特許第6562669号(P6562669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6562669自動車における自動化された変速機システムの起動のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562669
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】自動車における自動化された変速機システムの起動のための方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/12 20100101AFI20190808BHJP
【FI】
   F16H61/12
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-57772(P2015-57772)
(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-183854(P2015-183854A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2018年3月16日
(31)【優先権主張番号】10 2014 205 316.1
(32)【優先日】2014年3月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヴェアナー シュミット
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102010046322(DE,A1)
【文献】 特開2012−150653(JP,A)
【文献】 特開2012−081829(JP,A)
【文献】 特開2012−140053(JP,A)
【文献】 特表2003−501310(JP,A)
【文献】 特開2013−171590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00−61/12
F16H 61/16−61/24
F16H 61/66−61/70
F16H 63/40−63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車における自動化された変速機システムの起動のための方法であって、
前記自動車の制御機器(5)が、操作要素(6)の操作後、1つの学習ルーチンの呼び出しのための命令を、前記変速機システム(1)の変速機制御機器(2)に送出し、前記学習ルーチンは、前記自動車にそれぞれ組み込まれている変速機システム(1)の許容誤差を求め、その際に、支障のあった学習ルーチンの少なくとも1つのエラー情報が記憶される、方法において、
所定の数のエラー情報は、所定の数の記憶スペースを有する不揮発性のエラーメモリ(11)に記憶され、全ての記憶スペースが埋まっている場合に、最も古いエラー情報が、現下の学習ルーチンの現下のエラー情報によって書き換えられる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記エラー情報は、前記自動車の不揮発性のエラーメモリ(11)に保存される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記エラー情報は、前記変速機制御機器(2)の不揮発性のエラーメモリ(11)に保存される、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
自動車における自動化された変速機システムの制御のための変速機制御機器であって、
前記変速機制御機器は、複数のエラー情報の記憶のためのエラーメモリ(11)を含んでおり、
前記変速機制御機器は、制御信号の受信後に、前記自動車にそれぞれ組み込まれている変速機システム(1)の許容誤差を求めるための学習ルーチンをスタートさせ、その際に、支障のあった学習ルーチンの少なくとも1つのエラー情報が前記エラーメモリ(11)に記憶される、変速機制御機器において、
前記自動化された変速機システム(1)の起動の際に、請求項1から3いずれか1項記載の方法が実行可能であるように構成されていることを特徴とする、
変速機制御機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車における自動化された変速機システムの起動のための方法であって、前記自動車の制御機器が、操作要素の操作後、1つの学習ルーチンの呼び出しのための命令を、前記変速機システムの変速機制御機器に送出し、前記学習ルーチンは、前記自動車にそれぞれ組み込まれている変速機システムの許容誤差を求め、その際に、支障のある学習ルーチンの少なくとも1つのエラー情報が記憶される、方法並びに変速機制御機器に関している。
【背景技術】
【0002】
自動車が生産されている間に、当該自動車には、変速機制御機器も含めた変速機システムがベルトコンベアにおいて組み込まれる。その際に前記変速機制御機器は、自動車の走行中に適正な駆動制御信号を送出することができるようにするために、1つの学習ルーチンにおいて、当該自動車に組み込まれる、ギヤーと基準変速機系のためのクラッチとからなる変速機システムの許容誤差を学習する。この学習ルーチンは、外部のテスターを用いて起動させることが可能であるが、しかしながらそのようなテスターを用いない自動化された起動も益々行われるようになってきており、この起動は、現場の作業員がベルトコンベアにおいて、自動車内の既存のブレーキやセレクトレバーなどの操作要素の操作によって開始されるものである。この操作要素の操作に基づいて、自動車の制御機器は、学習ルーチンを開始させる命令を、変速機制御機器に送出する。
【0003】
例えば独国特許出願DE 10 2010 046 322 A1公報から公知のように、変速機システムの起動時または起動後の学習ルーチンの期間中にエラーが発生した場合には、エラーエントリが形成され、それがエラーメモリに記憶される。しかしながらこのエラーエントリは、いずれにせよ、自動車のイグニッションスイッチがスイッチオフされると消失してしまうものである。そのため、このエラーエントリは、その後、整備工場において二度と再現することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願DE 10 2010 046 322 A1公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、前述した従来技術の欠点に鑑み、自動車における自動化された変速機システムの起動のための方法において、上記したようなエラーフィードバックの消失が確実に回避されるように改善を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は本発明により、エラー情報が、不揮発性のエラーメモリに保存されるようにして解決される。
【0007】
不揮発性のエラーメモリは、イグニッションスイッチがスイッチオフされた場合でも、すなわち印加電圧が遮断された場合でも、その内容を保持し続けることができるので、電圧が再度印加されたときには、当該のエラー情報をいつでも読み出すことが可能である。そのため、整備工場において学習ルーチンを手動で開始すれば、この学習ルーチンの結果を評価することができ、この学習ルーチンに支障があった場合には、当該学習ルーチンの記憶されているエラーフィードバックから原因を逆推論することも可能である。そのため、変速機システムの自動化された起動後に、いつでもエラーの原因を突き止めることが可能になる。この場合のエラー情報には、単にエラーが発生したことに関する情報のみでなく、このエラーの原因に関する情報も同時に含まれる。エラーが何も発生しなかったときには、エラー情報は何も記憶されない。
【0008】
有利には、前記エラー情報は、自動車の不揮発性エラーメモリに保存される。それにより、付加的な外部テスターを必要とすることなく、自動車自体が、エラーフィードバックを含むことが保証される。それにより、このエラー情報は、当該自動車に組み込まれている変速機システムにも明確な対応付けが可能である。
【0009】
この対応付けは、前記エラー情報が変速機制御機器の不揮発性のエラーメモリに保存されることによってさらに改善される。
【0010】
別の有利な変化例によれば、所定の数のエラー情報が不揮発性のメモリに記憶される。それにより、自動化された起動の間に支障のあった学習ルーチンが複数存在した場合であっても、状態レポートを事後的に得ることができ、エラー原因を突き止めることが可能である。同時に、例えば起動ルーチンのソフトウエア的なエラーによって、まばらなエラー情報しか発生しないことも問題にしない。
【0011】
別の有利な実施形態によれば、前記所定の数のエラー情報は、所定の数の記憶スペースを有する不揮発性のエラーメモリに記憶され、全ての記憶スペースが埋まっている場合には、最も古いエラー情報が、現下の学習ルーチンの現下のエラー情報によって書き換えられる。それにより、前記不揮発性エラーメモリの記憶容量が最適に使用される。本発明によれば、学習ルーチンのエラー評価のために、いつでも最新のエラー情報が得られる。
【0012】
本発明のさらなる構成例は、自動車における自動化された変速機システムの制御のための変速機制御機器であって、前記変速機制御機器は、複数のエラー情報の記憶のためのエラーメモリを含んでおり、前記変速機制御機器は、制御信号の受信後に、前記自動車にそれぞれ組み込まれている変速機システムの許容誤差を求めるための学習ルーチンをスタートさせ、その際に、支障のあった学習ルーチンの少なくとも1つのエラー情報が前記エラーメモリに記憶される、変速機制御機器にも関している。本発明によれば、学習ルーチンのエラーフィードバックの消失を効果的に回避するために、前記変速機制御機器が、前記自動化された変速機システムの起動の際に、本出願の請求の範囲に記載されている特徴部分に従って動作するように構成される。
【0013】
本発明では、多くの実施形態が可能であるが、以下の明細書では、それらのうちの1つを図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自動車の変速機システムの実施例を示した図
図2】本発明による方法の実施例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、自動車に組み込まれているような変速機システム1が示されている。この変速機システム1は、変速機制御機器2を含んでおり、この変速機制御機器2は、変速機アクチュエータ3と接続されている。不揮発性のメモリ11を有しているこの変速機制御機器2は、CANバス4を介して、車両制御機器5に接続されている。この車両制御機器5は、操作要素6、例えばセレクトレバー6と接触接続される。さらに前記変速機制御機器2は、プライベートCANバス8を介してクラッチシステム7にも接続されており、このクラッチシステム7は、クラッチ制御機器9とクラッチアクチュエータ10とからなる。
【0016】
自動化されたシフト変速機、例えばツインクラッチ式変速機の組み立て工場における最初の起動の際、あるいは、整備工場における再度の起動の際には、自動車に組み込まれている変速機システム1がパラメータ化され、このことは、個々のクラッチ過程や個々のシフト過程が学習されることを意味する。その際には、相応のアクチュエータ、例えば変速機アクチュエータ3やクラッチアクチュエータ10などがクラッチ距離やシフト距離に関する調整を施される。組み立て工場におけるそのような起動プロセスは、作業者が操作要素6を操作することによって開始される。それに対して、車両制御機器5は、自動化された起動を図2によるステップ100において開始する。その際に車両制御機器5は、学習ルーチンを呼び出す(ステップ110)開始命令を変速機制御機器2に送信する。ステップ120では、学習ルーチンの実施が成功したか否かが検査される。成功しなかった場合には、ステップ130においてエラーフィードバック情報が変速機制御機器2の不揮発性メモリ11に保存される。この不揮発性メモリ11は有利にはEEPROMとして構成されている。それに続いてステップ140に進み、当該経過が継続される。学習ルーチンにエラーがあった場合、例えば自動車の内燃機関が始動しなかった等のようなエラーがあった場合には、学習ルーチンが再度改めて開始される。前記ステップ120において、学習ルーチンの実施が成功している場合も、同じようにステップ140に進み、そこで当該経過が継続される。このケースでは、情報の記憶は行われない。
【0017】
変速機制御機器2の不揮発性メモリ11は、FIFOメモリとして構成されており、このメモリでは、所定の数の記憶スペースが常時追従制御され、そこでは最初に記憶されたエラー情報が最新のエラー上位方によって書き換えられる。それにより、常に最後の学習ルーチンの複数のエラー情報がエラーの評価に使用される。
【0018】
これにより、本発明の方法によれば、自動車内に新たに取り付けられた変速機システム1の自動化された起動において、学習ルーチンに支障があった場合に、イグニッションスイッチのスイッチオフの後でも、あるいは、変速機制御機器の遮断の後でも、エラーの原因を確実に読み出すことが可能となる。
【符号の説明】
【0019】
1 変速機システム
2 変速機制御機器
3 変速機アクチュエータ
4 CANバス
5 車両制御機器
6 操作要素
7 クラッチシステム
8 プライベートCANバス
9 クラッチ制御機器
10 クラッチアクチュエータ
11 不揮発性メモリ
図1
図2