特許第6562628号(P6562628)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562628
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】目標識別システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/14 20060101AFI20190808BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20190808BHJP
   G01S 13/76 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H01Q15/14
   H01Q21/24
   G01S13/76
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-251223(P2014-251223)
(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公開番号】特開2016-115990(P2016-115990A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年12月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】板倉 晃
(72)【発明者】
【氏名】平木 直哉
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−326514(JP,A)
【文献】 特表2008−512940(JP,A)
【文献】 特開平03−283903(JP,A)
【文献】 米国特許第06384787(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 13/76
H01Q 15/14
H01Q 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直偏波と水平偏波の一方の偏波を送信する送受信装置と、
移動する目標に備えられて該目標と一緒に移動し、前記送受信装置からの一方の偏波を受信すると、この偏波を基にこの偏波と直交する偏波を送信するアンテナ装置と、
を備え、
前記送受信装置は、前記アンテナ装置からの前記直交する偏波を受信して、該受信信号を基に前記目標までの距離と方向を算出し、前記目標を画像にして識別する、
ことを特徴とする目標識別システム。
【請求項2】
前記アンテナ装置は複数のパッチアンテナを配列して形成され、
前記各パッチアンテナは、
第1の放射素子とこの第1の放射素子に接続されている第1の給電線路とから成る第1の給電基板と、
第2の放射素子とこの第2の放射素子に接続されている第2の給電線路から成る第2の給電基板と、
を備え、
前記第2の給電線路は、前記第1の給電線路と直交するように配置されていると共に前記第1の給電線路と前記第2の給電線路とが接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の目標識別システム。
【請求項3】
前記パッチアンテナは、屈曲が可能なシート体に貼り付けられている、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の目標識別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検出対象を電波により識別する目標識別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検出対象である目標を電波で識別するためのシステムは、海難救助や山岳救助などに利用可能である(例えば、特許文献1参照。)。海難救助の場合、遭難者は、応答装置を所持して救命ボートに乗り込む。この後、捜索船または捜索機のレーダによる送信波を応答装置が受信すると、この応答装置は、応答信号として自動的に反射波(電波)を放射する。捜索船または捜索機側では、応答装置からの反射波をレーダが受信すると、レーダは、受信した反射波を基にして、遭難者が所持している応答装置の位置を表示する。こうしたシステムでは、応答装置として例えばコーナリフレクタが用いられる。コーナリフレクタは、入射した電波を反射する装置である。
【0003】
こうして、遭難者のような検出対象を、電波の送受信により識別することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−328165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、先に述べたような、目標を電波により識別するためのシステムには次の課題がある。例えば海難救助の場合に、救命ボートは洋上にあるので、レーダ波が海面で反射した反射波であるシークラッタが、応答装置からの反射波に織り込まれる。この結果、レーダ側では応答装置からの反射波の判別が困難になるという課題がある。
【0006】
山岳遭難の場合でも、同じように、地面からの反射波であるグランドクラッタが発生するので、応答装置の判別がレーダ側で困難である。
【0007】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、クラッタが多い環境下でも目標を的確に識別することを可能にする目標識別システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、垂直偏波と水平偏波の一方の偏波を送信する送受信装置と、移動する目標に備えられて該目標と一緒に移動し、前記送受信装置からの一方の偏波を受信すると、この偏波を基にこの偏波と直交する偏波を送信するアンテナ装置と、を備え、前記送受信装置は、前記アンテナ装置からの前記直交する偏波を受信して、該受信信号を基に前記目標までの距離と方向を算出し、前記目標を画像にして識別する、ことを特徴とする目標識別システムである。
【0009】
請求項1の発明では、送受信装置が垂直偏波と水平偏波の一方の偏波を送信する。一方、アンテナ装置は目標に備えられている。そして、アンテナ装置は、送受信装置からの一方の偏波を受信すると、この偏波を基に他方の偏波を送信する。送受信装置は、アンテナ装置からの他方の偏波を受信して、該受信信号を基に前記目標までの距離と方向を算出し、前記目標を画像にして識別する。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の目標識別システムにおいて、前記アンテナ装置は複数のパッチアンテナを配列して形成され、前記各パッチアンテナは、第1の放射素子とこの第1の放射素子に接続されている第1の給電線路とから成る第1の給電基板と、第2の放射素子とこの第2の放射素子に接続されている第2の給電線路から成る第2の給電基板と、を備え、前記第2の給電線路は、前記第1の給電線路と直交するように配置されていると共に前記第1の給電線路と前記第2の給電線路とが接続されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2のいずれか1項に記載の目標識別システムにおいて、前記パッチアンテナは、屈曲が可能なシート体に貼り付けられている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、例えば垂直偏波を送信した後で、目標からの反射波として水平偏波を受信し、該受信信号を基に前記目標までの距離と方向を算出し、前記目標を画像化することにより、目標とクラッタとの識別を容易に行うことが出来る。
【0013】
請求項2の発明によれば、パッチアンテナの第1の給電線路と第2の給電線路を接続したので、一方の放射素子が受信した偏波の直交成分を他方の放射素子が再放射する。これにより、アンテナ装置が無給電で動作可能となり、電源を不要にすることが出来る。
【0014】
請求項3の発明によれば、複数のパッチアンテナをシート体に貼り付けてアンテナ装置を構成したので、アンテナ装置の携帯が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態1による目標識別システムを示す構成図である。
図2図1のパッチアンテナ部を示す構成図である。
図3図2のパッチアンテナを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明の各実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0017】
(実施の形態1)
この実施の形態による目標識別システムを図1に示す。図1の目標識別システムは、送受信装置10とアンテナ装置20とを備えている。
【0018】
送受信装置10は、操作部11と送信部12と処理部13と受信部14と表示部15とアンテナ16A、16Bとを備えている。
【0019】
操作部11は、人手によって操作されるものである。これにより、操作部11には、目標捕捉等の指示が入力される。送信部12は、処理部13から送信指示を受け取ると、パルス状の高周波信号をアンテナ16Aに出力する。アンテナ16Aは、この実施の形態では垂直偏波を送信するために配置されている。アンテナ16Aは、パルス状の高周波信号を処理部13から受け取ると、この高周波信号をパルス状の垂直偏波の送信波として放射する。アンテナ16Aとしては、例えば複数の素子を並べて構成したアンテナがある。また、アンテナ16Aとしては、装置が大型になっても、高い利得を必要とする場合、例えば地すべり等を検出するような場合、ホーンアンテナを用いてもよい。
【0020】
アンテナ16Bは、水平偏波の反射波を受信するために配置されている。つまり、水平偏波用のアンテナ16Bは、垂直偏波用のアンテナ16Aとは同じものであるが、その取付け状態が異なっている。アンテナ16Bは、アンテナ装置20からの水平偏波の反射波を受信する。そして、アンテナ16Bは、受信した反射波を高周波信号に変換して、受信部14に送る。受信部14は、アンテナ16Bから高周波信号を受け取ると、この信号を基に受信信号を生成し、この受信信号を処理部13に送る。
【0021】
処理部13は、操作部11から目標捕捉の指示を受け取ると、送信部12に対して送信指示を送る。この後、処理部13は、受信部14から受信信号を受け取ると、この受信信号を基に目標までの距離や方向等を算出する。そして、処理部13は、算出結果を基にアンテナ装置20つまり目標を映像として表示部15に表示する。
【0022】
アンテナ装置20は、この実施の形態では垂直偏波を受信すると、この垂直偏波を基に水平偏波を送信する。このために、アンテナ装置20は、シート20と多数のパッチアンテナ部20とを備えている。
【0023】
シート20は、屈曲自在な材料、例えばシリコン樹脂で作られている。シート20は、縦が長さL1であり横が長さL2である四角形状をしている。そして、シート20は、携帯されるときには縦と横に折り曲げられて使用され、電波の送受信時には広げられて使用される。
【0024】
パッチアンテナ部20は、シート20に複数貼り付けられている。これらはすべて同じであるので、以下では1つのパッチアンテナ部20について説明する。パッチアンテナ部20は、図2に示すように、パッチアンテナ2021と接続線路2022とを備えている。
【0025】
パッチアンテナ部20のパッチアンテナ2021は、図3に示すように、地導体21Aと誘電体21Bと給電基板21Cとがこの順で積み重ねられている。給電基板21Cは、放射素子21Cと給電線路21Cとがフィルム状絶縁基板21Cに形成された構成である。給電基板21Cの上には、誘電体21Dと地導体21Eとがこの順で積み重ねられている。地導体21Eには、放射素子21Cの真上に位置するようにスロット開口21Eが設置されている。
【0026】
地導体21Eの上には、誘電体21Fと給電基板21Gとがこの順で積み重ねられている。給電基板21Gは、放射素子21Gと給電線路21Gとがフィルム状絶縁基板21Gに形成された構成である。給電基板21Gの上には、誘電体21Hと地導体21Jとがこの順で積み重ねられている。地導体21Jには、放射素子21Gの真上に位置するようにスロット開口21Jが設置されている。
【0027】
上層側の給電基板21Gのフィルム状絶縁基板21Gは、予め定められた大きさ及び形状(例えば、正方形で厚さ25μmのポリエステルフィルム)である。放射素子21Gは、フィルム状絶縁基板21Gの上面の中央部分に予め定められた大きさ、形状(例えば各辺が10数mm及び10数mmの長方形で厚さ18μm)の導電箔(銅箔)を貼り付けて形成されている。放射素子21Gは、給電線路21Gからの高周波信号により励振される。これにより、放射素子21Gは電波(反射波)を放射する。また、放射素子21Gは送信波を受信すると、高周波信号を発生する。
【0028】
給電線路21Gは、放射素子21Gを予め定められた方向から給電し励振するように、フィルム状絶縁基板21Gの上面に導電箔(銅箔)を貼り付けて形成されている。給電線路21Gは縦が横より長い細長形状をしている。この実施の形態では、給電線路21Gの長さ方向がシート20の縦方向(長さL1の方向)と一致するように、パッチアンテナ部20がシート20に貼り付けられている。そして、シート20の縦方向が垂直状態に横方向が水平状態にされているときに、給電線路21Gが端部に入力された高周波信号を放射素子21Gに給電すると、放射素子21Gは、垂直偏波の電波を反射波として放射する。また、放射素子21Gが垂直偏波の電波(送信波)を受信すると、給電線路21Gは、高周波信号を端部から出力する。
【0029】
また逆に、シート20の縦方向が水平状態に横方向が垂直状態にされているときに、給電線路21Gが端部に入力された高周波信号を放射素子21Gに給電すると、放射素子21Gは、水平偏波の電波を反射波として放射する。また、放射素子21Gが水平偏波の送信波を受信すると、給電線路21Gは、高周波信号を端部から出力する。
【0030】
下層側の給電基板21Cは、上層側の給電基板21Gと同様の放射素子21Cと給電線路21Cとフィルム状絶縁基板21Cとで形成されている。そして、上層側の給電基板21Gに対し、一定の間隔を隔てて下層側の給電基板21Cが配置されている。かつ、下層側の給電基板21Cの給電線路21Cは、上層側の給電基板21Gの給電線路21Gとは互いに直交する方向となるように配置されている。これにより、下層側の給電基板21Cでは、上層側の放射素子21Gに対する給電、励振方向とは直交する方向から、放射素子21Cに対する給電、励振が行われる。つまり、給電線路21Cの長さ方向がシート20の横方向(長さL2の方向)と一致するように、パッチアンテナ部20がシート20に貼り付けられている。そして、シート20の縦方向が垂直状態に横方向が水平状態にされているときに、給電線路21Cが端部に入力された高周波信号を放射素子21Cに給電すると、放射素子21Cは、水平偏波の電波を放射する。また、放射素子21Cが水平偏波の電波を受信すると、給電線路21Cは、高周波信号を端部から出力する。
【0031】
また逆に、シート20の縦方向が水平状態に横方向が垂直状態にされているときに、給電線路21Cが端部に入力された高周波信号を放射素子21Cに給電すると、放射素子21Cは、垂直偏波の電波を反射波として放射する。また、放射素子21Cが垂直偏波の電波を受信すると、給電線路21Gは、高周波信号を端部から出力する。
【0032】
パッチアンテナ部20の接続線路2022図2)は、上層側の給電基板21Gの給電線路21Gに、下層側の給電基板21Cの給電線路21Cを電気的に接続している。つまり、上層側の給電線路21Gの端部が下層側の給電線路21Cの端部に接続されている。これにより、接続線路2022は、上層側の給電基板21Gの給電線路21Gが出力する高周波信号を、下層側の給電基板21Cの給電線路21Cに加える。また逆に、接続線路2022は、下層側の給電基板21Cの給電線路21Cが出力する高周波信号を、上層側の給電基板21Gの給電線路21Gに加える。
【0033】
つまり、アンテナ装置20のパッチアンテナ2021については、下層側の給電基板21Cの給電線路21Cと上層側の給電基板21Gの給電線路21Gとが直交するように配置されている。この結果、アンテナ装置20は受信した偏波成分の直交成分を再放射している。さらに、アンテナ装置20は、受信した送信波を利用して、反射波を生成し放射するので、電源が不要な無給電で動作可能である。
【0034】
この実施の形態による目標識別システムは以上の構成である。次に、この目標識別システムの作用について、山岳救助を例として説明する。登山者は山に行く際にアンテナ装置20を折りたたんで持ち歩くようにする。そして、悪天候等で遭難したときに、登山者はアンテナ装置20を取り出して広げる。このとき、登山者は、例えば、シート20の縦方向を垂直状態にし、かつ、横方向を水平状態にして木の間などに吊るして救助を待つ。
【0035】
一方、天候不良で遭難した登山者があると麓側が判断すると、麓側の捜索者は、送受信装置10の操作部11を操作して目標捕捉の指示を入力する。これにより、送受信装置10の送信部12は、アンテナ16Aからパルス状の垂直偏波を送信波として山に向けて送信する。
【0036】
遭難した登山者が設置したアンテナ装置20側では、シート20の縦方向が垂直状態にされ、横方向が水平状態にされているので、各パッチアンテナ部20の給電基板21Gの放射素子21Gが送受信装置10からの垂直偏波の送信波を受信して、給電線路21Gが高周波信号を出力する。この高周波信号は、パッチアンテナ部20の接続線路2022を経て、給電基板21Cの給電線路21Cに加えられる。これにより、給電基板21Cの放射素子21Cは水平偏波の電波を反射波として再放射する。
【0037】
一方、山の地表で発生するグランドクラッタは、送受信装置10からの垂直偏波の反射波であるので、水平偏波の反射波がグランドクラッタに埋もれることはない。
【0038】
送受信装置10のアンテナ16Bはアンテナ装置20からの水平偏波の応答波を受信すると、受信部14は受信信号を処理部13に送る。同時に、垂直偏波のグランドクラッタは、水平偏波用のアンテナ16Bで受信されることはない。処理部13は、アンテナ16Bからの受信信号を受け取ると、この受信信号を基に目標までの距離や方向等を算出する。この後、処理部13は、算出結果を基にアンテナ装置20である目標を映像として表示部15に表示する。捜索者はこの映像を基に遭難者を識別する。
【0039】
なお、登山者側で、シート20の縦方向を水平状態にし、横方向を垂直状態にして木の間などに吊るしても、アンテナ装置20の給電基板21Cが送受信装置10からの垂直偏波の送信波を受信し、給電基板21Gが水平偏波を反射波として放出する。これにより、送受信装置10は目標の映像を表示する。
【0040】
こうして、この実施の形態によれば、受信した偏波成分の直交成分を再放射するパッチアンテナ部20をシート20に無数に張り付けて、送信波と直交した偏波を再放射し、送受信装置10で受信することで、目標とクラッタとの識別を容易にすることが可能となる。このとき、グランドクラッタやシークラッタは送信波である垂直偏波が反射されたものであるので、水平偏波を反射波とすることでクラッタの影響を除くことが出来る。
【0041】
また、この実施の形態によれば、シート20に多数のパッチアンテナ部20を貼り付けてアンテナ装置20を形成している。これにより、アンテナ装置20を縦横に折りたたむことが出来るので、アンテナ装置20が小型になり、アンテナ装置20を携帯することも可能となる。
【0042】
また、この実施の形態によれば、アンテナ装置20は、受信した垂直偏波から水平偏波を生成した反射波とするので、無給電での使用となり、電源を不要にすることが出来る。
【0043】
さらに、この実施の形態によれば、パッチアンテナ2021の帯域を絞ることで、広帯域で送信波を受信し、反射波はその中の一部の帯域だけとなるので、捜索側の送受信装置10はパルス幅が広がったビデオ(エコー)を表示することが出来る。
【0044】
(実施の形態2)
この実施の形態では、送受信装置10を次のようにしている。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態では、送受信装置10のアンテナ16Aは水平偏波を送信するために配置されている。アンテナ16Aは、パルス状の高周波信号を送信部12から受け取ると、この高周波信号によりパルス状の水平偏波を送信波として空中に放射する。
【0045】
また、この実施の形態では、アンテナ16Bは、垂直偏波を受信するために配置されている。アンテナ16Bは、アンテナ装置20からの垂直偏波の反射波を受信する。そして、アンテナ16Bは、受信した反射波を高周波信号に変換して受信部14に送る。送受信装置10は、受信した垂直偏波の反射波を基にして、目標を映像として表示する。
【0046】
一方、アンテナ装置20は、実施の形態1と同様である。つまり、アンテナ装置20は受信した偏波成分の直交成分を再放射する。これにより、送受信装置10が水平偏波の送信波を放射しても、アンテナ装置20は垂直偏波の反射波を放出する。つまり、送受信装置10の側で、装置が変更されても、アンテナ装置20の変更は不要で、そのまま使用可能である。
【0047】
これにより、この実施の形態によれば、実施の形態1と同様にして、送受信装置10による目標捕捉を行うことが出来る。
【0048】
(実施の形態3)
この実施の形態では、アンテナ装置20を次のようにしている。実施の形態1、2では、給電基板21Cと給電基板21Gとが積層された構成であったが、この実施の形態では、給電基板21Cと給電基板21Gとを平面上に並べている。このとき、給電線路21Cと給電線路21Gとの配置と接続は実施の形態1、2と同様である。
【0049】
この実施の形態によれば、アンテナ装置20を薄くすることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明は、遭難者の捜索の他に、地形の変動や、子供等の見守り、物品等の移動状況の観察など各種の分野での利用が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 送受信装置
20 アンテナ装置
20 シート(シート体)
20 パッチアンテナ部
2021 パッチアンテナ
21C、21G 給電基板
21C、21G 放射素子
21C、21G 給電線路
2022 接続回路
図1
図2
図3