【実施例1】
【0009】
図1は第1の実施例における画像形成装置の概略側断面図である。
図1において、画像形成装置1は、例えばプリンタであり、媒体を収容する媒体収容部における媒体を載置する媒体載置部としての用紙トレイや手差しトレイを備え、媒体載置部から給紙した媒体に画像を形成するものである。なお、画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)等の制御部を備え、メモリ等の記憶部に記憶された制御プログラムに基づいて制御部によって全体の動作が制御される。
【0010】
画像形成装置1は、用紙トレイ100と、給紙部200と、用紙搬送部400と、トナー像形成部530と、トナーカートリッジ550と、中間転写ベルト600と、2次転写ローラ690と、定着部700と、排出ローラ対803と、手差しトレイ900とを有している。本実施例では、用紙トレイ100と給紙部200、および手差しトレイ900が媒体を給紙する給紙装置となる。
媒体載置部としての用紙トレイ100は、内部に媒体101を積層して載置するものである。
【0011】
給紙部200は、用紙トレイ100に収容された媒体101を給紙するものであり、ピックアップローラ201と、分離ローラ203、204とを有するものである。ピックアップローラ201は、用紙トレイ100に収容された最上位の媒体101に当接し、回転することにより媒体101を繰り出すものである。分離ローラ203、204は、ピックアップローラ201で繰り出された媒体101を1枚ずつ分離するものである。
【0012】
用紙搬送部400は、媒体を挟持して搬送する搬送ローラ対402、403、404を有し、給紙部200で給紙された媒体101を図中矢印Aが示す媒体搬送方向に搬送するものである。搬送ローラ対402、403、404は、媒体搬送方向における上流側から搬送ローラ対402、搬送ローラ対403、搬送ローラ対404の順で配置されている。
【0013】
トナー像形成部530は、画像を形成するものであり、現像剤としてのトナーの画像を形成するものである。トナー像形成部530は、例えばYMCK(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)色および特色(例えば、透明)のトナー画像を形成する5つのユニットが配列され、画像形成装置1本体に対して着脱可能に構成されている。
【0014】
トナー像形成部530は、帯電ローラ531により感光ドラム532の表面を一様に帯電させ、露光装置としての光ヘッド533の光を回転する感光ドラム532の表面に、選択的に照射して静電潜像を形成し、その静電潜像を現像ローラ534によりトナーで現像して感光ドラム532上にトナー画像を形成する。
トナーカートリッジ550は、トナーを収容し、トナーをトナー像形成部530に供給するものである。トナーカートリッジ550は、それぞれのトナー像形成部530に対応するように5つ配列され、画像形成装置1本体に対して着脱可能に構成されている。
【0015】
中間転写ベルト600は、それぞれのトナー像形成部530で形成されたトナー画像を担持するものである。
2次転写ローラ690は、中間転写ベルト600に担持されたトナー画像を用紙搬送部400により搬送された媒体に転写するものである。
定着部700は、2次転写ローラ690により媒体に転写されたトナー画像を熱と圧力で定着させるものである。
【0016】
排出ローラ対803は、定着部700によりトナー画像が定着された媒体を積載部805へ排出するものである。排出ローラ対803により搬出された媒体は、積載部805に積載される。
媒体載置部としての手差しトレイ900は、媒体Pを載置するものであり、操作者の手差し操作により載置された媒体Pを収容するものである。手差しトレイ900に載置された媒体Pは、後述するピックアップローラ、給紙ローラおよび分離ローラにより、1枚ずつ用紙搬送部400に給紙される。
【0017】
図2は第1の実施例における手差しトレイの斜視図、
図3は第1の実施例における手差しトレイの断面図である。
図3は、
図2の矢印A(矢印Y)が示す媒体搬送方向および矢印Xが示す方向(水平方向)と直交する矢印Zが示す鉛直方向の面における断面図である。
図2および
図3において、手差しトレイ900は、用紙積載トレイ901と、用紙トレイ902と、用紙ガイド903と、レバー904と、ピックアップフレーム905と、シャフト906と、スプリング908と、ピックアップローラ910と、給紙ローラ915と、分離ローラ916とを有している。
【0018】
用紙積載トレイ901は、媒体Pを載置するものである。
媒体載置部としての用紙トレイ902は、図中矢印Aが示す媒体搬送方向における用紙積載トレイ901の下流に配置され、上部に媒体Pが積層されるものである。用紙トレイ902は、媒体搬送方向における下流側の端部が媒体積層方向である上下方向に移動可能に構成されている。
【0019】
ガイド部材としての用紙ガイド903は、媒体搬送方向における媒体の側面(側部)を案内する部材である。用紙ガイド903は、媒体搬送方向における左側に媒体の側面(側部)を案内するガイド面として用紙ガイド903a、右側に媒体の側面(側部)を案内するガイド面として用紙ガイド903bを備えている。用紙ガイド903aおよび用紙ガイド903bは、媒体の幅に合わせて媒体搬送方向と直交する媒体の幅方向に、手差しトレイ900に対して移動可能に構成されている。
本実施例では、用紙ガイド903aの位置を給紙する媒体の基準位置とする。
【0020】
レバー904は、手差しトレイ900に対して移動可能な用紙ガイド903を手差しトレイ900に固定するものである。レバー904は、用紙ガイド903aに左レバー904a、用紙ガイド903bに右レバー904bを備えている。左レバー904aは、回転することにより、左レバー904aを手差しトレイ900に固定し、右レバー904bは、回転することにより、右レバー904bを手差しトレイ900に固定する。
ピックアップフレーム905は、ピックアップローラ910を回転可能に支持するものである。
【0021】
ピックアップ部材としてのピックアップローラ910は、図中矢印Bが示す方向に回転することにより、用紙積載トレイ901および用紙トレイ902に積載された媒体Pを図中矢印Aが示す媒体搬送方向に繰り出すものである。ピックアップローラ910は、用紙トレイ902の媒体搬送方向における下流側の端部の上方のピックアップフレーム905に、回転中心としての回転軸に回転可能に支持されて配置されている。
ピックアップローラ910は、用紙トレイ902により押し上げられた媒体搬送方向における下流側の最上位の媒体Pの端部と当接し、回転することにより手差しトレイ900に載置された媒体Pを媒体搬送方向に送り出すことができるようになっている。
【0022】
シャフト906は、用紙トレイ902をピックアップローラ910側に押し上げるものであり、モータ等の駆動源により上下動可能に構成されている。
スプリング908は、手差しトレイ900に備えられ、ピックアップフレーム905を用紙トレイ902側に付勢するものである。したがって、スプリング908により、ピックアップフレーム905に回転可能に支持されたピックアップローラ910が、用紙トレイ902に載置された媒体Pの方向に付勢される。
【0023】
給紙ローラ915は、媒体搬送方向におけるピックアップローラ910の下流に回転可能に配置されたものである。給紙ローラ915は、モータ等の駆動により図中矢印Bが示す方向に回転し、ピックアップローラ910により繰り出された媒体Pの上面と接触して媒体Pをさらに媒体搬送方向の下流側に給紙するものである。
分離ローラ916は、給紙ローラ915と対抗配置され、ピックアップローラ910により繰り出された媒体Pの下面と接触して給紙ローラ915により給紙される媒体Pが1枚になるように分離するものである。
【0024】
図4は第1の実施例におけるピックアップローラおよび給紙ローラの斜視図である。
図4において、シャフト917は、給紙ローラ915の回転軸であり、
図2および
図3に示す手差しトレイ900に回転可能に支持されている。
シャフト917の一端部に給紙ローラ915、他端部に電磁クラッチ918が取り付けられている。また、シャフト917には、ギヤ915bが取り付けられている。このシャフト917には、
図3に示すピックアップフレーム905が回転可能に支持されている。
【0025】
切換手段としての電磁クラッチ918は、ピックアップローラ910とモータ等の駆動源との間の駆動伝達の接続および切断を切り替えるものである。この電磁クラッチ918は、制御部と接続され、その制御部により駆動源からの駆動の伝達の接続および切断が制御される。
ピックアップローラ910は、
図3に示すピックアップフレーム905に支持された回転軸953に取り付けられている。また、回転軸953には、ギヤ955が取り付けられている。また、ピックアップローラ910の回転軸953は、
図2に示すガイド面903aと略直交する方向に延在するように配設されている。
【0026】
アイドルギヤ919は、
図3に示すピックアップフレーム905に設けられ、シャフト917のギヤ915bと、回転軸953のギヤ955とに噛み合うように配置されている。したがって、ピックアップローラ910は、給紙ローラ915の回転に従動して回転する。
また、ピックアップローラ910は、
図3に示すピックアップフレーム905を介してシャフト917に対して回転可能に設けられている。
本実施例では、給紙ローラ915の回転中心915aと、ピックアップローラ910の回転中心910aとは、略平行に配置されている。
【0027】
図5は第1の実施例における用紙搬送部の説明図である。
図5において、用紙搬送部は、ピックアップローラ910と、給紙ローラ915と、分離ローラ916と、搬送ローラ対403と、用紙検知センサ923と、用紙搬送ガイド925、926とを有している。
用紙搬送ガイド925、926は、図中矢印Aが示す媒体搬送方向における給紙ローラ915の下流側の用紙搬送路を挟んで上下に配置され、給紙ローラ915で給紙された媒体を案内するものである。用紙搬送ガイド925は、媒体の上面を案内し、用紙搬送ガイド926は、媒体の下面を案内する。
【0028】
搬送ローラ対403は、媒体搬送方向における用紙搬送ガイド925、926の下流側に配置され、給紙ローラ915で給紙された媒体を挟持して搬送するものである。
用紙検知センサ923は、媒体搬送方向における用紙搬送ガイド925、926の下流側であって、用紙搬送ガイド925、926と搬送ローラ対403との間に配置され、搬送される媒体を検知するものである。用紙検知センサ923の出力信号は、制御部へ通知される。
【0029】
図6は第1の実施例におけるピックアップローラの説明図である。
図6(a)は画像形成装置に実装されるピックアップローラの斜視図、
図6(b)は表層ゴムを取り外した状態のピックアップローラの斜視図、
図6(c)はピックアップローラの分解斜視図である。
図6において、ピックアップローラ910は、シャフト953と、ボス952と、表層ゴム951と、スプリング956とを有している。
【0030】
シャフト953は、ピックアップローラ910の回転軸であり、ノックピン954およびギヤ955を有している。
突起部としてのノックピン954は、シャフト953を貫通し、両端部がシャフト953から突出するようにシャフト953に固定されている。
ギヤ955は、シャフト953の一端部に固定されて設けられ、
図4に示すアイドルギヤ919と噛み合うものである。
【0031】
ボス952は、円筒状の本体部と、その本体部を覆う表層ゴム951とを有している。ボス952は、本体部の内部をシャフト953が貫通し、シャフト953に対して回転可能に設けられたものである。
ボス952には、スパイラル(螺旋)状に延びる溝952aが、軸対象に2か所形成されており、それぞれの溝952aにノックピン954のそれぞれの端部が移動可能に嵌合するようになっている。また、それぞれの溝952aに嵌合したノックピン954の先端部は、ボス952の表面から突出しないように形成されている。
【0032】
溝952aは、図中矢印Bが示す回転方向における上流側であってギヤ955から離れた側の端部952bと下流側であってギヤ955に近い側の端部952cとを結ぶ線と、貫通するシャフト953が延伸する方向とのなす角度が所定の角度としての角度α、端部952bと端部952cとの間の長さをLとして長尺状に形成されている。
本実施例では、溝952aは、角度α=30度、長さL=2mmの溝として形成されている。
表層ゴム951は、ゴム素材で形成され、ピックアップローラ910の表層を形成するものであり、ボス952の外周に固定されている。
【0033】
スプリング956は、
図2に示すピックアップフレーム905に当接し、ボス952をシャフト953の軸方向であってギヤ955の方向(
図2に示すガイド面903aの反対方向)へ付勢するものである。
なお、理解を容易にするため、ノックピン954をボス952の表面から突出するように長く図(以下の図も同様)に記載しているが、上述した通り、ノックピン954の先端部は、ボス952の表面から突出しないように形成されている。
このようにピックアップローラ910は構成され、ピックアップローラ910のボス952はシャフト953の軸(延伸)方向に移動可能になっている。
【0034】
上述した構成の作用について説明する。
まず、画像形成装置の動作の概要を
図1に基づいて説明する。なお、手差しトレイ900から媒体Pを給紙し、その媒体Pに画像を形成する動作を説明する。また、画像形成装置は、制御部により全体の動作が制御される。
画像形成装置1は、手差しトレイ900から媒体Pを給紙し、用紙搬送部400の搬送ローラ対403、404により図中矢印Aが示す媒体搬送方向に搬送する。それぞれのトナー像形成部530では、感光ドラム532上にトナー画像が形成され、さらにそのトナー画像が中間転写ベルト600上に転写される。
【0035】
中間転写ベルト600上に転写されたトナー画像は、2次転写ローラ690により、用紙搬送部400で搬送された媒体Pに転写され、さらに定着部700で媒体Pに定着される。トナー画像が定着された媒体Pは、排出ローラ対803により搬出され、積載部805に積載される。
このようにして画像形成装置1は画像形成動作を行う。
【0036】
次に、画像形成装置の給紙装置が行う給紙動作を
図7〜
図11に基づいて説明する。なお、本実施例では、給紙装置としての手差しトレイからの給紙動作を説明する。
まず、
図7に示すように、操作者は、手差しトレイ900の用紙ガイド903aおよび用紙ガイド903bを給紙する媒体の幅に合わせるように位置を調整する。操作者は、用紙ガイド903aおよび用紙ガイド903bの位置を調整すると、ロック部材としてのレバー904aおよびレバー904bを回転させて用紙トレイ902に形成されている溝に嵌合させ、用紙ガイド903aおよび用紙ガイド903bの位置を固定する。
【0037】
操作者により媒体が手差しトレイ900の用紙ガイド903aと用紙ガイド903bとの間に載置されると、
図8に示すように、シャフト906が駆動源からの動力により上昇することにより、用紙トレイ902および用紙トレイ902に載置された媒体Pを所定の位置まで移動させる。この所定の位置では、媒体Pがピックアップローラ910の外周面と接触し、さらにピックアップローラ910の方向に付勢されている。
印刷動作が開始されると、電磁クラッチ918(
図4参照)によって駆動源からの駆動伝達が接続され、給紙ローラ915およびピックアップローラ910が、図中矢印Bが示す媒体給紙方向に回転し、給紙動作を開始する。
【0038】
ここで、ピックアップローラ910の動作を
図9に基づいて説明する。なお、
図9では、理解を容易にするため、表層ゴムが無い状態のピックアップローラ910を表しており、またノックピン954を長く表している。ノックピン954は、上述した通り、ボス952の表面から突出しないように形成されている。
図9(a)に示すように、ピックアップローラ910が回転を開始する前は、スプリング956によりボス952がギヤ955の方向へ付勢されていることにより、ピックアップローラ910のノックピン954は、溝952aにおいて、図中矢印Bが示す回転方向における上流側であってギヤ955から離れた側の端部952bと当接する第1の位置に配置されている。
【0039】
図9(b)に示すように、ピックアップローラ910が、図中矢印Bが示す給紙方向に回転すると、第1の位置に配置されたノックピン954が、ボス952に形成されたスパイラル状の溝952aの側面を押圧することにより、ボス952が、スプリング956の付勢力に抗して図中矢印Cが示すギヤ955から離れる方向(
図2に示すガイド面903aの方向)へ移動する。
このように、ピックアップローラ910は、媒体の送り動作に伴って、シャフト953の軸方向における
図2に示すガイド面903aの方向に移動する。
【0040】
図9(c)、(d)に示すように、ノックピン954は、溝952aにおいて、ピックアップローラ910の回転方向における下流側であってギヤ955側の端部952cと当接する第2の位置に配置されて停止する。
なお、
図9(a)、(c)はピックアップローラ910の側面図であり、
図9(b)、(d)はピックアップローラ910の斜視図である。
【0041】
図10(a)は、ノックピン954が第1の位置に配置されている場合のピックアップローラ910の位置を示し、
図10(b)は、ノックピン954が第2の位置に配置されている場合のピックアップローラ910の位置を示している。
図10(a)に示す、ノックピン954が第1の位置に配置されているピックアップローラ910の回転を開始する前の状態から、媒体の給紙を行うためピックアップローラ910を回転させると、
図10(b)に示すように、ノックピン954が第2の位置に配置され、ピックアップローラ910は矢印Cが示す用紙ガイド903aの方向へ移動する。
【0042】
手差しトレイ900に載置された媒体Pの最上位の媒体Pは、ピックアップローラ910と接触しているため、ピックアップローラ910の移動に伴って矢印Cが示す用紙ガイド903aの方向へ移動する。
ピックアップローラ910の移動に伴って移動した媒体Pは、基準位置となる媒体ガイド903aの側面に突き当たる。
媒体Pが基準位置となる媒体ガイド903aの側面に突き当てられた状態で回転するピックアップローラ910により媒体Pが給紙される。
【0043】
このとき、ピックアップローラ910が移動しようとする力Fが大きいと、媒体Pが媒体ガイド903aの側面から受ける反力が大きくなり、媒体にたわみが生じることがある。
図8に示すピックアップフレームのスプリング908の付勢力を100gfとすると、使用する媒体により異なるが、力Fは100gf〜400gfが望ましい。この力によって媒体Pにたわみを生じさせることなく、媒体Pを適正に媒体ガイド903aの側面に突き当てることができる。
このように、ピックアップローラ910は、媒体Pの送り出し動作が開始されてから媒体ガイド903aと媒体Pとが当接するまでの間、媒体ガイド903aに向かう方向に移動する。
【0044】
なお、本実施例の画像形成装置1では、媒体の給紙方向における左側の用紙ガイド903aの側面903cが印刷の左右(媒体Pの幅方向)の基準位置となっているものとする。媒体を手差しトレイ900に載置する際、媒体サイズのばらつきなどにより、載置した媒体を用紙ガイド903aおよび用紙ガイド903bで挟んでも用紙ガイド903aおよび用紙ガイド903bと媒体との間に隙間が生じてしまう。この隙間が媒体に印刷を行う際の左書き出し位置の誤差となってしまう。
しかしながら、本実施例では、基準位置となる媒体ガイド903aの側面に突き当てられた媒体Pをピックアップローラ910により給紙するようにしているため、媒体Pに印刷を行う際の媒体毎の相対的な左書き出し位置の誤差を抑制することができる。
【0045】
次に、
図11(a)に示すように、ピックアップローラ910および給紙ローラ915により給紙された媒体Pが搬送ローラ対403に到達して搬送され、用紙検知センサ923で検知されてから所定の時間が経過すると(所定量搬送された後)、電磁クラッチ918(
図4参照)によりピックアップローラ910への駆動源からの駆動伝達が切断される。
媒体Pが搬送ローラ対403に到達すると、搬送される媒体Pにより引かれてピックアップローラ910の表層ゴムおよびボス952は、
図11(b)に示すように、図中矢印Bが示す方向に回転する。
【0046】
このとき、
図11(b)に示すピックアップローラ910のシャフト953は駆動されていないため、媒体から受ける力により、
図11(c)に示すように、ノックピン954が第2の位置から第1の位置へ移動し、ピックアップローラ910のボス952は図中矢印Dが示すギヤ955の方向へ移動する。また、ピックアップローラ910のボス952は、スプリング956によって図中矢印Dが示す方向に付勢されているため、確実にギヤ955の方向へ移動させることができる。
したがって、次回、媒体を給紙するとき、ピックアップローラ910は
図10(a)に示す給紙前の位置から給紙を開始する。
【0047】
このように、本実施例では、回転に伴って軸方向に移動可能なピックアップローラ910を設け、媒体を給紙するときに媒体載置部としての手差しトレイ900に載置された媒体を給紙基準位置となる用紙ガイド903aの側面903cに突き当てるようにしたことにより、媒体載置部に載置された媒体と、用紙ガイド903aの側面903cとの間に隙間が生じている場合であっても、媒体が斜行して給紙されることを抑制することができる。
【0048】
次に、変形例を説明する。
図12は変形例における手差しトレイおよびピックアップローラの斜視図である。
図12(a)は手差しトレイ900の斜視図、
図12(b)はピックアップローラ9101の斜視図である。
図12(b)に示すように、ピックアップローラ9101は、軸953とボス952とが固定されている。
また、
図12(a)に示すように、ピックアップローラ9101は、ピックアップフレーム9051に回転可能に設けられている。
【0049】
ピックアップフレーム9051は、シャフト917に回動可能に設けられており、シャフト917の軸方向(図中矢印Eが示す方向)に移動可能に構成されている。例えば、
図13に示すように、ピックアップフレーム9051には、ラック9051aが取り付けられており、駆動部材としてのモータ9051bによりシャフト917の軸方向に移動できるようになっている。したがって、ピックアップローラ9101は、モータ9051bによりシャフト917の軸方向に移動可能に構成されている。
【0050】
変形例では、媒体Pの送り動作に伴って、ピックアップローラ9101をシャフト917の軸方向に移動に移動させる。
図13は変形例における用紙側面の突き当て動作の説明図である。
図13において、付勢手段としてのスプリング908は、手差しトレイに設けられた受け部材959に備えられ、ピックアップフレーム9051を介してピックアップローラ9101を媒体Pの方向へ付勢している。
【0051】
アクチュエータ9052は、ソレノイドを備え、ピックアップフレーム9051を移動させるものである。このアクチュエータ9052は、通電するとピックアップフレーム9051を媒体Pから離間する位置へ移動させ、また通電を解除するとピックアップフレーム9051の移動を停止し、ピックアップローラ9101はピックアップフレーム9051を介してスプリング908の付勢力で媒体Pに当接する位置へ移動するようになっている。
媒体検知手段としての圧力センサ958は、用紙ガイド903aの側面903cに設けられ、当接する媒体Pの圧力を検知するものである。
【0052】
次に、給紙動作を説明する。
給紙動作を開始する前に、アクチュエータ9052の通電を解除し、ピックアップフレーム9051を介してピックアップローラ9101を媒体Pに当接する位置に移動させる。その後、モータ9051bによりピックアップフレーム9051を図中矢印Cが示す用紙ガイド903aの方向へ移動させる。ピックアップフレーム9051の移動に伴って、ピックアップローラ9101と、ピックアップローラ9101と接触している媒体Pとが基準位置となる用紙ガイド903aの側面903cに突き当たる方向へ移動する。
【0053】
このとき、圧力センサ958が、押圧される媒体Pの圧力を検知することにより、媒体Pの位置を検知すると、ピックアップフレーム9051の移動を停止させ、給紙動作を開始する。このように、変形例では、圧力センサ958の媒体検知結果に基づいてピックアップローラ9101の移動または停止を行う。
【0054】
給紙動作を開始し、媒体Pが
図11に示す搬送ローラ対403により搬送されると、アクチュエータ9052によりピックアップフレーム9051を移動してピックアップローラ9101を媒体Pから離間する位置に移動させ後、モータ9051bによりピックアップフレーム9051を図中矢印Cが示す方向と反対の用紙ガイド903bの方向へ移動させ、給紙動作を開始する前の位置に戻す。
このように、ピックアップローラ9101を用紙ガイド903a側に移動させた後、ピックアップローラ9101により媒体を所定量搬送した後、ピックアップローラ9101を用紙ガイド903aの反対側に移動させる。
【0055】
上述したように、変形例でも、軸方向に移動可能なピックアップローラ9101を設け、媒体を給紙するときに媒体載置部としての手差しトレイ900に載置された媒体を給紙基準位置となる用紙ガイド903aの側面903cに突き当てるようにしたことにより、媒体載置部に載置された媒体と、用紙ガイド903aの側面903cとの間に隙間が生じている場合であっても、媒体が斜行して給紙されることを抑制することができる。
なお、変形例を含む本実施例では、媒体載置部を手差しトレイ900として説明したが、それに限られることなく、媒体を給紙する部位であれば画像形成装置1に設けられた用紙トレイ100等としても良い。
【0056】
以上説明したように、第1の実施例では、媒体載置部に載置された媒体と、用紙ガイドの側面との間に隙間が生じている場合であっても、媒体が斜行して給紙されることを抑制することができるという効果が得られる。
また、ピックアップローラで媒体載置部に載置された最上位の媒体を用紙ガイドの側面に突き当てるようにしているため、媒体の積載量に関わらず媒体を用紙ガイドの側面に突き当てることができるという効果が得られる。
さらに、媒体の端部からの印刷位置を精度よく揃えることができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0057】
第2の実施例の構成は、ピックアップローラの構成が第1の実施例の構成と異なっている。その第2の実施例の構成を
図14の第2の実施例における手差しトレイの断面図に基づいて説明する。
なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図14は、
図2の矢印A(矢印Y)が示す媒体搬送方向と直交する矢印Zが示す鉛直方向の面における断面図である。
【0058】
図14において、手差しトレイ900は、用紙積載トレイ901と、用紙トレイ902と、用紙ガイド903と、レバー904と、ピックアップフレーム905と、シャフト906と、スプリング908と、ピックアップローラ960と、給紙ローラ915と、分離ローラ916とを有している。
【0059】
ピックアップ部材としてのピックアップローラ960は、図中矢印Bが示す方向に回転することにより、用紙積載トレイ901および用紙トレイ902に積載された媒体Pを図中矢印Aが示す媒体搬送方向に繰り出すものである。ピックアップローラ960は、用紙トレイ902の媒体搬送方向における下流側の端部の上方のピックアップフレーム905に回転可能に支持されて配置されている。ピックアップローラ960は、用紙トレイ902により押し上げられた媒体搬送方向における下流側の最上位の媒体Pの端部と当接し、回転することにより媒体Pを繰り出すことができるようになっている。
ピックアップローラ960には、Dカット部(面)951bが形成されており、断面の形状がD字状に形成されている。
【0060】
図15は第2の実施例におけるピックアップローラおよび給紙ローラの斜視図である。
図15において、シャフト917は、給紙ローラ915の回転軸であり、
図14に示す手差しトレイ900に回転可能に支持されている。
ピックアップローラ960は、
図14に示すピックアップフレーム905に支持された回転軸953に取り付けられている。また、回転軸953には、ギヤ955が取り付けられている。
【0061】
アイドルギヤ919は、
図14に示すピックアップフレーム905に設けられ、シャフト917のギヤ915bと、回転軸953のギヤ955とに噛み合うように配置されている。したがって、ピックアップローラ960は、給紙ローラ915の回転に従動して回転する。
また、ピックアップローラ960は、
図14に示すピックアップフレーム905を介してシャフト917に対して回転可能に設けられている。
本実施例では、ピックアップローラ960は、給紙ローラ915の回転軸であるシャフト917の中心線915aと、ピックアップローラ960の回転軸953の中心線960aとが成す角度をθとして
図14に示すピックアップフレーム905に支持されている。
【0062】
このように、ピックアップローラ960の回転軸953は、
図2に示す用紙ガイド903aに形成されたガイド面(側面)に対して傾斜した方向に延在するように配置されている。
したがって、図中矢印E1が示すフィードローラ915の媒体搬送方向と、図中矢印E2が示すピックアップローラ960の媒体搬送方向とが成す角度はθとなり、ピックアップローラ960は、
図2に示す用紙ガイド903aの側面903cの方向へ媒体を斜行させて搬送する。
【0063】
図16は第2の実施例における用紙搬送部の説明図である。
図16において、用紙搬送部は、第1の実施例と同様に、ピックアップローラ960と、給紙ローラ915と、分離ローラ916と、搬送ローラ対403と、用紙検知センサ923と、用紙搬送ガイド925、926とを有している。
なお、ピックアップローラ960は、
図15において説明したように、給紙ローラ915に対して角度θを成すようにピックアップフレーム905に支持されている。
【0064】
図17は第2の実施例におけるピックアップローラの説明図である。
図17(a)はピックアップローラの斜視図、
図17(b)(c)は表層ゴム内を破線で表示したピックアップローラの説明図、
図17(d)はピックアップローラの分解斜視図である。
図17において、ピックアップローラ960は、シャフト953と、ボス952と、表層ゴム951aと、スプリング9561とを有している。
【0065】
シャフト953は、ピックアップローラ960の回転軸であり、ノックピン954およびギヤ955を有している。
ノックピン954は、シャフト953を貫通し、両端部がシャフト953から突出するようにシャフト953に固定されている。
ギヤ955は、シャフト953の一端部に固定されて設けられ、
図4に示すアイドルギヤ919と噛み合うものである。
【0066】
ボス952は、筒状のものであり、内部をシャフト953が貫通し、シャフト953に対して回転可能に設けられたものである。ボス952には、シャフト953が延伸する方向に延伸する溝952dが、軸対象に2か所形成されており、それぞれの溝952dにノックピン954のそれぞれの端部が嵌合するようになっている。また、それぞれの溝952dに嵌合したノックピン954の先端部は、ボス952の表面から突出しないように形成されている。
【0067】
したがって、ボス952は、シャフト953に対し、図中矢印Bが示す回転方向に固定され、軸が延伸する方向に移動可能に構成されている。
表層ゴム951aは、ゴム素材で形成され、ピックアップローラ960の表層を形成するものであり、ボス952の外周に固定されている。本実施例の表層ゴム951aは、外周の一部に平坦なDカット部951bが形成されている。
スプリング9561は、ボス952とギヤ955との間に備えられた付勢部材であり、ボス952をギヤ955から離間する方向(
図2に示す用紙ガイド903aの方向)へ付勢するものである。
【0068】
図17(b)は、ボス952がギヤ955から離間した状態を示し、
図17(c)は、ボス952がギヤ955に接近した状態を示している。
なお、理解を容易にするため、ノックピン954をボス952の表面から突出するように長く図(以下の図も同様)に記載しているが、上述した通り、ノックピン954の先端部は、ボス952の表面から突出しないように形成されている。
【0069】
上述した構成の作用について説明する。
なお、画像形成装置の動作は第1の実施例と同様なので説明を省略する。
画像形成装置の給紙装置が行う給紙動作を
図18〜
図23に基づいて説明する。なお、本実施例では、給紙装置としての手差しトレイからの給紙動作を説明する。
まず、
図18に示すように、操作者は、手差しトレイ900の用紙ガイド903aおよび用紙ガイド903bを給紙する媒体の幅に合わせるように位置を調整する。操作者は、用紙ガイド903aおよび用紙ガイド903bの位置を調整すると、ロック部材としてのレバー904aおよびレバー904bを回転させて用紙トレイ902に形成されている溝に嵌合させ、用紙ガイド903aおよび用紙ガイド903bの位置を固定する。
【0070】
操作者により媒体が手差しトレイ900の用紙ガイド903aと用紙ガイド903bとの間に載置されると、
図19に示すように、シャフト906が駆動源からの動力により上昇することにより、用紙トレイ902および用紙トレイ902に載置された媒体Pを所定の位置まで移動させる。この所定の位置では、ピックアップローラ960が回転した場合、ピックアップローラ960の表層ゴム951aのDカット部951b以外の外周面と、媒体Pとが接触するように、媒体Pがピックアップローラ960の方向に付勢されている。
【0071】
印刷動作を開始する前の状態では、ピックアップローラ960は、
図20(c)に示すように、表層ゴム951aがギヤ955から離間した位置(
図20(b)に示す用紙ガイド903aに接近した位置)に配置され、また
図20(a)に示すように、表層ゴム951aのDカット部951bが媒体Pに対向し、媒体Pから離間した位置に配置されている。
【0072】
印刷動作が開始されると、電磁クラッチ918(
図4参照)によって駆動が接続され、給紙ローラ915およびピックアップローラ960が、図中矢印Bが示す媒体給紙方向に回転し、媒体Pを図中矢印Yが示す方向に給紙する給紙動作を開始する。
このとき、
図20(b)に示すように、給紙される媒体Pの用紙ガイド903a側の端部は、図中矢印Xが示す方向における基準位置である用紙ガイド903aの側面903cからS[mm]離れて載置されているものとする。
【0073】
なお、
図20〜
図23の(a)は手差しトレイ900の断面図、(b)は手差しトレイ900の上面図である。
給紙動作が開始されると、用紙ガイド903aの側面903cは、ピックアップローラ960によって送り出された媒体Pの搬送方向と対向するように配置されているため、媒体Pは用紙ガイド903aの側面903cである基準位置へ向かって徐々に移動する。
【0074】
ピックアップローラ960が、
図21(a)の矢印Bが示す媒体給紙方向に回転すると、媒体Pには、
図21(b)に示すように、図中矢印Yが示す媒体搬送方向だけでなく、用紙ガイド903aの方向(図中矢印Xが示す方向と反対方向(マイナスX方向))にも力が加わるため、媒体Pは用紙ガイド903aの側面903cである基準位置へ向かって徐々に移動し、やがて媒体Pの側端部が用紙ガイド903aの側面903cに突き当たる。
なお、この状態では、
図21(c)に示すように、ピックアップローラ960は、表層ゴム951aがギヤ955から離間した位置に配置されたままである。
【0075】
用紙ガイド903aの媒体搬送方向における下流側の端部903dは、ピックアップローラ960のNIP部9601(媒体Pとの接触部)より媒体搬送方向における下流側に配置されているため、ピックアップローラ960の回転に伴って媒体Pの側端部が用紙ガイド903aの側面903cに突き当たる。
このとき、媒体Pの端部を用紙ガイド903aの側面903cへ確実に突き当てるため、媒体Pの先端部が給紙ローラ915と分離ローラ916との接触部であるNIP部9151に到達する前に、媒体Pの端部を用紙ガイド903aの側面903cに突き当てる必要がある。
【0076】
そのため、本実施例では、手差しトレイ900に載置された媒体Pの先端部PTとNIP部9151との距離をA[mm]、ピックアップローラ960の外周長(Dカット部951bを除く)をH[mm]、
図15に示すように、給紙ローラ915の回転軸であるシャフト917の中心線915aとピックアップローラ960の回転軸953の中心線960aとが成す角度をθ[度]、手差しトレイ900に載置された媒体Pの端部と用紙ガイド903aの側面903cとの距離をS[mm]とすると、以下の条件1および条件2を満たす必要がある。
【0077】
A<H ・・・(条件1)
θ≧Tan
-1(S/A) ・・・(条件2)
媒体Pの端部が用紙ガイド903aの側面903cに突き当たり、
図22(a)(b)に示すように、媒体Pの先端部が給紙ローラ915のNIP部9151に到達し、さらに媒体Pが搬送されると、ピックアップローラ960の回転により、媒体Pが用紙ガイド903aの側面903cから受ける反力が徐々に増大する。
【0078】
増大した反力が、所定の力を超えると、
図22(d)に示すように、ピックアップローラ960の表層ゴム951aがボス952とともに、図中矢印が示すギヤ955の方向へ徐々に移動する。このように、ピックアップローラ960は、用紙ガイド903aの側面903cと媒体Pとが当接した後、スプリング9561の付勢力に抗して用紙ガイド903aの側面903cから離れる方向に移動する。
【0079】
これにより、媒体Pを矢印Xが示す幅方向に座屈させる力が軽減され、媒体Pを用紙ガイド903aの側面903cへ過剰に移動させた場合に生じる媒体Pの撓みを抑制することができる。
また、表層ゴム951aには、Dカット部951bが形成されているため、ピックアップローラ960が1回転する毎に、表層ゴム951aのDカット部951bと媒体Pは離間する。
【0080】
これにより、表層ゴム951aはボスとともに、スプリング9561の付勢力により、
図22(c)に示すギヤ955から離間する方向(
図22(b)に示す用紙ガイド903aの方向)のホーム位置へ戻り、スプリング9561による媒体Pへの付勢力が所定の力を超えることはない。
図23に示すように、媒体Pの先端部が搬送ローラ対403のNIP部4031に到達し、搬送ローラ対403によって搬送され始めると、第1の実施例と同様に、電磁クラッチ918によりピックアップローラ960および給紙ローラ915への駆動の伝達を切断する。
【0081】
駆動の伝達を切断すると、ピックアップローラ960は、媒体Pとの摩擦によって回転する連れ回り状態に移行する。連れ回り状態に移行したピックアップローラ960は、連れ回りした後に、Dカット部951bで媒体Pと離間して停止するため、次に給紙される媒体Pに対して
図20に示す給紙動作を開始する前の状態と同様に、Dカット部951bが媒体Pに対向し、媒体Pから離間した位置に配置される。
したがって、次回、媒体を給紙するとき、ピックアップローラ960は
図20(a)に示す給紙前の位置から給紙を開始する。
【0082】
なお、ピックアップローラ960が連れ回りした後に、Dカット部951bが媒体Pに対向し、媒体Pから離間した位置に配置されるようにするために、必要な最小媒体長L[mm]は、手差しトレイ900に載置された媒体Pの先端部PTと給紙ローラ915のNIP部9151との距離をA[mm]、給紙ローラ915のNIP部9151と搬送ローラ対403のNIP部4031との距離をB[mm]、ピックアップローラ960の外周長(Dカット部951bを除く)をH[mm]とすると、以下の条件3を満たす必要がある。
【0083】
L=A+B+H ・・・(条件3)
このように、本実施例では、給紙ローラ915の回転軸であるシャフト917と、ピックアップローラ960の回転軸953とが成す角度を所定の角度θとしたピックアップローラ960を設け、媒体を給紙するときに媒体載置部としての手差しトレイ900に載置された媒体を給紙基準位置となる用紙ガイド903aの側面903cに突き当てるようにしたことにより、媒体載置部に載置された媒体と、用紙ガイド903aの側面903cとの間に隙間が生じている場合であっても、媒体が斜行して給紙されることを抑制することができる。
なお、本実施例では、媒体載置部を手差しトレイ900として説明したが、それに限られることなく、媒体を給紙する部位であれば画像形成装置1に設けられた用紙トレイ100等としても良い。
【0084】
以上説明したように、第2の実施例では、媒体載置部に載置された媒体と、用紙ガイドの側面との間に隙間が生じている場合であっても、媒体が斜行して給紙されることを抑制することができるという効果が得られる。
また、ピックアップローラで媒体載置部に載置された最上位の媒体を用紙ガイドの側面に突き当てるようにしているため、媒体の積載量に関わらず媒体を用紙ガイドの側面に突き当てることができるという効果が得られる。
【0085】
さらに、媒体の端部からの印刷位置を精度よく揃えることができるという効果が得られる。
また、ピックアップローラを、強制的に所定量移動させる定量移動方式でなく、バネ圧を利用した定圧移動方式で移動させるようにしているため、薄紙から厚紙までの様々な厚さの媒体に対して上述した効果を得ることができる。
さらに、専用のセンサやアクチュエータ等を追加することなく、簡易な構成で上述した効果を得ることができる。
【0086】
なお、第1の実施例および第2の実施例では、画像形成装置をプリンタとして説明したが、それに限られるものでなく、媒体を給紙するものであればファクシミリ装置、複合機(MFP)等としても良い。
また、第1の実施例では、
図6に示すピックアップローラ910の表層ゴム951の形状を円筒形状として説明したが、
図17に示す第2の実施例と同様に、表層ゴム951aの外周の一部に平坦なDカット部(面)951bを形成し、Dカット部951bと媒体とを離間させるようにしても良い。