(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記立上がり部は、倒伏状態と起立状態との間を回動する際の回動中心である回動軸よりも上方で、上端縁が左右方向に伸びていることを特徴とする請求項1記載の便座。
倒伏状態において、前記立上がり部の上端縁の左右中央と便器本体の便鉢部の上方に開口する開口部の中央後端縁との水平距離よりも、前記立上がり部の上端縁の左右中央と前記開口部の中央後端縁との垂直距離の方が大きく形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の便座。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0011】
本発明の便座において、前記立上がり部は、倒伏状態と起立状態との間を回動する際の回動中心である回動軸よりも上方で、上端縁が左右方向に伸び得る。この場合、この便座は立上がり部の上端縁を高い位置にすることができる。このため、この便座は、立上がり部が着座者の臀部を後方から支えることができ、着座者はリラックスして着座することができる。
【0012】
本発明の便座は、前記立上がり部の前面の裏側に接合された面状ヒーターを備え得る。この場合、この便座は、広い範囲で着座者の臀部等を暖めることができ、着座者はリラックして着座することができる。
【0013】
本発明の便座において、前記立上がり部は前面が左右中央部を後方に凹ませた湾曲面であり得る。この場合、この便座は、立上がり部の前面が着座者の臀部にフィットする形状であるため、着座者はリラックして着座することができる。
【0014】
本発明の便座は、倒伏状態において、前記立上がり部の上端縁の左右中央と、便器本体の便鉢の上方に開口する開口部の中央後端縁との水平距離よりも、前記立上がり部の上端縁の左右中央と、前記開口部の中央後端縁との垂直距離の方が大きく形成され得る。この場合、この便座は、立上がり部の前面が急角度で傾斜し、着座者の臀部を立上がり部が後方からしっかりと支持することができ、着座者はリラックスして着座することができる。
【0015】
次に、本発明の便座を具体化した実施例1について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<実施例1>
実施例1の便座20は、
図1及び
図2に示すように、水洗式便器に取り付けられている。この水洗式便器は、便器本体1及び便座20を有した便器装置10を具備している。便器本体1は、便鉢部3、便鉢部3の下流側に連通する便器排水路(図示せず)、及び便鉢部3と便器排水路の前後左右を覆う側壁部5を有している。
【0017】
便器装置10は、便座20の他に、洗浄タンク(図示せず)、カバー40、及び一対の肘掛部材50L,50Rを有している。洗浄タンクは、便器本体1の後部上面に載置され固定され、便鉢部3へ吐出する洗浄水を貯留している。カバー40は、洗浄タンクの前方側を覆う背もたれ部材41、洗浄タンクの左右及び後方を覆う側面部材43、及び洗浄タンクの上方側を覆う蓋部材45を有している。
【0018】
背もたれ部材41は、樹脂製であり、前面部がクッション性を有している。背もたれ部材41は、洗浄タンクの前方に取り付けられた状態で、前方からの正面視の外形状が略四角形状である(前後は、
図2において、左右である。以下同じ。)。背もたれ部材41は左右端部が後述する側面部材43の左右側面部43L,43Rよりも左右方向に突出している(左右は、
図3において、左右である。以下同じ。)。また、背もたれ部材41は上端部が蓋部材45よりも上方向に突出している(上下は、
図2において、上下である。)以下同じまた、背もたれ部材41は下端部が便座20の後端上面に沿って配置されている。
【0019】
側面部材43は、樹脂製であり、左右側面部43L,43R、及び左右側面部43L,43Rの後端部から湾曲しながら連続する後側面部43Bを有している。側面部材43の左右側面部43L,43Rから肘掛部材50L,50Rが前方に向けて伸びている。また、側面部材43の右側面部43Rは操作ハンドル60が設けられている。操作ハンドル60を回動操作すると、洗浄タンクに貯留された洗浄水が便鉢部3へ吐出し、便器洗浄が実行される。蓋部材45は、樹脂製であり、側面部材43の上端面に載置され、背もたれ部材41と側面部材43との間に形成された上部開口を塞いでいる。
【0020】
肘掛部材50L,50Rは、表面が樹脂製であり、クッション性を有しており、内部に強度を有する芯材(図示せず)が挿入されている。肘掛部材50L,50Rは、カバー40の側面部材43の左右側面部43L,43Rに当接する基端部の端面から先端部にかけて、外側に広がりながら内方向に湾曲している。
【0021】
便座20は、
図3及び
図5に示すように、便器本体1に取り付けられた支持部材70に回動自在に軸支されている。支持部材70は支持部本体71とヒンジ部73とを有している。支持部本体71は一対の縦枠材71A,71Aと横枠材71Bとを有している。一対の縦枠材71A,71Aは便器本体1の後部上面に左右方向に離れて鉛直方向に立設している。横枠材71Bは一対の縦枠材71A,71Aの上端部を連結している。支持部本体71はカバー40内に収納されている。
【0022】
ヒンジ部73は水平部73Aと左右連結部73L,73Rとを有している。水平部73Aは、水平方向に伸びて、一対の縦枠材71A,71Aの中間部を連結している。左右連結部73L,73Rの夫々は左右方向に離れた位置で水平部73Aの左右端部に連結している。左右連結部73L,73Rは下端部が前方に伸びている。左連結部73L(
図3において左側に位置する連結部)は、
図3及び
図6に示すように、後述する便座20の立上がり部23に設けられた左切欠き部25Lに下端部の先端部を挿入し、便座20の回動軸R上に伸びたダンパー80の軸部81に連結している(
図6参照)。右連結部73R(
図3において右側に位置する連結部)は、後述する便座20の立上がり部23に設けられた右切欠き部25Rに下端部の先端部を挿入し、便座20の回転軸Rと同心上に形成された挿入孔Hに左方向に開口する筒部75を挿入している(
図6参照)。筒部75は面状ヒーター90に電気を供給する電線91が挿通されている。
【0023】
このように、背もたれ部材41の下端で便座20の立上がり部23内に挿入された左右連結部73L,73Rの先端部(支持部材70)に便座20が回動自在に軸支され、便器本体1上で倒伏状態と起立状態との間を回動する。ダンパー80は、便座20が起立状態から倒伏状態に回動する際、便座20の降下速度を抑える抵抗力を発生させる。
【0024】
便座20は、
図1〜
図4に示すように、倒伏状態における上方から見た平面視の外形状が前後方向に長い略四角形状である。この便座20は、上方から見た平面視において、前側の角部が丸まっている。また、便器本体1の便鉢部3の上方に開口部21が開口している。この開口部21は前後方向に長い略楕円形状である。この開口部21は前側の曲率が後側の曲率よりも大きい(前側は
図3において下側であり、後側は
図3において上側である。)。
【0025】
この便座20は、倒伏状態において、後端部に斜め後方に立ち上がった立上がり部23を備えている。この立上がり部23の前面23Fは、
図5に示すように、上下方向で後方にわずかに凹むように湾曲し、後方に向けて斜め上方に傾斜した傾斜面で形成されている。また、この立上がり部23の前面23Fは、
図3に示すように、左右中央部を後方に凹ませた湾曲面で形成されている。
【0026】
立上がり部23は、
図2及び
図5に示すように、上方に膨らみ前後方向に湾曲した上面を有している。立上がり部23は、
図5に示すように、便座20の回動中心である回動軸Rよりも上方で、上端縁23Uが上下方向に屈曲せずに左右水平方向に略一直線状に伸びている。つまり、立上がり部23は上端縁23Uが略水平である。立上がり部23は、倒伏状態において、立上がり部23の上端縁23Uの左右中央23Xと便座20の開口部21の中央後端縁21Xとの水平距離L1よりも、立上がり部23の上端縁23Uの左右中央23Xと便座20の開口部21の中央後端縁21Xとの垂直距離L2の方が大きく形成されている。この立上がり部23は、
図4に示すように、前方から見た正面視において、外形状が略横長四角形状である。また、立上がり部23は、
図1及び
図2に示すように、上端縁23Uが背もたれ部材41の左右水平方向に略一直線上に伸びている下端縁に沿っている。また、立上がり部23は左右幅が背もたれ部材41の左右幅は略等しい。
【0027】
立上がり部23は、
図3に示すように、左右両端部の後部に上下方向に伸びた四角形状の左右切欠き部25L,25Rが設けられている。左切欠き部25Lは支持部材70のヒンジ部73の左連結部73Lの下端部の先端部を挿入している。また、右切欠き部25Rは支持部材70のヒンジ部73の右連結部73Rの下端部の先端部を挿入している。このように、立上がり部23は、左端面が支持部材70のヒンジ部73の左連結部73Lよりも左側に位置し、右端面が支持部材70のヒンジ部73の右連結部73Rよりも右側に位置している。つまり、この便座20は、倒伏状態において、立上がり部23の上端縁23Uが支持部材70のヒンジ部73の左連結部73L(の左端)よりも左外側に伸び、支持部材70のヒンジ部73の右連結部73R(の右端)よりも右外側に伸びている。左右切欠き部25L,25Rは、立上がり部23の上端縁23Uよりも後方に開口しているため、前方から視認することができない。また、左右切欠き部25L,25Rは、立上がり部23の上端部に背もたれ部材41が隙間なく当接しているため、上方から視認することができない。
【0028】
便座20は、
図3及び
図4に示すように、開口部21の周囲であって、表面の裏側(立上がり部23の前面23Fの裏側も含む)に面状ヒーター90が接合されている。面状ヒーター90は絶縁された金属箔に電熱線が貼り付けられている。電熱線は便座20の右連結部73Rの筒部75を挿通した電線91が連結されている。
【0029】
このような構成を有する実施例1の便座20は、便器本体1に取り付けられた支持部材70に回動自在に軸支され、便器本体1上で倒伏状態と起立状態との間を回動する。この便座20は、倒伏状態において、後端部に設けられた立上がり部23を備えている。この立上がり部23は上端縁23Uが上下方向に屈曲せずに略一直線上に支持部材70の連結部の左右端よりも左右外側に伸びるよう立ち上がっている。このため、この便座20は、立上がり部23の上端縁23Uに汚れがたまっても、上端縁23Uが上下方向に屈曲せずに略一直線上に左右方向に伸びているため、拭き掃除によって容易に汚れを除去することができる。
【0030】
したがって、実施例1の便座20は、すっきりとして形態であって、掃除を容易にすることができる。
【0031】
また、実施例1の便座20において、立上がり部23は、倒伏状態と起立状態との間を回動する際の回動中心である回動軸Rよりも上方で、上端縁23Uが左右方向に伸びている。このため、この便座20は、立上がり部23の上端縁23Uが高い位置に形成されており、立上がり部23が着座者の臀部を後方から支えることができ、着座者はリラックスして着座することができる。
【0032】
実施例1の便座20は、立上がり部23の前面23Fの裏側にも面状ヒーター90が接合されているため、広い範囲で着座者の臀部等を暖めることができ、着座者はリラックして着座することができる。
【0033】
また、実施例1の便座20において、立上がり部23は前面23Fが左右中央部を後方に凹ませた湾曲面であり、着座者の臀部にフィットする形状であるため、着座者はリラックして着座することができる。
【0034】
実施例1の便座20は、倒伏状態において、立上がり部23の上端縁23Uの左右中央23Xと便座20の開口部21の中央後端縁21Xとの水平距離L1よりも、立上がり部23の上端縁23Uの左右中央23Xと便座20の開口部21の中央後端縁21Xとの垂直距離L2の方が大きく形成されている。このため、この便座20は、立上がり部23の前面23Fが急角度で傾斜し、着座者の臀部を立上がり部23が後方からしっかりと支持することができ、着座者はリラックスして着座することができる。
【0035】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1では、立上がり部の上端縁が便座の回動中心である回動軸よりも上方で左右方向に伸びていたが、上端縁は回動軸以下の高さで左右方向に伸びていてもよい。
(2)実施例1では、面状ヒーターが立上がり部の前面の裏側にも接合されていたが、面状ヒーターが立上がり部の前面の裏側に接合されていなくてもよい。また、面状ヒーターが便座の表面の裏側に接合されていなくてもよい。
(3)実施例1では、立上がり部の前面が左右中央部を後方に凹ませた湾曲面であったが、湾曲面でなく平面であってもよい。
(4)実施例1では、倒伏状態において、立上がり部の上端縁の左右中央と便座の開口部の中央後端縁との水平距離よりも、立上がり部の上端縁の左右中央と便座の開口部の中央後端縁との垂直距離の方が大きく形成されていたが、立上がり部の上端縁の左右中央と便座の開口部の中央後端縁との水平距離よりも、立上がり部の上端縁の左右中央と便座の開口部の中央後端縁との垂直距離の方が小さく形成されてもよい。
(5)実施例1では、立上がり部の上端縁が略一直線状に伸びていたが、上端縁の全体又は一部が上下方向にわずかに湾曲していてもよい。
(6)実施例1では、便座の平面視の外形状が略四角形状であったが、前側が全体的に丸まっていてもよい。