(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記車体は、前記調節機構により前記最前列の車輪と前記最後列の車輪とが前記クローラの下端よりも上の領域から下の領域に変位させられて前記クローラの下端よりも下の領域で互いに徐々に接近させられることで、徐々に持ち上げられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のクローラ式走行装置。
前記調節機構は、前記車体に内蔵されるセンサからの情報に基づいて、前記車輪のそれぞれの位置を調節することにより、前記車体の姿勢を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のクローラ式走行装置。
前記調節機構は、前記アームのそれぞれに取り付けられる支持部材と、前記車体の左右に前記アームのそれぞれに対して設けられ、複数の位置に前記支持部材を締結可能なプレートとを有し、前記複数の位置のうち任意の位置に前記支持部材が締結されることにより、前記アームのそれぞれの回転角度が前記任意の回転角度になることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のクローラ式走行装置。
前記調節機構により前記アームが前記任意の回転角度で固定された状態で、外部からの力が前記アームに加わったときに、前記アームが一定量回転することを許容する回転許容部
をさらに備えることを特徴とする請求項10から17のいずれか1項に記載のクローラ式走行装置。
前記アームのそれぞれの先端部は、前記アームのそれぞれの回転軸と垂直な前記アームのそれぞれの中心軸を中心に回転することで、前記車輪の向きを調節することを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載のクローラ式走行装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一又は相当する部分については、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「表」、「裏」といった配置や向き等は、説明の便宜上、そのように記しているだけであって、装置、器具、部品等の配置や向き等を限定するものではない。装置、器具、部品等の構成について、その材質、形状、大きさ等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係るクローラ式走行装置10の斜視図である。
図2は、
図1と同じ状態のクローラ式走行装置10の平面図である。
図3は、
図1と同じ状態のクローラ式走行装置10の正面図である。
図4は、
図1と同じ状態のクローラ式走行装置10の左側面図である。
図5は、
図1と同じ状態のクローラ式走行装置10の底面図である。
図6は、
図1と同じ状態のクローラ式走行装置10の右側面図である。
【0013】
図1〜6に示すように、クローラ式走行装置10は、車体11と、1対のクローラ12と、2対のアーム13と、2対の第1車輪14(車輪の例)と、2対の第2車輪15(別の車輪の例)と、調節機構(図示していない)とを備える。
【0014】
車体11の上部には、荷物又は人を載せるための荷台21が設けられる。図示していないが、車体11の内部には、少なくとも2つの動力源(例えば、モータ又はエンジン)、電源(例えば、二次電池)、通信機、コントローラ(例えば、マイクロコンピュータ)、センサ(例えば、ジャイロ又は荷重センサ)等が収納される。車体11には、カメラやマイク等が取り付けられてもよい。
【0015】
動力源としては、クローラ12と第1車輪14と第2車輪15との共通の駆動力を発生させるものと、アーム13の回転力を発生させるものがある。なお、クローラ12と第1車輪14と第2車輪15についても、共通の動力源ではなく、個別の動力源を用いてもよい。
【0016】
電源は、通信機、コントローラ、センサ等に電力を供給する。動力源がモータであれば、電源は、モータにも電力を供給する。
【0017】
通信機は、外部(例えば、遠隔制御装置)と無線又は有線により通信を行う。
【0018】
コントローラは、例えば、動力源を制御したり、通信機により外部から指令を受信したり、通信機により外部に状況報告を送信したり、センサから情報を受信したりする。車体11にカメラが取り付けられている場合、コントローラは、通信機により外部にカメラの画像を送信する。車体11にマイクが取り付けられている場合、コントローラは、通信機により外部にマイクの音声を送信する。
【0019】
センサは、例えば、車体11の傾きを検知したり、荷台21に載せられた荷物又は人の荷重を検知したりする。
【0020】
クローラ12は、車体11の左右に1つずつ設けられる。なお、クローラ12は、車体11の左右に少なくとも1つずつ設けられていればよい。例えば、クローラ12は、車体11の左右に2つずつ設けられていてもよい。
【0021】
クローラ12は、2つのスプロケット22と、1本のクローラベルト23とを有する。
【0022】
スプロケット22は、前後に並べて2つ設けられる。なお、スプロケット22は、1つのクローラ12につき、3つ以上設けられてもよい。
【0023】
クローラベルト23は、スプロケット22に巻かれる。即ち、クローラベルト23は、前方のスプロケット22と後方のスプロケット22とに掛け渡される。クローラベルト23は、スプロケット22が駆動することにより駆動される。
【0024】
アーム13は、車体11の左右に2つずつ設けられる。具体的には、アーム13は、クローラ12のスプロケット22ごとに回転自在に設けられる。例えば、左側前方のアーム13は、左側のクローラ12の前方のスプロケット22に対応する。アーム13の回転軸は、対応するスプロケット22の駆動軸と重なる位置に形成される。なお、アーム13は、車体11の左右に少なくとも2つずつ設けられていればよい。例えば、アーム13は、車体11の左右に3つずつ設けられていてもよい。このとき、クローラ12のスプロケット22とアーム13とが1対1で対応していなくてもよい。
【0025】
本実施の形態では、後方のアーム13がサブクローラになっているが、前方のアーム13がサブクローラになっていてもよいし、両方のアーム13がサブクローラになっていてもよいし、逆に両方のアーム13がサブクローラになっていなくてもよい。
【0026】
アーム13の先端部24は、アーム13が回転することにより、アーム13の回転軸を中心とする円軌道に沿って移動する。
【0027】
第1車輪14は、アーム13の先端部24に1つずつ取り付けられる。第1車輪14は、アーム13の先端部24の移動に伴って、クローラ12の下端よりも上の領域A1と下の領域A2との間で変位する。
【0028】
第2車輪15は、アーム13の根元部(先端部24と反対側の端部)に1つずつ取り付けられる。第2車輪15は、アーム13に対応するスプロケット22と同軸に取り付けられる。第2車輪15は、アーム13の先端部24が移動しても(アーム13が回転しても)、変位しない。なお、第2車輪15は、省略してもよい。
【0029】
本実施の形態では、第1車輪14の外径が第2車輪15の外径よりも大きくなっているが、第1車輪14の外径が第2車輪15の外径よりも小さくなっていてもよいし、第1車輪14の外径が第2車輪15の外径と等しくなっていてもよい。
【0030】
調節機構は、各アーム13を任意の回転角度で固定することにより、各々の第1車輪14の位置を調節する。このため、本実施の形態によれば、調節機構により、各々の第1車輪14の位置を変えて車体11の姿勢を自由に調節することが可能となる。
【0031】
クローラ式走行装置10が悪路(不整地)を走行する場合、調節機構により、各々の第1車輪14の位置を調節して、第1車輪14の全体がクローラ12の下端よりも上の領域A1にある状態にすることで、クローラ12を接地させることができる。よって、悪路での走行が容易になる。
【0032】
クローラ式走行装置10が良路(平坦地)を走行する場合、調節機構により、各々の第1車輪14の位置を調節して、第1車輪14の少なくとも一部分がクローラ12の下端よりも下の領域A2にある状態にすることで、第1車輪14を接地させることができる。よって、良路での高速走行が可能になる。
【0033】
特に、
図1〜6に示すように、第1車輪14の少なくとも一部分がクローラ12の下端よりも下の領域A2にあり、かつ、前方の第1車輪14と後方の第1車輪14とが近づいた状態にすることで、小回りがきくようになる。例えば、この状態で左側の第1車輪14と右側の第1車輪14とを逆方向に駆動させることにより、良路での高速旋回が可能になる。
【0034】
一方、第1車輪14の少なくとも一部分がクローラ12の下端よりも下の領域A2にあり、かつ、前方の第1車輪14と後方の第1車輪14とが離れた状態にすることで、車体11のバランスがとりやすくなり、良路でのより高速な走行が可能になる。
【0035】
図7は、車体11が持ち上げられた状態のクローラ式走行装置10の斜視図である。
図8は、
図7と同じ状態のクローラ式走行装置10の平面図である。
図9は、
図7と同じ状態のクローラ式走行装置10の正面図である。
図10は、
図7と同じ状態のクローラ式走行装置10の左側面図である。
図11は、
図7と同じ状態のクローラ式走行装置10の底面図である。
図12は、
図7と同じ状態のクローラ式走行装置10の右側面図である。
【0036】
図7〜12に示すように、第1車輪14の全体がクローラ12の下端よりも下の領域A2にあり、かつ、第1車輪14が前後方向の外側にある状態にすることで、前述したように、より高速な走行が可能になる。また、この状態では、車体11が高く持ち上げられ、地面との間に広い間隔が空くため、その分、車体11の姿勢を大きく変えることができる。よって、車体11の姿勢を、より自由かつ柔軟に調節することが可能となる。
【0037】
本実施の形態では、調節機構が、前述したコントローラに実装される。コントローラは、外部からの指令、又は、前述したセンサからの情報に基づいて、各々の第1車輪14の位置を調節することにより、車体11の姿勢を制御する。
【0038】
例えば、コントローラは、前述した通信機により外部から車体11の姿勢を指示する指令を受信する。コントローラは、受信した指令と、現時点における各々の第1車輪14の位置とに基づき、車体11を指示された姿勢にするための各々の第1車輪14の位置を計算する。コントローラは、計算した位置が現時点における位置と異なる第1車輪14が取り付けられているアーム13を、前述した動力源を用いて、計算した位置に対応する回転角度になるまで回転させる。コントローラは、外部からの指令を受信する度に、同様の動作を行う。ここで、アーム13は、動力源から動力(回転力)が供給されていない状態では、回転(空転)しないようになっているものとする。よって、コントローラは、アーム13を所望の回転角度になるまで回転させたら、動力源からの動力の供給を停止することで、アーム13を所望の回転角度で固定することができる。
【0039】
本実施の形態では、クローラ式走行装置10が悪路を走行する場合は、クローラ12が接地する姿勢を外部から指示し、クローラ式走行装置10が良路を走行する場合は、第1車輪14が接地する姿勢を外部から指示すれば、上記のような動作によって、車体11を指示した姿勢にすることができる。
【0040】
図13〜18は、クローラ式走行装置10の姿勢制御の様子を示す図である。なお、
図13〜18では、後方のアーム13だけでなく、前方のアーム13もサブクローラとする例を示している。
【0041】
例えば、コントローラは、車体11の傾きを示す情報をセンサから受信する。コントローラは、受信した情報と、現時点における各々の第1車輪14の位置とに基づき、車体11を水平にするための各々の第1車輪14の位置を計算する。コントローラは、計算した位置が現時点における位置と異なる第1車輪14が取り付けられているアーム13を、動力源を用いて、計算した位置に対応する回転角度になるまで回転させる。コントローラは、センサからの情報を受信する度に、同様の動作を行う。
【0042】
本実施の形態では、姿勢を外部から指示しなくても、上記のような動作によって、
図13,14に示すように、車体11を水平に保つことができる。即ち、クローラ式走行装置10は、各アーム13を独立して回転させることにより、各アーム13の根元部から接地面までの高さの違いを吸収して車体11を水平に保つことができる。また、
図15,16に示すように、クローラ式走行装置10は、自律的に段差を上ることもできる。
【0043】
また、例えば、コントローラは、荷台21にかかっている荷重を示す情報をセンサから受信する。コントローラは、受信した情報と、現時点における各々の第1車輪14の位置とに基づき、車体11を荷台21の荷物又は人が安定する姿勢にするための各々の第1車輪14の位置を計算する。コントローラは、計算した位置が現時点における位置と異なる第1車輪14が取り付けられているアーム13を、動力源を用いて、計算した位置に対応する回転角度になるまで回転させる。コントローラは、センサからの情報を受信する度に、同様の動作を行う。
【0044】
本実施の形態では、姿勢を外部から指示しなくても、上記のような動作によって、
図17,18に示すように、荷台21の荷物のバランスをとることができる。
【0045】
図19は、クローラ式走行装置10のアーム13及びその周辺部分の構成例を示す横断面図である。
【0046】
図19の例において、クローラ式走行装置10は、前述した動力源に相当する第1モータ31及び第2モータ32を備える。また、クローラ式走行装置10は、アーム13とクローラ12のスプロケット22との組み合わせごとに、第1ウォームギア41と、第2ウォームギア42と、第1シャフト51と、第2シャフト52と、第1伝達部61と、第2伝達部62とを備える。さらに、クローラ式走行装置10は、第1車輪14と第2車輪15とのそれぞれに対して、ワンウェイクラッチ71,72を備える。
【0047】
第1モータ31は、第1ウォームギア41を介して第1シャフト51を回転させる。第1シャフト51は、アーム13の回転軸を形成する。
【0048】
上記のように、第1モータ31は、アーム13の動力(回転力)を発生させる。この動力は、第1モータ31から第1ウォームギア41、第1シャフト51を順番に介してアーム13に伝達される。
【0049】
第2モータ32は、第2ウォームギア42を介して第2シャフト52を回転させる。第2シャフト52は、スプロケット22の駆動軸を形成する。
【0050】
第1シャフト51が円柱状であるのに対し、第2シャフト52は円筒状である。第1シャフト51は、第2シャフト52の内部を貫通している。そのため、第1シャフト51と第2シャフト52は、互いに独立して回転することができる。
【0051】
第1伝達部61は、2つのギア81,82と、1本のベルト83とを有する。第1伝達部61は、第2シャフト52の回転力を、ベルト83によって一方のギア81から他方のギア82に伝達し、さらに、このギア82を介して第1車輪14に伝達する。これにより、第1車輪14が駆動する。なお、ギア81,82の代わりに、プーリが用いられてもよい。また、ベルト83の代わりに、チェーンが用いられてもよい。
【0052】
第2伝達部62は、2つのギア84,85と、1本のベルト86とを有する。第2伝達部62は、第1伝達部61のギア82から一方のギア84に伝達される回転力を、ベルト86によって他方のギア85に伝達し、さらに、このギア85を介して第2車輪15に伝達する。これにより、第2車輪15が駆動する。なお、ギア84,85の代わりに、プーリが用いられてもよい。また、ベルト86の代わりに、チェーンが用いられてもよい。
【0053】
図19の例では、第1車輪14のギア82の外径がスプロケット22のギア81の外径よりも小さくなっている。このため、第1車輪14は、スプロケット22よりも高速で駆動する。例えば、第1車輪14は、スプロケット22の3倍の速度で駆動する。
【0054】
また、
図19の例では、第2車輪15のギア85の外径が第1車輪14のギア84の外径よりも大きくなっている。このため、第2車輪15は、第1車輪14よりも低速で駆動する。例えば、第2車輪15は、第1車輪14の3分の1の速度で駆動する。なお、第2車輪15のギア85の外径が第1車輪14のギア84の外径よりも小さいか又は第1車輪14のギア84の外径と同じであってもよい。即ち、第2車輪15は、第1車輪14よりも高速又は第1車輪14と同じ速度で駆動してもよい。
【0055】
上記のように、第2モータ32は、スプロケット22と第1車輪14と第2車輪15との共通の動力(駆動力)を発生させる。この動力は、第2モータ32から第2ウォームギア42、第2シャフト52を順番に介してスプロケット22に伝達され、さらに第1伝達部61を介して第1車輪14に伝達され、さらに第2伝達部62を介して第2車輪15に伝達される。
【0056】
各々の第1車輪14には、ワンウェイクラッチ71が1つずつ取り付けられる。前方の第1車輪14に取り付けられるワンウェイクラッチ71は、第1車輪14を後方に空転させる。後方の第1車輪14に取り付けられるワンウェイクラッチ71は、第1車輪14を前方に空転させる。
【0057】
本実施の形態では、クローラ12による走行時は、前方の第1車輪14と後方の第1車輪14とがクローラ12の下端よりも上の領域A1にある状態になっている。第1車輪14による走行へ切り替える場合、車体11を徐々に持ち上げて、クローラ式走行装置10を、
図7〜12に示したような状態にする必要がある。そのため、調節機構は、前方のアーム13を前方に回転させ、後方のアーム13を後方に回転させる。各アーム13の回転に伴い、前方の第1車輪14と後方の第1車輪14は、クローラ12の下端よりも上の領域A1から下の領域A2に変位して、クローラ12の下端よりも下の領域A2で互いに徐々に接近する。このとき、前方の第1車輪14と後方の第1車輪14は、接地した状態であるが、ワンウェイクラッチ71によって空転するため、地面からの抵抗を減らすことができる。よって、車体11をスムーズに持ち上げることが可能となる。即ち、本実施の形態によれば、アーム13による姿勢変更時に、各々の第1車輪14の地面への引きずりが発生しにくい。そのため、外部からの補助、部品交換なしにクローラ12による走行と第1車輪14による高速走行との切り替えを、切り替え時の駆動ロスを減少させた上で行うことができる。
【0058】
なお、アーム13が車体11の左右に3つずつ又はそれ以上設けられる場合は、最前列の第1車輪14と最後列の第1車輪14との間に1対以上の第1車輪14が存在することになる。この場合、最前列の第1車輪14に取り付けられるワンウェイクラッチ71は、第1車輪14を後方に空転させるものとする。最後列の第1車輪14に取り付けられるワンウェイクラッチ71は、第1車輪14を前方に空転させるものとする。その他の第1車輪14に取り付けられるワンウェイクラッチ71は、第1車輪14を、車体11を持ち上げるためにアーム13が回転する方向とは逆方向に空転させるものとする。望ましくは、車体11の前半部と後半部とでワンウェイクラッチ71の空転方向を逆にする。このとき、前半部と後半部とで第1車輪14の数が同じであれば、クローラ式走行装置10が前進する際と後退する際とのそれぞれで使用される(駆動する)第1車輪14の数は全体の半数となる。
【0059】
各々の第1車輪14には、ワンウェイクラッチ71とは別の種類のクラッチが取り付けられてもよい。例えば、各々の第1車輪14に、ツーウェイクラッチが1つずつ取り付けられてもよい。その場合、調節機構により前方(最前列)の第1車輪14と後方(最後列)の第1車輪14とがクローラ12の下端よりも上の領域A1から下の領域A2に変位させられてクローラ12の下端よりも下の領域A2で互いに徐々に接近させられる過程で、コントローラ(制御機構の例)が、ツーウェイクラッチを制御することにより、前方の第1車輪14を後方に空転させ、後方の第1車輪14を前方に空転させるものとする。
【0060】
第1車輪14と同様に、各々の第2車輪15にも、ワンウェイクラッチ72が1つずつ取り付けられる。前方の第2車輪15に取り付けられるワンウェイクラッチ72は、第2車輪15を後方に空転させる。後方の第2車輪15に取り付けられるワンウェイクラッチ72は、第2車輪15を前方に空転させる。
【0061】
本実施の形態において、クローラ式走行装置10は、荷物又は人を運搬する用途以外にも利用することができる。例えば、クローラ式走行装置10を椅子と組み合わせて車椅子を構成してもよい。車体11を水平に保つ機能を利用することで、クローラ式走行装置10の上部に椅子を固定した場合に人間の乗る部分が水平に保たれる車椅子を提供することができる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態では、クローラ式走行装置10が、回転可能なアーム13に高速回転する第1車輪14が取り付けられているため、アーム13の保持位置(回転角度)を変えるだけで、クローラ式走行と車輪式走行とを部品交換等の外部からの作業なしに行うことができる。
【0063】
また、本実施の形態では、ワンウェイクラッチ71を採用しているため、アーム13に取り付けられた第1車輪14の、クローラ12のスプロケット22の回転機構に対する切り離し及び接続を任意に行うことができる。
【0064】
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0065】
図20は、本実施の形態に係るクローラ式走行装置10のアーム13及びその周辺部分の構成例を示す横断面図である。
【0066】
図20の例において、クローラ式走行装置10は、動力源に相当する第1モータ31、第2モータ32及び第3モータ33を備える。また、クローラ式走行装置10は、アーム13とクローラ12のスプロケット22との組み合わせごとに、第1ウォームギア41と、第2ウォームギア42と、第3ウォームギア43と、第1シャフト51と、第2シャフト52と、第3シャフト53と、伝達部60とを備える。さらに、クローラ式走行装置10は、第1車輪14と第2車輪15とのそれぞれに対して、
図19の例と同じワンウェイクラッチ71,72を備える。
【0067】
第1モータ31は、第1ウォームギア41を介して第1シャフト51を回転させる。第1シャフト51は、アーム13の回転軸を形成する。
【0068】
上記のように、第1モータ31は、アーム13の動力(回転力)を発生させる。この動力は、第1モータ31から第1ウォームギア41、第1シャフト51を順番に介してアーム13に伝達される。
【0069】
第2モータ32は、第2ウォームギア42を介して第2シャフト52を回転させる。第2シャフト52は、スプロケット22の駆動軸を形成する。
【0070】
第3モータ33は、第3ウォームギア43を介して第3シャフト53を回転させる。第3シャフト53は、第2車輪15の駆動軸を形成する。
【0071】
第3シャフト53が円柱状であるのに対し、第1シャフト51及び第2シャフト52は円筒状である。第1シャフト51は、第2シャフト52の内部を貫通しており、第3シャフト53は、第1シャフト51の内部を貫通している。そのため、第1シャフト51と第2シャフト52と第3シャフト53は、互いに独立して回転することができる。
【0072】
伝達部60は、
図19の例における第1伝達部61と同じように、2つのギア81,82と、1本のベルト83とを有する。伝達部60は、第2シャフト52の回転力を、ベルト83によって一方のギア81から他方のギア82に伝達し、さらに、このギア82を介して第1車輪14に伝達する。これにより、第1車輪14が駆動する。なお、ギア81,82の代わりに、プーリが用いられてもよい。また、ベルト83の代わりに、チェーンが用いられてもよい。
【0073】
図20の例では、
図19の例と同じように、第1車輪14のギア82の外径がスプロケット22のギア81の外径よりも小さくなっている。このため、第1車輪14は、スプロケット22よりも高速で駆動する。例えば、第1車輪14は、スプロケット22の3倍の速度で駆動する。
【0074】
上記のように、第2モータ32は、スプロケット22と第1車輪14との共通の動力(駆動力)を発生させる。この動力は、第2モータ32から第2ウォームギア42、第2シャフト52を順番に介してスプロケット22に伝達され、さらに伝達部60を介して第1車輪14に伝達される。一方、第3モータ33は、第2車輪15の個別の動力(駆動力)を発生させる。この動力は、第3モータ33から第3ウォームギア43、第3シャフト53を順番に介して第2車輪15に伝達される。なお、第2モータ32と第3モータ33とを共通の1つのモータで代替してもよい。
【0075】
図20の例では、
図19の例と異なり、第1車輪14と第2車輪15とが独立して駆動されるため、第2車輪15の速度を自由に設定することができる。
【0076】
実施の形態3.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0077】
図21は、本実施の形態に係るクローラ式走行装置10のアーム13及びその周辺部分の構成例を示す横断面図である。
【0078】
図21の例において、クローラ式走行装置10は、
図19の例と同じ第1モータ31及び第2モータ32を備える。また、クローラ式走行装置10は、アーム13とクローラ12のスプロケット22との組み合わせごとに、第1ウォームギア41と、第2ウォームギア42と、第1シャフト51と、第2シャフト52と、伝達部60とを備える。さらに、クローラ式走行装置10は、第1車輪14と第2車輪15とのそれぞれに対して、
図19の例と同じワンウェイクラッチ71,72を備える。
【0079】
第1モータ31は、第1ウォームギア41を介して第1シャフト51を回転させる。第1シャフト51は、アーム13の回転軸を形成する。
【0080】
上記のように、第1モータ31は、アーム13の動力(回転力)を発生させる。この動力は、第1モータ31から第1ウォームギア41、第1シャフト51を順番に介してアーム13に伝達される。
【0081】
第2モータ32は、第2ウォームギア42を介して第2シャフト52を回転させる。第2シャフト52は、スプロケット22及び第2車輪15の駆動軸を形成する。
【0082】
第1シャフト51が円柱状であるのに対し、第2シャフト52は円筒状である。第1シャフト51は、第2シャフト52の内部を貫通している。そのため、第1シャフト51と第2シャフト52は、互いに独立して回転することができる。
【0083】
伝達部60は、
図19の例における第1伝達部61と同じように、2つのギア81,82と、1本のベルト83とを有する。伝達部60は、第2シャフト52の回転力を、ベルト83によって一方のギア81から他方のギア82に伝達し、さらに、このギア82を介して第1車輪14に伝達する。これにより、第1車輪14が駆動する。なお、ギア81,82の代わりに、プーリが用いられてもよい。また、ベルト83の代わりに、チェーンが用いられてもよい。
【0084】
図21の例では、第1車輪14のギア82の外径がスプロケット22及び第2車輪15のギア81の外径よりも小さくなっている。このため、第1車輪14は、スプロケット22及び第2車輪15よりも高速で駆動する。例えば、第1車輪14は、スプロケット22及び第2車輪15の3倍の速度で駆動する。
【0085】
上記のように、第2モータ32は、スプロケット22と第1車輪14と第2車輪15との共通の動力(駆動力)を発生させる。この動力は、第2モータ32から第2ウォームギア42、第2シャフト52を順番に介してスプロケット22及び第2車輪15に伝達され、さらに伝達部60を介して第1車輪14に伝達される。
【0086】
図19の例では、第1車輪14と第2車輪15とがアーム13よりも左右方向の外側に配置されているが、
図21の例では、第1車輪14と第2車輪15とがアーム13よりも左右方向の内側に配置されている。このため、
図21の例では、
図19の例における第2伝達部62を設けることなく、スプロケット22の駆動用の第2シャフト52によって第2車輪15を駆動させることができる。
【0087】
実施の形態4.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0088】
図22は、本実施の形態に係るクローラ式走行装置10の第1ウォームギア41及びその周辺部分の構成例を示す横断面図である。
図23は、
図22に対応する縦断面図である。
【0089】
図22,23の例において、クローラ式走行装置10は、アーム13ごとに、回転許容部44を備える。
【0090】
回転許容部44は、調節機構によりアーム13が任意の回転角度で固定された状態で、外部からの力(例えば、路面の凹凸によってかかる力、或いは、荷台21に載せられた荷物又は人の荷重)がアーム13に加わったときに、アーム13が一定量回転することを許容する。
【0091】
回転許容部44は、第1ウォームギア41に取り付けられる。第1ウォームギア41は、外周面に螺旋状の溝が形成された円筒状のウォーム91と、外周面に複数の歯が形成されたリング状のウォームホイール92とで構成される。ウォーム91は、第1モータ31によって回転させられる。ウォーム91とウォームホイール92との外周面同士が噛み合っているため、ウォーム91が回転すると、ウォームホイール92が回転する。ウォームホイール92は、第1シャフト51に取り付けられているため、ウォームホイール92が回転すると、第1シャフト51が回転する。
【0092】
回転許容部44は、1対のバネ93と、ブラケット94とを有する。バネ93は、ウォーム91の軸方向の両端に取り付けられている。ブラケット94は、両方のバネ93のウォーム91に取り付けられた側と反対側を固定することにより、ウォーム91をバネ93ごと固定している。ウォーム91は、軸方向に移動できるが、その移動量はバネ93の弾性力によって制限される。
【0093】
例えば、アーム13が
図7〜12に示したような回転角度で固定されていて、クローラ式走行装置10が良路を走行しているときに、路面の凹凸によって第1車輪14を瞬間的に突き上げる力が加わったとする。その力が一定以上あれば、第1車輪14、アーム13、第1シャフト51、ウォームホイール92、ウォーム91を順番に介してバネ93に伝わってバネ93を縮ませるため、その分だけアーム13が回転する。これにより、路面の凹凸による衝撃を和らげることができる。
【0094】
また、例えば、アーム13が
図7〜12に示したような回転角度で固定されていて、荷台21に荷物が載せられているとする。その荷重が一定以上あれば、地面からの反発力が第1車輪14、アーム13、第1シャフト51、ウォームホイール92、ウォーム91を順番に介してバネ93に伝わってバネ93を縮ませるため、その分だけアーム13が回転する。これにより、車体11を安定させることができる。
【0095】
以上説明したように、本実施の形態では、アーム13を回転させる軸(第1シャフト51)を荷重等に応じて揺動可能としているため、車体11の搭載質量等によってアーム13が回転方向に変位させることができる。
【0096】
実施の形態5.
本実施の形態について、主に実施の形態4との差異を説明する。
【0097】
図24は、本実施の形態に係るクローラ式走行装置10の第1ウォームギア41及びその周辺部分の構成例を示す横断面図である。
図25は、
図24に対応する縦断面図である。
【0098】
図24,25の例において、クローラ式走行装置10は、アーム13ごとに、回転許容部44aを備える。
【0099】
回転許容部44aは、
図22,23の例と同じように、調節機構によりアーム13が任意の回転角度で固定された状態で、外部からの力がアーム13に加わったときに、アーム13が一定量回転することを許容する。
【0100】
回転許容部44aは、第1ウォームギア41に取り付けられる。第1ウォームギア41の構成については、
図22,23の例と同じである。
【0101】
回転許容部44aは、3対のバネ93と、ブラケット94とを有する。バネ93は、3つずつが一体となって、ウォーム91の軸方向の両端に対向している。ブラケット94は、全てのバネ93のウォーム91に取り付けられた側と反対側を固定することにより、ウォーム91をバネ93ごと固定している。ウォーム91は、軸方向に移動できるが、その移動量はバネ93の弾性力によって制限される。
【0102】
バネ93の数を増減することによって、ウォーム91の軸方向の移動量を調節することが可能である。
【0103】
図24,25の例では、
図22,23の例と同じように、路面の凹凸による衝撃を和らげたり、車体11を安定させたりすることができる。
【0104】
実施の形態6.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0105】
図26は、本実施の形態に係るクローラ式走行装置10aの平面図である。
図27は、
図26と同じ状態のクローラ式走行装置10aの正面図である。
図28は、
図26と同じ状態のクローラ式走行装置10aの左側面図である。
図29は、左側の第1車輪14及び第2車輪15を取り外した状態のクローラ式走行装置10aの左側面図である。
図30は、
図26と同じ状態のクローラ式走行装置10aの背面図である。
【0106】
図26〜30に示すように、クローラ式走行装置10aは、車体11と、1対のクローラ12と、2対のアーム13と、2対の第1車輪14(車輪の例)と、2対の第2車輪15(別の車輪の例)と、2対の支持部材16と、2対のプレート17と、2対の補強部材18とを備える。
【0107】
車体11と、クローラ12と、アーム13と、第1車輪14と、第2車輪15については、実施の形態1のものと同様である。
【0108】
本実施の形態では、支持部材16とプレート17とが調節機構を構成する。調節機構は、各アーム13を任意の回転角度で固定することにより、各々の第1車輪14の位置を調節する。このため、本実施の形態によれば、実施の形態1と同じように、調節機構により、各々の第1車輪14の位置を手動で変えて車体11の姿勢を自由に調節することが可能となる。
【0109】
支持部材16は、各アーム13に取り付けられる。例えば、支持部材16は、長手状であり、長手方向の一端部がアーム13に接続され、長手方向の他端部に締結具25が設けられている。支持部材16には、軽量化のために複数の貫通穴が形成されているが、これらの貫通穴は必須ではない。
【0110】
プレート17は、車体11の左右に各アーム13に対して設けられ、複数の位置に支持部材16を締結可能な構成となっている。例えば、プレート17は、四角形状の平板であり、車体11の左右側面に取り付けられる。プレート17は、複数の位置に、支持部材16を締結具25で締結するための穴26(例えば、締結具25がネジであれば、ネジ穴)が形成されている。
【0111】
本実施の形態では、プレート17の上記複数の位置のうち任意の位置(穴26)に支持部材16が(締結具25によって)締結されることにより、各アーム13の回転角度が任意の回転角度になる。
【0112】
図28,29に示すように、プレート17の穴26は、少なくともクローラ式走行装置10aがクローラ12により走行する場合とクローラ式走行装置10aが第1車輪14により高速旋回する場合とクローラ式走行装置10aが第1車輪14により高速走行する場合とのそれぞれに適したアーム13の回転角度に対応する位置に形成されているものとする。
【0113】
例えば、左側の前方のプレート17(
図28,29では左側にあるプレート17)では、クローラ式走行装置10aがクローラ12により走行する場合のアーム13の回転角度に対応する位置として、左上隅に穴26が形成されている。この穴26に支持部材16の締結具25を挿入して固定する(例えば、締結具25がネジであれば、締結具25をネジ込む)ことで、第1車輪14の全体がクローラ12の下端よりも上の領域A1にある状態をつくることができる。即ち、クローラ12を接地させることができる。
【0114】
また、例えば、左側の前方のプレート17では、クローラ式走行装置10aが第1車輪14により高速旋回する場合のアーム13の回転角度に対応する位置として、上部中央に穴26が形成されている。この穴26に支持部材16の締結具25を挿入して固定することで、第1車輪14の少なくとも一部分がクローラ12の下端よりも下の領域A2にあり、かつ、前方の第1車輪14と後方の第1車輪14とが近づいた状態(
図28,29では、その状態を示している)をつくることができる。即ち、第1車輪14を接地させて、小回りがきくようにすることができる。
【0115】
また、例えば、左側の前方のプレート17では、クローラ式走行装置10aが第1車輪14により高速走行する場合のアーム13の回転角度に対応する位置として、左下隅や右下隅等に穴26が形成されている。これらの穴26のいずれかに支持部材16の締結具25を挿入して固定することで、第1車輪14の少なくとも一部分がクローラ12の下端よりも下の領域A2にあり、かつ、前方の第1車輪14と後方の第1車輪14とが離れた状態をつくることができる。即ち、第1車輪14を接地させて、バランスをとりやすくすることができる。
【0116】
実施の形態7.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0117】
図31は、本実施の形態に係るクローラ式走行装置10bの水上航行の様子を示す図である。
【0118】
図31に示すように、クローラ式走行装置10bは、水陸両用車である。即ち、クローラ式走行装置10bは、陸上を走行する能力とともに、水上を航行する能力を有する。
【0119】
図32は、クローラ式走行装置10bの平面図である。
図33は、
図32と同じ状態のクローラ式走行装置10bの正面図である。
図34は、
図32と同じ状態のクローラ式走行装置10bの左側面図である。
図35は、
図32と同じ状態のクローラ式走行装置10bの背面図である。
【0120】
図32〜35に示すように、クローラ式走行装置10bは、車体11bと、1対のクローラ12と、2対のアーム13と、2対の第1車輪14(車輪の例)と、2対の第2車輪15(別の車輪の例)と、1対のスクリュー19と、調節機構(図示していない)とを備える。
【0121】
車体11bは、前端部が水の抵抗を減らすために尖っている。
【0122】
クローラ12と、アーム13と、第1車輪14と、第2車輪15と、調節機構については、実施の形態1のものと同様である。ただし、本実施の形態では、後方のアーム13だけでなく、前方のアーム13もサブクローラになっている。
【0123】
スクリュー19は、後方のアーム13(アーム13が車体11の左右に3つずつ又はそれ以上設けられる場合は、最後列のアーム13)に着脱自在に取り付けられる。スクリュー19には、クローラ12と第1車輪14と第2車輪15と共通の動力源から動力(駆動力)を供給するようにすることが望ましい。
【0124】
本実施の形態では、スクリュー19を駆動させることにより、クローラ式走行装置10bが水上を航行することができる。
【0125】
図37は、クローラ式走行装置10bの陸へ上がる様子を示す図である。
【0126】
図37に示すように、クローラ式走行装置10bが水上を航行していて陸地に達すると、車体11に内蔵されたコントローラが、外部からの指令、又は、センサからの情報に基づいて、各々の第1車輪14の位置を調節する。これにより、クローラ式走行装置10bは、アーム13の回転による車体11の重心移動と、サブクローラであるアーム13の駆動とによって、自律的に段差を上って陸へ上がり、水上航行から地上走行へ遷移する。
【0127】
図36は、本実施の形態の変形例に係るクローラ式走行装置10bの左側面図である。
【0128】
図36に示すように、クローラ式走行装置10bは、貯水用のタンク27,28を備えていてもよい。
【0129】
タンク27,28は、車体11bの前後方向に分けて車体11bに内蔵される。タンク27,28の底部には、タンク27,28に注水したり、タンク27,28から排水したりするための注排水口が設けられる。また、タンク27,28の上部には、空気を抜くための孔が設けられる。なお、タンク27,28は、さらに車体11bの左右方向に分割されていてもよい。
【0130】
車体11bの外部からタンク27,28に注水したり、タンク27,28から車体11bの外部に排水したりすることで車体11bの浮力を調整することができる。例えば、タンク27,28への注水量を調整することにより、クローラ式走行装置10bが水中を航行したり、水底を走行したりすることが可能になる。タンク27,28から排水し、タンク27,28を浮きとして使用することにより、クローラ式走行装置10bが水上を走行することも可能になる。
【0131】
車体11bの姿勢を所望の姿勢に制御するために、タンク27,28への注水量を個別に調整したり、不均等にしたりするといったことが可能である。例えば、前方のタンク27のみ、或いは、後方のタンク28のみの注排水によって前後浮力を調整することで、
図37に示したような水から陸へ上がる際の姿勢変更を補助することができる。
【0132】
実施の形態8.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0133】
図38〜41は、本実施の形態に係るクローラ式走行装置10cの斜視図である。
【0134】
図38〜41に示すように、クローラ式走行装置10cは、実施の形態1に係るクローラ式走行装置10と同様に、車体11と、1対のクローラ12と、2対のアーム13と、2対の第1車輪14(車輪の例)と、2対の第2車輪15(別の車輪の例)とを備える。また、図示していないが、クローラ式走行装置10cは、実施の形態1に係るクローラ式走行装置10と同様に、調整機構を備える。
【0135】
本実施の形態において、クローラ式走行装置10cは、さらに、リンク機構20を備える。リンク機構20は、前方の左右の第1車輪14同士を接続するとともに、後方の左右の第1車輪14同士を接続する。リンク機構20は、接続した第1車輪14の向きを調節する。
【0136】
また、本実施の形態において、クローラ式走行装置10cは、車体11の外部に、センサ95と、アンテナ96,97とを備える。センサ95は、例えば、3次元マップ等を生成するためのレーザである。アンテナ96は、例えば、前述した通信機が通信を行うために用いられる。アンテナ97は、例えば、測位用のGPS(Global・Positioning・System)アンテナである。なお、センサ95と、アンテナ96,97は、本実施の形態に必須の要素ではない。
【0137】
実施の形態1と同様に、クローラ式走行装置10cが良路(平坦地)を走行する場合は、
図38〜40に示すように、調節機構により、各々の第1車輪14の位置を調節して、第1車輪14の少なくとも一部分がクローラ12の下端よりも下の領域にある状態にすることで、第1車輪14を接地させることができる。よって、良路での高速走行が可能になる。
【0138】
特に、
図38,39に示すように、第1車輪14の少なくとも一部分がクローラ12の下端よりも下の領域にあり、かつ、前方の第1車輪14と後方の第1車輪14とが離れた状態にすることで、車体11のバランスがとりやすくなり、良路でのより高速な走行が可能になる。
【0139】
一方、
図40に示すように、第1車輪14の少なくとも一部分がクローラ12の下端よりも下の領域にあり、かつ、前方の第1車輪14と後方の第1車輪14とが近づいた状態にすることで、小回りがきくようになる。
【0140】
本実施の形態では、
図38,39に示すように、リンク機構20により、各々の第1車輪14の向きを調節することで、旋回性が向上する。実施の形態1のように、左側の第1車輪14と右側の第1車輪14とを逆方向に駆動させることにより旋回を行う場合と比べると、本実施の形態では、自立走行時の移動量をモータ回転数等から正確に算出できるようになるため、クローラ式走行装置10cの走行を制御する際に計算される走行位置とクローラ式走行装置10cの実際の走行位置との間にずれが生じにくい。また、旋回時における駆動力の損失が抑制されるため、スムーズで高速な旋回が可能となる。
【0141】
なお、リンク機構20は、前方と後方とのうち、いずれか一方の左右の第1車輪14同士を接続し、他方の左右の第1車輪14同士は接続しなくてもよい。即ち、リンク機構20は、少なくとも前方又は後方の左右の第1車輪14の向きを調節すればよい。アーム13が車体11の左右に3つずつ又はそれ以上設けられる場合は、リンク機構20は、少なくとも最前列又は最後列の左右の第1車輪14同士を接続すればよい。即ち、リンク機構20は、少なくとも最前列又は最後列の左右の第1車輪14の向きを調節すればよい。
【0142】
実施の形態1と同様に、クローラ式走行装置10cが悪路(不整地)を走行する場合は、
図41に示すように、調節機構により、各々の第1車輪14の位置を調節して、第1車輪14の全体がクローラ12の下端よりも上の領域にある状態にすることで、クローラ12を接地させることができる。よって、悪路での走行が容易になる。
【0143】
実施の形態9.
本実施の形態について、主に実施の形態8との差異を説明する。
【0144】
図42〜45は、本実施の形態に係るクローラ式走行装置10dの斜視図である。
【0145】
図42〜45に示すように、クローラ式走行装置10dは、実施の形態8に係るクローラ式走行装置10cと同様に、車体11と、1対のクローラ12と、2対のアーム13と、2対の第1車輪14(車輪の例)と、2対の第2車輪15(別の車輪の例)とを備える。また、図示していないが、クローラ式走行装置10dは、実施の形態8に係るクローラ式走行装置10cと同様に、調整機構を備える。さらに、クローラ式走行装置10dは、実施の形態8に係るクローラ式走行装置10cと同様に、車体11の外部に、センサ95と、アンテナ96,97とを備える。
【0146】
本実施の形態において、アーム13のそれぞれの先端部24は、アーム13のそれぞれの回転軸と垂直なアーム13のそれぞれの中心軸を中心に回転することで、第1車輪14の向きを調節する。即ち、前後左右のアーム13のそれぞれで、先端部24が他の部分から独立して任意の角度で回転し、先端部24の回転角度に応じて、先端部24に取り付けられた第1車輪14の向きが変わる。このため、本実施の形態では、実施の形態8に係るクローラ式走行装置10cのリンク機構20が不要となる。
【0147】
実施の形態8と同様に、クローラ式走行装置10dが良路(平坦地)を走行する場合は、
図42〜44に示すように、調節機構により、各々の第1車輪14の位置を調節して、第1車輪14の少なくとも一部分がクローラ12の下端よりも下の領域にある状態にすることで、第1車輪14を接地させることができる。よって、良路での高速走行が可能になる。
【0148】
実施の形態8では、左右の第1車輪14を同じ向きにしか調節できないが、本実施の形態では、左右の第1車輪14を異なる向きに調節することができる。また、本実施の形態では、第1車輪14の向きを90度以上変えることができる。したがって、
図43に示すように、全ての第1車輪14の向きを横向きにすることで、クローラ式走行装置10dを真横に走行させることが可能となる。
【0149】
実施の形態8と同様に、クローラ式走行装置10dが悪路(不整地)を走行する場合は、
図45に示すように、調節機構により、各々の第1車輪14の位置を調節して、第1車輪14の全体がクローラ12の下端よりも上の領域にある状態にすることで、クローラ12を接地させることができる。よって、悪路での走行が容易になる。
【0150】
実施の形態10.
本実施の形態について、主に実施の形態7との差異を説明する。
【0151】
図46〜49は、本実施の形態に係るクローラ式走行装置10eの水上航行の様子を示す図である。
【0152】
図46〜49に示すように、クローラ式走行装置10eは、実施の形態7に係るクローラ式走行装置10bと同様に、車体11bと、1対のクローラ12と、2対のアーム13と、2対の第1車輪14(車輪の例)と、2対の第2車輪15(別の車輪の例)と、1対のスクリュー19とを備える。また、図示していないが、クローラ式走行装置10eは、実施の形態7に係るクローラ式走行装置10bと同様に、調整機構を備える。さらに、クローラ式走行装置10eは、実施の形態8に係るクローラ式走行装置10cと同様に、車体11の外部に、センサ95と、アンテナ96,97とを備える。
【0153】
本実施の形態において、クローラ式走行装置10eは、さらに、板状のフィン30を備える。フィン30は、前方の左右のアーム13に取り付けられる。
【0154】
本実施の形態では、フィン30の角度を調節することにより、クローラ式走行装置10eが航行する方向を制御することができる。
【0155】
フィン30は、進行方向に対して斜めのブロック等であり、
図48に示すように、左右のうち片方が水中に没することにより水流の偏向板として作用し、クローラ式走行装置10eの進行方向の制御を補助する。即ち、フィン30には、予め左右方向に角度がつけられている。前方の左右のアーム13のうちいずれか一方は下ろされた状態で、他方は上げられた状態で用いられる。これによって、下ろされた片方のアーム13に取り付けられたフィン30のみが水中に没し、そのフィン30の角度に応じてクローラ式走行装置10eの進行方向が制御される。
【0156】
なお、フィン30の左右方向の角度は、固定であってもよいし、可変であってもよい。フィン30の左右方向の角度を可変とする場合は、前方の左右のアーム13に、フィン30を左右方向に開閉する機構が設けられる。そして、その場合は、前方の左右のアーム13の両方が下ろされた状態で用いられてもよい。即ち、下ろされた両方のアーム13のうちいずれか一方に取り付けられたフィン30を開き、他方に取り付けられたフィン30を閉じることで、開いたフィン30の角度に応じてクローラ式走行装置10eの進行方向を制御することが可能となる。
【0157】
アーム13が車体11の左右に3つずつ又はそれ以上設けられる場合は、フィン30は、少なくとも最前列のアーム13に取り付けられればよい。
【0158】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらの実施の形態のうち、いくつかを組み合わせて実施しても構わない。或いは、これらの実施の形態のうち、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施しても構わない。例えば、これらの実施の形態の説明において「部」として説明するもののうち、いずれか1つのみを採用してもよいし、いくつかの任意の組み合わせを採用してもよい。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。