(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記インクジェットヘッドにおけるインク温度に基づき、前記非吐出駆動率を調整することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット印刷装置。
前記制御部は、前記インクジェットヘッドのインク吐出面と印刷媒体の上面との間の距離に基づき、前記非吐出駆動率を調整することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0022】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷装置の構成を示すブロック図である。
図2は、
図1に示すインクジェット印刷装置の搬送部、ヘッドユニット、およびヘッド冷却部の概略構成図である。
図3は、搬送部、ヘッドユニット、およびヘッド冷却部の平面図である。
図4は、ヘッドユニットおよびヘッド冷却部の分解斜視図である。
図5は、
図3のA−A線に沿った搬送部およびヘッドユニットの部分拡大断面図である。
図6は、水平面に沿ったインクジェットヘッドの部分断面図である。
図7は、
図1に示すインクジェット印刷装置のインク循環部、インク補給部、および圧力生成部の概略構成図である。
図8は、
図1に示すインクジェット印刷装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図9は、
図8に示す制御部のヘッド制御部の構成を示すブロック図である。
図10は、
図9に示すヘッド制御部のヘッド駆動制御部の構成を示すブロック図である。
【0024】
以下の説明において、
図2の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図2における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
図2において、左から右へ向かう方向が用紙等の印刷媒体Pの搬送方向である。
【0025】
図1に示すように、第1実施形態に係るインクジェット印刷装置1は、搬送部2と、ヘッドユニット3と、ヘッド冷却部4と、ヘッドギャップ調整部5と、インク循環部6A,6Bと、インク補給部7A,7Bと、圧力生成部8と、制御部9とを備える。なお、インク循環部6A,6B、インク補給部7A,7Bの符号におけるアルファベットの添え字(A,B)を省略して総括的に表記することがある。
【0026】
搬送部2は、印刷媒体Pを搬送する。
図1、
図2に示すように、搬送部2は、搬送ベルト11と、駆動ローラ12と、従動ローラ13,14,15と、ベルトモータ16と、印刷媒体吸着ファン17とを備える。
【0027】
搬送ベルト11は、印刷媒体Pを吸着保持して搬送する。搬送ベルト11は、駆動ローラ12および従動ローラ13〜15に掛け渡される環状のベルトである。搬送ベルト11には、エア吸引用の貫通穴である複数のベルト穴11aが形成されている。搬送ベルト11は、印刷媒体吸着ファン17の駆動によりベルト穴11aに発生する吸着力により、搬送面11bに印刷媒体Pを吸着保持する。搬送面11bは、駆動ローラ12と従動ローラ13との間で水平な搬送ベルト11の上面である。搬送ベルト11は、
図2における時計回り方向に回転することで、吸着保持した印刷媒体Pを右方向に搬送する。
【0028】
駆動ローラ12は、搬送ベルト11を
図2における時計回り方向に回転させる。
【0029】
従動ローラ13〜15は、駆動ローラ12とともに搬送ベルト11を支持する。従動ローラ13〜15は、搬送ベルト11を介して駆動ローラ12に従動する。従動ローラ13は、駆動ローラ12と同じ高さで、駆動ローラ12の左方に配置されている。従動ローラ14,15は、駆動ローラ12および従動ローラ13の下方において、互いに左右方向に離間して、同じ高さに配置されている。
【0030】
ベルトモータ16は、駆動ローラ12を回転駆動させる。
【0031】
印刷媒体吸着ファン17は、下方向への気流を生じさせる。これにより、印刷媒体吸着ファン17は、搬送ベルト11のベルト穴11aを介して空気を吸引してベルト穴11aに負圧を発生させ、印刷媒体Pを搬送ベルト11上に吸着させる。印刷媒体吸着ファン17は、環状の搬送ベルト11に囲まれた領域に配置されている。
【0032】
ヘッドユニット3は、搬送部2により搬送される印刷媒体Pにインクを吐出して画像を印刷する。ヘッドユニット3は、搬送部2の上方に配置されている。ヘッドユニット3は、ラインヘッド21A,21Bと、ヘッドホルダ22とを備える。なお、ラインヘッド21A,21Bの符号におけるアルファベットの添え字(A,B)を省略して総括的に表記することがある。
【0033】
ラインヘッド21A,21Bは、印刷媒体Pにインクを吐出する。ラインヘッド21A,21Bは、互いに異なる色のインクを吐出する。ラインヘッド21A,21Bは、印刷媒体Pの搬送方向(左右方向)に沿って並列して配置されている。ラインヘッド21A,21Bは、それぞれインクジェットヘッド26を6個ずつ有する。
【0034】
インクジェットヘッド26は、
図3、
図4に示すように、千鳥状に配置されている。すなわち、ラインヘッド21において、それぞれ前後方向に沿って等間隔で配置された3つのインクジェットヘッド26からなる2列のヘッド列が、前後方向に半ピッチ分だけずれるように配置されている。
【0035】
インクジェットヘッド26は、主走査方向(前後方向)に沿って配置された複数のノズル(図示せず)からインクを吐出する。ノズルは、搬送ベルト11の搬送面11bに対向するインクジェットヘッド26の下面であるインク吐出面26aに開口する。インクジェットヘッド26は、1つのノズルから1つの画素に対して吐出するインクの液滴数(ドロップ数)を変えることができ、ドロップ数により濃度を表現する印刷を行う。
【0036】
インクジェットヘッド26は、シェアモード型である。
図6に示すように、インクジェットヘッド26は、複数のインク室27と、複数の電極28とを有する。
【0037】
インク室27は、供給されるインクを保持するとともに、ノズルからインクを吐出させる。複数のインク室27は、主走査方向(前後方向)に沿って並列して配置されている。各インク室27を隔てる隔壁29は、第1圧電部材30と第2圧電部材31とにより構成されている。第1圧電部材30および第2圧電部材31は、例えば、PZT(PbZrO
3−PbTiO
3)等の圧電材料からなる。第1圧電部材30と第2圧電部材31とは、
図6中に矢印で示すように、互いに異なる方向に分極している。
【0038】
電極28は、インク室27の側面を構成する隔壁29の表面に密着形成されている。電極28は、駆動信号に応じて隔壁29をせん断変形させることによりインク室27の容積およびインク室27内の圧力を変化させる。これにより、ノズルからインク室27内のインクが吐出される。
【0039】
ヘッドホルダ22は、ラインヘッド21A,21Bを保持する。ヘッドホルダ22は、中空状の直方体形状に形成された函体からなる。
図4に示すように、ヘッドホルダ22は、底板41と、側板42〜45と、天板46とを有する。
【0040】
底板41は、ラインヘッド21A,21Bのインクジェットヘッド26を保持して固定する。底板41は、矩形状に形成されている。底板41には、インクジェットヘッド26を取り付けるための取付開口部41aが形成されている。
図5に示すように、インク吐出面26aが底板41から下方の搬送面11b側に突出するようにインクジェットヘッド26が取付開口部41aに挿入され、固定されている。
【0041】
側板42,43,44,45は、それぞれヘッドホルダ22の前側、右側、後側、左側の側壁を形成する。側板42〜45は、一体に形成され、底板41の周囲に立設されている。
【0042】
前側の側板42には、4つの通風穴42aが形成されている。通風穴42aは、後述する吹付部51によりヘッドホルダ22内へ空気が吹き付けられる際の空気の流入口である。4つの通風穴42aは、ラインヘッド21A,21Bのインクジェットヘッド26が形成する4列のヘッド列の延長線上に1つずつ形成されている。
【0043】
後側の側板44には、4つの通風穴44aが形成されている。通風穴44aは、後述する吸引部52によりヘッドホルダ22から空気が吸引される際の空気の流出口である。4つの通風穴44aは、それぞれ前側の側板42の4つの通風穴42aに対向する位置に配置されている。すなわち、4つの通風穴44aは、ラインヘッド21A,21Bのインクジェットヘッド26が形成する4列のヘッド列の延長線上に1つずつ形成されている。
【0044】
天板46は、側板42〜45からなる側壁の上端の開口部を塞ぐ蓋である。天板46は、矩形状に形成されている。
【0045】
ヘッド冷却部4は、ヘッドホルダ22内に冷却風を発生させ、インクジェットヘッド26を冷却する。ヘッド冷却部4は、吹付部51と、吸引部52とを備える。
【0046】
吹付部51は、ヘッドホルダ22内へ外部から空気を吹き付ける。吹付部51は、ヘッドホルダ22の前側に配置されている。吹付部51は、吹付チャンバ56と、吹付ファン57とを備える。
【0047】
吹付チャンバ56は、吹付ファン57とヘッドホルダ22との間の空気の流路を形成する。吹付チャンバ56は、左右方向に細長い形状で中空状に形成されている。吹付チャンバ56は、ヘッドホルダ22の前側の側板42上に配置されている。吹付チャンバ56の側板42に接する面には、4つの吹付穴56aが形成されている。
【0048】
吹付穴56aは、ヘッドホルダ22内へ空気を吹き付ける際の吹付チャンバ56からの空気の流出口である。吹付穴56aは、側板42の通風穴42aに対応する位置に配置されている。すなわち、4つの吹付穴56aは、ラインヘッド21A,21Bのインクジェットヘッド26が形成する4列のヘッド列の延長線上に1つずつ形成されている。
【0049】
吹付ファン57は、吹付チャンバ56の一端から吹付チャンバ56内へ送風する。これにより、吹付チャンバ56の吹付穴56aを介してヘッドホルダ22内へ空気が吹き付けられる。
【0050】
吸引部52は、ヘッドホルダ22から空気を吸引する。吸引部52は、ヘッドホルダ22の後側に配置されている。吸引部52は、吸引チャンバ58と、吸引ファン59とを備える。
【0051】
吸引チャンバ58は、ヘッドホルダ22と吸引ファン59との間の空気の流路を形成する。吸引チャンバ58は、左右方向に細長い形状で中空状に形成されている。吸引チャンバ58は、ヘッドホルダ22の後側の側板44上に配置されている。吸引チャンバ58の側板44に接する面には、4つの吸引穴58aが形成されている。
【0052】
吸引穴58aは、ヘッドホルダ22から空気を吸引する際の吸引チャンバ58への空気の流入口である。吸引穴58aは、側板44の通風穴44aに対応する位置に配置されている。すなわち、4つの吸引穴58aは、ラインヘッド21A,21Bのインクジェットヘッド26が形成する4列のヘッド列の延長線上に1つずつ形成されている。
【0053】
吸引ファン59は、吸引チャンバ58の一端から空気を吸引する。これにより、吸引チャンバ58の吸引穴58aおよび側板44の通風穴44aを介してヘッドホルダ22から空気が吸引される。
【0054】
ヘッドギャップ調整部5は、搬送部2を昇降させることで、ヘッドギャップHgを調整する。ヘッドギャップHgは、搬送ベルト11の搬送面11bとインクジェットヘッド26のインク吐出面26aとの間の距離である。
【0055】
インク循環部6は、インクを循環しつつラインヘッド21にインクを供給する。インク循環部6A,6Bは、それぞれラインヘッド21A,21Bにインクを供給する。
図7に示すように、インク循環部6は、加圧タンク61と、分配器62と、集合器63と、負圧タンク64と、インクポンプ65と、インク温度調整部66と、循環インク温度センサ67と、6個のヘッドインク温度センサ68と、インク循環管69〜71とを備える。
【0056】
加圧タンク61は、ラインヘッド21に供給するインクを貯留する。加圧タンク61のインクは、インク循環管69および分配器62を介してラインヘッド21に供給される。加圧タンク61内には、インクの液面上に空気層76が形成されている。加圧タンク61は、後述の加圧側連通管92を介して、後述の加圧共通気室91に接続されている。加圧タンク61は、ラインヘッド21より低い位置に配置されている。
【0057】
加圧タンク61には、加圧タンク液面センサ77と、インクフィルタ78とが設けられている。
【0058】
加圧タンク液面センサ77は、加圧タンク61内のインクの液面高さが基準高さに達しているか否かを検出するためのものである。加圧タンク液面センサ77は、加圧タンク61内の液面高さが基準高さ以上である場合に「オン」を示す信号を出力し、基準高さ未満である場合に「オフ」を示す信号を出力する。
【0059】
インクフィルタ78は、インク内のゴミ等を除去する。
【0060】
分配器62は、インク循環管69を介して加圧タンク61から供給されるインクを、ラインヘッド21の各インクジェットヘッド26に分配する。
【0061】
集合器63は、ラインヘッド21で消費されなかったインクを各インクジェットヘッド26から集める。集合器63により集められたインクは、インク循環管70を介して負圧タンク64へと流れる。
【0062】
負圧タンク64は、ラインヘッド21で消費されなかったインクを集合器63から受け取って貯留する。また、負圧タンク64は、後述するインク補給部7のインクカートリッジ86から補給されるインクを貯留する。負圧タンク64内には、インクの液面上に空気層79が形成されている。負圧タンク64は、後述の負圧側連通管99を介して、後述の負圧共通気室98に連通されている。負圧タンク64は、加圧タンク61と同じ高さに配置されている。
【0063】
負圧タンク64には、負圧タンク液面センサ80が設けられている。負圧タンク液面センサ80は、負圧タンク64内のインクの液面高さが基準高さに達しているか否かを検出するためのものである。負圧タンク液面センサ80は、負圧タンク64内の液面高さが基準高さ以上である場合に「オン」を示す信号を出力し、基準高さ未満である場合に「オフ」を示す信号を出力する。
【0064】
インクポンプ65は、負圧タンク64から加圧タンク61へインクを送液する。インクポンプ65は、インク循環管71の途中に設けられている。
【0065】
インク温度調整部66は、インク循環部6におけるインクの温度を調整する。インク温度調整部66は、インク循環管69の途中に設けられている。インク温度調整部66は、ヒータ81と、ヒータ温度センサ82と、ヒートシンク83と、インク冷却ファン84とを備える。
【0066】
ヒータ81は、インク循環管69内を通るインクを加熱する。ヒータ温度センサ82は、ヒータ81の温度を検出する。ヒートシンク83は、インク循環管69内を通るインクから熱を受け取って放熱する。インク冷却ファン84は、ヒートシンク83へ送風し、インク循環管69内を通るインクを冷却する。
【0067】
循環インク温度センサ67は、インク循環部6におけるインクの温度を検出する。循環インク温度センサ67は、インク循環管69の途中に設けられている。
【0068】
ヘッドインク温度センサ68は、インクジェットヘッド26におけるインク温度を検出する。ヘッドインク温度センサ68は、インクジェットヘッド26から集合器63への経路上に配置されている。
【0069】
インク循環管69は、加圧タンク61と分配器62とを接続する。インク循環管69の一部は、ヒータ81を経由する部分とヒートシンク83を経由する部分とに分岐している。インク循環管69には、加圧タンク61から分配器62に向かってインクが流れる。インク循環管70は、集合器63と負圧タンク64とを接続する。インク循環管70には、集合器63から負圧タンク64に向かってインクが流れる。インク循環管71は、負圧タンク64と加圧タンク61とを接続する。インク循環管71には、負圧タンク64から加圧タンク61に向かってインクが流れる。
【0070】
インク補給部7A,7Bは、それぞれインク循環部6A,6Bにインクを補給する。インク補給部7は、インクカートリッジ86と、インク補給弁87と、インク補給管88とを備える。
【0071】
インクカートリッジ86は、ラインヘッド21による印刷に用いるインクを収容している。インクカートリッジ86内のインクは、インク補給管88を介してインク循環部6の負圧タンク64に供給される。
【0072】
インク補給弁87は、インク補給管88内のインクの流路を開閉する。負圧タンク64へインクを補給する際、インク補給弁87が開かれる。
【0073】
インク補給管88は、インクカートリッジ86と負圧タンク64とを接続する。インク補給管88には、インクカートリッジ86から負圧タンク64に向かってインクが流れる。
【0074】
圧力生成部8は、インク循環部6の加圧タンク61および負圧タンク64にインク循環のための圧力を生成する。圧力生成部8は、インク循環部6A,6Bに共通のものである。圧力生成部8は、加圧共通気室91と、2本の加圧側連通管92と、加圧側大気開放弁93と、加圧側大気開放管94と、加圧側圧力調整弁95と、加圧側圧力調整管96と、加圧側圧力センサ97と、負圧共通気室98と、2本の負圧側連通管99と、負圧側大気開放弁100と、負圧側大気開放管101と、負圧側圧力調整弁102と、負圧側圧力調整管103と、負圧側圧力センサ104と、エアポンプ105と、エアポンプ用配管106と、合流管107と、エアフィルタ108と、オーバーフローパン109とを備える。
【0075】
加圧共通気室91は、インク循環部6Aの加圧タンク61の圧力とインク循環部6Bの加圧タンク61の圧力とを等しくするための気室である。加圧共通気室91は、2本の加圧側連通管92を介して2つのインク循環部6A,6Bの加圧タンク61の空気層76と連通されている。これにより、インク循環部6A,6Bの加圧タンク61どうしが、加圧共通気室91および加圧側連通管92を介して連通されている。
【0076】
加圧側連通管92は、加圧共通気室91と加圧タンク61の空気層76とを連通させる。2本の加圧側連通管92は、2つのインク循環部6A,6Bに1本ずつ対応して設けられている。加圧側連通管92は、一端が加圧共通気室91に接続され、他端が加圧タンク61の空気層76に接続されている。
【0077】
加圧側大気開放弁93は、加圧共通気室91および加圧側連通管92を介して加圧タンク61を密閉状態(大気から遮断した状態)と大気開放状態(大気に通じた状態)との間で切り替えるために、加圧側大気開放管94内の空気の流路を開閉する。加圧側大気開放弁93は、加圧側大気開放管94の途中に設けられている。
【0078】
加圧側大気開放管94は、加圧共通気室91および加圧側連通管92を介して加圧タンク61を大気開放するための空気の流路を形成する。加圧側大気開放管94は、一端が加圧共通気室91に接続され、他端が合流管107に接続されている。
【0079】
加圧側圧力調整弁95は、加圧共通気室91および加圧タンク61の圧力を調整するために、加圧側圧力調整管96内の空気の流路を開閉する。加圧側圧力調整弁95は、加圧側圧力調整管96の途中に設けられている。
【0080】
加圧側圧力調整管96は、加圧共通気室91および加圧タンク61の圧力調整のための空気の流路を形成する。加圧側圧力調整管96は、一端が加圧共通気室91に接続され、他端が合流管107に接続されている。
【0081】
加圧側圧力センサ97は、加圧共通気室91内の圧力を検出する。加圧共通気室91内の圧力は、インク循環部6A,6Bの加圧タンク61内の圧力と等しい。加圧共通気室91とインク循環部6A,6Bの加圧タンク61の空気層76とが連通されているためである。
【0082】
負圧共通気室98は、インク循環部6Aの負圧タンク64の圧力とインク循環部6Bの負圧タンク64の圧力とを等しくするための気室である。負圧共通気室98は、2本の負圧側連通管99を介して2つのインク循環部6A,6Bの負圧タンク64の空気層79と連通されている。これにより、インク循環部6A,6Bの負圧タンク64どうしが、負圧共通気室98および負圧側連通管99を介して連通されている。
【0083】
負圧側連通管99は、負圧共通気室98と負圧タンク64の空気層79とを連通させる。2本の負圧側連通管99は、2つのインク循環部6A,6Bに1本ずつ対応して設けられている。負圧側連通管99は、一端が負圧共通気室98に接続され、他端が負圧タンク64の空気層79に接続されている。
【0084】
負圧側大気開放弁100は、負圧共通気室98および負圧側連通管99を介して負圧タンク64を密閉状態と大気開放状態との間で切り替えるために、負圧側大気開放管101内の空気の流路を開閉する。負圧側大気開放弁100は、負圧側大気開放管101の途中に設けられている。
【0085】
負圧側大気開放管101は、負圧共通気室98および負圧側連通管99を介して負圧タンク64を大気開放するための空気の流路を形成する。負圧側大気開放管101は、一端が負圧共通気室98に接続され、他端が合流管107に接続されている。
【0086】
負圧側圧力調整弁102は、負圧共通気室98および負圧タンク64の圧力を調整するために、負圧側圧力調整管103内の空気の流路を開閉する。負圧側圧力調整弁102は、負圧側圧力調整管103の途中に設けられている。
【0087】
負圧側圧力調整管103は、負圧共通気室98および負圧タンク64の圧力調整のための空気の流路を形成する。負圧側圧力調整管103は、一端が負圧共通気室98に接続され、他端が合流管107に接続されている。
【0088】
負圧側圧力センサ104は、負圧共通気室98内の圧力を検出する。負圧共通気室98内の圧力は、インク循環部6A,6Bの負圧タンク64内の圧力と等しい。負圧共通気室98とインク循環部6A,6Bの負圧タンク64の空気層79とが連通されているためである。
【0089】
エアポンプ105は、負圧共通気室98を介してインク循環部6A,6Bの負圧タンク64から空気を吸引するとともに、加圧共通気室91を介してインク循環部6A,6Bの加圧タンク61へ空気を送る。エアポンプ105は、エアポンプ用配管106の途中に設けられている。
【0090】
エアポンプ用配管106は、エアポンプ105により負圧共通気室98から加圧共通気室91へ送られる空気の流路を形成する。エアポンプ用配管106は、一端が加圧共通気室91に接続され、他端が負圧共通気室98に接続されている。
【0091】
合流管107は、一端がオーバーフローパン109に接続され、他端(上端)がエアフィルタ108を介して大気に通じている。合流管107のオーバーフローパン109側の端は、通常時は、後述のオーバーフローボール110により閉鎖されている。合流管107には、加圧側大気開放管94、加圧側圧力調整管96、負圧側大気開放管101、および負圧側圧力調整管103が接続されている。これにより、加圧側大気開放管94、加圧側圧力調整管96、負圧側大気開放管101、および負圧側圧力調整管103が大気に連通される。
【0092】
エアフィルタ108は、合流管107への空気中のゴミ等の進入を防止する。エアフィルタ108は、合流管107の上端に設置されている。
【0093】
オーバーフローパン109は、例えばインク補給弁87の異常により、加圧タンク61、負圧タンク64からインクが溢れ、さらに加圧共通気室91、負圧共通気室98からもインクが溢れ出た場合に、合流管107を流れてくるインクを受け取る。
【0094】
オーバーフローパン109には、オーバーフローボール110が設けられている。オーバーフローボール110は、オーバーフローパン109にインクがない場合に、オーバーフローパン109の底面に開口する合流管107の端を閉鎖し、合流管107への外部の空気の流入を防ぐものである。合流管107からオーバーフローパン109へインクが流れてくると、オーバーフローボール110は浮き上がり、オーバーフローパン109にインクが流入できる。
【0095】
また、オーバーフローパン109には、オーバーフロー液面センサ111が設けられている。オーバーフロー液面センサ111は、オーバーフローパン109内のインクの液面高さが所定高さに達しているか否かを検出するためのものである。
【0096】
オーバーフローパン109は、廃液タンク(図示せず)に接続されており、オーバーフロー液面センサ111で液面が検出されると、廃液タンクへインクが排出されるようになっている。
【0097】
制御部9は、インクジェット印刷装置1全体の動作を制御する。
図8に示すように、制御部9は、コントローラ部121と、画像処理部122と、ヘッド制御部123A,123Bと、アクチュエータ制御部124とを備える。なお、ヘッド制御部123A,123Bの符号におけるアルファベットの添え字(A,B)を省略して総括的に表記することがある。
【0098】
コントローラ部121は、外部のパーソナルコンピュータから印刷ジョブを受信し、印刷ジョブに含まれる圧縮された画像データを伸張する。これにより、各色の画像データが得られる。各色の画像データは、各色の画素ごとのインクのドロップ数を示すデータである。
【0099】
コントローラ部121は、CPU(Central Processing Unit)131と、ROM(Read Only Memory)132と、RAM(Random Access Memory)133と、HDD(Hard Disk Drive)134と、外部I/F(インタフェース)135とを備える。
【0100】
CPU131は、演算処理を実行する。ROM132は、基本プログラム等を記憶している。RAM133は、一時的なデータの保存や演算時におけるCPU131のワークエリアとして使用されるものである。HDD134は、各種のプログラム等を記憶している。外部I/F135は、ネットワークを介して外部の装置との間でデータの送受信を行う。
【0101】
画像処理部122は、各色の画像データをインクジェットヘッド26のごとの画像データに分割し、分割した画像データをヘッド制御部123A,123Bへ出力する。また、画像処理部122は、ジョブデータをアクチュエータ制御部124へ出力する。ジョブデータは、印刷媒体のサイズ、印刷媒体の種類、印刷枚数等を示す情報を含むものである。
【0102】
ヘッド制御部123A,123Bは、それぞれラインヘッド21A,21Bの駆動を制御する。
図9に示すように、ヘッド制御部123は、各インクジェットヘッド26に対応する6個のヘッド駆動制御部136を備える。
【0103】
ヘッド駆動制御部136は、インクジェットヘッド26に画像データを出力して、画像のラインごとにインクを吐出させる。また、ヘッド駆動制御部136は、インク吐出がないラインのうちの少なくとも一部に対して、プリカーサ駆動(請求項の非吐出駆動に相当)を行うようインクジェットヘッド26を制御する。ヘッド駆動制御部136は、インクジェットヘッド26の位置に応じて、プリカーサ率Rp(請求項の非吐出駆動率に相当)を決定する。プリカーサ駆動は、インクを吐出しない程度の駆動である。プリカーサ駆動では、インクは吐出されないが、インクジェットヘッド26は発熱する。プリカーサ率Rpは、インク吐出がない(画像がない)ラインのうちプリカーサ駆動を行うラインの割合である。
【0104】
ヘッド駆動制御部136は、
図10に示すように、画像バッファ141と、画像有無判断部142と、画像制御部143と、プリカーサ間欠制御部144と、波形選択部145と、波形設定部146とを備える。
【0105】
画像バッファ141は、所定ライン数分の画像データを格納する。画像バッファ141は、1ラインずつシフトさせつつ所定ライン数分の画像データを格納する。
【0106】
画像有無判断部142は、画像データの各ラインにおける画像の有無を判断する。画像有無判断部142は、各ラインにおける画像の有無を示す画像有無情報をプリカーサ間欠制御部144および波形選択部145へ出力する。
【0107】
画像制御部143は、後述するインク室27のグループごとに画像データをインクジェットヘッド26へ出力する。
【0108】
プリカーサ間欠制御部144は、画像がないラインにおけるインクジェットヘッド26のプリカーサ駆動を制御する。
【0109】
波形選択部145は、画像有無情報に基づき、インクジェットヘッド26の駆動波形として吐出波形またはプリカーサ波形を選択する。吐出波形は、インクジェットヘッド26にインクを吐出させるための駆動波形である。プリカーサ波形は、インクジェットヘッド26をプリカーサ駆動させるための駆動波形である。インクジェットヘッド26では、駆動波形をラインごとに変更できる。
【0110】
波形設定部146は、波形選択部145により選択された駆動波形をインクジェットヘッド26に設定する。
【0111】
アクチュエータ制御部124は、搬送部2における印刷媒体の搬送の制御、インク循環部6A,6Bによるインク循環の制御、インク補給部7A,7Bによるインク補給の制御、圧力生成部8による圧力制御等を行う。アクチュエータ制御部124は、CPU151と、ROM152と、RAM153と、ドライバユニット154と、センサI/F155とを備える。
【0112】
CPU151は、演算処理を実行する。ROM152は、後述する位置係数Kp等を記憶している。RAM153は、一時的なデータの保存や演算時におけるCPU151のワークエリアとして使用されるものである。ドライバユニット154は、ベルトモータ16、印刷媒体吸着ファン17、インクポンプ65等の、各種モータ、ファン、ポンプ等を駆動させる各種ドライバを有する。センサI/F155は、アクチュエータ制御部124は、加圧タンク液面センサ77等の各種センサからの信号を受信する。
【0113】
次に、インクジェットヘッド26の動作について説明する。
【0114】
図11は、吐出波形の波形図である。
図12、
図13は、インクジェットヘッド26における吐出動作を説明するための動作図である。
【0115】
図6における中央のインク室27からインクを吐出する場合で説明する。
図6に示す定常状態から、
図11における時刻t1において、吐出対象である中央のインク室27の両側に隣接するインク室27の電極28が接地されるとともに、中央のインク室27の電極28に、負電圧(−V)の拡張パルスPeが印加される。
【0116】
電極28に拡張パルスPeが印加されると、中央のインク室27の両側の隔壁29を構成する第1圧電部材30および第2圧電部材31の分極方向に垂直な方向の電界が生じる。これにより、第1圧電部材30と第2圧電部材31との接合面にズリ変形が生じ、
図12に示すように、中央のインク室27の両側の隔壁29は互いに離反する方向に変形し、当該インク室27の容積が拡張する。この結果、中央のインク室27内にインクが流れ込む。
【0117】
拡張パルスPeのパルス長(印加時間)は1ALである。AL(Acoustic Length)は、容積が拡張したインク室27にインクが流入することによる圧力波が、インク室27の全域を伝播してノズルに達するまでの時間である。ALは、インクジェットヘッド26の構造や、インクの密度等に依存して決まるものである。
【0118】
図12の状態から、
図11における時刻t2において、中央のインク室27の電極28に印加する電圧が接地電圧に戻される。これにより、中央のインク室27の両側の隔壁29は、
図12の状態から、
図6の中立位置に戻る。この結果、中央のインク室27内のインクが急激に加圧され、対応するノズルからインクが吐出される。
【0119】
中央のインク室27の電極28に印加する電圧が接地電位に戻されてから1ALの休止時間が経過すると、時刻t3から時刻t4までの1ALの期間、中央のインク室27の電極28に正電圧(V)の収縮パルスPcが印加される。この収縮パルスPcの印加により、
図13に示すように、中央のインク室27の両側の隔壁29は互いに接近する方向に変形し、中央のインク室27の容積が収縮する。
【0120】
インクは、拡張パルスPeの印加終了直後にインク室27内の圧力がピークを迎えることで吐出される。圧力がピークを迎えた後、インク室27内には負圧が生じる。収縮パルスPcを印加してインク室27内の容積を収縮させて加圧力を発生させることで、インク吐出後のインク室27内の負圧が抑えられ、インク室27内におけるインクの残留振動が減衰される。これにより、次回の吐出動作を安定して行うことができる。
【0121】
収縮パルスPcの印加後、時刻t4から時刻t5の間において、中央のインク室27の電極28に印加される電圧が接地電位とされ、
図6の状態に戻る。これにより1回(1ドロップ)の吐出動作が終了する。
【0122】
シェアモード型のインクジェットヘッド26では、上述のように隔壁29を変形させてインク吐出を行うので、隣接したインク室27を同時に吐出駆動させることはできない。このため、インクジェットヘッド26が有する全インク室27が、互いに隣接しないインク室27からなる複数のグループに分割され、グループ単位でインク室27が吐出駆動される。例えば、インクジェットヘッド26の各インク室27が、2個おきに同じグループとする3個のグループに分割される。
【0123】
そして、各グループに駆動期間が順次割り当てられ、全グループの1回ずつの駆動期間からなる期間を1周期として各インク室27が駆動制御される。これにより、1周期ごとに主走査方向の1ラインが印刷される。
【0124】
それぞれのインク室27では、当該インク室27が属するグループの駆動期間において、画像データに基づく画素ごとのドロップ数に応じた回数の吐出駆動が行われる。1回の駆動期間において吐出される最大ドロップ数(例えば5ドロップ)は予め設定されており、各駆動期間において吐出されるドロップ数は、最大ドロップ数以下である。駆動期間においてインク室27が吐出駆動されない(ドロップ数が0である)こともある。また、本実施の形態では、インク室27がプリカーサ駆動されることがある。
【0125】
次に、プリカーサ駆動時のインクジェットヘッド26の動作について説明する。
【0126】
図6における中央のインク室27をプリカーサ駆動する場合について説明する。
図14は、プリカーサ波形の波形図である。
図6に示す定常状態から、
図14における時刻t11において、中央のインク室27の両側に隣接するインク室27の電極28が接地されるとともに、中央のインク室27の電極28に、負電圧(−V)の拡張パルスPepが印加される。
【0127】
電極28に拡張パルスPepが印加されると、
図12のように、中央のインク室27の両側の隔壁29は互いに離反する方向に変形し、当該インク室27の容積が拡張する。これにより、中央のインク室27内にインクが流れ込む。
【0128】
インクが流れ込むと、中央のインク室27内の圧力が高まるが、時間の経過により圧力は低下する。プリカーサ波形における拡張パルスPepのパルス長(印加時間)は、拡張パルスPepの印加終了によりインク室27が定常状態に戻った時にインクが吐出されない程度までインク室27内の圧力が低下しているような、ALより長い時間に設定されている。
【0129】
図14のt12において、拡張パルスPepの印加が終了すると、中央のインク室27の両側の隔壁29が
図6の中立位置に戻る。拡張パルスPepのパルス長が上述のように設定されているため、隔壁29が中立位置に戻ってもインクは吐出されない。
【0130】
拡張パルスPepの印加後、時刻t12から時刻t13まで、中央のインク室27の電極28は接地電位とされる。これにより1回のプリカーサ駆動が終了する。1回のプリカーサ駆動の時間(時刻t11〜t13)は、
図11の吐出波形における1ドロップ分の時間(時刻t1〜t5)と同じ長さである。
【0131】
次に、インクジェット印刷装置1の印刷動作について説明する。
【0132】
印刷ジョブが入力されると、コントローラ部121のCPU131は、印刷ジョブをジョブデータと圧縮された画像データとに分離し、圧縮された画像データを伸張する。これにより、ラインヘッド21A,21Bに対応した各色の画像データが得られる。CPU61は、ジョブデータおよび画像データを画像処理部122へ出力する。
【0133】
画像処理部122は、各色の画像データをインクジェットヘッド26のごとの画像データに分割し、分割した画像データをヘッド制御部123A,123Bの各ヘッド駆動制御部136へ出力する。また、画像処理部122は、ジョブデータをアクチュエータ制御部124へ出力する。
【0134】
アクチュエータ制御部124のCPU151は、ジョブデータから印刷媒体の種類を示す情報を取得する。そして、CPU151は、印刷媒体の種類に応じたヘッドギャップHgとなるようヘッドギャップ調整部5を制御する。
【0135】
また、CPU151は、インク循環動作を開始させる。具体的には、まず、CPU151は、加圧側大気開放弁93および負圧側大気開放弁100を閉鎖する。これにより、インク循環部6A,6Bの加圧タンク61が加圧共通気室91等を介して密閉状態となり、負圧タンク64が負圧共通気室98等を介して密閉状態となる。なお、インクジェット印刷装置1が動作しない待機中は、加圧側大気開放弁93および負圧側大気開放弁100は開放され、加圧側圧力調整弁95および負圧側圧力調整弁102は閉鎖されている。
【0136】
次いで、CPU151は、エアポンプ105を起動させる。これにより、負圧共通気室98から加圧共通気室91へ空気が送られることで、負圧共通気室98および負圧タンク64が減圧され、加圧共通気室91および加圧タンク61が加圧される。これにより、加圧タンク61からラインヘッド21へ向けてインクが流れる。
【0137】
CPU151は、加圧側圧力センサ97により検出される加圧共通気室91および加圧タンク61の圧力(加圧側圧力)、負圧側圧力センサ104により検出される負圧共通気室98および負圧タンク64の圧力(負圧側圧力)が、それぞれの設定圧Pk,Pfになると、エアポンプ105を停止する。ここで、CPU151は、エアポンプ105の起動後、加圧側圧力および負圧側圧力が設定圧Pk,Pfになるように、加圧側圧力センサ97および負圧側圧力センサ104の検出値に応じて加圧側圧力調整弁95および負圧側圧力調整弁102の開閉を制御する。
【0138】
設定圧Pk,Pfは、インク循環部6A,6Bにおいて所定のインク循環流量でインクを循環させつつ、インクジェットヘッド26のノズル圧を適正値(負圧)にするための圧力値として予め設定されたものである。
【0139】
加圧側圧力および負圧側圧力が設定圧Pk,Pfになると、CPU151は、ベルトモータ16により駆動ローラ12を起動させる。これにより、搬送ベルト11の周回駆動が開始される。
【0140】
また、CPU151は、吹付ファン57および吸引ファン59を起動させる。吹付ファン57の駆動により、吹付チャンバ56の吹付穴56aおよびヘッドホルダ22の側板42の通風穴42aを介してヘッドホルダ22内へ空気が吹き付けられる。また、吸引ファン59の駆動により、ヘッドホルダ22の側板44の通風穴44aおよび吸引チャンバ58の吸引穴58aを介してヘッドホルダ22から空気が吸引される。これにより、
図15に示すように、ヘッドホルダ22内に前側から後側へ流れる冷却風Wが生じる。
【0141】
また、CPU151は、印刷媒体吸着ファン17を起動させる。これにより、印刷媒体吸着ファン17により搬送ベルト11のベルト穴11aを介して空気が吸引され、ベルト穴11aに吸着力が発生する。図示しない給紙部から搬送部2へ印刷媒体Pが給紙されると、印刷媒体Pは、搬送ベルト11に吸着保持されつつ搬送される。
【0142】
画像処理部122からヘッド駆動制御部136に画像データが入力されると、所定ライン数分の画像データが画像バッファ141に格納される。画像有無判断部142は、画像バッファ141から1ラインずつ画像データを読み出し、各ラインにおける画像の有無を判断する。画像有無判断部142により画像データが読み出されると、次のラインの画像データが画像バッファ141に格納される。
【0143】
画像有無判断部142は、全画素のドロップ数が「0」のラインには画像はないと判断し、ドロップ数が「0」ではない画素があるラインには画像があると判断する。画像有無判断部142は、各ラインにおける画像の有無を示す画像有無情報をプリカーサ間欠制御部144および波形選択部145へ出力する。また、画像有無判断部142は、画像の有無の判断が終了したラインの画像データを画像制御部143へ出力する。
【0144】
画像制御部143は、入力された画像データに基づき、搬送部2により搬送される印刷媒体Pに対し、インクジェットヘッド26からインクを吐出させて画像を印刷させる。
【0145】
画像有無情報は、印刷動作中のプリカーサ駆動制御に用いられる。プリカーサ駆動制御については後述する。
【0146】
印刷動作中において、CPU151は、液面維持制御を行う。液面維持制御は、加圧タンク61および負圧タンク64の液面を基準高さに維持しつつインク循環を行うためのインクポンプ65およびインク補給弁87の制御である。
【0147】
具体的には、加圧タンク液面センサ77および負圧タンク液面センサ80がともにオンの状態では、CPU151は、インクポンプ65をオフとし、インク補給弁87を閉鎖する。加圧タンク液面センサ77がオンで負圧タンク液面センサ80がオフの状態でも同様に、CPU151は、インクポンプ65をオフとし、インク補給弁87を閉鎖する。加圧タンク液面センサ77がオフで負圧タンク液面センサ80がオンの状態では、CPU151は、インクポンプ65をオンとし、インク補給弁87を閉鎖する。加圧タンク液面センサ77および負圧タンク液面センサ80がともにオフの状態では、CPU151は、インクポンプ65をオフとし、インク補給弁87を開放する。
【0148】
インク循環中は、加圧タンク61からラインヘッド21へインクが供給され、ラインヘッド21で消費されなかったインクが負圧タンク64に回収される。加圧タンク液面センサ77がオフで負圧タンク液面センサ80がオンの状態になると、液面維持制御により、インクポンプ65が負圧タンク64から加圧タンク61へインクを送る。このようにしてインクが循環されつつ、印刷が行われる。
【0149】
また、インクが消費され、循環されているインク量が減少して加圧タンク液面センサ77および負圧タンク液面センサ80がともにオフの状態になると、液面維持制御により、インク補給弁87が開放され、負圧タンク64へインクが補給される。
【0150】
上述のような液面維持制御を行っても、加圧タンク61、負圧タンク64では細かな液面変動が生じる。例えば、加圧タンク61からラインヘッド21へのインクの流出、およびラインヘッド21で消費されなかったインクの負圧タンク64への帰還により、加圧タンク61および負圧タンク64の液面が変動する。また、インクカートリッジ86からのインク補給により、負圧タンク64の液面が変動する。また、インクポンプ65による送液により、加圧タンク61および負圧タンク64の液面が変動する。
【0151】
加圧タンク61、負圧タンク64の液面変動により、加圧側圧力、負圧側圧力に変動が生じる。これに対し、CPU151は、加圧側圧力および負圧側圧力の設定圧Pk,Pfを維持するように、加圧側圧力センサ97および負圧側圧力センサ104の検出値に応じて、エアポンプ105の駆動、加圧側圧力調整弁95および負圧側圧力調整弁102の開閉を適宜行う。
【0152】
印刷ジョブの全ページの印刷が終了すると、CPU151は、ベルトモータ16、印刷媒体吸着ファン17、吹付ファン57、および吸引ファン59を停止させる。また、CPU151は、加圧側大気開放弁93および負圧側大気開放弁100を開放する。これにより、印刷動作が終了し、インクジェット印刷装置1が待機状態となる。
【0153】
次に、印刷動作中のプリカーサ駆動制御について説明する。
【0154】
まず、プリカーサ駆動制御におけるプリカーサ率設定処理について説明する。
図16は、第1実施形態におけるプリカーサ率設定処理のフローチャートである。
【0155】
図16のステップS1において、アクチュエータ制御部124のCPU151は、ROM152から各インクジェットヘッド26の位置係数Kpを読み出す。位置係数Kpは、各インクジェットヘッド26のヘッド冷却部4に対する位置に応じたプリカーサ率Rpを算出するための係数である。位置係数Kpは、アクチュエータ制御部124のROM152に予め記憶されている。
【0156】
位置係数Kpは、ヘッド冷却部4により冷却されやすい位置のインクジェットヘッド26ほど大きな値になっている。例えば、
図17に示すように、吹付部51に近い前側の2つのインクジェットヘッド26の位置係数Kpが最も大きい。吸引部52に近い後側の2つのインクジェットヘッド26の位置係数Kpがその次に大きい。前後方向における中央の2つの2つのインクジェットヘッド26の位置係数Kpが最も小さい。
【0157】
次いで、ステップS2において、CPU151は、プリカーサ率Rpを算出する。プリカーサ率Rpは、下記の式(1)により算出される。
【0158】
Rp(%)=Kp×100 …(1)
次いで、ステップS3において、CPU151は、各ヘッド駆動制御部136のプリカーサ間欠制御部144にプリカーサ率Rpを設定する。これにより、プリカーサ率設定処理が終了となる。
【0159】
次に、プリカーサ駆動制御における波形選択処理について説明する。
図18は、波形選択処理のフローチャートである。
【0160】
図18のステップS11において、波形選択部145は、画像データにおけるライン番号を示す変数lに「1」を設定する。
【0161】
次いで、ステップS12において、波形選択部145は、画像有無判断部142からlライン目の画像有無情報を取得する。
【0162】
次いで、ステップS13において、波形選択部145は、画像有無情報に基づき、lライン目の画像の有無が、(l−1)ライン目の画像の有無から変化したか否かを判断する。なお、l=1の場合は、波形選択部145は、前のページの最後のラインの画像の有無から変化したか否かを判断する。画像の有無に変化がないと判断した場合(ステップS13:NO)、波形選択部145は、ステップS17へ進む。
【0163】
画像の有無に変化があると判断した場合(ステップS13:YES)、ステップS14において、波形選択部145は、lライン目に画像があるか否かを判断する。
【0164】
lライン目に画像があると判断した場合(ステップS14:YES)、ステップS15において、波形選択部145は、駆動波形として吐出波形を選択し、吐出波形データをインクジェットヘッド26に出力するよう波形設定部146に指示を送る。この後、波形選択部145は、ステップS17へ進む。
【0165】
ステップS14において、lライン目に画像はないと判断した場合(ステップS14:NO)、ステップS16において、波形選択部145は、駆動波形としてプリカーサ波形を選択し、プリカーサ波形データをインクジェットヘッド26に出力するよう波形設定部146に指示を送る。この後、波形選択部145は、ステップS17へ進む。
【0166】
ステップS17では、波形選択部145は、変数lが、ページの最終ラインであることを示す「L」であるか否かを判断する。l=Lではないと判断した場合(ステップS17:NO)、波形選択部145は、ステップS18において、変数lに「1」を加算する。この後、波形選択部145は、ステップS12へ戻る。
【0167】
ステップS17において、l=Lであると判断した場合(ステップS17:YES)、ステップS19において、波形選択部145は、印刷中のページが印刷ジョブにおける最後のページであるか否かを判断する。
【0168】
最後のページではないと判断した場合(ステップS19:NO)、波形選択部145は、ステップS11へ戻る。最後のページであると判断した場合(ステップS19:YES)、波形選択部145は、波形選択処理を終了する。
【0169】
次に、プリカーサ駆動制御におけるプリカーサ実行処理について説明する。
図19は、プリカーサ実行処理のフローチャートである。
【0170】
図19のステップS21において、プリカーサ間欠制御部144は、前述のプリカーサ率設定処理により設定されたプリカーサ率Rpを用いて、プリカーサライン数Npを算出する。プリカーサライン数Npは、規定非吐出ライン数Nkにおけるプリカーサ駆動を行うライン数である。プリカーサライン数Npは、下記の式(2)により算出される。
【0171】
Np=Nk×Rp/100 …(2)
規定非吐出ライン数Nkは、インク吐出がない(画像がない)ラインのなかでプリカーサ率Rpを適用する単位とするライン数である。例えば、
図17の例のように、規定非吐出ライン数Nk=100であれば、プリカーサ率Rpの値がプリカーサライン数Npと同じになる。
【0172】
次いで、ステップS22において、プリカーサ間欠制御部144は、画像データにおけるライン番号を示す変数lに「1」を設定する。
【0173】
次いで、ステップS23において、プリカーサ間欠制御部144は、画像がないラインの数のカウント値Cnに「0」を設定する。
【0174】
次いで、ステップS24において、プリカーサ間欠制御部144は、画像有無判断部142からlライン目の画像有無情報を取得する。
【0175】
次いで、ステップS25において、プリカーサ間欠制御部144は、画像有無情報に基づき、lライン目に画像がないか否かを判断する。
【0176】
lライン目に画像はないと判断した場合(ステップS25:YES)、ステップS26において、プリカーサ間欠制御部144は、カウント値Cnに「1」を加算する。
【0177】
次いで、ステップS27において、プリカーサ間欠制御部144は、カウント値Cnがプリカーサライン数Np以下であるか否かを判断する。
【0178】
Cn≦Npであると判断した場合(ステップS27:YES)、ステップS28において、プリカーサ間欠制御部144は、プリカーサ駆動データをインクジェットヘッド26へ出力する。プリカーサ駆動データは、インクジェットヘッド26の各インク室27をそれぞれの駆動期間において所定回数だけプリカーサ駆動させるデータである。駆動期間におけるプリカーサ駆動の回数は、最大ドロップ数以下であればよい。
【0179】
次いで、ステップS29において、プリカーサ間欠制御部144は、変数lが、ページの最終ラインであることを示す「L」であるか否かを判断する。l=Lであると判断した場合(ステップS29:YES)、プリカーサ間欠制御部144は、ステップS35へ進む。
【0180】
l=Lではないと判断した場合(ステップS29:NO)、プリカーサ間欠制御部144は、ステップS30において、変数lに「1」を加算する。この後、プリカーサ間欠制御部144は、ステップS24へ戻る。
【0181】
ステップS25において、lライン目に画像があると判断した場合(ステップS25:NO)、プリカーサ間欠制御部144は、ステップS26〜S28を省略し、ステップS29へ進む。
【0182】
ステップS27において、Cn>Npであると判断した場合(ステップS27:NO)、ステップS31において、プリカーサ間欠制御部144は、プリカーサ非駆動データをインクジェットヘッド26へ出力する。プリカーサ非駆動データは、インクジェットヘッド26の各インク室27を駆動させないデータである。
【0183】
次いで、ステップS32において、プリカーサ間欠制御部144は、カウント値Cnが規定非吐出ライン数Nkになったか否かを判断する。Cn=Nkでないと判断した場合(ステップS32:NO)、プリカーサ間欠制御部144は、ステップS30へ進む。
【0184】
Cn=Nkであると判断した場合(ステップS32:YES)、ステップS33において、l=Lであるか否かを判断する。l=Lであると判断した場合(ステップS33:YES)、プリカーサ間欠制御部144は、ステップS35へ進む。
【0185】
l=Lではないと判断した場合(ステップS33:NO)、プリカーサ間欠制御部144は、ステップS34において、変数lに「1」を加算する。この後、プリカーサ間欠制御部144は、ステップS23へ戻る。
【0186】
ステップS35では、プリカーサ間欠制御部144は、印刷中のページが印刷ジョブにおける最後のページであるか否かを判断する。
【0187】
最後のページではないと判断した場合(ステップS35:NO)、プリカーサ間欠制御部144は、ステップS22へ戻る。最後のページであると判断した場合(ステップS35:YES)、プリカーサ間欠制御部144は、プリカーサ実行処理を終了する。
【0188】
上述した波形選択処理およびプリカーサ実行処理により、
図20に示すような波形設定およびプリカーサ駆動が行われる。
図20は、ある1つのインクジェットヘッド26の印刷範囲における画像がある領域および画像がない領域のそれぞれに対する波形設定およびプリカーサ駆動の例を模式的に示したものである。
【0189】
上述した波形選択処理により、
図20に示すように、画像がないラインに対応する駆動タイミングでは、インクジェットヘッド26の駆動波形としてプリカーサ波形が設定される。
【0190】
また、プリカーサ実行処理により、
図20に示すように、規定非吐出ライン数Nk(規定数)のインク吐出がない(画像がない)ラインごとに、プリカーサ率Rpに応じたプリカーサライン数Npのラインでプリカーサ駆動が行われる。
【0191】
以上説明したように、インクジェット印刷装置1では、制御部9は、インクジェットヘッド26の位置に応じて、インクジェットヘッド26ごとにプリカーサ率Rpを決定する。これにより、インクジェットヘッド26が過度に冷却されてインク温度が過度に低下することを抑制できる。この結果、インクジェット印刷装置1によれば、インクミストを低減できる。
【0192】
また、制御部9は、規定非吐出ライン数Nkのインク吐出がないラインごとに、プリカーサライン数Npのラインでプリカーサ駆動を行う。これにより、プリカーサ駆動を行うラインを分散できる。この結果、インクジェットヘッド26の温度の低下をより抑制でき、インクミストをより低減できる。
【0193】
(第2実施形態)
次に、上述した実施形態のプリカーサ率設定処理を変更した第2実施形態について説明する。
【0194】
第2実施形態では、画像処理部122は、画像データに基づき、各インクジェットヘッド26に対応する印字率Raをページごとに算出する。
【0195】
アクチュエータ制御部124のCPU151は、プリカーサ率設定処理において、印字率Raを用いてプリカーサ率Rpを算出する。
図21は、第2実施形態におけるプリカーサ率設定処理のフローチャートである。
【0196】
図21のステップS41において、CPU151は、ROM152から各インクジェットヘッド26の位置係数Kpを読み出す。
【0197】
次いで、ステップS42において、CPU151は、画像処理部122から各インクジェットヘッド26に対応する印字率Raを読み出す。
【0198】
次いで、ステップS43において、CPU151は、プリカーサ率Rpを算出する。第2実施形態では、プリカーサ率Rpは、下記の式(3)により算出される。
【0199】
Rp(%)=Kp×(100−Ra) …(3)
これにより、
図22に示すように、各インクジェットヘッド26における位置係数Kpおよび印字率Raに応じたプリカーサ率Rpが算出される。
【0200】
図21に戻り、ステップS43に続いて、ステップS44において、CPU151は、各ヘッド駆動制御部136のプリカーサ間欠制御部144にプリカーサ率Rpを設定する。これにより、プリカーサ率設定処理が終了となる。CPU151は、このプリカーサ率設定処理を、ページごとに行う。
【0201】
プリカーサ率設定処理がページごとに行われるため、第2実施形態におけるプリカーサ実行処理では、プリカーサ率Rpに応じたプリカーサライン数Npがページごとに算出される。この点以外では、第2実施形態におけるプリカーサ実行処理は、上述した第1実施形態におけるプリカーサ実行処理と同様である。
【0202】
以上説明したように、第2実施形態では、インクジェットヘッド26の温度に影響を与える印字率Raに基づき、プリカーサ率Rpを調整している。これにより、インクジェットヘッド26の温度をより適温に維持でき、インクミストをより低減できる。
【0203】
(第3実施形態)
次に、上述した実施形態のプリカーサ率設定処理を変更した第3実施形態について説明する。
【0204】
図23は、第3実施形態におけるプリカーサ率設定処理のフローチャートである。
【0205】
図23のステップS51において、アクチュエータ制御部124のCPU151は、ROM152から各インクジェットヘッド26の位置係数Kpを読み出す。
【0206】
次いで、ステップS52において、CPU151は、ヘッドインク温度センサ68からインクジェットヘッド26におけるインク温度Tiを取得する。
【0207】
次いで、ステップS53において、CPU151は、インク温度Tiの基準温度Tkからの乖離率Rdを算出する。乖離率Rdは、下記の式(4)により算出される。
【0208】
Rd(%)=((Tk−Ti)/Tk)×100 …(4)
次いで、ステップS54において、CPU151は、プリカーサ率Rpを算出する。第3実施形態では、プリカーサ率Rpは、下記の式(5)により算出される。
【0209】
Rp(%)=Kp×Rd …(5)
これにより、
図24に示すように、各インクジェットヘッド26における位置係数Kpおよびインク温度Tiに応じたプリカーサ率Rpが算出される。
【0210】
図23に戻り、ステップS54に続いて、ステップS55において、CPU151は、各ヘッド駆動制御部136のプリカーサ間欠制御部144にプリカーサ率Rpを設定する。
【0211】
次いで、ステップS56において、CPU151は、前回のプリカーサ率Rpの設定から規定時間が経過したか否かを判断する。
【0212】
規定時間は経過していないと判断した場合(ステップS56:NO)、ステップS57において、CPU151は、印刷ジョブにおける全ページの印刷が終了したか否かを判断する。
【0213】
全ページの印刷は終了していないと判断した場合(ステップS57:NO)、CPU151は、ステップS56に戻る。全ページの印刷が終了したと判断した場合(ステップS57:YES)、CPU151は、プリカーサ率設定処理を終了する。
【0214】
ステップS56において、規定時間が経過したと判断した場合(ステップS56:YES)、ステップS58において、CPU151は、
全ページの印刷は終了していないと判断した場合(ステップS58:NO)、CPU151は、ステップS52に戻り、インク温度Tiを取得し、以降の処理を繰り返す。全ページの印刷が終了したと判断した場合(ステップS58:YES)、CPU151は、プリカーサ率設定処理を終了する。
【0215】
第3実施形態におけるプリカーサ実行処理は、上述した第1実施形態におけるプリカーサ実行処理と同様であるが、プリカーサ率Rpが規定時間ごとに算出されて設定されるため、プリカーサライン数Npがそれに応じて変更される。
【0216】
以上説明したように、第3実施形態では、インクジェットヘッド26のインク温度Tiに基づき、プリカーサ率Rpを調整している。これにより、インクジェットヘッド26の温度をより適温に維持でき、インクミストをより低減できる。
【0217】
(第4実施形態)
次に、上述した実施形態のプリカーサ率設定処理を変更した第4実施形態について説明する。
【0218】
第4実施形態では、アクチュエータ制御部124のROM152に、印刷媒体の種類ごとのヘッド媒体間距離対応調整値Khが予め記憶されている。ヘッド媒体間距離対応調整値Khは、ヘッド媒体間距離Hpに応じてプリカーサ率Rpを調整するための値である。ヘッド媒体間距離Hpは、インク吐出面26aと搬送面11b上の印刷媒体Pの上面との間の距離である。換言すれば、ヘッド媒体間距離Hpは、ヘッドギャップHgから印刷媒体Pの厚さを差し引いたものである。ヘッド媒体間距離Hpは、印刷媒体の種類によって変わる。
【0219】
ヘッド媒体間距離Hpが大きいほど、インクの飛翔時間が長くなり、インクミストが発生しやすい。そこで、第4実施形態では、ヘッド媒体間距離対応調整値Khを用いてプリカーサ率Rpを算出する。
図25は、第4実施形態におけるプリカーサ率設定処理のフローチャートである。
【0220】
図25のステップS61において、アクチュエータ制御部124のCPU151は、ROM152から各インクジェットヘッド26の位置係数Kpを読み出す。
【0221】
次いで、ステップS62において、CPU151は、ROM152から印刷媒体の種類に応じたヘッド媒体間距離対応調整値Khを読み出す。
【0222】
次いで、ステップS63において、CPU151は、プリカーサ率Rpを算出する。第4実施形態では、プリカーサ率Rpは、下記の式(6)により算出される。
【0223】
Rp(%)=(Kp+Kh)×100 …(6)
これにより、
図26に示すように、各インクジェットヘッド26における位置係数Kpおよびヘッド媒体間距離対応調整値Khに応じたプリカーサ率Rpが算出される。ここで、式(6)により算出されたRdの値が100%を超える場合は、プリカーサ率Rpを100%とする。
【0224】
図25に戻り、ステップS63に続いて、ステップS64において、CPU151は、各ヘッド駆動制御部136のプリカーサ間欠制御部144にプリカーサ率Rpを設定する。これにより、プリカーサ率設定処理が終了となる。
【0225】
第4実施形態におけるプリカーサ実行処理は、上述した第1実施形態におけるプリカーサ実行処理と同様である。
【0226】
以上説明したように、第4実施形態では、インクミストの発生度合いに影響を与えるヘッド媒体間距離Hpに基づき、プリカーサ率Rpを調整するので、インクミストをより低減できる。
【0227】
(第5実施形態)
次に、上述した実施形態のプリカーサ率設定処理を変更した第5実施形態について説明する。
【0228】
第5実施形態では、アクチュエータ制御部124のROM152に、媒体端部調整値Keが予め記憶されている。媒体端部調整値Keは、搬送方向に直交する方向である主走査方向(前後方向)における印刷媒体Pの端部に対応する位置のインクジェットヘッド26におけるプリカーサ率Rpを調整するための値である。
【0229】
エア吸引方式の搬送部2では、ベルト穴11aを介したエア吸引により、印刷媒体Pの端部において、印刷媒体Pの外側に向かう気流が発生する。この気流により、印刷媒体Pの端部では、インクミストが発生しやすい。そこで、第5実施形態では、プリカーサ率Rpの算出に媒体端部調整値Keを用いる。
図27は、第5実施形態におけるプリカーサ率設定処理のフローチャートである。
【0230】
図27のステップS71において、アクチュエータ制御部124のCPU151は、ROM152から各インクジェットヘッド26の位置係数Kpを読み出す。
【0231】
次いで、ステップS72において、CPU151は、ROM152から媒体端部調整値Keを読み出す。
【0232】
次いで、ステップS73において、CPU151は、プリカーサ率Rpを算出する。ここで、主走査方向(前後方向)における印刷媒体Pの端部に対応する位置のインクジェットヘッド26のプリカーサ率Rpは、下記の式(7)により算出される。その他のインクジェットヘッド26のプリカーサ率Rpは、前述の式(1)により算出される。
【0233】
Rp(%)=(Kp+Ke)×100 …(7)
これにより、
図28に示すように、主走査方向(前後方向)における印刷媒体Pの端部に対応する位置のインクジェットヘッド26に対して、位置係数Kpおよび媒体端部調整値Keに応じたプリカーサ率Rpが算出される。ここで、式(7)により算出されたRdの値が100%を超える場合は、プリカーサ率Rpを100%とする。
【0234】
図27に戻り、ステップS73に続いて、ステップS74において、CPU151は、各ヘッド駆動制御部136のプリカーサ間欠制御部144にプリカーサ率Rpを設定する。これにより、プリカーサ率設定処理が終了となる。
【0235】
第5実施形態におけるプリカーサ実行処理は、上述した第1実施形態におけるプリカーサ実行処理と同様である。
【0236】
以上説明したように、第5実施形態では、インクミストが発生しやすい、主走査方向における印刷媒体Pの端部に対応する位置のインクジェットヘッド26におけるプリカーサ率Rpを調整するので、インクミストをより低減できる。
【0237】
(その他の実施形態)
上述のように、本発明は第1〜第5実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0238】
第4実施形態のプリカーサ率設定処理を、第2実施形態または第3実施形態のプリカーサ率設定処理と組み合わせてもよい。また、第5実施形態のプリカーサ率設定処理を、第2〜第4実施形態のプリカーサ率設定処理と組み合わせてもよい。
【0239】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。