(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
手すり本体の終端部が挿入される端部部材と、この端部部材に連結される湾曲したエンドキャップ本体部と、このエンドキャップ本体部と前記端部部材とを連結するボルトとを具備しており、前記端部部材には終端部が挿入された手すり本体を固定するねじのためのねじ用開口が開設されているとともに、手すり本体が挿入される側と対向する側に凸部が、前記エンドキャップ本体部には前記凸部が挿入される凹部がそれぞれ形成されており、前記ボルトは、端部部材とエンドキャップ本体部とを連結した状態を保ちつつ、前記凸部が凹部から外れることができる長さの脚部を有していることを特徴とする手すり用エンドキャップ。
手すり本体の終端部が挿入される端部部材と、この端部部材に連結される湾曲したエンドキャップ本体部と、このエンドキャップ本体部と前記端部部材とを連結するボルトとを具備しており、前記端部部材には終端部が挿入された手すり本体を固定するねじのためのねじ用開口が開設されているとともに、手すり本体が挿入される側と対向する側に凹部が、前記エンドキャップ本体部にはで凹部に挿入される凸部がそれぞれ形成されており、前記ボルトは、端部部材とエンドキャップ本体部とを連結した状態を保ちつつ、前記凸部が凹部から外れることができる長さの脚部を有していることを特徴とする手すり用エンドキャップ。
【背景技術】
【0002】
手すりは主に老人や病人などが安定して歩くことができるようにするため、壁面等に取り付けられる補助設備である。この手すりが、その終端部まで真直状になっていると、手すりにつかまろうとした際に、袖口が手すりの終端部に引っ掛かって手元が狂ったり、袖口部分で急に引き戻されて転んでしまったりすることがある。また袖口が破れることもある。このため、手すりの終端部は屈曲している方が好ましく、手すりの終端部には屈曲した手すり用エンドキャップを取り付け、その手すり用エンドキャップの端面が下方か壁面に向くようにしているのが一般的である。
しかしながら、手すり用エンドキャップは、下方又は壁面ではなく斜め方向に向けなければならないこともある。
【0003】
このため、手すりの終端部に斜め方向もに取り付けることができる手すり用エンドキャップとして特許第4135930号に係る発明がある。
この特許第4135930号に係る発明は、『中空の手摺の端部に連結金具を介して中間部が屈曲したエンドキャップを連結する手摺であって、該エンドキャップの上記手摺の端部に向き合う側の端面には、四角形を除く多角形状の凹部を開口形成し、連結金具の一方の端部には、上記凹部に嵌まり合う断面多角形状の第1の嵌合部を形成し、他方の端部には、上記手摺の中空部に嵌合する第2の嵌合部を、第1の嵌合部の端面の偏り位置から突出させて上部と下部に溝を設けて形成し、第2の嵌合部側から第1の嵌合部を貫通させて上記凹部の底部にネジをねじ込んで固定し、上記中空部の下側から第2の嵌合部の上記下部の溝から上部の溝に向けて別のネジをねじ込んで固定したことを特徴とする手摺。』である。
【0004】
特許第4135930号に係る手摺りは、『中空の手摺の端部に連結金具を介して中間部が屈曲したエンドキャップを連結する手摺』であるため、無垢の木材或いは集成材等の汎用品である中実の手すりには適応することができないし、連結金具等を必要とするとともに、手摺りも連結金具を嵌め込むための専用品を使用する必要がある。
汎用品である手すりに対応する手すり用エンドキャップは、手すりの終端部に挿入される挿入部と、この挿入部に対して湾曲した湾曲部とが一体に形成されたものである。挿入部の周面にはねじ用開口が開設されている。挿入部に挿入された手すりにこのねじ用開口を介してタッピンねじをねじ込むことで、手すり用エンドキャップを手すりに固定するようになっている。
【0005】
【特許文献1】特許第4135930号公報
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施の形態に係る手すり用エンドキャップ100Aは、手すり本体200の終端部210が挿入される端部部材110Aと、この端部部材110Aに連結される湾曲したエンドキャップ本体部120Aと、このエンドキャップ本体部120Aと前記端部部材110Aとを連結するボルト130Aとを備えており、前記端部部材110Aには終端部210が挿入された手すり本体200を固定するねじ140Aのためのねじ用開口115Aが開設されているとともに、手すり本体200が挿入される側と対向する側に凸部112Aが、前記エンドキャップ本体部120Aには前記凸部112Aが挿入される凹部123Aがそれぞれ形成されており、前記ボルト130Aは、端部部材110Aとエンドキャップ本体部120Aとを連結した状態を保ちつつ、前記凸部112Aが凹部123Aから外れることができる長さの脚部131Aを有している。
【0014】
前記手すり本体200は、例えば木製の円柱状に形成されていいる。この手すり本体200の左右の終端部210に手すり用エンドキャップ100Aが取り付けられるのである。
【0015】
手すり用エンドキャップ100Aを構成する端部部材110Aは、手すり本体200の終端部210が嵌まり込む有底円筒形状に形成されている。かかる端部部材110Aの底面部111A、すなわち手すり本体200が挿入される側とは対向する側の中心には、外側に向かって突出する凸部112Aが形成されている。この凸部112Aの中心には後述するボルト130Aが貫通するボルト貫通孔113Aが開設されている。
前記凸部112Aは、
図1に示すように、底面が正方形である四角柱状に形成されている。
【0016】
また、この端部部材110Aの周壁114Aには、挿入された手すり本体200を固定するねじ140Aのためのねじ用開口115Aが1つ開設されている。前記ねじ140Aは、頭部が皿タイプになったタッピンねじである。従って、ねじ用開口115Aもねじ140Aの頭部に対応して外側が大径で内側が小径に設定されている。
しかも、ねじ用開口115Aは、凸部112Aの側面の1つを含む面に対して並行になる位置に開設されている。
【0017】
なお、この端部部材110Aは、挿入された手すり本体200との間に大きな段差を形成しないように、周壁114Aの縁部には挿入される手すり本体200側に向かってテーパ面116Aが形成されている。
この端部部材110Aは、背景技術で説明した汎用品である手すりに対応する手すり用エンドキャップにおける挿入部に相当する部分である。
【0018】
一方、前記端部部材110Aとともに手すり用エンドキャップ100Aを構成するエンドキャップ本体部120Aは、前記端部部材110Aと対向する取付面121Aと、この取付面121Aから直交する方向に湾曲したエンド部122Aとを有している。前記取付面121Aには、前記凸部112Aが挿入される凹部123Aが形成されている。この凹部123Aは、凸部112Aに対応した四角形状の凹みであり、中央に後述するボルト130Aが螺合される雌ねじ124Aが形成されている。
前記凹部123Aは、エンドキャップ本体部120Aをエンド部122Aを底面にして立てた状態で各辺が垂直又は水平になるように構成されている。
【0019】
また、前記エンド部122Aは、円筒形状に形成されており、内周面125Aには4つの爪部126Aが90°間隔で形成されている。この爪部126Aは、エンド部122Aを閉塞するための円盤状のキャップ127Aを係止するものである。
なお、このエンドキャップ本体部120Aは、背景技術で説明した汎用品である手すりに対応する手すり用エンドキャップにおける湾曲部に相当する部分である。
【0020】
ところで、前記凸部112Aの突出寸法と、前記凹部123Aの凹み寸法とでは、突出寸法の方が若干小さく設定されている。これは、凹部123Aに凸部112Aが挿入された場合、エンドキャップ本体部120Aの取付面121Aと、端部部材110Aの底面部111Aとを確実に密着させるためである。
【0021】
前記ボルト130Aは、端部部材110Aとエンドキャップ本体部120Aとを連結するものであり、その脚部131Aは、前記雌ねじ124Aに螺合したままの状態であっても、凸部112Aが凹部123Aから外れることができる程度の長さに設定されている。もちろん、ボルト130Aが完全に雌ねじ124Aにねじ込まれれば、エンドキャップ本体部120Aの取付面121Aと、端部部材110Aの底面部111Aとは密着する。
しかしながら、その状態からボルト130Aを緩めると、前記ボルト130Aは、端部部材110Aのボルト貫通孔113Aを介してエンドキャップ本体部120Aの雌ねじ124Aに螺合されてはいても、凸部112Aは凹部123Aから外れることができるようになる。この状態では、端部部材110Aとエンドキャップ本体部120Aとは、ボルト130Aを中心として回転することができるようになる。
【0022】
このように構成された手すり用エンドキャップ100Aを、
図4に示すように、床面Fに立設された支柱300に掛け渡される手すり本体200に取り付ける手順について、
図2〜
図4を参照しつつ説明する。なお、この場合は、エンドキャップ本体部120Aは下向きになる。
手すり本体200はすでに支柱300に掛け渡されていてもよいし、手すり用エンドキャップ100Aが左右の終端部210に取り付けられた後に支柱300に掛け渡してもよい。
図4に示すように、手すり用エンドキャップ100Aのボルト130Aを、まだねじ込まれてはいるが外れてはいない状態にまで緩める。すると、端部部材110Aの凸部112Aはエンドキャップ本体部120Aの凹部123Aからは外れるが、端部部材110Aとエンドキャップ本体部120Aとはまだボルト130Aで連結されている状態になる。
【0023】
この状態でエンドキャップ本体部120Aが下を向き、かつ端部部材110Aのねじ用開口115Aが下を向くようにする。これは、ねじ用開口115Aが凸部112Aの側面の1つを含む面に対して平行な位置に開設され、かつエンドキャップ本体部120Aをエンド部122Aを底面にすると凹部123Aの各辺が垂直又は水平になるように構成したため可能になっている。
【0024】
かかる状態からボルト130Aを締め増しして、
図2に示すように、凸部112Aが凹部123Aに挿入された状態で、端部部材110Aとエンドキャップ本体部120Aとを完全に連結する。
エンドキャップ本体部120Aが下向きになるような状態で、手すり用エンドキャップ100Aの端部部材110Aに手すり本体200の終端部210を挿入する。そして、ねじ用開口115Aからタッピンねじであるねじ140Aを手すり本体200にねじ込む。これによって、ねじ140Aは手すり用エンドキャップ100Aの下側に位置することになるので、ねじ用開口115A及びそれに挿通されるねじ140Aは目立たなくなる。
【0025】
次に、手すり用エンドキャップ100Aを、
図6に示すように、壁面Wに取り付けられたブラケット310に掛け渡される手すり本体200に取り付ける手順について、
図3、
図5及び
図6を参照しつつ説明する。なお、この場合は、エンドキャップ本体部120Aは壁面Wに向く、すなわち水平になる。
図3に示すように、手すり用エンドキャップ100Aのボルト130Aを、まだねじ込まれてはいるが外れてはいない状態にまで緩める。すると、端部部材110Aの凸部112Aはエンドキャップ本体部120Aの凹部123Aからは外れるが、端部部材110Aとエンドキャップ本体部120Aとはまだボルト130Aで連結されている状態になる。
【0026】
この状態で、
図5に示すように、エンドキャップ本体部120Aが水平方向を向き、かつ端部部材110Aのねじ用開口115Aが下を向くようにする。
かかる状態からボルト130Aを締め増しして、凸部112Aが凹部123Aに挿入された状態で、端部部材110Aとエンドキャップ本体部120Aとを完全に連結する。
図5に示された手すり用エンドキャップ100Aは、
図6に示す手すり本体200の左側の終端部210に取り付けられるものである。右側の終端部210に取り付けられる手すり用エンドキャップ100Aは、
図5に示すものとは左右対称になっていなければならない。すなわち、右側の終端部210に取り付けられる手すり用エンドキャップ100Aは、左側の終端部210に取り付けられる手すり用エンドキャップ100Aの端部部材110Aをボルト130Aを中心として180°回転させたものである。
【0027】
端部部材110Aとエンドキャップ本体部120Aとが一体化された従来のこの種の手すり用エンドキャップであれば、手すり本体200の左側に取り付けるものと、右側に取り付けるものとでは、同一のものではなく、左右対称になったものを準備しなければならなかったが、この手すり用エンドキャップ100Aであると、端部部材110Aとエンドキャップ本体部120Aとが別体になっているため、1つのもので対応することができるというメリットがある。
しかも、
図4に示すように下向きに取り付けられる手すり用エンドキャップ100Aと、
図6に示すように壁面Wに向かって取り付けられる手すり用エンドキャップ100Aとも同一のもので対応することができる。
端部部材110Aとエンドキャップ本体部120Aとが一体化された従来の手すり用エンドキャップであれば、下向きのもの1種類、左向きのもの1種類、右向きのもの1種類の合計3種類を準備する必要があったが、この手すり用エンドキャップ100Aであれば1つのものでこれらすべてに対応することができる。
【0028】
上述した第1の実施の形態に係る手すり用エンドキャップ100Aでは、凸部112Aは底面が正方形である四角柱状とし、凹部123Aは凸部112Aに対応した四角形状の凹みであるとした。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の第2の実施の形態に係る手すり用エンドキャップ100Bは、
図7に示すように、手すり本体200の終端部210が挿入される端部部材110Bと、この端部部材110Bに連結される湾曲したエンドキャップ本体部120Bと、このエンドキャップ本体部120Bと前記端部部材110Bとを連結するボルト130Bとを備えており、前記端部部材110Bには終端部210が挿入された手すり本体200固定するねじ140Bのためのねじ用開口115Bが開設されているとともに、手すり本体200が挿入される側と対向する側に凸部112Bが、前記エンドキャップ本体部120Bには前記凸部112Bが挿入される凹部123Bがそれぞれ形成されており、前記ボルト130Bは、端部部材110Bとエンドキャップ本体部120Bとを連結した状態を保ちつつ、前記凸部112Bが凹部123Bから外れることができる長さの脚部131Bを有しており、前記凸部112Bは正四角柱状であり、前記凹部123Bは八芒星状に形成されている。
【0029】
この第2の実施の形態に係る手すり用エンドキャップ100Bが、第1の実施の形態に係る手すり用エンドキャップ100Aと異なる点は凹部123Bであり、その他の点は同一又はほぼ同一なので、以下ではその他の点の詳細な説明は省略する。
【0030】
第2の実施の形態に係る手すり用エンドキャップ100Bのエンドキャップ本体部120Bの凹部123Bは、2つの同一サイズの正方形を45°傾けて重ね合わせたいわゆる八芒星状に形成されている。従って、この凹部123Bは角部が雌ねじ124Bを中心として45°間隔でずれている。従って、凸部112Bが正四角柱状であるため、端部部材110Bはエンドキャップ本体部120Bに対して45°ずつずれた状態の8姿勢で取り付けられることができるようになっている。
なお、第1の実施の形態に係る手すり用エンドキャップ100Aでは、凸部112Aも凹部123Aも四角柱状であるため、90°ずつずれた状態の4姿勢で取り付けられることができるようになっている。
【0031】
このように構成された手すり用エンドキャップ100Bであれば、手すり用エンドキャップ100Bの手すり本体200の終端部210に対する取付方向がより多彩になるため、まっすぐな手すり本体200だけでなく、左右の終端部が同一直線上にないもの、すなわち途中で屈曲、湾曲したものであっても、ねじ用開口115B及びそれに挿通されるねじ140Bを目立たないようにすることができるようになる。
【0032】
また、
図8に示す第3の実施の形態に係る手すり用エンドキャップ100Cのように、凸部112Cを円柱形状とし、凹部123Cをこの凸部112Cに対応した円柱状の凹みとすることも可能である。
このように凸部112C及び凹部123Cが多角形状ではなく円柱状であれば、端部部材110Cのエンドキャップ本体部120Cへの取付角度をより自在に設定することができるというメリットがある。
ただし、凸部112C及び凹部123Cが円柱状であるので、手すり本体200がボルト130Cを中心軸として回転してしまうこともある。
なお、上述した手すり用エンドキャップ100A、100Bであれば、手すり本体200がボルト130A、130Bを中心軸として回転することはない。
【0033】
第3の実施の形態に係る手すり用エンドキャップ100Cは、第1の実施の形態に係る手すり用エンドキャップ100Aと異なる点は凸部112C及び凹部123Cのみであり、その他の点は同一又はほぼ同一なので、以下ではその他の点の詳細な説明は省略する。
【0034】
上述した第1〜第3の実施の形態では、端部部材110A、110B、110Cに凸部112A、112B、112Cが、エンドキャップ本体部120A、120B、120Cに対応した凹部123A、123B、123Cがそれぞれ形成されるとしたが、その逆、すなわち端部部材に凹部が、エンドキャップ本体部に対応した凸部がそれぞれ形成されていてもよい。
【0035】
また、第1の実施の形態では、エンド部122Aの内周面125Aには4つの爪部126Aが90°間隔で形成されているとしたが、エンド部122Aは筒状ではなく中実であってもよい。その場合には、爪126Aはなく、エンド部122Aを閉塞する円盤状のキャップ127Aも不要である。
【0036】
上述した第1の実施の形態では、ボルト130Aの脚部131Aは、端部部材110Aとエンドキャップ本体部120Aとを連結した状態を保ちつつ、凸部112Aが凹部123Aから外れるがことができる長さに設定されているとしたが、本発明がこれに限定されるものではない。
脚部の長さは、ボルトを完全に外さないと凸部112Aが凹部123Aから外れないようなものとすることも可能である。
なお、これは第2の実施の形態に係る手すり用エンドキャップ100Bや、第3の実施の形態に係る手すり用エンドキャップ100Cでも同様である。