(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図示の実施の形態に基づいて本発明を詳述する。
図1には、画像形成装置の下流側に配置され画像形成されたシートを部揃えして綴じ処理する後処理装置Bを示す。この装置には綴じ処理ユニットC(シート処理装置;以下同様)が組み込まれている。
【0013】
[後処理装置]
次に
図1に示す後処理装置Bについて説明する。図示の後処理装置Bには綴じ処理ユニットC(圧着綴じ手段23;以下同様)が内蔵され、画像形成システムの端末装置として構成されている。
【0014】
図1において後処理装置Bは装置ハウジング10と、このハウジングに配置されたシート搬送経路12と、その経路排紙口13の下流側に配置された処理トレイ14(シート支持手段;以下同様)と、その下流側に配置されたスタックトレイ25で構成されている。
【0015】
処理トレイ14にはシートSを搬入するシート搬入手段24と、搬入されたシートSを所定の後処理位置P(綴じ位置)に位置決めする位置規制手段(後述のシート端規制部材16と側縁整合部材17)が配置されている。処理トレイ14にはシート束Sを綴じ処理するシート処理装置(綴じ処理ユニットC;圧着綴じ手段23)が配置されている。この圧着綴じ手段23の構成については後述する。
【0016】
図示の処理トレイ14には圧着綴じ手段23と共にシートSを綴じ処理するステープル綴じ手段21が配置され、処理トレイ上に集積されたシートSを指定された手段で圧着綴じ又はステープル綴じする。
【0017】
上記装置ハウジング10には、
図1に示すように搬入口11と経路排紙口13を有するシート搬送経路12が配置され、図示のものは水平方向からシートSを受け取って略水平方向に搬送して経路排紙口13から搬出するように構成されている。このシート搬送経路12にはシートSを搬送する搬送機構(搬送ローラなど)が内蔵されている。
【0018】
上記搬送機構は、経路長に応じて所定間隔の搬送ローラ対で構成され、搬入口11の近傍に搬入ローラ対18が、経路排紙口13の近傍に排紙ローラ対19が配置されている。上記搬入ローラ対18と排紙ローラ対19とは、同一の駆動モータ(不図示)に連結され、同一周速度でシートSを搬送する。またシート搬送経路12にはシートSの先端と後端との少なくとも一方を検出するシートセンサSe1が配置されている。
【0019】
シート搬送経路12の経路排紙口13には、その下流側に段差tを形成して処理トレイ14が配置されている。この処理トレイ14は経路排紙口13から送られたシートSを上方に積み重ねて束状に集積するため、シートSの少なくとも一部を支持する紙載面14aを備えている。上記処理トレイ14は経路排紙口13から送られたシートSを束状に集積して、所定姿勢に整合したのちに綴じ処理を施し、処理後のシート束を下流側のスタックトレイ25に搬出するように構成されている。
【0020】
上記経路排紙口13にはシート搬入手段24(パドル回転体)が配置され、シートSを処理トレイ14の所定位置に搬送する。また処理トレイ14にはシート後端をシート端規制部材16に案内する掻き込み搬送手段22が配置されている。
【0021】
掻き込み搬送手段22は、シート端規制部材16の上流側に配置され、図示のものはリング形状のベルト部材で構成されている。このベルト部材22vは紙載面上の最上シートSと係合するとともにシート端規制部材(位置規制手段)16に向けてシートSを搬送する方向に回転する。
【0022】
処理トレイ14の先端部(図示のものは排紙方向後端部)には、シートSを位置決めするシート端規制部材16が設けられている。そして、経路排紙口13から掻き込み搬送手段22で搬入されたシートSを突き当て規制する。このシート端規制部材16は処理トレイ上に集積されたシートSを所定の処理位置に整合する。
【0023】
また処理トレイ14には、シート端規制部材16に位置決めされたシートSの幅方向を基準ラインに位置決めする側縁整合部材17が配置されている。図示の側縁整合部材17は、経路排紙口13から送られシート端規制部材16に位置決めされたシートSを排紙直交方向に幅寄せ整合する。この側縁整合部材17は、左右一対の整合板で構成され、所定の基準ライン(センタ基準又はサイド基準)にシートSを位置決めする。
【0024】
処理トレイ14にはシート端規制部材16に突き当て規制され、側縁整合部材17で幅方向を位置決めされたシートSを綴じ処理する圧着綴じ手段23とステープル綴じ手段21が配置されている。
【0025】
ステープル綴じ手段21によるシート綴じ処理機構および綴じ処理動作は、既によく知られているのでその説明を省略する。また処理トレイ14には、ステープル綴じ手段21と共に集積したシート束を綴じ処理する圧着綴じ手段23が配置されている。図示の圧着綴じ手段23は、複数のシート(束)を針なし綴じ処理する綴じ処理ユニット(シート処理装置C)を示している。
【0026】
[圧着綴じ手段]
図2に従って本発明に係わる圧着綴じ手段23(シート処理装置C;以下同様)について説明する。圧着綴じ手段23は束状に集積された複数のシートを互いに噛み合うように加圧変形させて綴じ合わせる。このため圧着綴じ手段23は、複数のシートを対向する綴じ歯で挟んで圧着する機構で構成される。
【0027】
圧着綴じ手段23は、シート束Sを圧着する一対の第1綴じ歯31、第2綴じ歯41と、この第1綴じ歯31を支持する第1ブロック部材32と、第2綴じ歯41を支持する第2ブロック部材42と、第1ブロック部材32を支持する第1フレーム33(33a、33b、33c)と、第2ブロック部材42を支持する第2フレーム44(44a、44b、44c)で構成されている。
【0028】
上記第1フレーム33と第2フレーム44は、第1綴じ歯31と第2綴じ歯41が、離間した待機姿勢(非加圧姿勢;
図1のWp状態)から圧接した作動姿勢(加圧姿勢;
図2のAp状態)にシフトするよう位置移動可能に装置フレームに取り付けられている。図示の第1フレーム33は装置フレーム50(ユニットフレーム)に固定され、この第1フレーム33に第2フレーム44が揺動回転軸51で回転可能に連結されている。
【0029】
上記揺動回転軸51で揺動可能に連結されている第1フレーム33の先端部には第1ブロック部材32が、第2フレーム44の先端部には第2ブロック部材42が取り付けられている。そして第1フレーム33と第2フレーム44の揺動運動で、第1ブロック部材32と第2ブロック部材42は互いに離間した待機位置Wp(
図1及び
図4の状態)から互いに圧接した作動位置Ap(
図2の状態)にシフトする。
【0030】
上記第1ブロック部材32には、第1綴じ歯31が、第2ブロック部材42には第2綴じ歯41がそれぞれ保持されており、圧入により固定されている。
図3(a)は第1ブロック部材32と第2ブロック部材42の斜視形状を示し、同図(b)は断面形状を示している。
【0031】
上記第1ブロック部材32に保持される第1綴じ歯31と、第2ブロック部材42に保持される第2綴じ歯41には、複数の凹凸面が設けられている。第1綴じ歯31と第2綴じ歯41には互いに噛み合う凹凸形状の歯型が所定ピッチ(歯間隔)、所定長さ(L)で、列状に配列されている。
【0032】
上記第1綴じ歯31と第2綴じ歯41の歯幅(w)と長さ(L)と噛合い深さ(d)は、綴じ処理するシート束の最大厚さ及びシート材質に応じて設定する。また第1綴じ歯31と第2綴じ歯41を同一形状にすると、歯型同士の噛み合い精度の向上が見込めるうえ、加工が容易となる。そのため以下の実施例では、第1綴じ歯31の凹凸面形状と第2綴じ歯41の凹凸面形状は同一形状とする。
【0033】
図3(a)に示すように第1綴じ歯31、第2綴じ歯41は、第1ブロック部材32と第2ブロック部材42の揺動運動方向(同図矢印A方向)に対して直交する方向(同図矢印B方向;揺動回転軸51の軸方向)と所定鋭角度θ(0≦θ<90度)だけ傾斜させて(同図矢印C方向)配置してある。これは綴じ処理するシート束のコーナ部に、所定角度(例えば60度;θ=30度)傾斜した位置を綴じ処理するためである。このように第1ブロック部材32と第2ブロック部材42の運動方向(シフト方向)に対して、第1綴じ歯31と第2綴じ歯41の列方向は任意の鋭角度方向(0度≦θ<90度)に設定することが可能である。
【0034】
上記第2フレーム44には、第1綴じ歯31と、第2綴じ歯41が離間した待機位置Wpから圧接する作動位置Apに第2綴じ歯41を移動させる、移動手段としての駆動機構49(駆動手段;以下同様)が設けられている。この駆動機構49はカム機構52と駆動モータDCで構成されている。
【0035】
なお、本実施例においては、移動手段として駆動機構49を用いているが、本発明はこれに限るものではない。つまり、移動手段を揺動回転軸51として、ユーザーが第1フレーム33と第2フレーム44との少なくとも一方を移動させて、第1綴じ歯31と第2綴じ歯41が離間した待機位置Wpから圧接する作動位置Apに第2綴じ歯41を移動させるように構成してもよい。
【0036】
[駆動機構]
上述した第1フレーム33と第2フレーム44は、揺動回転軸51の回転軸線で揺動可能に軸支持され揺動運動する。図示の第1フレーム33は装置フレーム50に固定され、第2フレーム44は装置フレーム50に固定された第1フレーム33に、上述したように揺動回転軸51で揺動可能に取り付けられている。
【0037】
従って、第2フレーム44は第1フレーム33に対して揺動運動可能に支持されている。なお、本実施例においては、第1フレーム33と第2フレーム44のうち、一方を装置フレーム50に固定し、他方を装置フレームに移動可能に支持する構造を採用しているが、第1フレーム33と第2フレーム44を共に装置フレーム50に移動可能に支持する構造を採用しても良い。
【0038】
第2フレーム44の駆動機構49について説明する。第2フレーム44には、揺動回転軸51を介して先端部に第2綴じ歯41が、基端部にカムフォロア53(フォロアコロ)が設けられている。先端部に設けられた第2綴じ歯41とフォロアコロ53とは、揺動回転軸51を介して梃子の作用(倍力機構)が働くレバー長さに形成してある。
【0039】
また、第1フレーム33の基端部にはカム部材52(図示のものは円筒カム)が配置されている。カム部材52はカム軸54に支持され、カム軸54は第1フレーム33に回転可能に軸支されていると共に、カム部材52とフォロアコロ53とは互いに係合する位置関係で配置されている。また、カム軸54には伝動手段55を介して駆動モータDCの回転が伝達され、駆動モータDCの正逆転でカム部材52が正逆転するように連結されている。
【0040】
図2に示すように駆動モータDCは、装置フレーム50(例えば後処理装置のフレーム)にマウントされ、その駆動軸56の回転は、伝動手段55を構成する伝動歯車G2、G3、G4、G5でカム軸54に回転を伝達する。カム軸54に連結された歯車G1でカム部材52は
図2反時計方向に回転する。
【0041】
なお、上述の実施形態ではカムフォロア53を第2フレーム44に、カム部材52を第1フレーム33に配置する場合を示したが、カム部材52を第2フレーム44に、カムフォロア53を第1フレーム33に配置することも可能である。この場合には装置フレーム50に装備した駆動モータDCから駆動力をカム部材(回転カム)の回転軸に伝達すると良い。
【0042】
図2に示す装置は、第1フレーム33が、断面U字形状の板金で形成され、その対向する側壁33aと33bの間に第2フレーム44が揺動回転軸51で揺動可能に支持されている。このように第2フレーム44は第1フレーム33の側壁33a、33bにガイドされ揺動回転軸51を中心に揺動運動する。そして第2フレーム44には上記待機位置Wpに戻すための復帰スプリング43が配置されている。この復帰スプリング43は装置フレーム50(または第1フレーム33)との間に配置する。
【0043】
上述の第1綴じ歯31と第2綴じ歯41は互いに噛み合う凹凸面で列状に形成され、この噛合状態は、一方の綴じ歯を固定した状態で噛み合わせて他方の綴じ歯に倣うように位置調整し、その後に固定する。以下、
図4乃至
図7に従って、第2綴じ歯41を固定し、第1綴じ歯31の凹凸面が倣うように位置調整したのちに固定手段(ネジ部材)で固定する場合について説明する。なお、本実施例とは逆に、第1綴じ歯31を固定した状態で第2綴じ歯41を位置調整して固定してよい。
【0044】
図4は綴じ処理機構全体の構造を示す斜視図であり、
図5はその要部の断面構造を示す説明図である。第1フレーム33は、断面U字形状(3辺)、断面矩形状(4辺)などの、対向する側壁を有する中空部材で構成されている。
【0045】
図示の第1フレーム33は、
図4及び
図5に示すように右側壁33a、左側壁33b、フロント側壁33cを有する断面略U字形状の鋼材で構成されており、複数の辺で囲まれた空間Ar1(第1ブロック部材取付部;以下「第1取付空間Ar1」という)に第1綴じ歯31を保持する第1ブロック部材32を取り付ける。なお、本実施例では、第1綴じ歯31が第1ブロック部材32に圧入されて固定される。
【0046】
また、第2フレーム44は、断面U字形状(3辺)、断面矩形状(4辺)など互いに対向する側壁44aと44bを有する部材で構成している。図示の第2フレーム44は右側壁44a、左側壁44b,リア側壁44cを有する断面略U字状の鋼材で構成されており、複数の辺で囲まれた空間Ar2(第2ブロック部材取付部;以下「第2取付空間」という)に第2綴じ歯41を有する第2ブロック部材42が取り付けられる。
【0047】
第2ブロック部材42は前記空間Ar2(第2取付空間)に嵌合する形状に形成され、この空間に固定されている。この固定方法は、ネジ止め、圧入、溶接結合、リベット結合など種々も固定方法が選択可能である。図示のものは第2固定ネジ45によって第2ブロック部材42を第2取付空間Ar2に固定している。
【0048】
次に、
図6に示す第1フレーム33と第1ブロック部材32との関係を説明する。第1ブロック部材32は、前述の第1取付空間Ar1に位置調節可能に装着される。これは、第2フレーム44に堅固に取付けられた第2ブロック部材42に保持された第2綴じ歯41に、第1綴じ歯31が倣って噛合するように第1ブロック部材32を位置調整させる。
【0049】
対向する側壁(右側壁33aと左側壁33b)との間には、第1ブロック部材32を摺動可能に支持する、案内部材35(以下「支持軸」と云う)が右側壁33aと左側壁33bを貫通させて設けられている。この支持軸35は対向側壁33a、33bに固定され、断面楕円形状、Dカット形状などに加工すると共に、第1ブロック部材32と当接する接触面35aは面取り加工などで平滑な面を形成しており、第1ブロック部材32との間で摩擦抵抗を生じにくい面が形成される。
【0050】
図6(b)には第1取付空間Ar1に嵌合された第1ブロック部材32が、左側壁33bとの間にクリアランスCL1を有すると共に、右側壁33aとの間にクリアランスCL2を有した状態で支持軸35に支持される状態を示している。第1ブロック部材32は支持軸35の軸方向(矢印X方向)左右のクリアランスCL1、CL2とフロント側壁33cに形成された調整長穴34xによる移動範囲内で、支持軸35の軸方向に移動可能に組み込まれている。
【0051】
そして調整長穴34xを介して第1ブロック部材32に形成されている螺合孔34yにネジ部材34が螺合されフロント側壁33cに第1ブロック部材32を固定する。
【0052】
つまり、位置固定された第2綴じ歯41に、第1フレーム33の第1取付空間Ar1に配置され、固定される前の第1ブロック部材32を第1綴じ歯31と第2綴じ歯41の噛み合いに倣わせて移動させ、第1ブロック部材32を位置調整したうえで固定する。
【0053】
位置調整は、組み立て時あるいは再調整時に第2フレーム40を、例えば作業者(オペレータ)の操作で揺動させて、第1綴じ歯31と第2綴じ歯41を
図1の待機状態から
図2の作動状態に圧着させ、固定されている第2綴じ歯41の凹凸面に、第1綴じ歯31の凹凸面が合致するように支持軸35の軸方向に移動させるため、円滑な位置調整が可能となる。
【0054】
また、本実施例においては、第1綴じ歯31と第2綴じ歯41は支持軸35の軸方向(
図5左右方向)と角度θで交差している。これに対し第2フレーム44は揺動回転軸51を中心に揺動して、第1綴じ歯31と第2綴じ歯41は待機位置Wpから作動位置Apに移動する。このため第1綴じ歯31と第2綴じ歯41は、揺動回転軸51に最も近い
図7左端の凹凸面が最初に、同図右端の凹凸面が最後に噛み合うように
図5矢印方向に噛み合わせられる。この噛み合わせ順(位相差)は
図5に角度αとして表現されている。これと同時に第1綴じ歯31と第2綴じ歯41は支持軸35の軸方向とは鋭角度θで傾斜しているが、前述の調整長穴34xの長さ(調整代)はこの傾斜角度を考慮した長さに設定してある。
【0055】
また
図7は別の実施形態を示しており、第1綴じ歯31と第2綴じ歯41を位置調整した後の、第1ブロック部材32と支持軸35との間にごく僅かな間隔が形成される場合を模式的に示している。そして、この状態では同図矢印方向にネジ部材34を中心に僅かに回転可能となる。このため支持軸35の接触面35aと第1ブロック部材32とは、歯型列に回転方向の力が付与されてもネジ部材(固定手段)34の螺合孔34yを中心に揺動するのみとなり支持軸35の軸方向には移動しないため噛み合い精度は維持される。