特許第6562522号(P6562522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6562522カルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン化合物を含む医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562522
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】カルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン化合物を含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/495 20060101AFI20190808BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20190808BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20190808BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20190808BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20190808BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   A61K31/495ZNA
   A61K31/496
   A61P3/10
   A61P25/00
   A61P29/00
   A61P43/00 111
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-214151(P2017-214151)
(22)【出願日】2017年11月6日
(62)【分割の表示】特願2016-82519(P2016-82519)の分割
【原出願日】2011年7月8日
(65)【公開番号】特開2018-58855(P2018-58855A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2017年12月6日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0065950
(32)【優先日】2010年7月8日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511245972
【氏名又は名称】エスケー バイオファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ホンシク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ハンチュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウンヒ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,サンミ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヘウォン
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/140198(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/140197(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/495
A61K 31/496
A61P 3/10
A61P 25/00
A61P 29/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患を予防または治療するための医薬組成物であって、
該疾患が、糖尿病性神経障害であり、
該医薬組成物が、式(I)
【化1】
(式中、Xは、水素、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル、F、ClまたはBr含有ハロゲン、直鎖または分岐鎖C〜Cアルコキシ、ニトロおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される1以上を含み;
は、水素、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル、ハロゲン、直鎖または分岐鎖C〜Cアルコキシ、ニトロ、トリフルオロメチルからなる群から選択される1以上を含み、Xがこれらのうちの2以上を含む場合、互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する炭素原子とともに環を形成してもよく;
Yは、水素もしくはメチルであるか、または隣接した炭素原子とともにカルボニルを形成する)
で示される化合物、その薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物または水和物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される治療有効量の化合物と薬学的に許容される担体とを含み、
前記化合物が、15−リポキシゲナーゼ阻害作用を有することを特徴とする医薬組成物であって、前記糖尿病性神経障害が糖尿病性末梢神経系神経障害である医薬組成物
【請求項2】
疾患を予防または治療するための医薬組成物であって、
該疾患が、糖尿病性炎症であり、
該医薬組成物が、式(I)
【化2】
(式中、Xは、水素、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル、F、ClまたはBr含有ハロゲン、直鎖または分岐鎖C〜Cアルコキシ、ニトロおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される1以上を含み;
は、水素、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル、ハロゲン、直鎖または分岐鎖C〜Cアルコキシ、ニトロ、トリフルオロメチルからなる群から選択される1以上を含み、Xがこれらのうちの2以上を含む場合、互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する炭素原子とともに環を形成してもよく;
Yは、水素もしくはメチルであるか、または隣接した炭素原子とともにカルボニルを形成する)
で示される化合物、その薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物または水和物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される治療有効量の化合物と薬学的に許容される担体とを含み、
前記化合物が、15−リポキシゲナーゼ阻害作用を有することを特徴とする医薬組成物であって、前記糖尿病性炎症が糖尿病性腎症による糖尿病性炎症である医薬組成物。
【請求項3】
前記化合物が、
カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステル、カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−(4−フルオロフェニル)−3−オキソプロピル酸エステル、カルバミン酸3−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−ピペラジン−1−イル)−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステル、カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−オキソプロピルエステル塩酸塩、カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−(4−ニトロフェニル)−3−オキソプロピルエステル、(R)−カルバミン酸3−[4−(4−クロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステル、(S)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステル、(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステル、カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−フェニルブチルエステル、およびカルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−(4−クロロフェニル)−3−オキソプロピルエステルからなる群から選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記疾患が、15−リポキシゲナーゼによる糖尿病性神経障害および糖尿病性炎症からなる群から選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年7月8日に韓国特許庁に出願された韓国特許出願第10−2010−0065950号に基づく利益を主張するものであり、この出願の開示は援用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明はカルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン化合物を含む医薬組成物、ならびに該医薬組成物を使用した、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管合併症、高脂血症、冠動脈疾患および炎症からなる群より選択される疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リポキシゲナーゼは、動植物で見られる非ヘム鉄含有酵素であり、脂質やリポタンパク質等の特定の多価不飽和脂肪酸の酸化を触媒する。特定の酸化反応機構を有するリポキシゲナーゼがいくつか知られている。哺乳類のリポキシゲナーゼは、アラキドン酸のどの位置で酸化を起こすかによって命名される。ヒトにおいては3種のリポキシゲナーゼが知られており、これらの酵素はアラキドン酸の5位、12位および15位への酸素分子の付加を触媒する。したがって、酸素分子が付加される炭素の位置により5−リポキシゲナーゼ、12−リポキシゲナーゼまたは15−リポキシゲナーゼと命名されている。5−リポキシゲナーゼはアラキドン酸を5−ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸(5−HPETE)に変換する。これは、5−ヒドロキシエイコサテトラエン酸(5−HETE)およびロイコトリエン(LT)を産生する代謝経路の第一段階である。同様に、12−リポキシゲナーゼおよび15−リポキシゲナーゼはアラキドン酸をそれぞれ12−HPETEおよび15−HPETEに変換する。さらに、12−HPETEの生化学的減少により、15−HETEリポキシンとして知られている化合物の前駆体である15−HETEが誘導される。様々な生物学的効果はリポキシゲナーゼ活性を持つ生成物と関連しており、これらの生成物の多くが様々な疾患に介在する要因として知られている。15−リポキシゲナーゼは通常、内皮細胞、平滑筋細胞、単球/マクロファージ、糸球体メサンギウム細胞、尿細管上皮細胞および有足細胞に発現しており、アラキドン酸からの15−S−ヒドロキシエイコサテトラエン酸(15−S−HETE)の形成を触媒する(Natarajan and Nadler, Front.Biosci.(2003) 8:s783-795;Reillyら, J. Biol.Chem.(2004) 279(10):9440-9450)。
【0004】
糖尿病性慢性合併症には大血管合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害等が含まれる。糖尿病が数年間続くと、微小血管および大血管に徐々に病的変化が起こる。微小血管における合併症は、高血糖により直接発症する。高血糖によりソルビトールの形成が亢進すると、血管壁の厚さが増大して血流に影響を与え、その結果、血液凝固が亢進する。継続的な高血糖により引き起こされる微小血管の病変が腎臓、神経等に生じると、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害のような糖尿病性慢性合併症が発症するおそれがある。一方、高血糖は大血管合併症の間接的な原因である。また、高血糖状態における脂質代謝異常によるコレステロールの増加は、高血糖の直接的な原因である。
【0005】
先行技術は、15−リポキシゲナーゼが動脈硬化症、糸球体腎炎、高脂血症または炎症の発症に関連することを開示している。また、韓国特許第2008−67364号は15−リポキシゲナーゼ阻害剤としてトリアゾール化合物を開示している。しかしながら、15−リポキシゲナーゼを阻害することにより上記疾患を予防または治療する薬剤はいまだ市販されていない。したがって、そのような疾患を予防または治療するための医薬組成物の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管合併症、高脂血症、冠動脈疾患および炎症からなる群より選択される疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
【0007】
本発明はまた、上記医薬組成物を使用した、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管合併症、高脂血症、冠動脈疾患および炎症からなる群より選択される疾患の治療方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、疾患を予防または治療するための医薬組成物であって、該疾患が、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管合併症、高脂血症、冠動脈疾患、および炎症からなる群から選択されること、ならびに該医薬組成物が、式(I)
【化1】
(式中、Xは水素、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル、F、ClまたはBr含有ハロゲン、直鎖または分岐鎖C〜Cアルコキシ、ニトロおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される1以上を含み;
は、水素、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル、ハロゲン、直鎖または分岐鎖C〜Cアルコキシ、ニトロ、トリフルオロメチルからなる群から選択される1以上を含み、Xがこれらのうちの2以上を含む場合、互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する炭素原子とともに環を形成してもよく;
Yは、水素もしくはメチルであるか、または隣接した炭素原子とともにカルボニルを形成する)
で示される化合物、その薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物または水和物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される治療有効量の化合物と薬学的に許容される担体とを含むことを特徴とする医薬組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による化合物を糖尿病誘発マウスに投与した後の血清中総コレステロールの測定結果を示す。
図2】本発明の一実施形態による化合物を糖尿病誘発マウスに投与した後の血清中トリグリセリドの測定結果を示す。
図3】本発明の一実施形態による化合物を糖尿病誘発マウスに投与した後の腎皮質組織におけるフィブロネクチン発現量の測定結果を示す。
図4】本発明の一実施形態による化合物を糖尿病誘発マウスに投与した後に腎皮質組織においてPAI−1遺伝子から転写されたmRNA量の測定結果を示す。
図5】本発明の一実施形態による化合物を糖尿病誘発マウスに投与後に腎皮質組織においてMCP−1遺伝子から転写されたmRNA量の測定結果を示す。
図6】本発明の一実施形態による化合物を糖尿病誘発マウスに投与後に腎皮質組織においてTGF−β1遺伝子から転写されたmRNA量の測定結果を示す。図1〜6において、*は、対照群と化合物非投与試験群の間に統計的有意差があることを示し、また+は、化合物投与試験群と化合物非投与試験群の間の統計的有意差があることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態による医薬組成物は、上記の式(I)によって示される化合物、その薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物または水和物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される治療有効量の化合物を含んでいてもよい。
別の実施形態では、15−リポキシゲナーゼ関連疾患の治療方法であって、式(I)によって示される化合物、その薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物または水和物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される治療有効量の化合物を治療が必要な対象に投与することを含む方法が提供される。15−リポキシゲナーゼ関連疾患は、糖尿病性合併症、高脂血症、冠動脈疾患および炎症からなる群から選択される。糖尿病性合併症には、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管合併症、糖尿病性高脂血症および糖尿病性炎症が含まれる。
【0011】
「治療」は、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管合併症、高脂血症、冠動脈疾患および炎症からなる群から選択される疾患もしくは病態を有する動物、またはこれらの疾患もしくは病態を有すると診断されていないが、これらの疾患もしくは病態を発症する恐れのある動物における、疾患または病態の発症の予防、疾患または病態の抑制すなわち疾患または病態の発症の抑制、および疾患または病態の緩和すなわち疾患または病態の軽減を指すと解釈される。したがって、「治療有効量」は、薬学的効果すなわち治療効果を得るのに十分な量を指す。
【0012】
本発明の一実施形態による式(I)によって示される化合物は、当技術分野において化合物の合成に関する通常の知識を有する者が、公知の化合物または公知の化合物から容易に調製される化合物を使用して調製したものであってもよい。特に、本発明の化合物の調製方法は、本発明と同一の発明者によって出願された韓国特許第2008−40393号に詳細に開示されており、この文献は援用により本明細書に組み込まれる。本発明の化合物は、上記の引用文献に開示された方法を使用して化学的に合成してもよい。しかしながら、この方法は例示のみを目的として使用される。したがって、この方法の操作手順は必要であれば自由に変更してもよく、本発明の範囲を限定するものではない。
【0013】
本発明の化合物は、式(I)によって示される化合物に加えて、その薬学的に許容される塩すなわちその酸付加塩または塩基付加塩、および式(I)によって示される化合物の立体異性体を包含していてもよい。ここで「薬学的に許容される塩」とは、親化合物の活性を投与対象において維持させ、かつ副作用を引き起こさない様々な塩のいずれか1つであってもよい。薬学的に許容される塩は、無機塩または有機塩であってもよい。酸としては特に限定されないが、例えば酢酸、塩酸、硝酸、アスパラギン酸、スルホン酸、硫酸、マレイン酸、グルタミン酸、ギ酸、コハク酸、リン酸、フタル酸、タンニン酸、酒石酸、臭化水素酸、プロピオン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ステアリン酸(staric acid)、エシル酸、酪酸(butryc acid)、重炭酸、重硫酸(biculfuric acid)、重酒石酸、シュウ酸、酪酸(butylic acid)、エデト酸カルシウム、カンシル酸、炭酸、クロロ安息香酸、クエン酸、エデト酸(idetic acid)、トルエンスルホン酸、edicylinic acid、ecylinic acid、フマル酸、グルセプト酸、パモ酸、グルコン酸、グルコリルアルサニル酸(glycolyllarsanylic acid)、メチル硝酸、ポリガラクツロン酸(polygalatronic acid)、ヘキシルレゾルシン酸(hexyllisorcynonic acid)、マロン酸(maloic acid)、ヒドロキサム酸(hydrobamic acid)、塩酸(hydrochlorinic acid)、ヨウ化水素酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、マンデル酸、estolinic acid、粘液酸、ナフチル酸(naphcylic acid)、ムコン酸、p−ニトロメタンスルホン酸、ヘキサミン酸、パントテン酸、リン酸一水素酸、リン酸二水素酸、サリチル酸、スルファミン酸(sulpamic acid)、スルファニル酸(sulpanylic acid)、メタンスルホン酸およびtheoclic acidなどが挙げられる。付加塩を形成するための酸は、例えば塩酸またはメタンスルホン酸であってもよい。さらに、塩基性塩としては、例えば、アンモニウム塩、およびリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などが挙げられる。さらに詳しくは塩基性塩として、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミンなどの有機塩基を含む塩、ヒドラバミン塩、およびアルギニンまたはリジンのようなアミノ酸を含む塩が挙げられる。さらに、これらの塩は、適切な塩基または酸で処理することによって遊離形態に変換してもよい。「付加塩」は、式(I)によって示される化合物およびその塩から形成される溶媒化合物を含む。溶媒化合物として、水和物およびアルコラートが挙げられる。
【0014】
本発明の一実施形態による式(I)によって示される化合物の立体異性体は、式(I)によって示される化合物から得られるあらゆる化合物を指す。別途定義されない限り、化合物の化学名称はあらゆるタイプの立体異性体混合物を指す。該混合物としては、それぞれが基本的な分子構造を持つジアステレオマーおよびエナンチオマーが挙げられる。具体的には、立体中心がR配位またはS配位であってもよいし、2価の(部分)飽和環状残基によって置換される場合、置換基はシスまたはトランスに配位してもよい。二重結合を有する化合物の場合、二重結合に基づくE立体異性体またはZ立体異性体が存在してもよい。式(I)によって示される化合物の立体異性体も本発明の範囲に含まれる。
【0015】
式(I)によって示される化合物としては、例えばカルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステル、カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−(4−フルオロフェニル)−3−オキソプロピルエステル、カルバミン酸3−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−ピペラジン−1−イル)−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステル、カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−オキソプロピルエステル塩酸塩、カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−(4−ニトロフェニル)−3−オキソプロピルエステル、(R)−カルバミン酸3−[4−(4−クロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステル、(S)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステル、(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステル、カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−フェニルブチルエステル、カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−(4−クロロフェニル)−3−オキソプロピルエステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態によれば、式(I)によって示される化合物は、(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステルであってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態による医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含んでいてもよい。
【0017】
本発明の医薬組成物の薬学的に許容される担体は、製剤中で従来使用される様々な物質のいずれか1つであってもよく、薬学的に許容される担体としては、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギナート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾアート、プロピルヒドロキシベンゾアート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱油などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物はさらに滑沢剤、湿潤剤、香料、乳化剤、懸濁剤、防腐剤などを含んでいてもよい。適切な薬学的に許容される担体および製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.1995)に詳細に記載されている。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、本発明の医薬組成物は経口的または非経口的に投与してもよい。非経口投与は、静脈注射、皮下注射、筋内注射、腹腔内注射、内皮投与、局所投与、鼻腔内投与、膣内投与、肺内投与または直腸内投与であってもよい。経口投与の場合、胃分解から保護するために有効成分をコーティングまたは製剤化してもよい。本発明の医薬組成物は、有効成分を標的細胞に到達させることが可能な装置によって投与してもよい。投与経路は、治療対象の全身状態および年齢、治療条件の特性、ならびに使用する有効成分によって異なり得る。
【0019】
本発明の医薬組成物の適切な投与量は、製剤方法、投与方法、患者の年齢、体重、性別および病態、食事、投与期間、投与経路、排泄速度ならびに応答感度によって異なり得る。一般的に、熟練した医師は、治療または予防に有効な投与量を難なく決定し処方できるであろう。本発明の医薬組成物は、全投与量を一度に投与してもよいし、数回に分割して投与してもよい。例えば、本発明の医薬品は1日当たり1〜4回投与してもよい。
【0020】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体および/または添加剤の使用ならびに当業者が熟知する方法の使用により単位用量形態に製剤化してもよいし、複数用量容器を使用して製剤化してもよい。このような場合、本発明の製剤は、油性もしくは水性媒体中の溶液、懸濁液、もしくはエマルジョン、抽出物、粉末、顆粒、錠剤またはカプセルであってもよい。また、本発明の医薬組成物は、分散剤または安定剤をさらに含んでいてもよい。本発明の医薬組成物は、坐薬、スプレー、軟膏、クリーム、ゲル、吸入薬または皮膚パッチの剤型で投与してもよい。
【0021】
本発明の医薬組成物は、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害または糖尿病性血管合併症の予防または治療に使用してもよい。
【0022】
「糖尿病性」は、相当する疾患の原因が糖尿病であることを意味する。さらに、「糖尿病」は、インスリンの作用が不十分であることによって引き起こされる慢性高血糖を特徴とし、慢性高血糖により様々な代謝異常を呈する疾患群を指す。したがって、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害および糖尿病性血管合併症は、糖尿病よって引き起こされる腎症、糖尿病によって引き起こされる神経障害、および糖尿病によって引き起こされる血管合併症としてそれぞれ理解される。
【0023】
糖尿病性腎症は、腎臓の微小血管が傷害されることにより、タンパク質が濾過を受けることなく直接排泄される疾患を指す。糖尿病性腎症は、糸球体過剰濾過、新生糸球体基底膜肥厚、糸球体メサンギウム細胞の増殖、糸球体肥厚、ならびに細胞間マトリックスの形成および増加により発症し、徐々に糸球体硬化症および腎不全を引き起こす。糖尿病性神経障害は、糖尿病により神経細胞の機能または構造に異常が生じた糖尿病性神経系合併症であり、しばしば末梢神経系において発症する。糖尿病性血管合併症は、糖尿病誘発性高血糖症および代謝異常(例えばインスリン抵抗性など)により血管硬化症が発症し、血流障害が引き起こされた疾患を指す。
【0024】
さらに、本発明の医薬組成物は高脂血症、冠動脈疾患または炎症の予防または治療に使用される。
【0025】
高脂血症は、トリグリセリドまたはコレステロールのような脂肪の代謝が異常をきたし、血液に多量の脂肪が含まれる病態を指す。脂肪質が血液中に存在すると、血管壁に蓄積して炎症を引き起こし、その結果、心臓血管疾患を引き起こし得る。また、冠動脈疾患は、心臓に血液を供給する動脈(冠状動脈すなわち心動脈)に脂肪沈着物および線維組織が蓄積して、心筋への血液供給が低下した結果、狭心症、心筋壊死および心筋梗塞を発症し心機能に重大な障害をきたす病態を指す。本発明の一実施形態によれば、高脂血症または冠動脈疾患の原因は糖尿病であってもよいし、糖尿病でなくてもよい。
【0026】
炎症は、局所または全身の防御応答で特徴付けられる症状を含むと当業者に理解され、物理的な外傷、感染、上述の慢性疾患および/または外部刺激(例えばアレルギー反応の一部)に対する化学的および/または生理的反応によって引き起こされ得る。これらの反応は、傷害組織の破壊、妄想または分離を引き起こす。炎症は、例えば、発熱、腫脹、疼痛、発赤、血管拡張および/もしくは血流量増大、感染部位への白血球の浸潤、または他の症状と関連した機能損失および/もしくは炎症性病態により起こる。したがって、炎症は、炎症性疾患、障害または病態、特に、急性炎症、慢性炎症、潰瘍性炎症、特異性炎症、アレルギー性炎症または壊死性炎症、および当業者に知られている他の種類の炎症を含むと理解される。したがって、本発明の医薬組成物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、アレルギー性疾患、鼻炎、炎症性腸疾患、潰瘍、炎症性疼痛、発熱、動脈硬化症、冠動脈疾患、脈管炎、膵炎、関節炎、変形性関節症、関節リウマチ、結膜炎、虹彩炎、強膜炎、ブドウ膜炎、創傷治癒、皮膚炎、湿疹、乾癬、脳卒中、糖尿病、自己免疫疾患、アルツハイマー病、多発性硬化症、サルコイドーシス、ホジキン病、他の悪性腫瘍、および炎症性因子を有する他の疾患を治療するために使用してもよい。
【0027】
本発明の実施例によれば、本発明の化合物は15−リポキシゲナーゼ阻害効果を有していてもよい。
【0028】
15−リポキシゲナーゼは、動脈硬化症、喘息、糸球体腎炎、糖尿病性慢性合併症などを含む各種疾患の原因に関連することが知られている(Haratsら, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., (2000) 20(9):2100-2105; Natarajanら, Front Biosci., (2003)8:s783-795; Hatleyら, J. Biol. Chem., (2003)278(28):25369-25375; Shannonら, Am. Rev. Respir. Dis., (1993)147(4):1024-1028; MonteroおよびBadr, Exp. Neph., (2000)8(1):14-19; Hatleyら, J. Biol. Chem., (2003)278(28):25369-25375; Natarajanら, Arterioscler Thromb. Vasc. Biol., 24, (2004)24(9):1542-1548; Maら, Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids., (2005)72(1):13-20; Xuら, Kidney Int., (2006)69(3):512-9; Dwarakanathら, J. Vasc. Res., (2008)45(2):132-142)。また、15−リポキシゲナーゼの発現は、糖尿病状態または高血糖状態で増大する。15−リポキシゲナーゼの発現増大は、様々な代謝、シグナル伝達ネットワーク、転写調節および遺伝子発現に影響を及ぼし、それによって、フリーラジカル、過酸化脂質、およびマイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼが形成され炎症反応が増大する。その結果、糖尿病性合併症が発症するが、糖尿病動物モデルにおいては、15−リポキシゲナーゼの発現または活性を人為的に阻害することにより、糖尿病性血管合併症、糖尿病性腎症および糖尿病性神経障害を予防および治療することが可能である(NatarajanおよびNadler, Front.Biosci.(2003)8:s783-795; Reillyら, J. Biol.Chem. (2004)279(10):9440-9450; Obrosovaら, Diabetes 55(Suppl.1)(2006)A188; Xuら, Nephrol Dial Transplant., (2009)24(6):1744-1752; Yuanら, Am J Physiol Renal Physiol. (2008)295(2):F605-617)。さらに、15−リポキシゲナーゼの発現または活性の阻害は、糖尿病誘発性または糖尿病非誘発性冠動脈疾患を予防または治療する方法として示唆されている(Siu, J Cardiovasc Med (Hagerstown), (2010) 11(1):1-6; Nagelinら, J. Biol.Chem.(2009) 284(45):31303-31314; Natarajanら, Front Biosci.(2003) 8:s783-95; Hatleyら, J. Biol.Chem.(2003) 278(28):25369-25375)。さらに、15−リポキシゲナーゼは、喘息、アレルギー、および乾癬に関連する生合成において重要な役割を演じており、炎症介在因子および15−リポキシゲナーゼ阻害剤はこれらの病態に関連する生化学的経路を阻害することから、15−リポキシゲナーゼの阻害はこれらの炎症関連疾患を治療するのにも有用である(Liuら, Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. (2009) 297(1):1196-1203; Jeonら, Clin Exp Allergy.(2009) 39(6):908-917; Claesson, Prostaglandins Other Lipid Mediat. (2009) 89(3-4):120-125; Hajek, J Allergy Clin Immunol., (2008) 122(3):633-639)。
【0029】
したがって、15−リポキシゲナーゼに対する阻害活性を示す化合物は、上述した糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管合併症、高脂血症、冠動脈疾患または炎症を予防または治療するための薬剤として使用してもよい。
【0030】
本発明は別の態様では、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管合併症、高脂血、冠動脈疾患および炎症からなる群から選択される疾患を治療する方法であって、本発明の医薬組成物を対象と接触させることを含む方法を提供する。
【0031】
上記接触はin vitroまたはin vivoで行ってもよい。上記接触をin vivoで行う場合、上記の方法は本発明の医薬組成物を対象に投与することをさらに含んでいてもよい。
【0032】
上記の対象は、細胞、組織、器官または個体であってよい。さらに、上記の投与は、適切な緩衝液に溶解した本発明の医薬組成物溶液と細胞、組織または器官とを直接接触させることを含んでいてもよく、非経口投与であってもよい。上記の治療で使用される本発明の医薬組成物およびその投与方法は上記の通りであり、ここで詳細には記載しない。
【0033】
一方、本発明の医薬組成物を投与できる対象はどのような種類の動物であってもよい。例えば、対象は、ヒトであってもよいし、イヌ、ネコまたはマウスのようなヒト以外の動物であってもよい。
【0034】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付の図面を参照しつつ例示的な実施形態を詳細に説明することによりさらに明確となるであろう。
【0035】
以下の実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0036】
実施例1:
カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステルの合成
【0037】
【化2】
【0038】
ベンゾイル酢酸エチル554mg(2.887mmol)および3,4−ジメトキシフェニルピペラジン641mg(2.887mmol)をトルエンに溶解し、24時間還流した。減圧濃縮後に得られた化合物736mg(1.99mmol)をメタノールに溶解し、0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム109mg(2.887mmol)をゆっくり添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で濃縮し、水で希釈し、酢酸エチルで数回抽出を行った。その後、得られた有機層を硫酸マグネシウムでで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)によって精製し、化合物1.592mmol(589mg)を得た。得られた化合物をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。次に、1,1’ −カルボジイミダゾール820mg(5mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。過剰量のアンモニア水を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで数回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)によって精製し、目的化合物を得た(収量:329mg、収率:28%)。
【0039】
1H NMR(200MHz, CDCl3)d:2.82(dd, 1H), 3.04(m, 5H), 3.61(m, 2H), 3.77(m, 2H), 3.88(d, 6H), 4.77(br, 2H), 6.15(t, 1H), 6.42(d, 1H), 6.57(s, 1H), 6.82(d, 1H), 7.41(m, 5H)
【0040】
実施例2:
カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−(4−フルオロフェニル)−3−オキソプロピルエステルの合成
【0041】
【化3】
【0042】
4−フルオロベンゾイル酢酸エステルおよび3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを出発原料として使用した以外は実施例1と同様の方法で目的化合物を得た(収量:542mg、収率:37%)。
【0043】
1H NMR(200MHz, CDCl3)d:2.82(dd, 1H), 3.01(m, 5H), 3.60(m, 2H), 3.75(m, 2H), 3.86(d, 6H), 4.92(br, 2H), 6.15(t, 1H), 6.42(d, 1H), 6.56(d, 1H), 6.80(d, 1H), 7.04(t, 2H), 7.38(t, 2H)
【0044】
実施例3:
カルバミン酸3−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−ピペラジン−1−イル)−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステルの合成
【0045】
【化4】
【0046】
ベンゾイル酢酸エチルおよび3,4−メチレンジオキシフェニルピペラジンを出発原料として使用した以外は実施例1と同様の方法で目的化合物を得た(収量:190mg、収率:48%)。
【0047】
1H NMR(200MHz, CDCl3)d:2.98(m, 6H), 3.59(m, 2H), 3.76(m, 2H), 4.71(br, 2H), 5.94(s, 2H), 6.15(t, 1H), 6.36(dd, 1H), 6.55(s, 1H), 6.74(d, 1H), 3.40(m, 5H)
【0048】
実施例4:
カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−オキソプロピルエステル塩酸塩の合成
【0049】
【化5】
【0050】
4−トリフルオロメチルベンゾイル酢酸エチルおよび3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを出発原料として使用した以外は実施例1と同様の方法で目的化合物を得た(収量:250mg、収率:52%)。生成物をジクロロメタンに溶解し、飽和塩酸/エーテル溶液を加え塩酸塩を得た。
【0051】
1H NMR(200MHz, DMSO)d:2.90(dd, 1H), 3.12(dd, 1H), 3.34(m, 4H), 3.75(s, 3H), 3.78(s, 3H), 3.85(m, 4H), 6.00(m, 1H), 6.60(br, 2H), 7.01(m, 2H), 7.20(m, 1H), 7.60(d, 2H), 7.75(d, 2H)
【0052】
実施例5:
カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−(4−ニトロフェニル)−3−オキソプロピルエステルの合成
【0053】
【化6】
【0054】
4−ニトロベンゾイル酢酸エチルおよび3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを出発原料として使用した以外は実施例1と同様の方法で目的化合物を得た(収量:261mg、収率:57%)。
【0055】
1H NMR(200MHz, DMSO)d:2.96(dd, 1H), 3.16(dd, 1H), 3.42(m, 4H), 3.76(s, 3H), 3.78(s, 3H), 3.92(m, 4H), 6.05(m, 1H), 6.64(br, 2H), 7.02(m, 1H), 7.24(m, 2H), 7.65(d, 2H), 8.24(d, 2H)
【0056】
実施例6:
(R)−カルバミン酸3−[4−(4−クロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステルの合成
【0057】
【化7】
【0058】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸1.0g(6.0mmol)および4−クロロフェニルピペラジン1.18g(6.0mmol)を、溶媒としてのテトラヒドロフラン50mLに室温で溶解した。EDC1.24g(6.0mmol)およびHOBt0.81g(6mmol)を滴下し、25℃で5時間撹拌した。減圧蒸留によって過剰量の溶媒を留去し、得られた生成物を1N塩化ナトリウム水溶液20mLで中和した。酢酸エチル25mLを加え、得られた有機層を酢酸エチル15mLで2回抽出分離した。有機層を無水硫酸マグネシウム2gで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン: 酢酸エチル=1:1〜1:10)によって単離精製した。得られた生成物0.345g(1mmol)をテトラヒドロフラン15mLに溶解した。次に、1,1’−カルボジイミダゾール0.325g(2mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。次に、過剰量のアンモニア溶液を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで数回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)によって精製し、目的化合物を得た(収量:1.2g、収率:52.5%)。
【0059】
1H NMR(200MHz, CDCl3)d:2.82(dd, 1H), 3.07(m, 5H), 3.58(m, 2H), 3.74(m, 2H), 4.81(br, 2H), 6.13(t, 1H), 6.84(d, 2H), 7.38(m, 7H)
【0060】
実施例7:
(S)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステルの合成
【0061】
【化8】
【0062】
(S)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸(6mmol)および3,4−ジメトキシフェニルピペラジン(6mmol)を出発原料として使用した以外は実施例6と同様の方法で目的化合物を得た(収量:1.38g、収率:56%)。
【0063】
1H NMR(200MHz, CDCl3)d:2.82(dd, 1H), 3.04(m, 5H), 3.61(m, 2H), 3.77(m, 2H), 3.88(d, 6H), 4.77(br, 2H), 6.15(t, 1H), 6.42(d, 1H), 6.57(s, 1H), 6.82(d, 1H), 7.41(m, 5H)
【0064】
実施例8:
(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステルの合成
【0065】
【化9】
【0066】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸および3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを出発原料として使用した以外は実施例6と同様の方法で目的化合物を得た(収量:1.040g、収率:42%)。
【0067】
1H NMR(200MHz, CDCl3)d:2.82(dd, 1H), 3.04(m, 5H), 3.61(m, 2H), 3.77(m, 2H), 3.88(d, 6H), 4.77(br, 2H), 6.15(t, 1H)
【0068】
実施例9:
カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−フェニルブチルエステルの合成
【0069】
【化10】
【0070】
フェニル−1−プロフェニルケトン(4.1mmol)および3,4−ジメトキシフェニルピペラジン(4.9mmol)を溶媒としてのエタノール30mLに溶解し、72℃で48時間撹拌した。溶媒を減圧蒸留した後、得られた混合物を水で希釈し、水で2回抽出し、酢酸エチルで2回抽出を行った。有機層を減圧下で蒸留し、次に、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)によって精製して化合物を得た。化合物(2.9mmol)をメタノール20mLに溶解し、NaBH(3.8mmol)をゆっくり添加した。得られた生成物を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮した。黄色の残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)によって精製した。精製化合物(2mmol)をテトラヒドロフラン15mLに溶解し、次に1,1’−カルボジイミダゾール(4mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。過剰量のアンモニア水を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで数回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)によって精製し、最終生成物を得た(収量:90.9mg、収率:22%)。
【0071】
1H NMR(200MHz, CDCl3)d 1.81(m, 1H), 2.32(m, 1H), 2.5(m, 3H), 2.8(m, 2H), 3.14(m, 4H), 3.80(s, 6H), 4.80(br, 2H), 6.02(t, 1H), 6.92(m, 4H), 7.36(m, 5H)
【0072】
実施例10:
カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−1−(4−クロロフェニル)−3−オキソプロピルエステルの合成
【0073】
【化11】
【0074】
4−クロロベンゾイル酢酸エチルおよび3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを出発原料として使用した以外は実施例1と同様の方法で目的化合物を得た(収量:543mg、収率:42%)。
【0075】
1H NMR(200MHz, CDCl3)d:2.82(dd, 1H), 3.01(m, 5H), 3.61(m, 2H), 3.77(m, 2H), 3.86(d, 6H), 4.84(br, 2H), 6.15(t, 1H), 6.42(d, 1H), 6.57(s, 1H), 6.82(d, 1H), 7.35(s, 4H)
【0076】
実施例11:
15−リポキシゲナーゼ阻害効果のin vitro試験
【0077】
実施例1〜10で製造した化合物が15−リポキシゲナーゼのみを特異的に阻害することを確認するため、ヒト血小板由来12−リポキシゲナーゼを陰性対照群とし、ウサギ網状赤血球由来15−リポキシゲナーゼを試験群として使用し、12−リポキシゲナーゼに対する化合物の阻害効果を確認した。
【0078】
12−リポキシゲナーゼは基質としてのアラキドン酸と反応し、12−ヒドロキシエイコサテトラエン酸(12−HETE)を生成物として生成する。したがって、12−リポキシゲナーゼ活性は12−HETEの生成量を分光法を用いて測定することにより評価される。さらに、15−リポキシゲナーゼは基質としてのリノレン酸と反応し、13−ヒドロペルオキシ−9,11−オクタデカジエン酸(13−HPODE)を生成物として生成する。したがって、15−リポキシゲナーゼ活性は13−HPODEの生成量を分光法を用いて測定することにより評価される。
【0079】
各化合物の濃度を10μMとして12−リポキシゲナーゼ活性を測定した。各サンプルは、25℃の緩衝液(50mM Tris−HCl、0.1%Triton X−100、pH7.4)を使用して15分間前処理した。次に、30μMアラキドン酸(反応において濃度が30μMになるように調整)を添加し、25℃で15分間反応させ、生成した12−HETEの量を波長570nmにおける吸収度により測定した。
【0080】
各化合物の濃度を10μMとして、15−リポキシゲナーゼ活性を測定した。各サンプルは、4℃の緩衝液(リン酸緩衝食塩水、pH7.4)を使用して15分間前処理した。次に、260μMリノレン酸(反応において濃度が260μMになるよう調整)を添加し、4℃で10分間反応させ、生成した13−HPODEの量を波長660nmにおける吸収度により測定した。
【0081】
12−リポキシゲナーゼ活性および15−リポキシゲナーゼ活性に対する化合物の阻害効果の測定結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例12:
糖尿病動物モデルにおける糖尿病性高脂血症に対する薬効試験
【0084】
Spraugue−Dawleyラット(n=21、4週齢、雄)(Central Lab.Animal Inc.)を実験モデルとして使用した。ストレプトゾトシン50mg/kgを腹腔内投与することにより糖尿病を誘発したラット(n=14)を試験群として、および溶媒(100mMクエン酸緩衝液、pH4.5)のみを腹腔内投与したラット(n=7)を対照群として使用した。一般的に、ストレプトゾトシンは、膵臓のβ細胞を破壊することにより糖尿病を誘発し、その結果、血糖ならびに血清中コレステロールおよびトリグリセリドが上昇する。ストレプトゾトシン投与の2日後に、試験群において糖尿病が誘発された。試験群を2つの群に分け、一方の群のラットには、200mg/kgの(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステルを1日に1回、4週間にわたって経口投与した。もう1つの群には、該化合物の代わりに30%ポリエチレングリコール(PEG)を経口投与した。
【0085】
上記化合物およびPEGを4週間投与した後、各群の血清中総コレステロールおよびトリグリセリドを測定した。その結果を図1および2に示す。総コレステロール量およびトリグリセリド量の測定は、ラットから血清を単離し、日立7600自動分析装置を使用して行った。試験の結果、ストレプトゾトシンによって上昇した総コレステロール濃度(120±13mg/dl)は、(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステルの投与より66±9mg/dlに低下し、この値は対照群(62±5mg/dl)と同様であった。また、ストレプトゾトシンによって上昇したトリグリセリド濃度(760±162mg/dl)は、126±44mg/dlに大幅に低下した。すなわち、上昇した血清中コレステロールおよびトリグリセリドは、該化合物の投与により著しく低下した。この結果から、該化合物が高脂血症を予防または治療するのに有用であることが確認された。
【0086】
実施例13:
糖尿病性腎症に対する薬効試験
【0087】
Sprague−Dawleyラット(n=21、4週齢、雄)(Central Lab. Animal Inc.)を実験モデルとして使用した。ストレプトゾトシン50mg/kgを腹腔内投与することにより糖尿病を誘発したラット(n=14)を試験群として、および溶媒(100mMクエン酸緩衝液、pH4.5)のみを腹腔内投与したラット(n=7)を対照群として使用した。一般的に、ストレプトゾトシンによって糖尿病を誘発したラットでは、高血糖によって糖尿病性腎症(その症状の1つが腎線維症である)が引き起こされ、フィブロネクチンのような細胞外マトリックスタンパク質の遺伝子発現が増大する。ストレプトゾトシン投与の2日後に、試験群において糖尿病が誘発された。試験群を2つの群に分け、一方の群のラットには、200mg/kgの(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステルを1日に1回、4週間にわたり経口投与した。他方の群には、該化合物の代わりに30%ポリエチレングリコール(PEG)を経口投与した。
【0088】
上記化合物およびPEGを4週間投与した後、腎皮質組織を各群から摘出した。次に、フィブロネクチンの発現量をリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって(すなわちフィブロネクチンから転写されたmRNA量を)測定した(図3参照)。フィブロネクチンの発現量は、フォワードプライマー(5’-GCCACACCTACAACCAGTAT-3’:配列番号1)およびリバースプライマー(5’-ATGACCACTCAGAAATGGAG-3’: 配列番号2)を使用して測定した。RT−PCRにおいては、60℃で1分間アニーリングを行い、SYBR green(Applied Biosystem)を蛍光物質として使用し、Applied Biosystem社製7300 Real−time PCRを使用した。アニーリング以外の反応は、メーカーによって提供されたプロトコルに従い当技術分野で公知の方法を使用して行った。対照群については、βアクチン遺伝子から転写されたmRNAを使用した。また、測定結果は、RT−PCRの結果から定量化したフィブロネクチンのmRNA量をβアクチンのmRNA量で除することにより示した。試験の結果、ストレプトゾトシンの投与により、腎皮質におけるフィブロネクチンの発現量は対照群の1.4±0.1倍に増大し、(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステルの投与により、腎皮質におけるフィブロネクチンの発現量は対照群の1.2±0.1倍に減少した。この結果から、該化合物が糖尿病誘発性腎線維症の抑制に有効だということが確認された。
【0089】
実施例14:
糖尿病性腎症誘発動物モデルにおける炎症反応に対する薬効試験
【0090】
糖尿病性腎症がストレプトゾトシンによって誘発されると、炎症反応が腎臓において増大し、様々な炎症関連遺伝子(例えばPAI−1、MCP−1およびTGF−β1)の発現が増大する。したがって、炎症反応に対する上記化合物の薬学的効果を確認するために、実施例13で使用した各群の腎皮質組織においてPAI−1遺伝子、MCP−1遺伝子およびTGF−β1遺伝子から転写されたmRNA量を、実施例13で使用したRT−PCRにより測定した(図4、5および6を参照)。各遺伝子を増幅するために以下のプライマー配列を使用した。PAI−1の増幅にはフォワードプライマー(5’-TCCGCCATCACCATTTT-3’:配列番号3)およびリバースプライマー(5’-GTCAGTCATGCCCAGCTTCTC-3’:配列番号4)を使用した。MCP−1の増幅にはフォワードプライマー(5’-CCTCCACCACTATGCAGGTCTCC-3’:配列番号5)およびリバースプライマー(5’-GCACGTGGATGCTACAGGC-3’:配列番号6)を使用した。また、TGF−β1の増幅にはフォワードプライマー(5’-CCAACTACTGCTTCAGCTCCA-3’:配列番号7)およびリバースプライマー(5’-GTCTCCAGGCTCCAAATGT-3’:配列番号8)を使用した。
【0091】
試験の結果、腎皮質における炎症関連遺伝子PAI−1、MCP−1およびTGF−β1の発現は、それぞれ対照群の1.8±0.1倍、3.4±1.0倍、および1.6±0.2倍に増大し、(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステルの投与により、腎皮質におけるPAI−1、MCP−1およびTGF−β1の遺伝子発現量は、それぞれ対照群の1.1±0.2倍、1.6±0.3倍、および1.3±0.2倍に減少した。この結果から、該化合物が糖尿病によって誘発された炎症関連遺伝子の発現抑制に有効だということが確認された。
【0092】
実施例13および14の結果から、糖尿病性腎症を引き起こす線維症および炎症関連遺伝子の発現は該化合物によって抑制されることから、該化合物は糖尿病性腎症の予防または治療に有用であることが確認された。
【0093】
実施例15:
(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステルの投与および該化合物を含む調製物(予想)
【0094】
本発明による化合物は、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管合併症、高脂血、冠動脈疾患または炎症を予防または治療するために使用される。臨床的に適切な投与量(経口投与)は1成体当たり300mgであった。
【0095】
この投与量に基づいて、下記の表2に示される成分を含む錠剤を従来の方法を利用して調製した。Avicel 102(微結晶セルロース)を賦形剤として使用した。
【0096】
【表2】
【0097】
該化合物の適切な投与量は1成体当たり60kgであり、該化合物を含む錠剤1個または2個分に相当する。
【0098】
本発明による医薬組成物を使用することによって、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管合併症、高脂血症、冠動脈疾患または炎症が有効に予防または治療され得る。
【0099】
例示的な実施形態を参照することにより本発明を具体的に提示および説明してきたが、以下の請求項によって定義される本発明の精神および範囲を逸脱することなく形態および詳細において様々な変更が可能であることは当業者によって理解されるであろう。
【0100】
配列表フリーテキスト
配列番号1〜8のヌクレオチド配列またはポリペプチド配列は、配列表として提出され、配列表の記載内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]