特許第6562826号(P6562826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562826
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/30 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   G01C21/30
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-238113(P2015-238113)
(22)【出願日】2015年12月5日
(65)【公開番号】特開2017-102095(P2017-102095A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 励司
【審査官】 吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−038860(JP,A)
【文献】 特開平08−334343(JP,A)
【文献】 特開2014−002610(JP,A)
【文献】 特開2012−146307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の位置および方位を検出する自車位置・方位検出手段と、
地図データに基づいて道路を含む地図画像を描画する地図描画手段と、
自車両の位置および方位を示す自車画像を描画する自車画像描画手段と、
前記自車位置・方位検出手段によって検出された自車両の位置および方位に基づいて、前記地図画像に含まれる道路上であって、前記自車画像の描画位置を算出する自車位置算出手段と、
前記自車位置算出手段によって算出された描画位置に描画された前記自車画像を含む前記地図画像を表示する地図表示手段と、
を備え、前記自車位置算出手段は、繰り返し前記自車画像の描画位置を算出するとともに、自車両の走行速度が所定速度以下の低速であって自車両が旋回中であり、前記自車位置・方位検出手段によって検出された自車両の位置に対して、前方の第2の距離以内に交差点が存在しない場合に、算出した前記描画位置を前回の描画位置に置き換えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記地図表示手段は、前記自車位置算出手段によって算出された描画位置に、前記自車位置・方位検出手段によって検出された自車両の方位を示すように、前記自車画像を前記地図画像上に表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記自車位置算出手段は、前記自車位置・方位検出手段によって検出された自車両の位置に対して、後方の第1の距離以内に交差点が存在する場合に、前記描画位置の置き換えを行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか一項において、
前記自車位置算出手段は、自車両が存在するリンクが、交差点内リンクでない場合に、前記描画位置の置き換えを行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一項において、
前記自車位置算出手段は、自車両が走行した一つ前のリンクに対して、自車両が存在するリンクの角度が所定角度未満の場合に、前記描画位置の置き換えを行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中の道路に沿って自車位置を表示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、道路上位置表示候補の位置に関するデータと、自立航法やGPS航法で得られた現在位置に関するデータとのずれがしきい値よりも大きい(例えば、方位差が45度以上、位置間距離が25m以上)と判断したときに、道路の形状が大きく変化する形状リンク点がある場合はその形状リンク点まで自車位置を移動させ、以後は上述したずれがしきい値以内になるまでその位置を更新しないようにした道路上位置更新装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−38860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1の道路上位置更新装置では、自立航法等によって得られた現在位置のずれがしきい値よりも大きくなったときに、道路の形状が大きく変化する形状リンク点がある場合はその形状リンク点まで自車位置を移動することになっているため、この移動前はこの形状リンク点を超えて自車位置が表示されることになる。このため、交差点を右左折する場合には、一旦交差点を越えてオーバーランした後に現在位置が道路上に戻る不自然な表示が行われ、利用者に違和感を与えるという問題があった。
【0005】
このような問題は、自立航法等によって得られる現在位置の精度が高い場合にも起こりうる。幅員が広い道路、例えば幅員が20mで片側2車線の道路の左側車線に右折して進入する場合には、道路の中心よりも7〜8m程度ずれた位置に車両が進行することになるが、この距離では上述したしきい値を越えないため、交差点を過ぎてもそのまま車両が直進するものとして自車位置が表示される。また、その後、車両の方位がしきい値を超えたときにマップマッチングにより右折後の道路上に自車位置が表示されることになるが、地図上の道路は、実際の道路の幅員に関係なく道路の中心位置に合わせて線で表示されるため、片側2車線の左側車線を走行中の車両の自車位置は、マップマッチング処理によって道路の中心位置に描かれた線上に移動することになり、自車位置がオーバーランしたように見える状態は解消されない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、道路を右左折する際の自車位置のオーバーラン表示を低減することにより表示の不自然さを解消し、利用者に与える違和感をなくすることができるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、自車両の位置および方位を検出する自車位置・方位検出手段と、地図データに基づいて道路を含む地図画像を描画する地図描画手段と、自車両の位置および方位を示す自車画像を描画する自車画像描画手段と、自車位置・方位検出手段によって検出された自車両の位置および方位に基づいて、地図画像に含まれる道路上であって、自車画像の描画位置を算出する自車位置算出手段と、自車位置算出手段によって算出された描画位置に描画された自車画像を含む地図画像を表示する地図表示手段とを備え、自車位置算出手段は、繰り返し自車画像の描画位置を算出するとともに、自車両の走行速度が所定速度以下の低速であって自車両が旋回中であるときに、算出した描画位置を前回の描画位置に置き換える。
【0008】
道路を右左折するために減速して旋回を開始した状態で自車画像の描画位置がそれ以前の位置に固定されるため、自車位置のオーバーラン表示を低減することができる。これにより、表示の不自然さを解消し、利用者に与える違和感をなくすることができる。
【0009】
また、上述した地図表示手段は、自車位置算出手段によって算出された描画位置に、自車位置・方位検出手段によって検出された自車両の方位を示すように、自車画像を地図画像上に表示することが望ましい。これにより、自車位置を固定した状態で自車画像が示す方位を回転させることができるため、処理が停止していないことを利用者に知らせることができる。
【0010】
また、上述した自車位置算出手段は、自車位置・方位検出手段によって検出された自車両の位置に対して、後方の第1の距離以内に交差点が存在する場合に、描画位置の置き換えを行うことが望ましい。これにより、交差点を通過した際のオーバーラン表示を低減することができる。
【0011】
また、上述した自車位置算出手段は、自車位置・方位検出手段によって検出された自車両の位置に対して、前方の第2の距離以内に交差点が存在しない場合に、描画位置の置き換えを行う。これにより、走行中の道路に沿って複数の交差点が連続する場合に、右左折交差点の位置を誤って自車画像の表示位置が維持されることを防止することができる。
【0012】
また、上述した自車位置算出手段は、自車両が存在するリンクが、交差点内リンクでない場合に、描画位置の置き換えを行うことが望ましい。これにより、交差点通過前に、右左折交差点の位置を誤って自車画像の表示位置が維持されることを防止することができる。
【0013】
また、上述した自車位置算出手段は、自車両が走行した一つ前のリンクに対して、自車両が存在するリンクの角度が所定角度未満の場合に、描画位置の置き換えを行うことが望ましい。これにより、右左折時の旋回開始時に自車画像の描画位置の移動を停止させることができ、右左折時における自車位置のオーバーラン表示を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。
図2】交差点内リンクの説明図である。
図3】交差点を右左折する場合の自車マークを表示する動作手順を示す流れ図である。
図4】自車マークの表示例を示す図である。
図5】自車マークの他の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した一実施形態のナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すナビゲーション装置は、ナビゲーションコントローラ1、地図データ記憶装置3、操作部4、車両位置・方位検出部5、表示装置6、オーディオ部7を含んで構成されている。このナビゲーション装置は、車両に搭載されている。
【0017】
ナビゲーションコントローラ1は、CPU、ROM、RAM等を用いて所定の動作プログラムを実行することにより、自車位置周辺の地図画像表示動作や経路探索・誘導動作などの各種機能を実現する。ナビゲーションコントローラ1の詳細構成については後述する。
【0018】
地図データ記憶装置3は、地図表示、経路探索などに必要な地図データが格納されている記憶媒体およびその読み取り装置である。この地図データ記憶装置3には、経度および緯度で適当な大きさに区切られた矩形形状の図葉を単位とした地図データが格納されている。各図葉の地図データは、図葉番号を指定することにより特定され、読み出すことが可能となる。地図データ記憶装置3は、ハードディスク装置や半導体メモリによって、あるいは、DVDとその読み取り装置によって実現される。この地図データには、各道路の位置を示す道路データが含まれている。また、この道路データには、各道路を構成するノードやリンクの各座標値が含まれている。なお、地図データ記憶装置3を通信装置に置き換えて、外部の地図配信サーバ(図示せず)から地図データを取得するようにしてもよい。
【0019】
操作部4は、利用者の指示(操作)を受け付けるためのものであり、各種の操作ボタンや操作つまみ類を備えている。また、操作部4は、表示装置6の画面に取り付けられたタッチパネルを含んでおり、画面上の一部を直接利用者が指等で指し示すことにより、操作指示を行うことができるようになっている。
【0020】
車両位置・方位検出部5は、例えば、GPS受信機、方位センサ、距離センサなどを備えており、所定のタイミングで自車両の位置(経度、緯度)および方位の検出を行い、検出結果を出力する。
【0021】
表示装置6は、例えばLCD(液晶表示装置)によって構成されており、ナビゲーションコントローラ1から出力される映像信号に基づいて自車位置周辺の地図画像や交差点案内画像などを表示する。オーディオ部7は、ナビゲーションコントローラ1から入力される音声信号に基づいて生成した案内音声等を車室内に出力する。
【0022】
次に、ナビゲーションコントローラ1の詳細構成について説明する。図1に示すナビゲーションコントローラ1は、地図バッファ10、地図読出制御部12、地図描画部14、車両位置・方位計算部20、車両位置補正部22、経路探索処理部30、経路誘導処理部32、自車マーク描画部40、入力処理部50、表示処理部60を含んで構成されている。
【0023】
地図バッファ10は、地図データ記憶装置3から読み出された地図データを一時的に格納する。地図読出制御部12は、車両位置・方位計算部20により算出される車両位置や利用者が操作部4を操作して指定した位置に応じて、所定範囲の地図データの読み出し要求を地図データ記憶装置3に出力する。地図描画部14は、地図バッファ10に格納された地図データに基づいて、表示装置6に道路を含む地図画像を表示するために必要な描画処理を行って地図画像描画データを作成する。例えば、車両位置・方位計算部20によって計算された自車位置周辺の所定範囲の地図画像が描画される。
【0024】
車両位置・方位計算部20は、車両位置・方位検出部5から出力される検出データに基づいて自車両の位置および方位を計算するとともに、計算した自車位置が地図データの道路上にない場合には、自車位置を修正するマップマッチング処理を行う。
【0025】
車両位置補正部22は、自車両が交差点を通過した際に、所定の条件を満たす場合に、車両位置・方位計算部20によって自車両の位置を補正する。具体的には、以下の6つの条件(1)〜(6)を満たすときに、車両位置・方位計算部20によって今回計算された自車位置を、その一つ前に得られた自車位置に置き換える自車位置補正を行う。
【0026】
条件(1):自車速度が低速であること(例えば、30km/h未満)
条件(2):自車両が旋回中であること(例えば、車両位置・方位検出部5に含まれる方位センサと距離センサによって算出した旋回半径が10m未満)
条件(3):自車位置後方の第1の距離(例えば20m)以内に交差点が存在すること
条件(4):自車位置前方の第2の距離(例えば20m)以内に交差点が存在しないこと
条件(5):自車両が存在するリンクが交差点内リンクでないこと
条件(6):自車後方の交差点進入リンクからみて、自車両が存在するリンクが直進方向とみなせること(例えば、2つのリンクの方位差が30°未満)。
【0027】
図2は、交差点内リンクの説明図である。大きな幅員を有し、中央分離帯や片側複数車線を有する道路などでは、片側車線間をつなぐ交差点内リンクが設定される場合がある。図2に示す例では、交差点内の4つのリンクa〜dが交差点内リンクである。
【0028】
車両位置補正部22は、6つの条件(1)〜(6)を全て満たす場合に上述した自車位置補正を行う。
【0029】
経路探索処理部30は、経路探索処理を行って、出発地と目的地との間を所定の探索条件にしたがって結ぶ走行経路(誘導経路)を探索する。経路誘導処理部32は、経路探索処理部30による経路探索処理によって得られた誘導経路を地図上に重ねて表示したり、右左折交差点の拡大図を表示するための誘導経路描画データを作成するとともに、誘導経路に沿って車両を誘導するために必要な交差点案内等の音声信号を生成する。
【0030】
自車マーク(自車画像)描画部40は、車両位置・方位計算部20によって計算された自車両の位置に、自車両の方位に合わせた向きを示す自車マーク描画データを作成する。
【0031】
入力処理部50は、操作部4から入力される各種の操作指示に対応する動作を行うための命令をナビゲーションコントローラ1内の各部に向けて出力する。
【0032】
表示処理部60は、地図描画部14によって作成される地図画像描画データが入力されており、この描画データに基づいて所定範囲の地図画像を表示装置6の画面に表示する。また、表示処理部60は、自車マーク描画部40によって作成される自車マーク描画データが入力されており、この描画データに基づいて自車マークを地図画像上の自車位置に重ねて表示する。また、経路探索処理部30によって設定される走行経路を示す描画データが入力されると、表示処理部60は、この描画データを地図画像に重ねて表示装置6の画面に表示する。
【0033】
上述した車両位置・方位検出部5が自車位置・方位検出手段に、地図描画部14が地図描画手段に、自車マーク描画部40が自車画像描画手段に、車両位置・方位計算部20、車両位置補正部22が自車位置算出手段に、表示処理部60が地図表示手段にそれぞれ対応する。
【0034】
本実施形態のナビゲーション装置はこのような構成を有しており、次に、交差点を右左折する場合に、地図画像上に自車マークを表示する動作について説明する。
【0035】
図3は、交差点を右左折する場合の自車マークを表示する動作手順を示す流れ図である。この動作手順は、所定の時間間隔で繰り返される。
【0036】
車両位置・方位検出部5による自車両の位置および方位の検出(ステップ100)と、車両位置・方位計算部20による自車両の位置および方位の計算(ステップ102)が行われると、車両位置補正部22は、自車両が低速で旋回中か否か(上述した条件(1)、(2)を満たすか否か)を判定する(ステップ104)。低速かつ旋回中でない場合には否定判断が行われる。この場合には、車両位置補正部22による自車位置補正が行われない状態で、車両位置・方位計算部20によって計算された自車両の位置および方位を用いて地図描画部14による地図画像描画および自車マーク描画部40による自車マーク描画が行われ(ステップ120)、表示処理部60は、自車マークを含む地図画像を自車位置周辺の所定範囲について表示する(ステップ122)。
【0037】
一方、自車両が右左折動作に移行して低速かつ旋回中になると、ステップ104の判定において肯定判断が行われる。次に、車両位置補正部22は、自車位置の後方に交差点があるか否か(上述した条件(3)を満たすか否か)を判定する(ステップ106)。後方に交差点がない場合(交差点を通過していない場合)には否定判断が行われ、ステップ120に移行して、車両位置補正部22による自車位置補正が行われない状態で地図画像と自車マークの表示が行われる。
【0038】
また、後方に交差点が存在する場合にはステップ106の判定において肯定判断が行われる。次に、車両位置補正部22は、自車位置の前方に交差点がないか否か(上述した条件(4)を満たすか否か)を判定する(ステップ108)。前方に交差点がある場合(2つの交差点が接近しておりこれら2つの交差点の間を走行している場合)には否定判断が行われ、ステップ120に移行して、車両位置補正部22による自車位置補正が行われない状態で地図画像と自車マークの表示が行われる。
【0039】
また、前方に交差点がない場合にはステップ108の判定において肯定判断が行われる。次に、車両位置補正部22は、自車位置が存在するリンクが交差点内リンクでないか否か(上述した条件(5)を満たしているか否か)を判定する(ステップ110)。交差点内リンクを走行中の場合には否定判断が行われ、ステップ120に移行して、車両位置補正部22による自車位置補正が行われない状態で地図画像と自車マークの表示が行われる。
【0040】
また、交差点内リンクを走行中でない場合にはステップ110の判定において肯定判断が行われる。次に、車両位置補正部22は、自車両が走行した一つ前のリンク対して、自車位置が存在するリンクが直進方向にあるか否か(上述した条件6)を満たしているか否か)を判定する(ステップ112)。自車位置が存在するリンクが直進方向とは見なせないような方位差を有する場合には否定判断が行われ、ステップ120に移行して、車両位置補正部22による自車位置補正が行われない状態で地図画像と自車マークの表示が行われる。
【0041】
また、自車位置が存在するリンクが直進方向と見なせる方位差を有する場合にはステップ112の判定において肯定判断が行われる。次に、車両位置補正部22は、車両位置・方位計算部20によってステップ102において計算された自車位置を前回の自車位置に置き換える補正を行う(ステップ114)。その後、ステップ120に移行して、車両位置補正部22による自車位置補正が行われた後の状態で地図画像と自車マークの表示が行われる。
【0042】
図4は、自車マークの表示例を示す図である。図4(A)には車両位置補正部22による補正が行われない場合の自車マークの表示例が、図4(B)には車両位置補正部22による補正が行われた場合の自車マークの表示例がそれぞれ示されている。これらの図において、Aは車両位置・方位検出部5によって検出された自車位置の軌跡を、B1〜B10は車両位置・方位計算部20によって計算された自車位置および方位(三角形の向きが方位を示している)に対応する自車マークを、C5、C6は車両位置補正部22によって自車位置が補正された後の車両位置・方位計算部20の計算による自車位置および方位に対応する自車マークを示している。
【0043】
図4(A)に示すように、車両位置補正部22による補正が行われない場合には、自車両の方位が大きく変化するまでの間にB5、B6で示されるように、交差点を越えて自車マークが表示されるオーバーランが発生する。これに対し、図4(B)に示すように、交差点通過後に直ちに上述した条件(1)〜(6)を満たして車両位置補正部22による補正が行われた場合には、C5、C6で示されるように、その前の自車位置が維持されるため、オーバーランの発生を防止することができる。また、自車両の方位については、補正の影響を受けないため、自車位置が維持された状態で自車マークの向きのみが更新されて回転することになる。
【0044】
なお、右左折する道路の幅員が広い場合には、交差点を通過した直後の自車速度が低速にならず、上述した条件(1)を満たさない場合がある。このような場合には、図5に示すように、若干のオーバーランが発生するが、その程度を最小限に抑えることができる。
【0045】
このように、本実施形態のナビゲーション装置では、走行中の道路を右左折するために減速して旋回を開始した場合に自車位置を補正することにより、自車マークの描画位置がそれ以前の描画位置に固定されるため、自車位置のオーバーラン表示を低減することができる。これにより、表示の不自然さを解消し、利用者に与える違和感をなくすることができる。また、方位については、検出された方位がそのまま用いられるため、自車位置を固定した状態で自車マークを回転させることができるため、処理が停止していないことを利用者に知らせることができる。
【0046】
また、自車位置後方の第1の距離以内に交差点が存在する場合に自車位置補正が行われるため、交差点を通過した際のオーバーラン表示を低減することができる。あるいは、自車位置前方の第2の距離以内に交差点が存在しない場合に自車位置補正が行われるため、走行中の道路に沿って複数の交差点が連続する場合に、右左折交差点の位置を誤って自車マークの表示位置が維持されることを防止することができる。
【0047】
また、自車両が存在するリンクが交差点内リンクでない場合に自車位置補正が行われるため、交差点通過前に、右左折交差点の位置を誤って自車マークの表示位置が維持されることを防止することができる。
【0048】
また、自車両が走行した一つ前のリンクに対して、自車両が存在するリンクの角度が所定角度未満の場合に自車位置補正が行われるため、右左折時の旋回開始時に自車マークの描画位置の移動を停止させることができ、右左折時における自車位置のオーバーラン表示を低減することができる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、6つの条件(1)〜(6)の全てを満たす場合に車両位置補正部22による自車位置補正を行うようにしたが、条件(1)、(2)を必須の条件とし、それ以外の条件(3)〜(6)については、一つあるいは2つ以上を追加の条件として組み合わせ、これら必須の条件と追加の条件の全てを満たす場合に上述した自車位置補正を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
上述したように、本発明によれば、道路を右左折するために減速して旋回を開始した状態で自車画像の描画位置がそれ以前の位置に固定されるため、自車位置のオーバーラン表示を低減することができる。これにより、表示の不自然さを解消し、利用者に与える違和感をなくすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 ナビゲーションコントローラ
3 地図データ記憶装置
5 車両位置・方位検出部
6 表示装置
10 地図バッファ
12 地図読出制御部
14 地図描画部
20 車両位置・方位計算部
22 車両位置補正部
40 自車マーク描画部
50 入力処理部
60 表示処理部
図1
図2
図3
図4
図5