(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562880
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】メダル補給シュート
(51)【国際特許分類】
G07D 11/10 20190101AFI20190808BHJP
A63F 9/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
G07D11/10 101
A63F9/00 512Z
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-136758(P2016-136758)
(22)【出願日】2016年7月11日
(65)【公開番号】特開2018-10344(P2018-10344A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2018年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】595089178
【氏名又は名称】日本システム特許株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100089071
【弁理士】
【氏名又は名称】玉村 静世
(72)【発明者】
【氏名】大泉 政治
【審査官】
須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−065511(JP,A)
【文献】
特開2001−157732(JP,A)
【文献】
意匠登録第1440101(JP,S)
【文献】
登録実用新案第3172310(JP,U)
【文献】
特開2009−189647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D1/00−11/60
A63F9/00−9/20
A63F9/26−11/00
A63F7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルゲーム機にメダルを補給するメダル補給シュートであって、
外部からメダルが供給される上部開口及びメダルを放出する斜め下方に向いた下部開口に連通する筒状のメダル通路が形成された樹脂製の本体部と、
前記下部開口の前で基端側から前記メダル通路に連なる上面と側面と先端面を内面に持ち前記本体部に着脱可能であって基準位置の上方で回動可能に枢着された樹脂製の案内部と、を有し、
前記メダル通路の下面には前記上部開口から前記下部開口に向った夫々凸条の複数の第1リブが形成され、
前記本体部の底面には前記第1リブの形成方向と交差する方向に向った夫々凸条の複数の第2リブが形成され、
前記案内部の内面の内の上面及び先端面には前記案内部の基端側から先端側に向った夫々凸条の複数の第3リブが形成され、
前記メダル通路の筒内における上面に対して前記案内部の内面における上面がほぼ同じ傾きとなる位置を、前記本体部に対する前記案内部の基準位置とし、
前記第3リブの夫々の凸条の横断面は方形状であり、その横断面積は、前記第1リブの夫々の凸条の横断面積よりも大きく、且つ前記第2リブの夫々の凸条の横断面積よりも大きくされており、
前記本体部の前記上部開口に挿入されて前後左右に傾動可能に装着された胴部を更に有し、
前記胴部は前記本体部の前記上部開口に連通する連通孔を有し、外形がほぼ正六角柱状を有し、
前記胴部の同一円周方向には半径方向に弾性変形する突起状ストッパが複数個対向して形成され、
金属線をコイル状に密着巻きされて成形した蛇腹管が前記胴部の筒内に挿入されたとき、前記突起状ストッパが、前記蛇腹管の前記金属線を求心方向に弾性的に押圧することで前記蛇腹管を係止する、メダル補給シュート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルゲーム機又はメダル貸出機などのメダル処理機にメダルを補給するメダル補給シュートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のメダル補給シュートの多くは金属製であったが、本出願人は特許文献1に記載の如く樹脂製のメダル補給シュートについて先に提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1440101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のメダル補給シュートは樹脂製故に部分的に厚肉で形成して強度を得ようとする考慮が払われている。しかしながら、メダル補給シュートのメダル放出口は本体部の先端に単に開口を形成しただけであり、メダル補給シュートからメダルゲーム機やメダル貸出機などに供給されるメダルはメダル放出口から勢い良く前方に吐き出されるだけである。そうすると、メダルゲーム機やメダル貸出機側では、メダル補給シュートから吐き出されたメダルが飛散したりしないよう必要な方向に導くためのガイドを新たに用意しなければならない。しかも、そのガイドはメダル放出口から勢い良く吐き出されるメダルを受け止めなければならないから、本体部と同様に高い強度を必要とする。
【0005】
本発明の目的は、放出するメダルの飛散を防止して前方斜め下向きにメダルを放出するのに好適な樹脂製のメダル補給シュートを提供することにある。
【0006】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。尚、本項において括弧内に記載した図面内参照符号などは理解を容易化するための一例である。
【0008】
すなわち、メダル処理機にメダルを補給するメダル補給シュート(1)は、外部からメダルが供給される上部開口(30)及びメダルを放出する斜め下方に向いた下部開口(31)に連通する筒状のメダル通路(32)が形成された樹脂製の本体部(10)と、前記下部開口の前で基端側から前記メダル通路に連なる上面(40)と側面(41)と先端面(42)を内面に持ち前記本体部に着脱可能であって基準位置の上方で回動可能に枢着された樹脂製の案内部(11)と、を有する。前記メダル通路の下面には前記上部開口から前記下部開口に向った夫々凸条の複数の第1リブ(20)が形成される。前記本体部の底面には前記第1リブの形成方向と交差する方向に向った夫々凸条の複数の第2リブ(21)が形成される。前記案内部の内面の内の上面及び先端面には前記案内部の基端側から先端側に向った夫々凸条の複数の第3リブ(22)が形成される。
【0009】
これによれば、第1リブとこれに交差する方向の第2リブにより本体部の底面側を厚肉とすることができ本体部に補給されたメダルから比較的大きな力を連続的に受ける部位の強度を増すことができる。特に、単成る厚肉ではなくリブを形成して厚肉にするので、金型を用いた樹脂成形に際して厚肉部で冷却が不均一になることによって生じ易い所謂“引け”による変形や巣の発生を抑制することができる。さらに、内面に第3リブを形成した案内部についても上記同様に変形や巣の発生を抑制することができることから案内部の強度を増すことができる。その上、案内部は本体部に対してその基準位置の上方で回動可能に枢着されているから、案内部に導かれたメダルが案内部に上向きの力を作用しても案内部は上方回動によって逃げることができるので、多量のメダルが一気に供給された場合にもメダルの詰まりや案内部の破棄を抑制することができる。
【0010】
上記において、前記メダル通路の筒内における上面に対して前記案内部の内面における上面がほぼ同じ傾きとなる位置を、前記本体部に対する前記案内部の基準位置とするのがよい。これによれば、本体部から案内部に案内されるメダルの詰まりを予防するのに好適である。
【0011】
上記において、前記第3リブの夫々の凸条の横断面は方形状であり、その横断面積は、前記第1リブの夫々の凸条の横断面積よりも大きく、且つ前記第2リブの夫々の凸条の横断面積よりも大きくするのがよい。これによれば、メダル補給シュートに供給されるメダルの運動エネルギーと位置エネルギーが最も大きくなると予想される位置でメダルに接触する性質上、案内部に良好な強度を得ることができる。
【0012】
上記において、前記本体部の上部開口に挿入されて前後左右に傾動可能に装着された胴部(12)を更に有してもよい。このとき、前記胴部は前記本体部の上部開口に連通する連通孔(50)を有し、外形がほぼ正六角柱状を有し、前記胴部の同一円周方向には半径方向に弾性変形する突起状ストッパ(51)が複数個対向して形成される。線材をコイル状に密着巻きして成形した蛇腹管が前記胴部の筒内に挿入されたとき、前記突起状ストッパは、蛇腹管(60)の線材を求心方向に押圧して弾性変形することで前記蛇腹管を係止する。これによれば、メダル補給装置からメダル補給シュートにメダルを導く通路を蛇腹管によって容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0014】
すなわち、放出するメダルの飛散を防止して前方斜め下向きにメダルを放出するのに好適な樹脂製のメダル補給シュートを提供することができる
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は本発明の一実施の形態に係るメダル補給シュートの全体斜視図である。
【
図2】
図2は本発明の一実施の形態に係るメダル補給シュートの平面図である。
【
図3】
図3は本発明の一実施の形態に係るメダル補給シュートの側面図である。
【
図4】
図4は本発明の一実施の形態に係るメダル補給シュートの本体部の正面図である。
【
図5】
図5は本発明の一実施の形態に係るメダル補給シュートの本体部の斜視図である。
【
図6】
図6は本発明の一実施の形態に係るメダル補給シュートの案内部の第3リブを示した斜視図である。
【
図7】
図7は本発明の一実施の形態に係るメダル補給シュートの胴部を部分的に切り欠いて示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至
図3には本発明の一実施の形態に係るメダル補給シュート1が例示される。メダル補給シュート1はメダル処理機の一例であるメダルゲーム機の背面2に装着され、開口3から其の先端部がメダルゲーム機内部に挿入され、図示を省略するメダル補給機からメダルの補給を受けて、メダルゲーム機にメダルを放出する。メダル補給シュート1は、夫々樹脂製の本体部10及び案内部11を有し、特に制限されないが、ここでは樹脂製の胴部12も備える。上記樹脂の材料としてポリオキシメチレン(PolyOxyMethylene)若しくはポリアセタールと呼ばれる熱可塑性樹脂を採用することができる。樹脂材料を所定の金型に流し込んで成形することによって所要の形状を形成することができ、耐摩耗性、寸法安定性に優れ、良好な機械的強度が得られる。
【0017】
本体部10は
図5に例示されるように、メダルが供給される上部開口30及びメダルを放出する斜め下方に向いた下部開口31に連通する筒状のメダル通路32が形成されている。前記メダル通路32の下面には前記上部開口30から前記下部開口31に向った夫々凸条の複数の第1リブ20が形成される。本体部10の底面には第1リブ20の形成方向と交差する方向に向った夫々凸条の複数の第2リブ21が形成される。
図5において34はメダルゲーム機の背面2に本体部10をねじ止めするためのブラケット部である。
図5に示されるように、下部開口31から一対の電極板71、71を装着溝35、35に挿入してビス70で固定できるようになっている。ビスには図示を省略する導線が接続され、メダル通路32内でメダルが詰まったとき電極板71,71の間が電気的に導通することによって詰まりの発生を検出することができる。尚、
図4には電極板71,71を装着する構造の図示を省略してある。
【0018】
案内部11は
図1、
図3及び
図6に例示されるように、本体部10の下部開口31の前で基端側から前記メダル通路に連なる上面40と側面41と先端面42を内面に持ち、本体部10に形成されピン34に装着孔43を嵌入することにより、案内部11は基準位置の上方で本体部10に回動可能に枢着されている。案内部11は本体部10から着脱可能である。ここで、前記メダル通路32の筒内における上面に対して案内部11の内面における上面40がほぼ同じ傾きとなる位置を、前記本体部10に対する前記案内部11の基準位置とするのがよい。本体部10から案内部11にスムースにメダルを移動させることができるからである。
【0019】
図6に例示されるように、案内部11の内面の内の上面40及び先端面42には案内部11の基端側から先端側に向った夫々凸条の複数の第3リブ22が形成されている。第3リブ22の夫々の凸条の横断面は方形状であり、その横断面積は、前記第1リブ20の夫々の凸条の横断面積よりも大きく、且つ第2リブ21の夫々の凸条の横断面積よりも大きくするのがよい。
【0020】
胴部12は、特に制限されないが、本体部10の上部開口30に連通する連通孔50を有し、外形がほぼ正六角柱状を呈し、本体部10の上部開口30から余裕を持って挿入可能な大きさを有している。
図1乃至4に例示されるように、胴部12の側面にはピン53が2箇所に突設され、本体部10の正面と背面に形成されている長孔33にピン53が挿入されることにより、胴部12は本体部10の上部開口30内で前後左右に傾動可能に支持される。
【0021】
図7に例示されるように、胴部12の同一円周方向には切り溝52によって半径方向に弾性変形する切片54に突起状ストッパ51が求心方向に対向して2個形成されている。胴部12の筒内にはステンレス線などの線材がコイル状に密着巻きされて形成された蛇腹管60が挿入され、突起状ストッパ51は、挿入された蛇腹管60の線材を求心方向に押圧して切片54を半径方向に弾性変形することで蛇腹管60を係止するようになっている。切片54の遠心方向には押圧バンド(図示を省略する)の支持溝53が形成され、蛇腹管60を係止した突起状ストッパ51が遠心方向に動くのを阻止して胴部12と蛇腹管60の結合を維持できるようになっている。メダル補給シュート1には図示を省略するメダル補給装置から蛇腹管60を介してメダルが導かれることになる。蛇腹管60はその性質上柔軟性を有するので、メダル補給シュート1とメダル補給装置との配置誤差を容易に吸収することができる。尚、切片54、突起状ストッパ51及び支持溝53は
図1乃至
図4では図示を省略してある。
【0022】
上記実施の形態によれば以下の作用効果を奏する。
【0023】
第1リブ20とこれに交差する方向の第2リブ21により本体部10の底面側を厚肉とすることができ、本体部10に補給されたメダルから比較的大きな力を連続的に受ける部位の強度を増すことができる。特に、単成る厚肉ではなくリブ20、21を形成して厚肉にするので、金型を用いた樹脂成形に際して厚肉部で冷却が不均一になることによって生じ易い所謂“引け”による変形や巣の発生を抑制することができ、所期の強度を確保でき、不所望な変形でメダルの流れが阻害されることも無い。更に、内面に第3リブ22を形成した案内部11についても上記同様に変形や巣の発生を抑制することができることから案内部11の強度を増すことができる。その上、案内部11は本体部10に対してその基準位置の上方で回動可能に枢着されているから、案内部11に導かれたメダルが案内部11に上向きの力を作用しても案内部11は上方回動によって逃げることができるので、多量のメダルが一気に供給された場合にもメダルの詰まりや案内部の破棄を抑制することができる。
【0024】
メダル通路32の筒内における上面に対して案内部11の内面における上面40がほぼ同じ傾きとなる位置を本体部10に対する案内部11の基準位置とするから、本体部10から案内部11に案内されるメダルの詰まりを予防するのに好適である。
【0025】
また、第3リブ22の夫々の凸条の横断面は方形状であり、その横断面積は、前記第1リブ20の夫々の凸条の横断面積よりも大きく、且つ前記第2リブ21の夫々の凸条の横断面積よりも大きいから、メダル補給シュート1に供給されるメダルの運動エネルギーと位置エネルギーが最も大きくなると予想される位置でメダルに接触する第3リブ22の性質上、案内部11に良好な強度を得ることができる。
【0026】
更に、メダル補給装置からメダル補給シュート1にメダルを導く通路を蛇腹管60によって容易に形成することができる。
【0027】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0028】
例えば、リブの形状や大きさは適宜変更可能である。第2リブは第1リブに直交する方向に形成する場合に限定されず斜め方向に交差するように形成しても良い。本発明のメダル補給シュートはメダル貸出機へのメダル補給にも適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 メダル補給シュート
10 本体部
11 案内部
12 胴部
20 第1リブ
21 第2リブ
22 第3リブ
30 上部開口
31 下部開口
32 メダル通路
40 上面
41 側面
42 先端面
50 連通孔
51 突起状ストッパ
60 蛇腹管