(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レジ待ち検出部は、予め定められた判定距離より近い複数の前記停留地点を含む候補領域が第1の時点に検出され、かつ、当該第1の時点よりも後の第2の時点において、前記候補領域に含まれる停留地点に停留した複数の人のうち、少なくとも1人が前記会計領域で検出され、残りの人が前記候補領域で検出された場合に、前記候補領域を、前記レジ待ち領域として検出する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の販売分析装置。
前記店員検出部は、前記移動経緯に基づいて、前記店舗内の人が前記店舗内の予め定められた店員領域に移動したか否かを判定し、前記店員領域に移動した人を店員として検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の販売分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、前、後、上、下、左、右の方向を表す用語は、説明のために用いるのであって、本発明を限定する趣旨ではない。
【0016】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る販売管理システム100は、店舗における商品の販売を管理するためのシステムであって、
図1に示すように、POS(Point of Sales)管理システム101と、防犯カメラシステム102と、販売分析装置103とを含む。
【0017】
<販売管理システムの構成の概要>
販売管理システム100において、物理的には
図1に示すように、POSシステム101と、防犯カメラシステム102と、販売分析装置103とを備える。POSシステム101及び防犯カメラシステム102の各システムは、販売分析装置103と相互に通信可能に接続されている。この接続方法は、例えば、有線、無線又はこれらを組み合わせたLAN(Local Area Network)などのネットワークである。
【0018】
POSシステム101は、店舗における商品の販売状況などを集計するためのシステムであって、物理的に、POS端末104とPOS管理装置105とを備える。POS端末104は、POS用のレジスター機であり、データを入力するためのボタン、バーコードリーダなどが取り付けられている。なお、本実施の形態では、1台のPOS端末104が、POSシステム101に備えられる例を説明するが、複数のPOS端末104がPOSシステム101に備えられてもよい。
【0019】
防犯カメラシステム102は、店舗における犯罪防止のための監視システムであって、物理的に、複数のカメラ106と防犯管理装置107とを備える。複数のカメラ106の各々は、店舗内の予め定められた領域を連続的に撮影し、この撮影した動画像を含む撮影データを出力する。
【0020】
店舗は、例えばコンビニエンスストア、スーパーマーケットである。本実施の形態では、店舗内には、それを上方から見た図である
図2に示すように、商品棚A〜F、通路、顧客対応領域、バックヤードが設けられている。なお、会計領域については、後述する。
【0021】
すなわち、出入り口から入ってみた場合に、左側の奥から順に商品棚A〜Fが並べて配置されている。顧客、店員などの人が店舗内で通る通路が、商品棚AとBの間と、商品棚CとDの間と、商品棚EとFの間と、商品棚A〜Fの左方と右方の各々とに設けられている。
【0022】
また、顧客対応領域は、出入り口から入った人が見た場合に、右側の奥に設けられている。顧客対応領域は、店員が顧客の対応をするための領域であり、店舗にて適宜設置される。店舗がコンビニエンスストアである場合、顧客対応領域は、典型的には、カウンタで囲まれており、そのカウンタの上にレジスターの機能を備えたPOS端末が設置される。顧客対応領域は、基本的には、店舗に関係する人員である店員のみが進入を許された領域である。
【0023】
バックヤードは、出入り口から入った人が見た場合に、顧客対応領域よりも右方に、手前から奥までの全体にわたって設けられている。バックヤードには、商品の在庫置き場、店員の控え室などに利用される。バックヤードも、顧客対応領域と同様に、基本的には、店員のみが進入を許された領域である。
【0024】
そして、複数のカメラ106は、店舗内の各通路、商品棚A〜Fの一部、顧客対応領域を撮影する。詳細には、本実施の形態ではカメラ106は、6台設置されており、それぞれが、撮影領域A〜Fのいずれか1つの撮影領域を撮影するように設置されている。複数の撮影領域は、隣接する撮影領域の間では一部重複してもよいが、基本的には互いに異なっている。
【0025】
販売分析装置103、POS管理装置105、防犯管理装置107の各装置は、物理的には、プロセッサ108_a〜108_c、RAM(Random Access Memory)109_a〜109_c、記憶デバイス110_a〜110_c、通信I/F(インタフェース)111_a〜111_cなどから構成される。
【0026】
プロセッサ108_a〜108_cは、それぞれ、装置103,105,107に格納されたソフトウェアプログラムを実行するためのハードウェアであり、演算処理装置、レジスタ、周辺回路などから構成される。なお、プロセッサ108_a〜108_cは、POS管理装置105、防犯管理装置107、販売分析装置103の各々に複数備えられてもよい。
【0027】
RAM109_a〜109_cは、それぞれ、プロセッサ108_a〜108_cの作業領域として利用されるメモリである。記憶デバイス110_a〜110_cの各々は、例えば、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disc Drive)などから構成される。通信I/F111_a〜111_cの各々は、有線用と無線用とのいずれか一方であってもよく、これらの両方であってもよい。
【0028】
<各装置103,105,107の機能的構成>
POS管理装置105、防犯管理装置107、販売分析装置103の各装置は、例えば、インストールされたプログラムを実行することによって、これから説明する機能を発揮する。
【0029】
なお、POS管理装置105、防犯管理装置107、販売分析装置103の各装置が備える機能は、以下に説明する機能に限られず、各装置には適宜、他の機能が付加されてもよい。また、販売分析装置103が発揮する機能の一部又は全部は、防犯カメラシステム102、POSシステム101の一方又は両方を構成する装置に組み込まれてもよい。このような場合、販売分析装置103は、機能の一部が組み込まれた装置とともに構成されるか、或いは、機能の全部が組み込まれた装置に含まれることになる。
【0030】
(POS管理装置105)
POS管理装置105は、POS端末104からのデータを収集して保持する装置であって、機能的には
図3に示すように、POSデータ収集部112と、販売履歴記憶部113と、POSデータ送信部114とを備える。
【0031】
POSデータ収集部112は、店舗における商品の在庫状況、販売履歴などを含むPOSデータをPOS端末から受信する。POSデータ収集部112は、POSデータを受信すると、そのPOSデータに含まれる販売履歴データ115を販売履歴記憶部113に記憶させる。
【0032】
販売履歴記憶部113は、販売履歴データ115を保持する。販売履歴データ115は、店舗における商品の販売履歴を示すデータであって、例えば、販売した商品、販売数量、販売日時が顧客ごとに関連付けられたものである。
【0033】
POSデータ送信部114は、販売分析装置103から要求を受けると、その要求に関連する販売履歴データ115を販売履歴記憶部113から読み出して販売分析装置103へ送信する。
【0034】
(防犯管理装置107)
防犯管理装置107は、複数のカメラ106の各々によって撮影された画像を含む画像データ116を管理するための装置であって、機能的には
図4に示すように、画像データ収集部117と、画像記憶部118と、画像データ送信部119とを備える。
【0035】
画像データ収集部117は、画像データ116を複数のカメラ106の各々から受信する。画像データ収集部117は、画像データ116を受信すると、その画像データ116を画像記憶部118に記憶させる。
【0036】
画像記憶部118は、画像データ116を保持する。画像データ116は、例えば店舗が開店している間に、複数のカメラ106の各々によって連続的に撮影された店舗内の動画像を含む。
【0037】
画像データ送信部119は、販売分析装置103から要求を受けると、その要求に関連する画像データ116を画像記憶部118から読み出して販売分析装置103へ送信する。
【0038】
(販売分析装置103)
販売分析装置103は、店舗における商品の販売機会損失を計数する装置である。販売分析装置103は、画像データ116の分析により得られる顧客の移動経緯と販売履歴データ115から得られる商品の販売履歴とに基づいて、商品の販売機会損失を計数する。
【0039】
販売分析装置103は、
図5に示すように、移動経緯取得部120と、停留検出部121と、領域記憶部122と、レジ待ち検出部123と、陳列記憶部124と、抽出部125と、会計状況取得部126と、計数部127と、を備える。
【0040】
移動経緯取得部120は、画像データ送信部119から送信された画像データ116を解析することによって、店舗内の人の移動経緯を求める。
【0041】
移動経緯とは、店舗内の人ごとに、その人が店舗に入ってから出るまでの間に移動した経路を、予め定められた時間間隔(例えば、フレームレート)で観測することによって得られる情報である。
【0042】
具体的には例えば、移動経緯は、店舗内の人ごとに、店舗内でその人が所在する位置とこの位置に関連付けられた日時とを含む。位置は、例えば、
図2に示す店舗内の平面図において、左下の隅を原点とした2次元の直交座標系で表される。日時は、例えば、年月日及び時分秒で表される。
【0043】
移動経緯取得部120は、詳細には、画像取得部128と、画像処理部129と、対応付けデータ記憶部130と、変換部131とを有する。
【0044】
画像取得部128は、画像データ送信部119から送信された画像データ116を取得する。
【0045】
画像処理部129は、画像データ116を解析することによって、店舗内の人が画像中でどこをいつ通過したかを求める。
【0046】
対応付けデータ記憶部130には、空間対応付けデータ132が記憶される。空間対応付けデータ132は、画像中の位置と実空間における位置とを対応付けるためのデータである。
【0047】
変換部131は、対応付けデータ記憶部130に記憶された空間対応付けデータ132と画像処理部129が求めた結果とに基づいて、店舗内の人が実空間のどこをいつ通過したかを求める。
【0048】
停留検出部121は、移動経緯取得部120によって求められた移動経緯に基づいて、店舗内の人の停留地点を求める。停留地点とは、店舗内の人が停留時間以上停留した地点である。ここで、停留時間は、適宜予め定められる時間であって、例えば、顧客が商品を購入するために商品棚に立ち寄る最小時間、平均時間などが設定されるとよい。
【0049】
領域記憶部122には、予め設定される領域の位置を示すデータが記憶される。詳細には、領域記憶部122には、顧客対応領域データ133と、会計領域データ134とが記憶される。
【0050】
顧客対応領域データ133は、上述の顧客対応領域の位置を示すデータである。顧客対応領域の位置は、
図6(a)に例示するように、実空間における座標値により表されるとよい。
図6(a)に例示する顧客対応領域データ133は、
図2に示すような概ね矩形の顧客対応領域に対応して、顧客対応領域の四隅の各々の実空間における座標値を含む。
【0051】
会計領域データ134は、会計領域の位置を示すデータである。会計領域は、店舗の顧客が会計の際に位置する領域として予め定められた領域であって、レジスターの位置に対応付けて定められる。会計領域の位置、形状、大きさなどは、適宜定められてよいが、本実施の形態では、例えば
図2に示すように、概ね矩形の領域が設定されているものとする。
【0052】
会計領域データ134において、会計領域の位置は、
図6(b)に例示するように、実空間における座標値により表されるとよい。
図6(b)に例示する会計領域データ134は、
図2に示すような概ね矩形の会計領域に対応して、会計領域の四隅の各々の実空間における座標値を含む。
【0053】
レジ待ち検出部123は、移動経緯取得部120によって求められた移動経緯に基づいて、レジ待ち領域を検出する。レジ待ち領域とは、店舗内で会計のために待つ人が占める領域である。
【0054】
陳列記憶部124には、陳列データ135が記憶される。陳列データ135は、店舗内の各商品の陳列場所を示すデータである。陳列データ135では、商品を示す情報と陳列場所を示す情報とが関連付けられている。
【0055】
抽出部125は、停留地点で検出された人の各々について、陳列データ135に基づいて、店舗内のうちレジ待ち領域を除いた領域に含まれる停留地点に対応する商品を抽出する。
【0056】
会計状況取得部126は、停留地点が検出された人の各々について、移動経緯に基づいて、会計領域の通過状況を求める。会計領域の通過状況には、会計領域を通過したか否か、通過した場合に何時通過したか、などが含まれる。
【0057】
詳細には、会計状況取得部126は、会計判別部136と、会計時期取得部137とを含む。
【0058】
会計判別部136は、移動経緯に基づいて、停留地点が検出された人の各々が会計したか否かをレジの通過状況として判別する。
【0059】
会計時期取得部137は、会計したと会計判別部136によって判別された場合に、移動経緯に基づいて、当該会計がなされた時期である会計時期を求める。
【0060】
計数部127は、抽出部125によって抽出された商品が購入されていない場合に、当該購入されていない商品の販売機会損失として計数する。計数部127は、販売機会損失を計数するために、少なくとも、会計状況取得部126によって求められた会計領域の通過状況を参照する。
【0061】
詳細には、計数部127は、会計していないと会計判別部136によって判別された場合に、当該判別の対象となった人について抽出部125によって抽出された商品の販売機会損失として計数する。
【0062】
さらに、計数部127は、会計していると会計判別部136によって判別された場合に、POSデータ送信部114から販売履歴データ115を取得して、当該取得した販売履歴データ115を参照する。そして、計数部127は、抽出部125によって抽出された商品のうち、所定の時期に購入されていない商品がある場合に、当該購入されていない商品の販売機会損失として計数する。
【0063】
この「所定の時期」は、会計時期取得部137によって求められた会計時期に応じた時期を意味する。具体的な例を挙げると、「所定の時期」は、会計時期取得部137によって求められた会計時期であってもよく、この会計時期を基準として予め定められる時間的な範囲内であってもよい。
【0064】
これまで、本発明の実施の形態1に係る販売管理システム100の構成について説明した。ここから、本実施の形態に係る販売管理システム100の動作について説明する。
【0065】
販売管理システム100のうち、本発明に特徴的な販売分析装置103は、
図8のフローチャートに示すような販売分析処理を実行する。販売分析処理は、店舗における商品の販売機会損失を計数する処理である。販売分析処理は、例えば月に一度の予め定められた時期に実行してもよく、販売分析装置103がユーザからの指示を受け付けると、その指示に応じて実行されてもよい。
【0066】
なお、ユーザからの指示は、例えば、図示しないボタン、タッチパネルなどで構成される入力部を介して販売分析装置103に与えられる。
【0067】
計数部127は、各商品に対応付けられたカウンタに「0」を設定する(ステップS101)。このカウンタは、各商品の販売機会損失を計数するためのものである。
【0068】
移動経緯取得部120は、防犯管理装置107から画像データ116を取得して、この画像データ116解析することによって、店舗内の人の移動経緯を求める(ステップS102)。
【0069】
詳細には、移動経緯取得処理(ステップS102)では、
図9のフローチャートに示すように、画像取得部128が、防犯管理装置107に画像データ116の要求を送信する(ステップS111)。画像取得部128は、この要求に応答して画像データ送信部119から送られた画像データ116を取得する(ステップS112)。
【0070】
画像処理部129は、画像データ116を解析する(ステップS113)。これによって、画像処理部129は、店舗内の人が画像中でどこをいつ通過したかを求める。
【0071】
より詳細には、画像処理部129は、画像データ116に含まれる動画像を構成するフレームの各々において、人を特定する。
図10に例示するようにフレームを予め定めた大きさの格子状に分割した複数の小領域を利用して、画像処理部129は、人が小領域のいずれに含まれているかを特定する。このように画像データ116を解析することによって、画像処理部129は、店舗内の人が、フレームを分割した複数の小領域のいずれをいつ通過したかを求める。
【0072】
なお、本実施の形態では、フレームを格子状の複数の小領域に分割する例を説明したが、複数の小領域の形状及び大きさは、適宜設定されてよい。
【0073】
変換部131は、解析処理(ステップS113)の結果を取得する(ステップS114)。
【0074】
ここでの、解析処理(ステップS113)の結果は、画像中の人の位置を示す情報であって、例えば人が占める小領域を特定する情報である。
【0075】
変換部131は、対応付けデータ記憶部130に記憶された空間対応付けデータ132を参照する(ステップS115)。
【0076】
本実施の形態では、上述の通り、フレームを小領域に分割して画像処理が行われる。このことに対応して、画像中の位置と実空間における位置との対応付けは、フレームを分割した複数の小領域の各々と店舗内の実空間とを対応付けることでなされるとよい。そのため、空間対応付けデータ132では、例えば、複数の小領域の各々の四隅を特定するための情報と、店舗内の位置を示す情報とが関連付けられるとよい。店舗内の位置を示す情報は、例えば、上述した店舗内の実空間に対応する座標系での座標値で表される。
【0077】
変換部131は、ステップS114にて取得された解析処理の結果とステップS115にて参照された空間対応付けデータ132とに基づいて、店舗内で人が所在している画像中の位置を実空間の位置に変換する(ステップS116)。
【0078】
詳細には、変換部131は、解析処理の結果と空間対応付けデータ132とに基づいて、画像において人が占める小領域を特定する情報を、上述の店舗内に対応する座標系での座標値を示す情報に変換する。ここでの「店舗内に対応する座標系での座標値」は、実空間における位置の一例である。なお、画像において人が小領域の一部を占める場合には、例えば按分することによって、画像において人が占める小領域の一部が店舗内の位置に変換されてもよい。
【0079】
このようなステップS116を実行することによって、変換部131は、店舗内の人が実空間のどこをいつ通過したかを求める。
図11は、ステップS116の処理を実行することによって求められる移動経緯を滑らかにつないだ線(移動曲線)L1を、店舗内を上方から見た図にマッピングして模式的に示す図である。
【0080】
図8を再び参照する。
停留検出部121は、ステップS102にて求められた移動経緯に基づいて、店舗内の人の停留地点を求める(ステップS103)。
【0081】
図11に示す例では、この顧客は、商品棚Dの前で移動範囲が予め定められた範囲内にある。このような商品棚Dの前での移動範囲に停留時間以上留まっていた場合、この移動範囲が、停留地点P1として検出される。
【0082】
レジ待ち検出部123は、ステップS102にて求められた移動経緯に基づいて、レジ待ち領域を検出する(ステップS104)。
【0083】
詳細には、レジ待ち領域は、2つの異なる時点の店舗内の人の移動経緯を比較することによって検出される。
【0084】
まず、第1の時点において、
図12に示すように、予め定められた判定距離Dより近い複数の停留地点を含む領域がある場合に、この領域が、候補領域CPとして検出される。候補領域CPとは、レジ待ち領域の候補となる領域を意味する。
【0085】
図12は、第1の時点において店舗内にいる人の移動経緯を、
図11と同様に店舗内を上方から見た図にマッピングして模式的に示す図である。
図12は、店舗内に3人の顧客A〜Cが居る例を示しており、顧客A〜Cのそれぞれの移動経緯を滑らかにつないだ線(移動曲線)L2〜L4を含む。
【0086】
例えば、実線で示す移動曲線L2は、顧客Aの移動経緯に対応する。一点鎖線で示す移動曲線L3は、顧客Bの移動経緯に対応する。二点鎖線で示す移動曲線L4は、顧客Cの移動経緯に対応する。
【0087】
図12を参照すると分かるように、顧客Aは、入店してから商品棚Eの前の停留地点P2を経て、第1の時点で停留地点P3にいる。顧客Bは、入店してから商品棚Bの前の停留地点P4を経て、第1の時点で停留地点P5にいる。顧客Cは、入店してから商品棚Cの前の停留地点P6を経て、第1の時点で停留地点P7にいる。
【0088】
そして、停留地点P3と停留地点P5とが判定距離Dより近い。停留地点P5と停留地点P7とが判定距離Dより近い。そのため、停留地点P3と停留地点P5と停留地点P7とを含む領域が、候補領域CPとして検出される。
【0089】
なお、本実施の形態において、停留地点は、広がりがある移動範囲として検出されているが、この場合の異なる停留地点間の距離は、例えば、停留地点の外縁の最短距離であってもよく、停留地点の中心間の距離であってもよい。
【0090】
次に、第2の時点において、候補領域に居た人のうちの少なくとも1人が会計領域で検出され、残りの人が候補領域に留まっている場合に、当該候補領域は、レジ待ち領域として検出される。
【0091】
ここで、第2の時点は、第1の時点よりも後の時点である。例えば、第2の時点は、第1の時点から予め定められた時間が経過した時点として設定されるとよい。そして、この「予め定められた時間」には、店舗での会計に要する平均的な時間、店舗での会計に要する最短時間又は最大時間、店舗での会計に要する最短時間と最大時間との間の時間などを参照して設定されるとよい。具体例を挙げると、「予め定められた時間」には、15秒、30秒、40秒、45秒、60秒、90秒などの1つ又は複数が採用されるとよい。
【0092】
図13は、第2の時点において店舗内にいる人の移動経緯を、
図11と同様に店舗内を上方から見た図にマッピングして示す図である。
図13では、分かり易くするため、停留地点P3,P5,P7を図示していない。
【0093】
図13に示すように、第2の時点では、顧客Aが会計領域で検出されている。また、顧客B,Cは、それぞれ、停留地点P8,P9での停留が検出されており、停留地点P8,P9が、いずれも、候補領域CPに含まれている。そのため、第1の時点で検出された候補領域CPが、第1の時点でのレジ待ち領域として検出される。
【0094】
なお、停留地点P8,P9は、それぞれの予め定められた割合以上が候補領域CPと重なり合っている場合に、候補領域CPに含まれていると判定されてもよい。
【0095】
このように、次の(1)と(2)とを満たす場合に、候補領域が、レジ待ち領域として検出される。(1)は、候補領域が第1の時点に検出されることである。(2)は、第2の時点において、候補領域に含まれる停留地点に停留した複数の人のうち、少なくとも1人の停留地点が会計領域で検出され、残りの人の停留地点が候補領域で検出されることである。
【0096】
店舗内のうち、ステップS104で検出されたレジ待ち領域以外で停留した人の各々について、ステップS106〜S108を繰り返す(ループA;ステップS105)。
【0097】
抽出部125は、陳列データ135を参照する。抽出部125は、陳列データ135に基づいて、店舗内のうちレジ待ち領域を除いた領域に含まれる停留地点に対応する商品を抽出する(ステップS106)。
【0098】
会計状況取得部126が、移動経緯に基づいて会計領域の通過状況を求めると、計数部127が、会計領域の通過状況に基づいて、販売機会損失を計数する(ステップS107)。
【0099】
詳細には、計数処理(ステップS107)では、
図14に示すように、会計判別部136が、移動経緯に基づいて、ループA(ステップS105)にて処理対象となっている人が会計したか否かを判別する(ステップS121)。
【0100】
このステップS121における判別は、例えば、処理対象となっている人が、会計領域に留まった時間に従って判別されるとよい。
【0101】
より詳細には例えば、店舗に入ってから出るまでの間に、会計に要する最短時間よりも長く会計領域に留まった人は、会計をしたと判定されるとよい。また、店舗に入ってから出るまでの間に、会計領域に立ち入らなかった人は、会計をしなかったと判定されるとよい。さらに、店舗に入ってから出るまでの間に、会計領域に立ち入ったが、会計に要する最短時間以下で会計領域を通り過ぎた人は、会計をしなかったと判定されるとよい。なお、ここでの「会計に要する最短時間」は、会計したか否かの判別基準となる時間の一例に過ぎず、適宜設定されてよい。
【0102】
会計しなかったと判別された場合(ステップS121;No)、計数部127は、ステップS106にて抽出された商品がすべて購入されていないので、当該購入されていない商品の販売機会損失として計数する(ステップS122)。
【0103】
ステップS121での処理は、停留地点が検出された各人を対象に行われる。そのため、会計をしなかったと判別された場合、判別の対象となった人は、商品棚に立ち寄ったにも関わらず、その商品棚に陳列されている商品の購入には至っていない。
【0104】
ステップS122では、このような場合に、購入されていない商品の販売機会損失として計数されることになる。より具体的には、その商品に対応付けられたカウンタに1を加算する。ステップS106にて抽出された商品が複数ある場合には、各商品に対応付けられたカウンタに1を加算する。
【0105】
会計したと判別された場合(ステップS121;Yes)、会計時期取得部137は、移動経緯に基づいて、当該会計がなされた時期である会計時期を求める(ステップS123)。
【0106】
詳細には、会計時期取得部137は、移動経緯に基づいて、処理対象となっている人が会計領域に留まった時期を特定し、この特定した時期を会計時期として求める。会計時期は、例えば、処理対象となっている人が会計領域に進入した日時(年月日及び時刻)と会計領域から退出した日時とを含む。
【0107】
計数部127は、POS管理装置105に販売履歴データ115の要求を送信して、POSデータ送信部114から販売履歴データ115を取得する(ステップS124)。
【0108】
計数部127は、ステップS106で抽出された商品のうち、会計時期に応じた時期に購入されていない商品があるか否かを判別する(ステップS125)。このステップS125では、計数部127は、ステップS123にて求められた会計時期と、ステップS124にて取得した販売履歴データ115とに基づいて判別する。
【0109】
詳細には、計数部127は、ステップS124にて取得した販売履歴データ115を参照し、ステップS123にて求められた会計時期に、ステップS106で抽出された商品がすべて購入されているか否かを判別する。ステップS106で抽出された商品のうちで購入されていない商品が1つでもある場合、計数部127は、購入されていない商品があると判別する。ステップS106で抽出された商品がすべて購入されている場合、計数部127は、購入されていない商品がないと判別する。
【0110】
ここで、移動経緯に基づいて判別される時刻と販売履歴データ115に登録される時刻とに、誤差によるズレが生じる場合がある。ステップS123にて求められた会計時期に限られず、当該会計時期を基準に予め定めた時間を広げた時期に、ステップS106で抽出された商品が購入されているか否かが判別されてもよい。すなわち、ステップS106で抽出された商品が、ステップS123にて求められた会計時期に応じた時期に購入されたか否かが判別されるとよい。このように、「会計時期に応じた時期」は、会計時期だけでなく、当該会計時期を基準に予め定めた時間を広げた時期などを含む。
【0111】
計数部127は、購入されていない商品がないと判別した場合(ステップS125;No)、計数処理(ステップS109)を終了し、
図8に示す販売分析処理に戻る。
【0112】
計数部127は、購入されていない商品があると判別した場合(ステップS125;Yes)、当該購入されていない商品の販売機会損失として計数する(ステップS126)。
【0113】
ステップS125の処理の対象となる人は、停留地点が検出された後に、会計をした人である。そのため、何らかの商品を購入している可能性が高い。しかし、処理の対象となっている人について、ステップS103にて検出された停留地点に関連する商品のすべてが購入されたとは限らない。ステップS103にて検出されたすべての停留地点に関連する商品のうち、1つでも購入されていない商品があれば、その商品の販売機会損失が発生している。ステップS126では、このような場合に、購入されていない商品の販売機会損失として計数されることになる。
【0114】
詳細には、計数部127は、販売履歴データ115に基づいて、処理の対象となっている人の会計時期に、当該処理の対象となっている人についてステップS106で抽出された商品のうち、購入されていない商品を特定する。そして、計数部127は、特定した商品に対応付けられたカウンタに1を加算する。ここで、処理の対象となっている人についてステップS106で抽出された商品のうち、購入されていない商品が複数特定された場合、計数部127は、特定した複数の商品の各々に対応付けられたカウンタに1を加算する。
【0115】
販売分析装置103は、レジ待ち領域以外で停留した人のすべてについて、ステップS106〜S107の処理を実行すると、ループA(ステップS105)の処理を終了して、販売分析処理を終了する。
【0116】
これまで、本発明の実施の形態1に係る販売管理システム100について説明した。
【0117】
本実施の形態によれば、販売分析装置103は、レジ待ち領域を検出するためのレジ待ち検出部123を備える。そして、抽出部125は、停留地点が検出された人の各々を対象に、レジ待ち領域を除いた領域に含まれる停留地点に対応する商品を抽出する。計数部127は、会計状況取得部126により求められた会計領域の通過状況に基づいて、抽出された商品のうち、購入されていない商品について販売機会損失を計数する。
【0118】
このように、レジ待ちのための滞留を考慮した販売機会損失を計数することができる。従って、店舗内の商品の販売機会損失を精度良く求めることが可能になる。
【0119】
本実施の形態によれば、会計判別部136は、停留地点が検出された人の各々が会計したか否かを、会計領域の通過状況として求める。実施の形態でも説明したように、会計していない人は、その人について抽出部125が抽出した商品をすべて購入していない。すなわち、会計していない人の場合、その人について抽出部125が抽出した商品のすべての販売機会損失が発生していることになる。
【0120】
停留地点が検出された人の各々が会計したか否かは、移動経緯に基づいて求めることができる。そのため、販売履歴データ115などを参照しなくてもよいため、処理が容易である。従って、精度の良い、商品の販売機会損失を容易に求めることが可能になる。
【0121】
本実施の形態によれば、会計時期取得部137は、会計判別部136により会計したと判別された場合に、当該判別の対象となった人の各々について、移動経緯に基づいて会計時期を求める。そして、計数部127は、さらに、販売履歴データ115を参照して、抽出部125によって抽出された商品のうち、会計時期に応じた時期に購入されていない商品がある場合に、当該購入されていない商品の販売機会損失として計数する。
【0122】
このように、会計時期を求めて販売履歴データ115を参照することで、会計した顧客の停留地点に関連する商品と当該顧客が実際に購入した商品とを比較して、商品の販売機会損失を求めることができる。このように、会計した顧客に関連する商品の販売機会損失を求めることができるので、店舗内の商品の販売機会損失を、より精度良く求めることが可能になる。
【0123】
本実施の形態によれば、レジ待ち領域は、第1の時点と第2の時点との各時点に店舗にいる人の移動経緯を比較することで検出することができる。すなわち、移動経緯に基づいて、レジ待ち領域を検出することができる。このように、レジ待ち領域を容易に検出して、検出されたレジ待ち領域を考慮した精度の良い販売機会損失を求めることができる。従って、精度の良い、商品の販売機会損失を容易に求めることが可能になる。
【0124】
(実施の形態2)
店舗内を移動する人は、顧客に限られず、店員もいる。しかし、実施の形態1では、顧客と店員とを区別せずに、販売機会損失を求めた。本実施の形態では、店員を自動的に判別し、店員を除いた店舗内の人の移動経緯を基に、販売機会損失を求める例を説明する。
【0125】
本発明の実施の形態2に係る販売管理システムは、物理的には、実施の形態1に係る販売管理システム100と同様に構成されるとよい。POSシステム101及び防犯カメラシステム102の各システムは、機能的にも、実施の形態1と同様に構成されるとよい。
【0126】
本実施の形態に係る販売管理システムと実施の形態1に係る販売管理システム100とでは、販売分析装置103,203の機能的な構成が異なる。
【0127】
本実施の形態に係る販売分析装置203は、
図15に示すように、店員検出部238をさらに備え、実施の形態1に係る停留検出部121に代わる停留検出部221を備える。
【0128】
本実施の形態に係る販売分析装置203は、これらの点を除いて、実施の形態1に係る販売分析装置103と同様の機能的な構成を備える。実施の形態1と同様の構成に関する説明は、説明を簡明にするため省略する。
【0129】
店員検出部238は、移動経緯に基づいて、店舗内の人のうち、店員を検出する。
【0130】
停留検出部221は、実施の形態1に係る停留検出部121と同様に、移動経緯取得部120によって求められた移動経緯に基づいて、店舗内の人の停留地点を求める。本実施の形態に係る停留検出部221が検出する停留地点は、店舗内の人のうち、店員以外の人が停留時間以上停留した地点である。
【0131】
これまで、本発明の実施の形態2に係る販売管理システムの構成について説明した。ここから、本実施の形態に係る販売管理システムの動作について説明する。
【0132】
本実施の形態に係る販売分析装置203は、概ね実施の形態1と同様の販売分析処理を実行する。本実施の形態に係る販売分析処理にて、販売分析装置203は、
図16のフローチャートに示すように、実施の形態1と同様のステップS101〜S102の処理を実行する。
【0133】
その後に、販売分析装置203は、店員検出処理(ステップS208)と、実施の形態1に係る停留地点検出処理(ステップS103)に代わる停留地点検出処理(ステップS203)とを実行する。そして、販売分析装置203は、実施の形態1と同様のステップS104以降の処理を実行する。
【0134】
本実施の形態では、説明を簡明にするため、本実施の形態に特徴的な店員検出処理(ステップS208)と停留地点検出処理(ステップS203)について説明し、その他の処理(ステップS101〜S102,ステップS104〜S107)の説明を省略する。
【0135】
店員検出部238は、移動経緯に基づいて、店舗内の人が店舗内の予め定められた店員領域に移動したか否かを判定し、店員領域に移動した人を店員として検出する(ステップS208)。
【0136】
本実施の形態に係る店員領域には、店員のみが進入を許された顧客対応領域、バックヤードが設定される。すなわち、本実施の形態に係る店員検出部238は、店舗内の人のうち、顧客対応領域にいる人、顧客対応領域に入った人及び顧客対応領域から出てきた人を、店員として検出する。また、店員検出部238は、店舗内の人のうち、バックヤードに入った人及びバックヤードから出てきた人を、店員として検出する。
【0137】
例えば、
図17に示す移動曲線L5は、バックヤードからの出入り及び顧客対応領域での停留を含んでいる。このような移動曲線L5は、店員の移動経緯に基づくものであると分かる。
【0138】
なお、店員領域は、これらに限られず、適宜設定されるとよい。
【0139】
停留検出部221は、店員を除く店舗内の人が停留時間以上停留した停留地点を、移動経緯に基づいて検出する。
【0140】
これまで、本発明の実施の形態2に係る販売管理システムについて説明した。
【0141】
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、次の効果を奏する。
【0142】
本実施の形態によれば、販売分析装置203が、店員検出部238を備える。そして、停留検出部221が、店員を除く店舗内の人が停留時間以上停留した停留地点を、移動経緯に基づいて検出する。
【0143】
そのため、店舗内の人のうち店員を除く人を対象に、停留地点を検出して機会損失を求めることができる。また、店舗内の人から店員を自動的に除くことができる。従って、より精度の良い店舗内の商品の販売機会損失を、容易に求めることが可能になる。
【0144】
以上、本発明の実施の形態及び変形例について説明したが、本発明は、これらに限られない。例えば、本発明は、これまで説明した実施の形態及び変形例の一部又は全部を適宜組み合わせた形態、その形態に適宜変更を加えた形態をも含む。