(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562852
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】キャスターの取付構造
(51)【国際特許分類】
B60B 33/00 20060101AFI20190808BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
B60B33/00 504B
B62B5/00 K
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-30396(P2016-30396)
(22)【出願日】2016年2月19日
(65)【公開番号】特開2017-144981(P2017-144981A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】304001453
【氏名又は名称】天昇電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071320
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 敏郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126756
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵
(72)【発明者】
【氏名】結城 和久
【審査官】
鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−229482(JP,A)
【文献】
特開2010−264851(JP,A)
【文献】
特開平9−150601(JP,A)
【文献】
特開2010−6202(JP,A)
【文献】
特開2008−120282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四壁面で囲包され、かつ下部が開口し、キャスターの台板周縁部が緊密に収容されるキャスター収容枠構造部と、
前記キャスター収容枠構造部の内部に形成された少なくとも2個のリブ部材と、
前記キャスター収容枠構造部の一壁面の両端から該一壁面に対して直角な壁面にかけて前記キャスター収容枠構造部の開口縁角部に形成された抜止め部と、
前記キャスター収容枠構造部の前記一壁面に対向した壁面に形成された弾性変位可能な係止爪と、
を有し、前記リブ部材の下縁部は前記キャスター収容枠構造部の前記一壁面に隣接した部位で該一壁面に向って部分的に欠如されており、前記キャスターの台板の上面が前記リブ部材の前記下縁部に接当した状態で前記台板の下面が前記抜止め部の内面に接当するとともに前記係止爪に係止されていることを特徴とするキャスターの取付構造。
【請求項2】
前記キャスター収容枠構造部の四壁部は天板で閉塞されていることを特徴とする請求項1に記載したキャスターの取付構造。
【請求項3】
前記係止爪は前記キャスター収容枠構造部の壁面に形成された一対の溝部によって弾性変位可能となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載したキャスターの取付構造。
【請求項4】
前記キャスター収容枠構造部はキャスター取付け対象物の下面に装着されてることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載したキャスターの取付構造。
【請求項5】
前記キャスター収容枠構造部はキャスター取付け対象物の下面と一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載したキャスターの取付構造。
【請求項6】
キャスター取付け対象物は台車であり、キャスター収容枠構造部は台車の荷台の下面に配設されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載したキャスターの取付構造。
【請求項7】
キャスター取付け対象物は室内装置品であり、キャスター収容枠構造部は室内装置品の下面に配設されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載したキャスターの取付構造。
【請求項8】
キャスター取付け対象物は屋外装置品であり、キャスター収容枠構造部は屋外装置品の下面に配設されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載したキャスターの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車や搬送パレットその他室内装置品の底部に取り付けられるキャスターの取付構造、特に、取り付けのための工具や取付ボルト等を全く必要とせず、ワンタッチで簡単に取付け、取外しができるキャスターの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に台車の底部に設けられるキャスターは継続使用中に車輪が磨耗したり毀損したりすることがあり、そのような場合にはキャスターのみを取り替えるのが普通である。従来はキャスターの上板をボルト等によって台車本体の台板に取り付ける構造となっており、取り替えの際はドライバーやスパナ等の工具を用いてキャスターを交換するのが一般的であったが、このキャスターの取り付けをボルト等を用いずにキャスターの上板と台車の台板との間に形成した係止爪等を用いてキャスターを台車に取り付ける構造のものが開発されている。
【0003】
例えば特許文献1に示される台車では、キャスターの取付け位置で台車の台板にキャスターの上板の片端を挟み込むための隙間部分を形成し、このキャスター上板の前記片端と反対側の台板部位にメイン係止部品を係止し、前記メイン係止部品に対して挿抜可能なサブ係止部品によってキャスターの上板を台車の台板に固定する構造としている。この場合、前記メイン係止部品には前記サブ係止部品を挿入するスリットを形成し、キャスターの上板を台車の台板下面に沿ってスライドさせてその片端を前記台板の前記隙間部分に挿入した後、前記サブ係止部品を前記メイン係止部品の前記スリットに挿入して台車の台板下面と前記サブ係止部品の上面との間にキャスターの上板の他方の片端を挟み込んで固定するという構造をとっている。前記キャスターの取り外しに際しては、まず前記サブ係止部品を前記メイン係止部品から抜き取り、前記キャスターの上板を前記メイン係止部品側へスライドさせて台車の台板の前記隙間部分から前記キャスターの上板を離脱させるようにしている。
【0004】
また他の例として、特許文献2では台車の台板に相当する荷台ブロックの下面にキャスターの固定プレート(キャスター上板)の片端下面を係止する段差部(保持部)を形成するとともに、キャスターの前記固定プレートの他方の片端に対応した部位の荷台ブロック下面に弾性変位可能な鉤状の係止爪を形成し、さらに、前記係止爪の背側に該係止爪の弾性偏倚を阻止するストッパ部材を挿抜可能に設けた構成としている。キャスターは荷台ブロックの前記段差部と前記弾性係止爪とによって荷台ブロックに固定され、キャスターの取り外し時には、前記ストッパ部材を荷台ブロックの下面から抜き取ることで前記弾性係止爪をキャスターの前記固定プレートから外れるように偏倚させる(同文献2の
図3(B))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−6202号公報
【特許文献2】特開2008−120282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
屋外で使用する台車は、積荷の重量や路面の状況により、台車下面のキャスターに大きな荷重や振動、衝撃が加わるため毀損することが多く、毀損したキャスターを交換することが必要となる。この場合、従来のボルト締めやビス止め等によるキャスターの取り付けでは、ボルト部分の錆付きや緩み等でボルトやビスが脱落するおそれがあり、またボルト締めやビス止めではスパナやドライバ等の工具が必要となり、さらにキャスター交換作業に際して台車の底部を上向きにして作業を行わなければならないなど、多大な労力、手間がかかっていた。
【0007】
特許文献1,2に記載のものは、いずれもキャスターの取り付けにボルト等を用いずに行えるようにしたものであるが、キャスターの取り付けに専用の部品を脱着可能に付加した構造であり、取り付け作業の労力やコストの点で充分とはいえない。特に特許文献1の構造では、メイン係止部品とこのメイン係止部品に対して挿抜するサブ係止部品が別途に必要であり、また、キャスターの取り外しの際に前記メイン係止部品と前記サブ係止部品との係合を解くための抜取り用工具が必要となり、ワンタッチで簡単にキャスターの着脱を行うことはできない。
【0008】
また、特許文献2の台車構造では、キャスターを台車から取り外すときに係止爪を固定しているストッパ部材を下方へ抜き取る必要があり、この抜き取りの作業に労力を要し、台車自体を上下反転させた状態で行わなければならないといった不便がある。また長期使用中に前記ストッパ部材がその収容凹部に固着してしまうおそれもあり、また、特許文献1と同様に片手で簡単にキャスターの着脱を行うことができないという問題があった。
【0009】
本発明は、キャスターの取り付け、取り外しのために工具類は全く必要とせず、またキャスターの取付け部に挿抜する追加部品も不要であり、作業者の片手でかつワンタッチに近い操作で簡単にキャスターの取り付け、取り外しができるキャスターの取付構造を提供することを目的とする。
【0010】
本発明はまた、簡単で低コストの構造でありながら、例えばトン単位の積載荷重にも充分耐え得る強度を有し、さらにキャスターの取付け対象物を路面あるいは床面に設置した状態の狭い箇所でも簡単にキャスターの着脱ができるキャスターの取付構造を提供することを目的とする。
【0011】
本発明はまた、全体を合成樹脂材の成形加工で容易に製作できるキャスターの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るキャスターの取付構造は、四壁面で囲包され、かつ下部が開口し、キャスターの台板周縁部が緊密に収容されるキャスター収容枠構造部と、前記キャスター収容枠構造部の内部に形成された少なくとも2個のリブ部材と、前記キャスター収容枠構造部材の一壁面の両端から該一壁面に対して直角な壁面にかけて前記キャスター収容枠構造部の開口縁角部に形成された抜止め部と、前記キャスター収容枠構造部の前記一壁面に対向した壁面に形成された弾性変位可能な係止爪とを有し、前記リブ部材の下縁部は前記キャスター収容枠構造部の前記一壁面に隣接した部位で該一壁面に向って部分的に欠如されており、前記キャスターの台板の上面が前記リブ部材の前記下縁部に接当した状態で前記台板の下面が前記抜止め部の内面に接当するとともに前記係止爪に係止されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のひとつの形態によれば、前記キャスター収容枠構造部の四壁部は天板で閉塞されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の他の形態によれば、前記係止爪は前記キャスター収容枠構造部の前記壁面に形成された一対の溝部によって弾性変位可能となっていることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の形態によれば、前記キャスター収容枠構造部はキャスター取付け対象物の下面に装着されてることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の形態によれば、前記キャスター収容枠構造部はキャスター取付け対象物の下面と一体に形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の他の形態によれば、キャスター取付け対象物は台車であり、キャスター収容枠構造部は台車の荷台の下面に配設されてなることを特徴とする。
【0018】
本発明の他の形態によれば、キャスター取付け対象物は室内装置品であり、キャスター収容枠構造部は室内装置品の下面に配設されてなることを特徴とする。
【0019】
本発明の他の形態によれば、キャスター取付け対象物は屋外装置品であり、キャスター収容枠構造部は屋外装置品の下面に配設されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、キャスターの取り付け、取り外しのために工具類は全く必要とせず、またキャスターの取付け部に挿抜する追加部品も不要であり、作業者の片手でかつワンタッチに近い操作で簡単にキャスターの取り付け、取り外しができる。また、簡単で低コストの構造でありながら、充分な強度を有したキャスターの取付構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一つの実施の形態に係るキャスターの取付構造の底面側からみた斜視図である。
【
図2】
図1に示すキャスターの取付構造の底面図である。
【
図3】
図1に示すキャスターの取付構造の上面図である。
【
図6】本発明に適用される台板付きキャスターの底面図である。
【
図7】本発明の一つの実施の形態に係るキャスターの取付構造にキャスターを取り付ける途中の状態を示した断面図である。
【
図8】
図7に示す状態からキャスターの取付構造にキャスターを取り付けたときの断面図である。
【
図9】本発明の他の実施例に係るキャスターの取付構造の底面側からみた斜視図である。
【
図10】
図9の実施例に示すキャスターの取付構造の底面図である。
【
図12】本発明の一つの実施の形態に係るキャスターの取付構造を台車の荷台下面に設けた状態の底面図である。
【
図14】
図12に示す台車のキャスターの取付構造にキャスターを取り付けた状態の斜視図である。
【
図15】本発明の他の実施の形態に係るキャスターの取付構造を台車の荷台下面に設けた状態の斜視図である。
【
図16】
図15に示すのキャスターの取付構造部にキャスターを取り付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を、図面を参照しつつ、実施例について説明する。
まず、本発明に係るキャスターの取付構造に適用されるキャスターの一例を説明する。
図6に例示されるように、このキャスター30は車輪31がブラケット32に回転自在に軸支され、ブラケット32はその上部が例えばスラスト軸受を介して矩形状台板33の下面に、該台板に対して垂直な軸線まわりに旋回可能に支持されている。本発明では、キャスター30の台板33の部分がキャスターの取付構造に取り付けられる。
図1〜
図5を参照すれば、この実施例におけるキャスターの取付構造10は、キャスター取付け対象物である台車の荷台下面に固着或いは二台下面の一部を成す箱形のキャスター収容枠構造部1を有している。この箱形収容枠構造部1の下部は開口しており、また上部の長方形天板2(この部分が台車の荷台下面に取り付けられる或いは荷台仮面を成す)と、天板2から垂直に垂下する四壁部3とを有している。各壁部3の内面はキャスター30の長方形台板33の各縁部が緊密に接当する寸法に形成され、また、天板内面には2個のリブ部材5,5が互いに或る間隔を有して垂直に形成されている。各リブ部材5は互いに平行に延在し、かつそのリブ部材両端部が長辺側の対向した二壁部3の内面に連接しており、また各リブ部材5の天板2からの高さは同一であり、かつ壁部3の高さ(天板2から壁部下端までの距離)よりも所定寸法だけ短くなっている。
【0023】
2個のリブ部材5,5の各下縁部6は一方の壁部3の壁面に近い側で該壁面に向って部分的に欠如されている。実施例では、この欠如部分は前記下縁部6に続いて天板2へ向かって傾斜した傾斜縁7で形成されている。この傾斜縁7以外のリブ下縁部6は天板2の板面と平行、つまり台車への取付け状態において水平となるように形成されている。キャスター30の台板33上面は水平なリブ部材下縁部に接当して固定されるが、これについては後に詳記する。なお、この欠如部分は実施例のように傾斜縁に限定されるものではなく、例えばL形または矩形に切除した縁部としてもよい。
【0024】
リブ部材5,5の傾斜縁7に隣接する側の長辺側壁部3の壁面から、該壁面に連接する各短辺側壁部3の壁面にかけての角部位置で、壁部3の下縁部に底面視三角形状の抜止め部8が形成されている。抜止め部8の天板2に対面する内面(抜止め部8の裏面)の位置は、
図5に明示される如く、各リブ部材5の水平な下縁部6の位置よりも低くなるように形成されている。具体的には、抜止め部8の内面はリブ部材5の水平下縁部6の位置よりキャスター30の台板33(
図6)の厚み分だけ低くなっている。つまり、
図5のリブ部材5の下縁部6と抜止め部8の内面との間隔dはキャスター30の台板33の板厚と等しくなっている。なお、この抜止め部8とリブ部材5の下縁部6およびその傾斜縁7との位置的関係についてはさらに後述する。
【0025】
リブ部材5の傾斜縁7が接当した箱形キャスター収容枠構造部1の長辺側壁部3に対向する側の長辺側壁部3には天板2に向って一対の溝部9が形成され、この一対の溝部9に挟まれた壁面部分が溝部9のために前記収容枠構造部1の内外方向にわずかに弾性変位するようになっている。実施例の構造では、一対の溝部9に挟まれた壁部の下縁は、
図4,
図5に示されるように、溝部9に隣接する両側の壁部3の下縁よりも若干下方へ突出しており、かつその先端内面に先細傾斜面11が形成され、この傾斜面11とこれに続く壁部内面との間に段差部12が形成されている。一対の溝部9とその間の壁面の斜面11および段差部12とによって本発明に係る弾性変位可能な係止爪13が構成される。なお、図示実施例の場合、係止爪13の両側の壁部下縁にも若干内側へ傾斜した斜面14が形成されているが、この縁部の斜面14は本発明にとって必ずしも必須のものではない。
【0026】
次に、上記構成になるキャスターの取付構造にキャスター30を取り付ける動作および取り外すときの操作を
図7〜
図8の実施例を参照して説明する。
まず、箱形の収容枠構造部1の天板2が台車の荷台下面に装着されている状態において、
図7のように、キャスター30の台板33の片側長辺部を前記収容枠構造部1のリブ部材5の傾斜縁7に沿って斜めに挿入する。台板33の前記長辺部が傾斜縁7に連接した壁部3内面に接当した状態で、台板33の上面をリブ部材5の水平下縁部6へ近づけていくと、台板33の反対側の長辺部側縁は他方の対向壁部3に形成された係止爪13の先細傾斜面11に接当するので、そのままキャスター30の台板33を収容枠構造部1の内部に押し込む。この台板33の押し込みにより係止爪13は外側へ弾性変位し、台板33の側縁が係止爪13の段差部12に係合した状態で弾性変位した係止爪13は元の位置へ戻るとともに、台板33の上面はリブ部材5の水平下縁部6に接当し、キャスター30の取り付けは完了する。
図8はこのときの状態を示している。
【0027】
キャスター30の台板33をリブ部材5の傾斜縁7に沿って斜めに挿入する際には、台板33の下面はキャスター収容枠構造部1の角部に形成された抜止め部8の裏側へ滑り込む形態となる。この形態を確保するためにリブ部材5の傾斜縁7の傾斜角度、リブ部材5の水平下縁部6と傾斜縁7との連接位置、および抜止め部8の張出し位置が適切に設定されている。また、台板33の下面が係止爪13の段差部12に係合した状態では、台板33の下面は抜止め部8の裏面8a(収容枠構造部1の天板2に対面する抜止め部内面)に接当するとともに、台板上面はリブ部材5の水平下縁部6に接当する。このようにしてキャスター30の台板33は係止爪13の段差部12とリブ部材5の下縁部6と抜止め部裏面8aとによって収容枠構造部1の天板2に対して垂直方向の動きは拘束、固定される。このとき、台板33は水平に保持されるように、台板33の板厚と関連して、段差部12の位置とリブ部材5の下縁部6の高さ位置および抜止め部8の裏面8a位置が設定されている。具体的には、段差部12および抜止め部8の位置はリブ部材5に接当した台板33の厚み分dだけリブ部材5の水平下縁部6より低い位置となるように設定されている。
【0028】
キャスター収容枠構造部1の天板12と平行な方向のキャスター30の固定、つまり横方向の台板33の拘束、固定は、この箱形の収容枠構造部1の4つの壁部3の内壁面とキャスター30の矩形状台板33の側縁との緊密接当によりなされる。
【0029】
天板下面のリブ部材5は、対向した長辺側両壁部3に結合されており、2個のリブ部材5と壁部下端の角部の三角形状の抜止め部8とによって収容枠構造部1は上下、左右および前後方向の外力にも充分な強度が確保される。場合により、リブ部材5を2本以上複数個設けることにより、さらに強度を増加させたキャスター取付構造が得られ、簡潔な構造でありながら例えば台車の積荷が数トンの荷重となる場合でもキャスターの取付構造が破壊したりすることはない。
【0030】
キャスター収容枠構造部1に収容、固定されたキャスター30を取り外す場合は、弾性係止爪13を収容枠構造部1の外側へ偏倚させてキャスター30の台板33を斜め下方へ抜き出し(この状態で台板33の下面は抜止め部8の裏面8aとの接当が外れる)、台板33の縁部を係止爪13の内側傾斜面11に当っている状態でそのまま台板33の板面方向外側へ引き出すことで簡単にキャスター30を取り外すことができる。
【0031】
箱形の収容枠構造部1は合成樹脂材、例えばポリプロピレン、PET、ABS等の硬質樹脂材で一体に成形加工により製作可能である。この場合の成形加工としては、最終の成形製品に型抜き時の孔が残らないようにする傾斜ピン方式による成形、あるいは成形途中で型の一部を交換することで型抜きのときの孔が製品に残るコマ式成型方式による成形等が採用可能である。
【0032】
図9〜
図11は本発明の他の実施例に係るキャスターの取付構造を示したものである。
図9および
図10に明示するように、この実施例では、
図1〜
図5の四壁部3で囲包されるキャスターの台板収容枠構造部よりも広い面積の天板15を有している。天板15の下面には縦、横それぞれ2体のリブ板16,17が格子状に形成され、これらのリブ板16,17で囲まれた中央の部分がキャスター30の台板33を収容する壁枠部分となっている。この壁枠部分の内部に、
図1〜
図5で説明したような片端側が傾斜縁7となった一対のリブ部材5が形成され、壁枠の下端角部に抜止め部8が、また反対側の壁枠の中央部分に係止爪13が形成されている。天板15は台車等のキャスター取付け対象物の下面に固着され、キャスター30の台板33を
図7で説明したようにリブ部材5の下縁部6からその傾斜縁7に沿うように斜めに挿入し、次いで台板33をリブ部材の水平な下縁部6へ向けて押し込むことで、キャスター30(の台板33)は4つの壁枠内面に収容、固定される。
【0033】
キャスター30は上下方向にはリブ部材5の水平な下縁部6と抜止め部8の裏面8aおよび係止爪13の段差部12とによって拘束され、左右、前後の横方向には四壁枠の内面に拘束、固定される。キャスター30の取り外しは係止爪13を外側へ弾性変位させて台板33と係止爪13の段差部12との係合を解き、そのまま台板33を斜め下方へ引き出すことで簡単にキャスター30の取り外しができる。これらの動作も
図1〜
図8で説明した実施例と同様である。
図9〜
図10の実施例では広い天板15に格子状にリブ板16,17が固着されているため、より強度の高いキャスター取付構造となる。
【0034】
図12は、
図9〜
図11のキャスターの取付構造を設けた台車40の荷台下面の平面図であり、この場合は荷台20の下面が直接キャスター収容枠構造部の天板を兼ねるように構成されている。荷台20の平坦な下面20aには、全面にわたって格子状にリブ21が形成され、荷台下面の角部近くの4箇所の部位で格子の一区画となるリブ21がキャスターの台板を収容、固定する部分となっている。この部分の格子区画内に前述したキャスター30の台板33の板面と接当するリブ部材5、抜止め部8および弾性係止爪13が形成されている。
図12においては、明瞭化のため1箇所の格子区画に収容されるキャスターを取り外した状態で図示してある。なお、この実施例ではキャスターの取り付け、取り外しをより容易にするため、キャスターの台板の上面と接当するリブ部材の下端傾斜縁および抜止め部は台車の底面図でみて荷台下面の内側へ向いた位置に形成され、キャスター30の台板33は荷台下面の外側から斜め上向きに格子区画内に差し込まれて取り付けられ、また荷台下面の外側へ向けて斜め下向きに取り外される。この形態により、キャスターの取り付け、取り外しは台車の下面を上向きにすることなく、台車を路面に対面させたままの状態で取付け、取り外しが容易になされる。
図13及び
図14の台車の斜視図に示すように、荷台下面の角部近くの4箇所の部位にキャスター収容枠構造部41を設けて、4箇所にキャスター30を取り付けた構造としている。
【0035】
図15及び第16に示す台車50におけるキャスターの取付構造の例では、荷台下面の角部近くの4箇所の部位にキャスター収容枠構造部51を設け、さらに荷台下面の中央寄りに2箇所のキャスター収容枠構造部51を設けて合計6箇所にキャスター30を取り付けられる構造とした台車である。荷重が重いものを運ぶためにあらかじめキャスター収容枠構造部の全てにキャスター30を取り付けてもよいし、積載荷重に応じて荷台下面の中央寄りに2箇所にキャスターを取り付けてもよく、キャスターの取り付け箇所は任意である。この二つの台車40,50の例代表されるように、キャスター収容枠構造部41、51を配設する数、配設する位置、さらに配設したキャスター収容枠構造部に取り付けるキャスター30の数は任意である。
【0036】
上記の実施例ではキャスターの台板が長方形板の形態である場合について説明したが、本発明は必ずしもキャスター収容枠構造部が平面視長方形の形態に限定されず、キャスターの台板が正方形の台板である場合には、この台板の形状に合せて収容枠構造部の平面形状も正方形の形態に形成される。さらに、本実施例においては2つのリブ部材をキャスター収容枠構造部の短手方向に平行に設けているが、リブ部材5は長手方向に平行に設けたり、リブ同士が直交する方向に設けてもよく、リブの数、リブの向きを問わない。さらに、本実施例においては、1つの係止爪13を収容枠構造部の長手方向の一辺に設けているが、係止爪13を短手方向に設けてもよく、係止爪の数、形成する位置を問わない。尚、キャスター収容枠構造部を一つの箱型の物品として取付け先の物品の下面に設けた凹部に嵌合させる等により装着離脱可能としてもよいし、キャスター収容枠構造部が物品の一部を成すように一体に成形してもよいことは上述したように明らかである。
【0037】
以上の実施例は台車の荷台下面にキャスター取付構造を採用した形態について示したが本発明に係るキャスター収容枠構造は台車だけでなく、例えば搬送用パレット、あるいは大形冷蔵庫や移動式の厨房器機、その他飾り棚や各種載置台等の室内装置品、野外の移動式の広告立て、広告塔などの屋外装置品等種々のキャスター取付け対象物にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1,41,51 キャスター収容枠構造部
2,15 天板
3 壁部
5 リブ部材
6 下縁部
7 傾斜縁
8 抜止め部
9 溝部
10 キャスターの取付構造
11 先細傾斜面
12 段差部
13 係止爪
15,16 リブ板
20 台車の荷台
21 荷台下面のリブ
30 キャスター
33 キャスターの台板
40,50 台車