【実施例】
【0064】
次いで、本発明の実施例について説明する。本実施例では、ICチップの押圧面に形成した凹部の深さD、凹部の出力バンプ領域側の端部と出力バンプ領域の最も内側に配列された出力バンプ列の内側縁との距離C及び凹部の入力バンプ領域側の端部と入力バンプ領域に配列された入力バンプ列の内側縁との距離J、並びに緩衝材の厚みT
1を変えて接続体サンプルを形成し、内側の出力バンプ列及び外側の出力バンプ列における導電性粒子の変形量を測定、評価した(
図1、
図4参照)。
【0065】
[評価用ICチップ]
本実施例に用いたICチップは、20mm×1.5mm、基板の最大厚さ160μmであり、実装面の一方の側縁には長手方向に沿って出力バンプが配列された出力バンプ領域が設けられ、他方の側縁には長手方向に沿って入力バンプが配列された入力バンプ領域が形成されている。出力バンプ領域には実装面の幅方向にわたって出力バンプ列が3列並列され、入力バンプ領域には入力バンプ列が1列で形成されている。また、出力バンプ領域の幅方向の長さAは400μmとし、入力バンプ領域の幅方向の長さは140μmとした。なお、3つの出力バンプ列を構成する各出力バンプは千鳥状に配列されている(
図2参照)。また、出力バンプ領域と入力バンプ領域の間のバンプ間領域の幅は800μmである。
【0066】
[評価用基板]
評価用のICチップが搭載される回路基板は厚さ200μmのガラス基板であり、実装面には、Al層がいわゆるベタ配線で形成されている。
【0067】
[緩衝材・異方性導電フィルム]
ICチップの実装は異方性導電フィルムをガラス基板の実装面に貼着した後、ICチップの押圧面を、緩衝材を介して熱圧着ツールによって所定温度、圧力、時間で加熱押圧することにより行った。緩衝材としてはテフロン(登録商標)を用い、厚さ50μm及び100μmのものを用意した。
【0068】
異方性導電フィルムは、エポキシ系熱硬化タイプのものであり、フェノキシ樹脂(PKHH、巴工業株式会社製)25質量部、エポキシ樹脂(EP828、三菱化学株式会社製)10質量部、カチオン系硬化剤(SI−60L、三新化学工業株式会社製)10質量部、シランカップリング剤(A−187、モメンティブ・パフォーマンスマテリアルズ社製)2質量部、導電性粒子(AUL703、積水化学工業株式会社製、アクリル樹脂粒子の表面にNi/Auメッキ被膜が形成された金属被膜樹脂粒子、平均粒子径3.0μm)30質量部を、撹拌装置を用いて均一になるように混合した。混合後の配合物を剥離処理したPETフィルム上に乾燥後の平均厚みが10μmとなるように塗布、乾燥させることにより作製した。また、熱圧着ツールによるICチップの圧着条件は、150℃、90MPa、5秒とした。
【0069】
[第1の実施例]
第1の実施例では、凹部の端部と入出力バンプ列の内側縁との距離C,Jを一定とし、緩衝材の厚みに対する凹部の深さDを変えた接続体サンプルを形成し、外側の出力バンプ列及び内側の出力バンプ列において、圧縮変形された導電性粒子の径を測定した。そして、両出力バンプ列における変形後の導電性粒子径が2.4μm以下の場合を◎、一方又は両方の出力バンプ列における変形後の導電性粒子径が2.4μmより大きく2.6μm以下の場合を○、一方又は両方の出力バンプ列における変形後の導電性粒子径が2.7μm以上の場合を×とした。
【0070】
[実施例1]
実施例1では、凹部深さDを50μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを50μmとした(
図4(B))。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0071】
実施例1に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.6μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0072】
[実施例2]
実施例2では、凹部深さDを60μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを50μmとした(
図4(B))。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0073】
実施例2に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.4μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0074】
[実施例3]
実施例3では、凹部深さDを100μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを50μmとした(
図4(B))。また、厚さ100μmの緩衝材を用いた。
【0075】
実施例3に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.5μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0076】
[実施例4]
実施例4では、凹部深さDを110μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを50μmとした(
図4(B))。また、厚さ100μmの緩衝材を用いた。
【0077】
実施例4に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.3μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0078】
[比較例1]
比較例1では、ICチップの押圧面に凹部を設けなかった。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0079】
比較例1に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.8μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.1μmであった。
【0080】
[比較例2]
比較例2では、凹部深さDを40μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを50μmとした(
図4(B))。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0081】
比較例2に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.7μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.3μmであった。
【0082】
[比較例3]
比較例3では、凹部深さDを90μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを50μmとした(
図4(B))。また、厚さ100μmの緩衝材を用いた。
【0083】
比較例3に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.8μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0084】
【表1】
【0085】
表1に示すように、実施例1〜4に係るICチップは、凹部深さDが緩衝材の厚み以上の深さを有することから、熱圧着ツールに押圧面が押圧された際にも、緩衝材が凹部の底面を押圧することなく、バンプ間領域が凹むように反りが生じることを防止することができた。そのため、実施例1〜4に係る接続体サンプルは、外側の出力バンプ列においても圧縮変形後の導電性粒子径が2.6μm以下となり、良好な導通性を有するものとなった。
【0086】
一方、比較例1では凹部が設けられていないため、比較例2及び3では、凹部深さDが緩衝材の厚み未満の深さであったことから、緩衝材を介して熱圧着ツールの押圧力がバンプ間領域に伝わり、入力バンプ列及び内側の出力バンプ列の各内側縁を支点にバンプ間領域が凹むように反りが生じた。そのため、比較例1〜3に係る接続体サンプルは、外側の出力バンプ列において熱圧着ツールによる押圧力が不足し、圧縮変形後の導電性粒子径が2.7μm以上となり、導通不良となる恐れが生じた。
【0087】
[第2の実施例]
第2の実施例では、凹部の端部と入出力バンプ列の内側縁との距離C,Jを変えた接続体サンプルを形成し、外側の出力バンプ列及び内側の出力バンプ列において、圧縮変形された導電性粒子の径を測定した。圧縮変形後の導電性粒子径の評価は第1の実施例と同じである。
【0088】
[実施例5]
実施例5では、凹部深さDを60μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを−30μmとした。すなわち、実施例5に係るICチップは、凹部の端部が入出力バンプ領域と30μm重畳する位置まで形成されている(
図4(A))。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の一方の側縁側に向かって7.5%の位置となる。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0089】
実施例5に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.5μmであった。
【0090】
[実施例6]
実施例6では、凹部深さDを60μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを−20μmとした。すなわち、実施例6に係るICチップは、凹部の端部が入出力バンプ領域と20μm重畳する位置まで形成されている(
図4(A))。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の一方の側縁側に向かって5%の位置となる。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0091】
実施例6に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.3μmであった。
【0092】
[実施例7]
実施例7では、凹部深さDを60μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを0μmとした。すなわち、実施例7に係るICチップは、凹部の端部が入出力バンプ領域の内側縁と重畳する位置まで形成されている。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の一方の側縁側に向かって0%の位置となる。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0093】
実施例7に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.1μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.0μmであった。
【0094】
[実施例8]
実施例8では、凹部深さDを60μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを50μmとした(
図4(B))。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の他方の側縁側に向かって12.5%の位置となる。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0095】
実施例8に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.4μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0096】
[実施例9]
実施例9では、凹部深さDを60μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを100μmとした(
図4(B))。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の他方の側縁側に向かって25%の位置となる。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0097】
実施例9に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.5μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.3μmであった。
【0098】
[実施例10]
実施例10では、凹部深さDを60μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを150μmとした(
図4(B))。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の他方の側縁側に向かって37.5%の位置となる。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0099】
実施例10に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.6μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.1μmであった。
【0100】
[比較例4]
比較例4では、凹部深さDを60μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを−50μmとした。すなわち、比較例4に係るICチップは、凹部の端部が入出力バンプ領域と50μm重畳する位置まで形成されている(
図4(A))。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の一方の側縁側に向かって12.5%の位置となる。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0101】
比較例4に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.7μmであった。
【0102】
[比較例5]
比較例5では、凹部深さDを60μm、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離Jを200μmとした(
図4(B))。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の他方の側縁側に向かって50%の位置となる。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0103】
比較例5に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.8μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0104】
【表2】
【0105】
表2に示すように、実施例5〜10に係るICチップは、凹部の出力バンプ領域側の端部が、最も内側の出力バンプ列の内側縁から一方の側縁側に向かって出力バンプ領域の幅方向の長さAの12.5%未満の領域と、最も内側の出力バンプ列の内側縁から他方の側縁側に向かって出力バンプ領域の幅方向の長さAの50%未満の領域との間に位置されている。したがって、実施例5〜10に係る接続体サンプルでは、緩衝材を介して熱圧着ツールによって出力バンプ領域と重畳する領域が押圧されるとともに、バンプ間領域と重畳する領域が過剰に押圧されることもない。したがって、熱圧着ツールの圧力が出力バンプ領域に集中し、バンプ間領域における反りが抑制されるとともに、熱圧着ツールによって外側及び内側の出力バンプ列も十分に押圧することができる。そのため、実施例5〜10に係る接続体サンプルは、外側の出力バンプ列においても圧縮変形後の導電性粒子径が2.6μm以下となり、良好な導通性を有するものとなった。
【0106】
一方、比較例4に係るICチップは、凹部の出力バンプ領域側の端部が、最も内側の出力バンプ列の内側縁から一方の側縁側に向かって出力バンプ領域の幅方向の長さAの12.5%の位置まで凹部が形成されているため、出力バンプ領域に重畳する領域における熱圧着ツールによる加圧領域が一方の側縁側に偏り、出力バンプ領域の最も内側に配列された出力バンプ列に対する押圧力が不足する。そのため、比較例4に係る接続体サンプルでは、内側の出力バンプ列において熱圧着ツールによる押圧力が不足し、圧縮変形後の導電性粒子径が2.7μmとなり、導通不良となる恐れが生じた。
【0107】
また、比較例5に係るICチップは、凹部の出力バンプ領域側の端部が、最も内側の出力バンプ列の内側縁から他方の側縁側に向かって出力バンプ領域の幅方向の長さAの50%の位置まで凹部が形成されているため、緩衝材を介して熱圧着ツールの押圧力がバンプ間領域に伝わり、入力バンプ列及び内側の出力バンプ列の各内側縁を支点にバンプ間領域が凹むように反りが生じた。そのため、比較例5に係る接続体サンプルは、外側の出力バンプ列において熱圧着ツールによる押圧力が不足し、圧縮変形後の導電性粒子径が2.7μm以上となり、導通不良となる恐れが生じた。
【0108】
[第3の実施例]
第3の実施例では、凹部の出力バンプ領域側の端部と出力バンプ列の内側縁との距離Cと,凹部の入力バンプ領域側の端部と入力バンプ列の内側縁との距離Jとを変えた接続体サンプルを形成し、外側の出力バンプ列及び内側の出力バンプ列において、圧縮変形された導電性粒子の径を測定した。圧縮変形後の導電性粒子径の評価は第1の実施例と同じである。
【0109】
[実施例11]
実施例11に係るICチップは、凹部深さDを60μmとし、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の出力バンプ領域側の端部との距離Cを−30μmとした。すなわち、凹部の出力バンプ領域側の端部が出力バンプ領域と30μm重畳する位置まで形成されている。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の一方の側縁側に向かって7.5%の位置となる。また、実施例11に係るICチップは、入力バンプ列の内側縁と凹部の入力バンプ領域側の端部との距離Jを150μmとした。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0110】
実施例11に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.3μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.6μmであった。
【0111】
[実施例12]
実施例12に係るICチップは、凹部深さDを60μmとし、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の出力バンプ領域側の端部との距離Cを−20μmとした。すなわち、凹部の出力バンプ領域側の端部が出力バンプ領域と20μm重畳する位置まで形成されている。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の一方の側縁側に向かって5%の位置となる。また、実施例12に係るICチップは、入力バンプ列の内側縁と凹部の入力バンプ領域側の端部との距離Jを50μmとした。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0112】
実施例12に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.3μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.4μmであった。
【0113】
[実施例13]
実施例13に係るICチップは、凹部深さDを60μmとし、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の出力バンプ領域側の端部との距離Cを50μmとした。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の他方の側縁側に向かって12.5%の位置となる。また、実施例13に係るICチップは、入力バンプ列の内側縁と凹部の入力バンプ領域側の端部との距離Jを−20μmとした。すなわち、凹部の入力バンプ領域側の端部が入力バンプ領域と20μm重畳する位置まで形成されている。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0114】
実施例13に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.4μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0115】
[実施例14]
実施例14に係るICチップは、凹部深さDを60μmとし、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の出力バンプ領域側の端部との距離Cを150μmとした。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の他方の側縁側に向かって37.5%の位置となる。また、実施例14に係るICチップは、入力バンプ列の内側縁と凹部の入力バンプ領域側の端部との距離Jを−30μmとした。すなわち、凹部の入力バンプ領域側の端部が入力バンプ領域と30μm重畳する位置まで形成されている。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0116】
実施例14に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.6μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0117】
[比較例6]
比較例6に係るICチップは、凹部深さDを60μmとし、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の出力バンプ領域側の端部との距離Cを−50μmとした。すなわち、凹部の出力バンプ領域側の端部が出力バンプ領域と50μm重畳する位置まで形成されている。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の一方の側縁側に向かって12.5%の位置となる。また、比較例6に係るICチップは、入力バンプ列の内側縁と凹部の入力バンプ領域側の端部との距離Jを200μmとした。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0118】
比較例6に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.7μmであった。
【0119】
[比較例7]
比較例7に係るICチップは、凹部深さDを60μmとし、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の出力バンプ領域側の端部との距離Cを200μmとした。これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(400μm)の他方の側縁側に向かって50%の位置となる。また、比較例7に係るICチップは、入力バンプ列の内側縁と凹部の入力バンプ領域側の端部との距離Jを−50μmとした。すなわち、凹部の入力バンプ領域側の端部が入力バンプ領域と50μm重畳する位置まで形成されている。また、厚さ50μmの緩衝材を用いた。
【0120】
比較例7に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.8μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.1μmであった。
【0121】
【表3】
【0122】
表3に示すように、実施例11〜14に係るICチップは、凹部の出力バンプ領域側の端部が、最も内側の出力バンプ列3内側縁から一方の側縁側に向かって出力バンプ領域の幅方向の長さAの12.5%未満の領域と、最も内側の出力バンプ列の内側縁から他方の側縁側に向かって出力バンプ領域の幅方向の長さAの50%未満の領域との間に位置されている。したがって、実施例11〜14に係る接続体サンプルは、凹部の入力バンプ領域側の端部の位置に関わらず、上述した実施例5〜10と同様に、緩衝材を介して熱圧着ツールによって出力バンプ領域と重畳する領域が押圧されるとともに、バンプ間領域と重畳する領域が過剰に押圧されることもない。したがって、熱圧着ツールの圧力が出力バンプ領域に集中し、バンプ間領域における反りが抑制されるとともに、熱圧着ツールによって外側及び内側の出力バンプ列も十分に押圧することができる。そのため、実施例11〜14に係る接続体サンプルは、外側の出力バンプ列においても圧縮変形後の導電性粒子径が2.6μm以下となり、良好な導通性を有するものとなった。
【0123】
一方、比較例6に係るICチップは、凹部の出力バンプ領域側の端部が、最も内側の出力バンプ列の内側縁から一方の側縁側に向かって出力バンプ領域の幅方向の長さAの12.5%の位置まで凹部が形成されているため、出力バンプ領域に重畳する領域における熱圧着ツールによる加圧領域が一方の側縁側に偏り、出力バンプ領域の最も内側に配列された出力バンプ列に対する押圧力が不足する。そのため、比較例6に係る接続体サンプルでは、内側の出力バンプ列において熱圧着ツールによる押圧力が不足し、圧縮変形後の導電性粒子径が2.7μmとなり、導通不良となる恐れが生じた。
【0124】
また、比較例7に係るICチップは、凹部の出力バンプ領域側の端部が、最も内側の出力バンプ列の内側縁から他方の側縁側に向かって出力バンプ領域の幅方向の長さAの50%の位置まで凹部が形成されているため、緩衝材を介して熱圧着ツールの押圧力がバンプ間領域に伝わり、入力バンプ列及び内側の出力バンプ列の各内側縁を支点にバンプ間領域が凹むように反りが生じた。そのため、比較例7に係る接続体サンプルは、外側の出力バンプ列において熱圧着ツールによる押圧力が不足し、圧縮変形後の導電性粒子径が2.7μm以上となり、導通不良となる恐れが生じた。
[緩衝材の変形例]
【0125】
次いで、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、上述したICチップ1、回路基板10、接続体20の構成と同じ構成については、同じ符号を付してその詳細を省略する。
【0126】
本発明は、ICチップ1の押圧面8に凹部9を設けることなく、緩衝材41に凹部42を設けてもよい。緩衝材41は、上述した緩衝材15と同様に、ICチップ1を回路基板10に異方性導電接続する際に、ICチップ1の押圧面8と熱圧着ツール40との間に介在させるものである。
【0127】
図7(A)に示すように、緩衝材41は、ICチップ1の押圧面8に密着させる面に、出力バンプ領域4と入力バンプ領域6との間のバンプ間領域7と重畳する凹部42が設けられている。
図8に示すように、緩衝材41は、矩形状に形成され、幅方向の両側にICチップ1の入出力バンプ領域4,6と重畳する凸部43が長手方向にわたって形成されるとともに、凸部43の間にバンプ間領域7と重畳する凹部42が長手方向にわたって形成されている。
【0128】
緩衝材41は、バンプ間領域7と重畳する位置に凹部42を設けることにより、出力バンプ領域4及び入力バンプ領域6と重畳する凸部43が相対的に突出され、熱圧着ツール40の押圧力を局所的に伝えることができる。
【0129】
これにより、緩衝材41は、熱圧着ツール40の圧力を出力バンプ領域4と入力バンプ領域6とに集中させ、ICチップ1の反りを抑制するとともに、複数の出力バンプ列3A〜3Cが配列された出力バンプ領域4の幅方向に亘る圧力勾配が緩やかに均され、当該一方の側縁2a側において熱圧着ツール40による押圧力が不足する事態を防止する。したがって、ICチップ1は、当該一方の側縁2a側に形成された外側の出力バンプ3においても回路基板10に形成された出力端子16との間で確実に導電性粒子を挟持し、導通性を確保することができる。
【0130】
このように、凹部42が形成された緩衝材41を介在させることにより、ICチップ1は、熱圧着ツール40によって出力バンプ3及び入力バンプ5が十分に押圧され、入出力バンプ3,5と回路基板10に設けられた入出力端子16,17との間で導電性粒子を十分に押し込むことができ、良好な導通性を得る。
【0131】
凹部42を有する緩衝材41は、例えばポリイミド、シリコーンラバー、ポリテトラフルオロエチレン等、一般に異方性導電フィルムを用いた接続時に緩衝材として用いられる公知の材料を用いて製造することができ、また、例えば射出成形や押出し成形によって製造することができる。
【0132】
また、緩衝材41は、表面を切削することにより凹部42を形成することができる。また、緩衝材41は、
図9に示すように、入出力バンプ領域4,6と重畳する位置に、バンプ間領域7と重畳する領域との間に段差を形成する補助部材44を設けることにより形成してもよい。補助部材44は、緩衝材41に用いることができる材料、例えば耐熱性に優れるPIフィルムが用いられ、接着部材によって緩衝材41に接着される。また、補助部材44は、絶縁ペーストを塗布し硬化させることにより設けてもよい。実用上、緩衝材41は単一の部材であることが好ましい。異方性接続は連続的に行うため、複数の部材を組み合わせたものより、単一であることが同一条件にし易いからである。
【0133】
凹部42及び凸部43が形成された緩衝材41は、
図10(A)に示すように、フィルム状に形成され、長手方向に沿って凹部42が連続する。あるいは。緩衝材41は、
図10(B)に示すように、フィルム状に形成され、短手方向に沿って形成された凹部42及び凸部43が長手方向に沿って交互に形成される。そして、緩衝材41は、ロール状に巻回されて保管され、接続体20の製造工程においてロール体より引き出され、熱圧着ツールとICチップ1や異方性導電フィルム30との間に配置されて使用される。
【0134】
[凹部深さD]
凹部42は、緩衝材41の全厚さT
3の25%以上の深さD
1を有することが好ましい。これにより、緩衝材41は、熱圧着ツール40に押圧された際にも、凹部42が押圧面8を押圧することなく、ICチップ1にバンプ間領域7が凹むように反りが生じることを防止することができる。
【0135】
一方、凹部42の深さD
1が緩衝材41の全厚さT
3の25%未満となると、緩衝材41は、熱圧着ツール40に押圧された際に凹部42が撓んで押圧面8に当接し、熱圧着ツール40の押圧力がバンプ間領域に伝わってICチップ1にバンプ間領域7が凹むように反りが生じ得る。そのため、ICチップ1は、外側の出力バンプ列において熱圧着ツール40による押圧力が不足し、導通不良となる恐れが生じる。
【0136】
[出力バンプの内側縁と凹部の端部との距離]
ここで、凹部42の出力バンプ領域4側の端部と出力バンプ領域4の最も内側に配列された出力バンプ列3Cの内側縁との距離をC’とし、出力バンプ領域4の出力バンプ3の配列方向と直交する幅方向の長さをAとする。このとき、
図11(A)に示すように、緩衝材41は、凹部42の入出力バンプ領域4側の端部が、バンプ間領域内に位置し、凸部43とバンプ間領域とが重畳する範囲がバンプ間領域の幅Gの50%(片側25%ずつ)までとすることが好ましい。また、
図11(B)に示すように、緩衝材41は、凹部42の出力バンプ領域4側の端部が、出力バンプ列3Cの内側縁から一方の側縁2a側に向かって出力バンプ領域4の幅方向の長さAの20%未満の領域とに位置されることが好ましい。
【0137】
出力バンプ領域4側の端部が上記領域に位置するように凹部42を配置することにより、熱圧着ツール40によって出力バンプ領域4と重畳する領域を十分な圧力で押圧するとともに、バンプ間領域7と重畳する領域を過剰に押圧することもない。したがって、熱圧着ツール40の圧力が出力バンプ領域4に集中し、バンプ間領域7における反りが抑制されるとともに、熱圧着ツール40によって各出力バンプ列3A〜3Cを十分に押圧することができる。
【0138】
緩衝材41は、凹部42の入出力バンプ領域4側の端部がバンプ間領域の中心よりに位置し、凸部43とバンプ間領域とが重畳する範囲がバンプ間領域の幅Gの50%を超えると、熱圧着ツール40による加圧領域がバンプ間領域7と重畳する領域に広がり、熱圧着ツール40によってICチップ1が押圧されると、出力バンプ領域4の内側に設けられた出力バンプ列3Cを支点に、中央のバンプ間領域7が凹むように反りが生じる。そのため、出力バンプ領域4の最も外側に配列された出力バンプ列3Aに対する押圧力が不足する。
【0139】
また、緩衝材41は、凹部42の出力バンプ領域4側の端部が、出力バンプ列3Cの内側縁から一方の側縁2a側に向かって出力バンプ領域4の幅方向の長さAの20%以上の領域に配置されると、出力バンプ領域4に重畳する領域における熱圧着ツール40による加圧領域が一方の側縁2a側に偏り、出力バンプ領域4の最も内側に配列された出力バンプ列3Cに対する押圧力が不足する。
【0140】
[接続工程]
次いで、緩衝材41を用いて回路基板10にICチップ1を異方性導電接続する接続工程について説明する。先ず、ICチップ1の押圧面8と仮貼り用の低温に加熱された熱圧着ツール(図示せず)との間に緩衝材41を搬送し、回路基板10の入出力端子が形成された実装面上に異方性導電フィルム30を仮貼りする。次いで、この回路基板10を接続装置のステージ上に載置し、回路基板10の実装面上に異方性導電フィルム30を介してICチップ1を配置する。
【0141】
次いで、バインダー樹脂層33を硬化させる所定の温度に加熱された熱圧着ツール40によって、緩衝材41を介してICチップ1の押圧面8上を所定の圧力、時間で熱加圧する。これにより、異方性導電フィルム30のバインダー樹脂層33は流動性を示し、ICチップ1の実装面2と回路基板10の実装面の間から流出するとともに、バインダー樹脂層33中の導電性粒子32は、出力バンプ3と出力端子16との間、及び入力バンプ5と入力端子17との間に挟持されて押し潰される。
【0142】
ここで、上述したように緩衝材41は、フィルム状に形成されるとともにロール体より引き出されて、熱圧着ツールの下方に搬送されて使用される。このとき、緩衝材41の搬送方向P
1と異方性導電フィルム30やICチップ1が搭載された回路基板の搬送方向P
2とが同じ場合、
図10(A)に示すように、長手方向に沿って凹部42が連続する緩衝材41が使用される。この場合、緩衝材41は、異方性導電フィルム30と平行に搬送されるため、通常の異方性導電接続と同様の手法で配置することができる。
【0143】
また、緩衝材41の搬送方向P
1と異方性導電フィルム30やICチップ1が搭載された回路基板の搬送方向P
2とが直交する場合、
図10(B)に示すように、短手方向に沿って形成された凹部42及び凸部43が長手方向に沿って交互に形成されている緩衝材41が使用される。
【0144】
本発明が適用された緩衝材41によれば、ICチップ1のバンプ間領域7と重畳する凹部42が設けられているため、熱圧着ツール40の圧力が出力バンプ領域4と入力バンプ領域6とに集中し、反りが抑制されるとともに、熱圧着ツール40によって出力バンプ3及び入力バンプ5が十分に押圧される。
【0145】
その結果、入出力バンプ3,5と回路基板10の入出力端子16,17との間で導電性粒子32を挟持することにより電気的に接続され、この状態で熱圧着ツール40によって加熱されたバインダー樹脂が硬化する。したがって、ICチップ1は、当該一方の側縁2a側の出力バンプ列3Aにおいても回路基板10に形成された出力端子16との間で確実に導通性を確保することができる。
【0146】
入出力バンプ3,5と回路基板10の入出力端子16,17との間にない導電性粒子32は、バインダー樹脂に分散されており、電気的に絶縁した状態を維持している。これにより、ICチップ1の出力バンプ3及び入力バンプ5と回路基板10の入出力端子16,17との間のみで電気的導通が図られる。
【0147】
[第4の実施例]
第4の実施例では、凹部深さD
1、及び凹部の端部と入出力バンプ列の内側縁との距離C’,J’を変えた緩衝材を用いて、ICチップをガラス基板に接続した接続体サンプルを形成し、外側の出力バンプ列及び内側の出力バンプ列において、圧縮変形された導電性粒子の径を測定した。圧縮変形後の導電性粒子径の評価は第1の実施例と同じである。
【0148】
[評価用ICチップ]
本実施例に用いたICチップは、20mm×1.6mm、厚さ0.2mmであり、実装面の一方の側縁には長手方向に沿って出力バンプが配列された出力バンプ領域が設けられ、他方の側縁には長手方向に沿って入力バンプが配列された入力バンプ領域が形成されている。出力バンプ領域には実装面の幅方向にわたって出力バンプ列が3列並列され、入力バンプ領域には入力バンプ列が1列で形成されている。また、出力バンプ領域の幅方向の長さAは350μmとし、入力バンプ領域の幅方向の長さは60μmとした。また、出力バンプ領域及び入力バンプ領域と外側縁との距離はそれぞれ70μmである。なお、3つの出力バンプ列を構成する各出力バンプは千鳥状に配列されている(
図2参照)。また、出力バンプ領域と入力バンプ領域の間のバンプ間領域の幅Gは約1000μmである。
【0149】
[評価用基板]
評価用のICチップが搭載される回路基板は厚さ200μmのガラス基板であり、実装面には、Al層がいわゆるベタ配線で形成されている。
【0150】
[緩衝材・異方性導電フィルム]
ICチップの実装は異方性導電フィルムをガラス基板の実装面に貼着した後、ICチップの押圧面を、緩衝材を介して熱圧着ツールによって所定温度、圧力、時間で加熱押圧することにより行った。緩衝材としてはポリイミドを用い、ポリイミドテープを貼り付けることで、深さの異なる凹部を形成するとともに、全厚さを100μmとした複数のサンプルを用意した。
【0151】
異方性導電フィルムは、第1の実施例と同じものを用いた。また、熱圧着ツールによるICチップの圧着条件も第1の実施例と同じとした。
【0152】
[実施例15]
実施例15では、凹部深さD
1を50μm、ICチップの出力バンプ側の側縁2aから凹部までの距離L
1は470μm、ICチップの入力バンプ側の側縁2bから凹部までの距離L
2は180μmであり、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C’及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離J’を50μmとした。すなわち、実施例15に係る緩衝材は、凹部の端部がICチップのバンプ間領域内に位置し、凸部がバンプ間領域幅G(1000μm)の10%(片側50μmずつ)まで重畳されている(
図11(A)参照)。
【0153】
実施例15に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.3μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0154】
[実施例16]
実施例16では、凹部深さD
1が75μmの緩衝材を用いた他は、実施例15と同じ条件とした。
【0155】
実施例16に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.3μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0156】
[実施例17]
実施例17では、凹部深さD
1が25μmの緩衝材を用いた他は、実施例15と同じ条件とした。
【0157】
実施例17に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.4μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0158】
[実施例18]
実施例18に係る接続体サンプルでは、凹部深さD
1を50μm、ICチップの出力バンプ側の側縁2aから凹部までの距離L
1は670μm、ICチップの入力バンプ側の側縁2bから凹部までの距離L
2は380μmであり、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C’及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離J’を250μmとした。すなわち、実施例18に係る緩衝材は、凹部の端部がICチップのバンプ間領域内に位置し、凸部がバンプ間領域幅G(1000μm)の50%(片側250μmずつ)まで重畳されている(
図11(A)参照)。
【0159】
実施例18に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.5μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.1μmであった。
【0160】
[実施例19]
実施例19では、凹部深さD
1が25μmの緩衝材を用いた他は、実施例18と同じ条件とした。
【0161】
実施例19に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.5μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0162】
[比較例8]
比較例8では、凹部が形成されていない緩衝材を用いた。比較例8に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.9μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.1μmであった。
【0163】
[比較例9]
比較例9では、凹部深さD
1が10μmの緩衝材を用いた他は、実施例15と同じ条件とした。
【0164】
比較例9に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.8μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.1μmであった。
【0165】
[比較例10]
比較例10に係る接続体サンプルでは、凹部深さD
1を50μm、ICチップの出力バンプ側の側縁2aから凹部までの距離L
1は820μm、ICチップの入力バンプ側の側縁2bから凹部までの距離L
2は530μmであり、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C’及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離J’を400μmとした。すなわち、比較例10に係る緩衝材は、凹部の端部がICチップのバンプ間領域内に位置し、凸部がバンプ間領域幅G(1000μm)の80%(片側400μmずつ)まで重畳されている(
図11(A)参照)。
【0166】
比較例10に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.8μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.2μmであった。
【0167】
[比較例11]
比較例11に係る接続体サンプルでは、凹部深さD
1を50μm、ICチップの出力バンプ側の側縁2aから凹部までの距離L
1は345μm、ICチップの入力バンプ側の側縁2bから凹部までの距離L
2は55μmであり、最も内側の出力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離C’及び入力バンプ列の内側縁と凹部の端部との距離J’を−75μmとした。すなわち、比較例11に係る緩衝材は、凹部の端部がICチップの入出力バンプ領域に位置し(
図11(B)参照)、これは、出力バンプ領域の幅方向の長さA(350μm)の一方の側縁側に向かって21.4%の位置となる。
【0168】
比較例11に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.1μm、内側の出力バンプ列における導電性粒子径が2.7μmであった。
【0169】
【表4】
【0170】
表4に示すように、実施例15〜19に係る緩衝材は、全厚さT
3の25%以上の深さD
1を有するとともに、凹部の端部がICチップのバンプ間領域の50%以内に位置し、凸部とバンプ間領域との重畳面積は、バンプ間領域の50%以下とされている。したがって、実施例15〜19に係る接続体サンプルでは、緩衝材を介して熱圧着ツールによって出力バンプ領域が十分に押圧されるとともに、バンプ間領域が過剰に押圧されることもない。したがって、熱圧着ツールの圧力が出力バンプ領域に集中し、バンプ間領域における反りが抑制されるとともに、熱圧着ツールによって外側及び内側の出力バンプ列も十分に押圧することができる。そのため、実施例15〜19に係る接続体サンプルは、外側の出力バンプ列においても圧縮変形後の導電性粒子径が2.6μm以下となり、良好な導通性を有するものとなった。
【0171】
一方、比較例8に係る緩衝材は凹部が形成されていないため、熱圧着ツールの押圧力がバンプ間領域に伝わってICチップにバンプ間領域が凹むように反りが生じる。そのため、比較例8に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列において熱圧着ツールによる押圧力が不足し、圧縮変形後の導電性粒子径が2.9μmとなり、導通不良となる恐れが生じた。
【0172】
また、比較例9に係る緩衝材は凹部の深さが全厚さT
3の10%と浅く、熱圧着ツールに押圧された際に凹部が撓んでICチップの押圧面に当接し、熱圧着ツールの押圧力がバンプ間領域に伝わってICチップにバンプ間領域が凹むように反りが生じる。そのため、比較例9に係る接続体サンプルでは、外側の出力バンプ列において熱圧着ツールによる押圧力が不足し、圧縮変形後の導電性粒子径が2.8μmとなり、導通不良となる恐れが生じた。
【0173】
また、比較例10に係る緩衝材は、凹部の端部がバンプ間領域幅Gの中央よりに位置し、凸部とバンプ間領域との重畳面積がバンプ間領域の80%とされているため、緩衝材を介して熱圧着ツールの押圧力がバンプ間領域に伝わり、入力バンプ列及び内側の出力バンプ列の各内側縁を支点にバンプ間領域が凹むように反りが生じた。そのため、比較例10に係る接続体サンプルは、外側の出力バンプ列において熱圧着ツールによる押圧力が不足し、圧縮変形後の導電性粒子径が2.8μmとなり、導通不良となる恐れが生じた。
【0174】
また、比較例11に係る緩衝材は、凹部の端部が出力バンプ領域の21%内側に位置し、凸部と出力バンプ領域との重畳面積が少なく、出力バンプ領域に重畳する領域における熱圧着ツールによる加圧領域が一方の側縁側に偏り、出力バンプ領域の最も内側に配列された出力バンプ列に対する押圧力が不足する。そのため、比較例11に係る接続体サンプルでは、内側の出力バンプ列において熱圧着ツールによる押圧力が不足し、圧縮変形後の導電性粒子径が2.7μmとなり、導通不良となる恐れが生じた。
【0175】
このように、緩衝材の形状を適切な範囲にすることで、ICチップの背面加工と同様に、安定した異方性接続を行えることがわかった。緩衝材はICチップよりも比較的安価であるため、コストの低減に寄与できる。また、ICチップのバンプレイアウトは種々存在するが、効果が見られる緩衝材の凹凸寸法の適用範囲にはマージンがあることから、ICチップのバンプレイアウトが変更になっても、緩衝材の変更は少なくてすみ、このことからもコストの低減に寄与できることが分かる。