(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ダンパに作用する負荷が所定の閾値を超えている場合に、前記廃棄物に対して前記破袋処理を施し、前記ダンパに作用する負荷が前記閾値を超えていない場合には前記廃棄物に対して前記破袋処理を施さないように前記破袋装置を制御するコントローラを更に備える、請求項3記載の廃棄物装入装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
1.廃棄物処理装置
図1に示す廃棄物処理装置1は、廃棄物Gを熱エネルギーにより減容化する装置である。廃棄物Gは、例えば一般廃棄物又は産業廃棄物等である。廃棄物処理装置1は、フレキシブルコンベアバッグ等の梱包資材により梱包された廃棄物Gを開梱することなく処理可能である。以下、開梱されていない廃棄物Gを「未開梱の廃棄物G」という。
【0019】
廃棄物処理装置1は、廃棄物処理炉2と、揚重装置3と、廃棄物装入装置4とを備える。廃棄物処理炉2は、廃棄物Gを受け入れ、熱エネルギーにより減容化して排出する。廃棄物処理炉2の具体例としては、焼却炉及び廃棄物溶融炉等が挙げられる。焼却炉は、加熱により廃棄物を燃焼させて減容化する。ガス化溶融炉は、還元雰囲気下で廃棄物中の可燃物を熱分解してガス化し、灰分・不燃物等を溶融する。一例として、廃棄物処理炉2は、廃棄物を上方から受け入れるように構成されている。
【0020】
揚重装置3は、廃棄物処理炉2の近傍に配置されており、廃棄物Gを廃棄物処理炉2よりも上方まで上昇させる。廃棄物Gは、例えばホイルローダ等によって揚重装置3まで搬送される。
【0021】
廃棄物装入装置4は、揚重装置3が上昇させた廃棄物を廃棄物処理炉2内に導く。廃棄物装入装置4は、未開梱の廃棄物Gを受け入れ可能となるように構成されており、少なくとも第一シール弁22と監視装置110とを有する。第一シール弁22は、少なくとも弁本体24と弁ロック機構25とを有する。弁本体24は、廃棄物Gを廃棄物処理炉2内に装入するための経路R1にて下方に開口した装入口21aを下方から開閉する。弁ロック機構25は、油圧式のアクチュエータ34を動力源として弁本体24を閉状態に拘束する。監視装置110は、廃棄物Gが弁本体24上に落下したことをアクチュエータ34の油圧に基づいて検知し、廃棄物Gが弁本体24上に落下した際に第一シール弁22にかかる負荷をアクチュエータ34の油圧に基づいて検出し、当該負荷の大きさと、廃棄物Gが弁本体24上に落下した回数とに基づいて、第一シール弁22の疲労状態に関する指標を導出する。
【0022】
2.廃棄物装入装置
以下、廃棄物装入装置4の具体的な構成例をより詳細に説明する。廃棄物装入装置4は、第一シュート10と、開閉装置20と、第二シュート40と、第三シュート50とを有する。第三シュート50、第二シュート40、開閉装置20及び第一シュート10は、上方から下方に順に連なり、揚重装置3が上昇させた廃棄物Gを廃棄物処理炉2内に装入するための経路R1を構成する。
【0023】
(1)第一シュート
第一シュート10は廃棄物処理炉2の上に設けられており、上方から廃棄物Gを受け入れて廃棄物処理炉2内に導入する。第一シュート10は、第一部分11と第二部分12とを有し、廃棄物処理炉2の上に設けられている。第一部分11は、上下方向に沿った筒状部であり、廃棄物処理炉2内に挿入されている。第一部分11の下端部は、廃棄物処理炉2内において下方に開口している。第二部分12は第一部分11の上に連なっており、上方へ向かうに従って拡がった内部空間を有する。
【0024】
(2)開閉装置
開閉装置20は、第一シュート10の上に設けられており、経路R1を開閉する。開閉装置20は、中継シュート21と、第一シール弁22と、第二シール弁23とを有する。
【0025】
中継シュート21は、上下方向に沿った筒状体であり、その下部は第一シュート10の第二部分12内に挿入されている。中継シュート21の中心軸線CL2は、第一シュート10の第一部分11の中心軸線CL1に比べて揚重装置3側に位置している。中継シュート21の下部は、経路R1にて下方に開口した装入口21aを構成する。中継シュート21の上部は、経路R1にて上方に開口した受入口21bを構成する。
【0026】
第一シール弁22は、弁本体24と、弁ロック機構25とを有する。
【0027】
弁本体24は、装入口21aを下方から開閉する。例えば弁本体24は、装入口21aを覆うように設けられた板状体であり、装入口21aの周囲を通る水平な回転軸線Ax1まわりに回転可能となっている。一例として、回転軸線Ax1は、装入口21aの周囲のうち、第一部分11の中心軸線CL1の逆側(すなわち揚重装置3側)の部分を通っている。以下、弁本体24の基端部とは回転軸線Ax1側の部分を意味し、弁本体24の先端部とは回転軸線Ax1の逆側の部分を意味する。弁本体24は、例えば油圧式のアクチュエータ(不図示)等を動力源として回転軸線Ax1まわりに回転し、略水平となっているときに装入口21aを閉じ、下方に回転して装入口21aを開く。
【0028】
弁ロック機構25は、油圧式のアクチュエータ34を動力源として弁本体24を閉状態に拘束する。例えば弁ロック機構25は、ロック爪31と、アクチュエータ34と、圧力計38とを有する。
【0029】
ロック爪31は、装入口21aを閉じた弁本体24の下に掛かるように設けられており、装入口21aの周囲を通る水平な回転軸線Ax2まわりに回転可能となっている。一例として、ロック爪31は弁本体24の先端部の下に掛かるように設けられている。回転軸線Ax2は、装入口21aの周囲のうち、第一部分11の中心軸線CL1側(すなわち揚重装置3の逆側)の部分を通っており、回転軸線Ax1に対して平行となっている。換言すると、回転軸線Ax2は、回転軸線Ax1との間に装入口21a(経路R1)を挟む位置を通っている。以下、ロック爪31の基端部とは回転軸線Ax2側の部分を意味し、ロック爪31の先端部とは回転軸線Ax2の逆側の部分を意味する。
【0030】
アクチュエータ34は、油圧シリンダ35と、出力軸36と、リンク37とを有する。油圧シリンダ35は、油圧に応じて伸縮する。出力軸36は、回転軸線Ax2まわりに回転可能となっており、ロック爪31の基端部に固定されている。
【0031】
図2に例示するように、ロック爪31は、その基端部に筒状部33を有する。筒状部33は、回転軸線Ax2に沿っており、出力軸36に嵌合している。筒状部33の内周面には回転軸線Ax2に沿ったキー溝36aが設けられており、これに対応して出力軸36の外周面にも回転軸線Ax2に沿ったキー溝33aが設けられている。筒状部33と出力軸36との間にはキー39が配置されており、キー39はキー溝33a,36aの両方に嵌合している。これにより、出力軸36がロック爪31の基端部に固定されている。
【0032】
リンク37は、油圧シリンダ35と出力軸36とに接続されており、油圧シリンダ35の伸縮を出力軸36の回転に変換する。この構成により、油圧シリンダ35の伸縮に応じてロック爪31が回転する。
【0033】
圧力計38は、油圧シリンダ35内の油圧を検出し、検出結果を例えば電気信号として出力する。
【0034】
弁ロック機構25は、弁本体24を閉状態に拘束する際に、油圧シリンダ35を伸長又は短縮(図示の例では短縮)させることでロック爪31を弁本体24の下に掛ける。この状態で弁本体24に対して下方に負荷が作用すると、弁ロック機構25は、油圧シリンダ35の伸長力又は短縮力(図示の例では短縮力)によってロック爪31の位置を保ち、弁本体24を閉状態に保つ。このため、圧力計38により検出される油圧シリンダ35内の油圧は、弁本体24に作用する負荷(第一シール弁22に作用する負荷)に相関する。
【0035】
図1に戻り、第二シール弁23は、第一シール弁22よりも上方に配置され、装入口21aに向かう経路R1を開閉する。例えば第二シール弁23は、弁本体26を有する。弁本体26は、受入口21bを覆うように設けられた板状体であり、水平方向にスライド可能となっている。弁本体26、例えば油圧式又は電動式のアクチュエータ(不図示)を動力源として水平方向にスライドし、受入口21bを覆った状態で経路R1を閉じ、受入口21b上から退避して経路R1を開く。
【0036】
(3)第二シュート
第二シュート40は、開閉装置20の上に設けられており、廃棄物Gを開閉装置20の中継シュート21内に導入する。第二シュート40は、第一部分41と第二部分42とを有する。第一部分41は、上下方向に沿った筒状部であり、その中心軸線CL3は中継シュート21の中心軸線CL2に一致している。第二部分42は第一部分41の上に連なり、上方へ向かうに従って拡がった内部空間を有する。
【0037】
(4)第三シュート
第三シュート50は、第二シュート40の上に設けられており、揚重装置3が上昇させた廃棄物Gを上方から受け入れて第二シュート40内に導入する。第三シュート50は、第一部分51と第二部分52とを有する。第一部分51は、上方へ向かうに従って揚重装置3に近付くように傾斜した筒状部であり、その下部は第二シュート40の第二部分42内に挿入されている。第二部分52は第一部分51の上に連なり、揚重装置3の上端部に隣接した位置で上方に開口している。
【0038】
(5)ダンパ
廃棄物装入装置4は、ダンパ60を更に有してもよい。ダンパ60は、第二シール弁23を基準にして第一シール弁22の逆側に設けられ、廃棄物Gの落下を妨げた後に再度落下させることで廃棄物Gの落下速度を低減する。例えばダンパ60は、第二シュート40の第二部分42内に設けられており、第一部分51からの廃棄物Gの落下を妨げる。
【0039】
ダンパ60は、例えばダンパ本体61とダンパロック機構62とを有する。
【0040】
ダンパ本体61は、装入口21aに向かう経路R1を開閉する。例えばダンパ本体61は、第一部分51の下端の開口51aを覆うように設けられた板状体であり、開口51aの周囲を通る水平な回転軸線Ax3まわりに回転可能となっている。一例として、回転軸線Ax3は、開口51aの周囲のうち、第一部分11の中心軸線CL1側(すなわち揚重装置3の逆側)の部分を通っている。以下、ダンパ本体61の基端部とは回転軸線Ax3側の部分を意味し、ダンパ本体61の先端部とは回転軸線Ax3の逆側の部分を意味する。ダンパ本体61は、例えば油圧式のアクチュエータ(不図示)等を動力源として回転軸線Ax3回りに回転し、第一部分51の下端面に沿っているときに経路R1を閉じ、下方に回転して経路R1を開く。開口51aを閉じた状態におけるダンパ本体61の向き(ダンパ本体61の先端部の突出方向)は、装入口21aを閉じた状態における弁本体24の向き(弁本体24の先端部の突出方向)に対して逆になっている。
【0041】
ダンパロック機構62は、油圧式のアクチュエータ64を動力源としてダンパ本体61を閉状態に拘束する。例えばダンパロック機構62は、ロック爪63と、アクチュエータ64と、圧力計68とを有する。
【0042】
ロック爪63は、開口51aを閉じたダンパ本体61の下に掛かるように設けられており、開口51aの周囲を通る水平な回転軸線Ax4まわりに回転可能となっている。一例として、ロック爪63はダンパ本体61の先端部の下に掛かるように設けられている。回転軸線Ax4は、開口51aの周囲のうち、第一部分11の中心軸線CL1の逆側(すなわち揚重装置3側)の部分を通っており、回転軸線Ax3に対して平行となっている。換言すると、回転軸線Ax4は、回転軸線Ax3との間に開口51a(経路R1)を挟む位置を通っている。以下、ロック爪63の基端部とは回転軸線Ax4側の部分を意味し、ロック爪63の先端部とは回転軸線Ax4の逆側の部分を意味する。
【0043】
アクチュエータ64は、油圧シリンダ65と、出力軸66と、リンク67とを有する。
油圧シリンダ65は、油圧に応じて伸縮する。出力軸66は、回転軸線Ax4まわりに回転可能となっており、ロック爪63の基端部に固定されている。リンク67は、油圧シリンダ65と出力軸66とに接続されており、油圧シリンダ65の伸縮を出力軸66の回転に変換する。この構成により、油圧シリンダ65の伸縮に応じてロック爪63が回転する。
【0044】
圧力計68は、油圧シリンダ65内の油圧を検出し、検出結果を例えば電気信号として出力する。
【0045】
ダンパロック機構62は、ダンパ本体61を閉状態に拘束する際に、油圧シリンダ65を伸長又は短縮(図示の例では短縮)させることでロック爪63をダンパ本体61の下に掛ける。この状態でダンパ本体61に対して下方に負荷が作用すると、ダンパロック機構62は、油圧シリンダ65の伸長力又は短縮力(図示の例では短縮力)によってロック爪63の位置を保ち、ダンパ本体61を閉状態に保つ。このため、圧力計68により検出される油圧シリンダ65内の油圧は、ダンパ本体61に作用する負荷(ダンパ60に作用する負荷)に相関する。
【0046】
(6)破袋装置
廃棄物装入装置4は、破袋装置70を更に備えてもよい。破袋装置70は、ダンパ60により落下を妨げられた廃棄物Gに対して破袋処理を施す。破袋処理は、廃棄物Gの梱包資材の少なくとも一部に孔又は切り込みを形成する処理を含み、廃棄物を囲む環状線の全周に沿って梱包資材を断裂させ、二体に分離する処理をも含む。
【0047】
一例として、破袋装置70は、ブレード71と、アクチュエータ72と、ブレード収容部73とを有する。ブレード収容部73は、第一部分51の下端部の周壁から外周側(例えば揚重装置3の逆側)に膨出している。ブレード71は、尖った刃先部を有し、当該刃先部が経路R1側に向いた状態でブレード収容部73内に配置される。アクチュエータ72は、例えば油圧式のアクチュエータであり、ブレード収容部73内から第一部分51内にブレード71を押し出し、第一部分51内からブレード収容部73内にブレード71を引き戻す。
【0048】
廃棄物Gがダンパ60により落下を妨げられた状態でアクチュエータ72がブレード71を第一部分51内に押し出すと、ブレード71が廃棄物Gに押し付けられる。これにより、廃棄物Gの梱包資材の少なくとも一部が断裂する。
【0049】
(7)監視装置
監視装置110は、廃棄物Gが弁本体24上に落下した際に第一シール弁22にかかった負荷をアクチュエータ34の油圧に基づいて導出し、当該負荷の大きさと、廃棄物Gが弁本体24上に落下した回数とに基づいて、第一シール弁22の疲労状態に関する指標を導出する。
【0050】
例えば監視装置110は、機能モジュールとして、油圧情報取得部111と、負荷導出部112と、落下時データ蓄積部113と、データ記憶部114と、損傷度算出部115とを有する。
【0051】
油圧情報取得部111は、アクチュエータ34の油圧に関する情報(以下、これを「アクチュエータ34の油圧情報」という。)として、圧力計38により検出された油圧の値を取得する。
【0052】
負荷導出部112は、廃棄物Gが弁本体24上に落下した際に第一シール弁22にかかった負荷を導出する。例えば負荷導出部112は、油圧情報取得部111により所定時間繰り返し取得されたアクチュエータ34の油圧情報の最大値を上記負荷として導出する。
【0053】
落下時データ蓄積部113は、油圧情報取得部111により取得されたアクチュエータ34の油圧情報と、負荷導出部112による検知結果とに基づいて、廃棄物Gが弁本体24上に落下した際に第一シール弁22にかかる負荷を検出し、検出結果をデータ記憶部114に送る。
【0054】
データ記憶部114は、廃棄物Gが弁本体24に落下した際に第一シール弁22に作用する負荷の大きさと、廃棄物Gが弁本体24上に落下した回数とを記録し、落下時データ蓄積部113から上記検出結果が送られる度に記録内容を更新する。
【0055】
損傷度算出部115は、データ記憶部114に記録されたデータに基づいて、第一シール弁22の疲労状態に関する指標(以下、これを「疲労損傷度」という。)を導出する。
【0056】
廃棄物装入装置4は、監視装置110により導出された疲労損傷度を表示する表示装置を更に備えてもよい。表示装置は、例えば液晶モニタのように、疲労損傷度を数値、文字、又はグラフとして表示可能なものであってもよいし、疲労損傷度が所定の閾値を超え場合に点灯する警告灯であってもよい。
【0057】
(8)コントローラ
廃棄物装入装置4は、コントローラ120を更に備えてもよい。コントローラ120は、ダンパ60に作用する負荷が所定の閾値(以下、「負荷閾値」という。)を超えている場合に、廃棄物Gに対して破袋処理を施し、ダンパ60に作用する負荷が当該負荷閾値を超えていない場合には廃棄物Gに対して破袋処理を施さないように破袋装置70を制御する。
【0058】
コントローラ120は、ダンパロック機構62のアクチュエータ64の油圧に基づいてダンパ60に作用する負荷を検出するように構成されていてもよい。
【0059】
コントローラ120は、破袋装置70の制御と、第一シール弁22、第二シール弁23及びダンパ60の制御とを合わせて実行するものであってもよい。
【0060】
例えばコントローラ120は、機能モジュールとして、破袋制御部121と開閉制御部122とを有する。
【0061】
破袋制御部121は、油圧情報取得部123と、落下判定部124と、破袋処理判定部125と、破袋指令出力部126とを有する。
【0062】
油圧情報取得部123は、アクチュエータ64の油圧に関する情報(以下、これを「アクチュエータ64の油圧情報」という。)として、圧力計68により検出された油圧の値を取得する。
【0063】
落下判定部124は、油圧情報取得部123により取得されたアクチュエータ64の油圧情報に基づいて、廃棄物Gがダンパ本体61上に落下したか否かを判定する。
【0064】
破袋処理判定部125は、油圧情報取得部123により取得されたアクチュエータ64の油圧情報と、油圧情報取得部123による検知結果とに基づいて、廃棄物Gがダンパ本体61上に落下した際にダンパ60に作用する負荷を検出し、当該負荷が上記負荷閾値を超えているか否かに基づいて破袋処理の要否を判定する。
【0065】
破袋指令出力部126は、破袋処理判定部125により破袋処理が必要と判定された場合に、破袋処理の実行指令を破袋装置70に出力する。
【0066】
開閉制御部122は、廃棄物Gの落下を妨げた後に再度落下させるようにダンパ60を制御し、ダンパ60から第一シール弁22への廃棄物Gの移動前後に受入口21bを開閉するように第二シール弁23を制御し、装入口21aを開閉して廃棄物Gを廃棄物処理炉2内に送出するように第一シール弁22を制御する。
【0067】
例えば開閉制御部122は、ダンパ本体61上への廃棄物Gの落下を示す情報を破袋制御部121から取得し、当該情報に基づいてダンパ60及び第二シール弁23を制御する。また、開閉制御部122は、弁本体24上への廃棄物Gの落下を示す情報を監視装置110から取得し、当該情報に基づいて第一シール弁22を制御する。
【0068】
(9)監視装置及びコントローラのハードウェア構成
監視装置110及びコントローラ120は、互いに分離したハードウェアにより構成されていてもよいし、一つのハードウェアにより構成されていてもよい。例えば廃棄物装入装置4は、監視装置110及びコントローラ120を構成するハードウェアとして、
図3に示す回路130を有する。
【0069】
回路130は、一つ又は複数のプロセッサ131と、メモリ132と、ストレージ133と、入出力ポート134とを有する。入出力ポート134は、ダンパ本体61、アクチュエータ64、圧力計68、破袋装置70、弁本体24、アクチュエータ34、圧力計38及び第二シール弁23との間で電気信号の入出力を行う。ストレージ133は、監視装置110及びコントローラ120の各機能モジュールを構成するためのプログラムを記録している。ストレージ133は、コンピュータ読み取り可能であればどのようなものであってもよい。具体例として、ハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等が挙げられる。メモリ132は、ストレージ133からロードしたプログラム及びプロセッサ131の演算結果等を一時的に記憶する。プロセッサ131は、メモリ132と協働してプログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。
【0070】
なお、監視装置110及びコントローラ120のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えば監視装置110及びコントローラ120の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0071】
2.廃棄物装入手順
続いて、廃棄物装入方法の一例として、廃棄物装入装置4により実行される廃棄物装入手順を説明する。ここでは、当該手順が監視装置110及びコントローラ120により自動的に実行される場合を説明する。
【0072】
図4に示すように、まずコントローラ120がステップS01〜S05を実行する。
【0073】
ステップS01では、油圧情報取得部123により取得されたアクチュエータ64の油圧情報に基づいて、廃棄物Gがダンパ本体61上に落下したか否かを落下判定部124が判定する。落下判定部124は、アクチュエータ64の油圧情報が所定の閾値(以下、これを「第一の落下判定閾値」という。)を超えている場合に、廃棄物Gがダンパ本体61上に落下したと判定し、アクチュエータ64の油圧情報が第一の落下判定閾値を超えていない場合に、廃棄物Gがダンパ本体61上に落下していないと判定してもよい。また、落下判定部124は、アクチュエータ64の油圧情報の上昇量が所定の閾値(以下、これを「第二の落下判定閾値」という。)を超えている場合に、廃棄物Gがダンパ本体61上に落下したと判定し、アクチュエータ64の油圧情報の上昇量が第二の落下判定閾値を超えていない場合に、廃棄物Gがダンパ本体61上に落下していないと判定してもよい。第一の落下判定閾値及び第二の落下判定閾値は、実験又はシミュレーションにより適宜設定可能である。
【0074】
ステップS01において、ダンパ本体61上に廃棄物Gが落下していると判定されるまで、コントローラ120はステップS01を繰り返す。ステップS01において、ダンパ本体61上に廃棄物Gが落下したことが検知されると、コントローラ120はステップS02を実行する。ステップS02では、廃棄物Gがダンパ本体61上に落下した際にダンパ60に作用する負荷が上記負荷閾値を超えているか否かに基づいて、破袋処理の要否を破袋処理判定部125が判定する。
【0075】
破袋処理判定部125は、ダンパ本体61上に廃棄物Gが落下していることを落下判定部124が検知した際の油圧情報を上記負荷として用いてもよい。「廃棄物Gが落下していることを落下判定部124が検知した際の油圧情報」は、落下判定部124により上記第一の落下判定閾値を超えていると判定された油圧情報であってもよいし、落下判定部124により上記第一の落下判定閾値を超えていると判定されたときを含む所定期間において、油圧情報取得部123により取得された油圧情報の最大値を上記負荷として用いてもよい。また、破袋処理判定部125は、油圧情報取得部123により取得された油圧情報に所定の演算を施した値を上記負荷として用いてもよい。例えば破袋処理判定部125は、上記油圧情報又は上記油圧情報の最大値に基づいて出力軸66に作用するトルクを算出し、当該トルクを上記負荷として用いてもよい。
【0076】
負荷閾値は、例えば第一シール弁22のアクチュエータ34の耐圧(例えば仕様上の最大耐圧又は定格耐圧)に基づいて設定可能である。例えば、負荷閾値は、廃棄物Gの落下に際してダンパ60に作用する負荷が当該閾値以下であれば、当該廃棄物Gが弁本体24上に落下した際のアクチュエータ34の油圧が上記耐圧以下となるように設定される。
【0077】
ダンパ60に作用する負荷が上記負荷閾値以下である場合、破袋処理判定部125は破袋処理が不要であると判定する。ダンパ60に作用する負荷が上記負荷閾値を超えている場合、破袋処理判定部125は破袋処理が必要であると判定する。
【0078】
ステップS02において、破袋処理が必要であると判定された場合、コントローラ120はステップS03を実行した後に処理をステップS04に進める。ステップS03では、破袋指令出力部126が、破袋処理の実行指令を破袋装置70に出力する。破袋装置70は、破袋指令出力部126からの実行指令に応じて破袋処理を実行する。ステップS04において、破袋処理が不要であると判定された場合、コントローラ120はステップS03を実行することなく処理をステップS04に進める。このように、本手順は、ダンパ60に作用する負荷が負荷閾値を超えている場合に、廃棄物Gに対して破袋処理を施し、ダンパ60に作用する負荷が当該負荷閾値を超えていない場合には廃棄物Gに対して破袋処理を施さないように破袋装置70を制御することを含む。
【0079】
ステップS04では、開閉制御部122が、受入口21bを開くように第二シール弁23を制御する。これにより、ダンパ60と第一シール弁22との間において経路R1が開放される。
【0080】
次に、監視装置110がステップS05を実行する。ステップS05では、廃棄物Gが弁本体24上に落下した際に第一シール弁22にかかる負荷の導出を負荷導出部112が開始する。例えば、負荷導出部112は、アクチュエータ34の油圧情報の最大値を上記負荷として導出する。具体的に負荷導出部112は、所定値(例えばゼロ)を初期の記憶値として、上記油圧情報の最大値の導出を開始する。以後、負荷導出部112は、油圧情報取得部111によりアクチュエータ34の油圧情報が取得される度に、取得された油圧情報と記憶値とを比較し、取得された油圧情報が記憶値を超えている場合には、当該油圧情報によって記憶値を上書きする。
【0081】
次に、コントローラ120がステップS06を実行する。ステップS06では、開閉制御部122が、開口51aを開くようにダンパ60を制御する。これにより、廃棄物Gが弁本体24上に落下する。
【0082】
次に、監視装置110がステップS07を実行する。ステップS07では、負荷導出部112が、所定時間の経過まで上記油圧情報の最大値の導出を継続する。所定時間は、ダンパ60が開口51aを開いた後、廃棄物Gが弁本体24上に落下するまでの時間よりも長く設定される。所定時間の値は、事前実験又はシミュレーションなどによって適宜設定可能である。
【0083】
次に、監視装置110はステップS08を実行する。ステップS08では、負荷導出部112が、上記油圧情報の最大値の導出を完了する。負荷導出部112はここまでの処理で導出された上記油圧情報の最大値を上記負荷としてもよいし、上記油圧情報の最大値に所定の演算を施した値を上記負荷として導出してもよい。例えば負荷導出部112は、上記油圧情報の最大値に基づいて出力軸36に作用するトルクを算出し、当該トルクを上記負荷としてもよいし、出力軸36に作用するトルクに基づいてキー39に作用するせん断応力を更に算出し、当該せん断応力を上記負荷としてもよい。
【0084】
次に、監視装置110はステップS09を実行する。ステップS09では、負荷導出部112により導出された上記負荷をデータ記憶部114に送ることを落下時データ蓄積部113が実行する。
【0085】
データ記憶部114は、落下時データ蓄積部113から送られた検出結果に応じて記録内容を更新する。
図5は、データ記憶部114の記録内容を例示するテーブルである。
図5に例示されるように、データ記憶部114は、負荷の大きさを複数の帯域(クラス)に区分し、弁本体24上に廃棄物Gが落下した回数を、クラスごとに分けて記録してもよい。データ記憶部114は、落下時データ蓄積部113から検出結果を受領すると、当該検出結果を帯域内に含むクラスの回数に1を加算する。
【0086】
ここに例示したように、廃棄物Gが弁本体24に落下した際に第一シール弁22に作用する負荷の大きさと、廃棄物Gが弁本体24上に落下した回数とを記録することは、弁本体24上に廃棄物Gが落下した回数をクラスごとに分けて記録することをも含む。なお、落下時データ蓄積部113による検出結果がいずれのクラスに該当するかの判定を落下時データ蓄積部113が実行してもよい。この場合、落下時データ蓄積部113は、第一シール弁22に作用する負荷の大きさを示す情報として、クラスの識別コード(例えばクラスの番号)をデータ記憶部114に送る。
【0087】
次に、監視装置110はステップS10を実行する。ステップS10では、損傷度算出部115が、データ記憶部114に記録された-データに基づいて上記疲労損傷度を導出する。疲労損傷度は、例えばマイナー則又は修正マイナー則等の累積損傷則に基づいて、次式により算出可能である。
D=n1/N1+n2/N2+n3/N3+n4/N4+・・・ni/Ni
D:疲労損傷度
i:負荷の大きさのクラス
ni:クラスiに分類された廃棄物Gの落下回数
Ni:クラスiにおいて許容される落下回数
【0088】
上記Niは、
図6に例示するS−N曲線に基づいて導出可能である。
図6の横軸は、許容される繰り返し回数(以下、「許容回数」という。)を示す。
図6の縦軸は、応力を示す。例えば、負荷の集中が想定される部分(例えばキー39)に作用する応力をクラスごとに求め、当該応力に対応する許容回数を
図6のグラフから求めることで、上記Niを導出することができる。
【0089】
疲労損傷度Dに基づけば、疲労破壊の発生可能性を推定できる。例えば、疲労損傷度Dが1未満であれば疲労破壊の発生可能性は低いと推定され、疲労損傷度Dが1以上であれば疲労破壊の可能性が高いと推定される。
【0090】
次に、監視装置110はステップS11を実行する。ステップS11では、損傷度算出部115が、疲労損傷度の算出結果を表示装置200に出力する。表示装置200は、損傷度算出部115により出力された疲労損傷度を表示する。
【0091】
次に、コントローラ120がステップS12〜S14を実行する。
【0092】
ステップS12では、開閉制御部122が、受入口21bを閉じるように油圧情報取得部123を制御する。ステップS13では、開閉制御部122が、開口51aを閉じるようにダンパ60を制御する。ステップS14では、開閉制御部122が、装入口21aを開いて廃棄物Gを廃棄物処理炉2内に装入し、その後装入口21aを閉じるように第一シール弁22を制御する。以上で廃棄物の装入手順が完了する。
【0093】
なお、ステップS12,S13の実行順序は逆転していてもよい。ステップS12,S13は、ステップS08の後、ステップS14の実行前に実行されればよいので、例えばステップS09に先立って実行されてもよい。ステップS14は、ステップS08,S12,S13の後に実行されればよいので、例えばステップS12,S13がステップS09に先立って実行される場合には、ステップS14もステップS09に先立って実行されてよい。
【0094】
3.本実施形態の効果
以上に説明したように、本開示に係る廃棄物装入装置4は、廃棄物Gを廃棄物処理炉2内に装入するための経路R1にて下方に開口した装入口21aを下方から開閉する弁本体24と、油圧式のアクチュエータ34を動力源として弁本体24を閉状態に拘束する弁ロック機構25と、を有する第一シール弁22と、廃棄物Gが弁本体24上に落下した際に第一シール弁22にかかった負荷をアクチュエータ34の油圧に基づいて導出し、当該負荷の大きさと、廃棄物Gが弁本体24上に落下した回数とに基づいて、第一シール弁22の疲労状態に関する指標を導出する監視装置110と、を備える。
【0095】
この廃棄物装入装置4において、弁本体24は、弁ロック機構25のアクチュエータ34の油圧に応じた力で閉状態に拘束される。このため、アクチュエータ34の油圧は、弁本体24に対する廃棄物Gの落下衝撃に応じて変動する。そこで、弁ロック機構25のアクチュエータ34の油圧に基づくことで、廃棄物Gが弁本体24上に落下した際に第一シール弁22にかかった負荷を把握することが可能である。第一シール弁22の疲労状態は、上記負荷の大きさ及び廃棄物Gが弁本体24上に落下した回数に関連する傾向がある。このため、上記負荷の大きさ及び上記回数に基づくことで、第一シール弁22の疲労状態に関する指標を導出できる。すなわち、弁ロック機構25のアクチュエータ34を活用して第一シール弁22の疲労状態に関する情報を導出できる。従って、装置構成の複雑化を抑制しつつ、第一シール弁22の疲労状態を把握できる。
【0096】
廃棄物装入装置4は、第一シール弁22よりも上方に配置され、装入口21aに向かう経路R1を開閉する第二シール弁23と、第二シール弁23を基準にして第一シール弁22の逆側に設けられ、廃棄物Gの落下を妨げた後に再度落下させることで廃棄物Gの落下速度を低減するダンパ60と、を更に備えてもよい。
【0097】
この場合、第一シール弁22と第二シール弁23とで開放タイミングをずらすことにより、炉内ガスの大気中への放散をより確実に防止することができる。ダンパ60により廃棄物Gの落下速度を低減することで、第一シール弁22に対する廃棄物Gの落下衝撃を抑制し、第一シール弁22における疲労蓄積を抑制できる。ここで、ダンパ60は、第二シール弁23を基準にして第一シール弁22の逆側に設けられる。このため、第二シール弁23を基準にして第一シール弁22側にダンパ60を設ける場合に比べ、第二シール弁23を第一シール弁22に近付け、ダンパ60を第一シール弁22から離すことができる。第二シール弁23を第一シール弁22に近付けることで、第一シール弁22と第二シール弁23との間の空間を小さくすることができる。当該空間を小さくすると、第一シール弁22の開放前に当該空間内のガスを大気中へ放散可能な状態にするためのパージガス量を削減できる。また、当該空間内のガスにパージガスを供給する期間も短縮できる。一方、ダンパ60を第一シール弁22から離すことにより、ダンパ60に対する廃棄物Gの落下衝撃をも抑制できる。従って、炉内ガスの漏出防止と、廃棄物装入装置4の耐久性向上との両立を図ることができる。
【0098】
廃棄物装入装置4は、ダンパ60により落下を妨げられた廃棄物Gに対して破袋処理を施す破袋装置70を更に備えてもよい。この場合、破袋処理を施すことで、弁本体24上に落下する際の廃棄物Gの変形を促し、当該変形によって落下衝撃を緩和することができる。従って、第一シール弁22における疲労蓄積を更に抑制できる。
【0099】
廃棄物装入装置4は、ダンパ60に作用する負荷が所定の閾値を超えている場合に、廃棄物Gに対して破袋処理を施し、ダンパ60に作用する負荷が閾値を超えていない場合には廃棄物Gに対して破袋処理を施さないように破袋装置70を制御するコントローラ120を更に備えてもよい。
【0100】
ダンパ60に作用する負荷が小さい場合には、第一シール弁22に作用する負荷も小さいので、破袋処理を省略したとしても第一シール弁22の疲労状態への影響は小さい。一方で、破袋処理を省略すると、廃棄物Gの処理効率が高まる。従って、ダンパ60に作用する負荷が所定の閾値を超えているか否かに基づいて破袋処理の有無を切り替えることで、廃棄物Gの処理効率の低下抑制と、第一シール弁22における疲労蓄積の抑制との両立を図ることができる。
【0101】
ダンパ60は、装入口21aに向かう経路R1を開閉するダンパ本体61と、油圧式のアクチュエータ64を動力源としてダンパ本体61を閉状態に拘束するダンパロック機構62と、を有してもよく、コントローラ120は、ダンパロック機構62のアクチュエータ64の油圧に基づいてダンパ60に作用する負荷を検出するように構成されていてもよい。この場合、ダンパ60に作用する負荷に応じて破袋処理の有無を切り替える構成において、装置構成の複雑化をより確実に抑制できる。
【0102】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。