(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動力伝達機構は、前記第1出力部材の回転負荷と前記第2出力部材の回転負荷の大小に基づき、前記第1の状態と前記第2の状態に切り換えられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの項に記載のアクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したアクチュエータの実施の形態を説明する。
【0018】
(全体構成)
図1は、本発明を適用したアクチュエータを備えるフィルタ駆動装置の斜視図である。本形態のアクチュエータ1はフィルタ駆動装置100に用いられる。フィルタ駆動装置100は、アクチュエータ1と、アクチュエータ1によって駆動される第1フィルタ駆動軸200Aおよび第2フィルタ駆動軸200Bと、揺動部材駆動軸300を備える。アクチュエータ1は、第1フィルタ駆動軸200Aと第2フィルタ駆動軸200Bを交互に回転させるとともに、揺動部材駆動軸300を所定の角度範囲で往復回転(揺動)させて、揺動部材駆動軸300に取り付けられたクリーニング部材(図示省略)を揺動させる。第1フィルタ駆動軸200Aと第2フィルタ駆動軸200Bの回転に基づき、換気装置や空調装置等の吸気口や送風口に組み込まれたフィルタ(図示省略)が
図1に示す矢印A1、A2方向に移動する。移動するフィルタに揺動するクリーニング部材が接触することにより、フィルタに付着した異物が除去される。
【0019】
本明細書において、XYZの3軸は互いに直交する方向であり、X軸方向の一方側を−X方向、他方側を−X方向で示し、Y軸方向の一方側を+Y方向、他方側を−Y方向で示し、Z軸方向の一方側を+Z方向、他方側を−Z方向で示す。Z軸方向はアクチュエータ1の駆動源であるモータ2(
図2参照)の回転軸線Lに沿う方向である。第1フィルタ駆動軸200Aと第2フィルタ駆動軸200Bの回転軸線L1、L2および揺動部材駆動軸300の回転軸線L3は、モータ2の回転軸線Lと平行である。+Z方向はアクチュエータ1から第1フィルタ駆動軸200Aと第2フィルタ駆動軸200B、および揺動部材駆動軸300が突出する方向(出力側)であり、−Z方向が反出力側である。
【0020】
図2は本発明を適用したアクチュエータ1の分解斜視図である。また、
図3(a)は
図2のアクチュエータ1から第2ケースを取り外した状態を示す平面図であり、
図3(b)は
図3(a)の領域Bを拡大した部分斜視図である。
図2に示すように、アクチュエータ
1は、ケース10と、ケース10に収容されるモータ2と、ケース10によって回転可能に支持される第1出力部材3Aおよび第2出力部材3Bと、モータ2の回転に基づいて第1出力部材3Aおよび第2出力部材3Bを回転させる駆動力伝達機構4と、モータ2の回転に基づいて揺動部材駆動軸300を揺動させる揺動機構7を備える。モータ2から揺動機構7への駆動力の伝達は、駆動力伝達機構4の減速歯車列40を介して行う。
【0021】
(ケース)
ケース10は、第1フィルタ駆動軸200A、第2フィルタ駆動軸200B、および揺動部材駆動軸300が設けられる側(すなわち、+Z方向側)に配置される第1ケース11と、第1ケース11に対して−Z方向側に配置される第2ケース12を備える。ケース10は全体としてZ軸方向に薄い略直方体状である。
【0022】
第1ケース11は、モータ2、第1出力部材3Aおよび第2出力部材3B、駆動力伝達機構4、揺動機構7が組み付けられる端板部111と、端板部111の外周縁から−Z方向に立ち上がる側板部112を備える。端板部111の+Y方向側の領域には円形の凹部13が形成される。凹部13にはモータ2が組み付けられる。また、端板部111の−Y方側の領域で、且つ、−X方向側の領域には、第1出力部材3Aおよび第2出力部材3Bを回転可能に支持する軸受部14A、14Bが形成される。軸受部14A、14Bは、端板部111を貫通する軸孔であり、Y方向に並んで配置されている。第1出力部材3Aは、軸受部14Aによって回転軸線L1回りに回転可能に支持される。また、第2出力部材3Bは、軸受部14Bによって回転軸線L2回りに回転可能に支持される。第2出力部材3Bおよび軸受部14Bは、第1出力部材3Aおよび軸受部14Aに対して+Y方向側に位置する。また、端板部111には、軸受部14A、14Bに対して+X方向側の領域に凹部15が形成され、凹部15には揺動機構7が組み付けられる。
【0023】
第2ケース12は、第1ケース11の端板部111とZ軸方向に対向する端板部121と、端板部121の外周縁から+Z方向に立ち上がる側板部122を備える。第1ケース11の側板部112には、複数個所に凸部113が形成されている。一方、第2ケース12の側板部122には、第1ケース11の凸部113に対応する位置にフック123が形成されている。フック123と凸部113とを係合させて第1ケース11と第2ケース12とを結合させると、ケース10を構成できる。
【0024】
(配線取り出し部)
図2、
図3に示すように、第1ケース11は、側板部112の+Y方向側に位置する縁に形成された配線取り出し部30を備える。配線取り出し部30は、−Z方向に開口する凹部31を備えており、凹部31には複数の端子ピン32が配置される。複数の端子ピン32の一端は凹部31内で−Z方向に突出する。
図1に示すように、第1ケース11と第2ケース12とを結合させた状態で、凹部31はケース10の外部に露出する。従って、凹部31内に突出する端子ピン32にモータ2への給電用のリード線等を接続することができる。
【0025】
図2に示すように、モータ2の外周面には端子部20が設けられている。端子部20は、複数本の端子ピン21を備える。
図3(b)に示すように、第1ケース11内において、モータ2の端子部20は配線取り出し部30に面しており、端子部20から配線取り出し部30へフラットケーブル33が引き回される。フラットケーブル33を介して、モータ2側の端子ピン21と配線取り出し部30の端子ピン32とが接続される。なお、
図3(a)ではフラットケーブル33の図示を省略している。
【0026】
図3(b)に示すように、配線取り出し部30は、凹部31の−Y方向側に位置する壁部34と、壁部34の+X方向側の端部からモータ2側へ突出するガイド壁35を備える
。ガイド壁35は、モータ2側を向く外周面が円弧状である。モータ2の端子部20から配線取り出し部30へ向かうフラットケーブル33は、+X方向に凸となる形状に屈曲する形状に引き回され、ガイド壁35の円弧状の外周面に接触して案内される。すなわち、ガイド壁35においてフラットケーブル33と接触する部分は、フラットケーブル33が損傷するおそれが少ない形状(円弧状の外周面)である。
【0027】
(駆動力伝達機構)
図2に示すように、モータ2の出力軸には、ピニオン22が取り付けられている。駆動力伝達機構4は、第1歯車41、第2歯車42、第3歯車43によって構成される減速歯車列40と、減速歯車列40を介してモータ2の回転が伝達される差動歯車機構50を備える。第1歯車41は、駆動力伝達機構4の入力歯車であり、ピニオン22と噛み合う大径歯車部411と、大径歯車部411の−Z方向側に位置する小径歯車部412を備える。第2歯車42は、第1歯車41の小径歯車部412と噛み合う大径歯車部421と、大径歯車部421の−Z方向側に位置する小径歯車部422を備える。第3歯車43は、第2歯車42の小径歯車部422と噛み合う大径歯車部431と、大径歯車部431の+Z方向側に位置する小径歯車部432を備える。第1歯車41の回転中心を通る歯車軸413は、+Z方向の端部がモータ2の−Z方向の端面に設けられた凹部(図示省略)によって支持される。また、第2歯車42、第3歯車43の回転中心を通る歯車軸423、433は、+Z方向の端部が第1ケース11の端板部111に設けられた凹部114、115によって支持される。一方、歯車軸413、423、433の−Z方向の端部は、第2ケース12の端板部121に設けられた凹部(図示省略)によって支持される。
【0028】
減速歯車列40の最終段の歯車である第3歯車43は、2つの出力歯車を備える。すなわち、第3歯車43の大径歯車部431は、差動歯車機構50にモータ2の回転を伝達する出力歯車である。一方、第3歯車43の小径歯車部432は、揺動機構7にモータ2の回転を伝達する出力歯車である。なお、揺動機構7にモータ2の回転を伝達する出力歯車として、大径歯車部431と同じ径の歯車や、大径歯車部431よりも径の大きい歯車を用いても良い。本形態では、小径歯車部432の歯数を大径歯車部431よりも少なくすることにより、モータ2の回転を揺動機構7に伝達する際の減速比が大きくなるように構成している。
【0029】
図4は差動歯車機構50と第1出力部材3Aおよび第2出力部材3Bを第2ケース12側(−Z方向側)から見た分解斜視図である。また、
図5は差動歯車機構50と第1出力部材3Aおよび第2出力部材3Bを第1ケース11側(+Z方向側)から見た分解斜視図である。第1出力部材3Aは、第1ケース11の軸受部14Aによって回転可能に支持される軸体60Aと、軸体60Aの−Z方向側の端部に設けられた第1被駆動歯車61Aを備える。また、第2出力部材3Bは、第1ケース11の軸受部14Bによって回転可能に支持される軸体60Bと、軸体60Bの−Z方向側の端部に設けられた第2被駆動歯車61Bを備える。第1被駆動歯車61Aと第2被駆動歯車61Bは、それぞれ、軸体60A、60Bよりも大径である。また、軸体60A、60Bは、それぞれ、+Z方向の端面で開口する凹部62を備えており、凹部62の内周面には複数の突起63が周方向に配列されている。凹部62は、アクチュエータ1をフィルタ駆動装置100に用いるとき、第1フィルタ駆動軸200Aと第2フィルタ駆動軸200Bを回転軸線L1、L2回りに回転不能に連結するための連結部として用いられる。
【0030】
差動歯車機構50は、第1出力部材3Aおよび第2出力部材3Bの回転軸線L1、L2と平行に延びる支軸51と、支軸51によって回転可能に支持される駆動側回転体52、第1出力側回転体53、および第2出力側回転体54と、3つの遊星歯車55(
図5参照)を備える。遊星歯車55は、後述する遊星キャリア533を備える第1出力側回転体53に保持される。差動歯車機構50を第1ケース11に組み付けるとき、第1ケース11
の端板部111に設けられた凹部116に支軸51の端部を圧入し、支軸51の根本側(第1ケース11側)から順に、第2出力側回転体54、第1出力側回転体53、駆動側回転体52の順で組み付ける。第1ケース11と第2ケース12とを結合させると、支軸51のもう一方の端部は、凹部116と対向する位置で第2ケース12の端板部121に設けられた凹部124(
図6参照)によって支持される。
【0031】
図5に示すように、駆動側回転体52は、減速歯車列40の最終段の歯車である第3歯車43の大径歯車部431と噛み合う駆動歯車521が外周縁に形成された大径部522と、大径部522の中央から+Z方向に突出する小径部523を備える。小径部523の外周面には太陽歯車524が形成されている。太陽歯車524は、後述するように、第1出力側回転体53に保持される遊星歯車55と噛み合う。駆動側回転体52は、大径部522と小径部523の中心を通る軸孔525に支軸51を通すことによって支軸51に回転可能に支持される。
【0032】
第1出力側回転体53は、第1出力部材3Aの第1被駆動歯車61Aと噛み合う第1歯車531が外周面に形成された円筒部532と、円筒部532と一体に形成された遊星キャリア533を備える。遊星キャリア533は、円筒部532の−Z方向の端部を塞ぐ端板部534(
図4参照)と、円筒部532の内周側で周方向に等間隔に配置される3本の支軸535と、周方向に隣り合う支軸535の間の3箇所で円弧状に延在する壁部536を備える。支軸535および壁部536は、端板部534から+Z方向に突出する。壁部536の+Z方向の端面には凸部537が形成されている。3本の支軸535には、それぞれ、遊星歯車55が回転可能な状態で取り付けられる。
【0033】
第1出力側回転体53は、端板部534の中央に形成された円形開口538(
図4参照)を備える。円形開口538には、駆動側回転体52の小径部523において太陽歯車524が形成されていない部分である円筒状の基端部が嵌合する。第1出力側回転体53は、駆動側回転体52の小径部523を介して支軸51に組み付けられる。
【0034】
第2出力側回転体54は、第2出力部材3Bの第2被駆動歯車61Bと噛み合う第2歯車541が外周縁に形成された端板部543と、端板部543の外周縁から+Z方向に立ち上がる円筒部542を備える。円筒部542の内周面には内歯歯車544(
図4参照)が形成されている。第2出力側回転体54は、端板部543に形成された軸孔545(
図5参照)に支軸51を通すことによって支軸51に回転可能に支持される。
【0035】
第1出力側回転体53は、円筒部532の内周面と、遊星歯車55および壁部536との間に環状の隙間が形成されている(
図4参照)。第2出力側回転体54を支軸51に組み付けた後、第1出力側回転体53を第2出力側回転体54に対して組み付ける。すなわち、円筒部532の内周面と、遊星歯車55および壁部536との隙間に第2出力側回転体54の円筒部542を挿入する。これにより、円筒部542の内周面に形成された内歯歯車544と、3つの遊星歯車55とが噛み合う。遊星歯車55の支軸535の先端は、第2出力側回転体54の端板部543に形成された凹部546によって支持される。また、壁部536から突出する凸部537は、端板部543に形成された凹部547に嵌合する。第1出力側回転体53を組み付けた後、更に、駆動側回転体52を支軸51に組み付けると、3つの遊星歯車55の内周側に太陽歯車524が挿入され、太陽歯車524と遊星歯車55が噛み合う。
【0036】
差動歯車機構50は、駆動側回転体52に形成された太陽歯車524と、第1出力側回転体53に形成された遊星キャリア533および遊星キャリア533に保持される3つの遊星歯車55と、第2出力側回転体54に形成された内歯歯車544と、によって構成される遊星歯車機構50Aを備える。ここで、駆動側回転体52は、モータ2の回転が減速
歯車列40を介して伝達される駆動歯車521を備えているので、駆動側回転体52に設けられた太陽歯車524が遊星歯車機構50Aの入力要素として機能する。
【0037】
一方、遊星キャリア533を備える第1出力側回転体53は、第1出力部材3Aの第1被駆動歯車61Aと噛み合う第1歯車531を備えており、内歯歯車544を備える第2出力側回転体54は、第2出力部材3Bの第2被駆動歯車61Bと噛み合う第2歯車541を備えている。そして、第1出力部材3Aと第2出力部材3Bはいずれも回転可能である。従って、遊星歯車機構50Aは、第1出力部材3Aと第2出力部材3Bのうち、回転負荷が大きい方に回転を伝達する部材が固定要素として機能し、回転負荷が小さい方に回転を伝達する部材が出力要素として機能する。つまり、本形態の遊星歯車機構50Aは、第1出力部材3Aと第2出力部材3Bの回転負荷の大小に基づき、第1出力部材3Aを回転させる第1の状態と、第2出力部材3Bを回転させる第2の状態に切り換えられる。
【0038】
すなわち、第1の状態は、第1出力側回転体53が遊星歯車機構50Aの出力要素となる状態であり、駆動歯車521の回転が第1歯車531に伝達され、第1歯車531と噛み合う第1被駆動歯車61Aを介して第1出力部材3Aが回転する状態である。第1の状態では、第2出力側回転体54が遊星歯車機構50Aの固定要素となる。また、第2の状態は、第2出力側回転体54が遊星歯車機構50Aの出力要素となる状態であり、駆動歯車521の回転が第2歯車541に伝達され、第2歯車541と噛み合う第2被駆動歯車61Bを介して第2出力部材3Bが回転する状態である。第2の状態では、第1出力側回転体53が遊星歯車機構50Aの固定要素となる。
【0039】
図6は差動歯車機構50の断面図である。この図に示すように、第1出力側回転体53、第2出力側回転体54、および駆動側回転体52を支軸51に組み付けると、入力歯車である駆動歯車521と、2つの出力歯車である第1歯車531と第2歯車541が差動歯車機構50の外周面を構成する。つまり、差動歯車機構50のZ軸方向の寸法は、これら3つの歯車の厚さによって決まる。本形態では、第2歯車541の外径D1は、他の2つの歯車(第1歯車531、駆動歯車521)の歯底径D2よりも小さい。このため、第1歯車531と噛み合う第1被駆動歯車61Aが第2歯車541の外周側まで張り出す厚さとなっているが、第1被駆動歯車61Aと第2歯車541とが干渉することはない。
【0040】
駆動力伝達機構4は、減速歯車列40と遊星歯車機構50Aを備えているので、モータ2の回転を所定の減速比で減速して第1出力部材3Aもしくは第2出力部材3Bに伝達する。モータ2と第1出力部材3Aとの間の減速比を第1の減速比とし、モータ2と第2出力部材3Bとの間の減速比を第2の減速比とすると、本形態では第1の減速比と第2の減速比がほぼ等しい。従って、第1出力部材3Aと第2出力部材3Bをほぼ等しいトルクで駆動できる。
【0041】
(揺動機構)
図7は、第1ケース11および揺動機構7の分解斜視図である。本形態のアクチュエータ1は、揺動部材駆動軸300を所定の角度範囲で揺動させるための揺動機構7を備えており、揺動装置1Aとして機能する。揺動機構7は、リンク駆動歯車71と、リンク従動歯車72と、リンク駆動歯車71を位置決めするキャップ73と、リンク駆動歯車71とリンク従動歯車72を連結するリンク74と、リンク従動歯車72の回転(揺動)が伝達される出力部材75を備える。出力部材75は、リンク従動歯車72と噛み合う出力歯車76が形成された第1部材751と、第1部材751と一体に回転する第2部材752を備える。第1部材751は、出力歯車76の+Z方向側で出力歯車76よりも大径に形成された円板部753と、円板部753から径方向外側に突出する位置決め突起754を備える。出力歯車76の中心にはZ軸方向に延びる軸体755が取り付けられている。
【0042】
上述したように、第1ケース11の端板部111には、第1出力部材3A、第2出力部材3B、および差動歯車機構50が組み付けられた領域の+X方向側に凹部15が形成されている。凹部15には、キャップ取付部16と、軸受部17、18が形成されている。軸受部18はキャップ取付部16の−Y方向側に位置し、軸受部17は軸受部18の−X方向側に位置する。キャップ取付部16にはリンク駆動歯車71とキャップ73が取り付けられる。軸受部17は、出力部材75の基部を回転可能に支持する。また、軸受部18は、リンク従動歯車72の回転中心に設けられた軸体721を支持する。
【0043】
キャップ取付部16は、環状凸部161と、環状凸部161の中央に形成された突出部の上端面に設けられた凹部162と、環状凸部161の内周縁に沿う3箇所に形成された位置決め部163を備える。凹部162には、リンク駆動歯車71の回転中心に設けられた軸体711(
図8参照)の端部が組み付けられる。位置決め部163は、環状凸部161よりも−Z方向への突出寸法が大きい突起状である。位置決め部163は、凹部162の中心(すなわち、リンク駆動歯車71の回転中心)を基準として周方向に等角度間隔で配置されている。
【0044】
軸受部17は、端板部111から−Z方向に立ち上がる円筒部171を備える。円筒部171の内周側には、端板部111を貫通する軸孔が形成されている。円筒部171の外周面には、環状凸部161が繋がっている。
図7に示すように、軸受部17は、円筒部171の−Z方向の端面に形成された規制部173を備える。規制部173は、−Z方向に突出する突出部である。規制部173は、出力歯車76の揺動範囲に対応する所定の角度範囲にわたって円筒部171の端面に形成されている。規制部173の周方向の一端174、および周方向の他端175には段差部が形成されている。
【0045】
図8はリンク駆動歯車71をキャップ73で位置決めした状態を示す断面斜視図(
図3のC1−C1位置の断面斜視図)である。リンク駆動歯車71は、凹部162に組み付けられる軸体711を介して回転可能に支持される。リンク駆動歯車71の中央には−Z方向に突出する円形凸部712が形成されている。キャップ73は、リンク駆動歯車71の外周部に端板部111と逆の側(−Z方向側)から当接する環状部731と、環状部731の外周縁から端板部111の側に延びる周壁732を備える。環状部731の中央には円形の開口735が形成され、開口735にリンク駆動歯車71の円形凸部712が嵌合する。これにより、キャップ73に対してリンク駆動歯車71が位置決めされるとともに、リンク駆動歯車71を介して軸体711の上端が位置決めされる。つまり、キャップ73に形成された開口735とキャップ取付部16に形成された凹部162によって、リンク駆動歯車71を回転可能に支持する上下の軸受が構成される。
【0046】
キャップ73は、周壁732の+Z方向の端面が環状凸部161の−Z方向の端面に当接することによってZ軸方向に位置決めされる。そして、周壁732の内周面にキャップ取付部16の位置決め部163が3点で当接することによって、Z軸方向と交差する方向で第1ケース11に対して位置決めされる。位置決め部163は、凹部162と同軸の位置にキャップ73を位置決めする。上記のように、キャップ73に形成された開口735の内周面がリンク駆動歯車71の軸受として機能するので、キャップ73を凹部162と同軸に位置決めすることによって、リンク駆動歯車71は、キャップ73を介して凹部162と同軸の位置に位置決めされる。キャップ73には、周壁732の外周側の2箇所にボス部733が形成される。キャップ73は、ボス部733を介して端板部111にネジ固定される。
【0047】
周壁732は、周方向の一部を切り欠いた切り欠き部734を備える。切り欠き部734は、減速歯車列40の最終段の歯車である第3歯車43の小径歯車部432に面する。小径歯車部432は、切り欠き部734を経由してリンク駆動歯車71と噛み合う。従っ
て、減速歯車列40を介して、リンク駆動歯車71にモータ2の回転が所定の減速比で減速されて伝達される。
【0048】
リンク従動歯車72は、軸体721を介して軸受部18によって回転可能に支持される。リンク従動歯車72には、リンク74の一端が連結され、リンク74の他端はリンク駆動歯車71の円形凸部712に連結される。リンク駆動歯車71が1回転すると、リンク74はX軸方向に1往復し、リンク従動歯車72は所定の角度範囲で往復回転(すなわち、往復揺動)する。リンク従動歯車72は、周方向の一部の範囲に歯部722が形成されている。
【0049】
図9は出力部材75および軸受部17の断面斜視図(
図3のC2−C2位置の断面斜視図)である。また、
図10は、揺動機構7の出力部材75を第1ケース11の軸受部17に取り付けた状態を示す分解斜視図である。
図9に示すように、出力部材75は、出力歯車76よりも大径の部分が軸受部17によって回転可能に支持される。軸受部17は端板部111を貫通するので、出力部材75の+Z方向側の端部は端板部111の+Z方向側に突出する。従って、出力部材75に上述した揺動部材駆動軸300(
図1参照)を連結し、出力部材75の揺動運動を揺動部材駆動軸300に伝達できる。
【0050】
図10に示すように、出力部材75を軸受部17に取り付けると、出力部材75の位置決め突起754は円筒部171の端面に載った状態となる。出力部材75は、位置決め突起754が規制部173の周方向の一端174に当接する位置と、位置決め突起754が規制部173の周方向の他端175に当接する位置との間で揺動可能である。位置決め突起754を規制部173の周方向の一端174もしくは他端175に当接させるように出力部材75を組み付けることで、出力歯車76の回転位置を容易に合わせることができる。
【0051】
揺動機構7は、出力歯車76よりもリンク従動歯車72の方が大径であり、リンク従動歯車72と出力歯車76によって増速機構を構成している。本形態では、出力歯車76の揺動角度がリンク従動歯車72の揺動角度の倍となるように両歯車の歯数を設定している。具体的には、出力歯車76の揺動角度が220°であり、リンク従動歯車72の揺動角度が110°である。このように、増速機構を用いることにより、180度を越える角度範囲で出力歯車76を揺動させることができる。
【0052】
(作用効果)
以上のように、本形態のアクチュエータ1は、第1出力部材3Aと第2出力部材3Bを共通のモータ2によって駆動できる。また、駆動力伝達機構4は、駆動歯車521の回転が第1出力側回転体53の第1歯車531に伝達される第1の状態と、駆動歯車521の回転が第2出力側回転体54の第2歯車541に伝達される第2の状態に切り換えられる。このようにすると、モータ2の駆動力を第1出力部材3Aと第2出力部材3Bのどちらか一方に切り換えて伝達できるので、第1出力部材3Aと第2出力部材3Bを共通のモータ2で駆動する構成でありながら、モータ2を大型化する必要がない。従って、アクチュエータ1を小型化することができる。また、第1出力部材3Aと第2出力部材3Bの回転負荷の大小によって駆動力の伝達先を切り換えることができるので、回転負荷の小さい方を先に駆動し、その結果、先に駆動した方の回転負荷が大きくなると、駆動力の伝達先をもう一方に切り換えてもう一方を駆動できる。従って、共通のモータ2で第1出力部材3Aと第2出力部材3Bを交互に駆動できる。
【0053】
また、本形態のアクチュエータ1は、減速比の大きい遊星歯車機構50Aを用いるとともに、第1出力部材3Aに形成された第1被駆動歯車61A、および第2出力部材3Bに形成された第2被駆動歯車61Bが遊星歯車機構50Aの出力要素に形成された第1歯車
531、および第2歯車541と直接噛み合っている。従って、駆動力伝達機構4の設置スペースを小さくすることができ、且つ、減速比を増大させることができる。従って、モータ2と第1出力部材3A、第2出力部材3Bとの間の減速比が大きく、且つ、小型のアクチュエータを実現できる。
【0054】
また、本形態の駆動力伝達機構4は、第2出力側回転体54に形成された第2歯車541の外径は、第1出力側回転体53に形成された第1歯車531の歯底径よりも小さい。従って、第1歯車531と噛み合う第1被駆動歯車61Aを第2歯車541の外周側に張り出させることができる。よって、歯車同士の噛み合い幅を確保し、且つ、第1出力側回転体53の薄型化を図ることができる。その結果、差動歯車機構50をZ軸方向に薄型化できる。
【0055】
また、本形態の駆動力伝達機構4は、第1ケース11に支軸51を取り付け、第2出力側回転体54、第1出力側回転体53、駆動側回転体52、の順で3つの回転体を第1ケース11内に落とし込むことによって差動歯車機構50を組み立てることができる。よって、駆動力伝達機構4の組立が容易である。
【0056】
また、本形態の駆動力伝達機構4は、モータ2と第1出力部材3Aの間の減速比(第1の減速比)と、モータ2と第2出力部材3Bの間の減速比(第2の減速比)とがほぼ等しいので、第1出力部材3Aと第2出力部材3Bをほぼ同一のトルクで駆動することができる。なお、第1の減速比と第2の減速比は同一にすることが望ましい。第1の減速比と第2の減速比が同一であれば、同一のトルクで第1出力部材3Aと第2出力部材3Bを駆動できる。
【0057】
また、本形態のアクチュエータ1は、第1フィルタ駆動軸200Aと第2フィルタ駆動軸200Bを交互に回転させるだけでなく、モータ2の回転に基づいて揺動部材駆動軸300を揺動させる揺動装置1Aとして機能する。そして、本形態では揺動機構7を構成するリンク駆動歯車71がキャップ73を介して第1ケース11に位置決めされる、キャップ73に形成された開口735とキャップ取付部16に形成された凹部162によってリンク駆動歯車71の上下の軸受が構成される。そして、キャップ73は、第1ケース11の位置決め部163に当接して位置決めされる。このように、第1ケース11に位置決め部163を設けたことにより、キャップ73の組み付け精度が高く、キャップ73を介して位置決めされるリンク駆動歯車71の組み付け精度が高い。そして、位置決め部163はキャップ73の内側で等角度間隔の3箇所に設けられ、キャップ73の周壁732に対して内周側から3箇所で当接する。このような構成では、キャップ73の外周側に位置決め部を設けるスペースを確保する必要がないので、揺動装置1Aを小型化できる。また、キャップ73の位置決め作業が容易である。なお、位置決め部163は4箇所以上であってもよい。
【0058】
また、本形態の揺動機構7は、出力部材75を回転可能に支持する軸受部17が第1ケース11に設けられ、軸受部17は出力部材75の揺動範囲を規制する規制部173を備えるとともに、出力部材75には位置決め突起754が設けられる。従って、規制部173と位置決め突起754を当接させることによって出力部材75の揺動位置を合わせることができる。よって、出力部材75の揺動位置を目視で確認しながら出力部材75を組み付ける必要がなく、出力部材75の組み付け作業が容易である。
【0059】
また、本形態の揺動機構7は、出力部材75の基部を回転可能に支持する軸受部17が第1ケース11の端板部111を貫通する軸孔を備える。従って、出力部材75は、軸受部17を経由して、ケース10の外部に設けられた揺動部材駆動軸300に揺動運動を伝達できる。
【0060】
また、本形態の揺動機構7は、出力歯車76よりもリンク従動歯車72の方が大径であり、リンク従動歯車72と出力歯車76によって増速機構を構成している。従って、180度を越える角度範囲で出力歯車76を揺動させることができる。
【0061】
(変形例)
図11は、変形例の差動歯車機構の展開図である。上記形態では、駆動歯車521、第1歯車531、および第2歯車541のうち、第2歯車541の外径D1が他の2つの歯車の歯底径D2よりも小さく、駆動歯車521と第1歯車531の歯底径D2および外径は同一であったが、変形例の差動歯車機構50は、
図11に示すように、第2歯車541の外径D1が第1歯車531の歯底径D2よりも小さく、加えて、第1歯車531の外径D3が駆動歯車521の歯底径D4よりも小さい。
【0062】
このように、変形例の差動歯車機構50は、3つの回転体の歯車(駆動歯車521、第1歯車531、および第2歯車541)のそれぞれについて、Z軸方向に隣り合う2つの歯車の一方の外径が他方の歯底径よりも小さい寸法に設定されている。このような寸法設定であれば、第1歯車531と噛み合う第1被駆動歯車61Aを第2歯車541の外周側に張り出させるだけでなく、駆動歯車521と噛み合う大径歯車部431についても第1歯車531の外周側に張り出させることができる。従って、3つの回転体のそれぞれについて薄型化を図ることができ、且つ、歯車同士の噛み合い幅を確保できる。よって、差動歯車機構50をZ軸方向に薄型化でき、アクチュエータ1をZ軸方向に薄型化できる。加えて、駆動歯車521を第1歯車531および第2歯車541よりも大径にすることができるので、減速比を大きくすることができる。
【0063】
また、このように、駆動歯車521、第1歯車531、第2歯車541の順で外径が小さくなっていれば、支軸51に差動歯車機構50の部品を組み付けるとき、径が小さい部品から順に組み付けることができる。従って、駆動力伝達機構の組み立てが容易である。
【0064】
(他の実施形態)
(1)上記実施の形態では、モータ2の回転に基づいて第1出力部材3Aおよび第2出力部材3Bを交互に回転させる差動歯車機構50として、遊星歯車機構50Aを備えるものを用いたが、モータ2の回転を2つの出力部材に振り分けて回転させる他の差動機構を用いても良い。
【0065】
(2)上記形態のアクチュエータ1は、フィルタ駆動装置に用いられ、フィルタ駆動軸を回転させるものであったが、アクチュエータ1は、他の駆動軸を駆動する装置に用いることもできる。
【0066】
(3)上記形態のアクチュエータ1は、揺動部材駆動軸300を揺動させる揺動装置1Aとして機能するものであり、揺動部材駆動軸300はフィルタをクリーニングするための部材を駆動するものであったが、クリーニング部材以外の揺動部材を駆動する揺動装置1Aとして用いることもできる。