特許第6562499号(P6562499)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6562499-二輪車搭載用索道搬器 図000002
  • 特許6562499-二輪車搭載用索道搬器 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562499
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】二輪車搭載用索道搬器
(51)【国際特許分類】
   B61B 12/02 20060101AFI20190808BHJP
   B61B 12/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B61B12/02 A
   B61B12/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-48988(P2015-48988)
(22)【出願日】2015年3月12日
(65)【公開番号】特開2016-168901(P2016-168901A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】天谷 広郎
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−044743(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第01849655(EP,A1)
【文献】 特開2013−159186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 11/00
B61B 12/00
B60R 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
索条を握索する握索機と、該握索機に前後方向へ揺動自在に吊下したサスペンダーと、該サスペンダーに吊下され、複数の二輪車をそれぞれ搭載するラックレールを有する二輪車搭載フレームと、を備え、
前記二輪車搭載フレームは、前記サスペンダーから下方に向けて延びた垂直部材と、該垂直部材の下端部に固着されて左右横方向へ延びた横梁と、該横梁の左右の位置に互いに平行に前後方向に延びた前記各ラックレールとを有し、
前記各ラックレールは、断面形状がV字状であり、進行方向に対して後端部の位置から前方へ向けて緩やかに上昇して傾斜する後部傾斜部と、該後部傾斜部に続いて斜め前方下方へ屈折する前部傾斜部と、該前部傾斜部の下端部から前方へ水平に突出する前部水平部とからなり、該前部水平部の前部には前記二輪車の前輪を左右から保持する前輪保持部材を備えたことを特徴とする二輪車搭載用索道搬器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキー場等の索道において、二輪車を搭載して輸送することのできる索道搬器に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、シーズンオフ時のスキー場のゲレンデや林間コースを利用して、マウンテンバイク等の二輪車を用いてスポーツやレジャーを行うようにしたスキー場が増えてきている。これらのスキー場には、スキーシーズン中にスキーヤーやスノーボーダーを輸送する索道設備を備えており、一部のスキー場においてはこの索道設備により二輪車を輸送するようにしているところもある。
【0003】
一般的に、ゴンドラリフトのように大型の設備は、規模の大きなスキー場にしか設備されていないが、チェアリフトであればほぼ全てのスキー場に備え利用されている。したがって、チェアリフトを二輪車の輸送に利用できれば、より多くのスキー場で二輪車の輸送が可能になる。このようなことから、従来、チェアリフトに二輪車を搭載する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1に記載のマウンテンバイク運搬装置は、キャリヤ(搬器)の後部にT字形状の運搬用部材を取り付け、この運搬用部材から後方に突出して設けたフックにマウンテンバイクの水平フレームを掛止するようにしている。また、特許文献2に記載の二輪車搬送機能付きリフト搬器は、搬器のフレーム後部において、側方の高い位置に設けられた第1車輪保持部と、他方の側方の低い位置に設けられた第2車輪保持部とに、二輪車の車輪を掛止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−47271号公報
【特許文献2】特開2006−281910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来例においては、チェアリフト搬器の後部に二輪車を搭載するようにしており、一台の搬器に付一台の二輪車しか輸送できないという難点があった。一方、近時ゴンドラリフトを運行する索道設備においても複数の二輪車を輸送したいという要望があり、この場合には容易に二輪車を積み込むことができるとともに、二輪車の姿勢を安定した状態に保持できることが要求される。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、複数の二輪車を容易に積み込むことができるとともに、二輪車の姿勢を安定した状態に保持できる二輪車搭載用索道搬器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、索条を握索する握索機と、該握索機に前後方向へ揺動自在に吊下したサスペンダーと、該サスペンダーに吊下され、複数の二輪車をそれぞれ搭載するラックレールを有する二輪車搭載フレームと、を備え、前記二輪車搭載フレームは、前記サスペンダーから下方に向けて延びた垂直部材と、該垂直部材の下端部に固着されて左右横方向へ延びた横梁と、該横梁の左右の位置に互いに平行に前後方向に延びた前記各ラックレールとを有し、前記各ラックレールは、断面形状がV字状であり、進行方向に対して後端部の位置から前方へ向けて緩やかに上昇して傾斜する後部傾斜部と、該後部傾斜部に続いて斜め前方下方へ屈折する前部傾斜部と、該前部傾斜部の下端部から前方へ水平に突出する前部水平部とからなり、該前部水平部の前部には前記二輪車の前輪を左右から保持する前輪保持部材を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、V字形状のラックレールに沿って容易にそれぞれの二輪車を乗り込ませることができ、ラックレールと前輪保持部材とによりそれぞれの二輪車を安定した姿勢に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】索道搬器の側面図
図2】索道搬器の正面図
図3図1におけるA−A矢視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2は、二輪車30を搭載する索道搬器10の側面図及び正面図であり、図3は、図1におけるA−A矢視図である。この索道搬器10は、ゴンドラリフトの設備を利用するものであり、各図中においては、ゴンドラ客車の外形を2点鎖線で示している。本実施の形態は、ゴンドラ客車に替えて後記する二輪車搭載フレーム14を用いるものである。
【0012】
索道搬器10は、索条11を握索する握索機12と、この握索機12に前後方向へ揺動自在に吊下したサスペンダー13と、このサスペンダー13に吊下した二輪車搭載フレーム14とからなっており、索条11の移動にともなって線路中を移動する。図に示した索道搬器10は、自動循環式索道に用いられる索道搬器10であって、握索機12は索条11を握放索自在に構成されており、停留場においては索条11を放索した後、減速して低速度で停留場内を回送され、またその間に停留場内で停止することができる。
【0013】
二輪搭載フレーム14は、以下のように構成されている。まず上部において、前部及び後部の位置で横方向に延びる横部材15、16を備え、この横部材15、16の長手方向中間部を縦部材17により連結している。横部材15、16の両端部には、吊りプレート18が上部へ突出する形状で固着されており、この部分がサスペンダー13に連結されて吊下されている。縦部材17の中間部からは、垂直部材19が下方に向けて延びており、一方、前方の横部材15の中間部からは、傾斜部材20が斜め下方へ向けて延び、横部材15と垂直部材19の下部とを連結している。
【0014】
垂直部材19の下端には、左右横方向へやや長めに延びる横梁21が固着されており、この横梁21の両端には、上下方向へ延びるガイド部材22を備えている。このガイド部材22は、停留場内に敷設された搬器ガイド23(図2参照)に当接し、索道搬器10が横方向へ振れるのを防止する。このことから、ガイド部材22の外側側面は、摺動性の良いナイロン樹脂等により構成することが好ましい。
【0015】
横梁21には、左右の位置で互いに平行して前後方向へ延びるラックレール24を備えている。ラックレール24は、鋼板を断面V字状に折り曲げ形成したものであって、図1に示すように、索道搬器10の進行方向に対して後端部の位置から前方へ向けて緩やかに上昇して傾斜する後部傾斜部24aと、索道搬器10の中心位置を過ぎた位置で斜め前方下方へ屈折する前部傾斜部24bと、この前部傾斜部24bの下端部から前方へ水平に突出する前部水平部24cとからなっている。ラックレール24の前端部には、斜め上方へ向けて前輪保持部材25を備えている。前輪保持部材25は、丸鋼管や丸棒鋼等を逆U字形状に形成したものであって、二輪車30の前輪をこれに挿入して左右から前輪を保持するようになっている。また、ラックレール24の後端部には、二輪車30の車輪幅よりもやや広く平行して後輪保持部材26を設け、後輪がラックレール24から左右方向へ外れないようにしている。
【0016】
以上の構成により、索道搬器10が停留場内を回送されているとき、または停止しているときに、次ぎのようにして二輪車30を搭載する。まず、二輪車30の前輪を後方からラックレール24の後部傾斜部24aに持ち上げて載せ、その状態で二輪車30を前方へ押し進める。このとき、ラックレール24の形状がV字状であるので、前輪がこれに誘導されて直進することができる。二輪車30の前輪が前側の前部傾斜部24bの位置にくると、これに沿って二輪車30は自重により前方へ移動するので、後輪を持ち上げて後部傾斜部24aに載せる。前輪がラックレール24の前部水平部24cまで落下すると搭載が完了する。
【0017】
搭載された二輪車30は、ラックレール24の後方下方へ傾斜した後部傾斜部24aに後輪が載っているために、全体として後方へ引き下げられる方向に力が作用し、前輪は前端の前部水平部24cに載るとともに前部傾斜部24bに押圧されることで二輪車30の姿勢が安定する。また、二輪車30の前輪が前輪保持部材25に保持されることにより、二輪車30が左右に転倒することもない。
【符号の説明】
【0018】
10 索道搬器
11 索条
12 握索機
13 サスペンダー
14 二輪車搭載フレーム
15 横部材
16 横部材
17 縦部材
18 吊りプレート
19 垂直部材
20 傾斜部材
21 横梁
22 ガイド部材
23 搬器ガイド
24 ラックレール
24a 後部傾斜部
24b 前部傾斜部
24c 前部水平部
25 前輪保持部材
26 後輪保持部材
30 二輪車
図1
図2
図3