(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明において、プラスチックおよび他の炭化水素が、熱分解によりモノマーに変換され、軽ガスオレフィン(例えば、エチレン、プロピレンおよびブテン)ならびに芳香族へは高収率で、メタンへは低収率で、変換される。該変換は、短い滞留時間(約数秒)で達成することができて、大規模な商業的操業に理想的に適するものになる。
【0023】
プロセスは、プラスチックまたは炭化水素の供給原料を、熱分解によりオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1種に変換するために適した触媒組成物を利用する。これらは、そのようなプロセスのために使用される従来の触媒を含んでいてもよい。従来の触媒組成物の非限定的な例は、米国特許第4,664,780号;第4,970,183号;第5,173,463号;第5,348,643号;第6,613,710号;および第6,696,378号に記載されたものであり、それらの各々は、その全体を本願に引用して援用する。これらは、FCC触媒、残油FCC触媒、アルミナ/シリカ触媒、メソ多孔質材料および種々のゼオライトを含むことができる。
【0024】
他の実施形態において、触媒組成物は、全ての目的に対してその全体を本願に引用して援用する2013年2月12日出願の同時係属中の、および代理人整理番号12T&I0019によりさらに同定される米国特許出願第13/764,886号に記載された新規触媒系を含んでもよい。そこに記載された触媒組成物は、流動接触分解(FCC)触媒およびZSM−5ゼオライト触媒添加物で構成され、それらは触媒組成物中で互いに組み合わせて使用されて、プラスチックまたは炭化水素の供給原料の熱分解による変換を容易にする。
【0025】
FCC触媒は、石油供給原料の分解に有用なものである。そのような石油供給原料は、原油の常圧蒸留および真空蒸留ユニットからの真空ガス油(沸騰範囲350〜550℃)、常圧軽油およびディーゼル(沸騰範囲220〜370℃)、ナフサ(沸騰範囲<35℃から220℃)もしくは残油(沸騰範囲>550℃)、または水素処理、水素化分解、コークス化、ビスブレーキング、溶媒脱アスファルト、流動接触分解、ナフサ改質などもしくはそれらの変形を含む精油所における全ての二次プロセスから生じた種々のそのようなストリームを含むことができる。FCC触媒は、通常、細孔の大きいモレキュラーシーブまたはゼオライトで構成される。大細孔ゼオライトは、7Å以上、より典型的には7Åから約10Åの平均細孔径を有するものである。FCC触媒に適した大細孔ゼオライトとしては、X型およびY型ゼオライト、モルデナイトおよびフォージャサイト、ナノ結晶性ゼオライト、MCMメソ多孔質材料(MCM−41、MCM−48、MCM−50および他のメソ多孔質材料)、SBA−15およびシリコアルミノホスフェート、ガロホスフェート、チタノホスフェートが含まれ得る。特に有用なのはY型ゼオライトである。
【0026】
FCC触媒のために使用されるY型ゼオライトにおいて、シリカおよびアルミナの四面体は、酸素結合により接続されている。熱的および水熱的安定性を付与するために、Y−ゼオライトを、一部のアルミナのフレーム構造を破壊する処理にかけることができる(これらの経路の1つは高温におけるスチーム処理である)。典型的にはY−ゼオライトは、約2.5:1のSi/Al比を有する。脱アルミナされたY−ゼオライトは、典型的に4:1以上のSi/Al比を有する。フレーム構造のSi/Al比がより高い脱アルミナされたY−ゼオライトは、より強い酸部位(単離した酸部位)を有して、熱的におよび水熱的により安定であり、それ故、超安定なY−ゼオライト(USY−ゼオライト)と呼ばれる。触媒が、触媒再生装置で700℃という温度およびさらに湿気に出合う流動接触分解のようなユニットにおいて、熱的および水熱的安定性は重要であり、それ故、触媒活性は長期間にわたって維持される。したがって、そのようなタイプの操業において、USY−ゼオライトは好ましいFCC触媒であり得る。
【0027】
超安定なゼオライトは、希土類交換することもできる。希土類含有率は、0%より高くてもよく、ゼオライトの10重量%と高くてもよく、ゼオライトの0.1〜3重量%が典型的である。しかしながら、より高い希土類含有率は、パラフィンを生成する水素移動反応が有利になることにより、生成物のより多くのオレフィン含有率が失われる。ゼオライトY中における若干量の希土類は、それがゼオライトに安定性を付与するので、有用であり得る。希土類材料は、セリウム、ランタン、および他の希土類材料を含むことができる。
【0028】
概要および詳細な説明において有用である、適当である等として列挙したまたは記載した任意の濃度または量の範囲に関して、端点を含む範囲内のあらゆる濃度または量を含むことが意図され、および具体的に述べられたとみなされるべきであることが理解されるべきである。例えば、「1から10の範囲」は、約1と約10の間の連続体に沿ったありとあらゆる可能な数を示すと読まれるべきである。したがって、範囲内の特定のデータ点が、または範囲内のデータ点が、明示的に同定されるかもしくは同定されていなくても、または具体的に数点しか指していなくても、本発明者らは、範囲内の任意のおよび全てのデータ点は特定されたとみなされるべきであると認識しおよび理解していること、ならびに本発明者らは、範囲内の全範囲のおよび全ての点を所有することが理解されるべきである。
【0029】
FCC触媒は、典型的には、活性なマトリックスに包埋された上記のゼオライトである。マトリックスは、非晶質でも結晶性でもよい活性アルミナ材料などの活性な材料、アルミナまたはシリカなどの結合剤材料、およびカオリンなどの不活性充填材から形成することができる。FCC触媒のマトリックスに包埋されたゼオライト成分は、FCC触媒の10から90重量%を占めることができる。活性なマトリックス材料内に包埋されたゼオライト材料を含むFCC触媒は、噴霧乾燥により微小球として形成することができる。これらの触媒は硬くて、触媒が流動化されたときに通常起こる粒子と粒子および粒子と壁の衝突に耐える非常に良好な摩滅耐性を有する。FCC触媒の粒子サイズ分布は、0を超えて150ミクロンまでの範囲であってよい。ある実施形態において、粒子サイズ分布の90〜95%が0を超えて110ミクロンまたは120ミクロンまでの範囲内であり、粒子の5〜10%が110ミクロンを超える粒子サイズを有することもある。粒子サイズの分布の結果として、FCC触媒の粒子サイズの平均または中央値は、典型的には、70から75ミクロンである。ある例では、FCC触媒のより細かい粒子がより大きい粒子と共に使用されて良好な流動化を提供することができる。ある実施形態において、例えば、FCC触媒の15%以下が40ミクロン以下の粒子サイズを有していてもよい。良好な流動化は、微細な粒子と粗な粒子との混合物中の微細粒子の存在により可能になる。微細粒子の減少は脱流動化に通ずる。
【0030】
FCC触媒は、ある物理的、化学的な表面の性質および触媒活性に基づいてさらに特徴づけることができる。新鮮なFCC触媒は、典型的には300〜400m
2/g以上の非常に大きい表面積および高い活性を有する。新鮮なFCC触媒の高い活性の結果として、新鮮なFCC触媒を用いる石油供給原料の分解は、通常、コークスの8〜10wt%などの高収率、および軽ガスを生ずる。コークスの非常に高い収率は、コークス形成により発生される全ての熱が分解のために必要とされなくてもよいので、反応の熱収支に影響し得る。したがって、反応器−再生装置系からの熱除去が必要になり得る。このことは、供給原料が効果的に利用されないことを意味する。分解プロセスの熱の必要量を支持するために必要で丁度十分なコークスが作製され、そうでなければ過剰コークス形成に向かう残余が、有用な生成物を形成するために使用されるならば、さらに経済的に価値がある。新鮮なFCC触媒からの高収率の軽ガス(メタン、エタン)も望ましくなく、FCC複合体におけるプラントの湿潤ガスコンプレッサ設備の制約または制限を越えることがある。メタンの高収率は望ましくなく、その理由は、化学物質を形成することにおけるその限定された効用である(メタンからより高い炭化水素を、合成ガス−メタノール−オレフィン経路により形成することが可能であるとしても)。一方、エタンは、エチレンという価値のある化学物質を作製するために使用することができる。しかしながら大部分の場合、より高いエタン収率はより高いメタン収率を伴う。
【0031】
これらの問題を克服するために、FCC分解ユニットは、通常、一定の活性または変換を維持することにより操業される。これは、部分的に不活性化された触媒の循環する在庫を持って、それから使用されたかまたは非新鮮な触媒のごく一部分を周期的にパージして、新鮮なFCC触媒で埋め合わせることにより行われる。使用されたかまたは非新鮮な触媒の使用は、高レベルのメタンおよびコークスを生成させずに、触媒活性を一定のレベルに維持することに役立つ。プラントの触媒の循環する在庫は、部分的に不活性化されているかまたはプラント操業条件下で平衡に達している。周期的にパージで出されるこの触媒の部分が使用済みの触媒である。したがって、触媒活性に関して、それは、一般的に、補充の新鮮な触媒が添加される前のFCCユニットにおける循環する触媒の在庫と同じ活性を有する。この触媒の補充およびパージは、通常、操業中のFCCユニットにおいて定期的に行われる。循環する触媒の在庫は、新鮮な触媒のおよそ50%以下の表面積、および新鮮な触媒よりもおよそ10変換単位低い活性または変換を有する。換言すれば、新鮮な触媒が、真空ガス油範囲の材料の80wt%を乾燥ガス(H
2〜C
2)、LPG(C
3〜C
4)、ガソリン(35〜220℃で沸騰する炭化水素)およびコークスに変換するとすれば、それでは、循環する部分的に不活性化された触媒の在庫は、70wt%の変換を提供することができる。循環ユニットに補充により添加されたFCCの新鮮な触媒粒子は、それがパージで出される前に、平均で数日(齢)をユニット中で費やすことになる。したがって、触媒の在庫に毎日補充されるという事実により、循環する触媒の在庫は、通常、異なった齢の触媒粒子を有する、すなわち、在庫中で触媒粒子の齢分布がある。粒子の触媒活性は、FCCユニットにおけるその不活性化に比例し、それはやはり触媒の齢に比例する。表1に、新鮮なFCC触媒と使用済み(spent)FCC触媒の間の典型的な性質を列挙する。
【0033】
FCC触媒およびZSM−5ゼオライト触媒を含む触媒組成物を使用する本発明の実施形態において、該組成物は、新鮮なFCC触媒、非新鮮なFCC触媒のいずれか、または両方の混合物で占めることができる。これは、すでに述べたように、流動接触分解プロセスから除去される使用済みFCC触媒を含むこともできる。使用済みFCC触媒は、典型的には流動接触分解プロセスからの廃棄物であるから、プラスチックの有用な生成物への変換におけるその使用は、特に有利である。これはそのより低いコストおよび入手しやすさの両方に起因し、ならびにより多くのコークスおよびメタンを形成しないその有利な活性に起因する。使用済みFCC触媒は、すでに述べたように、流動接触分解プロセスで使用されたおよび新鮮な触媒との置き換えのために除去された本質的に「使用された」または「非新鮮な」FCC触媒である。FCC触媒に関して本明細書において使用する「非新鮮な」という表現は、すでに説明したように、若干量(すなわち0%を超える)のコークス堆積を有するいかなるFCC触媒も包含することが意図される。新鮮なFCC触媒は、コークス堆積を有しない。幾つかの実施形態において、非新鮮なFCC触媒へのコークス堆積は、触媒の重量に基づいて0.01%から、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%であるかまたはそれを超えることもある。典型的には、非新鮮なFCC触媒に対するコークス堆積は、触媒の0重量%を超えて0.5重量%までの範囲にある。使用済みFCC触媒は、分解プロセスで使用する触媒齢の差に起因する触媒コークス化の程度が異なる非新鮮な触媒粒子を有し得る。非新鮮なFCC触媒は、FCCユニット中における触媒の水熱的不活性化に起因して、新鮮なFCC触媒と比較して減少した表面積も有する。非新鮮な触媒に対する典型的な表面積は、100m
2/gから200m
2/gの範囲であってよい。それに加えて、幾つかの実施形態においてFCC触媒は、非新鮮なまたは使用済みFCC触媒と新鮮なFCC触媒の組合せを含むことができて、熱分解変換反応で使用することができる。
【0034】
FCC触媒との組合せで使用されるZSM−5ゼオライト触媒添加物は、10員の酸素環を有する交差する2次元細孔構造を含有する多孔質材料であるモレキュラーシーブである。そのような10員酸素環細孔構造を有するゼオライト材料は、しばしば中間細孔ゼオライトとして分類される。そのような中間細孔ゼオライトは、典型的には、5.0Åから7.0Åの範囲の細孔直径を有する。ZSM−5ゼオライトは、約5.1から約5.6Åの細孔直径を有する中間細孔径のゼオライトである。ZSM−5ゼオライトおよびそれらの調製は、本願に引用して援用する米国特許第3,702,886号に記載されている。ZSM−5ゼオライトは、いかなる金属も添加されていない。
【0035】
ZSM−5ゼオライトも、通常、すでに記載されたような、FCC触媒のゼオライトのために使用されるものと同じであるかまたは同様であり得る活性なマトリックスに包埋されている。該マトリックスは、活性アルミナ材料などの活性な材料、アルミナまたはシリカなどの結合剤材料、およびカオリンなどの不活性充填材から形成することができる。
【0036】
ZSM−5触媒のマトリックスに包埋されたゼオライト成分は、ZSM−5ゼオライト触媒の5から90重量%、より典型的にはZSM−5ゼオライト触媒の10〜80重量%の間、およびさらにより典型的にはZSM−5ゼオライト触媒の10から50重量%の間を占めることができる。活性なマトリックス材料内に包埋されたZSM−5ゼオライト材料を用いるZSM−5ゼオライト触媒は、噴霧乾燥によって微小球として形成することもできる。ZSM−5ゼオライト触媒についての粒子サイズ分布は、0を超えて150ミクロンまでの範囲であってよい。ある実施形態において、粒子サイズ分布の90〜95%が0を超えて110ミクロンまたは120ミクロンまでの範囲内であってよい。ZSM−5ゼオライト触媒の粒子サイズの平均または中央値は、典型的には70から75ミクロンである。ある例では、ZSM−5ゼオライト触媒のより細かい粒子が、より大きい粒子と共に使用されて良好な流動化を提供することができる。ある実施形態においては、例えば、ZSM−5ゼオライト触媒の15%以下が40ミクロン以下の粒子サイズを有していてもよい。
【0037】
ある実施形態において、FCC触媒のゼオライト材料(例えばX型ゼオライトまたはY型ゼオライト)およびZSM−5ゼオライトは、同じマトリックス材料ユニット内に包埋されて形成されてもよく、その結果、FCC触媒およびZSM−5触媒材料の両方を含有する触媒粒子が形成される。これらの粒子は、FCC触媒およびZSM−5ゼオライト触媒について前に別々に記載したものと同じサイズおよび形態であってよい。FCCとZSM−5ゼオライト成分を単一のマトリックスまたは粒子中で組み合わせる利点の1つは、個々の触媒中における不活性な希釈剤を最小化することにより得ることができるさらに高い活性を生じ得ることである。
【0038】
プラスチックの熱分解において使用するために選択される触媒は、これらのパラメータが操業中の流動床環境において触媒配合の完全性に大きく影響し得るので、粒子サイズ分布および摩滅耐性に関してFCC触媒と同様な性質を有することができる。非常に微細な粒子は、それらが生成物ガスに乗せられることによりそれらの高い損失に至り得るが、一方、より大きい触媒粒子サイズは適当に流動化しない傾向があり、不均一な活性を生ずる。しかしながら、ある実施形態において、いかなるマトリックス材料も用いない純粋な形態のFCC触媒およびZSM−5ゼオライトまたはより小さいサイズの粒子が、ロータリーキルンおよびスラリー反応器などの触媒が失われる確率が小さい系で利用できる。
【0039】
本発明において、触媒系を使用するプラスチックの熱分解は、軽ガスオレフィンならびにベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族という価値あるモノマーを生ずる。該プロセスは、触媒系とプロセス操業条件の組合せを使用することにより、収率をオレフィンおよび芳香族の所望の収率に調整できる。すでに記載したように、FCC触媒とZSM−5ゼオライト触媒添加物の組合せで、FCC触媒のみを使用するのに比較してオレフィンおよび芳香族のより高い収率を得ることができることが見出された。具体的には、FCC触媒およびZSM−5ゼオライト触媒の重量に対して10wt%以上のZSM−5ゼオライト触媒を含有する触媒系は、オレフィンおよび芳香族の向上した収率を提供する。本明細書において使用する、ZSM−5ゼオライト触媒およびFCC触媒の重量パーセンテージは、特に断りのない限り、任意のマトリックス材料を含む触媒の合計重量に基づく。マトリックス材料が反応で利用されない場合、ZSM−5ゼオライト触媒およびFCC触媒の重量パーセンテージは、該ゼオライトのみの重量パーセンテージである。
【0040】
ある実施形態において、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒の量は、FCC触媒とZSM−5ゼオライト触媒の合計重量の10wt%から50wt%を占める。したがって、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒の量は、FCC触媒とZSM−5ゼオライト触媒の合計重量の10wt%、15%wt%、20%wt%、25%wt%、30%wt%、または35%wt%から40%wt%、45%wt%、または50wt%を占める。さらに他の実施形態において、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒の量は、FCC触媒とZSM−5ゼオライト触媒の合計重量の30wt%から45wt%を占める。さらなる実施形態において、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒の量は、FCC触媒とZSM−5ゼオライト触媒の合計重量の35wt%から40wt%を占める。特定の例において、オレフィンおよび芳香族の最高の収率は、ZSM−5ゼオライト触媒がFCC触媒とZSM−5ゼオライト触媒の合計重量の約37.5wt%の量で使用される場合に生ずることが見出された。
【0041】
変換反応で使用される供給原料のプラスチックは、本質的に全てのプラスチック材料、例えば、有機ポリマーから形成されるものを含むことができる。非限定的な例として、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、天然および合成ゴム、タイヤ、充填されたポリマー、複合体およびプラスチックアロイ、溶媒に溶解されたプラスチックなどが含まれる。供給原料のプラスチックは、変換反応で使用することができるが、他の炭化水素材料も供給原料として使用することができる。これらの炭化水素は、バイオマス、バイオオイル、石油油分などを含むことができる。したがって、本明細書の記載は、主として供給原料のプラスチックの変換を対象とするが、本発明は他の炭化水素の使用にも同様に適用性を有し、それらを包含することが理解されるべきである。軽ガスオレフィンの生産が所望である場合、ポリオレフィンの供給原料のプラスチック、または主としてポリオレフィンであるもしくはポリオレフィンの実質的部分を含有する供給原料のプラスチックが好ましい。種々の異なったプラスチックおよび炭化水素材料の混合物は、制限なく使用することができる。
【0042】
供給原料のプラスチックは、種々の異なった形態で提供され得る。より小規模の操業においては、供給原料のプラスチックは、粉末の形態であってもよい。より大規模の操業において、供給原料のプラスチックは、粒子サイズが1から5mmのものなどのペレットの形態であってよい。
【0043】
触媒および供給原料のプラスチックは、一緒に混合してから反応器中に導入されてもよく、または別々に供給されてもよい。供給原料のプラスチックに使用される触媒の量または比は、変化してもよく、使用される特定の系およびプロセス条件に依存し得る。プラスチックは、非常に低いまたは非常に高い触媒対供給原料(C/F)比を使用して変換することができる。低いC/F比の場合にはより長い接触時間が必要になり得るが、一方、高いC/F比に対してはより短い接触時間が必要になり得る。試験では、4から12のC/F比が使用され、6から9のC/F比が最も頻繁に使用された。循環流動床ライザーまたはダウナーが使用され得る大規模な工業的プロセスにおいて、C/F比は、反応器の熱収支または他のパラメータにより決定することができる。
【0044】
種々の反応器が変換プロセスのために使用できる。大規模操業のためには、循環流動床ライザーまたはダウナー反応器を使用することができる。触媒がその場でバブリングされて供給原料がバブリング床に添加されるバブリング床反応器も使用することができる。スラリー型反応器およびロータリーキルン型反応器も、幾つかの用途において使用することができる。
【0045】
FCC触媒およびZSM−5ゼオライト触媒で構成される触媒組成物ならびに供給原料のプラスチックが、すでに述べたように、流動床反応器などの反応器中に導入される(混合されてまたは別々に添加されて)。反応器は、反応器の全てまたは一部分が550℃以上の温度にある反応器温度で操業される。幾つかの実施形態において、反応器は、反応器の全てまたは一部分が570℃以上の温度にある反応器温度で操業される。ある実施形態において、反応器は、反応器の全てまたは一部分が550℃から730℃、さらに特に570℃から680℃、690℃または700℃の温度にある反応器温度で操業される。反応器圧力は、環境圧から50バール(g)(5MPa)、より典型的には環境圧から3バール(g)(0.3MPa)の範囲であってよい。窒素、乾燥ガス(H
2〜C
2)、スチームまたは他の不活性ガスまたはガスの混合物が、触媒および供給原料を乗せる担体ガスとして使用できる。流動化ガスのある範囲の流速が、発泡流動床様式、循環流動床様式、スラリー槽反応器様式などの異なった様式で利用できる。他の反応器の形態および様式も使用することができる。特定の実施形態において、循環する流動化様式は、コークス管理、よりよい熱移動および供給原料と触媒の間の接触についての利点を提供するので、使用することができる。触媒/供給原料比(C/F)は、2という低さから30という高さまでの範囲、より典型的には4〜12の範囲であることができる。
【0046】
プラスチック熱分解のプロセス収率は、触媒とプロセス操業条件の組合せを使用することにより、オレフィンおよび/または芳香族の所望の収率に調整することができる。これは、反応器温度を選択された位置で測定する温度センサーまたは熱電対を使用することにより達成することができる。これら選択された位置は、触媒組成物および/または供給原料のプラスチックが連続式流通反応器中に導入される導入口の区域もしくはそれに隣接する区域、またはバッチ式反応器中で供給原料のプラスチックと触媒組成物の完全なもしくは最高の混合を有する触媒床の区域もしくはそこに隣接する区域であってよい。そのような場所は、プロセス中に最も温度変化が起こるところであり、ここは反応器内における変換の大部分が起こるところである。
【0047】
これらの帯域における温度変動は、供給原料および触媒が反応器中に充填されるときに高い。バッチ式反応器の場合には、温度変化の大部分は、触媒および供給原料の反応器中への添加に続く最初の1分に起こる。連続式流通反応器については、大部分の温度変化は、触媒組成物および/または供給原料のプラスチックが反応器中に導入される導入口でまたはその下流で起こる。バッチ式反応器の場合には、この1分間に、または連続式流通反応器では、供給原料および/または触媒組成物の導入口から2〜3メートル以内で、冷たい供給原料の導入に起因するおよび分解の吸熱する性質に起因する急速な温度降下があり得る。
【0048】
断熱的に操業される連続式流通反応器の場合、導入口点から下流の反応器中で連続した温度降下がある。しかしながら、連続式流通反応器の他の部分と比較して温度降下が急激な反応帯域がある。この急激な温度変化帯域にも最低の温度がある。等温の連続反応器(外部から加熱される)の場合、供給原料のプラスチックおよび/または触媒組成物の導入口付近で温度降下があり、下流で温度回復がある。反応開始時における供給原料および触媒の充填から生ずるこの温度低下は、「最小触媒床温度」、「最小反応器床温度」または同様な表現で呼ばれ得る。連続式流通反応器において、この最小温度は、供給原料および/または触媒組成物の導入口の下流の短い距離(例えば、2〜3メートル以内)の内に到達される。
【0049】
バッチ型反応器において、最小反応器床温度は、通常、供給原料の充填後10から15秒以内で到達される。バッチ式反応器においては、反応器は、通常、反応の開始前に設定温度に予熱される。しかしながら、供給原料および触媒が充填されるとき、同時に起こる幾つかの事象がある。これらには、供給原料の反応器温度への予熱、供給原料および生成物の固体から液体にまたは液体から気体にという相変化、分解反応のための反応熱(それは吸熱である)、触媒の反応器温度への加熱、触媒中に存在する任意の水の喪失のための潜熱などが含まれる。これらの変化の全てを、バッチ式反応器において、および該反応器を加熱するために使用される炉を使用する際に、計算に入れて配慮することが必要である。反応器が温度制御で制御される炉で加熱されても、予め設定された床温度を回復する制御作用が効果を生ずる前に有限の時間がある。それ故、このことは、供給原料および触媒がバッチユニットに充填されるときに観察される温度降下の原因になる。
【0050】
時間間隔平均触媒床温度は、バッチ反応における制御目的のために有用であり得、後で説明するように、連続式流通反応器中の異なったモニター位置でモニターされた温度と関連づけることができる。この「時間間隔平均触媒床温度」は、例えば、1分平均床温度、5分平均床温度、10分平均床温度などであってよい。時間間隔平均床温度は、式(1)により定義することができる:
T
I=1/N×(T
1+…+T
N−3+T
N−2+T
N−1+T
N) (1)
(式中、T
Iは時間間隔Iにわたる時間間隔平均床温度であり;N=選択された時間間隔Iにわたって行われた温度測定の数である)。一例として、1分平均床温度(I=1分)は、0秒、10秒、20秒、40秒および1分で測定されて記録された5つの異なった温度(すなわちN=5)を有し得る。サンプリングされた時間に記録された温度の単なる算術平均のみの代わりに、異なった重み付けが異なった測定温度と調和する加重平均も使用できることが理解されるべきである。
【0051】
大部分の温度変化は、バッチ反応における触媒および供給原料の添加に続く最初の1分で起こるので、Iが2分以下の短い時間間隔以内の最小反応器床温度および時間間隔平均床温度は、制御計画において特に有用であり得る。最小反応器床温度および1分平均床温度は、例えば、オレフィン収率に追随することが示され、それは次いで連続した流れまたは定常状態プロセスに関連づけられて適用される。より長い時間間隔にわたって測定されたバッチ反応における時間間隔平均触媒床温度も、ある用途において有用であることがある。これらは、2分を超える、例えば、3分、4分、5分、10分、15分、その他の長い時間間隔を含むことができる。多くの場合、長い時間間隔は、2分と15分の間である。
【0052】
連続した定常状態流のプロセス、例えば管状の流通反応器(管状の流通反応器における定常状態は、濃度および条件が、空間に関する変動因子に沿って変化するが、空間における各位置において時間で変化しないことを意味する)において、供給原料導入点でおよび直ぐ下流で測定された温度は、バッチプロセスにおける短い時間間隔平均反応床温度と同様であり、したがって、これと置き換えるために使用することができる。これは、非定常の管状バッチ式反応器における床温度の時間導関数(変動)が、連続した定常状態の流通反応器における温度の空間導関数(変動)と同様に処理できるからである。連続式撹拌槽反応器(CSTR)の場合には、反応器の内側の全ての点において、温度および組成は、反応器への流入または反応の進行度が同じである限り同じである。それ故CSTRの場合、平均温度は、反応器で測定された温度を意味する。
【0053】
連続式流通反応器中の供給原料導入点でおよび直ぐ下流で測定された温度は、次に、反応に、したがって形成される生成物に影響し得る変動因子を制御する制御計画で使用することができる。これらの変動因子としては、a)反応器に導入される触媒組成物、b)反応器に入る触媒組成物の流速、c)反応器に入る供給原料のプラスチックの流速、および/またはd)反応器を加熱するために使用される熱入力(特に等温もしくは好ましい加熱プロファイル操業が所望の場合)が含まれ得る。例えば、再生装置からの再生された熱触媒の流れは、所望の反応器温度に到達するために変化させることができ、その結果、それは触媒の過酷度を変化させる。モニターされる温度への応答で、これら変動因子は、オレフィン収率を最適化し、同時に370℃超で沸騰する重質留分の液体生成物などの望ましくない生成物の形成を最小化するために制御することができる。
【0054】
連続式流通反応器において、反応器は、供給原料のプラスチックおよび触媒組成物を導入するために典型的には1つ以上の導入口を有する。反応器は、反応生成物を反応器から取り出すために、実質的に線状でも非線状でもよい反応器流路全体に沿って1つ以上の導入口から間隔を置いた、少なくとも1つの排出口をさらに有する。反応器の流路は、1つ以上の導入口と1つ以上の排出口の間の「L」という呼称により表すことができる長さを有する。ある例では、そこからLが測定される導入口は、例えば供給原料のプラスチックと触媒が別々の導入口を通して別々に導入される場合には、供給原料のプラスチックと触媒の両方が反応器に導入された後で互いに接触する場所となり得る。それ故、これは、供給原料のプラスチックと触媒が実際には互いに接触しない、実際の導入口または導入ノズル自体による場所でない場合がある。そのような位置は、任意の特定の導入口の上であっても下であってもよい。直線的な構成を有する大部分の反応器について、長さLは、典型的には、導入口および排出口の間で測定された反応器の長さである。バッチ型反応器も、同様な構成を有することができ、長さLは、本発明により温度モニターで使用されるとき、バッチ反応および反応器にも同様に適用される。反応器流路の長さLは、複数の導入口および排出口があるならば、典型的には、特に断りのない限り、互いに最も接近している導入口と排出口の間の測定値である。そのような他の場合に、長さLは、最も離れた導入口および排出口、または複数の導入口および/または複数の排出口の間の場所にある中間の位置間の距離などの任意の導入口と排出口の間で測定されてもよい。
【0055】
ある例では、反応器は、供給原料および/または触媒の複数の導入口を有することができ、それらが反応器内で局所的帯域を形成する。各局所的帯域は、それ自体の制御計画を有することができ、その場合、長さLは、反応器の特定の帯域の導入口と排出口の間の長さである。
【0056】
連続式流通反応器の反応器内で、最大のまたは最も急速な温度変化が起こる温度のモニターを容易にするために、温度測定は、プラスチックおよび触媒供給原料が導入される導入口に隣接する1つ以上の場所で、短い温度モニター距離で適当なセンサーを使用して行われる。本明細書において使用する表現「短い温度モニター距離」または同様な表現は、触媒および供給原料のプラスチックが導入される1つ以上の導入口から0.3L以下の距離と解釈されることが意図される。ある実施形態において、短い温度モニター距離は、導入口から0.2L以下の距離であってよい。他の実施形態において、短い温度モニター距離は、導入口から0.1L以下または導入口から0.05L以下であってもよい。したがって、短い温度モニター距離は、導入口から0.3L、0.2L、0.1L、0.05L、0.01L、0.005L、0.001L以下であってよい。
【0057】
一例として、流路を限定する長さが18メートルである高さまたは長さを有する(すなわち、L=18メートル)流動床ライザーまたはダウナー反応器などの反応器において、短い温度モニター距離のための基準として0.3L以下を使用して、温度センサーは、反応器の導入口から反応器流路に沿って0メートルから5.4メートル(すなわち、0.3×18メートル)に置くことができる。
【0058】
ある実施形態においては、温度測定は、3、4、5、6、7、8、9、または10以上の異なった温度モニター場所などの複数の位置で行うことができる。複数の温度モニター場所が使用される場合、それらの幾つかは、長い温度モニター距離に位置してもよい。本明細書において使用する表現「長い温度モニター距離」は、触媒および供給原料のプラスチックが導入される1つ以上の導入口から0.3Lを超えるこれらの距離と解釈されることが意図される。しかしながら、大部分の例では、温度モニター場所の少なくとも1、2、3、4、5、6つ以上は、導入口から0.3L、0.2L、0.1L、0.05L、0.01L、0.005L、0.001L以下からの短い温度モニター距離内であり、その他は反応器流路Lの長さに沿った長い温度モニター距離にある。
【0059】
温度測定は、反応器内で縦方向におよび/または横方向に、互いに等しいまたは等しくない距離で間隔があってよい2つ以上の温度モニター場所で行うことができる。温度モニター場所は、反応器流路に沿った任意の所与の点で反応器の流路の縦軸に垂直な平面内で、円周方向でおよび/または半径方向で互いに横方向に間隔を置くことを含むことができる。したがって、例えば、温度センサーは、反応器の中心付近に設けることができ、その他は反応器壁付近、およびさらに他のものは反応器の中心と反応器壁の中間の位置で任意の角度の位置に設けることができる。流路Lに沿って同じ間隔で設置され、しかし横方向に異なった位置にあるような温度センサーは、流路に沿った特定の間隔で、反応器内容物の不適当な混合に起因するなどして、反応器内における異なった温度を感知することができる。
【0060】
種々のモニターされる温度は、反応の進行中、連続的にまたは周期的にモニターされる。モニターされる温度は重み付けされて、反応器のための制御計画で使用される。1つの重み付けする方法においては、任意の所与の時間でモニターされる温度の平均温度が一緒に平均化されて、重み付けされた温度の値を提供する。他の例では、異なった重みが、異なった位置でモニターされた温度に割り当てられ得る。したがって、異なった重みが異なった縦方向の位置にだけでなく横方向の位置にも提供され得る。例えば、上に向かう芯の流れおよび下に向かう輪状の流れを有する同心円の芯の流れがあれば、壁付近でより低い温度および壁から離れてより高い温度があり得る。例えば、供給原料のプラスチックが低い方の温度帯域により多く注入されれば、その場合、反応収率は有害に影響されるが、高い過酷度の帯域に注入されれば、反応収率は所望のようにまたはそれより良くなり得る。そのような重み付けは、しかしながら、多くの例においても、特定の反応器ユニットを操業する場合に知られているに過ぎない。ある場合には、重みを0から1の任意の小数として割り当てる可能性のある横方向のおよび縦方向の位置における加重平均があり得る。どのような重み付け方法が使用されても、モニターされる温度は、分散制御系(DCS)、プログラマブル論理制御装置(PLC)、またはオンラインにおいてプラントをモニターおよび制御するために使用される同様な系などの、プラントの自動制御系におけるコンピューターブロックまたはデバイスで、重み付けされまたは平均化され得る。
【0061】
重み付けされた温度の値は、次に、重み付けされた測定値と、オレフィンの所望の収率などの所望の生成物収率のために適当な予め設定されたまたは予め選択された温度値(設定点)との差を計算する温度コントローラーへの入力として使用される。重み付けされた測定温度と設定点との差に応答して、コントローラーは、適当な応答を提供する系を制御するようにプログラムされることができる。これは、a)反応器に導入される触媒組成物;b)反応器に入る触媒組成物の流速;c)反応器に入る供給原料のプラスチックの流速;および/またはd)反応器を加熱するために使用される熱入力を変化させるかまたは調節すること(特に等温もしくは好ましい加熱プロファイル操業が所望の場合)を含むことができる。そのような調節は、通常、適当なアクチュエーターにより動かされる制御バルブの使用によって実施される。
【0062】
コントローラーからの応答は、重み付けされた測定温度と設定点との差に比例しており、比例したシグナルを、触媒および供給原料のプラスチックの種々の流れを調節するために使用される制御バルブに提供することができる。このようにして、重み付けされた測定温度を、所望の生成物の最高収率を提供する所望の設定値の非常に近くに維持することが可能である。コントローラーは、モニターされたおよび/または重み付けされた測定温度からのフィードバックを使用するようなタイプの制御に適した任意のタイプの制御系であってよい。これは、比例コントローラー、比例−積分(PI)コントローラー、比例−積分−微分(PID)コントローラー、その他の、工業的プロセス制御において一般的に使用されるコントローラーを含むことができる。
【0063】
図1を参照すると、プラスチック変換系10のための概略図が特定の制御系で示されている。変換系10は反応器12を含み、反応器12は、連続流れ循環流動床ライザー反応器または他の適当な反応器を代表することができる。
図1において、反応器/ライザー12は、再生装置からの熱触媒組成物が供給原料のプラスチックと接触するときに反応が起こるところである。生成物および任意の未変換の供給原料(重質分)と共に触媒は、反応器12を出て停止デバイスを通ってストリッパー14に入る。ここで触媒は、捕捉された炭化水素を、スチームを使用して剥離(strip)される。スチームで剥離された触媒は、レベル制御(LIC)16によってレベル制御バルブ(LCV)18を通って再生装置20に流れる。再生装置20において、触媒組成物上のコークスは、ブロワーにより供給されるかまたはパイプで吹き込まれる酸素、空気または酸素に富む空気を使用して燃焼され、触媒はこのようにして再生される。再生装置から、熱再生された触媒組成物は、温度制御(TIC)22に応答して、温度制御されたバルブ(TCV)24を通り、触媒導入口26を通じて、反応器12に流れる。供給原料のプラスチックは反応器12の導入口28を通して導入される。そのような反応器には、反応器への供給原料の連続した流れおよび反応器から生成物を取り出す流れがある。
図1の実施形態において、反応器12の底部にまたはその付近に位置する触媒および供給原料の導入点26、28で、またはそこから短い温度モニター距離(すなわち、0.3L以下)で、異なった横方向におよび/または縦方向に設置されたセンサー30、32、34によりモニターされた温度の平均が、触媒再生装置20からの触媒流れを制御するために使用される。供給原料が入る点または直ぐ下流におけるこの帯域は、生成物の最大の変換、ならびに最大の温度変化が起こるところである。この帯域内の触媒床の平均温度は、変換プロセスから製造される生成物およびそれらの収率に対して最も強い影響を有する。供給原料および触媒の導入点付近の温度のみのこのモニターおよび加重平均が、バッチ式反応器における短い時間間隔平均床温度(すなわち2分以下)と相関する。
【0064】
センサー(TE)30、32、34からの温度は、周期的にまたは連続的にモニターされて、コンピューターブロックまたはデバイス36で重み付けされ、または平均化される。コンピューターブロックまたはデバイス36は、温度コントローラー22にフィードバックとして提供される平均測定温度を提供する。温度センサーは、任意の適当なタイプであり、触媒床温度をモニターすることができる。示された実施形態において、コントローラー22は、再生装置20からの熱再生された触媒の導入を可能にする温度制御バルブ24を制御する。より高い温度が設定されたとき、バルブ24は開かれてより多くの熱触媒が反応器12に流れることを可能にして反応器におけるより高い熱の必要量を容易にする。他の用途において、コントローラー22は、供給原料のプラスチックを導入するための他のバルブを制御して、特定の触媒組成物を調節し、および/または、等温もしくは好ましい加熱プロファイル操業が所望の場合などに、外部の熱源からの熱入力を調節するために使用することができる。さらに他の実施形態において、コントローラー22は、反応の制御を容易にする他の条件または流れを制御するために使用することができる。
【0065】
示された実施形態において、他の温度センサー38、40、42、44が、反応をモニターするために反応器12の長さに沿った下流に置かれるが、この例ではプロセス制御に使用されない。
【0066】
スチームまたは他の流動ガスが、適当な流動化および移動作業を維持するために異なった場所で添加される。反応器への供給原料は、例えば、押出機を通すこと、例えば流動ガスを使用する空気式の移送、および制御された添加デバイスなどを含むが、これらに限定されない複数の異なった方法により、供給することができる。マニホールドで連結した単一のまたは複数のサイクロンは、反応器ストリッパー14(サイクロン46)および/または再生装置20(サイクロン48)に備え付けられて、これら容器からの流出物と共に出る粒子状物質を除去して、集められた粒子状物質をこれら容器中の床に戻すことができる。
【0067】
図2を参照すると、
図1のプラスチック変換系10に代わる、特定の制御系を有し、同じ参照番号で標識された同様な成分を有する概略図が示されている。この制御概略図において、触媒および供給原料の導入点26、28にまたはそこから短い温度モニター距離(すなわち、0.3L以下)に設置されたセンサー30、32、34からの温度が、反応器底に供給原料が導入された直後に測定された最小温度を提供するのに使用される。これは、センサー30、32、34のいずれか1つから最小測定温度を決定するコンピューターブロックまたはデバイス36に提供される。供給原料および触媒の導入点付近の最小温度のこのモニターのみが、バッチ式反応器における最小床温度と相関する。
【0068】
この最小温度は、周期的にまたは連続的にモニターされて、温度コントローラー(TIC)22にフィードバックとして提供される。供給原料と熱触媒が十分に混合されてまたは平衡される箇所が、それを超えて温度がさらに降下し得る箇所であるが、降下はこの前に遭遇した降下速度と比較してそれ程急激ではない。十分に混合された温度は、典型的には、供給原料導入点の直ぐ下流の最低の測定温度である。コントローラー22に設定された温度に基づいて、バルブ24が開かれて、触媒再生装置20からの熱触媒の適当な量が、操業処理能力のための吸熱反応を維持して所望の生成物の収率を提供するために反応器12において必要な熱の必要量を供給することを可能にする。他の用途においては、コントローラー22は、供給原料のプラスチックの導入のために他のバルブを制御し、特定の触媒組成物を調節し、および/または、等温もしくは好ましい加熱プロファイル操業が所望の場合などに、外部の熱源からの熱入力を調節するために、使用することができる。さらに他の実施形態において、コントローラー22は、反応の制御を容易にする他の条件または流れを制御するために使用することができる。
【0069】
図3を参照すると、特定の制御系を有する、
図1のプラスチック変換系10の、同じ参照番号で標識された同様な成分を有する別の概略図が示されている。この制御概略図においては、触媒および供給原料の導入点26、28から短い温度モニター距離(すなわち、0.3L以下)に設置されたセンサー30、32、34からの温度は、供給原料導入点からの長い温度モニター距離(すなわち、>0.3L)にあるセンサーからの温度と組み合わされて使用され、反応器流路の実質的に全長に沿って異なった位置に設置されていてよい。ここで、測定温度は、異なって設置されたセンサー38、40および44でモニターされ、これらのセンサーはセンサー30、32、34から下流に設置されて、反応器12の中間部および反応器12の生成物排出口付近に位置する。センサー38、40および44からの測定温度は、デバイス36のコンピューターブロックに提供されて、センサー30、32、34からの温度を使用して加重平均される。コンピューターブロック36は、センサー30、32、34、38、40および44から加重平均測定温度を提供し、それは、フィードバックとして温度コントローラー(TIC)22に提供される。これは、床温度が2分を超える(例えば10分)時間をかけてモニターされ一緒に平均化される、バッチ式反応器で測定される長い時間間隔平均床温度と相関する。
【0070】
これらの温度は、周期的にまたは連続的にモニターされ、加重平均化されて、フィードバックとして温度コントローラー(TIC)22に提供される。十分混合された温度は、供給原料導入点の直ぐ下流の最低の測定温度である。コントローラー22の温度設定に基づいてバルブ24が開かれ、触媒再生装置20からの熱触媒の適当な量が、操業処理能力のための吸熱反応を維持するために反応器において必要な熱の必要量を供給して、所望の生成物の収率を提供することを可能にする。他の用途において、コントローラー22は、供給原料のプラスチックの導入のために他のバルブを制御し、特定の触媒組成物を調節し、および/または、等温もしくは好ましい加熱プロファイル操業が所望の場合などに、外部の熱源からの熱入力を調節するために、使用することができる。さらに他の実施形態において、コントローラー22は、反応の制御を容易にする他の条件または流れを制御するために使用することができる。
【0071】
上記の制御計画は、FCCユニットで使用される従来の制御計画とは異なる。FCCユニットの従来の制御では、反応器の排出口における温度だけがモニターされて、フィードバックとして任意の制御ユニットに提供される。しかしながら、反応器の排出口付近の温度は、反応器内で最大の変換および温度変化が起こるところから遠い距離の場所にある。この結果、反応器中で製造されている生成物および収率との相関が低くなる。排出口の温度がコントローラーへのフィードバックとして使用される唯一の温度であれば、本発明の制御計画とは対照的に、それは、所望の程度の制御を提供しないか、または生成物の所望の収率の達成を請け負わないであろう。
【0072】
反応で生成する熱分解生成物は、エチレン、プロピレン、ブテンなどの軽ガスオレフィン、ならびにベンゼン、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼンなどの芳香族を含む。これらは、選択的に大量に製造することができる。供給原料のプラスチックの種々の生成物への完全な変換が起こる。製造される生成物は、ガス(H
2〜C
4)、ガソリンまたはナフサ(沸点35〜220℃)、ディーゼル(沸点220〜370℃)、小分画の重質ストリーム(沸点>370℃)およびコークスを含む。種々の生成物の収率は、異なった触媒配合または、接触時間、流動化の流速および反応器機材の直径、長さなどの具体的特徴、または供給原料および/またはガス分布の設計または混合/接触に関係する機材の変形、生成物をさらに変換するための反応器への再循環およびそのような他のパラメータを含む上記のパラメータのいずれかまたは全てを使用することにより変化させることができる。メタン、エタン、プロパン、およびブタンなどの飽和の生成物も、水素ガス(H
2)と同様に製造される。試験において、特定の重み付けされたモニターされる温度を利用すると、低収率のメタンおよびブタジエンが得られた(それぞれ<2wt%および0.5wt%)。これは、利用された重み付けされた温度の過酷度が高くても(例えば、550℃以上)、観察される活性は、おそらく主に熱分解よりも触媒活性に起因することを示す。触媒組成物は、首尾よく、メタン形成を抑制して同時に高い変換を提供し、かつ重質生成物を最小にする条件下で使用することができる。プロセスは、重質の液体生成物、すなわち、370℃超で沸騰するこれらの重質留分生成物の形成も最小化する。
【0073】
FCC触媒と組み合わせたZSM−5ゼオライト触媒の使用も、アルキル化された芳香族の側鎖の切断を容易にすると同時にイソパラフィンへの異性化活性を抑制する。この結果、軽ガスオレフィン炭化水素および芳香族の生産が向上する。ZSM−5触媒は、C
5からC
12のガソリン範囲内の炭化水素にも作用して、それらを軽ガスオレフィンに変換する。
【0074】
したがって、熱分解変換自体における操業条件および触媒組成物の組合せの使用により、軽ガスオレフィンおよび芳香族の増大した収率を提供することができる。
【0075】
本発明において、反応器は、1)バッチ式反応器について反応の開始からの時間間隔が3分以下の時間間隔平均触媒床温度が470℃から730℃であるか;または2)供給原料のプラスチックおよび触媒組成物が導入される少なくとも1つの導入口から0.3L以下(Lは反応器流路の長さである)の少なくとも1つの場所での反応器中の温度が470℃から730℃である場合に、操業することができて、軽ガスオレフィンおよび芳香族の増大した収率を生じ得る。ある場合には、供給原料のプラスチックおよび触媒組成物が導入される少なくとも1つの導入口から0.3L以下および/またはそこから0.3L以上の2つ以上の場所における(Lは反応器流路の長さである)反応器中の470℃から730℃の範囲にある、重み付けまたは平均化されたモニター温度は、軽ガスオレフィンおよび芳香族の増大した収率を生ずることができる。
【0076】
反応温度を高くすると、熱分解変換において芳香族の収率を向上させることができる。ある実施形態において、反応器は、2つ以上の異なった場所でモニターされた温度の重み付けされたもしくは平均の温度または時間間隔平均床温度を少なくとも550℃に維持するように、操業することができる。等温の連続流通反応および断熱的なまたは等温のバッチ反応のために、温度は420℃以上であってよい。幾つかの実施形態において、反応器は、2つ以上の異なった場所でモニターされた温度の重み付けされたまたは平均の温度を少なくとも570℃以上に維持するように操業される。他の実施形態において、反応器は、2つ以上の異なった場所でモニターされた温度の重み付けされたもしくは平均の温度、または、時間間隔平均床温度が550℃から730℃、さらに特に570℃から680℃、690℃または700℃に維持されるように操業される。
【0077】
軽オレフィンの所望の生成物を所望の収率で提供する連続式流通反応器では、反応器は、選択された重み付けされたまたは平均化された温度を提供するように操業される。これは、上で記載した本発明の制御計画にしたがって行うことができる。上記の温度モニターおよび制御計画は、全ての目的に対してその全体を本願に引用して援用する2013年2月12日出願の、代理人整理番号12T&I0020によりさらに同定される同時係属の米国特許出願第13/764,923号にさらに記載されている。
【0078】
それに加えて、プラスチック熱分解反応におけるある触媒組成物および制御計画の使用は、高収率の軽ガスオレフィンおよび芳香族を提供するが、これらの生成物のさらなる増大を達成することができる。実質的に芳香族を含まない主成分であり得る液体生成物は、さらに処理されて芳香族および/または軽ガスオレフィンの収率をさらに増大させることさえできる。
【0079】
上記の方法により軽ガスオレフィンおよび芳香族を高収率で製造するプラスチックの熱分解において、軽ガスオレフィンと芳香族生成物の製造の間に相互関係があることが見出された。特に、製造される軽ガスオレフィンと芳香族生成物の間に実質的に1対1相互関係があることが見出された。すなわち、利用される触媒組成物および条件は、両方とも価値のある生成物である軽ガスオレフィンおよび芳香族生成物の収率における同時の増大に役立つ。したがって、該プロセスは、必ずしも一方の生成物を他方より有利にするものではない。これは、実施例の
図14に示したように、軽ガスオレフィンにおける直線的な増大が増大する芳香族生成物の収率と共に生じ、および逆も真であるので証明される。このことは、すでに開示したような、配合における触媒組成(すなわち、ZSM−5ゼオライト触媒含有率)、制御計画で使用される短い時間間隔または短い温度モニター距離などの操業条件または操業を調節することにより、商業的規模の操業において、特定の需要で軽ガスオレフィンを製造するだけでなく特定の需要で芳香族を製造することも可能であることを意味する。
【0080】
図4を参照すると、供給原料のプラスチックおよび触媒が熱分解反応器52に導入される本発明により構成された変換系50が示されている。反応器52から出る熱分解生成物は、典型的には、凝縮器付き分留塔またはそれに代わる凝縮器であってよいユニット54に通される。凝縮器54は、典型的には、標準的大気条件で35℃未満の沸点を有する生成物を凝縮させるように操業される。凝縮器54から出る生成物は、分離器56に通され、そこで軽ガス生成物58を液体生成物60から分離することができる。軽ガス生成物58は、典型的には、エチレン、プロピレン、ブテンなどの軽ガスオレフィンを含む。メタン、エタン、プロパン、およびブタンなどの飽和の生成物も、軽ガス生成物中に含有され得る。
【0081】
これらの軽ガス生成物は、適当なサイズの蒸留塔を利用することにより、または成分特異的な吸着塔もしくはガス状炭化水素もしくはこれらの組合せを分離するために商業的に知られた、膜系を使用することにより、必要に応じて、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテン異性体などに分離することができる。典型的には、この分離部の構成は、ナフサのスチーム分解の炉の下流部またはガスプラントから適合させること、もしくはそれと同様にすることができ、またはそれは、流動接触分解(FCC)ユニットのガスプラント部から適合させること、もしくはそれと同様にすることができる。ユニット54が分留塔である場合、分留塔の頂上で、上で論じたように分離されるガス生成物を生じ、一方、別の液体の沸騰留分の画分は、側および底留分として(ナフサ35〜220℃およびディーゼル220〜370℃は側留分として、ならびに沸点が370℃を超える重質分は底留分生成物として)分留塔から取り出され得る。35℃から液体の最終の沸点の範囲にある、任意の他の中間で沸騰する画分の留分も、そのような留分として仕分けることができる。そのような場合には、下流のガス液体分離器56は必要がない。
【0082】
液体生成物60は、種々の異なった方法で処理して軽オレフィンガスおよび芳香族の収率をさらに増大させることができる。上で論じたように、液体生成物は、一部の成分が220℃または240℃を超える温度で沸騰し得る成分範囲を含有する。液体生成物60は、芳香族化合物および非芳香族化合物の両方を含有する。ベンゼン、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼンの液体芳香族化合物は、全て240℃未満で沸騰して、商業的に望ましい。非芳香族液体化合物は、典型的には、イソパラフィン、パラフィン、ナフテン、およびオレフィンで構成され、より高い過酷度の操業温度および触媒対供給原料の比における主要な生成物はイソパラフィンである。
【0083】
図5に示したように、軽ガスオレフィンおよび芳香族を増大させる1つの技法において、
図4の液体生成物60または分留塔/凝縮器54からの液体生成物などの液体生成物は、さらなる分離器62に通されて、そこで液体の芳香族生成物64が非芳香族生成物66から分離される。分離器62は、溶媒抽出、抽出蒸留などの、非芳香族炭化水素から芳香族を分離または抽出するために適当な任意の系であってもよい。そのような商業的に既存の分離プロセスの例は、ブレンドされた溶媒またはスルホランまたはN−ホルミルモルホリンまたはN−メチルピロリドンまたはグリコールまたはグリコールブレンドによる抽出の使用に基づくものである。分離器62のための非限定的な供給原料は、
図4の分留塔カラム54から取り出されたナフサ生成物である。液体生成物60の一部分は、芳香族分離のために処理せずに、その代わりに、水素化処理または開示された他の技法により直接処理してもよい。
【0084】
液体の芳香族生成物64は、若干量のオレフィンなどの非芳香族化合物を含有することもあるが、主に芳香族化合物で構成され、その結果、それは「芳香族に富む分離生成物」を構成することが理解されるべきである。したがって、そのような分離生成物に関する表現「液体芳香族分離生成物」、「芳香族分離生成物」または同様な表現の使用は、特に断りのない限り、少量の非芳香族化合物を含有することがあるような芳香族に富む分離生成物を指すことが意図される。同様に、非芳香族生成物66は、若干量の芳香族化合物を含有することもあるが、主に非芳香族化合物で構成され、その結果、それは非芳香族に富む分離生成物を構成する。したがって、そのような分離生成物に関する表現「液体非芳香族分離生成物」、「非芳香族分離生成物」または同様な表現の使用は、特に断りのない限り、少量の芳香族化合物を含有することがあるような非芳香族に富む分離生成物を指すことが意図される。非芳香族分離生成物66の全てまたは一部分は、次に再循環ストリーム68として、熱分解反応器52(
図4)またはすでに記載されたようなそれらがさらに分解されてオレフィンおよび芳香族を形成する系の他の熱分解反応器に再循環される。そのような例においては、水素化処理などによる非芳香族分離生成物の追加の水素富化は実施されなくてよい。
【0085】
軽オレフィンガスおよび芳香族を増大させる別の技法において、生成物ストリーム66(
図5)などの非芳香族分離生成物は、液体非芳香族分離生成物を水素化処理ユニット70などにおいて水素で飽和させることにより、さらに処理することができる。これは、不飽和オレフィンおよびナフテン分子を水素化して、それらを飽和させてそれらのそれぞれのパラフィンにする。そのような化合物を水素化することは、それらをより分解可能にする。したがって、該生成物は、熱分解反応器で、より容易にオレフィンおよび芳香族に変換することができる。水素化処理生成物ストリーム72は、
図4の反応器52または他の反応器などの熱分解反応器に戻されて再循環され得る。
【0086】
水素化処理触媒は、任意の適当な水素化処理触媒であってよい。典型的には、アルミナ上のCo/Moまたはアルミナ上のNi/Moまたはアルミナ上のタングステン/Moまたはアルミナまたは他の基材上の多金属触媒、貴金属触媒が水素化処理のために使用される。該プロセスは、通常、固定床反応器または、単一/多段の反応器において、低い過酷度から高い過酷度の操業(例えば、20〜100バール(g)(2〜10MPa)の範囲またはそれを超える圧力および280〜450℃の温度)で実施される。沸騰床またはスラリー床による水素化処理のような他の選択肢も採用することができる。
【0087】
他の実施形態において、
図4の液体生成物60または分留塔54からの液体生成物などの熱分解反応から生じた液体生成物は、
図6に示したように、芳香族および非芳香族のいかなる分離もせずに接触改質装置74に向けて送られる。そのような非芳香族は、n−パラフィン、イソパラフィン、オレフィン、およびナフテンを含んでいてよい。本発明による典型的な熱分解変換において、n−パラフィン、オレフィン、およびナフテンの合計は、芳香族を含まない基準で液体生成物の20wt%から60wt%を占める。該改質ステップは、これらの非芳香族化合物の芳香族への直接変換を容易にする。このステップは、オレフィンが芳香族と共に存在するときに、芳香族を純粋なストリームとして他の炭化水素から分離することが困難なので、有用である。それ故、溶媒抽出または抽出蒸留ステップで抽出されたまたは分離されたいかなる芳香族も、典型的には、オレフィンで汚染される。n−パラフィン、オレフィン、およびナフテンは、触媒的改質により容易に芳香族に変換され得る。
【0088】
該改質は、従来の改質技法を使用して実施することができる。該改質プロセスは、触媒の固定床または移動床を利用することができる。使用され得る典型的な改質触媒は、アルミナ上のPt、アルミナ上のPt−Re、アルミナ上のPt−Sn、アルミナ上のNi、および、それらの芳香族化活性のために知られた他のそのような触媒、更には、若干量の分解により芳香族化を増強するゼオライト(ZSM5)とこれらとの任意の組合せを含むことができる。典型的な条件は、370〜700℃の温度および2〜50バール(g)(0.2〜5MPa)の圧力を含む。そのような改質についての非限定的な例は、
図4の分留塔54からのナフサ留分のみを改質にかけて、一方、液体生成物の残余は本明細書において開示した他のプロセスにかけるものである。
【0089】
熱分解変換から生じた液体生成物の大部分は、ガソリン(すなわち、C
5からC
12炭化水素)の範囲内で沸騰し、より少量の液体生成物がC
12の範囲より上で沸騰する。ある実施形態において、C
12+の範囲を超えて沸騰する液体生成物は、より低い沸点を有するものから分離されて、熱分解ユニットに戻され再循環され得る。C
5からC
12の範囲(すなわち、ナフサ)内の液体生成物は、次に触媒的ナフサ改質装置に向けて送ることができる。
【0090】
ある実施形態において、熱分解反応器ユニットは、改質ステップのために使用することができる。熱分解ユニットは、操業条件および触媒の異なった設定で、熱分解の液体生成物を改質して芳香族のより高い収率を提供することができる。
【0091】
改質装置で芳香族に変換されなかった非芳香族の液体生成物の残余は、イソパラフィンで構成され得る。イソパラフィンは、改質ステップであまり変換されやすくない。イソパラフィンは、改質プロセスでパラフィンの急速な異性化により形成され得る。改質中に起こる種々の反応は、パラフィンのイソパラフィンへの異性化、パラフィンの芳香族への脱水素環化、ナフテンの芳香族への脱水素異性化および脱水素化、水素化分解、コークス形成およびオレフィンの飽和である。イソパラフィンは、改質ステップで変換されない場合があるので、改質装置74からの産出物は、
図6に示したように、分離器76に通すことができて、そこで、液体芳香族分離生成物78は、液体非芳香族分離生成物80から分離される。分離器76は、芳香族を非芳香族炭化水素から分離または抽出するのに適した、
図5の分離器62について前に記載したような任意の系であってよい。非芳香族分離生成物80は、次に
図4の熱分解ユニット52のような熱分解ユニットに再循環されるかまたは供給され得る。これは、イソパラフィンのオレフィンおよび芳香族、ならびにより低級のイソパラフィンへの変換を容易にする。
【0092】
図7に、熱分解変換から生ずる液体生成物からの軽オレフィンガスおよび芳香族を増大させるためのさらに別の実施形態を示す。ここで、
図4の液体生成物60または分留塔54からの液体生成物などの液体生成物が、水素化処理ユニット82に通され、そこで液体生成物は水素で飽和される。水素化処理ユニットは不飽和オレフィンおよびナフテン分子を水素化してそれらを飽和させてそれぞれのパラフィンにする。そのような化合物の水素化はそれらをより分解可能にして、液体生成物のオレフィン含有率を減少させ、その結果、非芳香族が芳香族からより容易に分離され得る。水素化処理された液体生成物84は、次に、
図5の分離器62について前に記載したように、非芳香族炭化水素から芳香族を分離または抽出するのに適した任意の系であってよい分離器86に向けて送られ、そこで、液体芳香族分離生成物88が液体非芳香族分離生成物90から分離され得る。水素化処理の程度は、オレフィンの飽和およびナフテンの開環飽和(比較的低い過酷度)から芳香族の開環およびパラフィンの分解を含む水素化分解まで変化され得る。操業の過酷度に依存して、分離器86からの抽出された芳香族は変化し得る。非芳香族液体が分離生成物90は、次に
図4の反応器52または他の反応器などの熱分解反応器に再循環され得る。
【0093】
図8に、熱分解変換から生じた液体生成物からの軽オレフィンガスおよび芳香族を増大させるためのさらに別の実施形態を示す。ここで、
図4の液体生成物60または分留塔54からの液体生成物などの液体生成物は、第2の熱分解ユニット92に送られて、この後者の熱分解ユニット92から生じた液体生成物94は、分離器96で芳香族98および非芳香族100に分離される。非芳香族100は、再循環ストリーム102として
図4のユニット52または熱分解ユニット92などの熱分解ユニットに戻されて再循環することができる。非芳香族生成物は、水素化処理装置104などで水素化処理することもできる。水素化処理生成物106の全てまたは一部分は、再循環ストリーム108で熱分解ユニット52(
図4)または熱分解ユニット92に再循環することができる。水素化処理生成物106の全てまたは一部分も、分離器110に向けて送られ、そこで該生成物は、芳香族112および非芳香族114に分離され得る。非芳香族114は、それらを熱分解ユニット52(
図4)または熱分解ユニット92に戻して再循環することによりさらに処理することができる。
【0094】
軽オレフィンガスおよび芳香族を増大させるための熱分解ユニットの下流における上記の処理技法の任意の1つまたは組合せは、軽ガスオレフィンおよび芳香族生産を増大させるために使用され得る。
【0095】
本発明により製造された軽ガスオレフィンおよび芳香族生成物は、種々のプロセスで使用することができる。例えば形成された軽ガスオレフィン(エチレン、プロピレンおよびブテン)は重合で使用でき、芳香族は誘導体のための構築ブロックとして使用できまたは特別の用途などで使用でき、飽和したガスは、軽ガスオレフィンにさらに分解でき、またはスチームナフサクラッカーのようなプロセスのための燃料として炉で燃焼させる使用のための燃料ガス(H
2、メタンおよびエタン)および液化石油ガス(LPG)(C
3〜C
4)プールに向けることができ、または熱分解もしくは任意の他のプロセスにおいて燃料として使用できる。形成されたコークスは、熱分解プロセスのために必要な熱の必要量を供給するエネルギー供給源として使用することができる。熱分解プロセスの熱収支におけるいかなる不足も、重質(望ましくない生成物)もしくは分解生成物を反応器(追加のコークスを作製する)に注入することにより、または重質生成物を再生装置で燃料として燃焼させることにより、いかなる他の補助燃料も使用せずに克服できる。分解された液体生成物は、芳香族に富み、したがって、分解にかけられたときに、再び触媒上にコークスの堆積を生じ得る。
【0096】
まとめると、供給原料、好ましくは、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、天然および合成ゴム、タイヤ、充填されたポリマー、複合体、プラスチックアロイ、溶媒に溶解したプラスチック、バイオマス、バイオオイル、および石油油分の少なくとも1種からのオレフィンおよび芳香族化合物を製造する方法は、炭化水素供給原料および触媒組成物(好ましくは、供給原料および触媒組成物は、反応器に6以上の触媒対供給原料の比で導入される)を、反応器(好ましくは、反応器は、流動床反応器、バブリング床反応器、スラリー反応器、ロータリーキルン反応器、および充填床反応器の少なくとも1つである)内に、420℃から730℃の反応器温度、好ましくは570℃から680℃の反応器温度にある反応器の少なくとも一部分内に導入することを含む。触媒組成物は流動接触分解(FCC)触媒およびZSM−5ゼオライト触媒を含み、好ましくは、該FCC触媒は、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト、フォージャサイト、ナノ結晶性ゼオライト、MCMメソ多孔質材料、SBA−15、シリコアルミノホスフェート、ガロホスフェート、およびチタノホスフェートの少なくとも1種で構成され、より好ましくは、該触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒の量は、FCC触媒とZSM−5ゼオライト触媒の合計重量の10wt%から50wt%を占め、最も好ましくは、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒の量は、FCC触媒とZSM−5ゼオライト触媒の合計重量の30wt%から45wt%を占める。供給原料の少なくとも一部分を反応器内でオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1種の生成物に変換すること可能であり、その生成物の少なくとも一部は、液体生成物のストリーム中に含有される。液体生成物のストリームの少なくとも一部分は、以下の(A)から(E)の1つ以上に向けて送られ、ここで、(A)は接触改質装置であり、芳香族を製造して芳香族化合物および非芳香族化合物を含有する改質生成物を形成し、改質生成物を分離ユニットに向けて送り、改質生成物の少なくとも一部分から、芳香族に富む分離生成物および非芳香族に富む分離生成物を提供して、非芳香族に富む生成物を反応器に再循環するために適当な条件下にある;(B)は分離ユニットであり、芳香族に富む分離生成物および非芳香族に富む分離生成物を提供して、非芳香族に富む分離生成物の少なくとも一部分を反応器に向けて送る;(C)は水素化処理ユニットであり、水素化処理して水素化処理生成物を提供し、水素化処理生成物の少なくとも一部分を、反応器に再循環するために適当な条件下にある;(D)は分離ユニットであり、芳香族に富む分離生成物および非芳香族に富む分離生成物を提供し、非芳香族に富む分離生成物の少なくとも一部分を、供給原料として、水素化処理のために適当な条件下にある水素化処理ユニットに向けて送り、水素化処理生成物を提供して、水素化処理生成物の少なくとも一部分を反応器に再循環する;ならびに(E)は熱分解反応器であり、液体およびガスの熱分解生成物ストリームを提供し、その液体生成物は、芳香族に富む生成物と非芳香族に富む生成物に分離され、非芳香族に富む生成物は反応器に戻されて、再循環される前に水素化処理されるかまたは処理されずに再循環される。ここで、好ましくは、反応器は、1)反応の開始からの時間間隔が3分以下にて、420℃から730℃の時間間隔平均触媒床温度;2)供給原料および触媒組成物が導入される少なくとも1つの導入口から0.3L以下(Lは反応器流路の長さである)にある少なくとも1つの場所において、420℃から730℃の反応器中の温度;ならびに3)供給原料および触媒組成物が導入される少なくとも1つの導入口から0.3L以下および/またはそこから0.3L以上(Lは反応器流路の長さである)の2つ以上の場所において加重平均して、420℃から730℃の反応器中の加重平均された触媒床温度の少なくとも1つを有し、その結果、軽ガスオレフィンおよび芳香族の増大した収率をもたらすことができる。好ましくは、液体生成物のストリームの少なくとも一部分は(A)に向けて送られ、および/または液体生成物のストリームの少なくとも一部分は(B)に向けて送られ、および/または液体生成物のストリームの少なくとも一部分は(C)に向けて送られ、および/または液体生成物のストリームの少なくとも一部分は(D)に向けて送られ、および/または液体生成物のストリームの少なくとも一部分は(E)に向けて送られる。
【0097】
別の実施形態において、供給原料のプラスチックからオレフィンおよび芳香族化合物を製造する方法は、供給原料のプラスチックおよび触媒組成物を反応器内に導入することを(好ましくは)含む。該反応器は、1)反応の開始からの時間間隔が3分以下にて、420℃から730℃の時間間隔平均触媒床温度;2)供給原料のプラスチックおよび触媒組成物が導入される少なくとも1つの導入口から0.3L以下(Lは反応器流路の長さである)にある少なくとも1つの場所において、420℃から730℃の反応器中の温度;ならびに3)供給原料のプラスチックおよび触媒組成物が導入される少なくとも1つの導入口から0.3L以下および/またはそこから0.3L以上(Lは反応器流路の長さである)の2つ以上の場所において加重平均して、420℃から730℃の反応器中の加重平均された触媒床温度の少なくとも1つを有し、その結果、連続式流通反応器のために軽ガスオレフィンおよび芳香族の増大した収率をもたらすことができる。触媒組成物は、流動接触分解(FCC)触媒およびZSM−5ゼオライト触媒を含み、ZSM−5ゼオライト触媒の量は、FCC触媒とZSM−5ゼオライト触媒の合計重量の10wt%から50wt%を占め、好ましくは、FCC触媒は、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト、フォージャサイト、ナノ結晶性ゼオライト、MCMメソ多孔質材料、SBA−15、シリコアルミノホスフェート、ガロホスフェート、およびチタノホスフェートの少なくとも1種で構成され、より好ましくは触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒の量はFCC触媒とZSM−5ゼオライト触媒の合計重量の30wt%から45wt%を占める。供給原料のプラスチックの少なくとも一部分は、反応器内でオレフィンおよび芳香族化合物の少なくとも1種の生成物に変換されることが可能であり、生成物の少なくとも一部は液体生成物のストリーム中に含有され;ならびに液体生成物のストリームの少なくとも一部分が、以下の(A)〜(E)の1つ以上に向けて送られ、ここで、(A)は接触改質装置であり、芳香族を製造して芳香族化合物および非芳香族化合物を含有する改質生成物を形成し、改質生成物を分離ユニットに向けて送り、改質生成物の少なくとも一部分から、芳香族に富む分離生成物および非芳香族に富む分離生成物を提供して、非芳香族に富む生成物を反応器に再循環するために適当な条件下にある;(B)は分離ユニットであり、芳香族に富む分離生成物および非芳香族に富む分離生成物を提供して、非芳香族に富む分離生成物の少なくとも一部分を反応器に向けて送る;(C)は水素化処理ユニットであり、水素化処理して水素化処理生成物を提供し、水素化処理生成物の少なくとも一部分を、反応器に再循環するために適当な条件下にある;(D)は分離ユニットであり、芳香族に富む分離生成物および非芳香族に富む分離生成物を提供し、該非芳香族に富む分離生成物の少なくとも一部分を供給原料として、水素化処理のために適当な条件下にある水素化処理ユニットに向けて送り、水素化処理生成物を提供して、該水素化処理生成物の少なくとも一部分を反応器に再循環する;ならびに(E)は熱分解反応器であり、液体およびガスの熱分解生成物ストリームを提供し、その液体生成物は、芳香族に富む生成物と非芳香族に富む生成物に分離され、該非芳香族に富む生成物は反応器に戻されて、再循環される前に水素化処理されるかまたは処理されずに再循環される。ここで、好ましくは、液体生成物のストリームの少なくとも一部分は(A)に向けて送られ、および/または液体生成物のストリームの少なくとも一部分は(B)に向けて送られ、および/または液体生成物のストリームの少なくとも一部分は(C)に向けて送られ、および/または液体生成物のストリームの少なくとも一部分は(D)に向けて送られ、および/または液体生成物のストリームの少なくとも一部分は、(E)に向けて送られる。
【0098】
以下の実施例は本発明のさらなる例示に役立つ。
【実施例】
【0099】
下に提示する実施例の各々において、783mmの長さおよび15mmの内径を有するin−situ流動床の実験室的管状反応器を使用した。該反応器は各帯域について独立の温度制御を有するスプリット3帯域管状炉に納められた。各帯域のサイズは236.2mmであった。炉の内側に置かれた反応器における全体の加熱される長さは591mmであった。反応器壁温度は、各帯域の中心で測定されて各炉帯域の加熱を制御するために使用された。反応器は円錐形の底を有し、反応器床温度はサーモウェルの内側に納められて円錐形の底の尖端で反応器の内側に置かれた熱電対を使用して測定された。反応器壁温度も、反応器の底部が確実に加熱されるように円錐形の底で測定された。反応器底は、炉端末キャップの熱損失の効果を最小にして、測定される内部床との温度差が20℃以内になるよう反応器底壁温度を保つために、炉底帯域の中央に置かれた。1分平均反応温度は、式(1)T
I=1/Nx(T
1+…+T
N−3+T
N−2+T
N−1+T
N)(式中、Nは温度測定例の数である)を使用することにより決定された。温度は、供給原料および触媒混合物の充填後の時間t=0、10、20、40および60秒で測定して、これらを算術平均して(等しい重みを割り当てることにより)、
図9〜28で使用された1分平均反応温度を求めた。
【0100】
供給原料のプラスチックは、200ミクロンのプラスチック粉末の形態にあった。FCC触媒は、操業中の精油所から得た使用済みFCC触媒であった。使用したFCC使用済み触媒は、その上に0.23wt%のコークスが残留していた。使用したZSM−5ゼオライト触媒は、市販のZSM−5ゼオライト触媒であった。供給原料のプラスチックを触媒とカップ中で振り混ぜて、それから反応器中に供給した。供給原料のプラスチックは、下表2に示す組成を有した。
【0101】
【表2】
【0102】
反応器から出た変換生成物は集められて凝縮器中で凝縮した。凝縮しなかった生成物はガス収集容器に集めてガス組成を精油所ガス分析器(M/s AC Analyticals B.V.、オランダ)を使用して分析した。液体生成物は、それらの沸点分布について模擬蒸留GC(M/s AC Analyticals B.V.、オランダ)を使用して特徴づけした。それに加えて、詳細な炭化水素分析(C13炭化水素まで)をDHA分析器(M/s AC Analyticals B.V.、オランダ)を使用して実施した。触媒上に堆積したコークスを、IRに基づくCOおよびCO
2分析器を使用して定量した。物質収支は、ガス、液体およびコークスの収率を合計して測定した。個々の生成物の収率は、規格化された生成物基準で測定し報告した。
【0103】
[実施例1]
供給原料のプラスチックならびに0wt%、25wt%、37.5wt%および100wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される種々の触媒組成物を、熱分解変換で使用した。反応器は反応開始時に670℃の反応温度で操業した。得られた1分平均床温度を下の表3Aおよび3Bに示す。使用された流動化N
2ガス流速は175Ncc/分であった。使用された触媒/供給原料(C/F)比は約6であり、充填された供給原料のプラスチックは1.5gの表2に示した組成物であった。芳香族および液体イソパラフィン生成物の全体としての収率ならびに240℃未満で沸騰する液体生成物中の芳香族および液体イソパラフィンの含有率を、ZSM−5ゼオライト触媒含有率の関数として測定して、
図9Aおよび9Bにそれぞれ示した。これらの図でわかるように、液体イソパラフィン生成物の収率および液体生成物中のイソパラフィン含有率は、触媒組成物中のZSM−5ゼオライト触媒含有率が増大すると減少する。液体生成物中の芳香族は、一般的にZSM−5触媒含有率と共に増加する。
【0104】
【表3A】
【0105】
【表3B】
【0106】
[実施例2]
供給原料のプラスチックおよび37.5wt%のZSM−5触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される触媒組成物を、熱分解変換において種々の1分平均反応器床温度で使用した。反応開始時における反応温度を600〜700℃で変化させた。得られた1分平均床温度を下の表4Aおよび4Bに示す。C/F比6および表2で特定した組成を有する供給原料のプラスチック1.5gを使用した。使用された流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。芳香族および液体イソパラフィン生成物の全体の収率ならびに芳香族および240℃未満で沸騰する液体生成物中の液体イソパラフィン含有率を1分平均反応器床温度の関数として測定し、
図10Aおよび10Bにそれぞれ示した。これら図でわかるように、イソパラフィン生成物の収率および液体生成物中のイソパラフィン含有率は、1分平均反応器床温度における変化と共に僅かに変化したに過ぎない。しかしながら、液体生成物中の芳香族含有率は、一般的に、1分平均反応器床温度が上昇すると増大した。
【0107】
【表4A】
【0108】
【表4B】
【0109】
[実施例3]
1.5gの供給原料のプラスチックならびに0wt%、25wt%、37.5wt%および100wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される9gの異なった触媒組成物を、熱分解変換において使用した。反応器を反応開始時に670℃の反応温度を提供するように操業した。得られた1分平均床温度を表5に示す。C/F比は6であった。使用された流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。ブテンの収率を定量して異性化指数を測定した。ここで、異性化指数=(1−ブテン収率)/(イソブチレン収率+cis−2−ブテン収率+trans−2−ブテン収率)。より低い異性化指数は、分岐炭素鎖の形成が直鎖分子と比較して多いことを示す。異性化指数を、触媒組成物のZSM−5触媒含有率の関数として
図11に示す。
図11に示したように、ZSM−5ゼオライト触媒含有率における増大と共にブテンに対する異性化指数は低下し、それは1−ブテンの収率の低下を反映する。
【0110】
【表5】
【0111】
[実施例4]
1.5gの供給原料のプラスチックならびに37.5wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される触媒組成物を、熱分解変換において種々の1分平均反応器床温度で使用した。反応開始時における反応温度を600〜700℃で変化させた。得られた1分平均床温度を表6に示す。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。異性化指数を、1分平均反応温度の関数として
図12に示す。異性化指数は1分平均反応温度の上昇と共に増大する。
【0112】
【表6】
【0113】
[実施例5]
1.5gの供給原料のプラスチックならびに37.5wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される触媒組成物を、熱分解変換において種々の1分平均反応器床温度で使用した(表7)。反応開始時における反応温度を600〜700℃で変化させた。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。全オレフィンの収率(ガスおよび液体の両方)を定量して、1分平均反応器床温度の関数として
図13に示す。
図13に示すように、1分平均反応器床温度の上昇と共にオレフィン収率は増加する。240℃未満で沸騰する液体オレフィンの収率は、1分平均温度が上昇すると減少し、より低い分子量の分子へのより高い変換率を示す。
【0114】
【表7】
【0115】
[実施例6]
1.5gの供給原料のプラスチックならびに0wt%、25wt%、37.5wt%および100wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される異なった触媒組成物を、熱分解変換で使用した。反応器を反応開始時に670℃の反応温度を提供するように操業した。得られた1分平均反応器床温度を表8に示す。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。全オレフィンの収率(ガスおよび液体の両方)を定量して、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒含有率の関数として
図14に示す。
図14でわかるように、全収率および軽ガスオレフィンの収率は、触媒混合物中約37.5wt%の濃度のZSM−5ゼオライト触媒で増加して高くなる。触媒配合におけるZSM−5ゼオライト触媒がさらに増加すると、これらのオレフィン収率が徐々に低下し始める。液体オレフィンの収率における変化は、触媒混合物中で25〜100wt%の範囲のZSM−5ゼオライト触媒で最小であるが、ガスオレフィンの収率は触媒混合物中25〜37.5wt%のZSM−5ゼオライト触媒含有率から増加を示す。このことは、供給原料の分子の軽オレフィンへの変換が、使用済みFCC触媒とZSM−5ゼオライト触媒の均衡のとれた混合物を使用して最大化されることを示す。
【0116】
【表8】
【0117】
[実施例6]
1.5gの供給原料のプラスチックならびに37.5wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される触媒組成物を、反応器に供給した。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。反応の開始における反応器温度を670℃にして、反応器を、569.6℃の1分平均反応器床温度を提供するように操業した。生成物を集めると、液体生成物収率は全生成物の49.6wt%であった。240℃超で沸騰する液体生成物の収率は、全生成物のwt%として約14.9wt%であり、240℃未満で沸騰する液体生成物の収率は約34.7wt%であった。240℃未満の沸点を有する液体生成物を分析して結果を下表9に示す。
【0118】
【表9】
【0119】
表9から、芳香族の完全な抽出後の液体生成物は、イソパラフィンに富み、ほぼ等量のナフテンおよびオレフィンならびに少量のn−パラフィンを有することがわかる。表9は、本発明による熱分解変換から生じた液体生成物が、熱分解変換の下流で使用される任意のこれらの処理技法によりさらに処理するのに良好な供給原料を提供して、軽ガスオレフィンおよび芳香族の収率を増大させることを示す。240℃超で沸騰する液体生成物の部分も、熱分解変換の下流で使用される任意の開示された処理技法により処理して、軽ガスオレフィンおよび芳香族の収率を増大させることができる。
【0120】
[実施例7]
1.5gの供給原料のプラスチックならびに37.5wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される触媒組成物を熱分解反応で使用した。反応開始時における反応温度を600〜700℃で変化させると、表10に示した1分平均反応床温度における変動を示した。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。軽ガスオレフィン(すなわち、C
2+C
3+C
4)および240℃未満の沸点を有する液体生成物を集めて分析した。
図15は、軽ガスオレフィンおよび芳香族の全生成物の収率のプロットを示す。
図16は、軽ガスオレフィンの収率と液体生成物芳香族の含有率の間の相互関係のプロットである。
図16からわかるように、液体生成物には芳香族が多い。芳香族生成物と軽ガスオレフィンの収率の間に直線的相互関係もある。すなわち、軽ガスオレフィンおよび芳香族の生産に同様な増加があり、それらの両方とも価値のある生成物である。これは、大規模操業において、特定の需要がある軽ガスオレフィンを得るだけでなく、配合におけるZSM−5ゼオライト触媒含有率、1分平均温度空間平均床温度および開示されたその他の条件などの熱分解変換の操業条件を調節することによって、需要に応じて芳香族を製造することも可能であることを意味する。
【0121】
【表10】
【0122】
[実施例8]
1.5gの供給原料のプラスチックおよび37.5wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される触媒組成物を、異なった1分平均反応器床温度を用いる熱分解変換で使用した(表11)。反応開始時における反応温度を600〜700℃で変化させた。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。ベンゼン、トルエン、およびエチルベンゼンの収率を定量して、1分平均反応器床温度の関数として
図17に示した。
図17に示すように、1分平均反応器床温度が上昇するとエチルベンゼンの収率が増加する。ベンゼンおよびトルエンの収率は、約570℃の1分平均反応床に達した後減少した。
【0123】
【表11】
【0124】
[実施例9]
1.5gの供給原料のプラスチック、ならびに、0wt%、25wt%、37.5wt%および100wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される異なった触媒組成物を、熱分解変換で使用した。反応器を、反応開始時における670℃の反応器温度に対応する565〜570℃の1分平均反応床温度(表12)を提供するように操業した。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。ベンゼン、トルエンおよびエチルベンゼンの収率を定量して、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒含有率の関数として
図18に示す。
図18でわかるように、ZSM−5ゼオライト触媒含有率が増加すると、トルエンの収率は増加したが、エチルベンゼンの収率は減少した。ベンゼンの収率は、ZSM−5ゼオライト触媒含有率が変化しても有意に変化することはなかった。
【0125】
【表12】
【0126】
[実施例10]
1.5gの供給原料のプラスチックおよび37.5wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される触媒組成物を、熱分解変換において異なった1分平均反応器床温度で使用した(表13)。反応開始時における反応温度を600〜700℃で変化させた。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。異なったキシレン異性体の収率を定量して、1分平均反応器床温度の関数として
図19に示す。
図19に示すように、全てのキシレン異性体の収率は、1分平均反応器床温度が上昇すると増加した。
【0127】
【表13】
【0128】
[実施例11]
1.5gの供給原料のプラスチック、ならびに触媒組成物ならびに0wt%、25wt%、37.5wt%および100wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される異なった触媒組成物を、熱分解変換で使用した。反応器を、反応開始時における670℃の反応器温度に対応する565〜570℃の1分平均反応床温度を提供するように操業した(表14)。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。キシレン異性体の収率を定量して、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒含有率の関数として
図20に示す。
図20でわかるように、p−キシレンの収率は、触媒混合物中のZSM−5ゼオライト触媒含有率が増加すると増加するが、o−キシレンの収率は、触媒混合物中のZSM−5ゼオライト触媒含有率が増加すると減少し、m−キシレンの収率は、触媒混合物中のZSM−5ゼオライト触媒含有率が25%までは僅かに増加した。
【0129】
【表14】
【0130】
[実施例12]
0.75gの供給原料のプラスチックおよび37.5wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される触媒組成物を、熱分解変換において異なった1分平均反応器床温度で使用した(表15)。反応開始時における反応温度を600〜700℃で変化させた。使用したC/F比を
図21に示す。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。メタンおよびエチレンの収率を定量して、1分平均反応器床温度の関数として
図21に示す。
図21に示すように、1分平均反応器床温度を増加させると、メタンの収率は有意に抑制されたが、エチレンの収率は実質的に増加した。
【0131】
【表15】
【0132】
[実施例13]
1.5gの供給原料のプラスチックおよび37.5wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される触媒組成物を、熱分解変換において異なった1分平均反応器床温度で使用した(表16)。反応開始時における反応温度を600〜700℃で変化させた。使用したC/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。重質の液体生成物(すなわち、370℃超で沸騰する生成物)の収率を1分平均反応器床温度の関数として定量して、
図22に示す。
図22に示すように、約570℃の1分平均反応温度で重質の液体生成物の生成は最小化した。
【0133】
【表16】
【0134】
[実施例14]
1.5gの供給原料のプラスチックおよび37.5wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される触媒組成物を、熱分解変換において異なった1分平均反応器床温度で使用した(表17)。反応開始時における反応温度を600〜700℃で変化させた。使用したC/F比を
図23に示す。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。コークスの収率を定量して、1分平均反応器床温度の関数として
図23に示す。
図23に示すように、コークスの収率は、4から6wt%の領域で変化する。コークスの収率のこのレベルは、大規模の連続流通循環式反応器で必要な熱収支を維持するために、通常必要とされるコークスの収率の範囲である。
【0135】
【表17】
【0136】
[実施例15]
0.75gの供給原料のプラスチック、ならびに触媒組成物ならびに0wt%、25wt%、37.5wt%および100wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される異なった触媒組成物を、熱分解変換で使用した(表18)。反応器を、反応開始時の反応器温度が670℃になるように操業した。C/F比は9であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。コークスの収率を定量して、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒含有率の関数として
図24に示す。
図24でわかるように、コークスの収率は、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒含有率が増加すると一般的に減少する。ZSM−5ゼオライト触媒含有率が、実施例5におけるように、オレフィンの最大変換率にも対応する37.5wt%であったとき、コークスの収率もより高かった。ZSM−5ゼオライト含有率が高くなると、コークスの収率は低くなり、それは減少した変換率と関連づけることができる。
【0137】
【表18】
【0138】
[実施例16]
1.5gの供給原料のプラスチック、ならびに触媒組成物、0wt%、25wt%、37.5wt%および100wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される異なった触媒組成物を、熱分解変換で使用した。反応器を、反応開始時における670℃の反応温度に対応する565〜570℃の1分平均温度を提供するように操業した(表19)。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175℃c/分であった。C
3+C
4アルカンの収率をC
3オレフィンの収率によって除した比として定義される水素移動指数を測定して、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒含有率の関数として
図25に示す。水素移動指数が低いほど、オレフィン生成物が多く製造される。
図25でわかるように、水素移動指数は、触媒組成物中のZSM−5ゼオライト触媒含有率が増加するにつれて増大する。
【0139】
【表19】
【0140】
[実施例17]
1.5gの供給原料のプラスチックならびに37.5wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される触媒組成物を、熱分解変換において異なった1分平均反応器床温度で使用した(表20)。反応開始時における反応温度を600〜700℃で変化させた。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。水素移動指数を測定して、1分平均反応器床温度の関数として
図26に示す。
図26に示すように、水素移動指数は、1分平均反応温度が上昇すると低下した。
【0141】
【表20】
【0142】
[実施例18]
1.5gの供給原料のプラスチック、ならびに触媒組成物ならびに0wt%、25wt%、37.5wt%および100wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される異なった触媒組成物を、熱分解変換で使用した。反応器を、反応開始時における670℃の反応温度に対応する565〜570℃の1分平均温度(表21)を提供するように操業した。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。熱分解反応から生じたガス状生成物のオレフィン含有率を定量して、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒含有率の関数として
図27に示す。
図27でわかるように、触媒組成物のZSM−5ゼオライト触媒含有率が25wt%から40wt%であったときに、ガス状生成物の最大オレフィン含有率が得られた。
【0143】
【表21】
【0144】
[実施例19]
1.5gの供給原料のプラスチックならびに37.5wt%のZSM−5ゼオライト触媒と残余の使用済みFCC触媒とで構成される触媒組成物を、熱分解変換において異なった1分平均反応器床温度で使用した(表22)。反応開始時における反応温度を600〜700℃で変化させた。C/F比は6であった。使用した流動化N
2ガスの流速は175Ncc/分であった。熱分解反応から生じたガス状生成物のオレフィン含有率を定量して1分平均反応器床温度の関数として
図28に示した。
図28に示したように、ガス状生成物のオレフィン含有率は、1分平均反応器床温度が上昇するにつれて直線的に増加した。
【0145】
【表22】
【0146】
本発明をその幾つかの形態についてのみ示したが、本発明はそれらに限定されず、本発明の範囲から逸脱せずに種々の変化および変形が可能であることは当業者には明らかであるはずである。したがって、添付の特許請求の範囲は広くおよび本発明の範囲と矛盾しない様式で解釈されることが適切である。