(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の一例としての電気泳動表示装置100の主要構成を示す図である。同図に示すように、電気泳動表示装置100は、電気泳動パネル10と、制御回路20と、を備える。
【0014】
電気泳動パネル10は、複数の画素回路Pが配列された表示部30と、各画素回路Pを駆動する駆動部40と、を備える。駆動部40は、走査線駆動回路42と、データ線駆動回路44とを備える。
制御回路20は、上位装置から供給される映像信号や同期信号などに基づいて、電気泳動パネル10の各部を統括的に制御する。
【0015】
表示部30には、第2の制御線の一例としてX方向に延在するm本の走査線32と、第1の制御線の一例としてY方向に延在して走査線32に交差するn本のデータ線34とが形成される(m,nは自然数)。複数の画素回路Pは、走査線32とデータ線34との交差に配置されて縦m行×横n列の行列状に配列される。
図2は、画素回路Pの構成例を示す図である。
図2においては、第i行(1≦i≦m)の第j列目(1≦j≦n)に位置する1個の画素回路(画素)Pのみを図示している。同図に示すように、画素回路Pは、電気泳動素子50と、選択スイッチTsと、メモリ回路25と、スイッチ回路35とを含む。
【0016】
選択スイッチTsは、N−MOS(Negative Metal Oxide Semiconductor)で構成されている。選択スイッチTsのゲート部には走査線32、ソース側にはデータ線34、ドレイン側にはメモリ回路25がそれぞれ接続されている。選択スイッチTsは、走査線駆動回路42から走査線32を介して走査信号が入力される期間中、データ線34とメモリ回路25とを接続させることによって、データ線駆動回路44からデータ線34を介して入力されるデータ信号をメモリ回路25に入力させるために用いられる。
【0017】
メモリ回路25は、ラッチ回路であり、2つのP−MOS(Positive Metal Oxide Semiconductor)25p1、25p2、及び2つのN−MOS25n1、25n2によって構成されている。P−MOS25p1、25p2のソース側に第1の電源線13が接続され、N−MOS25n1、25n2のソース側には第2の電源線14が接続されている。したがって、P−MOS25p1及びP−MOS25p2のソース側が、メモリ回路25の高電位電源端子であり、N−MOS25n1及びN−MOSn2のソース側がメモリ回路25の低電位電源端子である。
【0018】
また、画素電極スイッチ回路の一例としてのスイッチ回路35は、第1のトランスファーゲート36と第2のトランスファーゲート37とを備えている。第1のトランスファーゲート36は、P−MOS36pとN−MOS36nとを備えている。第2のトランスファーゲート37は、P−MOS37pとN−MOS37nとを備えている。
第1のトランスファーゲート36のソース側は、第1の枝電源線63と接続され、第2のトランスファーゲート37のソース側は、第2の枝電源線64と接続されている。トランスファーゲート36、37のドレイン側は、画素電極51に接続されている。
【0019】
メモリ回路25は、選択スイッチTsのドレイン側と接続された入力端子N1と、スイッチ回路35と接続された第1の出力端子N2及び第2の出力端子N3とを備えている。
メモリ回路25のP−MOS25p1のゲート部及びN−MOS25n1のゲート部は、メモリ回路25の入力端子N1として機能する。入力端子N1は、選択スイッチTsのドレイン側と接続されるとともに、メモリ回路25の第1の出力端子N2(P−MOS25p2のドレイン側及びN−MOS25n2のドレイン側)と接続されている。
さらに、第1の出力端子N2は、第1のトランスファーゲート36のP−MOS36pのゲート部、及び第2のトランスファーゲート37のN−MOS37nのゲート部に接続されている。
【0020】
メモリ回路25のP−MOS25p2のゲート部及びN−MOS25n2のゲート部は、メモリ回路25の第2の出力端子N3として機能する。
第2の出力端子N3は、P−MOS25p1のドレイン側及びN−MOS25n1のドレイン側と接続されるとともに、第1のトランスファーゲート36のN−MOS36nのゲート部、及び第2のトランスファーゲート37のP−MOS37pのゲート部に接続されている。
【0021】
メモリ回路25は、選択スイッチTsから送られたデータ信号を保持するとともに、スイッチ回路35にデータ信号を入力するために用いられる。
スイッチ回路35は、メモリ回路25から入力されたデータ信号に基づいて、第1及び第2の枝電源線63、64の何れかを択一的に選択し、画素電極51と接続させるセレクタとして機能する。このとき、第1及び第2のトランスファーゲート36、37は、データ信号のレベルに応じて一方のみが動作する。
【0022】
具体的には、データ信号としてメモリ回路25の入力端子N1にハイレベル(H)が入力されると、第1の出力端子N2からハイレベル(H)が出力されるので、第1の出力端子N2(入力端子N1)に接続されたトランジスタのうち、N−MOS37nが動作し、また第2の出力端子N3と接続されたP−MOS37pが動作してトランスファーゲート37が駆動される。したがって、第1の枝電源線63と画素電極51とが電気的に接続される。
一方、データ信号としてメモリ回路25の入力端子N1にローレベル(L)が入力されると、第1の出力端子N2からはローレベル(L)が出力されるので、第1の出力端子N2(入力端子N1)に接続されたトランジスタのうち、P−MOS36pが動作し、また第2の出力端子N3と接続されたN−MOS36nが動作してトランスファーゲート36が駆動される。したがって、第2の枝電源線64と画素電極51とが電気的に接続される。
そして、動作した方のトランスファーゲートを介して、第1の枝電源線63又は第2の枝電源線64が画素電極51と導通し、画素電極51に電位が入力される。
また、メモリ回路25は、以上のように選択スイッチTsを介して入力されるデータ信号を電位として保持することができ、一定期間ごとのリフレッシュ操作を行わなくてもスイッチ回路35の状態を保持することができる。したがって、メモリ回路25の機能によって画素電極51の電位を保持することができる。また、異なる信号を出力する複数の出力端子を設けることができるため、スイッチ回路35の構成に合わせた適切な制御が可能である。
【0023】
電気泳動素子50は、
図3に示すように、向かい合う画素電極51及び共通電極52と、画素電極51と共通電極52との間に配置された複数のマイクロカプセル53とを含む。本実施形態では、共通電極52側が観察側の電極である。なお、共通電極は、画素電極51に対向する電極であるため対向電極とも称されるが、本実施形態では共通電極として説明する。
表示素子の一例としての電気泳動素子50は、複数のマイクロカプセル53により構成されている。電気泳動素子50は、接着剤層31を用いて素子基板28と対向基板29の間で固定されている。すなわち、電気泳動素子50と両基板28、29との間に接着剤層31が形成されている。
なお、素子基板28側の接着剤層31は画素電極51面と接着するために必用なものであるが、対向基板29側の接着剤層31については必須ではない。これは、あらかじめ、対向基板29に対して、共通電極52と複数のマイクロカプセル53と対向基板29側の接着剤層31とを、一貫した製造工程で造り込んだあと、電気泳動シートとして取り扱う場合においては、接着剤層31として必用となるのは、素子基板28側の接着剤層31のみとなる場合が想定されるからである。
【0024】
素子基板28は、例えばガラスやプラスティックなどからなる基板である。素子基板28上に画素電極51が形成され、画素電極51はそれぞれの画素回路Pごとに矩形に形成されている。図示は省略しているが、各画素電極51の間の領域や画素電極51の下面(素子基板28側の層)には、
図1、2で示した走査線32、データ線34、第1の枝電源線63、第2の枝電源線64、電源線13、14、選択スイッチTs、メモリ回路25、スイッチ回路35などが形成されている。
【0025】
対向基板29は、画像を表示する側となるため、例えば、ガラス等の透光性を有する基板とされる。対向基板29上に形成された共通電極52には、透光性と導電性とを備えた材質が用いられ、例えばMgAg(マグネシウム銀)、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)等が用いられる。
なお、電気泳動素子50は、あらかじめ対向基板29側に形成され、接着剤層31までを含めた電気泳動シートとして取り扱われるのが一般的である。また、接着剤層31側には、保護用の剥離紙が貼り付けられている。
製造工程においては、別途製造された、画素電極51や前記回路などが形成された素子基板28に対して、剥離紙を剥がした当該電気泳動シートを貼り付けることによって、表示部30を形成している。このため、一般的な構成では、接着剤層31は画素電極51側のみに存在することになる。
【0026】
図4は、マイクロカプセル53の構成図である。マイクロカプセル53は、例えば50μm程度の粒径を有すると共にポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアゴム等の透光性を有する高分子樹脂によって形成されている。このマイクロカプセル53は、共通電極52と上述の画素電極51との間に挟持されており、一つの画素内に複数のマイクロカプセル53が縦横に配列された構成になっている。マイクロカプセル53の周囲を埋めるように、当該マイクロカプセル53を固定するバインダ(図示は省略)が設けられている。
マイクロカプセル53は球状体であり、その内部には、電気泳動粒子を分散させるための溶媒である分散媒54と、電気泳動粒子として複数の白色粒子(電気泳動粒子)55と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)56との帯電粒子が封入されている。本実施形態では、白色粒子はマイナスに帯電しており、黒色粒子はプラスに帯電している。なお、本発明はこのような態様に限定される訳ではなく、白色粒子をマイナスに帯電し、黒色粒子をプラスに帯電してもよい。
【0027】
分散媒54は、白色粒子55と黒色粒子56とをマイクロカプセル53内に分散させる液体である。
分散媒54としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ぺンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩又はその他の種々の油類等の単独又はこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを挙げることができる。
【0028】
白色粒子55は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
黒色粒子56は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
このため、白色粒子55及び黒色粒子56は、分散媒54中で画素電極51と共通電極52との間の電位差によって発生する電場中を移動することができる。
【0029】
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0030】
白色粒子55及び黒色粒子56は溶媒中のイオンによって覆われており、これらの粒子の表面にはイオン層57が形成されている。帯電している白色粒子55及び黒色粒子56とイオン層57との間には、電気二重層が形成されている。一般的に、白色粒子55や黒色粒子56などの帯電粒子は、10kHz以上の周波数の電界を印加しても、電界にほとんど反応せず、ほとんど移動しないことが知られている。帯電粒子の周りのイオンは、帯電粒子に比べて粒子径がはるかに小さいので、電界の周波数が10kHz以上の電界を印加すると電界に応じて移動することが知られている。
【0031】
図5及び
図6はマイクロカプセル53の動作を説明した図である。ここでは、イオン層57が形成されない理想的な場合を例に挙げて説明する。
画素電極51と共通電極52との関係において、画素電極51が低電位、共通電極52が高電位の場合は、プラスに帯電した白色粒子55がクーロン力によってマイクロカプセル53内で画素電極51に引き寄せられる。一方、マイナスに帯電した黒色粒子56はクーロン力によってマイクロカプセル53内で共通電極52に引き寄せられる。これにより、マイクロカプセル53内の表示面側(共通電極52側)には黒色粒子56が集まることになり、観察側である共通電極52側からこの画素回路Pを見ると、黒色粒子56の色である「黒色」が認識される。
他方、画素電極51と共通電極52との関係において、画素電極51が高電位、共通電極52が低電位の場合は、マイナスに帯電した黒色粒子56がクーロン力によってマイクロカプセル53内で画素電極51に引き寄せられる。一方、プラスに帯電した白色粒子55はクーロン力によってマイクロカプセル53内で共通電極52に引き寄せられる。これにより、マイクロカプセル53の表示面側(共通電極52側)には白色粒子55が集まることになり、観察側である共通電極52側からこの画素回路Pを見ると、白色粒子55の色である「白色」が認識される。
このように、画素電極51と共通電極52との間の電圧を、表示したい階調(明るさ)に応じた値に設定して、電気泳動粒子を移動させることで、所望の階調表示を得ることができる。
【0032】
なお、画素電極51と共通電極52との間への電圧の印加を停止すると、クーロン力が作用しなくなるので、電気泳動粒子は溶媒の粘性抵抗によって停止する。電気泳動粒子は、溶媒の粘性抵抗により所定の位置に長時間停留することができるので、所定の電圧が印加されたときの表示状態を、当該所定の電圧の印加が停止された後でも維持し得る性質(記憶性)を有する。
【0033】
説明を
図1に戻す。走査線駆動回路42は、走査信号GW[1]〜GW[m]を各走査線32に出力する。ここでは、第i行の走査線32に出力される走査信号をGW[i]と表記する。走査線駆動回路42が、走査信号GW[i]を所定期間だけアクティブレベル(ハイレベル)に設定することにより、第i行に属するn個の画素回路Pの選択スイッチTsが一斉にオン状態に変化する。走査信号GW[i]のハイレベルへの移行は第i行の走査線32の選択を意味する。また、走査線駆動回路42は、通常は走査線32を一つずつ選択してハイレベルの電圧を印加するが、必要に応じて全ての走査線32を同時に選択してハイレベルの電圧を印加する機能を有している。さらに、走査線駆動回路42は、特定の走査線32のみを順次選択してハイレベルの電圧を印加する機能を有している。
【0034】
データ線駆動回路44は、走査線駆動回路42が選択した1行分(n個)の画素回路Pに対応するデータ信号Vx[1]〜Vx[n]を生成して各データ線34に出力する。ここでは、第j列目のデータ線34に出力されるデータ信号をVx[j]と表記する。
ここで、第i行の第j列目に位置する画素回路Pに対してデータ信号Vxが供給される場合を想定する。この場合、データ線駆動回路44は、走査線駆動回路42が第i行の走査線32を選択するタイミングに同期して、当該画素回路Pに対して指定された階調(「指定階調」)に応じた大きさの電圧信号をデータ信号Vx[j]として第j列目のデータ線34に出力する。また、データ線駆動回路44は、必要に応じて全てのデータ線34をハイインピーダンスにする機能も有している。
【0035】
当該データ信号Vx[j]は、オン状態の選択スイッチTs(
図2参照)を介して、当該画素回路Pの画素電極51に供給される(書き込まれる)。これにより、当該画素回路Pの電気泳動素子50の両端間の電圧(画素電極51と共通電極52との間の電圧)が、当該画素回路Pの指定階調に応じた値に設定される。
このように、駆動部40は、第i行の走査線32を選択すると共に、第i行の第j列目に位置する画素回路Pの指定階調に応じた大きさのデータ信号Vx[j]を第j列目のデータ線34に出力する。この動作を、当該画素回路Pに対するデータ信号Vx[j]の書込動作と称する。
【0036】
図7は、データ線駆動回路44の一構成例を示す図である。同図に示すように、データ線駆動回路44は、シフトレジスタ44−1と、第1ラッチ回路44−2と、第2ラッチ回路44−3と、パルス生成回路44−4とを備える。
シフトレジスタ44−1は、出力段にn個のNANDゲートを備えており、制御回路20から供給されたクロック信号CLKに従って、スタートパルスSPをシフトして、第1列のデータ線34に対応する1段目から、第n列のデータ線34に対応するn段目まで、順次、サンプリング信号s1〜snを出力する。
第1ラッチ回路44−2は、サンプリング信号s1〜snが入力された段から順次、当該サンプリング信号s1〜snに対応する期間、映像信号VIDEOを取り込み、第2ラッチ回路44−3へ出力する。なお、映像信号VIDEOは、制御回路20から第1ラッチ回路44−2へ供給される。
【0037】
第2ラッチ回路44−3は、ラッチパルスLATがアクティブになるタイミングで、第1ラッチ回路44−2の各段から供給された映像信号VIDEO(データ信号Vx[1]〜Vx[n])を保持し、一行分のデータ信号Vx[1]〜Vx[n]を、第1列から第n列のデータ線34に供給する。
詳細には、制御回路20による制御で、第2ラッチ回路44−3の1段目からn段目(1行分)の映像信号VIDEOの取り込みが完了すると、ラッチパルスLATが第2ラッチ回路44−3に入力され、第1列から第n列のデータ線34に、データ信号Vx[1]〜Vx[n]が出力される。
【0038】
パルス生成回路44−4は、シフトレジスタ44−1の最終段であるn段目の後に3段のシフトレジスタを追加し、その出力の論理和を取ってラッチパルスLATとして出力する。これによりラッチパルスLATをクロック信号CLKの2周期分まで拡大する。
【0039】
以下、データ線駆動回路44の構成及び動作について詳しく説明する。
図8に示すように、シフトレジスタ44−1は、複数の単位回路U0〜Un+3と、複数のNANDゲートGT2と、複数のインバータINV4とを備える。初段の単位回路U0はスタートパルスSPをラッチする機能を有し、2段目の単位回路U1からn段目の単位回路Unはサンプリング信号s1〜snを生成する機能を有している。また、n+1段目からn+3段目の単位回路Un+1〜Un+3は、ラッチパルスLATを生成するパルス生成回路44−4の一部として機能する。各単位回路は、クロックドインバータINV1及びINV2と、インバータINV3と、NORゲートGT1とを備えている。
【0040】
クロックドインバータINV1及びINV2は、クロック信号CLKに基づいて動作する。この例において、単位回路U0のクロックドインバータINV1及び単位回路U1のクロックドインバータINV2は、クロック信号CLKがHレベルの場合にインバータとして動作し、クロック信号CLKがLレベルの場合には出力端子をハイインピーダンス状態にする。一方、単位回路U0のクロックドインバータINV2及び単位回路U1のクロックドインバータINV1は、インバータINV3を介してクロック信号CLKがLレベルの場合にインバータとして動作し、クロック信号CLKがHレベルの場合には出力端子をハイインピーダンス状態にする。
【0041】
NORゲートGT1は、一方の入力端子にリセット信号RSTが接続され、他方の入力端子にクロックドインバータINV1及びクロックドインバータINV2の出力端子が接続される。また、NORゲートGT1の出力端子は、次段のNANDゲートGT2の入力端子に接続されると共に、同じ段のクロックドインバータINV2と次段のクロックドインバータINV1の入力端子に接続される。したがって、同じ段においては、NORゲートGT1とクロックドインバータINV2とでラッチ回路が形成されている。
【0042】
このように各単位回路は、クロックドインバータINV2とNORゲートGT1で構成されるラッチ回路と、このラッチ回路にスタートパルスSPの論理レベルを書き込むクロックドインバータINV1から構成される。そして、クロックドインバータINV1及びINV2のアクティブ・非アクティブを排他的に制御することによって、ある単位回路では、ラッチ回路への書き込みを禁止し論理レベルをホールドする状態で動作させ、これに隣接する単位回路ではラッチ回路への書き込みを許容する状態で動作させ、これらの状態をクロック信号CLKの1/2周期で切り替える。
【0043】
NANDゲートGT2とインバータINV4は、2段目の単位回路U1からn段目の単位回路Unに対応してそれぞれn個設けられている。NANDゲートGT2の入力端子は、対応する単位回路におけるNORゲートGT1の出力端子と、一つ前の段の単位回路におけるNORゲートGT1の出力端子とが接続される。各NANDゲートGT2の出力端子は、各インバータINV4の入力端子に接続され、各インバータINV4の出力端子は、第1ラッチ回路44−2の各トランジスタTr1のゲート端子に接続される。このように構成することで、n個のインバータINV4からサンプリング信号SR1〜SRnが出力される。
【0044】
第1ラッチ回路44−2は、n個の単位回路P1〜Pnを備える。各単位回路は、トランジスタTr1と、インバータINV5及びインバータINV6から成るラッチ回路とを備えている。各トランジスタTr1のゲート端子は、シフトレジスタ44−1の各インバータINV4の出力端子と接続され、各トランジスタTr1のソース端子は映像信号VIDEOの供給線と接続される。また、各トランジスタTr1のドレイン端子はインバータINV5の入力端子に接続される。インバータINV5の出力端子はインバータINV6の入力端子に接続され、インバータINV6の出力端子はインバータINV5の入力端子に接続される。このように構成することにより、インバータINV5とインバータINV6はラッチ回路を形成する。第1ラッチ回路44−2においては、サンプリング信号SR1〜SRnが入力された段から順次、トランジスタTr1がオン状態となり、当該サンプリング信号s1〜snに対応する期間、映像信号VIDEOがラッチ回路によりラッチされる。各インバータINV5の出力端子は、第2ラッチ回路44−3の各トランジスタTr2のソース端子に接続され、映像信号VIDEOが第2ラッチ回路44−3に供給される。
【0045】
第2ラッチ回路44−3は、n個の単位回路R1〜Rnを備える。各単位回路は、トランジスタTr2と、インバータINV7及びインバータINV8から成るラッチ回路とを備えている。各トランジスタTr2のゲート端子はラッチパルスLATの供給線と接続され、各トランジスタTr2のソース端子は第1ラッチ回路44−2の各インバータINV5の出力端子と接続される。また、各トランジスタTr2のドレイン端子はインバータINV7の入力端子に接続される。インバータINV7の出力端子はインバータINV8の入力端子に接続され、インバータINV8の出力端子はインバータINV7の入力端子に接続される。このように構成することにより、インバータINV7とインバータINV8はラッチ回路を形成する。
【0046】
1段目からn段目(1行分)の映像信号VIDEOが第1ラッチ回路から出力されパルス生成回路44−4から出力されるラッチパルスLATがアクティブになるタイミングで各トランジスタTr2がオン状態になると、第1ラッチ回路44−2の各インバータINV5から供給された映像信号VIDEOを保持し、Vx[1]〜Vx[n]として各インバータINV7から出力することにより、第1列から第n列のデータ線34にデータ信号Vx[1]〜Vx[n]が供給される。
【0047】
パルス生成回路44−4は、シフトレジスタ44−1の第n+1段〜第n+3段の単位回路Un+1〜単位回路Un+3と、ORゲートGT3とを備える。単位回路Un+1〜単位回路Un+3は、シフトレジスタ44−1の第n段目の単位回路Unから出力される出力信号SRnを、クロック信号CLKの1/2周期ごとにシフトさせて出力する。そして、ORゲートGT3は、単位回路Un+1〜単位回路Un+3の出力信号のいずれかがHレベルである期間中、HレベルのラッチパルスLATを出力する。したがって、クロック信号CLKの2周期分の幅のラッチパルスLATが得られる。
【0048】
次に、
図9のタイミングチャートを参照して、データ線駆動回路44の動作を説明する。
図9に示すように、制御回路20は、まず時刻t0において、リセット信号RSTをLレベルからHレベルに立ち上げ、時刻t0からクロック信号CLKの1/2周期後の時刻t1までリセット信号RSTのHレベルを維持する。その結果、シフトレジスタ44−1の各単位回路の各NORゲートGT1にHレベルのリセット信号RSTが入力され、シフトレジスタ44−1の各NORゲートGT1出力信号である信号SR0〜SRnと、パルス生成回路44−4において用いられる信号SRn+1〜SRn+3は、全てLレベルにリセットされる。
【0049】
次に、時刻t1からクロック信号CLKの1/4周期後の時刻t2において、クロック信号CLKの1周期分のパルス幅を有するスタートパルスSPが制御回路20から出力され、シフトレジスタ44−1の初段の単位回路U0におけるクロックドインバータINV1に供給される。この段階では、クロック信号CLKがLレベルなので、クロックドインバータINV1の出力端子はハイインピーダンス状態となっている。次に、時刻t2からクロック信号CLKの1/4周期後の時刻t3において、制御回路20からクロック信号CLKがシフトレジスタ44−1に供給され、クロック信号CLKは時刻t3においてLレベルからHレベルに立ち上がる。その結果、初段の単位回路U0におけるクロックドインバータINV1はアクティブ状態となり、クロックドインバータINV1は入力端子に供給されているHレベルのスタートパルスSPを反転させてLレベルの信号をNORゲートGT1に供給する。したがって、時刻t3において初段のNORゲートGT1の出力信号SR0はLレベルからHレベルに立ち上がる。なお、時刻t3においてクロック信号CLKがLレベルからHレベルに立ち上がると、2段目以降のクロックドインバータINV3またはクロックドインバータINV1もアクティブ状態となるが、2段目以降においてはいずれのNORゲートGT1の出力もLレベルのままなので、2段目以降のNORゲートGT1の出力信号SR1〜SRn+3はLベルを維持することになる。
【0050】
クロック信号CLKのHレベルは時刻t4まで維持されており、時刻t4においてはスタートパルスSPもHレベルに維持されているので、初段のNORゲートGT1の出力信号SR0も時刻t4においてはまだHレベルを維持している。そして、時刻t4においてクロック信号CLKがHレベルからLレベルに立ち下がると、初段のクロックドインバータINV3がアクティブ状態となり、初段のNORゲートGT1の出力信号SR0を反転させたLレベルの信号を初段のNORゲートGT1の入力に供給する。したがって、初段のNORゲートGT1の出力信号SR0は、クロック信号CLKのレベルが次に変化する時刻t6までHレベルに維持されることになる。
また、時刻t4においてクロック信号CLKがHレベルからLレベルに立ち下がると、2段目のクロックドインバータINV1がアクティブ状態となり、初段のNORゲートGT1の出力信号SR0を反転させた信号を2段目のNORゲートGT1の入力端子に供給する。したがって、2段目のNORゲートGT1の出力信号SR1は時刻t4においてLレベルからHレベルに立ち上がる。
その結果、初段のNORゲートGT1の出力信号SR0と2段目のNORゲートGT1の出力信号SR1が入力端子に供給されるNANDゲートGT2の出力は時刻t4においてHレベルからLレベルに立ち下がり、インバータINV4を介して、時刻t4にLベルからHレベルに立ち上がるサンプリング信号s1(
図9には図示せず)が第1ラッチ回路44−2の初段のトランジスタTr1のゲート端子に供給される。
なお、時刻t4においてクロック信号CLKがHレベルからLレベルに立ち下がると、3段目以降のクロックドインバータINV3またはクロックドインバータINV1もアクティブ状態となるが、3段目以降においてはいずれのNORゲートGT1の出力もLレベルのままなので、3段目以降のNORゲートGT1の出力信号SR2〜SRn+3はLベルを維持することになる。
【0051】
制御回路20が、時刻t4からクロック信号CLKの1/4周期後の時刻t5に、スタートパルスSPをHレベルからLレベルに立ち下げるが、初段の単位回路U0のクロックドインバータINV1は非アクティブ状態のままなので、スタートパルスSPのレベルの変化は初段のNORゲートGT1の出力信号SR0には影響を与えない。
また、クロック信号CLKのLレベルは時刻t6まで維持されており、時刻t6までは初段のNORゲートGT1の出力信号SR0もHレベルに維持されているので、2段目のNORゲートGT1の出力信号SR1も時刻t6においてはまだHレベルを維持している。そして、時刻t6においてクロック信号CLKがLレベルからHレベルに立ち上がると、2段目のクロックドインバータINV3がアクティブ状態となり、2段目のNORゲートGT1の出力信号SR1を反転させたLレベルの信号を2段目のNORゲートGT1の入力に供給する。したがって、2段目のNORゲートGT1の出力信号SR1は、クロック信号CLKのレベルが次に変化する時刻t7までHレベルに維持されることになる。
【0052】
時刻t4からクロック信号CLKの1/2周期後の時刻t6に、クロック信号CLKがLレベルからHレベルに立ち上がると、初段の単位回路U0におけるクロックドインバータINV1がアクティブがアクティブ状態となり、時刻t6においては既にLレベルとなっているスタートパルスSPを初段のNORゲートGT1の入力端子に供給する。したがって、初段のNORゲートGT1の出力信号SR0は、時刻t6においてHレベルからLレベルに立ち下がる。
その結果、初段のNORゲートGT1の出力信号SR0と2段目のNORゲートGT1の出力信号SR1とが入力端子に供給されるNANDゲートGT2の出力は時刻t6においてLレベルからHレベルに立ち上がり、インバータINV4を介して、時刻t6においてHベルからLレベルに立ち下がるサンプリング信号s1(
図9には図示せず)が、第1ラッチ回路44−2の初段のトランジスタTr1のゲート端子に供給される。
したがって、時刻t4から時刻t6までのクロック信号CLKの1/2周期分の期間T1において、第1ラッチ回路44−2の初段のトランジスタTr1はオン状態となり、このタイミングにおいてトランジスタTr1のソース端子に供給される映像信号VIDEOの内容であるD1が、第1ラッチ回路44−2の初段のラッチ回路にラッチされることになる。
【0053】
また、時刻t6においてクロック信号CLKがLレベルからHレベルに立ち上がると、3段目のクロックドインバータINV1がアクティブ状態となり、2段目のNORゲートGT1の出力信号SR1を反転させた信号を3段目のNORゲートGT1の入力端子に供給する。したがって、3段目のNORゲートGT1の出力信号SR2は時刻t6においてLレベルからHレベルに立ち上がる。
その結果、2段目のNORゲートGT1の出力信号SR1と3段目のNORゲートGT1の出力信号SR2が入力端子に供給されるNANDゲートGT2の出力は時刻t6においてHレベルからLレベルに立ち下がり、インバータINV4を介して、時刻t6にLベルからHレベルに立ち上がるサンプリング信号s2(
図9には図示せず)が第1ラッチ回路44−2の2段目のトランジスタTr1のゲート端子に供給される。
なお、時刻t6においてクロック信号CLKがLレベルからHレベルに立ち上がると、4段目以降のクロックドインバータINV3またはクロックドインバータINV1もアクティブ状態となるが、4段目以降においてはいずれのNORゲートGT1の出力もLレベルのままなので、4段目以降のNORゲートGT1の出力信号SR3〜SRn+3はLベルを維持することになる。
【0054】
また、クロック信号CLKのHレベルは時刻t7まで維持されており、時刻t7までは2段目のNORゲートGT1の出力信号SR1もHレベルに維持されているので、3段目のNORゲートGT1の出力信号SR2も時刻t7においてはまだHレベルを維持している。そして、時刻t7においてクロック信号CLKがHレベルからLレベルに立ち下がると、3段目のクロックドインバータINV3がアクティブ状態となり、3段目のNORゲートGT1の出力信号SR2を反転させたLレベルの信号を3段目のNORゲートGT1の入力に供給する。したがって、3段目のNORゲートGT1の出力信号SR2は、クロック信号CLKのレベルが次に変化する時刻t8までHレベルに維持されることになる。
【0055】
クロック信号CLKが時刻t6からクロック信号CLKの1/2周期後の時刻t7にHレベルからLレベルに変化すると、2段目の単位回路U1のクロックドインバータINV1はアクティブ状態となり、時刻t7には既にLレベルとなっている初段のNANDゲートの出力信号SR0を反転させてHレベルの信号を2段目のNORゲートGT1の入力端子に供給する。その結果、2段目のNORゲートGT1の出力信号SR1は、時刻t7においてHレベルからLレベルに変化する。
その結果、2段目のNORゲートGT1の出力信号SR1と3段目のNORゲートGT1の出力信号SR2が入力端子に供給されるNANDゲートGT2の出力は時刻t7においてLレベルからHレベルに立ち上がり、インバータINV4を介して、サンプリング信号s2(
図9には図示せず)は時刻t7にHベルからLレベルに変化し、Lレベルに変化する信号が第1ラッチ回路44−2の2段目のトランジスタTr1のゲート端子に供給される。
したがって、時刻t6から時刻t7までのクロック信号CLKの1/2周期分の期間T2において、第1ラッチ回路44−2の2段目のトランジスタTr1はオン状態となり、このタイミングにおいてトランジスタTr1のソース端子に供給される映像信号VIDEOの内容であるD2が、第1ラッチ回路44−2の初段のラッチ回路にラッチされることになる。
【0056】
以下、同様にして、各段のNORゲートGT1の出力信号は、前の段のNORゲートGT1の出力信号がLレベルからHレベルに立ち上がるタイミングからクロック信号CLKの1/2周期分だけシフトしてLレベルからHレベルに立ち上がり、クロック信号CLKの1周期後にHレベルからLレベルに立ち下がる。つまり、クロック信号CLKの1周期分のパルス幅を有するスタートパルスSPが、クロック信号CLKの1/2周期分だけシフトして各段のNORゲートGT1から順次出力されることになる。そして、所定の段に着目すると、当該所定の段の一つ前の段のNORゲートGT1の出力信号と、当該所定の段のNORゲートGT1の出力信号とが共にHレベルになるクロック信号CLKの1/2周期分の期間において、当該所定の段に対応する第1ラッチ回路の段のトランジスタTr1がオン状態となり、そのタイミングで当該トランジスタTr1のソース端子に供給される映像信号VIDEOの内容であるデータが第1ラッチ回路の当該段のラッチ回路にラッチされることになる。このようにして、第1ラッチ回路の1段目からn段目までの単位回路P1〜Pnにおけるラッチ回路に映像信号VIDEOのデータD1〜Dn(データ信号Vx[1]〜Vx[n])が順次ラッチされることになる。
【0057】
そして、第1ラッチ回路の最終段であるn段目の単位回路Pnにおけるラッチ回路に映像信号VIDEOのDnがラッチされ、シフトレジスタ44−1のn+1段目の単位回路Un+1、つまり、パルス生成回路44−4として機能するn+1段目の単位回路Un+1におけるNANAゲートGT1が時刻t9においてLレベルからHレベルに立ち上がると、パルス生成回路44−4のORゲートGT3の出力信号であるラッチパルスLATは時刻t9においてLレベルからHレベルに立ち上がる。
したがって、第2ラッチ回路44−3の各段のトランジスタTr2はオン状態となり、第1ラッチ回路44−2の各段のラッチ回路にラッチされている映像信号VIDEOのデータD1〜Dnが、一斉に第2ラッチ回路44−3の各段のラッチ回路にラッチされる。
【0058】
また、パルス生成回路44−4においては、n+1段目のNORゲートGT1の出力信号SRn+1に続いて、n+2段目のNORゲートGT1の出力信号SRn+2、n+3段目のNORゲートGT1の出力信号SRn+3が、クロック信号CLKの1/2周期だけシフトしてLレベルからHレベルに順次立ち上がっていく。n+1段目のNORゲートGT1の出力信号SRn+1は時刻t11に、n+2段目のNORゲートGT1の出力信号SRn+2は時刻t12、そして、n+3段目のNORゲートGT1の出力信号SRn+3は時刻t13にそれぞれHレベルからLレベルに立ち下がるが、出力信号SRn+1〜出力信号SRn+3は、それぞれクロック信号CLKの1/2周期分だけHレベルが重なる期間を有しているので、結局、
図9に示すように、ORゲートGT3の出力信号であるラッチパルスLATは時刻t9から時刻t13まで、つまり、クロック信号CLKの2周期分の期間T3においてHレベルを維持し、時刻t13においてHレベルからLレベルに変化する信号となる。言い換えれば、ラッチパルスLATはクロック信号CLKの2周期分のパルス幅を有する信号となる。
【0059】
その結果、全データ線34に対応する第2ラッチ回路44−3の初段からn段までの全てのラッチ回路を、スタートパルスSPのパルス幅よりも広く、クロック信号CLKの2周期分という十分に余裕を持った時間で駆動することが可能となり、第1ラッチ回路44−2にラッチされたデータ信号Vx[1]〜Vx[n]を、確実に第2ラッチ回路44−3にラッチさせることができ、かつ、第2ラッチ回路44−3により全データ線34に確実に書き込むことができるので、表示不良を無くすことができる。
【0060】
(比較例)
図16及び
図17を参照しつつ比較例について説明する。
図16に示す比較例のデータ線駆動回路440は、シフトレジスタ440−1と、第1ラッチ回路440−2と、第2ラッチ回路440−3と、パルス生成回路440−4とを備えている。第1ラッチ回路440−2及び第2ラッチ回路440−3は、それぞれ
図8に示す第1実施形態におけるデータ線駆動回路44の第1ラッチ回路44−2及び第2ラッチ回路44−3と同じ構成である。しかし、シフトレジスタ440−1は、
図8に示す第1実施形態におけるシフトレジスタ44−1に比べると、n+1個の単位回路U0〜Un+1を備えており、単位回路の数がシフトレジスタ44−1よりも2個少なくなっている。そして、パルス生成回路440−4は、シフトレジスタ440−1のn+1段目の単位回路Un+1と、NANDゲートGT2と、5個のインバータINV10〜INV14とで構成されている。
【0061】
シフトレジスタ440−1が初段からn段までの単位回路U0〜Unを備えており、第1ラッチ回路440−2及び第2ラッチ回路440−3が、それぞれ第1実施形態におけるデータ線駆動回路44の第1ラッチ回路44−2及び第2ラッチ回路44−3と同じ構成であるため、
図17に示すように、時刻t0から時刻t9までにおいて、映像信号VIDEOのデータD1〜Dn(データ信号Vx[1]〜Vx[n])が第1ラッチ回路440−2の初段からn段までの各ラッチ回路にラッチされる動作は第1実施形態と同様である。
しかし、時刻t9においてn+1段目の単位回路Un+1のNORゲートGT1の出力信号SRn+1がLレベルからHレベルに立ち上がると、n段目の単位回路UnのNORゲートGT1の出力信号SRとn+1段目の単位回路Un+1のNORゲートGT1の出力信号SRn+1とが入力端子に入力されるパルス生成回路440−4のNANDゲートGT2の出力はHレベルからLレベルに変化する。その結果、ラッチパルスLATは、バッファとして機能する5個のインバータINV10〜INV14を介して、時刻t9においてLレベルからHレベルに立ち上がる。
したがって、第2ラッチ回路440−3の各段のトランジスタTr2はオン状態となり、第1ラッチ回路440−2の各段のラッチ回路にラッチされている映像信号VIDEOのデータD1〜Dnが、一斉に第2ラッチ回路440−3の各段のラッチ回路にラッチされる。
【0062】
時刻t9からクロック信号CLKの1/2周期後の時刻t10において、n段目のNORゲートGT1の出力信号SRnがHレベルからLレベルに変化すると、n段目の単位回路UnのNORゲートGT1の出力信号SRとn+1段目の単位回路Un+1のNORゲートGT1の出力信号SRn+1とが入力端子に入力されるパルス生成回路440−4のNANDゲートGT2の出力はLレベルからHレベルに立ち上がる。その結果、ラッチパルスLATは、バッファとして機能する5個のインバータINV10〜INV14を介して、時刻t10においてHレベルLレベルからに立ち上がる。
したがって、比較例におけるパルスLATは、
図17に示すように、時刻t9から時刻t10まで、つまり、クロック信号CLKの1/2周期分の期間T4においてHレベルを維持し、時刻t10においてHレベルからLレベルに変化する信号となる。言い換えれば、比較例のラッチパルスLATはクロック信号CLKの1/2周期分のパルス幅を有する信号となる。
【0063】
したがって、全データ線34に対応する第2ラッチ回路440−3の初段からn段までの全てのラッチ回路を、クロック信号CLKの1/2周期分という非常に短い時間で駆動する必要がある。そこで、比較例では、表示不良を防ぐために、5個のインバータINV10〜INV14をバッファとして機能させ、ラッチパルスLATの駆動能力を上げている。しかし、このような構成では、バッファとして機能するインバータのうち、最終段のインバータINV14において大きな電流を扱う必要があるため、初段のインバータINV10から最終段のインバータINV14にかけて徐々にトランジスタのチャネル幅を大きくし、最終段のインバータINV14では非常に大きくする必要がある。その結果、バッファを構成するインバータINV10からINV14を構成するトランジスタの特性によっては大きなリーク電流が発生し、消費電力が大きくなることがあった。
【0064】
上述した比較例と第1実施形態とを比較すると明らかなように、本発明においてはクロック信号CLKの2周期分という十分に余裕を持ったパルス幅のラッチパルスLATを生成することができるので、大きなバッファを設ける必要がなく、消費電力の増大を防止しつつ、全データ信号を全データ線34に確実に書き込んで表示不良を無くすことができる。
なお、第1実施形態においては、シフトレジスタ44−1のn+1段〜n+3段の単位回路Un+1〜Un+3をパルス生成回路44−4の一部として用いる例について説明したが、単位回路Un+1〜Un+3に相当する回路をシフトレジスタ44−1とは別体に構成し、これをパルス生成回路44−4の一部として用いてもよい。
【0065】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について
図10及び
図11を参照しつつ説明する。第2実施形態のデータ線駆動回路44は、
図10に示すように、シフトレジスタ44−1には初段からn段までの単位回路U0〜Unが備えられている。。また、パルス生成回路44−4は、シフトレジスタ44−1の最終段であるn段目の後に追加した1段のシフトレジスタと、RSフリップフロップFF1と、インバータINV8及びインバータINV9とを備えている。なお、第1ラッチ回路44−2及び第2ラッチ回路44−3の構成は、第1実施形態における第1ラッチ回路44−2及び第2ラッチ回路44−3の構成の構成と同じである。
【0066】
RSフリップフロップFF1のリセット入力端子Rは、スタートパルスSPの供給端子と接続されており、セット入力端子Sは、シフトレジスタ44−1の最終段のn段目の後に追加した単位回路Un+1におけるNORゲートGT1の出力端子と接続されている。そして、出力端子QとインバータINV8とを接続し、ラッチパルスLATを供給する。
【0067】
シフトレジスタ44−1が初段からn段までの単位回路U0〜Unを備えており、第1ラッチ回路44−2及び第2ラッチ回路44−3が、それぞれ第1実施形態における第1ラッチ回路44−2及び第2ラッチ回路44−3と同じ構成であるため、
図11に示すように、時刻t0から時刻t9までにおいて、映像信号VIDEOのデータD1〜Dn(データ信号Vx[1]〜Vx[n])が第1ラッチ回路44−2の初段からn段までの各ラッチ回路にラッチされる動作は第1実施形態と同様である。
【0068】
しかし、n段の単位回路UnのNORゲートGT1の出力信号SRnがLレベルからHレベルに立ち上がる時刻t14よりもクロック信号CLKの1/2周期後の時刻t9に、追加した1段の単位回路Un+1のNORゲートGT1の出力信号SRn+1がLレベルからHレベルに立ち上がると、この出力信号SRn+1がSRフリップフロップFF1のセット入力端子Sに供給され、SRフリップフロップFF1の出力端子Qからの出力信号は時刻t9においてLレベルからHレベルに立ち上がる。その結果、ラッチパルスLATは、バッファとして機能するインバータINV8及びINV9を介して、時刻t14においてLレベルからHレベルに立ち上がる。
したがって、第2ラッチ回路440−3の各段のトランジスタTr2はオン状態となり、第1ラッチ回路440−2の各段のラッチ回路にラッチされている映像信号VIDEOのデータD1〜Dnが、一斉に第2ラッチ回路440−3の各段のラッチ回路にラッチされる。
【0069】
SRフリップフロップFF1の出力端子Qからの出力信号のHレベルは、次の行における書き込みのために時刻t15においてスタートパルスSPがLレベルからHレベルに立ち上がるまで維持される。そして、時刻t15においてスタートパルスSPがLレベルからHレベルに立ち上がり、このスタートパルスSPがSRフリップフロップFF1のリセット入力端子Rに供給されると、SRフリップフロップFF1の出力端子Qからの出力信号は時刻t15においてHレベルからLレベルに立ち下がる。
したがって、第2実施形態においては、
図11に示すように、ラッチパルスLATは時刻14から時刻t15まで、つまり、クロック信号CLKの2.5周期以上の期間T5分のパルス幅を有する信号となる。
その結果、本実施形態においても、全データ線34に対応する第2ラッチ回路44−3の初段からn段までの全てのラッチ回路を、スタートパルスSPのパルス幅よりも広く、クロック信号CLKの2.5周期以上という十分に余裕を持った時間で駆動することが可能となり、データ信号Vx[1]〜Vx[n]を、確実に第2ラッチ回路44−3にラッチさせることができ、かつ、第2ラッチ回路44−3により全データ線34に確実に書き込むことができるので、表示不良を無くすことができる。また、大きなバッファを必要としないので、消費電力の増大を抑えることができる。
【0070】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を
図12及び
図13を参照しつつ説明する。
図12に示すように、シフトレジスタ44−1、第1ラッチ回路44−2、及び第2ラッチ回路44−3の構成は、第2実施形態におけるシフトレジスタ44−1、第1ラッチ回路44−2、及び第2ラッチ回路44−3の構成と同じである。しかし、第3実施形態のパルス生成回路44−4は、第2実施形態のパルス生成回路44−4と異なり、シフトレジスタ44−1の最終段であるn段目の後に追加した1段のシフトレジスタと、ORゲートGT4と、DフリップフロップFF2と、インバータINV8と、インバータINV9とから構成されている。
ORゲートGT4の入力端子には、シフトレジスタ44−1の最終段であるn段目の後に追加した単位回路Un+1におけるNORゲートGT1の出力端子と、スタートパルスSPの供給端子とが接続されている。ORゲートGT4の出力端子は、DフリップフロップFF2のクロック端子に接続されている。また、本実施形態においては、DフリップフロップFF2の反転出力端子を入力端子Dと接続し、分周回路を形成している。そして、DフリップフロップFF2の反転出力端子をインバータINV8と接続し、インバータINV8及びインバータINV9を介してDフリップフロップFF2の反転出力端子の出力信号をラッチパルスLATとして供給する。
【0071】
シフトレジスタ44−1、第1ラッチ回路44−2及び第2ラッチ回路44−3が、それぞれ第1実施形態における第1ラッチ回路44−2及び第2ラッチ回路44−3と同じ構成であるため、
図11に示すように、時刻t0から時刻t9までにおいて、映像信号VIDEOのデータD1〜Dn(データ信号Vx[1]〜Vx[n])が第1ラッチ回路44−2の初段からn段までの各ラッチ回路にラッチされる動作は第1実施形態と同様である。
【0072】
次に、本実施形態のパルス生成回路44−4について説明する。初期状態においては、DフリップフロップFF2の反転出力端子のレベルはHレベルであるとする。この状態で、
図13に示すように最初の行の書き込みのために時刻t0においてスタートパルスSPがLレベルからHレベルに立ち上がると、スタートパルスSPはORゲートGT4を介してDフリップフロップFF2のクロック端子に供給される。DフリップフロップFF2はクロック端子に供給されるスタートパルスSPの立ち上がりエッジに応じて、反転出力端子のレベルをLレベルに反転させる。その結果、反転出力端子の出力信号は、時刻t2において、インバータINV8及びインバータINV9を介して、HレベルからLレベルに立ち下がるラッチパルスLATとして供給される。
【0073】
そして、n段の単位回路UnのNORゲートGT1の出力信号SRnがLレベルからHレベルに立ち上がる時刻t14よりもクロック信号CLKの1/2周期後の時刻t9に、追加した1段の単位回路Un+1のNORゲートGT1の出力信号SRn+1がLレベルからHレベルに立ち上がると、この出力信号SRn+1がDフリップフロップFF2のクロック入力端子に供給される。DフリップフロップFF2はクロック端子に供給される出力信号SRn+1の立ち上がりエッジに応じて、反転出力端子のレベルをLレベルからHレベルに反転させる。その結果、反転出力端子の出力信号は、時刻t9において、インバータINV8及びインバータINV9を介して、LレベルからHレベルに立ち上がるラッチパルスLATとして供給される。
したがって、第2ラッチ回路44−3の各段のトランジスタTr2はオン状態となり、第1ラッチ回路44−2の各段のラッチ回路にラッチされている映像信号VIDEOのデータD1〜Dnが、一斉に第2ラッチ回路44−3の各段のラッチ回路にラッチされる。
【0074】
DフリップフロップFF2の反転出力端子からの出力信号のHレベルは、次の行における書き込みのために時刻t15においてスタートパルスSPがLレベルからHレベルに立ち上がるまで維持される。そして、時刻t15においてスタートパルスSPがLレベルからHレベルに立ち上がり、このスタートパルスSPがDフリップフロップFF2のクロック端子に供給されると、DフリップフロップFF2はクロック端子に供給されるスタートパルスSPの立ち上がりエッジに応じて、反転出力端子のレベルをHレベルからLレベルに反転させる。その結果、反転出力端子の出力信号は、時刻15において、インバータINV8及びインバータINV9を介して、HレベルからLレベルに立ち下がるラッチパルスLATとして供給される。
したがって、第3実施形態におけるラッチパルスLATは、
図13に示すように、時刻14から時刻t15まで、つまり、クロック信号CLKの2.5周期以上の期間T5分のパルス幅を有する信号となる。
その結果、本実施形態においても、全データ線34に対応する第2ラッチ回路44−3の初段からn段までの全てのラッチ回路を、スタートパルスSPのパルス幅よりも広く、クロック信号CLKの2.5周期以上という十分に余裕を持った時間で駆動することが可能となり、データ信号Vx[1]〜Vx[n]を、確実に第2ラッチ回路44−3にラッチさせることができ、かつ、第2ラッチ回路44−3により全データ線34に確実に書き込むことができるので、表示不良を無くすことができる。また、大きなバッファを必要としないので、消費電力の増大を抑えることができる。
【0075】
<変形例>
以下、上述した各実施形態の変形例について説明する。説明の重複を避けるため、上述した一実施形態との相違点を説明し、共通の構成などに係る説明は省略する。
【0076】
(変形例1)
第1実施形態においては、パルス生成回路44−4としてシフトレジスタ44−1の3段の単位回路を用いる例について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、3段以上の単位回路を用いてもよい。また、3段以上の単位回路に相当する回路をシフトレジスタ44−1と別体に形成してパルス生成回路44−4として用いてもよい。
【0077】
(変形例2)
上述した実施形態においては、NANDゲート、クロックドインバータ、及びインバータにより単位回路を構成し、複数の単位回路によりシフトレジスタを構成する例について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、フリップフロップ等によりシフトレジスタを構成するようにしてもよい。
【0078】
(応用例)
本発明を応用した電子機器を以下に例示する。
図14及び
図15には、以上に例示した電気泳動表示装置100を採用した電子機器の外観が図示されている。
図14は、電気泳動表示装置100を利用した携帯型の情報端末(電子書籍)310の斜視図である。
図14に示すように、情報端末310は、利用者が操作する操作子312と、表示部314に画像を表示する電気泳動表示装置100とを含んで構成される。操作子312が操作されると表示部314の表示画像が変更される。
図15は、電気泳動表示装置100を利用した電子ペーパー320の斜視図である。
図15に示すように、電子ペーパー320は、可撓性の基板(シート)322の表面に形成された電気泳動表示装置100を含んで構成される。
本発明が適用される電子機器は以上の例示に限定されない。例えば、携帯電話機や時計(腕時計),携帯型の音響再生装置,電子手帳,タッチパネル搭載型の表示装置など、各種の電子機器に本発明の電気光学装置を採用することが可能である。
また、本発明の表示素子は、電気泳動素子に限定されるものではなく、有機EL素子、液晶素子等にも適用可能である。したがって、本発明の電気光学装置は、電気泳動表示装置に限定されるものではなく、有機EL表示装置、無機EL表示装置、液晶表示装置、エレクトロクロミック表示装置等にも適用可能である。また、電子機器の例としても、有機EL表示装置あるいは液晶表示装置を用いた情報端末、携帯電話機や時計(腕時計),携帯型の音響再生装置,電子手帳,タッチパネル搭載型の表示装置、タブレット、電子ブック、スマートフォン等、各種の電子機器に本発明の電気光学装置を採用することが可能である。