、ポート327は閉鎖)、第2位置(ポート327、328ともに閉鎖)、第3位置(ポート328は閉鎖、ポート327は開放)。スリーブ313は端部キャップ315にキー留めされており、これらの構成部の間に回転運動を伝達できるようになっている(キーは図示せず)。挿入部319が端部キャップ315に固定されており、回転組み立て体の左手側を支持するボールベアリング320用の回転軸を提供している。スリーブ313はチャンバーと共に回転するので、ボールベアリング321を提供して、スリーブをカラー325およびロッド322を介して非回旋ノブ323に連結させている。胴体306は、ネジ307を使用して電気モータ301のシャフト305に固定されている。モータ端部には追加のベアリングを設けていないが、モータベアリングで十分に胴体を支持することができる。組み立て体全体がフレーム308によって支持されており、挿入ベアリング320ならびにモータ301がこの同じフレーム上に配置されている。全ての回旋構成要素は軸XXの周囲で回転する。この図では、スリーブは第1位置にあり、したがって、チャンバーが血液で満たされた時に排気できるようポート328が開放状態に維持され、血漿ポート327が閉鎖されている。チャンバーが全血329で完全に満たされる。弾性シール部314には、針334を導入できるようになっているため、回転が開始する前にチャンバー内に全血を通し、運転が停止すると濃縮血漿を除去することができる。
【0030】
図8は、
図7に示す装置の断面AAにおける横断面図である。
BSCとブラダ312が全血で充填され、ブラダ312が胴体306と完全に接触する。フレーム308が回転組み立て体の下に走行している。
【0031】
図9は、
図7の装置が高速で回転している様子を示す。スリーブ313は位置2にあり、ポート327、328は両方とも閉鎖している。RBCと血漿330の間の境界を符号337で示す。ブラダはまだ胴体と接触しており、現在は、高速回転中の液体混合物によって発生した圧力の影響下にある。
【0032】
図10は、60秒間程度の高速回転後の状況を示す。
スリーブ313は位置1に配されており、ポート328が開放し、RBC331がポート328から排出されている。血漿ポート327は閉鎖している。ブラダは、排出された赤血球の容量を補うべく左へ移動している。ブラダは、ブラダを右へ押圧する液圧とブラダを左へ押圧する大気圧(通気孔332を介して流入する)とによって発生した力間のバランスを示す形状となる。高速回転中の液体の中心における圧力は絶対ゼロに近いため、大気圧が、最大で特定の半径まで高まった左手側の圧力を超え、これによりブラダのくぼみ型(リエントラント型)が得られる。血漿330の容量は導入時と同量に維持されている。RBCと血漿の間の境界を符号337で示す。この図では、残留RBC量331が十分少ないため、RBCの排出が停止しようとしている。
【0033】
図11は、ブラダ312の最終位置を示し、ここではブラダは回転しているが停止する直前にある。スリーブ313は位置3にあり、RBCポート328が閉鎖し、血漿ポート327がまだ開放している。血漿はポート327から排出されているが、この排出は、ブラダが端部キャップ315上に崩れて通路316を遮断することにより遮られようとしている。同図は、最小量となった濃縮血漿330を示す。この時点で、スリーブ313が位置2へ移動して両ポートが閉鎖し、これにより回転が停止し、さらに、
図7で説明した充填と同様の様式で、注射器を使用して残留液体が除去される。
【0034】
図7〜
図11の装置に使用される材料は
図2〜
図6の装置のものと同様であり、一例を挙げると、ブラダはシリコンゴム製、ポリウレタン製またはポリ塩化ビニル製であってよい。
【0035】
先行の装置200では、ピストン位置がRBCポート328を閉鎖する合図を提供する。ブラダのケースでは、反転したブラダが先細り形の胴体の内径に沿って転がり、反転した縁の軸位置(
図11の符号312)が容量とポート閉鎖の合図とを提供する。血漿排出の遮断は、ブラダがポート通路316上に崩れると自動的に行われる。
【0036】
図12〜
図16で説明している装置は空心を利用し、ブラダおよびピストンを使用していない。
図12の装置はその構造が2つの先行の実施形態のものと非常に類似しており、BSCが胴体406と端部キャップ415で形成されている。
胴体406の内面がチャンバーの先細り側壁を形成している状態で、端部キャップ415の内面はチャンバーの径大な末端壁を形成する。この図では、両ポート428、427が閉鎖した状態で、全血429が注射器433から針434を介して遠心分離機チャンバーに充填される。血液で置き換えられた空気は、血液注入時に針434と挿入部419内径の間の隙間から漏出する。
図13は、
図12の円形断面の性質を示す。充填のため注射器が取り除かれると、モータが始動し、チャンバーが10,000〜2,000rpmで約1分間回転する。この時点で、スリーブ413は第2位置へ移動して、
図14に示すRBC431の残量が最小となる時点まで、RBCがポート428を介して排出される。一方で、血漿が領域
または層430に適合し、血漿と空気の半径方向の界面にて境界440が形成され、挿入部419の内径を介して空心438が挿入されている(この時、図示にないハウジングのフィルタを通る。
図17、
図18参照)。この局面では、スリーブが第3位置へ移動し、ポート428が閉鎖し、ポート427が開放する。この好適な装置では、観察するべきブラダおよびピストンを設けていないので、操作者は、混合物のRBC431と血漿430の間の軸方向の界面436を
透明な胴体を介して観察して、RBCポート428の閉鎖および血漿ポート427の開放を手動で行うタイミングを判断する。血液の場合には、この混合物の界面は見分けが容易であり、また光学検出器を用いて自動化することができる。赤血球と血漿の間の電気抵抗性の差分を使用して、インジケータまたは自動化バルブを誘発することも可能である。赤血球ポートを遮断するタイミングを判断する代替方法には、時間を用いるものがある。血液成分の分離運転開始の1分後にRBCポートが開放し、タイマが開始する。遠心分離機内で生じる圧力は、液体
比重および運転速度の予測可能な関数であり、また、RBCポートは正確に較正された孔であるため、所与のヘマトクリット値について時間を計算することが可能である。
【0037】
モータが走行している状態で、ポート427から血漿が排出されるが、この排出は、
図15に示す、残留赤血球が
層431、残留血漿が
層430の状態となる状況に達するまで続く。するとスリーブが第2位置へ移動して、両ポートを閉鎖する。血漿のケースでは、空心438が通路416の半径方向場所にまで達すると血漿の流れが停止するようになっているため、正確な最小容量を得るべく通路416が精密な半径方向場所に配される。その後、モータが停止して、回転軸が
図16に示すように縦向きになるように、装置がモータを下にして直立に置かれる。残りの濃縮血漿が少量のRBCと共に、図示にあるように注射器および針によって除去される。
【0038】
本明細書で述べている多様な実施形態に適した包囲体を
図17、
図18に示すが、しかし、これら2つの図面は、
図12〜
図16の空心の実施形態に特別に適用された包囲体を示している。フレーム508は、包囲体の基底部として機能するバッテリーパワーパック503に搭載されている。外部ケーシング500が遠心分離機を囲み、バッテリーパック503に固定されており、この場合の接合箇所は液密および気密になっている。バルブセレクタノブ545は偏心器546ならびにピン547と一体形成され、ケーシング内に搭載されており、これにより、操作者がセレクタノブ545を回し、溝548内のピン547によって内部ノブ523を、さらにはカラー525およびバルブスリーブ513を作動させられるようになっている。
図17では、チャンバーBSCを駆動するモータ501が、バッテリーパック503に配線550で接続したスイッチ504を用いて手動制御される。包囲体500の左手側に搭載されているブッシュ543は、チャンバーを全血で満たす時、または濃縮血漿を抽出する時に、注射器(
図12の符号433)針を入れるための整列を補助する。ブッシュ543に極隣接して、多孔質で可撓性の穿刺可能フィルタ544が設けられている。このフィルタには次の2つの機能がある。運転中の遠心分離機の中心部に入る空気を濾過する機能と、遠心分離機が赤血球または血漿をケーシング内に排出する時に生成された血液片の空気中にエアロゾルが一切洩出しないようにする機能である。フィルタの効果を損傷せずに充填注射器針を入れられるように、フィルタに小さな切れ込みが設けられている。空心538が拡大し濃縮工程が進むに従ってケーシング内に排出されるRBCおよび血漿を吸収する高吸収性ライニング542が、ケーシング500の内壁のほとんどを被覆している。ケーシング500の壁に配されているレンズおよびマスク549により、操作者は、濃縮工程の進行とともに、RBCと血漿の軸方向界面536を見ることができる。マスクおよびレンズは、液体分離境界536のイメージの対比を拡大させるものが選択されている。
【0039】
レンズの、液体分離界面の進展の電気信号を提供する場所に、光学検出器(図示せず)を配することができ、また、電磁アクチュエータがバルブセレクタノブ545を駆動することができる。これらの電気素子を手動スイッチと共に使用して、モータ始動後の全工程を制御することが可能である。
【0040】
現在までの試験からすると、いくつかの用途では、単純なタイマプログラムを使用してスリーブの動作をスケジュールすることが可能なようである。例えば、チャンバーが血液で満たされたら、以下の手順はタイマオフで実行できる:a)モータを始動させ、60秒間走行させる、b)RBCポートを開放し、赤血球を30秒間排出する、c)RBCポートを閉鎖し、血漿ポートを開放して30秒間走行させる、d)両方のポートを閉鎖し、モータを停止する。このような装置では、RBCと血漿の多様な比率を許容するために、患者のヘマトクリット数を手動入力する手段を追加する必要があるかもしれない。
【0041】
表1は、豚の血液を使用して
図12〜
図16の空心装置で得た典型的なデータを示す。このデータは、最初の分離で1分間運転、そしてRBCおよび血漿を排出させるためにさらに約1分間運転させて得たものである。
【0042】
【表1】
説明した3つ全ての実施形態について、ブラダと空心、そしてポートおよび通路のサイズと位置は非常に重要である。遠心分離機が回転すると、チャンバー内で発生した圧力が速度の平方および回転半径の平方に応じて変化する。成分排出を手動で操作するには、排出を管理可能な時間にわたって行う必要がある。例えば、RBCポートは、赤血球を約30秒間にわたって通過させられるサイズにする必要がある。RBCポートがRBCが凝集しそうになっても詰まらずに機能できる条件を選択し、また、血小板が脱出渦の中に巻き込まれないように流れを十分に小さく保たなければならない。約30mLの全血試料を使用する遠心分離機の場合には、速度が15,000〜20,000rpmの範囲内、チャンバー胴体の最大地点が直径約約2.54〜3.17cm(1.0〜1.25インチ)であれば、直径ほぼ0.02cm(0.008インチ)のRBCポートが功を奏することがわかっている。血小板損失の危険は小さいので、血漿ポートをこれよりも大きくすることが可能であり、約0.025cm(0.010インチ)の値が適当である。血漿ポートを回転中心軸に関連して配することで、達成可能な密度因子に直接影響を及ぼすことができる。中心に近くなるほど血漿の除去量が減るので、濃縮度が低くなる。これに加え、ここで述べた本発明の様々な実施形態では、チャンバーの径大端部に小型の円環241、341、441、541が作られている。この円環が、RBC通路217、317、417に流入する前のRBCのための、半径方向深さは増すが小容量の局所範囲を作っている。この半径方向深さの増加により、血小板および他の所望の因子が、RBCポート228、328、428を介して排出されるRBCと共に、同ポートの付近(図示しない)で局所的に生じた脱出する渦の影響を受けて出て行く傾向が減少する。
【0043】
説明した全ての実施形態では、赤血球と血小板の間の中間
比重を有する可流動セパレータゲルのような分離補助剤を採用することで、赤血球ポート閉鎖地点の正確性を向上させることができる。セパレータゲルは赤血球層上に広がり、他の層を中心軸に向けてさらに移動させる。セパレータゲルは、赤血球が全て出切ると第1ポートを自動的に覆う。セパレータゲルの粘性は、BSCに採用した遠心分離機速度で小型の出口ポートを通過しないものに設計される。この第1ポートの自動遮断は、赤血球が完全に出切るとポートに侵入してこれを閉鎖するように設計された、中間
比重を有する固体材料の形態の分離補助剤によっても達成できる。その一例に、ポート内を流れて集塊化した時に十分にポートを覆える大きさとなる、中間
比重を持ったミクロスフィアのようなプラスチックビーズがある。
【0044】
ブラダならびに空心の実施形態では、BSVに内蔵されたLEDの形態のようなバックライトをモータ中心線の付近に組み込むことによって、RBCと血漿の軸方向境界の視覚化を向上させることができる。モータ内に巻き線を追加して、電灯の動作に必要な低電力を提供することができる。
【0045】
ポートおよび通路の寸法のサイズと場所を調節することにより、本発明は様々な治療上有益な細胞ならびに他の生物成分を分離させて濃縮する機能をさらに有する。これら生物成分の多くは再生治療への可能性を持つので、したがって再生剤として特徴付けできる。これらの再生剤は、構造の再生、復元、修復を補助したり、臓器、組織、生理学的ユニットまたはシステムの機能を補助することで、生物に治療上の有益性を提供することができる。再生剤の例には、例えば幹細胞、脂肪細胞、始原細胞、骨髄、滑液、血液、内皮細胞、マクロファージ、線維芽細胞、周皮細胞、平滑筋細胞、単能性および多能性の始原細胞ならびに前駆細胞、リンパ球などがある。本発明はまた、脂肪細胞、皮膚、筋肉などを含む、軟組織または組織要素または組織混合物、および液体組織または組織要素または組織混合物を処理して、治療用再生剤を提供する可能性を持つ。ここで説明している様々な実施形態から得られる分離または濃縮製剤は、技術上周知のとおりに使用できる。医療治療処置では、濃縮製剤を治療部位に直接付着させたり、治療装置内に組み込んだり(例えば、吸収性移植材料を移植前、移植と同時、または移植後に投与する)、さらには処置方法としての別の材料と組み合わせる、例えば微粒子材料と組み合わせてペーストを形成する(例えば、粉体として処方された細胞外マトリックスと組み合わせる)ことを要する。
【0046】
血液遠心分離機の容器には調節可能なポート、例えば管を組み込むことも可能であり、この管は開口端部を設け、半径方向にBSC内へ延び、管が弧状に揺動して開口端部が半径範囲を走査できる様式で外周部に蝶番留めされている。管の開口端部の場所を、軸回転に関連した所望の位置に配されるように、運転前または運転中に調節することができる。例えば、入口ポートを遠心分離機容器の周囲に向けて配し、最初に不所望の細胞を通液させ、その後、容器の中心に向けて位置を調節して、乏血小板血漿を通液させることができる。あるいは、除去したい対象が血漿分画である場合には、層化した混合物から本質的に血漿のみを取り出すようにポートを位置決めできる。
【0047】
この機器は、所定量の1つ以上の成分(血漿など)を取り出したら、回転を遮断または少なくとも中止するようにも構成できる。具体的には、ポートを、層化後に血漿成分がポート付近に来るように位置決めしてよい。そのポート用のバルブが開放すると、血漿がポートから送り出される。ポートは、血漿の有無を感知するセンサを装備した構成にすることもできる。このように、この機器は、ポートにて、またはポート内部にて血漿が感知されている限り胴体が回転を続け、しかし、血漿が感知されなくなると、モータに停止信号を提供する(これにより胴体の回転を停止する)、またはタップ開放の信号を送るように構成できる。血漿はポートを介して胴体から除去され続けるので、最終的にポートの半径における血漿の供給が枯渇して、上記センサから信号が送られ、胴体が回転を停止する。当然ながら、これらの信号は、血漿だけでなく、あらゆる層化した層を感知することで生成される。
【0048】
濃縮分画の他に、液状検体1つ以上の廃棄された分画を回収することが望ましいことがある。これはいくつかある方法のうちの1つによって達成できる。スリーブの出口ポートに回収バッグまたはチャンバーを連結することができる。このバッグまたはチャンバーは胴体と共に回転するので、回転軸の周囲でこれのバランスを取るための措置が必要である。別の方法は、所望の出口ポートとは反対の側に、排出された分画を回収し、重力流により流体を回収地点へ案内するための円周漏斗を設けたものである。これについては、以降で
図25を参照して説明する。
【0049】
図19〜
図26にさらなる実施形態を示す。これらの図は、
図12〜
図17で網羅した空心の仕組みを使用し、これに加えて、PRP調製時に得られる濃縮を最大化するように設計された改善を採用している装置について述べる。
図19は、再使用可能な装置ユニット601および使い捨て部分600の2つの構成要素として使用するように設計された、遠心分離機の2つの主要な構成要素を示す。遠心分離機を2つの構成要素に分離することで、使い捨て構成要素をより費用効率の良いものにすることが可能になる。
【0050】
図20aは、文字「defg」で表す境界が画定する回旋チャンバーの半透明鏡断面を示す略図である。主な寸法を長さ符号L1〜L8で記し、半径をD1〜D8と定義する。
図20aに見られるように、D1は、回転軸XXからチャネル640の外端部まで計測した半径の長さに該当し、この実施形態で示すように、このチャネル端部にはオプションのプレナムが設けられており、脱出するRBC641はここからRBG通路639内に流入する。同様に、D2、D3は、軸XXから最も遠いチャネル640の端部におけるプレナムの右側および左側の内径をそれぞれ同定している。D4、D7は、ウェッジ部609の右手側端部にある平坦部の外径および内径をそれぞれ標識している。D5は、赤血球641とバフィーコート642の間の界面における直径を同定する。D6は、バフィーコート642と血漿643の間の界面における直径を同定する。D8は、血漿通路610の内径を同定し、空心646と界面を接する血漿643の界面に該当する。長さ計測値L1〜L8は、血漿通路610の右側に該当する基準線から計測した距離に基づいている。L1、L2は、チャネル640の端部におけるプレナムの左手側および右手側へそれぞれ計測された。L3は、基準線から計測した、ウェッジ部609
(以降で説明する)の右手側にある平坦部までの長さを同定している。L4、L5は、左右マーカ644の場所を同定している。L6は、バフィーコート/血漿界面D6に該当する直径にて計測した、回転チャンバーの縁までの長さに該当する。L7は、ウェッジ部609の右手側にある平坦部の内径に該当する直径にて計測した、回転チャンバーの縁までの長さに該当する。L8は、血漿通路610内への入口の内径に該当する直径にて測定した、回転チャンバーの縁までの長さに該当する。
【0051】
回転軸XXは境界「dg」を通っている。大きく斜交範囲は、半角「a」を有する外部壁を設けた先細りしたチャンバーを示す。チャンバーの円錐形凹部の内部にはウェッジ部「609」が挿入されており、このウェッジ部609は、RBCチャネル640を画定する半角「b」を持った外部円錐台形状部分と、血漿643の境界を画定する半角「c」を画定している内部逆円錐台形状部分とを設けている。半角「b」は半角「a」と必ずしも同一でなくてよく、言い換えれば、チャネル640は平行でなく、先細り形であってよい。
【0052】
流体がRBC出口ポートを出る際、RBC通路639を通って出て行く流体に高い剪断力がかかり、また、RBCチャネル640は、RBC通路639入口ポートが確実にチャネル640の端部に、およびRBC/BC界面から離れた距離に位置する役割を果たし、ここで、このチャネルは、RBC通路639から出る際にRBCにかかる高い流出速度に関連して、チャネル640に入る入口におけるRBCの非常に遅い局所流体速度を許容するように寸法されている。
【0053】
例えば、一実施形態では、RBCは高速回転しているチャンバーの外縁に集まり、1本以上のRBC通路639を通って排出される。RBC通路は円周溝またはプレナムから供給され、次いで、薄い円周チャネル640から、あるいは、バフィーコート回収範囲の付近にて開始している、複数のチャネル640を形成する円周区間から供給されている。円周チャネル640は、その半径方向深度の数倍大きな円周を有する。容量60mLで、円周11.4cm(4.5インチ)×半径方向深度0.050cm(0.020インチ)のチャネルを設けた遠心分離機を提供する装置の場合、RBC通路639のオリフィス径はほぼ0.025cm(0.010インチ)となる。このおよそ17000RPMでの組み合わせ高速回転によって、RBC通路639におけるオリフィスからの排出速度が2000〜3000cm/秒となり、チャネル640に沿ってのみ1.5cm/秒となる。したがって、チャネル640は分離層付近において流れを1000分の1以下に遅速化する。別の実施形態では(図示せず)、プレナムを設けず、RBC通路を薄い円周チャネルから直接供給し、バフィーコート回収範囲付近から開始させることができる。分離層での流量をオリフィス出口と比べて低減させるための似たようなパフォーマンスは、プレナムを設けた実施形態を参照し説明したものについても同様に予測される。
【0054】
高速回転チャンバーの回転速度を減速させてRBCを一掃することが有益であり得ることが確認されている。回転速度の減速は、分離した成分の層化を崩壊させない方式で達成しなければならず、さらに、減速する回転速度は、確立された成分の層化を大きく劣化させる所まで減速させてはならない。例えば、装置を分離に適した第1速度で運転して納得できる層化を達成した後に、回転速度を徐々に低減してゆくことで層化が維持され、第2回転速度に達すると、高速回転チャンバーの回転速度を減速したことでより弱い力が生じ、その結果、RBC細胞がRBC通路639から相応の低減速度で吐出される。先述した、分離のためにおよそ17000RPMの回転速度を有する例では、RBC/BC界面の劣化を防止しながらRBCの一掃を可能にするために、段階的な減速を、制御された様式で、目標のより遅い回転速度に落ち着くまで(この新規の例ではおよそ13000RPMでの回転)、決められた時間にわたって実施する。例えば、徐々に減速中であるが目標の一掃速度には近づいた時点で、RBCバルブを開放するなどの微調整をこれらの段階に実用的な目的で加えることでも、類似の結果が得られることがある。
【0055】
RBC通路639にて計測され、チャネル640内に流入するRBCとの比較において、局所的な流量を確実に減少させるように寸法または回転速度の修正を採用することで、上述した1000:1の代わりに、およそ500:1または100:1の比率以下に低減された各種の減速度を得ることができる。
図20aの実施形態に見られるように、チャネル640は、半径方向に浅くなる角度aの上に設置されており、またその末端にはプレナムを設け、このプレナムから延びたRBC通路639がRBCを排出させる。別の実施形態では(図示せず)、本装置はチャネルの末端にプレナムを設けず、チャネル末端にRBC通路への出口を含むか、またはチャネルの寸法を減少させ(先細りさせ)、漏斗をRBC通路への出口内に直接設けることができる。上述したように、本発明の目的は、RBC出口とRBC/バフィーコート界面との間に空間分離を設けることで得られる結果と同様に、バフィーコート組成要素の上のRBCがなくなることの影響を低減することである。ポート付近で局所的に発生した脱出渦の影響下で、RBC通路639から排出されるRBCと共に血小板および他の望ましい因子が出て行ってしまう傾向を減らすのは、この空間分離である(チャネル内のプレナムの有無は問わない)。血漿またはバフィーコート組成要素がチャネル640内に入らないようにする方式で本装置を運転することで、高い剪断力がRBC組成要素のみにかかるように事実上制限され、RBCとBCの間の界面の崩壊が不可能になる。
【0056】
同様に、血漿通路610を、バフィーコート組成要素から離れた場所に配し(オプションで、
図27aに示すようにプレナム内に配置)、バフィーコートと血漿の界面がD7を超えて内方へ延びないようにすることで、血漿通路610における高剪断力が浅い角度cによりBCと血漿の間の界面を崩壊させることがなくなるため、バフィーコートをチャンバー内に収容することができる。これにより、ポート付近で局所的に発生した脱出渦の影響下で、血漿通路610から排出される血漿と共に血小板および他の望ましい因子が脱出してしまう傾向が減少する。
図20aではウェッジ部609の基底部に配置されているが、開口部が、
図20aのL8に該当する場所においてと同様に、バフィーコートと血漿の界面の半径よりも小さい適切な半径を有する限り、血漿通路を別の場所に配置することも可能である。これらの特徴から、ここで説明した実施形態は、実質的に全てのバフィーコート組成要素をチャンバー内に保存し、成果物の密度または濃縮効率を拡大することを助けることができる。
【0057】
さらに、
図27aを参照すると、
図20aで示したものと同一の実施形態を示すが、ここでは、血漿通路610内へ続くオリフィス(1つ以上)を収納する円周溝(または円周溝の各部)の形態をした血漿プレナム655を含む点が異なっている。この実施形態では、脱出する血漿が、ウェッジ部609と、血漿との空心界面境界とによって画定された先細りしたチャネルに沿って流れる。チャンバーの回転中、および血漿バルブが開放した状態で、血漿が血漿通路(ここでは、ウェッジ部609の基底部に示される)へ流れ、ウェッジ部の基底部から溢れて血漿プレナム655内に入る。血漿は、血漿プレナム内に入るとプレナムの長さ(つまり円周)に沿って流れ、血漿通路610へと続くオリフィス(1つ以上)に遭遇して、オリフィスから脱出する。血漿は、プレナム655内を移動中には、離れた場所にあって、ウェッジ部609の存在することで物理的に遮蔽されている血漿/バフィーコート界面に対して剪断力を発することはない。
【0058】
図20bと
図27bを比較すると、連続スロープとしての(
図20bに示す構造)、またはプレナム655を設けたものとしての(
図27bに示す構造)血漿出口に、血漿が接近する際の流体の流れ方向を視認できる。これらの図は、あたかも回転軸からチャンバーの外部直径を見るように、上から下に向かって血漿通路610への開口部を見た投射図を示している。
【0059】
図20bを参照すると、血漿が右から左へ移動する様子を示しており、ここで、流体はチャンバーの左縁に近づくと、血漿通路610の出口へ引き寄せられる。血漿プレナムを設けていないこの実施形態では、開口部からの距離が増すとこれに比例して剪断力が低下するため、血漿がウェッジ部の内面に沿って(角度cに沿って)移動する際に、この範囲の直径全体にわたって剪断力は必ずしも均一にならず、しかし、血漿通路610への開口部の場所と並んだ時には高くなる。
図20aの構造は、バフィーコート/血漿界面に影響を及ぼす剪断力を最小化する上で有効であると経験上判断されているが、装置運転中にウェッジ部の平坦部にかかる剪断力をさらに低減することが可能である。
【0060】
図27bを参照すると、血漿が開口部610に向かいプレナムに沿って流れる前に、右から左へ移動して、血漿プレナム655内に入る様子を示している。プレナム655に向かう流体の流れを示す均一な矢印(右側)によって見られるように、プレナムの存在により、血漿チャネル内で円周方向に計測した場合に(血漿は角度cのウェッジ面と空心との間を流れる)剪断力の変化の減少が予測されるが、これは、血漿がウェッジ部609の基底部に近づき、血漿プレナム655内に流入して、ダムの側面上を流れる水と類似した効果を生じるためである。つまり、障害物ができる以前(ダムの上流、またはプレナムへの流入前のいずれとも)の流体の流れはゆっくりかつスムーズであるが、障害物を通過後(ダムの下流、またはプレナム内のいずれとも)の流体の流量は相対的に遥かに多く、また不均一である。流体の流れパターンを示す矢印で見られるように、血漿プレナムに向かう血漿の流れは直径全体にわたって均一に分布しているが、血漿によってウェッジ部を作成されると、プレナム655内に入ってからは、血漿が1つ以上の開口部から血漿通路610へ流れることで、流体動作の変化が大きくなると予測される。プレナム内に方向可変な剪断力が多量に含有されているが、ウェッジ面に沿って流れる血漿に影響を与えることがないので、この実施形態は、バフィーコート組成要素の濃縮因子を拡張できると予測される。この実施形態の構造は、バフィーコート/血漿界面を崩壊させる傾向にある、血漿チャネルに沿って円周方向に計測した場合の血漿流量の変動性を低減することで、D8とD6の間の深度として計測される留置血漿の量を最小化できる。
【0061】
さらに、
図20aを参照すると、排出された全ての血漿がチャンバーから出た後に残留する血漿の量は、境界直径D8、D6によって定義される点が指摘されるべきである。この量を調整することで、先述の同じ寸法の調節により望まれる濃縮値を得ることができる。
【0062】
高度の濃縮を得るためには、バフィーコートの下の血漿の深度(
図20aに示す)を減少させる必要があり(直径寸法(D6〜D8)/2の縮小)、これにより、流出する血漿によってバフィー/血漿界面がより近距離で剪断されることになるので、血小板損失の危険が増すことも明確にされるべきである。しかし、血漿の流れを推進する圧力は、回転速度の平方に、D8にある血漿通路の開口部半径の平方と、チャンバー内の血漿/空気界面の半径の平方との差分を掛けたものに比例するので、血漿直径がD8に接近するに従って、血漿の流出を推進する圧力は徐々にゼロへと降下してゆく。
【0063】
血漿がD8に接近するにつれ着実に減少するこの流れ効果を利用することで、剪断によるバフィーコートをほとんど損失させずに血漿深度(D8〜D6)を最小化し、残留血漿量を最小化し、濃縮を最大化することができる。
【0064】
概括すれば、外径チャネルを使用してRBC/バフィーコート剪断を制御することで、RBC/バフィーコート剪断が最小化され、また、構造と、空心に向かう血漿の推進圧力を低減することとにより、血漿/バフィーコート剪断が制御される。
【0065】
したがって、チャンバーの回転中および血漿が排出される以前には、圧力水頭が高いので、血漿が血漿出口から出て血漿通路610内へ流入し、その後、チャンバー内の血漿の量が減少するに従い、血漿出口よりも上にあるこの圧力水頭がこれと比例した量で低下して、この低下は、血漿高さがD8における血漿出口の高さに達し、血漿通路610を通る全ての血漿の流出が終了するまで続く。血漿容量の減少に従って血漿通路610を通る流量が減少することで、流出する血漿とバフィーコートとが互いに最も近接し合う(つまり、D6とD8の間の距離が最小になる)地点に、血漿を一掃する流量が最低量となるので、剪断力がバフィーコートに影響を及ぼす傾向が最小化されるという追加の利点が得られる。
【0066】
運転時には、チャンバーが血液で充填され、或る時間の経過後に、この血液が高速にて赤血球(RBC)、バフィーコート、血漿に分離される。分離後に、RBC通路639が開放してRBCがRBC通路639を介して排出され、透明な円錐面のL5にてRBCの界面が明らかとなる。RBC通路639を閉鎖する上で操作者に知らせるために、チャンバー上のL5、L4に目視可能なマーカが配されており、RBC界面がL5とL4の間のどこかの地点に達すると、RBC通路639からのRBCの排出が、後に述べるバルブの操作によって停止される。この時点で、残留RBCは、円錐チャネル640と、RBCチャネル639の左手側端部における円周凹部で事前定義された容量を占めている。バフィーコート(BC)642の回収時に、図面でハニカム構造のハッチにより定義されているように、BCのRBCチャネル640内への移動を防止することが重要であるが、これは、BCがそこへ移動してしまうと、手順の最後にBCを取り出せなくなってしまうためである。これを防止するには、RBC界面がチャンバーの円錐面に沿って移動するようになる速度を、界面がL5とL4に配したマーカ間を移動している最中に操作者が工程を停止できる(RBC通路639を閉鎖できる)程度にまで十分低く制御する。この速度は、回転速度、チャンバーの直径、通路639に連結しているRBC排出ポートのサイズ、チャンバーの半角「a」の関数である。これらの変数を調整することで、操作人員が管理できる、L5またはL4での界面速度が得られるが、しかしこれによって必要な急速分離(分離の全工程、望ましくないRBCおよび血漿の2分未満での排出)が妨げられることはない。様々なパラメータを試験する上で、およそ4mm/秒の界面速度で、操作者が正確な介入を行えることが経験上わかっているが、しかし、10mm/秒未満の範囲では、これよりも速いおよび遅い速度が望ましいことが認識された。(RBCからバフィーコートの界面を光学センサなどによって感知するケースでは、界面の接近速度は10mm/秒以上の速度であってよい。)RBC排出が停止すると、直径D4、D7で定義された、ウェッジ部609の右手側の平坦部
すなわち分離面の端部にBCが捕えられる。
図20aでは、
分離面を回転軸に対して角度90度で描いているが、回転軸に対する
分離面の角度はこれ以外の角度であってもよいと想像される。
分離面は、遠心分離機が通常の直立方向にある場合にはウェッジ部609の「上」面を形成する。RBCがL5で停止する場合にはBC外径はD5であり、RBCがL4で停止する場合にはBC外径はD4にある。バフィーコート(BC)容量は最初に導入した血液容量の0.5%前後であるので、最悪なケース(RBCがL5で停止)が生じた場合には、BCが
分離面上に留まり、内部半角円錐「c」内へ延びないように、ウェッジ部端部の平坦部(D4、D7)を定義することができる。RBC通路639が閉鎖すると、血漿通路610が開放して、血漿が流れ、排出される。同図は、全ての血漿が血漿通路610から流出し、空心646がD8における通路入口にまで拡大したため流れが停止した状況を示している。血漿表面が出口通路610に近づくにつれてその軸速度が加速し、BC/血漿界面における高速剪断速度により血小板が血漿中に混入して損失する結果を招くので、BCによる内部円錐内への侵入を防止することが重要である。空心に対するBCの半径方向分離(D6−D8)/2がほぼ1〜2mmである場合、血小板の血漿中への損失は許容可能であり、8:1またはこれ以上の濃縮因子(EF)が一貫して得られる。濃縮因子は次の方程式で定義される:(EF=(単位体積毎のBC試料中に捕獲された血小板数)/(単位体積毎の元の全血試料中の血小板数))。基本的に、この設計は、RBC/BC界面およびBC/血漿界面における剪断を最小化して、BCがRBC排出または血漿排出内に損失しないように考えられたものである。
【0067】
一実施形態では、使用中の装置の向きは、ポートバルブ602が装置の頂部に来る状態で、回転軸XXと共に縦向きである。この回転チャンバーの構造では、回転が一時停止されると、チャネル640内にある流体(例えばRBC)はチャネル内に含まれたままとなり、また、運転中にウェッジ部609の平坦部608に該当するラインよりも上にある実質的に全ての他の流体(つまり、
図20aのL3の右側にあたる)は、回転が止まると重力によって流れ、ポートバルブ602の直下に溜まり、これにより、例えばポートバルブを介して案内され濃縮材料の溜まりに入った針の中に引き込まれることによって、回収可能となる。ここで述べる様々な実施形態を別の角度(例えば水平)で運転し、次にオプションで、回転一時停止してから、回収のために垂直位置へと回転させることも可能であると認識される。チャンバーの回転の一時停止時にチャネル640内でRBCの隔離状態を維持することで、バフィーコート組成要素の濃度を最大化することができる。チャンバーの回転を一時停止時すると同時にチャネル640内でRBCの隔離状態を維持することで、チャネル内のこれらの材料(例えばRBC)を、濃縮されたバフィーコートまたは他の血液組成要素をそれ以上希釈するために利用できなくなるので、その結果、バフィーコート組成要素の濃度を最大化することができる。いくつかの実施形態では、回転チャンバーの少なくとも一部(ウェッジ部609の端部の平坦部608など)に表面張力修正コーティング(例えば、親水性または疎水性コーティング)を追加して、捕獲されたBCのいくらかが表面張力によって平坦部上に残留してしまうことを防止することが有利である。さらに、全体が垂直向きにある場合に、ウェッジ部の平坦部に角度(例えば1〜45度)を付けて、流体の流れを中央回収範囲に直接向けるようにすることは有益であり得る。
【0068】
回転チャンバーの速度を急激に落とすことで、より段階的に落とした場合よりも、回収範囲での血小板の量が増加することが確認されている。急速に速度を落とすことで、ウェッジ部の平坦部よりも上において組成要素の混合が生じ、ウェッジ部の平坦部の表面上に濃縮した残留バフィーコート組成要素が残ってしまうことを防止するとされている。また、チャンバー内およびチャネル内に残っている赤血球は、その大部分がチャネル内に残ったままとなるため、急速に速度を落としてもバフィーコートと混合することはない。
【0069】
ウェッジ609が(1)空間分離の作成と、(2)チャネルの形成と、(3)明瞭な液体深度の増加とに役立つことで、ウェッジ609を援用した装置の実施形態の構造には、効率性、装置の運転を補助する上で少なくとも次の3つの有益性がある。1つ目は、ウェッジが血漿出口とRBC出口の間に空間分離を作成することにより、ウェッジ部の平坦部と並んだ離れた位置に残っているバフィーコート組成要素に影響を及ぼすことがないよう、出口における剪断力の影響を最小化することができる。2つ目は、ウェッジ部の最外面(角度bで傾斜)がチャネル640の内部境界の一部を提供しているので、ウェッジが部分的にチャネルを形成する。3つ目は、ウェッジ部の存在によって置き換えられた明瞭な液体深度を拡張するので、ウェッジ部が装置の操作容易性を増大させる。すなわち、ウェッジは、ウェッジ領域(D2とD8の間)内にある流体容量を置き換える役割をし、また、D4とD5の間の寸法が置き換えによって増加するので、これら液体の明瞭な深度を増加させる効果を持ち、これにしたがって、L4のマーカ644とL5のマーカ644の間の空間が必然的に拡大して、より分かりやすい溶解を操作者に提供する。この効果により、操作者は、RBC通路639からのRBCの排出を一時停止するタイミングをより正確に判断できるようになる。
【0070】
図21は、
図19の装置を組み立て、RBCポート638が開放、血漿ポート612が閉鎖、RBCがRBC/血漿受容部647へ排出された、走行状態にある様子を示す。まだ血漿643は受容チャンバーへ排出されていない。空心646は完全に確立しており、流体組成要素どうしは明確な境界を設けて分離している。高速回転する遠心分離機における血液を含むためのチャンバーは、先細り形の胴体606と端部キャップ614の2つの要素で構成されている。このチャンバーは2つのベアリング619、604において高速回転し、小型ベアリング604はチャンバーの狭い端部に配され、大型ベアリング619は、チャンバーの大型端部に、駆動シャフト617およびバルブキャップ616を介して間接的に配されている。小型ベアリング604は透明な中間カバー607内に、大型ベアリングはフォロワー618内に搭載されている。バルブキャップ616は、端部キャップ614からのキーまたはピン(図示せず)によって駆動されるチャンバー構成要素と共に回転し、フォロワー618によって軸方向に前進させられた回転軸に沿って軸方向に平行移動することができ、次に、カムフォロワー620ならびにカム621によって軸方向へ移動される。バルブキャップ616の軸方向への移動は、RBCポート638および血漿ポート612のピストンを制御し、さらにこれにより、RBC通路639からのRBCの排出、または血漿通路610からの血漿の排出を制御する。カム621(典型的には3つであるが、この個数は3つより多くても少なくてもよい)はドラム613と一体形成されている。フォロワー618はドラム613内で軸方向に移動できるが、フォロワー上の雄キー631および下部構造624上の雌キーにより回転は阻止される。操作者は、ドラム613を回転させることにより、フォロワー620を軸方向へ移動させ、これによりRBCポート638と血漿ポート612の位置を制御する。RBC/血漿受容部647は、排出されたRBCおよび過剰な血漿を捕えて、バルブキャップ616と共に軸方向へ移動させるために、回転要素を包囲している。
【0071】
シャフト617とバルブキャップ616の間の隙間、およびバルブキャップ616と端部キャップとの間の隙間は、端部キャップ614とバルブキャップ616の間の嵌合ならびに同心性に影響を与える。Oリング648、611は、シール部として、および上記2つのキャップ間のサスペンション、あるいはシール部として、または上記2つのキャップ間のサスペンションとして機能する。Oリングは、隙間を非常に小さく保った場合は密封部としてのみ機能するが、隙間を相当に拡大させた場合には、シール部およびサスペンションとしての二重効用を果たす。このようなサスペンション特徴を、チャンバー組立体(シャフト617、端部キャップ614、胴体606)上で振動するバルブキャップ616の自然周波数が、動作速度よりも相当に低くまたは高くなるように選択することができる。
【0072】
駆動シャフト617に取り付けられた遠心分離機の継手633が、モータ626からのねじれ駆動を、モータ継手629を介して受ける。モータ626は、基底部包囲体625にしっかりと固定された下部構造624上に搭載されている。操作者が作動させたラッチ622により、使い捨て部分600が、ドラム613に一体形成された円環に係合して、再使用可能部分601に対してしっかりと配置される。
【0073】
使い捨て部分600は滅菌ユニットとして届き、手術環境内の滅菌野の付近で使用される。PRPまたはPPPを調製および付与する手順が完了したら(これには、1人の患者につき、複数の用途のために装置を数回運転することになる)、使い捨て部分600を生体植物性廃棄物ストリームにおいて処分する。しかし、再使用可能部分601は手術環境内に残り、保管のため他所へ移動される。再使用可能部分601が全血または血液組成要素によって汚染されないように、これらの流体の洩出を防止する多様な要素を採用することが可能である。
図26を参照すると、吸収性ワッシャ632、636は受容部647からのあらゆる液こぼれを捕え、ゲル化促進剤649は、受容部647内に排出された流体を非流動性ゼラチン質塊にゲル化する。符号619における別方法で密封されたベアリング(図示せず)、ドラム613とフォロワー618の間の転動形隔膜(図示せず)は、全ての液体を捕えることができる。吸収性ワッシャは、多孔質ポリウレタン(登録商標名「Porex」で販売されている)、超吸収ポリマ、ポリアクリレート、高分子電解質、ヒドロゲル、白亜、または織布、あるいは技術上周知の他の適切な材料から成っていてよい。ゲル化促進剤は、Multisorb Technologies, Inc.より「Drimop(商標)」の名称で供給されている材料から成っていてよい。チャンバー内に回収したPRPの残余分は、ポートバルブ602によって封じ込められる。当業者には、こうした漏出への溶解の組み合わせが明らかだろう。
【0074】
図28〜31は、先述したRBC/血漿受容部647の代替実施形態である半径方向インデックスバルブ受容部700を示す。この半径方向インデックスバルブ受容部は、受容部から内容物のこぼれを防止するために、回転ドラム613およびフォロワー618(先に
図21にて示したものと同一)と協働する半径方向インデックスバルブを援用している。半径方向インデックスバルブ受容部700は、2つの合致する構成要素、すなわち上部バルブ701と下部保管チャンバー702で構成されている。好適には、上部バルブ701は4つの細長穴704を含み、下部保管チャンバー702は4つの細長穴705を含む。細長穴の個数は変更できるが、典型的に、各構成要素に同じ個数を設ける。ドラム613が回転すると上部バルブ701が共に回転できるようにするために、上部バルブ701はドラム613の溝(図示せず)と協働するインデックスタブ703を含んでいる。上部バルブ701は、360度液体流入窓707をさらに含んでいる。下部保管チャンバー702の内部円周には、フォロワー618のタブ(図示せず)と協働する溝706が含まれている。溝706は、下部保管チャンバー702をフォロワー618にキー留めして、ドラム613回転時に下部保管チャンバー702が回転しないように阻止する役割をする。
図30を参照すると、上部バルブ701と下部保管チャンバー702は、環状の相互ロック特徴部709、708を含む。
図31の分解描写でより詳細に見られるように、この相互ロック特徴部は細長穴704、705、合致面710、711を含んでいる。
図30に見られるように、相互ロック特徴部709、708は干渉嵌合を画定しており、これにより、上部バルブ701と下部保管チャンバー702が合致面710および711でスナップ留めされて、液密密封を成せるようになっている。使用時には、受容部700が
図28に示す位置に収められるが、この位置では、上部バルブ701の細長穴704が保管チャンバー702の細長穴705と重ならない。次に、遠心分離機チャンバー646を血液で充填し、遠心分離機を始動させる。RBCバルブポート638(
図21を参照して既述)を開口させるためにドラム613を回転させると、上部バルブ701がドラムと共に回転して、細長穴704、705が少なくとも部分的に重なり、これにより、
図29に示すように2つの受容部構成要素701と702の間に通路が作られる。追い出されたRBC641が、360度液体流入窓707を介して上部バルブ701に入り、重力によって下部保管チャンバー702内に排液される。バルブポート638からのRBC641の流れを停止するために、ドラム613が元のホームポジションへと回転されると、細長穴704、705が、
図28に示した重なり合わない位置へ戻り、RBCを下部保管チャンバー702内に密封する。同様に、血漿ポート612を開放するべくドラム613を反対方向へ回転させると、細長穴704、705の対向する側部が重なり合い、これにより、この重なり合った細長穴を介して血漿643を吐出し、下部保管チャンバー702内に排液できるようになる。次に、工程の最後に、ドラム613が元のホームポジションへと回転されて、細長穴704、705が重なり合わない位置に戻ることで、廃棄された流体が下部保管チャンバー702内に密封される。これにより、後続の、使い捨て部分600の取り扱いと処分の最中におけるあらゆる流体のこぼれが防止される。
【0075】
細長穴704、705の典型的な寸法は、上部バルブ701をいずれかの方向へ回転させた時に重なり合える寸法である。好ましい実施形態では、上部の細長穴704のそれぞれが円周の30度分を囲み、下部保管チャンバーの細長穴705が円周の50度分を囲む。この寸法では、閉鎖配位において、細長穴の縁どうしの間に5度の角度が残る。したがって、ドラム613をおよそ35度回転させれば、バルブキャップ616のポートが開放する。これにより、細長穴704と705が30度重なり合い、言い換えれば、上部バルブ701の各々の細長穴704が、細長穴705を介して下部保管チャンバー702に対し完全に開放する。これ以外の細長穴の構造および配列の組み合わせも可能であり、当業者に自明である。典型的に、上部バルブ701と保管チャンバー702は、ポリプロピレンおよびポリエチレンを非限定的に含む弾性の熱可塑性樹脂を使用して吹込成形した構成要素である。
【0076】
再使用可能部分601は、交流電源から、またはコードレスドリルなどに使用される直流パワーパックから、コード搭載型変圧器(図示せず)によって給電される。図示していないこれ以外の部品には、遠心分離機の電源オン/オフ、および電源オンからの経過時間を表示するための、基底部包囲体625上に搭載された単純なディスプレイや、経過時間が特定レベルに達すると操作者に対し警告音を発する可聴アラームなどの部品が非限定的に含まれる。これに加えて、使い捨て部分600に内蔵の磁石に反応する、基底部625に内蔵されたホール効果スイッチまたはリードスイッチ(図示せず)を使用して、基底部包囲体625内のドラム613の回転を示したり、および場合によっては流体組成要素の最適な分離に必要な多様なモータ速度を選択したり、あるいは基底部包囲体625内のドラム613の回転を示したり、または場合によっては流体組成要素の最適な分離に必要な多様なモータ速度を選択したりすることが可能である。
【0077】
操作者が手動で回旋させるドラム613の代わりに、基底部625内のアクチュエータ(例えばモータ/ギアボックスの組み合わせ、またはネジジャッキ)が、上述のスイッチからの信号に応答し、および装置の運転を最適化する、あるいは上述のスイッチからの信号に応答し、または装置の運転を最適化するべく採用された小型固体回路計算機からの信号に応答して、ドラムを自動的に回転させることができる。
【0078】
図22は、
図21のAAにおける単純化した横断面図である。血液は主要な組成要素(血漿643、RBC641、バフィーコート(BC)642)に分離されている。
図23は、
図21のBBを通る単純化した横断面図である。この断面図は、通路610とOリング611とから成る血漿バルブの構造を示す。これらの出口ポートの構造は、
図3bに示したものと類似する。このバルブが開放すると、ポート612が通路610と整列する位置へ移動して、流体が流れ得るようになる。
【0079】
図24は、
図21の装置であって、RBCバルブポート638は閉鎖し、血漿ポート612が開放し、血漿排出が完了した状況において運転中の様子を示す。この血漿643の容量が最終的な容量である。
【0080】
処置に乏血小板血漿(PPP)が必要な場合には、若干形状の異なるPPP受容部が必要となる。
図25のほとんどの構成要素は
図21に示したものと類似しているが、ここでは、RBC637用とPPP635用の計2つの受容部を設けている。高速回転チャンバーからの排出により2つの流体組成要素が捕えられるため、両方の受容部をドラム613に対して軸方向に固定して、血漿ポート612およびRBCポート638が適切な流体組成要素を排出する際に、これらポートの異なる軸場所を受け入れられるようにする必要がある。血漿アクセスポート645が受容部635の壁間にまたがり、ドラム613の細長穴または開口部(図示せず)を通って延びている。このポートは、PPP除去のために皮下針の通過を許容する、ニトリルゴムのようなエラストマ材料である。
【0081】
操作者が滅菌使い捨て部分600を再使用可能部分601の内部に配する際には、ドラム位置は、工場において、血漿ポート612とRBCポート638の両方が閉鎖位置に事前に設定されている次に、操作者は患者からの全血で注射器を充填し、この血液を注射器でポートバルブ602から遠心分離機チャンバー内に、チャンバーが充填されるまで導入する。装置を始動させると、モータが約1分間走行し、この時間までに血液が主要な層、すなわちRBC層、バフィーコート層、血漿層に分離される。この時点で、ドラムを回してRBCバルブを開放位置にすると、RBCが受容部637内に排出され始める。RBCが排出される際に、RBCとバフィーコートの間の界面(
図20aのD5)が回転胴体上のマーキングに接近する。界面が符号644におけるマーク(RBCポート638開放の約30秒後)間にある時に、RBCポートを閉鎖し、血漿ポート612を開放するようにドラムを回転させる。すると血漿が受容部内に排出され、空心によってさらなる排出が制限されるまで続く。この時点で(ポート開放の約30秒後)、モータが停止し、チャンバー内の濃縮した残留試料が、注射器およびカニューレによってポート602から除去され、患者の身体内(または移植物質として使用されようとしている材料上)に注入される。PPP調製のケースでは工程はPRPのものと同じであるが、装置が
図25に示される装置と一致し、PPPが
図25のエラストマ性側部ポート645から抽出される点が異なっている。
【0082】
様々な遠心速度を採用したり、チャンバーからの出口を配する場所の直径を変更することで、多様な組成要素の濃縮、または回転チャンバー内の流体材料の異なる
比重分画の隔離が可能であることがわかっている。当業者に周知のように、例えば上述のとおり低速で回転させて、RBCの大部分を除去することで、血小板が懸濁した血漿材料が得られる。低速で回転させた場合には、血漿から血小板が
比重によって分化することがない。回転速度を上げると血小板は
比重により血漿から分化し易くなるので、操作者が求める血液製剤の所望の組み合わせを達成する上での柔軟性が得られるようになる。
【0083】
先述した様々な実施形態では、断面が円形の血液分離チャンバーについて説明したが、赤血球のRBC通路への妥当な流れを促進するべく角度付けまたは先細りした内径を有する限り、高速回転が可能なあらゆる形状を利用できることが理解される。例えば、正確にバランスをとることができ、必要な回転速度に適していることから、断面が楕円形の分離チャンバーを採用することが可能である。同様に、多様な断面形状(例えば八角形、四角形、三角形など)を持った他の分離チャンバーを採用でき、また必要であれば、錘を用いて回転時の正確なバランスを得る。さらに、複数のチャンバーを装置に利用することができ、例えば、2つ以上の円のセクション、あるいは2つ以上の入れ物のバランスをとることで、集合的に回転子を形成する複数のチャンバーの回転が可能になるが、ここで、各チャンバーは、特定の血液組成要素(例えば、RBCおよび血漿)を排出させる一方で、所望の血液構成要素の濃縮と、および各チャンバー内で濃縮した所望の血液組成要素へのアクセスとを可能する。
【0084】
ここで説明している実施形態は、主に、全血から組成要素を分離するための使用を意図しているが、他の液体にも使用することができる。血液製剤のケースでは、血液を成分構成要素に層化させるべく装置を運転し、先述したRBC通路ならびに血漿通路を介して血液分離チャンバーから赤血球および血漿を除去すると、チャンバー内に血小板および白血球を含有した濃縮されたバフィーコートが残る。説明した全ての実施形態では、装置の操作者は、1つ以上の追加の生体適合性溶液を分離補助剤として装置内に追加し、オプションでさらなる遠心ステップを実施することにより、成果物のバフィーコートの明瞭化をさらに選ぶことができる。これらの追加の生体適合性溶液はフォーカシング流体とも呼ばれている。先述したように、バフィーコートは、血小板、白血球(つまり白血球)を含むいくつかの成分で構成されており、各成分は独自の
比重を有する。白血球は顆粒球細胞およびリンパ系細胞(リンパ球や単球など)を含有しており、これらはそれぞれ独自の
比重を有する。いくつかの用途では、これらの組成要素のうちの1つまたは複数をバフィーコートから隔離または除去して、さらに精製された治療用材料を提供することが重要である。例えば、数人の研究者は、バフィーコートから白血球を除去することによる向上した生体外パフォーマンスを発見した(S.R.モロウィック等(S.R.Mrowiec et al.)、「A novel technique for preparing improved buffy coat platelet concentrates」,Blood Cells,Molecules and Diseases(1995年)第21(3)巻、2月15日:25ページ〜23ページ)。例として、特定の目標
比重を有する固定量の1種以上の液体(例えばフォーカシング流体)を血液分離チャンバーに供給して、バフィーコートの多様な組成要素(例えば白血球)をさらに分離させることで、血液の非常に特殊な複組成要素に焦点を絞ることができる。あるいは、フォーカシング流体を使用して全ての赤血球または血漿を除去することができるが、フォーカシング流体はバフィーコートと赤血球または血漿組成要素のいずれかとの間の目的
比重であるので、上述した濃縮工程を繰り返すことで、血漿または赤血球のいずれの残留トレースのない血液構成要素を達成できる。このようなフォーカシング流体には、目的および非目的生体組成要素間の境界を顕著にすることを補助する、着色剤、マーカ、またはその他の指示薬が含まれる。Ficoll−Paque、ジアトリゾ酸ナトリウム溶液(密度1.077g/mL、GE Healthcare社配給)、Percoll、(密度1.088g/mL、GE Healthcare社配給)、Cellotion(Zenoaq社配給)のような流体、およびその他の技術上周知の流体を使用して、多様な治療に有益な細胞および他の生体成分を精製、分離、および濃縮、あるいは精製、分離、または濃縮を行うことができる。
【0085】
別の実施形態では、生体適合性溶液フォーカシング流体が、血液製剤を選択的に結合し、その後、遠心分離によって隔離されるため、より高濃縮の所望の血液組成要素が得られる。結合を達成するための様々な技術が技術上知られており、例えば、所望の
比重を持った固体ビーズ構成要素を抗体でコーティングして、フォーカシング流体層を目的の血液組成要素と選択的に結合させる(あるいはこれとは逆に、所望の血液組成要素から血液組成要素を分離させる)技術がある。あるいは、例えば分離化学(例えばクロマトグラフィーまたは吸収)のような従来の技術を使用した技術上周知の様々な技術および試薬を採用できる(HPLCおよびFPLCに使用されるイオン交換樹脂など)。これらの実施形態では、結合の機会を許容するために、先行して濃縮された血液製剤が入った血液分離チャンバーにフォーカシング流体を追加することにより、血液分離チャンバー内の材料を層化させるべく回転を行うと、所望の血液製剤を望まない血液製剤から分離する。分離した製剤の除去は、先述した出口の一方または両方から行うことができる。技術上周知の技術を用いて、この実施形態におけるフォーカシング流体の結合を反転させることができ、これにより、採取時に、血液組成要素をフォーカシング流体から脱結合させ、オプションで別の精製手順により、フォーカシング流体を一切含まない回収血液製剤を提供することができる。
【0086】
先述と同様に、操作者またはセンサが、チャンバーからの流体の排出を制御するバルブ機構を作動させるので、検知可能な界面が、出口バルブを閉鎖するタイミングを判断する上で有益である。この理由から、フォーカシング流体は、例えば色による区別のように、界面において何らかの方法で、チャンバー内の他の組成要素から区別方法できることが好適である。あるいは、フォーカシング流体と共に遠心分離にかける前に、生体適合性で、選択的な色素、またはマーカ材料を追加してチャンバー内の流体を区別できるようにし、操作者またはセンサが検知できる境界を作成する。これにより、選択的色素が、所望の組成要素と、一方または両方の出口ポートを介して血液分離チャンバーから除去したい組成要素と間の界面の検知を促進する。
【0087】
上述の実施形態はキット形式での利用が可能であり、このキットには、装置と、装置の運転に必要な付属品(使用説明書、滅菌的な保管および保存に適したパッケージを含む)とが含まれる。いくつかの場合では、このキットは、説明書付きの遠心分離装置(単体、または分離可能な構成要素のもの)を提供し、さらに、フォーカシング流体を含む分離補助剤のような付属品をオプションで含んでいる。分離補助剤は、パッケージ内の別容器に内容するか、または梱包時に血液分離チャンバー内に含まれるか、あるいは遠心分離機ユニットとは別に販売することができると想像される。使い捨て遠心分離構成部品に結合させるように設けられた、モータ内蔵の再使用可能な駆動構成部分を提供する実施形態では、再使用可能な駆動構成部品との使用に適した複数の使い捨て遠心分離構成部品をキットに含めることができる。
【0088】
したがって、ここで述べた本発明の工程および本発明は、本発明の総体的な特徴の主旨から逸脱しない追加のステップまたは他の特定の形式(こうしたステップおよび形式のいくつかはここで指摘した)によって具現化できるため、ここで述べた実施形態は全ての点において限定ではなく例証と考慮されるべきである。本発明の範囲は、前出の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって指摘されるものであり、特許請求の範囲の同等物の意味および範囲内に入る全ての変更は本発明の範囲に包含されるものとする。