(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内挿状態で、前記継手部材の内面のうち前記隠蔽部材側に位置する近位側内面と前記貫通孔における前記近位側内面に対向する近位側端縁とを被覆する第二被覆部材をさらに備え、
前記第一被覆部材と前記第二被覆部材とが一体形成されている請求項3に記載の隠蔽配管補助システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
室内の外観をあまり損なうことなく隠蔽配管を実施する際の施工性を向上させることができる隠蔽配管補助システムの実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る隠蔽配管補助システムは、
空調装置の室内機と室外機とを接続する配管部材を建築物の天井裏又は壁裏に隠蔽状態で配設することを補助する隠蔽配管補助システムであって、
前記天井裏又は前記壁裏において、隠蔽部材となる天井板又は仕切壁に沿って設置される直管状の案内部材と、
前記隠蔽部材に形成されて前記配管部材が挿通される貫通孔と前記案内部材の一端とを接続するように傾斜状に設置される管状の継手部材と、
を備える。
【0007】
この構成によれば、傾斜状に設置される継手部材が、天井板又は仕切壁(隠蔽部材)に形成された貫通孔から挿入される配管部材の挿入側端部を、案内部材の一端へと誘導する。或いは、傾斜状に設置される継手部材が、案内部材の他の一端から送り出される配管部材の挿入側端部を、隠蔽部材に形成された貫通孔へと誘導する。よって、作業者は室内空間に居たままで、案内部材及び継手部材の内部を通して天井裏又は壁裏に配管部材を容易に配設することができる。また、従来のように作業者の上半身が進入可能な大きさの作業口を設ける必要がなく、配管部材が挿通可能な程度の大きさの貫通孔を形成するだけで良いので、室内の外観が悪化することも少ない。従って、上記構成の隠蔽配管補助システムを用いることで、室内の外観をあまり損なうことなく隠蔽配管を実施する際の施工性を向上させることができる。
【0008】
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0009】
1つの態様として、前記継手部材における前記貫通孔側の開口端に内挿された内挿状態で、前記継手部材の内面のうち前記隠蔽部材から離間する側に位置する遠位側内面と前記貫通孔における前記遠位側内面に対向する遠位側端縁とを被覆する第一被覆部材をさらに備えると好適である。
【0010】
案内部材の一端から送り出される配管部材の挿入側端部が傾斜状に設置される継手部材によって隠蔽部材の貫通孔へと誘導される際には、配管部材の挿入側端部は継手部材の遠位側内面に摺接して移動する。この場合、継手部材の遠位側内面と貫通孔の遠位側端縁とが例えば段差を有する状態で対向している場合には、遠位側端縁の位置で配管部材の室内空間側への円滑な移動が妨げられる可能性がある。或いは、隠蔽部材における貫通孔の遠位側端縁の近傍の部位が、配管部材の挿入側端部又は配管部材の外面と擦れ合って部分的に損傷する可能性がある。
この点、上記の構成によれば、第一被覆部材が継手部材の遠位側内面と貫通孔の遠位側端縁とを被覆するので、室内空間側への配管部材の取り出し時に、継手部材の遠位側内面と貫通孔の遠位側端縁との位置関係によらずに、配管部材を円滑に移動させることができる。また、隠蔽部材における貫通孔の遠位側端縁の近傍の部位が損傷するのを防止することができる。
【0011】
1つの態様として、前記継手部材における前記貫通孔側の開口端に内挿された内挿状態で、前記継手部材の内面のうち前記隠蔽部材側に位置する近位側内面と前記貫通孔における前記近位側内面に対向する近位側端縁とを被覆する第二被覆部材をさらに備えると好適である。
【0012】
隠蔽部材の貫通孔から挿入された配管部材が案内部材の内部を通ってさらに送り出される際には、継手部材の近位側内面と貫通孔の近位側端縁とが例えば段差を有する状態で対向している場合には、配管部材が貫通孔の近位側端縁に摺接して移動する場合がある。この場合、隠蔽部材における貫通孔の近位側端縁の近傍の部位が、配管部材の外面と擦れ合って部分的に損傷する可能性がある。
この点、上記の構成によれば、第二被覆部材が継手部材の近位側内面と貫通孔の近位側端縁とを被覆するので、隠蔽配管の実施のための配管部材の送り出し時に、継手部材の近位側内面と貫通孔の近位側端縁との位置関係によらずに、隠蔽部材における貫通孔の近位側端縁の近傍の部位が損傷するのを防止することができる。
【0013】
1つの態様として、前記内挿状態で、前記継手部材の内面のうち前記隠蔽部材側に位置する近位側内面と前記貫通孔における前記近位側内面に対向する近位側端縁とを被覆する第二被覆部材をさらに備え、前記第一被覆部材と前記第二被覆部材とが一体形成されていると好適である。
【0014】
この構成によれば、第一被覆部材と第二被覆部材とが一体形成された単一の部材を継手部材における貫通孔側の開口端に内挿するだけで、施工時に、隠蔽部材における貫通孔の端縁近傍部位の損傷の防止を図ることができるとともに、室内空間側への配管部材の取出作業の円滑化を図ることができる。
【0015】
1つの態様として、前記継手部材が平滑内面を有すると好適である。
【0016】
この構成によれば、隠蔽部材に形成された貫通孔から挿入される配管部材の挿入側端部を案内部材の一端へと円滑に誘導することができる。或いは、案内部材の他の一端から送り出される配管部材の挿入側端部を、隠蔽部材に形成された貫通孔へと円滑に誘導することができる。
【0017】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
隠蔽配管補助システムの実施形態について説明する。本実施形態の隠蔽配管補助システム1は、空調装置8の室内機81と室外機82とを接続する配管部材83を建築物7の天井裏空間Sc又は壁裏空間に隠蔽状態で配設すること(いわゆる隠蔽配管の実施)を補助するために用いられる。本実施形態の隠蔽配管補助システム1は、天井裏空間Sc又は壁裏空間において、隠蔽部材となる天井板75又は仕切壁72に沿って設置される直管状の案内部材20と、隠蔽部材に形成されて配管部材83が挿通される貫通孔と案内部材20の一端とを接続するように傾斜状に設置される管状の継手部材30とを備える点によって特徴付けられる。これにより、室内の外観をあまり損なうことなく隠蔽配管を実施する際の施工性を向上させることができる。以下、本実施形態の隠蔽配管補助システム1について、詳細に説明する。
【0020】
本実施形態の隠蔽配管補助システム1は、例えば
図1に示すような分譲マンションや賃貸アパート等の集合住宅(建築物7の一例)で好適に用いられる。
図1の例における住戸は、四隅のそれぞれに配置された計4本の柱71によって囲まれた空間に設けられている。住戸内の空間(住空間)は、複数の仕切壁72によって複数の室空間に区画されている。仕切壁72には、隣接する他の住戸との境界に設置される戸境壁72Aと、同じ住戸内の他の室空間との境界に設置される間仕切壁72Bと、バルコニーBLや共用廊下C等の外部環境との境界に設置される外壁72Cとが含まれる。一例として、住空間(廊下Hを除く)は、居間LDKと、3つの個室R1〜R3と、浴室UB(脱衣場を含む)と、トイレWCとに区画されている。
【0021】
これらのうち、居間LDK、第一個室R1、及び第二個室R2は、外壁72Cを介してバルコニーBLや共用廊下C等の外部環境に面する“外縁側室空間”と称することができる。一方、第三個室R3、浴室UB、及びトイレWCは、外部環境に面することなく、戸境壁72A又は間仕切壁72Bを介して他の室空間にのみ面する“内側室空間”と称することができる。本実施形態の隠蔽配管補助システム1は、このような内側室空間が住戸内に存在する場合に、隠蔽配管を将来的に可能とする目的で、建築物7の建設時から予め設置される。本実施形態では、内側室空間の1つである第三個室R3と外縁側室空間の1つである居間LDKとに亘って隠蔽配管補助システム1が予め設置される。なお、本実施形態において隠蔽配管補助システム1が直接バルコニーBLまで延びずに居間LDKにて終焉しているのは、バルコニーBL側の2本の柱71間に亘って設けられる梁73を避けるためである(
図2を参照)。
【0022】
将来的に第三個室R3への空調装置8の設置が必要になった場合、第三個室R3に設置される室内機81と例えばバルコニーBLに設置される室外機82とを接続する配管部材83が、隠蔽配管補助システム1を利用して隠蔽配管される。配管部材83は、例えば室内機81の熱交換部と室外機82の熱交換部とを循環する冷媒の流通路を構成する冷媒管を含む。配管部材83は、室外機82のコンプレッサーやファン等に対して電力を供給するための電気ケーブルをさらに含んでも良い。
【0023】
図2に示すように、本実施形態では、天井スラブ74に対して下方側に隙間を隔てて天井板75が配置されており、天井スラブ74と天井板75との間に天井裏空間Scが形成されている。本実施形態では、この天井裏空間Scに、隠蔽配管補助システム1が設置されている。隠蔽配管補助システム1の一端は、内側室空間における空調装置8の室内機81の設置予定箇所(設置される可能性の高い箇所)に設けられることが好ましい。隠蔽配管補助システム1の他端は、外縁側室空間における外壁72Cの近傍に設けられることが好ましい。
【0024】
隠蔽配管補助システム1は、案内部材20と、少なくとも1つの継手部材30とを備えている。
図2に示すように、本実施形態では、案内部材20の両端に対して、継手部材30がそれぞれ設けられている。すなわち、隠蔽配管補助システム1は、案内部材20と、当該案内部材20の両端部に設けられた計2つの継手部材30とを備えている。2つの継手部材30は、同一形状のものを用いることができる。隠蔽配管補助システム1を構成する各部品は、樹脂材料を用いて形成されている。これらは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、及びポリ塩化ビニル等の汎用樹脂を用いて形成されている。
【0025】
案内部材20は、直管状に形成されている。案内部材20は、内径及び外径に比べて長手方向の長さが十分に大きい長尺円筒状に形成されている。案内部材20は、平滑な内面(平滑内面)を有するように形成されていても良いし、凹凸状(蛇腹状)の内面を有するように形成されていても良い。施工時の円滑性の観点からは、案内部材20の内面は平滑であることが好ましい。案内部材20は、天井裏空間Scにおいて、天井板75に沿って設置されている。案内部材20は、天井板75に接する状態又は隙間を隔てた状態で、天井板75に対しておよそ平行となるように設置されている。案内部材20は、天井板75によって遮られて、第三個室R3や居間LDKからは視認できない状態となっている。本実施形態のように隠蔽配管補助システム1が天井裏空間Scに設置される場合には、天井板75が、隠蔽配管補助システム1及び配管部材83を隠蔽する「隠蔽部材」となる。
【0026】
図3及び
図4に示すように、継手部材30は、管状に形成されている。本実施形態の継手部材30は、分割構造を有しており、係脱自在に構成された一対の継手分割体31を含む。一対の継手分割体31は、継手部材30を左右均等に分割して形成されており、鏡対象形状を有している。一方の継手分割体31に例えば係合突起等からなる係合部32が設けられるとともに、他方の継手分割体31に例えば係合孔部等からなる被係合部33が設けられている。各被係合部33に対してそれぞれ対応する係合部32が係合した状態で、一対の継手分割体31が一体化されて管状の継手部材30が構成される。
【0027】
継手部材30は、天井板75に形成されて配管部材83が挿通される貫通孔76と案内部材20の一端とを接続するように、全体として傾斜状に設置される(
図9を参照)。継手部材30は、案内部材20の端部に接続される接続口部34と、この接続口部34から延びる継手本体部35とを含む。接続口部34は、案内部材20よりも僅かに大径に形成されており、案内部材20に外嵌される。接続口部34は、案内部材20に外嵌された状態で、天井板75に対しておよそ平行となるように配置される。継手本体部35は、接続口部34に対して交差する方向に延びるように形成されている。継手本体部35は、接続口部34が案内部材20に外嵌された状態で、天井板75に対して傾斜する状態に配置される。継手本体部35は、天井板75に対して例えば15°〜60°(好ましくは20°〜45°)の角度で傾斜する状態に配置される。
【0028】
継手部材30(継手本体部35)は、その外面に、当該継手部材30における他の部位よりも肉薄に形成された環状溝部36を有する。環状溝部36は、天井板75に対しておよそ平行となるように環状に形成されている。環状溝部36は、継手部材30における他の部位に比べて機械的強度に劣る脆弱部として機能する。天井スラブ74と天井板75との間の間隔が継手部材30の当初サイズとの関係で狭い場合等には、例えばカッター等の切断手段を用いて環状溝部36に沿って継手部材30を容易に切断することができる。よって、天井裏空間Scの高さに容易に適応させることができる。なお、図示の例では環状溝部36が1つだけ設けられているが、複数の環状溝部36が互いに平行に設けられても良い。
【0029】
本実施形態では、継手部材30は平滑内面を有する。すなわち、継手部材30の内面38は、凹凸を有することなく平滑面に形成されている。継手部材30の内面38は、天井板75側に位置する近位側内面38pと、天井板75から離間する側に位置する遠位側内面38dとを含む(
図9も参照)。ここで、「天井板75側」及び「天井板75から離間する側」は、隠蔽部材である天井板75に直交する方向(通常、鉛直方向)における相対位置を表す。従って、本実施形態では、近位側内面38pは継手部材30における下半分部分の内面38であり、遠位側内面38dは継手部材30における上半分部分の内面38である。
【0030】
継手部材30は、接続口部34が案内部材20に外嵌された状態で、接続口部34とは反対側の開口端Eoが、天井板75に形成された貫通孔76に対応する位置となるように配置される(
図9も参照)。なお、接続口部34とは反対側の開口端Eoは、真円状の直管部材を斜めに切断した場合に現れる楕円状の開口である。貫通孔76も、開口端Eoの形状と同様の楕円状に形成される。継手部材30は、その開口端Eoが貫通孔76の端縁77と対向するように配置される。本実施形態では、貫通孔76の端縁77のうち、継手部材30の近位側内面38pに対向する部位を“近位側端縁77p”と言い、継手部材30の遠位側内面38dに対向する部位を“遠位側端縁77d”と言う。貫通孔76の端縁77のうち、案内部材20の軸心に平行な方向における案内部材20側の部位が近位側端縁77pであり、案内部材20から離間する側の部位が遠位側端縁77dである(
図9及び
図11を参照)。
【0031】
図5に示すように、本実施形態の隠蔽配管補助システム1は、継手部材30における貫通孔76側の開口端Eoに内挿される第一被覆部材40Aをさらに備えている。ここで、「開口端Eoに内挿される」とは、第一被覆部材40Aが少なくとも部分的に開口端Eo側から継手部材30の内部に挿入されることを意味する。従って、第一被覆部材40Aの一部(例えば後述する鍔状部48)が継手部材30の外部に露出するような態様も、ここで言う「開口端Eoに内挿される」の概念に含まれる。第一被覆部材40Aは、継手部材30における貫通孔76側の開口端Eoに内挿された状態(以下、単に「内挿状態」と言う)で、継手部材30の開口端Eo側の遠位側内面38dと貫通孔76の遠位側端縁77dとを被覆する(
図9を参照)。
【0032】
本実施形態の隠蔽配管補助システム1は、第一被覆部材40Aとは別に、継手部材30における貫通孔76側の開口端Eoに内挿される第二被覆部材40Bをさらに備えている。「開口端Eoに内挿される」の意義は上述したとおりである。第二被覆部材40Bは、内挿状態で、継手部材30の開口端Eo側の近位側内面38pと貫通孔76の近位側端縁77pとを被覆する(
図9を参照)。本実施形態では、これらの第一被覆部材40Aと第二被覆部材40Bとが一体形成されている。言い換えれば、隠蔽配管補助システム1は、内挿状態で継手部材30の開口端Eo側の内面38と貫通孔76の端縁77とを被覆する、単一部材として構成された被覆部材40を備えている。
【0033】
被覆部材40は、内挿状態で実際に継手部材30の内部に配置される異形管状の被覆本体部41と、被覆本体部41の下端部から鍔状に延びる鍔状部48とを含む。被覆本体部41は、貫通孔76の形状に応じた楕円筒状の環状壁部42と、環状壁部42から二股に分かれて継手部材30の内部側に向かってそれぞれ延びる第一壁部44及び第二壁部45とを含む。環状壁部42における継手部材30の遠位側内面38d及び貫通孔76の遠位側端縁77dに対応する第一部分42Aから第一壁部44が延びるとともに、環状壁部42における継手部材30の近位側内面38p及び貫通孔76の近位側端縁77pに対応する第二部分42Bから第二壁部45が延びている。第一壁部44と第二壁部45とは、互いに異なる向きに延びるとともに、環状壁部42とも異なる向きに延びている。第一壁部44と第二壁部45との境界領域には、一対の湾曲切欠部46が形成されている。
【0034】
第一壁部44は、継手部材30の遠位側内面38dに対して平行状に配置される。第一壁部44は、遠位側内面38dに対して全面的に接する状態に配置される(
図9も参照)。環状壁部42の第一部分42Aは、第一壁部44から離れるに従って遠位側内面38dからも離れるように、第一壁部44よりも急勾配に形成されている。第二壁部45は、環状壁部42の第二部分42Bから離れるに従って継手部材30の近位側内面38pに近付き、先端部が近位側内面38pに当接する状態に配置される。被覆本体部41を構成する環状壁部42、第一壁部44、及び第二壁部45は、平滑内面を有する。すなわち、被覆本体部41の内面は、凹凸を有することなく平滑面に形成されている。また、被覆本体部41を構成する環状壁部42、第一壁部44、及び第二壁部45は、互いに滑らかに連続するように形成されている。
【0035】
鍔状部48は、平板状に形成されている。鍔状部48は、天井板75に形成された貫通孔76の最大径よりもさらに大きい直径を有する真円状に形成されている。鍔状部48は、貫通孔76を覆うように室内空間側から天井板75に固定される。鍔状部48には、例えばビス等の固定手段が挿通される固定用孔部49が形成されている。被覆部材40は、継手部材30における貫通孔76側の開口端Eoに被覆本体部41を挿入させつつ、天井板75における室内側表面に鍔状部48を当て付けた状態で、固定手段を用いて天井板75に固定される。被覆本体部41(環状壁部42)と鍔状部48との境界領域には、例えばスリット状孔部等からなる一対の被係止部43が、互いに向かい合う状態に形成されている。
【0036】
本実施形態では、第一壁部44及び環状壁部42の第一部分42A、並びに鍔状部48におけるこれらに対応する部分によって第一被覆部材40Aが構成されている。また、第二壁部45及び環状壁部42の第二部分42B、並びに鍔状部48におけるこれらに対応する部分によって第二被覆部材40Bが構成されている。
【0037】
本実施形態の隠蔽配管補助システム1は、被覆部材40の鍔状部48に取り付けられて貫通孔76を閉塞する蓋部材50をさらに備えている。
図6に示すように、蓋部材50は、全体として平板状に形成されている。蓋部材50は、鍔状部48の外形形状に対応する真円板状の蓋本体部51と、蓋本体部51の外周縁に立設された周壁部52とを含む。周壁部52の立設高さは、鍔状部48の厚みと同程度に設定されている。また、蓋部材50は、蓋本体部51から突出形成された例えば係止爪等からなる一対の係止部53を含む。一対の係止部53は、蓋本体部51の中央領域に、互いに向かい合う状態に形成されている。
図7に示すように、蓋部材50は、係止部53が被覆部材40の被係止部43に係止した状態で、室内空間側から被覆部材40に取り付けられる。蓋部材50は、被覆部材40に対して着脱自在に構成されている。例えば隠蔽配管補助システム1の不使用時には蓋部材50で継手部材30における貫通孔76側の開口端Eoを塞いでおき、施工時に蓋部材50を取り外して隠蔽配管を実施することができる。
【0038】
以下、本実施形態の隠蔽配管補助システム1を用いて隠蔽配管を実施する際の施工手順について、順を追って説明する。なお、空調装置8の室内機81及び室外機82に関しては、特に言及しないが、常法に従って設置されるものとする。
【0039】
まず、隠蔽配管補助システム1の両端部において、蓋部材50を取り外してそれぞれの継手部材30における貫通孔76側の開口端Eoを室内空間に露出させる。また、
図8に示すように、配管部材83の挿入側端部にキャップ状の装着部材60を装着する。装着部材60は、隠蔽配管補助システム1を構成する各部品と同様の樹脂材料を用いて形成することができる。装着部材60は、先端側に向かって次第に細くなるとともに、先端部が丸みを帯びるように形成されている。装着部材60は、平滑外面を有する。すなわち、装着部材60の外面は、凹凸を有することなく平滑面に形成されている。
【0040】
次に、
図9に示すように、装着部材60を装着した状態の配管部材83の挿入側端部を、挿入側の貫通孔76を挿通させて、継手部材30に挿入する。このとき、貫通孔76から挿入される配管部材83の挿入側端部は、天井板75に対して傾斜状に設置される継手部材30によって案内部材20の一端へと誘導される。すなわち、配管部材83の挿入側端部(装着部材60)は、継手部材30の遠位側内面38dに摺接して移動し、遠位側内面38dに沿って案内部材20の一端へと誘導される。遠位側内面38d及び装着部材60の外面はいずれも平滑面に形成されて両者間の摩擦抵抗は小さいので、配管部材83の挿入作業を円滑に行うことができる。
【0041】
配管部材83を案内部材20へと導き、さらに奥まで挿入させていくと、
図10に示すように、配管部材83が貫通孔76の近位側端縁77p側に寄った状態となる場合がある。この場合であっても、本実施形態では被覆部材40(特に第二被覆部材40B)が継手部材30の開口端Eo側の近位側内面38pと貫通孔76の近位側端縁77pとを被覆しているので、配管部材83の外面が近位側端縁77pと直接擦れ合うことがない。よって、配管部材83の送り出し時に、天井板75における貫通孔76の近位側端縁77pの近傍の部位が損傷するのを防止することができる。
【0042】
配管部材83をさらに奥まで挿入させていくと、
図11に示すように、配管部材83の挿入側端部(装着部材60)は案内部材20の他端から取出側の継手部材30の内部に進入する。送り出される配管部材83の挿入側端部は、天井板75に対して傾斜状に設置される継手部材30によって取出側の貫通孔76へと誘導される。すなわち、配管部材83の挿入側端部は、ここでも継手部材30の遠位側内面38dに摺接して移動し、遠位側内面38dに沿って取出側の貫通孔76へと誘導される。配管部材83をさらに送り出すと、配管部材83の挿入側端部は被覆部材40の第一壁部44の先端部の位置に到達する。このとき、第一壁部44は遠位側内面38dに対して全面的に接する状態に配置されており、しかも装着部材60は先端部が丸みを帯びるように形成されているので、配管部材83の挿入側端部は、容易に第一壁部44の厚み相当分の段差を乗り越える。そして、配管部材83の挿入側端部は第一壁部44及び環状壁部42の第一部分42Aの内面に摺接しながらさらに押し出される。被覆本体部41の内面及び装着部材60の外面はいずれも平滑面に形成されて両者間の摩擦抵抗は小さいので、配管部材83の取出作業を円滑に行うことができる。
【0043】
また、配管部材83の挿入側端部は、継手部材30の遠位側内面38dに沿って貫通孔76の遠位側端縁77dへと向かって進む。この場合であっても、本実施形態では被覆部材40(特に第一被覆部材40A)が継手部材30の開口端Eo側の遠位側内面38dと貫通孔76の遠位側端縁77dとを被覆しているので、配管部材83の挿入側端部や外面が遠位側端縁77dと直接擦れ合うことがない(
図12を参照)。よって、配管部材83の取り出し時に、天井板75における貫通孔76の遠位側端縁77dの近傍の部位が損傷するのを防止することができる。
【0044】
このように、配管部材83の挿入側及び取出側の両方に継手部材30が設けられて配管部材83の挿入及び取り出しがそれぞれ適切に誘導されるので、作業者は室内空間に居たままで、天井裏空間Scに配管部材83を容易に配設することができる。また、例えば作業者の上半身が進入可能な大きさの作業口を設ける必要がなく、配管部材83がある程度余裕をもって挿通可能な程度の大きさの貫通孔76を形成するだけで良いので、室内の外観が悪化することも少ない。従って、本実施形態の隠蔽配管補助システム1を用いることで、室内の外観をあまり損なうことなく隠蔽配管を実施する際の施工性を向上させることができる。通常、隠蔽配管の実施には複数の作業者による共同作業が必要であるのに対して、本実施形態の隠蔽配管補助システム1によれば、1人の作業者だけでの施工も可能であることが確認された。
【0045】
その後、取出側の貫通孔76から取り出された配管部材83を、
図13に示すように、外壁72Cを貫通する状態で固定された貫通スリーブ94を通して、バルコニーBLへと送り出す。外壁72Cに沿って配管部材83を下方へと配設し、配管部材83を空調装置8の室外機82に接続する。最後に、居間LDKの隅部及びバルコニーBLにおいて露出している配管部材83を、配管カバー92で被覆する。配管カバー92は、配管部材83の配設経路の形状に応じて、例えば直管型カバー92A、エルボ型カバー92B、及びキャップ型カバー92C等を適宜組み合わせて構成することができる。
【0046】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、第一被覆部材40Aと第二被覆部材40Bとが一体形成された単一部材からなる被覆部材40を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば第一被覆部材40Aと第二被覆部材40Bとが互いに独立した別部材として構成されても良い。また、必ずしも第一被覆部材40A及び第二被覆部材40Bの両方ともが設けられなくても良く、これらのうちのいずれか一方が設けられなくても良い。或いは、例えば継手部材30の内面38と貫通孔76の端縁77との位置関係次第では、第一被覆部材40A及び第二被覆部材40Bの両方が設けられなくても良い。
【0047】
(2)上記の実施形態では、継手部材30が平滑内面を有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば継手部材30の内面38が多少の凹凸を有するように形成されても良い。被覆本体部41に関しても同様であり、被覆本体部41は平滑内面を有する構成に限定されることなく、例えばその内面が多少の凹凸を有するように形成されても良い。
【0048】
(3)上記の実施形態では、案内部材20の両端に対して、継手部材30がそれぞれ設けられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば案内部材20の一端に対して1つの継手部材30だけが設けられても良い。このような構成は、例えば梁73の影響を受けることなく天井裏空間Scから直接的に、例えばバルコニーBL等の外部環境に案内部材20の他端を開口させることができる場合等に有効である。
【0049】
(4)上記の実施形態では、隠蔽配管補助システム1が第三個室R3を起点として設置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、他の内側室空間(例えば浴室UBの脱衣場等)を起点として隠蔽配管補助システム1が設置されても良い。また、複数の内側室空間を起点として複数の隠蔽配管補助システム1が設置されても良い。
【0050】
(5)上記の実施形態では、隠蔽配管補助システム1が天井裏空間Scに設置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば壁裏空間に隠蔽配管補助システム1が設置されても良い。この場合、案内部材20は壁裏空間において仕切壁72に沿って設置され、継手部材30は仕切壁72に形成される貫通孔と案内部材20の一端とを接続するように仕切壁72に対して全体として傾斜状に設置される。そして、仕切壁72が、隠蔽配管補助システム1及び配管部材83を隠蔽する「隠蔽部材」となる。
【0051】
(6)上記の実施形態では、隠蔽配管補助システム1が建築物7の一例としての集合住宅に設置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、少なくとも内側室空間を有する建築物7であれば、例えば戸建住宅等にも隠蔽配管補助システム1が設置されても良い。
【0052】
なお、上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0053】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。