(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態の電気集塵機について、添付図面を参照して説明する。まず、
図2及び
図3を用いて、一実施形態による電気集塵機100の全体的な構成を説明する。
【0012】
図2において、電気集塵機100は、
図3に示す荷電部10A及び10Bを収納する荷電部収納筐体101と、
図3に示す捕集部20A及び20Bを収納する捕集部収納筐体102とを備える。荷電部収納筐体101は荷電部10Aと荷電部10Bとの一方のみを収納してもよいし、捕集部収納筐体102は捕集部20Aと捕集部20Bとの一方のみを収納してもよい。
【0013】
荷電部10A及び10Bを荷電部10と総称する。捕集部20A及び20Bを捕集部20と総称する。荷電部収納筐体101及び捕集部収納筐体102が収納する荷電部10と捕集部20との組数は任意である。
【0014】
荷電部10と捕集部20とは近接して対向している。荷電部10は、
図2の手前側からX方向に流れる空気に含まれる塵を帯電させる。捕集部20は帯電した塵を捕集して、捕集部収納筐体102の後方より塵を除去した空気を排出する。
【0015】
図3は、荷電部10及び捕集部20を
図2のXY平面で切断した状態を概念的に示している。
図3において、荷電部10は例えば5枚の板状の対向電極11と、一対の対向電極11間のほぼ中央部に配置された4本のイオン化線12を有する。イオン化線12は直径が例えば0.12mm程度であり、紙面と直交する方向に所定の長さを有する。
【0016】
図3において、空気は
図3の上方より対向電極11間の開口を介して内部へと流入する。
【0017】
捕集部20は、複数の板状の高圧極板21と複数の板状のアース極板22とが所定の距離だけ離間して対向するように配列されている。高圧極板21とアース極板22との間隔は一対の対向電極11間の間隔より格段に狭く、高圧極板21とアース極板22は対向電極11よりもはるかに多い枚数を有する。
【0018】
対向電極11の枚数、イオン化線12の本数、高圧極板21とアース極板22の枚数は特に限定されるものではない。
【0019】
図1を用いて、荷電部10及び捕集部20が電源とどのように接続され、荷電部10及び捕集部20がそれぞれどのように作用するかを説明する。
【0020】
図1に示すように、対向電極11はアースに接続され、イオン化線12は高圧電源13のプラス側に接続されている。イオン化線12には、例えば+5kVの高電圧が印加されている。
【0021】
これにより、対向電極11とイオン化線12との間には、一点鎖線で示す矢印で示すようにコロナ放電が起こる。
図1では、1つの対の対向電極11間にしかコロナ放電を示していないが、他の対の対向電極11間にも同様にコロナ放電が起こる。空気が対向電極11間を通過すると、空気に含まれる塵はプラスに帯電して、捕集部20の方向に流れる。
【0022】
高圧極板21には、高圧電源23のプラス側に接続されている。高圧極板21には、例えば+4.5kVの高電圧が印加されている。アース極板22はアースに接続されている。よって、高圧極板21からアース極板22へと向かう電界が発生する。
【0023】
高圧極板21とアース極板22との間を通過するプラスに帯電した塵は、アース極板22で捕集される。アース極板22は塵を集塵する電極であり、集塵電極と称されることがある。高圧極板21は非集塵電極と称されることがある。
【0024】
以上のようにして、荷電部10及び捕集部20を備える電気集塵機100は、空気に含まれる塵を集塵することができる。
【0025】
高圧極板21は例えば半導電性樹脂によって所定の形状に形成されている。高圧極板21の形状は、後述するアース極板22と同様の形状に形成されている。半導電性樹脂の抵抗率(体積抵抗率)は、10
10Ωcm〜10
13Ωcmである。
【0026】
アース極板22は、両面に導電塗装を施した樹脂板をトムソン加工等のプレス加工によって打ち抜くことによって所定の形状に形成されている。アース極板22を金属板ではなく樹脂板とすることによって、電気集塵機100を軽くすることができる。
【0027】
ここで、
図4を用いて、導電塗装を施した樹脂板をアース極板22として用いた従来の電気集塵機が有する問題点を説明する。
図4に示すように、アース極板22は、絶縁層として機能する例えばポリ塩化ビニル(PCV)の樹脂板221と、樹脂板221の両面に施された導電塗装222とを有する。
【0028】
図4に矢印で示す方向が、トムソン加工における抜き方向であるとする。この場合、アース極板22には、抜き方向の下流側である一方の面の端部にカエリ223が形成され、抜き方向の上流側である他方の面の端部にダレ224が形成される。
【0029】
本発明者による検証によって次のことが明らかとなった。高圧極板21にプラスの高電圧を印加すると、高圧極板21の表面とカエリ223の先端部との不平等性に起因して、カエリ223の部分に高圧極板21の極性とは反対の極性であるマイナス放電がある電界強度以上で発生する。カエリ223の部分に発生したマイナス放電は、プラスに帯電した塵を中和させてしまう。その結果、集塵効率が低下する。
【0030】
そこで、本実施形態においては、アース極板22を
図5及び
図6に示すように構成している。
図5において、アース極板22は矢印で示す方向を抜き方向として、トムソン加工等のプレス加工によって所定の形状に形成されている。
図4と同様に、樹脂板221の端部にはカエリ223とダレ224が形成されている。
【0031】
図5に示すように、樹脂板221の両面に、カエリ223とダレ224の部分を含む端部を避けて導電塗装222を施している。カエリ223とダレ224の部分を含む端部の両面は、未塗装部225とされている。
【0032】
カエリ223が形成されている面のみに未塗装部225を設けてもよいが、樹脂板221の両面に未塗装部225を設けるのがよい。
【0033】
樹脂板221の板厚を0.7mmとすると、未塗装部225は、樹脂板221の外周端から1mm程度の範囲でよい。未塗装部225は、板厚以上の範囲とするのがよい。
【0034】
アース極板22は、一例として、
図6に示すような平面的な形状に形成されている。アース極板22には、複数配列したアース極板22を支持するための支持部材やアースに接続するための接地部材を装着するための凹部226が形成されている。
図6に示すアース極板22の形状は単なる例であり、形状は限定されない。
【0035】
樹脂板221に未塗装部225を設ける方法は特に限定されないが、例えば次のようにすればよい。
図6において、樹脂板221には、シルクスクリーン印刷によって、外周端部に1mm程度の未塗装部225を形成するように、導電塗装222が施されている。
【0036】
図5及び
図6に示すような外周端部に未塗装部225を形成したアース極板22を有する捕集部20を備える電気集塵機100においては、上述した不平等性が抑えられ、カエリ223の部分にマイナス放電が発生しない。よって、プラスに帯電した塵を中和させてしまうことが抑えられる。
【0037】
ところで、
図7に示すように、荷電部10で発生したプラスイオンは、捕集部20へと流れる。すると、アース極板22は未塗装部225を有するから、
図8に示すように、プラスイオンは樹脂板221の荷電部10側の端部の未塗装部225をプラスに帯電させる。
【0038】
この結果、未塗装部225から導電塗装222へと向かう局所的な電界が、高圧極板21とアース極板22との間に形成される電界に影響を与える。また、荷電部10でプラスに帯電した塵は、プラスに帯電した未塗装部225からの反発を受ける。よって、
図8に示すような状態では、塵がアース極板22によって捕集されにくくなる。
【0039】
そこで、本実施形態においては、アース極板22を
図5及び
図6に示す構成に加えて、
図9及び
図10に示すように構成している。
【0040】
荷電部10側(
図9の上側)をプラスに帯電した塵が流れる方向の上流側、捕集部20側(
図9の下側)を塵が流れる方向の下流側とする。
図9に示すように、塵が流れる方向に沿ったアース極板22の幅W22は、その方向に沿った高圧極板21の幅W21よりも広い。
【0041】
高圧極板21の下流側の端部とアース極板22の下流側の端部は塵が流れる方向において同じ位置にあり、対向している。アース極板22の上流側の端部は高圧極板21の上流側の端部よりも上流側に突出しており、アース極板22の上流側の端部は高圧極板21の上流側の端部とは対向していない。
【0042】
図8と同様、
図10に示すように、荷電部10で発生して捕集部20へと向かうプラスイオンは樹脂板221の未塗装部225をプラスに帯電させる。アース極板22の上流側の端部が上流側に突出しているから、高圧極板21の端部は未塗装部225とは対向せず、塗装部227と対向している。
【0043】
従って、プラスに帯電した未塗装部225から導電塗装222へと向かう局所的な電界は、高圧極板21とアース極板22との間に形成される電界にほとんど影響を与えない。荷電部10でプラスに帯電した塵は、プラスに帯電した未塗装部225からの反発をほとんど受けない。
【0044】
よって、捕集部20が
図10に示すように構成されているアース極板22を備えることにより、
図8と比較してアース極板22によって捕集される塵を増やすことができる。即ち、本実施形態によれば、従来と比較して集塵効率を向上させることができる。
【0045】
図8に示す構成と
図10に示す構成とのいずれも、高圧極板21の印加電圧を6.25kV、高圧極板21とアース極板22との距離を2.85mm、高圧極板21とアース極板22との間の電界強度を2.19kV/mmとした。幅W21と幅W22との差を6mmとし、アース極板22を高圧極板21より荷電部10側に6mm突出させた。
【0046】
この条件で、
図8及び
図10に示す構成の集塵効率を測定した。なお、体積流量Qを56.7CMM(Cubic Meter per Minute)とし、0.5〜1.0μmの塵を集塵する集塵効率を測定した。
【0047】
測定の結果、
図8に示す構成における集塵効率は43.2%であったのに対し、
図10に示す構成における集塵効率は61.6%であり、集塵効率を向上させることが確かめられた。
【0048】
図11は変形例1を示している。
図11に示す変形例は、アース極板22の上流側の端部を突出させず、捕集部20の構成は
図7と同様である。
図11に示すように、荷電部10と捕集部20との間に、
図12に示すような金網31が配置されている。
【0049】
金網31は、例えば、金属線の線径が0.8mm、ピッチが10mmである。金網31は、アース極板22と同電位のアースに接続されている。
【0050】
荷電部10で発生して捕集部20へと向かうプラスイオンは、樹脂板221の未塗装部225に帯電する前に、金網31で捕捉されてアースへと流れる。よって、未塗装部225への帯電が抑制される。
【0051】
高圧極板21の印加電圧、高圧極板21とアース極板22との距離、高圧極板21とアース極板22との間の電界強度を上記と同じとし、
図11に示す変形例1の集塵効率を測定した。変形例1における集塵効率は63.3%であり、集塵効率を向上させることが確かめられた。
【0052】
図9及び
図10に示す構成と、
図11に示す変形例1とを比較すると、集塵効率は変形例1の方が若干高い。
図9及び
図10に示す構成によれば、集塵効率は変形例1よりもわずかに低いが、金網31という別部品を設ける必要がないので好ましい。アース極板22の幅W22を高圧極板21の幅W21よりも広くするだけでよいので、低いコストで、簡易な構成で集塵効率を向上させることができる。
【0053】
図13は変形例2を示している。
図13に示す変形例2も、アース極板22の上流側の端部を突出させず、捕集部20の構成は
図7と同様である。
図13に示すように、荷電部10と捕集部20との間に、紙面と直交する方向に所定の長さの金属丸棒32が配置されている。金属丸棒32は、金網31と同様の作用効果を奏する。
【0054】
高圧極板21の印加電圧、高圧極板21とアース極板22との距離、高圧極板21とアース極板22との間の電界強度を上記と同じとし、
図13に示す変形例2の集塵効率を測定した。変形例2における集塵効率は62.6%であり、集塵効率を向上させることが確かめられた。
【0055】
図9及び
図10に示す構成と、
図13に示す変形例2とを比較すると、集塵効率は変形例2の方がわずかに高い。同様に、
図9及び
図10に示す構成によれば、金属丸棒32という別部品を設ける必要がないので好ましい。アース極板22の幅W22を高圧極板21の幅W21よりも広くするだけでよいので、低いコストで、簡易な構成で集塵効率を向上させることができる。
【0056】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。