(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜
図10を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
図1〜
図7は横型のボタン本体を用いたパルス・連続噴射機構を示し、
図8〜
図10は縦型のボタン本体を用いたパルス・連続噴射機構を示している。
【0023】
また、
図1〜
図5,
図8および
図9はパルス噴射の静止・作動モードを示し、残りの
図6,
図7および
図10は連続噴射の静止・作動モードを示している。
【0024】
本明細書および図面で用いる参照番号につき、原則として、アルファベット付き参照番号の構成要素(例えば大径本体部11a)は当該参照番号の数字部分の構成要素(例えばボタン本体11)の一部であることを示している。
【0025】
図1〜
図10に関して、
(21)「A〜F,1〜6」の参照番号は「
図1〜
図10」で用い、
(22)「11〜17」の参照番号およびそのアルファベット付きは「
図1〜
図7」の横型ボタン本体の場合を対象とし、
(23)「21〜26」の参照番号およびそのアルファベット付きは「
図8〜
図10」の縦型ボタン本体の場合を対象とする。
【0026】
図1〜
図10において、
Aは後述のシール弁14,24の弁作用外周面14d,24cおよび後述の移動弁15,25の弁作用内周面15c,25cからなる、パルス噴射用のボタン側弁作用部(請求項の操作部側弁作用部に相当),
Bは後述のステム1に設けられた周知のステム側弁作用部(例えば内容物通過用のステム孔部+ステム孔部開閉用のステムラバー),
Cはステム側弁作用部Bからボタン側弁作用部Aまでの連通状態の内容物噴射用通路域、すなわちステム側弁作用部Bの下流側でかつボタン側弁作用部Aの上流側に相当する内容物噴射用の中間通路空間域(請求項の連通空間域に相当),
Dはパルス噴射の作動モードにおける噴射内容物の流れ経路,
Eはパルス噴射の作動モードから初期モードへの復帰にともなう後述のシール弁14に対する、ボタン側弁作用部Aの開状態設定用の後方への強制シフト方向(
図1参照)
Fはパルス噴射の作動モードから初期モードへの復帰にともなう後述の移動弁25に対する、ボタン側弁作用部Aの開状態設定用の上方への強制シフト方向(
図8参照)
をそれぞれ示している。
【0027】
また、
図1〜
図10において、
1は上端部分が後述の下側円筒状部17cの内部に嵌合して後述のボタン本体11,21の押下げ操作にともない周知のステムガスケット(図示省略)との間のバルブ開作用を呈し、これにより内部通路を容器本体側の噴射対象内容物が通過するステム,
2は後述の噴射ガスおよび噴射対象内容物が収容されたエアゾール容器本体,
3はステム1やこれを上方向に付勢する周知のコイルスプリングなどが配設され、噴射対象内容物収容域としても作用するハウジング,
4はエアゾール容器本体2の開口側周縁部に取り付けられてハウジング3を保持するマウンティングカップ,
5は後述のシール弁14,24の外周面段部と、後述のカバー体16の内周面段部または上シリンダ22の環状横平面22aとの間に配設されて、当該シール弁を保持し、かつ後方(
図1〜
図7)または下方(
図8〜
図10)に付勢する内側コイルスプリング(請求項の第一の弾性部材に相当),
6は内側コイルスプリング5よりも強い弾性作用を呈し、後述の移動弁15,25の環凹状部15e,25eと、後述のカバー体16の環溝状部16dまたは上シリンダ22の環溝状部22dとの間に配設されて、当該移動弁を後方(
図1〜
図7)または下方(
図8〜
図10)に付勢する外側コイルスプリング(請求項の第二の弾性部材に相当),
をそれぞれ示している。
【0028】
図1〜
図7において、
11は内容物噴射操作用の押下げタイプで横型のボタン本体(請求項の操作部に相当),
11aはボタン本体11の下流側前後方向に形成されて後述のシリンダ12が取り付けられる円筒状で前開口・後底面の大径本体部,
11bは大径本体部11aの後底面部分に形成されて後述の小径後筒状部12bを嵌合保持する円筒状の小径本体部,
11cは大径本体部11aの内周面前端側に形成されて後述の前周回凸状部12dと嵌合する前周回凹状部,
11dは小径本体部11bの内周面に形成されて後述の後周回凸状部12fと嵌合する後周回凹状部,
11eは小径本体部11bのいわば底面中心部分に形成されて後述の凸状倣い部13aが前後方向に貫通する後貫通部,
11fは大径本体部11aの後端側下周面部分に形成された内容物通過用の縦孔部,
11gはボタン本体11を下方から見上げたときに縦孔部11fを取り囲む形で配設されて、後述の縦逆スカート状部17aと密接しながらその上下動を案内する内環状垂下部,
11hはボタン本体11の下側部分を構成し、後述のステムジョイント
17との間で周方向および上下方向へ相対移動しえる外環状垂下部,
11jは大径本体部11aをその前開口側からみたときの仮想的な左右対称中心面(上下方向垂直面)の一部に、外環状垂下部11hの内周面上端側から内方へ当該大径本体部の外周面まで連続形成されて、その下端面が、パルス噴射静止モード(
図1参照)では後述の縦切欠状部17fと対向し、連続噴射モード(
図6参照)では後述の周回方向起立部17eの上端面と当接する周方向等間隔の計三個の垂下片部,
11kは外環状垂下部11hの上端側内周面の垂下片部11jとは別の部分に形成されてボタン本体11の押下げ操作初期に後述のステムジョイント17の周回方向起立部17eの上端面と当接する下向きの周方向段部,
11mは外環状垂下部11hの下端側内周面に形成されて後述の連続噴射静止・作動モードおよびパルス噴射静止モードにおける円板状部17dの下面外縁部分と係合する下周回凸状部,
11nは小径本体部11bの底面部分より後側に配設された内部空間域であって、後述の凸状倣い部13aの後端側が突出し、かつ後述の
起立柱状部17gが収容される後内部空間域,
をそれぞれ示している。
【0029】
また、
図1〜
図7において、
12は大径本体部11aおよび小径本体部11bのそれぞれに外周面が嵌合するシリンダ,
12aはシリンダ12の前部分を構成して大径本体部11aの内周面に嵌合保持される大径前筒状部,
12bはシリンダ12の後部分を構成して小径本体部11bの内周面に嵌合保持される小径後筒状部,
12cは大径前筒状部12aと小径後筒状部12bとのいわば連結部分に相当する環状段部,
12dは大径前筒状部12aの前端側外周面に形成されて大径本体部11aの前周回凹状部11cと嵌合する前周回凸状部,
12eは環状段部12cに形成された内容物通過用の横孔部,
12fは小径後筒状部12bの後端側外周面に形成されて後周回凹状部11dと嵌合する後周回凸状部,
12gは小径後筒状部12bの後端内面部分からなる環状縦底面,
12hは環状縦底面12gの中央部分であって後貫通部11eと同じ形状からなり、後述の凸状倣い部13aが前後方向に貫通する前貫通部,
12jは小径後筒状部12bの前端面部分に周方向飛び飛びの状態で例えば計三個形成された内容物通過用の径方向溝状部,
をそれぞれ示している。
【0030】
図1〜
図7において、また、
13は小径後筒状部12bの内部空間域に配設された本発明の新たな構成要素であって、内容物噴射操作の解除後にボタン本体11および後述のステムジョイント
17などが静止モード位置に復帰する際、後述のシール弁14を後方へ駆動して後述の移動弁15との間のボタン側弁作用部Aを開状態にいわば強制設定し、これによりステム側弁作用部Bが閉じた後のステム出力側から当該弁作用部までの内容物通過域の内圧を外部空間域に逃がすための減圧弁(請求項の連通空間域画定部に相当),
13aは減圧弁13の後側の突出部分であって、前貫通部12hおよび後貫通部11eを介して後述のテーパカム面17hに案内される凸状倣い部,
13bは減圧弁13の前外側部分であって、シリンダ12の小径後筒状部12bの内周面に密接してシール作用を呈する後側スカート状部,
13cは後側スカート状部13bの内側に形成された前開口鞘状部,
13dは前開口鞘状部13cの内周面前端部分に形成されて、内容物噴射操作の終了後の静止モードへの復帰時に後述のシール弁14の後外側環凸状部14bとの係合作用により当該シール弁を後方に駆動する前内側環凸状部(請求項の係合部分に相当),
13eはパルス噴射静止モードや連続噴射においてシリンダ12の小径後筒状部12bの環状縦底面12gに当接する環状後側端面,
をそれぞれ示している。
【0031】
図1〜
図7において、また、
14は大径前筒状部12aの内部空間域に配設されて、後述の移動弁15との間で内容物パルス噴射用の開閉動作を繰り返す弁作用部を備え、かつ、上述したようにパルス噴射における静止モード復帰時の減圧弁13の移動により後方に駆動されて当該弁作用部を確実に開状態に設定する筒状のシール弁(請求項の第一の弁部材に相当),
14aはシール弁14の後側部分であって、減圧弁13の前開口鞘状部13cの内部を移動する後開口鞘状部,
14bは後開口鞘状部14aの後端側外周面に形成されて減圧弁13の前内側環凸状部13dと係合する後外側環凸状部,
14cは後外側環凸状部14bより前方外周面に形成されて、パルス噴射の作動モードのときに前開口鞘状部13cの前端部分といわば間欠的に当接する縦環状段部,
14dは縦環状段部14cより前方外周面に形成されて、後述の移動弁15の弁作用内周面15cとの間の接離作用により内容物パルス噴射用の弁作用部Aを構成する後広がり環テーパ状の弁作用外周面,
をそれぞれ示している。
【0032】
図1〜
図7において、また、
15は大径前筒状部12aの内部空間域にシール弁14を取り囲むかたちで配設されて、当該シール弁との間で内容物パルス噴射用の開閉動作を繰り返す弁作用部を備えたいわば内外連結二重筒状の移動弁(請求項の第二の弁部材に相当),
15aは外筒を構成し、大径前筒状部12aの内周面に密接しながら前後方向に移動する後広がりの横逆スカート状部,
15bは同じく外筒を構成し、横逆スカート状部15aより前方に配設されて大径前筒状部12aの内周面に密接しながら前後方向に移動する前広がりの前外側スカート状部,
15cは内筒の後端側内周面部分に形成されて、弁作用外周面14dとの間の接離作用により内容物パルス噴射用の弁作用部Aを構成する後広がり環テーパ状の弁作用内周面,
15dは内筒の前端部分であって、後述の横円筒状部16cの内周面に密接しながら前後方向に移動する前広がりの前内側スカート状部,
15eは移動弁15の内外連結部分の前側に前外側スカート状部15bを含む態様で形成されて後述の外側コイルスプリング6の後端側が取り付けられる前向きの環凹状部,
15fは横逆スカート状部15aの下端部分に形成されて、パルス噴射・連続噴射の静止モード,パルス噴射作動モードにおける移動弁15の最後退状態、および連続噴射作動モードのとき小径後筒状部12bの前端面部分に当接保持される縦環状平面,
をそれぞれ示している。
【0033】
図1〜
図7において、また、
16はシリンダ12の内部に減圧弁13,シール弁14および移動弁15などを組み込んだ状態で、大径前筒状部12aの内周面に嵌合保持されることにより連続噴射・パルス噴射用の弁ユニットを構成し、かつ、外部空間域への内容物噴射部として作用する鞘状のカバー体,
16aはカバー体16の前面(底面)中央に形成された内容物の噴射孔部,
16bは噴射孔部16aの直上流部分に複数形成されて作動モードにおけるシール弁14の最前進状態を保持するとともに、その隣同士の間の凹状部が当該噴射孔部への内容物通過域として作用する径方向のリブ状部,
16cは噴射孔部16aおよびリブ状部16bを取り囲む態様で形成されて、その内周面に、移動弁15の前内側スカート状部15dが密接状態で案内される横円筒状部,
16dは横円筒状部16cの外側周回方向に形成されて後述の外側コイルスプリング6の前端側を受ける後向きの環溝状部,
をそれぞれ示している。
【0034】
図1〜
図7において、また、
17は後述のステム1に嵌合状態で取り付けられて当該ステムとボタン本体11の内容物通路域とを連通させるステムジョイント,
17aはボタン本体11の内環状垂下部11gの内周面に密接した状態で上下動する縦逆スカート状部,
17bは縦逆スカート状部17aの直上流側縦方向に連続形成された内容物通過用の中間円筒状部,
17cは中間円筒状部17bの直上流側縦方向に連続形成されたステム取付け用の下側円筒状部,
17dは下側円筒状部17cなどと同一中心でその上端部分から外方に延びて、パルス噴射の静止モードおよび連続噴射の各モードのとき、下面外縁部分が外環状垂下部11hの下周回凸状部11mに当接して保持される円板状部,
17eは円板状部17dの上面外縁周方向に等間隔で形成されて、連続噴射の各モードのとき、垂下片部11jの下端面と当接する計三個の周回方向起立部,
17fは周回方向起立部17eが形成されていない周方向欠落範囲であって、パルス噴射のとき、垂下片部11jの下端面が対向・通過してボタン本体11の
図1,
図2間での上下動を許容する周方向等間隔の計三個の縦切欠状部,
17gは前側の縦切欠状部17fとは径方向反対の後側部分に形成された起立柱状部,
17hは起立柱状部17gの上端面であって減圧弁13の凸状倣い部13aが当接する前下がりのテーパカム面,
をそれぞれ示している。
【0035】
図8〜
図10において、
21は内容物噴射操作用の押下げタイプで縦型のボタン本体(請求項の操作部に相当),
21aはボタン本体21に形成された内容物通過用のL字状通路部,
21bはL字状通路部21aの下流端部側に取り付けられた内容物噴射用のノズル,
21cはノズル21bの噴射孔部,
をそれぞれ示している。
【0036】
図8〜
図10において、また、
22はその上側小径部分がL字状通路部21aの上流端側に嵌合固定された円筒状の上シリンダ,
22aは上シリンダ22の上側小径部分の下端域に連続形成されて、内側コイルスプリング5を受ける環状横平面,
22bは環状横平面22aの周方向等間隔位置から内側に略同じ高さで連続形成されて、パルス噴射作動モードのときの後述のシール弁24のいわば上動限界位置を画定する計三個の内向き凸状片部,
22cは環状横平面22aの外側に形成されて後述の移動弁25の内側逆スカート状部25dとの密接シール作用を呈する垂下円筒状部,
22dは垂下円筒状部22cの直外側に形成されて外側コイルスプリング6を受ける下向きの環溝状部,
22eは環溝状部22dの直外側に形成されて後述の下シリンダ23の上端側部分を嵌合保持する下向きの環凹状部,
をそれぞれ示している。
【0037】
図8〜
図10において、また、
23はその上端側部分が上シリンダ22の環凹状部22eに嵌合保持された円筒状の下シリンダ,
23aは下シリンダ23の下側内周面から連続形成されて後述のステムジョイント26の逆スカート状部26eが密接する内側起立円筒状部,
23bは内側起立円筒状部23aの上端面に周方向飛び飛びの態様で形成された径方向溝状部,
23cは内側起立円筒状部23aの直外側の部分で後述の移動弁25のスカート状部25aが入り込む上向きの環溝状部,
23dは環溝状部23cの底面と略同じ高さの下シリンダ外周面の周方向に形成されて、パルス噴射の静止モードおよび連続噴射(静止・作動モード)のとき後述のステムジョイント26の内環凸状部26gと係合し、これにより下シリンダ23およびこれと一体のボタン本体21の最上動位置を画定する外環凸状部,
23eは内側起立円筒状部23aへのいわば分岐部分より下側の下シリンダ部分であって周方向等間隔に形成された計三個の円弧状垂下部,
23fは円弧状垂下部23eの周方向端部の下端側に形成されてエアゾール容器本体2とボタン本体21との間の相対的な回動操作(=パルス噴射と連続噴射の選択操作)のときに後述のリブ状部26j(ステムジョイント26)の周方向側面と当接し、これにより利用者に回動操作完了を認識させるための垂下面,
23gは隣同士の円弧状垂下部23eの間に形成された計三個の切欠状部,
をそれぞれ示している。
【0038】
図8〜
図10において、また、
24はシール弁14と同一形状で、後述の移動弁25との間で内容物パルス噴射用の開閉動作を繰り返す弁作用部(ボタン側弁作用部A)を備え、かつ、パルス噴射の静止モード復帰における後述の移動弁25と一体になった上方への自らの移動時にこれよりも先に停止して当該弁作用部を確実に開状態に設定する鞘状のシール弁(請求項の第一の弁部材に相当),
24aはシール弁24の下端側外周面に形成されて後述の下内側円筒状部26aの上端内側環凸状部26bと係合する下端外側環凸状部,
24bは下端外側環凸状部24aより上方の外周面に形成されて、パルス噴射の作動モードのときに後述の下内側円筒状部26aの上端部分に当接する下向きの横環状段部,
24cは横環状段部24bより上方外周面に形成されて、後述の移動弁25の弁作用内周面25cとの間の接離作用により内容物パルス噴射用のボタン側弁作用部Aを構成する下広がり環テーパ状の弁作用外周面,
をそれぞれ示している。
【0039】
図8〜
図10において、また、
25は下シリンダ23などの内部空間域にシール弁24を取り囲むかたちで配設されて、当該シール弁との間で内容物パルス噴射用の開閉動作を繰り返す弁作用部(ボタン側弁作用部A)を備えたいわば内外連結二重筒状の移動弁(請求項の第二の弁部材に相当),
25aは外筒を構成し、下シリンダ23の内周面に密接しながら上下方向に移動する下広がりのスカート状部,
25bは同じく外筒を構成し、スカート状部25より上方に配設されて下シリンダ23の内周面に密接しながら上下方向に移動する上広がりの外側逆スカート状部,
25cは内筒の下端側内周面部分に形成されて、弁作用外周面24cとの間の接離作用により内容物パルス噴射用のボタン側弁作用部Aを構成する下広がり環テーパ状の弁作用内周面,
25dは内筒の上端部分であって、垂下円筒状部22cの内周面に密接しながら上下方向に移動する上広がりの内側逆スカート状部,
25eは移動弁25の内外連結部分の上側に外側逆スカート状部25bを含む態様で形成されて外側コイルスプリング6の下端側が取り付けられる上向きの環凹状部,
25fはスカート状部25aのいわば基部から内側に連続形成されて、パルス噴射・連続噴射の静止モード,パルス噴射作動モードにおける移動弁25の最下動状態、および連続噴射作動モードそれぞれのとき、内側起立円筒状部23aの上端面部分に当接保持される環天井面,
をそれぞれ示している。
【0040】
図8〜
図10において、また、
26はステム1に嵌合状態で取り付けられて、シール弁24に対し、減圧弁13と同様の弁作用(=ボタン側弁作用部Aの開閉作用)を呈するとともに、当該ステムと当該ボタン側弁作用部とを連通させるステムジョイント,
26aはその内部空間域をシール弁24の下端側部分が空間域内周面に案内されながら上下動し、かつ、ステム1の流出側空間域として作用する下内側円筒状部(請求項の連通空間域画定部に相当),
26bは下内側円筒状部26aの内周面上端部分に形成されて、内容物パルス噴射操作の終了後の静止モードへの復帰時にシール弁24の下端外側環凸状部24aとの係合作用により当該シール弁のそれ以上の上動を阻止して、(上動が阻止されない)移動弁25の弁作用内周面25cを当該シール弁の弁作用外周面24cから離間させるための上端内側環凸状部(請求項の係合部分に相当),
26cは下内側円筒状部26aの内周面上下方向に周方向等間隔で形成された計三個の縦溝状部,
26dは縦溝状部26cの上端部分に形成された下内側円筒状部26aの内外連通用の横孔部,
26eは横孔部26dの外側にこれを取り囲むように形成されて上下動状態の内側起立円筒状部23aの内周面に密接する逆スカート状部(請求項の連通空間域画定部に相当),
26fは下内側円筒状部26aの外側に形成された下外側円筒状部,
26gは下外側円筒状部26fの上端側内面周方向に形成されて下シリンダ23の外環凸状部23dとの係合作用によりボタン本体21の最上動位置を画定し、そこから当該ボタン本体が抜けたりしないようにする内環凸状部,
26hは下内側円筒状部26aと下外側円筒状部26fとの間の環状空間域下側に下シリンダ23の円弧状垂下部23eのそれぞれと対応する周方向等間隔の態様で形成され、パルス噴射における、当該下シリンダの当該ステムジョイントに対する上下動(
図8,
図9参照)を許容するための計三個の円弧凹状部,
26jは円弧凹状部26hそれぞれの間に形成されて、パルス噴射におけるボタン本体21の押下げ操作初期(
図9参照)の段階で、すなわちステム1が静止モード位置のままの段階で、下シリンダ23の切欠状部23gに入り込み、その上側終端部に当接するリブ状部,
をそれぞれ示している。
【0041】
ここで、ボタン本体11,21,シリンダ12,上シリンダ22,下シリンダ23,減圧弁13,シール弁14,24,移動弁15,25,カバー体16およびステムジョイント17,26は、例えばポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0042】
また、ステム1,エアゾール容器本体2,ハウジング3,内側コイルスプリング5および外側コイルスプリング6は例えばプラスチック製,金属製のものである。マウンティングカップ4は例えば金属製のものである。
【0043】
図1〜
図10のパルス・連続噴射機構におけるボタン側弁作用部Aおよびステム側弁作用部Bの開閉関係は、
(31)
図1のパルス噴射静止モード(横型)の場合、ボタン側弁作用部Aは「開」,ステム側弁作用部Bは「閉」であり、
(32)
図2の場合、ボタン側弁作用部Aは「閉」,ステム側弁作用部Bは「閉」であり、
(33)
図3および
図4の場合、ボタン側弁作用部Aは「開」,ステム側弁作用部Bは「開」であり、
(34)
図5の場合、ボタン側弁作用部Aは「閉」,ステム側弁作用部Bは「開」であり、
(35)
図6の連続噴射静止モード(横型)の場合、
図1のときと同じく、ボタン側弁作用部Aは「開」,ステム側弁作用部Bは「閉」であり、
(36)
図7の場合、ボタン側弁作用部Aは「開」,ステム側弁作用部Bは「開」であり、
(37)
図8のパルス噴射静止モード(縦型)の場合、
図1,
図6と同じく、ボタン側弁作用部Aは「開」,ステム側弁作用部Bは「閉」であり、
(38)
図9の場合、ボタン側弁作用部Aは「閉」,ステム側弁作用部Bは「閉」であり、
(39)
図10の連続噴射静止モード(縦型)の場合、
図1,
図6,
図8のときと同じく、ボタン側弁作用部Aは「開」,ステム側弁作用部Bは「閉」である。
【0044】
なお、ステム側弁作用部Bが「開」のときステム1は下位置に設定され、「閉」のときステム1は「上」位置に設定されている。
【0045】
図1〜
図7のシリンダ12およびカバー体16で画定される内部空間域には、
・シール弁14および減圧弁13からなる前後方向直列部材
・シール弁14の周りに配設された移動弁15
・シール弁14に対する内側コイルスプリング5
・移動弁15に対する外側コイルスプリング6
が収容され、その全体がユニット構造になっており取り扱いに便利である。
【0046】
また、
図8〜
図10の上シリンダ22,下シリンダ23およびステムジョイント26で画定される内部空間域には、
・シール弁24
・シール弁24の周りに配設された移動弁25
・シール弁24に対する内側コイルスプリング5
・移動弁25に対する外側コイルスプリング6
が収容され、その全体がユニット構造になっており取り扱いに便利である。
【0047】
噴射内容物の流れ経路Dは、パルス噴射および連続噴射のいずれの場合も同じであり、概略「エアゾール容器本体2−ステム1(「開」状態のステム側弁作用部B)−中間通路空間域C−「開」状態のボタン側弁作用部A−シール弁14,24の外周面と移動弁15,25の内周面との間の環状域−カバー体16の内部空間域,ボタン本体21のL字状通路部21a−噴射孔部16a,21c」となる。
【0048】
なお、中間通路空間域Cは、
(41)
図1〜
図7の横型のパルス・連続噴射機構の場合、概略、
「ステム1の内部通路域−中間円筒状部17b−縦逆スカート状部17a−内環状垂下部11g−縦孔部11f−当該縦孔部に続く、大径本体部11a,小径本体部11bおよびその内部の小径後筒状部12bなどにより画定される後端側環状空間域−横孔部12e−当該横孔部に続く、小径後筒状部12b,大径前筒状部12aおよび横逆スカート状部15aにより画定される後側外環状領域−径方向溝状部12j−当該径方向溝状部に続く、小径後筒状部12b,減圧弁13およびシール弁14などにより画定される後側内環状領域」であり、
(42)
図8〜
図10の縦型のパルス・連続噴射機構の場合、概略、
「ステム1の内部通路域−下内側円筒状部26aおよびシール弁24により画定される鞘状空間域−横孔部26d−当該横孔部に続く、下内側円筒状部26a,逆スカート状部26e,内側起立円筒状部23aおよびシール弁24などにより画定される環状空間域」である。
【0049】
図示のパルス・連続噴射機構の基本的特徴は、
(51)ボタン本体11,21の押下げ操作により周知のステム側弁作用部Bを「開」に設定した状態で、内容物出力側のボタン側弁作用部Aが「
図3−
図4−
図5−
図3−・・・」などの間欠的な開閉作用を繰り返すパルス噴射において、
(52)ボタン本体11,21の押下げ操作解除によりステム1が静止モード位置へと上動してパルス噴射機構の全体が
図1,
図8の静止モードへ復帰するとき、ステム側弁作用部Bが閉じ、これにともない同じく閉状態に移行してしまうボタン側弁作用部A(
図2,
図9参照)を、中間通路空間域Cの内圧作用で開状態に強制シフトさせる、
すなわち、
・横型のボタン本体11を用いたパルス噴射の場合(
図1参照)、
中間通路空間域Cの内圧作用により
図2の位置の減圧弁13がステムジョイント17のテーパカム面17hに倣いながら後上方に移動して、その前内側環凸状部13dとシール弁14の後外側環凸状部14bとの係合作用に基づき当該シール弁も後退し、その結果、当該シール弁の弁作用外周面14dが移動弁15の弁作用内周面15cから離間し、
・縦型のボタン本体21を用いたパルス噴射の場合(
図8参照)、
中間通路空間域Cの内圧作用により
図9の位置のシール弁24および移動弁25のいわば一体物が上方に移動する途中で、当該シール弁は、その下端外側環凸状部24aがステムジョイント26(下内側円筒状部26a)の上端内側環凸状部26bに係止された状態で停止し、その後の移動弁25の上方向への継続移動にともない当該移動弁の弁作用内周面25cが当該シール弁の弁作用外周面24cから離間する、
(53)また、静止モードにおいてボタン本体11,21と、エアゾール容器本体2との間の相対的な周方向回動操作を行うことにより、パルス噴射および通常の連続噴射を選択できる、
ことなどである。
【0050】
図2および
図9のパルス噴射対応の押下げ操作初期段階において、周知の強い弾性力で上方向に付勢されたステム1およびこれと一体のステムジョイント17,26は、
図1,
図8のパルス噴射静止モード位置のままである。
【0051】
すなわち、ボタン本体11,21およびこれと一体のシリンダ12,上シリンダ22,および下シリンダ23などが、静止モード位置にとどまるステム1などに対して下方へシフトした状態である。
【0052】
このようにボタン本体11,21それぞれが、
図1,
図8の静止モード位置のままのステム1に対して
図2,
図9の位置へ下方シフトできるのは、
(61)
図1の横型のボタン本体11の場合、その垂下片部11jのそれぞれがステムジョイント17の縦切欠状部17fと対向し、
(62)
図8の縦型のボタン本体21の場合、これと一体化した状態の下シリンダ23の円弧状垂下部23eがステムジョイント26の円弧凹状部26hと対向し、かつ、当該下シリンダの切欠状部23gが当該ステムジョイントのリブ状部26jと対向し、
(63)これら対向状態に設定された一対の構成要素それぞれの一方に他方が入り込める、
からである。
【0053】
図1および
図8のパルス噴射静止モードのボタン本体11,21をエアゾール容器本体2に対し周方向に相対的な回動操作をすると、当該ボタン本体とステムジョイント17,26との周方向位置がずれて、上記(61),(62)それぞれの対向関係がなくなる。
【0054】
この回動操作により
図6および
図10の連続噴射静止モードに移行する。連続噴射静止モードへの移行後も、パルス噴射静止モードにおけるボタン側弁作用部Aの「開」状態は維持される。
【0055】
図6および
図10の連続噴射静止モードのとき、
(71)ボタン本体11は、その垂下片部11jがステムジョイント17の周回方向起立部17eと略対向当接し、
(72)ボタン本体21は、これと一体化した状態の下シリンダ23の円弧状垂下部23eがステムジョイント26のリブ状部26jの上端面と略対向当接する。
【0056】
これら(71),(72)の略対向当接した状態が設定されることにより、
図6および
図10のボタン本体11,21とステム1とは上下方向に一体化される。
【0057】
すなわちボタン本体11,21が押下げ操作されるとすぐにステム1が下方向に連動する。パルス噴射のときのように、ステム1が静止モード位置のままでボタン本体11,21が下動するといったことは生じない。
【0058】
この押下げ操作時の連動により、通常のエアゾール噴射機構と同様に、ステム側弁作用部Bがそれまでの「閉」状態から「開」状態へとシフトしてエアゾール容器本体2の内容物が流れ経路Dのルートで噴射孔部16a,21cから外部空間域に連続噴射される。
【0059】
このときの連続噴射内容物の流路(流れ経路D)は
図3〜
図5のパルス噴射における内容物流路と同じである。
【0060】
図1は、横型のボタン本体11を用いた場合のパルス噴射静止モードを示しており、
(81)ステム1は、周知のコイルスプリング(図示省略)の弾性作用などによって上動復帰位置に保持され、
(82)ボタン本体11は、前回の噴射操作解除にともなう上動位置で保持され、すなわちその内環状垂下部11gの下端側内周面にステムジョイント17の縦逆スカート状部17aが密接し、かつ、その下周回凸状部11mが当該ステムジョイントの周回方向起立部17eの下端縁部分に当接し、
(83)減圧弁13は、前回のボタン本体11の押下げ操作解除時に中間通路空間域Cの内圧作用で後方にシフトする際、その前内側環凸状部13dとシール弁14の後外側環凸状部14bとの係合作用により当該シール弁を後退させて、ボタン側弁作用部Aを離間状態に強制設定し、
(84)この後方シフトにより、減圧弁13の環状後側端面13eがシリンダ12の小径後筒状部12bの環状縦底面12gに当接し、
(85)移動弁15は、外側コイルスプリング6と小径後筒状部12bの環状前端面とのいわば挟持作用により、その弁作用内周面15cがシール弁14の弁作用外周面14dから離間する形で保持され、
(86)シール弁14とカバー体16との間に配設された内側コイルスプリング5は、その略自然長状態であり、
(87)ボタン本体11と一体のシリンダ12に配設された減圧弁13の凸状倣い部13aは、前回のボタン本体11の押下げ操作解除後のテーパカム面17hに対する上動位置に当接保持されている。
【0061】
図8は、縦型のボタン本体21を用いた場合のパルス噴射静止モードを示している。
ここで、上シリンダ22および下シリンダ23の内部に配設された内側コイルスプリング5,外側コイルスプリング6,シール弁24および移動弁25の関連構成は、
図1の場合と略同じである。
【0062】
ただ、
図1の減圧弁13に相当するのはステムジョイント26の上端内側環凸状部26bおよび逆スカート状部26eなどである。
【0063】
これは、ボタン本体21と減圧弁との移動方向が同じであり、ボタン本体11と減圧弁13との移動方向が異なる
図1〜
図7のパルス・連続噴射機構のようにいわば方向変換用のテーパカム面17hを用いる、必要がないからである。
【0064】
なお、ボタン本体11,21がそれぞれ
図1,
図8のパルス噴射静止モードの位置に安定保持されるのは、
図1においては、内環状垂下部11gと縦逆スカート状部17aとの摩擦係合および小径後筒状部12bと後側スカート状部13bとの摩擦係合によるためであり、
図8においては、内側起立円筒状部23aと逆スカート状部26eとの摩擦係合によるためである。
【0065】
ボタン本体11を用いた横型パルス噴射(
図1〜
図5)と、ボタン本体21を用いた縦型パルス噴射(
図8,
図9)との噴射機構上の実質的な違いは、それぞれのボタン本体に対する押下げ操作を利用者が解除した時のボタン側弁作用部Aの開状態への具体的な移行動作である。
【0066】
すなわち、ボタン本体11,21のパルス噴射押下げ操作が解除されると、いずれの噴射機構の場合もステム1が周知のコイルスプリング(図示省略)の弾性作用で上動して、先ず
図2,
図9の押下げ操作初期段階を経る。このときステム側弁作用部Bは閉状態に移行する。
【0067】
このステム側弁作用部Bの閉状態シフトにともない、ボタン側弁作用部Aも、内側コイルスプリング5および外側コイルスプリング6の弾性作用で先ず閉状態に移行する。
【0068】
そして、このボタン側弁作用部Aが閉じた状態の中間通路空間域Cの内圧を受けて、
図2の移動可能な減圧弁13,シール弁14および移動弁15が、また、
図8の移動可能なシール弁24および移動弁25がそれぞれ変位しようとする。
【0069】
この変位の態様が、ボタン本体11の横型パルス噴射機構とボタン本体21の縦型パルス噴射機構とで異なっている。
【0070】
すなわち、
(91)
図2のボタン本体11の横型パルス噴射機構の場合、
〔減圧弁13+シール弁14〕は、その移動可能方向である前後方向への受圧面積において減圧弁13の方が大きく、また内側コイルスプリング5の弾性力が小さいため、ボタン本体11と固定状態のシリンダ12に対して、当該減圧弁が、その前内側環凸状部13dと当該シール弁の後外側環凸状部14bとの係合状態で後方向へと移動し、これにより当該シール弁の弁作用外周面14dが移動弁15の弁作用内周面15cから離間した
図1の静止モードへ復帰し、
(92)
図8のボタン本体21の横型パルス噴射機構の場合、
〔シール弁24+移動弁25〕は、いわば一体となって中間通路空間域Cの内圧を受け、ステム1に固定状態のステムジョイント26に対して上方向へと移動し、かつ、その移動途中で当該シール弁はその下端外側環凸状部24aが当該ステムジョイントの上端内側環凸状部26bに係合して停止し、その後は当該移動弁のみが上動し、これにより当該移動弁の弁作用内周面25cが当該シール弁の弁作用外周面24cから離間した
図8の静止モードへ復帰する。
【0071】
このようにパルス噴射作動モードにおけるボタン本体11,21の押下げ操作が解除されるとボタン側弁作用部Aが確実に開状態に設定される。
【0072】
このボタン側弁作用部Aの確実な開状態設定により、パルス噴射終了後の中間通路空間域Cの内圧は大気圧程度まで減少し、パルス噴射押下げ操作の解除直後に当該中間通路空間域に残留した内容物も外部空間域に流出する。
【0073】
図2および
図9はパルス噴射押下げ操作の初期段階であって、上述したように、強い弾性力で上方に付勢されるステム1およびこれに取り付けられたステムジョイント17,26は、
図1および
図8の静止モード位置のままである。
【0074】
図2の場合、ボタン本体11の内部に組み込まれた減圧弁13は、その凸状倣い部13aがステムジョイント17のテーパカム面17hおよびシール弁14の後側外周面などに案内されながら
図1の静止モード位置よりも前方に移動している。
【0075】
この減圧弁13の前方移動にともない、当該減圧弁の前開口鞘状部13cの前端部分がシール弁14の縦環状段部14cに当接して当該シール弁を前方に駆動し、これにより当該シール弁の弁作用外周面14dが移動弁15の弁作用内周面15cと密接する。移動弁15の前後方向位置は
図1のままである。
【0076】
図2のボタン本体11は、その周方向段部11kが、ステムジョイント17の周回方向起立部17eの上端面に当接しており、以後の連続したボタン本体押下げ操作では当該ステムジョイントおよびこれと一体のステム1も下動する。
【0077】
図8の場合、パルス噴射押下げ操作により、先ずボタン本体21およびこれと一体の下シリンダ23に対して、シール弁24は、その横環状段部24bがステムジョイント26の下内側円筒状部26aの環状上端面に当接し、かつ、その弁作用外周面24cが移動弁25の弁作用内周面25cに密接した
図9の状態に移行する。
【0078】
この移行後の下シリンダ23に対する移動弁25の上下方向位置は
図8のままである。換言すれば、上シリンダ22および下シリンダ23に収容保持された外側コイルスプリング6および移動弁25は、なんらシリンダ内部で変位,移動することなく、いわばこの上下シリンダとの一体物として
図8から
図9の位置へと移動する。
【0079】
図9の下シリンダ23は、その切欠状部23gの上側終端部が、ステムジョイント26のリブ状部26jの上端面に略当接しており、以後の連続したボタン本体押下げ操作では当該ステムジョイントおよびこれと一体のステム1も下動する。
【0080】
このようにステム1と上下方向に一体化したボタン本体11,21がそれぞれの押下げ操作継続により、
図2,
図9の位置から下方へ移動する、すなわち当該ステムが下動すると周知のようにステム側弁作用部Bが「閉」状態から「開」状態にシフトする。
【0081】
このステム側弁作用部Bの「開」状態シフトにより、エアゾール容器本体2の内容物が中間通路空間域Cに流入して当該空間域の内圧が大きくなる。
【0082】
パルス噴射機構は、この中間通路空間域Cへの内容物流入に基づくボタン側弁作用部Aの連続した開閉作用により噴射状態と噴射停止状態とが繰り返されるパルス噴射動作をおこなう。
【0083】
パルス噴射動作は、
(101)先ず、中間通路空間域Cの内圧増加にともない、
図2におけるステム下動位置のシール弁14および移動弁15、ならびに
図9におけるステム下動位置のシール弁24および移動弁25のそれぞれ一対の弁部材が、ボタン側弁作用部Aの「閉」状態のまま内側コイルスプリング5および外側コイルスプリング6の弾性力に抗しながら前方または上方に移動し、
(102)この移動途中において、シール弁14,24の方がそれぞれカバー体16のリブ状部16bおよび上シリンダ22の内向き凸状片部22bに当たって停止し、この停止後は移動弁15,25のみが動くことによりボタン側弁作用部A(弁作用外周面14d+弁作用内周面15c:弁作用外周面24c+弁作用内周面25c)が開き、その結果、エアゾール容器本体2などの内容物が流れ経路Dの形で外部空間域に噴射され(
図3参照)、
(103)この内容物の外部空間域への噴射にともないボタン側弁作用部Aの直下流側(中間通路空間域Cの一部)の前方への内圧が減少して、内側コイルスプリング5および外側コイルスプリング6の後方への弾性力が勝る結果、シール弁14,24および移動弁15,25は当該ボタン側弁作用部が「開」で内容物噴射状態のまま後退し(
図4参照)、
(104)このパルス噴射状態での後退動作は、
図2の場合と同様に、
シール弁14,24の縦環状段部14cおよび横環状段部24bがそれぞれ前開口鞘状部13cの前端部分および下内側円筒状部26aの上端部分に当接保持され、
かつ、移動弁15,25の縦環状平面15fおよび環天井面25fがそれぞれ小径後筒状部12bの前端部分および内側起立円筒状部23aの上端部分に当接保持されて、ボタン側弁作用部Aが閉じた状態で停止し(
図5参照)、
(105)この停止後、上記(101)の動作へと復帰する、
といったことを繰り返している。
【0084】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であり例えば、
(111)
図1および
図8のパルス噴射静止モードにおけるボタン本体11,21の位置、すなわちステムジョイント17,26から上動した位置を積極的に保持するためのパルス噴射構造にする、
(112)内容物噴射操作部として、図示の押下げタイプの操作ボタンの代わりにトリガレバータイプの操作部材を用いる、
(113)上述の回動操作によりパルス噴射静止モードと連続噴射静止モードとを選択する際のボタン本体11,21などの回動位置を示す目印やクリック感生成部などを設ける、
ようにしてもよい。
【0085】
本発明が適用されるエアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,冷却剤,筋肉消炎剤,育毛剤,染毛剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,日焼け止め,化粧水,クレンジング剤,制汗剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,園芸用剤,殺虫剤,害虫忌避剤,動物忌避剤,消臭剤などの各種用途のものがある。
【0086】
容器本体に収容される内容物としては、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いる。内容物に配合される成分は例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などである。
【0087】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,塩化マグネシウム,シリカ,酸化亜鉛,酸化チタン,ゼオライト,ナイロンパウダー,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0088】
油成分としては、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油,ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油などの油脂,流動パラフィンなどの炭化水素油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などの脂肪酸などを用いる。
【0089】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0090】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤,ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリグリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤,ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤,塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0091】
高分子化合物としては、ヒドロキシエチルセルロース,メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0092】
各用途に応じた有効成分としては、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,過酸化水素水などの酸化剤,アクリル系樹脂やワックスなどのセット剤,パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルなどの紫外線吸収剤,レチノールやdl−α−トコフェロールなどのビタミン,ヒアルロン酸などの保湿剤,サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤,安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤,ピレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤,パラフェノールスルホン酸亜鉛などの制汗剤,カンフル,メントールなどの清涼剤,エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬,スクラロース,アスパルテームなどの甘味料,エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料,パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,過酸化水素水などの酸化剤,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0093】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,乳化剤,酸化防止剤,金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0094】
内容物放出射用の噴射剤としては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。