(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562801
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】モータ装置およびヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H02K 37/14 20060101AFI20190808BHJP
H02K 37/24 20060101ALI20190808BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20190808BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
H02K37/14 K
H02K37/24 R
H02K7/116
B60K35/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-192416(P2015-192416)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-70084(P2017-70084A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】春日 孝文
【審査官】
池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−340565(JP,A)
【文献】
特開2015−070670(JP,A)
【文献】
特開2006−288069(JP,A)
【文献】
特開2005−086978(JP,A)
【文献】
特開2004−336841(JP,A)
【文献】
特開平10−333080(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0033140(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 37/14
B60K 35/00
H02K 7/116
H02K 37/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
前記ステータに対向するマグネット、および前記ステータからモータ軸線方向の一方側である出力側に突出し、外周面に螺旋溝が設けられた樹脂製の出力軸を備えたロータと、
を有し、
前記ロータは、前記出力軸を含む樹脂部分が前記マグネットと一体となった樹脂成形品からなり、
前記出力側とは反対側の反出力側で前記ロータを支持する軸受部材を有し、
前記軸受部材は、前記ステータの前記反出力側の端面で開口する穴に嵌った第1凸部を備え、
前記軸受部材を前記反出力側から支持するホルダを有し、
前記ホルダにおいて前記軸受部材と重なる底部には、前記出力側に突出して前記軸受部材の前記反出力側の面に当接する第2凸部が設けられていることを特徴とするモータ装置。
【請求項2】
ステータと、
前記ステータに対向するマグネット、および前記ステータからモータ軸線方向の一方側である出力側に突出し、外周面に螺旋溝が設けられた樹脂製の出力軸を備えたロータと、
を有し、
前記ロータは、前記出力軸を含む樹脂部分が前記マグネットと一体となった樹脂成形品からなり、
前記ステータの前記出力側の端面に重なるフレームを備え、
前記フレームは、前記ステータの前記出力側の端面で開口する穴に嵌った第3凸部を備えていることを特徴とするモータ装置。
【請求項3】
ステータと、
前記ステータに対向するマグネット、および前記ステータからモータ軸線方向の一方側である出力側に突出し、外周面に螺旋溝が設けられた樹脂製の出力軸を備えたロータと、
を有し、
前記ロータは、前記出力軸を含む樹脂部分が前記マグネットと一体となった樹脂成形品からなり、
前記出力軸を前記モータ軸線方向に対して交差する方向に付勢する付勢部材を有することを特徴とするモータ装置。
【請求項4】
前記マグネットには、前記モータ軸線方向で前記樹脂部分と係合した抜け止め部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のモータ装置。
【請求項5】
前記抜け止め部は、前記モータ軸線周りの全周に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のモータ装置。
【請求項6】
前記マグネットには、前記モータ軸線周りの方向で前記樹脂部分と係合した周り止め部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のモータ装置。
【請求項7】
前記樹脂部分の内側には、前記出力側とは反対側の反出力側の端部から前記出力側に延在して前記螺旋溝が形成されている部分の内側を空洞とする肉盗み部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のモータ装置。
【請求項8】
前記ステータは、前記反出力側に、円環部の内縁から前記出力側に複数の極歯が屈曲したステータコアを備え、
前記穴は、前記内縁において、前記複数の極歯のうち、周方向で隣り合う極歯の間に設けられた切り欠きからなることを特徴とする請求項1に記載のモータ装置。
【請求項9】
前記ステータは、前記出力側に、円環部の内縁から前記出力側とは反対側の反出力側に複数の極歯が屈曲したステータコアを備え、
前記穴は、前記内縁において、前記複数の極歯のうち、周方向で隣り合う極歯の間に設けられた切り欠きからなることを特徴とする請求項2に記載のモータ装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のモータ装置を備えたヘッドアップディスプレイであって、
画像生成装置と、
前記画像生成装置によって生成された画像を投射する光学系と、
前記モータ装置によって前記画像の投射位置を切り換える切り換え機構と、
を有することを特徴とするヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力軸の外周面に螺旋溝が設けられたモータ装置、およびモータ装置を備えたヘッドアップディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータ装置は、ステータと、ステータに対向するマグネットを備えたロータとを有しており、ステータからモータ軸線方向の出力側に出力軸が突出している。出力軸の外周面には、出力軸をウォームとして構成するための螺旋溝や、キャリアをモータ軸線方向に移動させる螺旋溝(リードスクリュ)が形成されている。このため、従来のモータ装置では、ロータと出力軸とを各々、別体に構成し、ロータと出力軸とをカップリング等を介して機構的に接続することが多い(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/133118号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のモータ装置のように、ロータと出力軸とを各々、別体に構成した場合には、部品点数が多いため、組み立てに多大な手間がかかる。また、ロータと出力軸とを各々、別体に構成した場合には、カップリング等を必要とするため、部品コストが嵩む。このため、モータ装置の低コスト化が困難であるという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、出力軸の外周面に螺旋溝が設けられている場合でも、コストを低減することのできるモータ装置、およびモータ装置を備えたヘッドアップディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るモータ装置は、ステータと、前記ステータに対向するマグネット、および前記ステータからモータ軸線方向の一方側である出力側に突出し、外周面に螺旋溝が設けられた樹脂製の出力軸を備えたロータと、を有し、前記ロータは、前記出力軸を含む樹脂部分が前記マグネットと一体となった樹脂成形品からな
り、前記出力側とは反対側の反出力側で前記ロータを支持する軸受部材を有し、前記軸受部材は、前記ステータの前記反出力側の端面で開口する穴に嵌った第1凸部を備え、前記軸受部材を前記反出力側から支持するホルダを有し、前記ホルダにおいて前記軸受部材と重なる底部には、前記出力側に突出して前記軸受部材の前記反出力側の面に当接する第2凸部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明において、出力軸が樹脂製であるため、出力軸を製作する際、螺旋溝を同時に形成することができる。また、ロータは、外周面に螺旋溝が設けられた樹脂製の出力軸を含む樹脂部分がインサート成形によってマグネットと一体となった樹脂成形品からなるため、ロータと出力軸とを各々、別体に構成した場合より部品点数が少ない。また、ロータと出力軸とを各々、別体に構成した場合と違って、ロータと出力軸とをカップリング等を介して機構的に接続する必要がないので、部品点数が少ない。また、部品点数が少ないので、モータ装置を効率よく組み立てることができる。それ故、モータ装置のコストを低減することができる。
また、かかる構成によれば、ロータが回転した際、軸受部材が供回りすることを防止することできる。また、かかる構成によれば、ホルダとステータとの間に軸受部材を確実に保持することができる。
【0008】
本発明において、前記マグネットには、前記モータ軸線方向で前記樹脂部分と係合した抜け止め部が設けられていることが好ましい。
【0009】
この場合、前記抜け止め部は、前記モータ軸線周りの全周に設けられていることが好ま
しい。かかる構成によれば、マグネットや樹脂部分において特定箇所に応力が集中しにくいので、マグネットや樹脂部分に割れ等が発生することを抑制することができる。
【0010】
本発明において、前記マグネットには、前記モータ軸線周りの方向で前記樹脂部分と係合した周り止め部が設けられていることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記樹脂部分の内側には、前記出力側とは反対側の反出力側の端部から前記出力側に延在して前記螺旋溝が形成されている部分の内側を空洞とする肉盗み部が設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、成形時のヒケの影響を低減することができる。
【0013】
本発明において、前記ステータは、前記反出力側に、円環部の内縁から前記出力側に複数の極歯が屈曲したステータコアを備え、前記穴は、前記内縁において、前記複数の極歯のうち、周方向で隣り合う極歯の間に設けられた切り欠きからなる態様を採用することができる。かかる構成によれば、ステータに穴を改めて設ける必要がない。
【0015】
次に、本発明に係るモータ装置は、ステータと、前記ステータに対向するマグネット、および前記ステータからモータ軸線方向の一方側である出力側に突出し、外周面に螺旋溝が設けられた樹脂製の出力軸を備えたロータと、を有し、前記ロータは、前記出力軸を含む樹脂部分が前記マグネットと一体となった樹脂成形品からなり、前記ステータの前記出力側の端面に重なるフレームを備え、前記フレームは、前記ステータの前記出力側の端面で開口する穴に嵌った第3凸部を備えていることを特徴とする。かかる構成によれば、フレームに対してステータを効率よく位置決めすることができる。
【0016】
本発明において、前記ステータは、前記出力側に、円環部の内縁から前記出力側とは反対側の反出力側に複数の極歯が屈曲したステータコアを備え、前記穴は、前記内縁において、前記複数の極歯のうち、周方向で隣り合う極歯の間に設けられた切り欠きからなる態様を採用することができる。
【0017】
次に、本発明に係るモータ装置は、ステータと、前記ステータに対向するマグネット、および前記ステータからモータ軸線方向の一方側である出力側に突出し、外周面に螺旋溝が設けられた樹脂製の出力軸を備えたロータと、を有し、前記ロータは、前記出力軸を含む樹脂部分が前記マグネットと一体となった樹脂成形品からなり、前記出力軸を前記モー
タ軸線方向に対して交差する方向に付勢する付勢部材を有することを特徴とする。かかる構成によれば、出力軸のガタつきを抑制することができる。
【0018】
本発明に係るモータ装置は、例えば、ヘッドアップディスプレイに用いることができる。この場合、ヘッドアップディスプレイは、画像生成装置と、前記画像生成装置によって生成された画像を投射する光学系と、前記モータ装置によって前記画像の投射位置を切り換える切り換え機構と、を有する。かかる構成によれば、モータ装置の低コストによって、ヘッドアップディスプレイのコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明において、出力軸が樹脂製であるため、出力軸を製作する際、螺旋溝を同時に形成することができる。また、ロータは、外周面に螺旋溝が設けられた樹脂製の出力軸を含む樹脂部分がインサート成形によってマグネットと一体となった樹脂成形品からなるため
、ロータと出力軸とを各々、別体に構成した場合より部品点数が少ない。また、ロータと出力軸とを各々、別体に構成した場合と違って、ロータと出力軸とをカップリング等を介して機構的に接続する必要がないので、部品点数が少ない。また、部品点数が少ないので、モータ装置を効率よく組み立てることができる。それ故、モータ装置のコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明を適用したモータ装置の説明図である。
【
図2】本発明を適用したモータ装置をモータ軸線に沿って切断したときの断面図である。
【
図3】本発明を適用したモータ装置のモータ等を出力側からみた分解斜視図である。
【
図4】本発明を適用したモータ装置のモータ等を反出力側からみた説明図である。
【
図5】本発明を適用したモータ装置のロータを出力側からみた説明図である。
【
図6】本発明を適用したモータ装置のマグネットの説明図である。
【
図7】本発明を適用したモータ装置においてステータの反出力側に配置された軸受部材の説明図である。
【
図8】本発明を適用したモータ装置のフレームの第1板部を反出力側からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明においては、ロータおよび出力軸の回転中心軸線(モータ軸線)にLを付し、モータ軸線Lの延在方向(モータ軸線L方向)の一方側(出力側)にL1を付し、モータ軸線L方向の他方側(反出力側)にL2を付して説明する。
(モータ装置1の概略構成)
図1は、本発明を適用したモータ装置1の説明図であり、
図1(a)、(b)は、モータ装置1の斜視図、およびモータ装置1を用いたヘッドアップディスプレイ100の概略構成図である。
図2は、本発明を適用したモータ装置1をモータ軸線Lに沿って切断したときの断の断面図である。
【0022】
図1(a)および
図2に示すモータ装置1は、モータ10と、モータ10の回転を伝達する歯車90と、モータ10および歯車90を支持するフレーム8とを有している。
【0023】
モータ10は、円筒状のステータ4と、ステータ4に対向するマグネット3を備えたロータ2とを有しており、ステータ4からモータ軸線L方向の一方側(出力側L1)に向けて、出力軸5が突出している。
【0024】
フレーム8は、ステータ4とモータ軸線L方向で対向する第1板部81と、第1板部81にモータ軸線L方向の出力側L1で対向する第2板部82と、第1板部81と第2板部82とを連結する第3板部83とを備えている。ステータ4の出力側L1の端面49は、第1板部81に重ねて配置されており、第1板部81には出力軸5を出力側L1に突出させる穴811が形成されている。第2板部82には、出力軸5の先端部を回転可能に支持する軸受85が保持されている。
【0025】
モータ装置1は、ステータ4を内側に保持する円筒部61を備えたホルダ6を有しており、ホルダ6は、
図7等を参照して説明するフランジ部65を介して第1板部81にネジ(図示せず)等により固定されている。従って、モータ10は、ホルダ6によって第1板部81に固定されている。なお、ステータ4の反出力側L2の端部とホルダ6との間には、後述する軸受部材7が配置されている。
【0026】
出力軸5は、外周面には螺旋溝51が形成されたウォームとして構成されている。また、歯車90は、第3板部83に対してモータ軸線Lと直交するように保持された支軸86に回転可能に支持されている。歯車90は、出力軸5の螺旋溝51と噛み合うヘリカルギア91と、ヘリカルギア91と一体に形成された小径の外歯歯車92とを有している。
【0027】
このように構成したモータ装置1は、例えば、
図1(b)に示すヘッドアップディスプレイ100に用いられる。ヘッドアップディスプレイ100は、画像生成装置110と、画像生成装置110によって生成された画像を自動車のフロントガラス等の被投射部材150に向けて投射する光学系120とを有している。また、ヘッドアップディスプレイ100は、モータ装置1によって画像の投射位置を切り換える切り換え機構130を有している。本形態において、切り換え機構130は、モータ10の出力軸5の回転を歯車90を介してミラー140に伝達し、ミラー140の姿勢を切り換えることによって、被投射部材150に対する画像の投射位置を切り換える。
(モータ10の構成)
図3は、本発明を適用したモータ装置1のモータ10等を出力側L1からみた分解斜視図である。
図4は、本発明を適用したモータ装置1のモータ10等を反出力側L2からみた説明図であり、
図4は、モータ10等を反出力側L2からみた斜視図、およびモータ10等を反出力側L2からみた分解斜視図である。
【0028】
図2、
図3、および
図4に示すように、モータ10は、ステッピングモータであり、円筒状のステータ4を有している。ステータ4では、A相用のステータとB相用のステータとがモータ軸線L方向に重ねて配置された構造を有している。このため、ステータ4では、コイル線46が巻回された2つのコイルボビン(第1コイルボビン42Aと第2コイルボビン42B)がモータ軸線L方向に重ねて配置されており、かかるコイルボビンには各々、以下に説明するステータコアが重ねて配置されている。第1コイルボビン42Aにおいてモータ軸線L方向の両側には、円環状の内ステータコア43A、および断面U字形状の外ステータコア44Aが重ねて配置され、第2コイルボビン42Bにおいてモータ軸線L方向の両側には、円環状の内ステータコア43B、および断面U字形状の外ステータコア44Bが重ねて配置されている。第1コイルボビン42Aおよび第2コイルボビン42Bの内周面では、内ステータコア43A、43Bおよび外ステータコア44A、44Bの複数の極歯45が周方向に並んだ構成となっている。ここで、ステータ4の外周面は、外ステータコア44A、44Bによって構成されており、外ステータコア44A、44Bの外周部分によってモータケースが構成されている。このようにして、円筒状のステータ4が構成され、ステータ4の径方向内側にはロータ2が同軸状に配置されている。
【0029】
(ロータ2の構成)
図5は、本発明を適用したモータ装置1のロータ2を出力側L1からみた説明図であり、
図5(a)、(b)は、ロータ2を出力側L1からみた斜視図、およびロータ2を出力側L1からみた分解斜視図である。
図6は、本発明を適用したモータ装置1のマグネット3の説明図であり、
図6(a)、(b)は、マグネット3を出力側L1からみた平面図、およびマグネット3をモータ軸線Lに沿って切断した断面図である。なお、
図6(b)には、ロータ2の樹脂部分20を二点鎖線で示してある。
【0030】
図2および
図5に示すように、本形態のモータ装置1において、モータ10のロータ2は、円筒状のマグネット3と、モータ軸線L方向の出力側に突出した出力軸5とを有しており、かかる出力軸5の外周面に螺旋溝51が設けられている。ここで、出力軸5は、樹脂製であり、ロータ2は、インサート成形により、出力軸5を含む樹脂部分20がマグネット3と一体となった樹脂成形品からなる。樹脂部分20は、出力軸5から反出力側L2に延在する胴部25を有しており、かかる胴部25の外周面にマグネット3が保持されている。出力軸5のうち、螺旋溝51が形成されている部分510と胴部25との間は、螺
旋溝51が形成されていない軸部52になっている。
【0031】
樹脂部分20は、胴部25から反出力側L2に向けて突出した円筒部24を有している。また、樹脂部分20において、出力軸5の出力側L1の端部は、螺旋溝51が形成されている部分510より小径の小径部511になっており、小径部511から出力側L1に向けて、軸受85に支持される軸状の先端部512が形成されている。先端部512の先端面は、凸曲面になっている。
【0032】
樹脂部分20の内側には、反出力側L2の端部から出力側L1に延在して螺旋溝51が形成されている部分510の内側を空洞とする肉盗み部29が設けられている。本形態において、肉盗み部29の内周面は、モータ軸線L方向において出力側L1に向かうに従って内径が小さくなるように傾いた抜きテーパが設けられているが、その角度は小さい。また、樹脂部分20の外径は、螺旋溝51が形成されている部分510と軸部52とが略同等である。このため、樹脂部分20において、螺旋溝51が形成されている部分510と軸部52とでは肉厚が同等である。従って、ロータ2を成形する際、螺旋溝51が形成されている部分510に対するヒケの影響を低減することができる。
【0033】
図2、
図5および
図6に示すように、マグネット3は略円筒状であり、モータ軸線L方向において外径が一定である。マグネット3の内部は、モータ軸線L方向の中央部分が径方向内側に張り出している。このため、マグネット3は、モータ軸線L方向の出力側L1から反出力側L2に向けて、第1筒部31、第1筒部31より内径が小さい第2筒部32、および第1筒部31と内径が等しい第3筒部33が順に設けられている。ここで、第2筒部32の出力側L1の端面には、周方向の複数個所に凹部321が形成されている。本形態において、凹部321は、モータ軸線L周りにおいて、等角度間隔に3つ形成されている。
【0034】
このように構成したマグネット3をインサート成形してロータ2を製造すると、樹脂部分20の胴部25は、マグネット3の内周形状に沿って形成される結果、胴部25には、モータ軸線L方向の出力側L1から反出力側L2に向けて、マグネット3の第1筒部31の内側に位置する第1胴部26、マグネット3の第2筒部32の内側に位置する第2胴部27、およびマグネット3の第3筒部33の内側に位置する第3胴部28が順に設けられる。本形態において、第2胴部27の外径は、軸部52の外径と等しい。また、第1胴部26の反出力側L2の面には、マグネット3の凹部321に嵌った凸部261が形成される。
【0035】
また、マグネット3を用いてロータ2を構成すると、マグネット3の第2筒部32は、胴部25の第1胴部26および第3胴部28にモータ軸線L方向の両側に向けて係合し、マグネット3が樹脂部分20からモータ軸線L方向に抜けることを防止する抜け止め部36として機能する。本形態において、抜け止め部36は、マグネット3の第2筒部32からなるため、モータ軸線L周りの全周に設けられた構造になっている。
【0036】
また、マグネット3の凹部321は、胴部25の凸部261とモータ軸線L周りの方向で係合して、マグネット3が樹脂部分20に対して空周りすることを防止する周り止め部37として機能する。
(軸受部材7の構成)
図7は、本発明を適用したモータ装置1においてステータ4の反出力側L2に配置された軸受部材7の説明図であり、
図7(a),(b)、(c)は、外ステータコア44Bとホルダ6の底部62との間に軸受部材7を配置した状態を出力側L1からみた斜視図、外ステータコア44Bを外した状態を出力側L1からみた分解斜視図、および軸受部材7をホルダ6から外した状態を出力側L1からみた分解斜視図である。
【0037】
図2、
図3および
図4に示すように、モータ装置1において、ステータ4の反出力側L2には、ロータ2の円筒部24を介してロータ2を回転可能に支持する軸受部材7が配置されている。本形態において、軸受部材7は、ロータ2の円筒部24を支持する円形の軸穴71が形成された円環状の部材である。
【0038】
軸受部材7の出力側L1の面76には第1凸部72が形成されている一方、ステータ4の反出力側L2の端面48には、第1凸部72が嵌る穴450が形成されている。本形態において、第1凸部72は、軸穴71の周りに等角度間隔に3つ形成されている。これに対して、
図4(b)に示すように、穴450は、極歯45と同数等角度に形成されており、かかる複数の穴450のうち、3つの穴450に3つの第1凸部72が嵌っている。従って、ロータ2が回転した際、軸受部材7が供回りすることを防止することできる。
【0039】
図7(a)、(b)に示すように、穴450は、外ステータコア44Bにおいて、円環部441の内縁から出力側L1に複数の極歯45を屈曲させる際、極歯45を適正に屈曲させるために、隣り合う極歯45の根元に形成した切り欠き442からなる。従って、軸受部材7の第1凸部72は、隣り合う極歯45の根元に形成された切り欠き442(穴450)に嵌っている。それ故、軸受部材7は、ステータ4の極歯45を基準に位置決めされるので、ロータ2を極歯45を基準とした位置で支持することができる。また、軸受部材7を位置決めするための穴450を別途、ステータ4に設ける必要がない。
【0040】
軸受部材7をモータ軸線L方向で位置決めするにあたって、ホルダ6の円筒部61の底部62とステータ4との間に軸受部材7を挟んで固定した構造が採用されている。ここで、底部62は、ロータ2の円筒部24が部分的に入り込んだ円形の穴63が形成されており、底部62のうち、穴63の周りで軸受部材7と重なる部分には、出力側L1に突出して軸受部材7の反出力側L2の面77に当接する第2凸部64が設けられている。本形態において、第2凸部64は、穴63の周りには、等角度間隔に3つ設けられている。このため、ホルダ6の底部62とステータ4との間に軸受部材7を確実に保持することができる。なお、ホルダ6には、円筒部61の出力側L1の端部から径方向外側に屈曲したフランジ部65が形成され、円筒部61には、モータ10の端子11(
図2参照)を径方向外側に突出させる切り欠き67が形成されている。
(フレーム8とステータ4との位置決め構造)
図8は、本発明を適用したモータ装置1のフレーム8の第1板部81を反出力側L2からみた斜視図である。
【0041】
図8に示すように、フレーム8の第1板部81の反出力側L2の面には第3凸部88が形成されている一方、
図3に示すように、ステータ4の出力側L1の端面49には、第3凸部38が嵌る穴455が形成されている。
図3および
図8に示すように、第3凸部88は、穴811の周りに等角度間隔に3つ形成されている。これに対して、穴455は、極歯45と同数等角度に形成されており、かかる複数の穴455のうち、3つの穴455に3つの第3凸部88が嵌っている。従って、治具等を用いなくても、ステータ4とフレーム8とを容易に位置合わせすることができるので、モータ装置1の組み立てを効率よく行うことができる。また、本形態では、ステータ4をホルダ6によってフレーム8に固定するため、ステータ4の出力側L1の端面49とフレーム8とを溶接等によって固定する必要がない。さらに、ステータ4の出力側L1の端面49に端板等を溶接等によって固定する必要がない。
【0042】
穴455は、
図7(a)、(b)を参照して説明した穴450と同様、外ステータコア44Aにおいて、円環部444の内縁から反出力側L2に複数の極歯45を屈曲させる際、極歯45を適正に屈曲させるために、隣り合う極歯45の根元に形成した切り欠き44
5からなる。従って、フレーム8の第3凸部88は、隣り合う極歯45の根元に形成された切り欠き445(穴455)に嵌っている。それ故、ステータ4は、極歯45を基準にフレーム8に位置決めされる。また、フレーム8に位置決めするための穴455を別途、ステータ4に設ける必要がない。
(付勢部材95の構成)
図1(a)に示すように、モータ装置1では、出力軸5をモータ軸線L方向に対して交差する方向に付勢する付勢部材95が設けられている。本形態において、付勢部材95は、フレーム8に基端側が保持された板状バネ96であり、先端側がモータ軸線L方向に対して交差する方向から出力軸5の軸部52に当接している。このため、出力軸5が回転して歯車90を駆動した際、出力軸5に5をモータ軸線L方向に対して交差する方向の力が加わっても、出力軸5のガタつきを抑制することができる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のモータ装置1では、出力軸5が樹脂製であるため、出力軸5を製作する際、出力軸5の外周面に螺旋溝51を同時に形成することができる。また、ロータ2は、外周面に螺旋溝51が設けられた樹脂製の出力軸5を含む樹脂部分20がインサート成形によってマグネット3と一体となった樹脂成形品からなるため、ロータ2と出力軸5とを各々、別体に構成した場合より部品点数が少ない。また、ロータ2と出力軸5とを各々、別体に構成した場合と違って、ロータ2と出力軸5とをカップリング等を介して機構的に接続する必要がない。また、部品点数が少ないので、モータ装置1を効率よく組み立てることができる。それ故、モータ装置1のコストを低減することができる。よって、モータ装置1を用いたヘッドアップディスプレイ100のコストを低減することができる。
【0043】
また、ロータ2において、マグネット3には、モータ軸線L方向で樹脂部分20と係合した抜け止め部36(第2筒部32)が設けられている。このため、マグネット3とステータ4との磁気的な吸引力が作用した状態で、出力軸5にモータ軸線L方向の力が加わった場合でも、マグネット3が樹脂部分20から抜けにくい。また、抜け止め部36は、モータ軸線L周りの全周に設けられている。このため、マグネット3や樹脂部分20において特定箇所に応力が集中しにくいので、マグネット3や樹脂部分20に割れ等が発生することを抑制することができる。
【0044】
また、マグネット3には、モータ軸線L周りの方向で樹脂部分20と係合した周り止め部37(凹部321)が設けられている。このため、マグネット3とステータ4との磁気的な吸引力が作用した状態で、出力軸5にモータ軸線L周りの力が加わった場合でも、マグネット3が樹脂部分20に対して空回りが発生しにくい。
【0045】
さらに、樹脂部分20の内側には、反出力側L2の端部から出力側L1に延在して螺旋溝51が形成されている部分510の内側を空洞とする肉盗み部29が設けられている。このため、成形時のヒケの影響を低減することができる。
【0046】
さらにまた、本形態では、カップリングを用いていない等、部品点数が少ないので、部品間でのガタつきが発生しにくい。それ故、車載式のヘッドアップディスプレイ100にモータ装置1において、車両からの振動が伝わってきたときでも、カップリング等でのガタつきや、カップリング等での外れが発生しにくい等、耐振動性が高いという利点がある。
【符号の説明】
【0047】
1 モータ装置、2 ロータ、3 マグネット、4 ステータ、5 出力軸、6 ホルダ、7 軸受部材、8 フレーム、10 モータ、20 樹脂部分、24 円筒部、25 胴部、29 肉盗み部、36 抜け止め部、37 周り止め部、44B 外ステータコア
、45 極歯、46 コイル線、51 螺旋溝、62 底部、64 第2凸部、71 軸穴、72 第1凸部、90 歯車、95 付勢部材、96 板状バネ、100 ヘッドアップディスプレイ、110 画像生成装置、120 光学系、130 切り換え機構、140 ミラー、150 被投射部材、441、444 円環部、442、445 切り欠き、450、455 穴、510 螺旋溝が形成されている部分、L モータ軸線、L1
出力側、L2 反出力側