特許第6562649号(P6562649)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラム・リサーチ・アーゲーの特許一覧

特許6562649ウエハを処理する装置およびその装置で用いられる液体回収体
<>
  • 特許6562649-ウエハを処理する装置およびその装置で用いられる液体回収体 図000002
  • 特許6562649-ウエハを処理する装置およびその装置で用いられる液体回収体 図000003
  • 特許6562649-ウエハを処理する装置およびその装置で用いられる液体回収体 図000004
  • 特許6562649-ウエハを処理する装置およびその装置で用いられる液体回収体 図000005
  • 特許6562649-ウエハを処理する装置およびその装置で用いられる液体回収体 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562649
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ウエハを処理する装置およびその装置で用いられる液体回収体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20190808BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20190808BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H01L21/306 R
   H01L21/30 569C
   H01L21/304 648Z
   H01L21/304 643A
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-28115(P2015-28115)
(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公開番号】特開2015-173261(P2015-173261A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2018年2月2日
(31)【優先権主張番号】14/188,230
(32)【優先日】2014年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510141648
【氏名又は名称】ラム・リサーチ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラインホルト・シュヴァルツェンバッハー
(72)【発明者】
【氏名】ミラン・プリスカ
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−115873(JP,A)
【文献】 特開2008−098594(JP,A)
【文献】 特開2008−004762(JP,A)
【文献】 特表2013−526018(JP,A)
【文献】 特開2005−072559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30、21/304−21/3063、
21/308、21/46、21/465−21/467、
21/67−21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを処理する装置であって、
前記ウエハ上で実施される処理動作中に、前記ウエハを保持し回転させるよう適合されたスピンチャックと、
前記スピンチャックを囲む液体回収体と、
を備え、
前記液体回収体は、導電リングおよび複数の導電素子を備えるデフレクタであって、前記複数の導電素子は、前記導電リングから前記デフレクタの外周縁まで径方向に伸びる、デフレクタと、前記複数の導電素子に接続され、前記導電リングをグランドするように構成された第1の導電素子と、を備え
前記複数の導電素子は、前記第1の導電素子を含まず、
前記液体回収体は、前記ウエハに接触しない、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記液体回収体は、少なくとも2つのレベルを備え、前記スピンチャックは、前記少なくとも2つのレベルのうち選択された1つで、前記スピンチャック上に設置された前記ウエハを位置決めするために、前記液体回収体に対して垂直に移動可能である、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記スピンチャックに対向する、前記液体回収体の部品は、非導電性プラスチック製である、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記非導電性プラスチックは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン/ポリエチルスチレン(PS/PES)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、フッ化ビニリデン(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン単独重合体(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、およびエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)からなる群より選ばれる1つ以上の材料を含む、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記非導電性プラスチックはPCTFEを含む、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記デフレクタは内向きのバッフルであり、前記導電リングおよび前記複数の導電素子は前記内向きバッフルにはめ込まれている、装置。
【請求項7】
請求項2に記載の装置であって、前記デフレクタは、前記少なくとも2つのレベルのうち最も上のレベル内向きバッフルであり、前記導電リングおよび前記複数の導電素子は前記内向きバッフルにはめ込まれている、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、前記導電リングおよび前記複数の導電素子は第1の導電材料を備え、前記第1の導電材料は導電性高分子である、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記導電リングおよび前記複数の導電素子は第1の導電材料を備え、前記第1の導電材料はステンレス鋼である、装置
【請求項10】
ウエハを処理する装置で用いられる液体回収体であって、
前記ウエハ上で実施される処理動作中に、前記ウエハを保持し回転させるよう適合されたスピンチャックを囲むように構成されたデフレクタであって前記デフレクタは、前記処理動作中に前記ウエハに接触せず、前記デフレクタは、導電リング、および、前記導電リングから前記デフレクタの外周縁まで径方向に伸びる複数の導電素子を備える、デフレクタと、
前記デフレクタよりも前記液体回収体の低いレベルに、前記デフレクタから径方向外向きに配置された排出ダクトと、
前記複数の導電素子の少なくとも1つに接続され、前記導電リングをグランドするように構成された第1の導電素子であって、前記第1の導電素子は、前記排出ダクトの一部の周りに伸び、前記複数の導電素子は、前記第1の導電素子を含まない、第1の導電素子とを備える、液体回収体。
【請求項11】
請求項10に記載の液体回収体であって、さらに、前記液体回収体に対する前記スピンチャックの垂直移動により前記スピンチャックが位置決めされるように構成される、少なくとも2つの処理レベルを規定する内部構造を備える、液体回収体。
【請求項12】
請求項10に記載の液体回収体であって、前記液体回収体の内向き部品は、非導電性プラスチック製である、液体回収体。
【請求項13】
請求項12に記載の液体回収体であって、前記非導電性プラスチックは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン/ポリエチルスチレン(PS/PES)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、フッ化ビニリデン(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン単独重合体(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、およびエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)からなる群より選ばれる1つ以上の材料を含む、液体回収体。
【請求項14】
請求項13に記載の液体回収体であって、前記非導電性プラスチックはPCTFEを含む、液体回収体。
【請求項15】
請求項10に記載の液体回収体であって、前記デフレクタは内向きのバッフルであり前記導電リングおよび前記複数の導電素子は前記内向きバッフルにはめ込まれている、液体回収体。
【請求項16】
請求項11に記載の液体回収体であって、前記デフレクタは前記少なくとも2つのレベルのうち最も上のレベル内向きバッフルであり、前記導電リングおよび前記複数の導電素子は前記内向きバッフルにはめ込まれている、液体回収体。
【請求項17】
請求項10に記載の液体回収体であって、前記導電リングおよび前記複数の導電素子は第1の導電材料を備え、前記第1の導電材料は導電性高分子である、液体回収体。
【請求項18】
請求項10に記載の液体回収体であって、前記導電リングおよび前記複数の導電素子は第1の導電材料を備え、前記第1の導電材料はステンレス鋼である、液体回収体。
【請求項19】
請求項1に記載の装置であって、前記導電リングは、前記デフレクタの内周縁に沿って伸びる、装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置であって、前記複数の導電素子は、前記デフレクタのそれぞれ径方向に伸びる溝に配置される、装置。
【請求項21】
請求項1に記載の装置であって、前記導電リングの上面は、露出され、前記デフレクタの上面と同一平面である、装置。
【請求項22】
請求項1に記載の装置であって、前記複数の導電素子の上面は、露出され、前記デフレクタの上面と同一平面である、装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置であって、前記液体回収体は第1の排出ダクトおよび第2の排出ダクトを備え、前記第1の導電素子は、前記第2の排出ダクトの外周に、前記第1の排出ダクトと前記第2の排出ダクトとの間に伸びる、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ状の物品の液体処理用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハは、集積回路の製造中に様々な湿式処理段階を経る。そのような処理を提供するために、回転可能または回転不能なキャリアと結合するチャックによって、1つ以上の処理流体ノズルに対して、単一のウエハが支持されていることがある。ウエハ支持チャックは、例えば米国特許第4,903,717号、第5,513,668号、第6,435,200号、および第6,536,454号に記載されている。
【0003】
半導体ウエハ処理は、ウエハ表面上に望まない静電荷の蓄積をもたらす可能性があることが知られている。例えば、米国特許第7,335,090号は、導電性樹脂で形成された保持ピンであって、順にラジアルメタル軸受に支持されるステンレス製のシャフトに結合された保持ピンを有するスピンチャックについて記載している。共同所有される同時係属中の米国特許出願公開番号第2011/0254236号は、導電性チャックピンのみならず、チャックピンをチャック駆動装置の軸および昇降ユニットと接続する導電路を有するチャックについて記載している。
【0004】
把持ピンを介してウエハエッジに接する導電路を設けることが、望まないウエハ帯電の問題を解決すると思われたが、本発明者は、ウエハ処理中の様々な段階で起こるようなウエハの帯電が、ウエハとチャックとの間に物理的接触がない場合でも起こりうることを、期せずして発見した。さらに、本発明者は、望まないウエハの帯電は、ウエハと、チャックに隣接するがチャック本体からは離れている静的構造との間でも起こりうることを、偶然発見した。
【発明の概要】
【0005】
従って、一態様において、本発明はウエハ状の物品を処理する装置に関し、本装置は、ウエハ状の物品上で実施される処理動作中に、所定の直径のウエハ状の物品を保持し回転させるよう適合されたスピンチャックと、スピンチャックを囲む液体回収体とを備える。液体回収体は、第1の導電材料を有する第1の内面を備え、回収体はさらに、第1の導電材料をグランドするための第1の導電経路を備える。
【0006】
本発明による装置の好ましい実施形態では、液体回収体は少なくとも2つのレベルを備え、少なくとも2つのレベルのうち選択された1つで、スピンチャック上に設置されたウエハを位置決めするために、スピンチャックは液体回収体に対して垂直に移動可能である。
【0007】
本発明による装置の好ましい実施形態では、スピンチャックに対向する、液体回収体の第1の内面以外の面は、非導電性プラスチック製である。
【0008】
本発明による装置の好ましい実施形態では、非導電性プラスチックは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン/ポリエチルスチレン(PS/PES)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、フッ化ビニリデン(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン単独重合体(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、およびエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)からなる群より選ばれる1つ以上の部材を含む。
【0009】
本発明による装置の好ましい実施形態では、非導電性プラスチックはPCTFEを含む。
【0010】
本発明による装置の好ましい実施形態では、液体回収体は内向きのバッフルを備え、第1の導電材料は内向きバッフルにはめ込まれている。
【0011】
本発明による装置の好ましい実施形態では、液体回収体は、少なくとも2つのレベルのうち最も上のレベルに内向きバッフルを備え、第1の導電材料は内向きバッフルにはめ込まれている。
【0012】
本発明による装置の好ましい実施形態では、第1の導電材料は導電性高分子である。
【0013】
本発明による装置の好ましい実施形態では、第1の導電材料はステンレス鋼である。
【0014】
本発明による装置の好ましい実施形態では、第1の導電材料は、液体回収体の第1の内面に周方向に配置された複数の導電素子を備える。
【0015】
本発明による装置の好ましい実施形態では、スピンチャックは、処理されるウエハ状の物品を支持するように適合かつ位置決めされた複数のピンアセンブリを備え、少なくとも1つのピンアセンブリは、化学的に不活性な材料で形成され、軸受要素を物理的かつ電気的に係合するよう適合された導電性インレーを一端に含む。
【0016】
本発明による装置の好ましい実施形態では、軸受要素は導電性ニードル軸受である。
【0017】
別の態様では、本発明は、ウエハ状の物品を処理する装置で用いられる液体回収体に関する。液体回収体は、ウエハ状の物品上で実施される処理動作中に、所定の直径のウエハ状の物品を保持し回転させるよう適合されたスピンチャックを囲むよう構成される。液体回収体は、第1の導電材料を有する第1の内面を備え、回収体はさらに、第1の導電材料をグランドする第1の導電経路を備える。
【0018】
本発明による液体回収体の好ましい実施形態では、内部構造は少なくとも2つの処理レベルを規定し、スピンチャックはそこで、液体回収体とスピンチャックとの間の相対的垂直移動により位置決めされてよい。
【0019】
本発明による液体回収体の好ましい実施形態では、液体回収体の第1の内面以外の内向き面は、非導電性プラスチックで形成される。
【0020】
本発明による液体回収体の好ましい実施形態では、非導電性プラスチックは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン/ポリエチルスチレン(PS/PES)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、フッ化ビニリデン(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン単独重合体(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、およびエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)からなる群より選ばれる1種以上の部材を含む。
【0021】
本発明による液体回収体の好ましい実施形態では、非導電性プラスチックはPCTFEを含む。
【0022】
本発明による液体回収体の好ましい実施形態では、液体回収体はさらに内向きのバッフルを備え、第1の導電材料は内向きバッフルにはめ込まれている。
【0023】
本発明による液体回収体の好ましい実施形態では、回収体はさらに、少なくとも2つのレベルのうち最も上のレベルに内向きバッフルを備え、第1の導電材料は内向きバッフルにはめ込まれている。
【0024】
本発明による液体回収体の好ましい実施形態では、第1の導電材料は導電性高分子である。
【0025】
本発明による液体回収体の好ましい実施形態では、第1の導電材料はステンレス鋼である。
【0026】
本発明による液体回収体の好ましい実施形態では、第1の導電材料は、第1の内面に周方向に配置された複数の導電素子を備える。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面を参照して以下の本発明の好ましい実施形態の詳細を読むことでより明らかになるだろう。
【0028】
図1】本発明の第1の実施形態による軸断面の液体回収体の透視図。
【0029】
図2図1で指定した細部IIの拡大図。
【0030】
図3図1に示す液体回収体の上部デフレクタ50の透視図。
【0031】
図4】本発明の第1の実施形態による装置の軸断面図。
【0032】
図5図4で指定した細部Vの拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1では、液体回収体は4つの主部品、つまり、底部部品10、頭部部品20、第1中間部品30、および第2中間部品40を備える。図1に示していない液体回収体の半分は、示した部材と概ね左右対称である。
【0034】
本実施形態では、液体回収体は、共通所有される同時係属中の米国特許出願シリアル番号第13/849,072号により詳細に記載されるように、着脱式モジュール部品のアセンブリである。しかし、本実施形態に照らして、様々な部品は互いに着脱できる必要はなく、これら部品の2つ以上は、必要に応じて、一体的に形成されてもよい。
【0035】
図1の回収体アセンブリはまた、上部デフレクタ50、中間デフレクタ60、および下部デフレクタ70を含み、その構造および機能は以下に述べられる。
【0036】
当業者には知られているように、半導体ウエハの枚葉式ウェット(湿式)処理に用いられるものなど、現在使用されている図1の回収体アセンブリは、図4に示され、例えば米国特許番号第4,903,717号および第7,837,803号に記載されるように、スピンチャックを囲む。そのようなスピンチャックは、所定の直径のウエハを保持するよう設計されている。ウエハの直径としては、300mmおよび450mmが、現在使用されている、また現在開発中である。スピンチャックは、最も上のロードおよびアンロード位置だけでなく、3つの各回収体レベルの間でも回収体に対して移動可能である。回収体アセンブリとスピンチャックとの間の相対移動は、固定された回収体アセンブリに対してスピンチャックを昇降させること、または固定されたスピンチャックに対して回収体アセンブリを昇降させること、またはスピンチャックと回収体アセンブリの両方を、反対方向にまたは同じ方向に異なる速度で、同時に昇降させることのいずれかによって実現されてよい。
【0037】
そのため、最も下の処理レベルは、スピンチャックの上面が、底部部品10の径方向内側上縁15とほぼ同一平面である位置に対応する。その縁から始まる傾斜面は、ウエハの面から振り落とされた液体を回収し、底部部品の排水口に向かわせる働きをする。
【0038】
デフレクタ70も、底部部品10の排水口に向けて液体を下方かつ外向きに方向付け、さらに、排出ガスが回収体アセンブリの外側排出ダクトに引き込まれうる、デフレクタ70と第2中間部品40の下対向面との間の隙間を規定する。
【0039】
中間の処理レベルは、スピンチャックの上面が、第2中間部品40の径方向内縁45とほぼ同一平面である位置に対応する。その縁から始まる傾斜面は、同様に、ウエハの面から振り落とされた液体を回収し、第2中間部品40の排水口に向かわせる働きをする。
【0040】
この場合、中間デフレクタ60も、第2中間部品40の排水口に向けて液体を下方かつ外向きに方向付け、さらに、排出ガスが回収体アセンブリの外側排出ダクトに引き込まれうる、中間デフレクタ60と第1中間部品30の下対向面との間の隙間を規定する。
【0041】
同様に、上部の処理レベルは、スピンチャックの上面が、第1中間部品30の径方向内縁35とほぼ同一平面である位置に対応する。その縁から始まる傾斜面は、同様に、ウエハの面から振り落とされた液体を回収し、第1中間部品30の排水口32に向かわせる働きをする。
【0042】
この場合、上部デフレクタ50も、第1中間部品30の排水口に向けて液体を下方かつ外向きに方向付け、さらに、排出ガスが回収体アセンブリの外側排出ダクトに引き込まれうる、上部デフレクタ50と頭部部品20の下対向面との間の隙間を規定する。
【0043】
回収体アセンブリの様々な部品、特に半導体ウエハの処理中に用いられるしばしば侵攻性である化学物質に接触する部品は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン/ポリエチルスチレン(PS/PES)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、フッ化ビニリデン(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン単独重合体(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、およびエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)からなる群より選ばれる1つ以上の部材を含むプラスチックなどの、化学的に不活性な物質で形成されることが好ましい。
【0044】
こうした物質は、それらを導電性にする追加の物質の取り込みがない限り、本来は非導電性である。しかし、発明者は、非導電性液体(例えば、イソプロパノールなどの脱イオン水および溶媒)がリンスの目的で回転中のウエハ上に流し込まれたときに、ウエハが帯電するだけでなく、デフレクタなどの内側に面する回収体要素も著しく帯電することを発見した。
【0045】
特に、本発明者は、ウエハと周囲の回収体要素との間の帯電は、5000Vにもなりうることを突き止めた。そのため、例えば共通に所有される同時係属中の米国特許出願公開番号第2011/0254236号に記載されるように、ウエハがチャックを通じてグランドされたとしても、放電は起こりうる。
【0046】
本技術分野の当業者は、静電誘導(帯電分離)が2つの非導電材料間の摩擦に基づいて発生したと考えたため、周囲の液体回収体構造からの静電誘導によるウエハ面の帯電は予期しなかった。しかし、2つの非導電材料間の摩擦は、2つの材料が互いに接触することを要求するだろう。液体回収体は、ウエハに接触しないためそれ自体とウエハとの間に摩擦を起こさないが、回収体がそれでも静電誘導によってウエハ面を帯電させ、場合によっては、実際にウエハ上に非常に高い表面帯電を引き起こしうることを発見したのは驚きだった。
【0047】
連続する各テクノロジノードには、ウエハ本体上に形成されるデバイスおよび構造の上のみならず、処理装置の表面上にも蓄積しうる最大許容帯電に対して、これまでになく厳しい条件が伴うため、半導体ウエハの帯電は高まり、問題となるという懸念がある。例えば、2018年に予定されている18nmのテクノロジノードに対して、ウエハ上に形成される半導体デバイス上の最大許容帯電は0.08nCに指定されており、静電荷の非常に低いレベルである約8V/cmに相当する。
【0048】
従来は、半導体ウエハ上の帯電は、例えば米国特許番号第6,432,727号に記載されるように、処理チャンバの上に位置するイオン化バー技術を用いて軽減される。しかし、その技術は、設備投資およびメンテナンス費用両方の観点からかなり高価である。
【0049】
本実施形態では、図2−4に示すように、上部デフレクタ50は導電素子81を備えている。導電素子81は、例えば、図3に示すように、周方向に配置された複数の導電素子もしくは導電リング、またはその両方の形をとってよい。
【0050】
導電素子81は、その上面が露出され、デフレクタ50の上面と同一平面になるように、デフレクタ50に形成された対応する溝に取り付けられてよい。あるいは、デフレクタ50の被覆材料の厚さが十分に薄いときは、導電素子81は、その内縁部のみが露出された状態で、またはそのいずれの部分も露出されない状態で、デフレクタ50の内部に配置されてよい。
【0051】
導電素子は、導電性高分子で作られることが好ましいが、ステンレス鋼などのステンレス金属でも作られうる。
【0052】
図4に示すように、導電素子81は、1つ以上の導電素子83で形成される導電経路を通じて、電気的にグランド(例えば、機枠)に接続される。
【0053】
さらに、図4には、好ましくはウエハの主面が水平にまたは水平の±20°以内に配置されるように、所定の方向でその上にウエハを保持するスピンチャック1も示される。スピンチャック1は、例えば米国特許番号第4,903,717号に記載されるように、例えばベルヌーイの定理に従って動作するチャックであってよい。
【0054】
チャック1は、一連の把持ピン3(本実施形態では計6個だが、図4では4個のみが明らか)を含む。把持ピン3は、ウエハがチャックの横方向に滑り落ちることを防ぐ。本実施形態では、把持ピン3の上部はウエハWに対して下方の保持も提供するため、チャックはベルヌーイの定理に従って動作する必要はなく、またウエハの下にガスクッションを供給するよう適合される必要がない。特に、共通に所有される同時係属中の米国特許出願公開番号第2011/0254236号により詳細に記載されるように、各把持ピン3は、通常円筒形のピンベースの回転軸に対してオフセットする軸に沿って、円筒形ピンベースから垂直に伸びる最も上の把持部を備える。さらに、以下に詳細が説明されるが、上部把持部はそれぞれ、ウエハの周縁を収容するよう設計された横型凹部または切り出し部を備える。
【0055】
図5に示すように、把持ピン3は、チャック1の基体9に取り付けられるチャックカバー5に形成された穴を通って、上向きに突き出ている。
【0056】
把持ピン3は、チャック1と同軸上に回転し、同時に全ての把持ピン3と噛み合い係合するリングギア7によって、それらの円柱軸を中心に結合して回転する。そのため偏心把持部は、ウエハが固定される径方向内側閉位置から、ウエハが剥離される径方向外側開位置に一斉に移動する。把持ピン3は、中心軸の周りを回動するために取り付けられた基部から突き出た、ウエハに接する偏心最上部を備える。特に、リングギア7は、チャック上部体9の下面を中心とし、その外周ギア歯によって各ピン3の基部上に形成されたギア歯と同時に係合する。ピン3は、スピンチャック1の外縁の周りに均等に分配され、少なくとも3つ(好ましくは6つ)のそのようなピン3が設けられる。
【0057】
所定のチャック1は、特定の直径のウエハを保持するように設計されている。そのためピン3の把持面は、それらの径方向内側閉位置にあるときは、その直径の円を描く。現在商業生産されているウエハ用のチャックは、200mmまたは300mmのウエハを保持するよう設計されているが、450mmのウエハが次世代となるだろう。
【0058】
図5に示すように、チャック基体9の上面とカバー5の下面との間に内部隙間が設けられるように、チャック1のカバー5は、基体9の外縁の外周に環状リブ5−1によって固定される。
【0059】
本実施形態の内部隙間は、リングギア7および、以下に詳細に述べる追加部品を収容する。チャックがベルヌーイチャックとして具現化された場合、共同所有される同時係属中の米国特許出願公開番号第2011/0254236号に記載されるように、この内部隙間は、カバー5に設けられた開口の配列に供給するガス分配チャンバとして追加的に機能しうる。
【0060】
図5に示すように、各ピンアセンブリ3は、ピンアセンブリ3の基体を構成する歯車3−1から伸びたシャフトを含む。シャフトは、カバー5の穴に回転可能に受け入れられ、上記のようにシャフトの回転軸に対して偏心的に配置された把持ピンを保つ。各ピンアセンブリ3は、ニードル軸受3−3および結合された螺旋ばね3−5によって、カバー5に向かって上向きに付勢され、基体9の外側上向きに伸びた周辺端部の中に形成されたくぼみの中にそれぞれ配置される。
【0061】
ピンアセンブリ3のシャフトをリングギア7を用いて回転させることで、チャック1の回転軸からの把持ピンの半径距離は変わりうる。偏心的に配置されたピンを回転させるためにリングギアおよびチャック体の相対移動を提供する機構は、例えば米国特許番号第4,903,717号および第5,513,668号に記載されるように、知られたものである。
【0062】
共同所有される同時係属中の米国特許出願公開番号第2011/0254236号に記載される装置に従って、導電ピンアセンブリを通して、またはチャック内に確立された導電路に沿って静電荷を消散するため、1つ以上のピンアセンブリ3は、静電気散逸性または導電性の材料(導電性プラスチックなど)で形成される。あるいは、ステンレス鋼などで作られた導電性インレー3−7は、ピンアセンブリ3のメインシャフトの盲孔内に取り付けられ、導電ニードル軸受3−3と接するピンアセンブリの底に露出する。
【0063】
放電経路は、金属ばね3−5から基体9に取り付けられた導電板9−1および9−3に続き、最終的には地面に続く。
【0064】
従来は絶縁材で形成されるチャック体のカバー5も、カバーとウエハが接触しないにもかかわらず、また本実施形態ではウエハから把持ピンへのまたは把持ピンを通る導電路が提供されるにもかかわらず、ウエハ上に静電荷の蓄積を引き起こしうる。そのため、本実施形態のカバー5は、ウエハに対向する導電材料を含むように作られており、導電材料から地面へ向かう導電経路が設けられる。
【0065】
そのため、再び図5を参照すると、チャックカバー5(または、導電材で作られたそのカバー部分)からカバー5の下面に取り付けられた上部ばねシート5−3まで伸び、螺旋ばね5−5および導電性ストリップ9−3に取り付けられた下部ばねシート5−7を介して続く、別の導電経路が設けられる。この経路は、前述の経路のために上に記載したものと同じである。図5では、各ばね5−5が、リングギア7に形成されたそれぞれの開口を通ることがさらに注目されるだろう。言うまでもなく、第1および第2の導電経路に含まれる前述の各部品は、それ自体が全体または一部において、問題になっている経路を確立するのに十分な導電性である。
【0066】
上部および下部ばねシート5−3および5−7は、複数のばね5−5を収容するように、必要なら、例えばチャックの回転軸と同軸に配置されるリングまたはリングの複数のセグメントという形をとってよい。
【0067】
従って、チャック1は、ばねシート5−3、ばね5−5、ばねシート5−7、および導電性ストリップ9−3を通るだけでなく、任意に1つ以上のピンアセンブリ3からニードル軸受3−3、螺旋ばね3−5、ばねシート9−1、および導電性ストリップ9−3を通る、少なくとも1つの追加の導電経路を任意に提供する。上記の各経路は、その後例えばチャックロータに導かれ、そして例えば結合されたツールの骨組または別の適したグランドに電気的に接続することで、電気的な接地に至ってよい。
【0068】
十分な導電性質を有する比較的導電性のプラスチック材は、金属要素に加えて、または金属要素の代わりに、前述の電気経路を形成するために用いられてよいことが理解されるだろう。例えば、適した導電性プラスチック材は、例えば、SIMONA PVDF−ELの商品名で市販され、試験方法DIN IEC 60093によって≦10ohm*cmおよび≦10ohmの体積および表面抵抗率をそれぞれ示すと報告されている、導電性炭素を含有するポリフッ化ビニリデンを含む。その他の比較的導電性のプラスチックは、例えば、Fluon LM−ETFE AH−3000の商品名で市販されている炭素入りエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、および、例えば、VESPEL CR−6110の商品名でデュポン社から市販されている炭素繊維入りパーフルオロアルコキシを含む。炭素繊維入りパーフルオロアルコキシは、炭素繊維シートおよび高分子層の複合物を含み、層方向に約10-1ohm*cmおよび10-10ohmの体積および表面抵抗率をそれぞれ示し、層に垂直に約10ohm*cmおよび10ohmの体積および表面抵抗率をそれぞれ示すと考えられている。
【0069】
本発明は、その様々な好ましい実施形態と関連して説明されてきたが、これらの実施形態は、単に発明を例示するために提供されたのであり、添付の特許請求の範囲の真の範囲および精神によって与えられる保護の範囲を制限するための理由付けに用いてはならないことは理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5