特許第6562886号(P6562886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562886
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】分岐構造及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/10 20060101AFI20190808BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20190808BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20190808BHJP
   H01R 4/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H02G15/10
   H01B7/00 305
   H01B7/00 301
   B60R16/02 620S
   H01R4/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-210508(P2016-210508)
(22)【出願日】2016年10月27日
(65)【公開番号】特開2018-74704(P2018-74704A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2018年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 真史
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−147558(JP,A)
【文献】 特開平4−274943(JP,A)
【文献】 実公平6−28727(JP,Y2)
【文献】 実開昭61−123618(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/10
H02G 3/16
B60R 16/02
H01B 7/00
H01R 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛体である棒導体を有する配索材で構成される複数本の幹線が並列に配列された幹線ハーネスに、複数本の分岐線を有する枝線ハーネスが接続された分岐構造であって、
前記幹線に接合されることで前記分岐線を前記幹線に電気的に接続する接続端子は、前記幹線の幅より小さい幅寸法を有して前記棒導体の軸方向に延びるとともに、前記幹線における前記棒導体の外周面に面接触した状態で接合される接合面を上面に有する接続板部を備え、
前記接続板部が、前記幹線に対して、その配列方向と直交する位置に接合されている
ことを特徴とする分岐構造。
【請求項2】
前記接続端子は、前記幹線の配列方向に沿って配置される回路基板に実装され、前記回路基板に設けたコネクタに前記枝線ハーネス側のコネクタが接合されることで前記分岐線と導通される
ことを特徴とする請求項1に記載の分岐構造。
【請求項3】
前記接続端子は、前記接続板部から前記幹線の配列方向に沿って延在するバスバー部を有し、前記バスバー部の端部に設けたコネクタに前記枝線ハーネス側のコネクタが接合されることで前記分岐線と導通される
ことを特徴とする請求項1に記載の分岐構造。
【請求項4】
所定の電流容量を有する電源系ラインを少なくとも有して車体に配索される前記幹線ハーネスと、
車両の補機に接続される前記枝線ハーネスと、
前記幹線ハーネスに供給される前記電源系ラインの電力を前記幹線ハーネスに接続される前記枝線ハーネスへ分配するための制御部を有し、前記幹線ハーネスに沿って分散配置された複数の制御ボックスと、を備え、
前記制御ボックスが、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分岐構造によって前記幹線ハーネスに前記枝線ハーネスを接続している
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐構造及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用ワイヤハーネスは、電源線やアース線などの幹線を集約した幹線ハーネスに枝線ハーネスを接続して各電装品に接続している。幹線ハーネスに枝線ハーネスを接続して分岐させる技術として、圧接端子を備えた分岐機構を用い、この分岐機構の圧接端子に幹線ハーネスの幹線を圧接して分岐線と接続するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−227089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の圧接端子を備えた分岐機構は、一対の圧接刃の間に幹線を押し込んで圧接接続するため、幹線の両側に圧接刃が配置されることとなる。このため、この圧接端子を用いて枝線ハーネスを分岐させる場合、並列に配列された幹線ハーネスの幹線同士の間隔が大きくなり、占有スペースが増大する。
【0005】
また、圧接端子を用いた分岐構造では、圧接刃同士の間に電線を押し込んで接触させるため、大電流が流れる電力線などの幹線では、接触面積の不足によって接続信頼性が低下するおそれがある。
【0006】
また、近年、車両用ワイヤハーネスの幹線ハーネスの幹線としては、軽量化及び取り扱い性の向上等の目的のためにアルミニウム等の単線からなる剛体線が用いられつつあるが、圧接端子の圧接刃は、剛体線である単線に食い込みづらいため、圧接端子を備えた分岐機構を用いる分岐構造に代わる分岐構造が望まれている。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、省スペース化を図りつつ高い接続信頼性を確保することが可能な分岐構造及びワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る分岐構造及びワイヤハーネスは、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) 剛体である棒導体を有する配索材で構成される複数本の幹線が並列に配列された幹線ハーネスに、複数本の分岐線を有する枝線ハーネスが接続された分岐構造であって、
前記幹線に接合されることで前記分岐線を前記幹線に電気的に接続する接続端子は、前記幹線の幅より小さい幅寸法を有して前記棒導体の軸方向に延びるとともに、前記幹線における前記棒導体の外周面に面接触した状態で接合される接合面を上面に有する接続板部を備え、
前記接続板部が、前記幹線に対して、その配列方向と直交する位置に接合されている
ことを特徴とする分岐構造。
(2) 前記接続端子は、前記幹線の配列方向に沿って配置される回路基板に実装され、
前記回路基板に設けたコネクタに前記枝線ハーネス側のコネクタが接合されることで前記分岐線と導通される
ことを特徴とする上記(1)に記載の分岐構造。
(3) 前記接続端子は、前記接続板部から前記幹線の配列方向に沿って延在するバスバー部を有し、前記バスバー部の端部に設けたコネクタに前記枝線ハーネス側のコネクタが接合されることで前記分岐線と導通される
ことを特徴とする上記(1)に記載の分岐構造。
(4) 所定の電流容量を有する電源系ラインを少なくとも有して車体に配索される前記幹線ハーネスと、
車両の補機に接続される前記枝線ハーネスと、
前記幹線ハーネスに供給される前記電源系ラインの電力を前記幹線ハーネスに接続される前記枝線ハーネスへ分配するための制御部を有し、前記幹線ハーネスに沿って分散配置された複数の制御ボックスと、を備え、
前記制御ボックスが、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の分岐構造によって前記幹線ハーネスに前記枝線ハーネスを接続している
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【0009】
上記(1)の構成の分岐構造によれば、分岐線を幹線に電気的に接続するための接続端子の接続板部が、棒導体を有する幹線の幅より小さい幅寸法を有し、幹線に対して、その配列方向と直交する位置に接合されている。したがって、分岐線を幹線に接続するための接続端子が幹線の配列方向へ出っ張ることがない。そこで、幹線同士の間隔を極力狭めることができ、分岐箇所の省スペース化が図れる。
また、幹線における棒導体の外周面に対して接続端子の接続板部が面接触した状態で接合されるので、大きな接触面積を確保でき、高い接続信頼性を確保することができる。
上記(2)の構成の分岐構造によれば、幹線の配列方向に沿って配置される回路基板の導体パターンを通して、幹線に接合された接続端子と分岐線とを導通させることができるので、接続端子の共通化及び形状の単純化が図れ、これにより、コストを抑えることができる。
上記(3)の構成の分岐構造によれば、接続板部から延びるバスバー部が接続端子に設けられることで、回路基板を用いずに、幹線と接合された接続端子と分岐線とを導通させることができる。これにより、部品点数の削減によってコストを下げることができる。
上記(4)の構成のワイヤハーネスでは、所定の電流容量を有する電源系ラインを少なくとも有して車体に配索される幹線ハーネスと、この幹線ハーネスに沿って分散配置された複数の制御ボックスを介して補機を幹線ハーネスに接続する枝線ハーネスとによって、単純な構造を有するワイヤハーネスを構成することができると共に、幹線ハーネスにおける枝線ハーネスの接続箇所での省スペース化及び高い接続信頼性が得られるワイヤハーネスを提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、省スペース化を図りつつ高い接続信頼性を確保することが可能な分岐構造及びワイヤハーネスを提供できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るワイヤハーネスが配索された車体の概略斜視図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る分岐構造を有する分岐ボックスの斜視図である。
図3図3は、図2に示した分岐ボックスの分解斜視図である。
図4図4は、図2に示した分岐ボックスにおける分岐箇所の要部断面図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る分岐構造を有する分岐ボックスの分解斜視図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態に係る分岐構造を有する分岐ボックスの分解斜視図である。
図7図7は、図6に示した分岐ボックスにおける分岐箇所の要部断面図である。
図8図8は、図6に示した分岐ボックスの組立手順を示す図であって、図8(a)〜図8(c)は、各工程における斜視図である。
図9図9は、配索経路に屈曲部分を有するワイヤハーネスを説明するワイヤハーネスの平面図である。
図10図10は、本発明の第4実施形態に係る分岐構造を有する分岐ボックスの分解斜視図である。
図11図11は、図10に示した分岐ボックスの組立手順を示す図であって、図11(a)〜図11(c)は、各工程における斜視図である。
図12図12は、本発明の第5実施形態に係る分岐構造を有する分岐ボックスの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
まず、本実施形態に係るワイヤハーネスの構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るワイヤハーネス10が配索された車体1の概略斜視図である。
【0014】
図1に示すように、ワイヤハーネス10は、車載のメインバッテリやサブバッテリなどの電源Bの電力を車体1の各部の補機である電装品にそれぞれ供給する電力供給経路や、電装品との信号の送受信を行うために必要な伝送経路等として用いられる。
【0015】
このワイヤハーネス10は、幹線ハーネス11と、複数の枝線ハーネス12とを備えている。幹線ハーネス11は、例えば、棒導体である丸棒導体13の周囲に絶縁被覆15が形成された電源線やアース線等の電源系ライン21と、プラスチック光ファイバで構成された通信ライン22とが、長手方向に沿って所定間隔でモールド成形されたクランプ23で一体的に保持されることで、背骨(バックボーン)のような形状が単純な配索材として構成されている。丸棒導体13は、アルミニウム等の導電性金属材料からなる棒導体であり、断面円形状の丸棒からなる剛体である。アルミニウム又はアルミニウム合金からなる剛体である丸棒導体13は、複数の素線を撚り合わせた撚線と比較して高い剛性を有し、また、銅線などと比較して軽量である。また、アルミニウム又はアルミニウム合金製の丸棒からなる丸棒導体13は、あらゆる方向へ曲げることができる配索経路の自由度の高い配索材である。なお、通信ライン22としては、光ファイバに限らず、例えば、銅または銅合金等からなる素線を撚り合わせた撚線などを用いることもできる。
【0016】
本実施形態に係る幹線ハーネス11は、フロア幹線ハーネス11aと、インパネ幹線ハーネス11bとに大別される。
インパネ幹線ハーネス11bは、図示しないダッシュパネルの面に沿った箇所で、リーンホースとほぼ平行になるように左右方向に向かって直線的に配置されている。
また、フロア幹線ハーネス11aは、車室内フロアに沿って車体1の左右方向のほぼ中央部において車体1の前後方向に延びるように配置されており、ダッシュパネルの面に沿った箇所では上下方向に直線的に延びてインパネ幹線ハーネス11bの中間部に先端が接続されている。インパネ幹線ハーネス11bとフロア幹線ハーネス11aとの接続部は、後述する制御ボックスである分岐制御ボックスE2における分岐部を経由して互いに電気的に接続可能な状態になっている。即ち、幹線ハーネス11は、インパネ幹線ハーネス11bとフロア幹線ハーネス11aとでT字状に似た形状に構成されている。
【0017】
本実施形態に係る枝線ハーネス12は、幹線ハーネス11に一端部が分岐接続されている。枝線ハーネス12は、その他端部にコネクタCが接続されており、このコネクタCに車体1の各部に設けられた電装品のコネクタが接続される。
【0018】
また、幹線ハーネス11には、幹線ハーネス11に供給される電源系ライン21の電力及び通信ライン22の信号を幹線ハーネス11に分岐接続される枝線ハーネス12へ分配するための制御部を有し、幹線ハーネス11に沿って分散配置された複数の制御ボックス(供給側制御E1、分岐制御ボックスE2、中間制御ボックスE3、制御ボックスE4,E5)が設けられている。これにより、各部の電装品には、電源Bからの電力供給及び各制御ボックスE1〜E5からの信号分配が行われる。
【0019】
上記のワイヤハーネス10では、幹線ハーネス11と枝線ハーネス12との接続箇所に、分岐制御ボックスE2が設けられている。そして、この分岐制御ボックスE2によって幹線ハーネス11と枝線ハーネス12とが接続されている。
【0020】
次に、上記各制御ボックスE1〜E5における分岐構造について説明する。なお、ここでは、本実施形態に係る分岐構造の説明を容易にするため、幹線ハーネス11の並列に配列された4本の幹線である電源系ライン21に、枝線ハーネス12の4本の分岐線71をそれぞれ接続する分岐ボックス100Aの分岐構造を例に説明し、通信ライン22の接続構造は省略する。
【0021】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係る分岐構造を有する分岐ボックス100Aの斜視図である。図3は、図2に示した分岐ボックス100Aの分解斜視図である。図4は、図2に示した分岐ボックス100Aにおける分岐箇所の要部断面図である。
【0022】
図2及び図3に示すように、本発明の第1実施形態に係る分岐構造を有する分岐ボックス100Aは、収容ケース30を備えている。収容ケース30は、下ケース31と、カバー32とから構成されている。これらの下ケース31及びカバー32は、それぞれ絶縁性を有する合成樹脂から形成されている。
【0023】
下ケース31は、矩形状の底面板部33と、この底面板部33の周縁に形成された周壁部34とを有している。周壁部34は、互いに対向配置された端面板部35及び側面板部36を有している。それぞれの端面板部35には、対向位置に、複数(本例では4つ)の幹線挿通凹部35aが形成されている。また、側面板部36の一方には、コネクタ収容凹部36aが形成されている。
【0024】
カバー32は、矩形状の上面板部38と、この上面板部38の周縁に形成された周壁部39とを有している。カバー32は、下ケース31に対して、その上方から装着されて図示しないロック機構により固定される。これにより、下ケース31には、その周壁部34の上部における周囲をカバー32の周壁部39が覆うようにカバー32が被せられる。
【0025】
図2図4に示すように、収容ケース30内には、幹線ハーネス11を構成する複数(本例では4本)の幹線である電源系ライン21が挿通される。また、収容ケース30内には、複数の接続端子50が設けられている。これらの接続端子50は、接続板部51を有しており、この接続板部51には、下方へ延びるピン部56が形成されている。これらの接続端子50は、接続板部51の上方へ向けられた一方の面が、電源系ライン21における丸棒導体13の外周面と面接触する接合面52とされており、この接合面52が絶縁被覆15を剥がして露出させた丸棒導体13の外周面に接合されている。それぞれの接続端子50は、電源系ライン21に対して、その配列方向と直交する位置である下部に接合されている。
【0026】
なお、電源系ライン21における丸棒導体13の外周面と接合面52とは、例えば、はんだ付けや超音波接合によって接合される。本実施形態では、棒導体からなる電源系ライン21における丸棒導体13が断面円形状の丸棒である。したがって、接続端子50の接続板部51は、電源系ライン21の軸方向から視て、丸棒からなる丸棒導体13の外周面に面接触して密着する円弧状に形成されている。また、この接続端子50の接続板部51は、その幅寸法Wが電源系ライン21の直径D(幹線の幅)以下とされている。これにより、接続端子50の接続板部51は、電源系ライン21の配列方向にはみ出すことなく丸棒導体13に接合されている。
【0027】
さらに、収容ケース30内には、図3に示すように、硬質のプリント配線基板からなる回路基板60が電源系ライン21の配列方向に沿って設けられている。この回路基板60には、接続端子50のピン部56が挿入されるスルーホール61が形成されている。スルーホール61は、電源系ライン21の配列と同ピッチで回路基板60に形成されている。そして、接続端子50は、そのピン部56がスルーホール61へ挿し込まれており、回路基板60に形成された導体パターン(図示略)にはんだ付けされて電気的に接続されている。
【0028】
また、回路基板60には、一側縁部に、コネクタ62が設けられている。このコネクタ62は、ハウジング63を有しており、ハウジング63の内部には、複数のタブ端子64が設けられている。このコネクタ62のタブ端子64は、回路基板60の導体パターンに電気的に接続されている。このコネクタ62は、収容ケース30の下ケース31に形成されたコネクタ収容凹部36aに配置され、ハウジング63の一部が収容ケース30から外部に露出されている。
【0029】
このコネクタ62には、枝線ハーネス12に設けられた分岐側コネクタ70が接続される。分岐側コネクタ70には、枝線ハーネス12を構成する分岐線71の端部に接続されたメス端子(図示略)が収容されている。そして、この分岐側コネクタ70をコネクタ62へ接続すると、この分岐側コネクタ70に設けられたメス端子がコネクタ62のタブ端子64に電気的に接続される。これにより、枝線ハーネス12を構成する分岐線71が、タブ端子64、回路基板60の導体パターン及び接続端子50を介して幹線ハーネス11の電源系ライン21と電気的に接続される。
【0030】
このように、上記の分岐ボックス100Aを用いた本第1実施形態に係る分岐構造によれば、分岐線71を電源系ライン21に電気的に接続するための接続端子50の接続板部51が、丸棒導体13を有する電源系ライン21の直径Dより小さい幅寸法Wを有し、電源系ライン21に対して、その配列方向と直交する位置に接合されている。したがって、分岐線71を電源系ライン21に接続するための接続端子50が電源系ライン21の配列方向へ出っ張ることがない。従って、電源系ライン21同士の間隔を極力狭めることができ、分岐箇所の省スペース化が図れる。
【0031】
また、電源系ライン21における丸棒導体13の外周面に対して接続端子50の接続板部51が面接触した状態で接合されるので、大きな接触面積を確保でき、高い接続信頼性を確保することができる。
【0032】
しかも、電源系ライン21の配列方向に沿って配置される回路基板60の導体パターンを通して、電源系ライン21に接合された接続端子50と分岐線71とを導通させる構造であるので、接続端子50の共通化及び形状の単純化が図れ、これにより、コストを抑えることができる。
【0033】
そして、上記分岐構造を備えた本実施形態に係るワイヤハーネス10によれば、所定の電流容量を有する電源系ライン21を有して車体1に配索される幹線ハーネス11と、この幹線ハーネス11に沿って分散配置された複数の制御ボックスE1〜E5を介して補機を幹線ハーネス11に接続する枝線ハーネス12とによって、単純な構造を有するワイヤハーネス10を構成することができると共に、幹線ハーネス11における配列方向幅を狭めて枝線ハーネス12の接続箇所での省スペース化及び高い接続信頼性が得られたワイヤハーネス10を提供できる。
【0034】
また、複数の電源系ライン21が並列に配列される幹線ハーネス11は、車室内フロアに沿って車体1の左右方向のほぼ中央部において車体1の前後方向に延びるように配置される。そこで、電源系ライン21同士の間隔が広がってしまうと、幹線ハーネス11の配列方向幅が広がり、占有スペースが増大してしまうが、本実施形態の分岐構造によれば、幹線ハーネス11の配列方向幅を最少として占有スペースが増大しないワイヤハーネス10を提供できる。
【0035】
なお、上記実施形態では、幹線ハーネス11を構成する電源系ライン21の配索材として丸棒導体13を用いた場合を例示したが、電源系ライン21としては、丸棒導体13に限らず、棒導体として角棒などの断面多角形の剛体でも良い。丸棒導体13は、軸回りに回転しても円弧状に凹む接続板部51と均一に面接触させやすく、また、上下左右のどの方向にも容易に曲げられるので、幹線ハーネス11を構成する電源系ライン21として用いるのが好ましい。なお、断面多角形の剛体からなる棒導体を有する配索材を電源系ライン21として用いる場合、接続端子50の接続板部51としては、断面多角形の電源系ライン21の外周面に面接触する接合面52を有するものを用いる。
【0036】
また、本第1実施形態に係る分岐ボックス100Aにおける各部材の接続手順は、特に限定されることはなく、電源系ライン21に接続端子50を接続した後に接続端子50を回路基板60に接続しても良く、また、回路基板60に接続端子50を接続した後に接続端子50に電源系ライン21を接続しても良い。
【0037】
なお、上記の分岐ボックス100Aにおいて、下ケース31にカバー32を装着することで、電源系ライン21を接続端子50の接続板部51に押し付けて電源系ライン21における丸棒導体13の外周面と接合面52とを接合させても良い。
【0038】
以下、本発明の他の実施形態に係る分岐構造について説明する。なお、上記第1実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る分岐構造を有する分岐ボックス100Bの分解斜視図である。
図5に示すように、本第2実施形態に係る分岐構造では、分岐ボックス100Bを用いて幹線ハーネス11に枝線ハーネス12が接続される。
【0040】
分岐ボックス100Bは、上述した分岐ボックス100Aのような回路基板60を備えず、バスバー部53を有する接続端子50Bを備えている。バスバー部53は、接続板部51から下方へ延び、さらに幹線ハーネス11の長手方向と直交する電源系ライン21の配列方向へ延在されている。各電源系ライン21の丸棒導体13には、コネクタ62のハウジング63に穿設された対応する挿通孔63aとの距離に応じてバスバー部53の長さが異なる接続端子50Bが接続される。そして、それぞれの接続端子50Bのバスバー部53の端部は、タブ端子としてコネクタ62の挿通孔63aを貫通してハウジング63内に収容される。
【0041】
また、この分岐ボックス100Bの下ケース31には、幹線収容溝31a及びバスバー部収容溝31bが形成されている。幹線収容溝31aには、幹線ハーネス11の各電源系ライン21が収容されて保持される。また、バスバー部収容溝31bには、電源系ライン21に接続された各接続端子50Bのバスバー部53が収容されて保持される。
【0042】
本第2実施形態では、分岐ボックス100Bのコネクタ62に枝線ハーネス12の分岐側コネクタ70が接続されることで、枝線ハーネス12を構成する分岐線71が、接続端子50Bを介して幹線ハーネス11の電源系ライン21と電気的に接続される。
【0043】
この本第2実施形態の場合も、分岐線71を電源系ライン21に接続するための接続端子50Bが電源系ライン21の配列方向へ出っ張ることがない。従って、電源系ライン21同士の間隔を極力狭めることができ、分岐箇所の省スペース化が図れ、また、大きな接触面積を確保して接続信頼性を高めることができる。
【0044】
特に、本第2実施形態では、バスバー部53を有する接続端子50Bを用いることで回路基板60を不要にできるので、部品点数の削減によるコストダウンを図ることができる。
【0045】
なお、本第2実施形態の場合も、上記本第1実施形態の場合と同様に、下ケース31にカバー32を装着することで、電源系ライン21を接続端子50Bの接続板部51に押し付けて電源系ライン21における丸棒導体13の外周面と接続板部51の接合面52とを接合させても良い。
【0046】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態に係る分岐構造を有する分岐ボックス100Cの分解斜視図である。図7は、図6に示した分岐ボックス100Cにおける分岐箇所の要部断面図である。図8は、図6に示した分岐ボックス100Cの組立手順を示す図であって、図8(a)〜図8(c)は、各工程における斜視図である。
【0047】
図6及び図7に示すように、本第3実施形態に係る分岐構造では、上述した分岐ボックス100Aのような接続端子50を備えない分岐ボックス100Cを用いて幹線ハーネス11に枝線ハーネス12が接続される。即ち、分岐ボックス100Cは、幹線ハーネス11の電源系ライン21と回路基板60とを直接接続させている。また、本第3実施形態では、幹線ハーネス11の電源系ライン21が分割されている。
【0048】
本第3実施形態では、回路基板60として、可撓性を有する基板であるフレキシブル配線板が用いられている。この回路基板60における電源系ライン21の配列方向に沿う両方の縁部には、それぞれ電源系ライン21と同数の接触片65が形成されている。これらの接触片65は、帯状に形成されており、電源系ライン21と同ピッチで電源系ライン21の配列方向に形成されている。
【0049】
回路基板60上には、ハウジング底板81及び弾性部材82が設けられている。ハウジング底板81は、合成樹脂から形成された平面視矩形状の板体であり、弾性部材82を介装した状態でハウジング90の下面側に取り付けられている。弾性部材82は、板バネからなるもので、回路基板60の上面側に、ハウジング底板81を介して重ねられている。弾性部材82には、電源系ライン21の配列方向に沿う両方の縁部に、それぞれ電源系ライン21と同数の弾性片82aが形成されている。これらの弾性片82aは、電源系ライン21と同ピッチで電源系ライン21の配列方向に形成されており、それぞれ上方に突出するように湾曲されている。
【0050】
回路基板60に設けられた帯状の接触片65は、回路基板60に対してそれぞれ上面側へ折り返されている。そして、これらの接触片65は、回路基板60上に重ねられた弾性部材82の各弾性片82aを覆うように配置されている。この回路基板60に設けられた接触片65には、コネクタ62のタブ端子64に繋がる導体パターンが延在されている。また、回路基板60には、互いに対向する接触片65を繋ぐ導体パターンが形成されている。これらの折り返された接触片65には、その上部に分割された電源系ライン21の各端部が配置される。また、接触片65には、ソルダーレジストの一部が剥がされ、導体パターンの一部が露出された導体露出部65aが設けられている(図8(b)参照)。
【0051】
回路基板60の上部には、合成樹脂から形成されたハウジング90が設けられている。このハウジング90には、回路基板60に面する下面側に、幹線ハーネス11の長手方向に沿う幹線導入溝91が形成されている。これらの幹線導入溝91は、電源系ライン21と同一ピッチで電源系ライン21の配列方向に形成されている。また、ハウジング90には、下面側における幹線ハーネス11の長手方向の中央部分に、隔壁部92が形成されている。
【0052】
このハウジング90は、回路基板60の上面側に被せるように配置される。回路基板60の上面にハウジング90を被せると、回路基板60の弾性片82aを覆うように配置された接触片65が幹線導入溝91内にそれぞれ配置される。この幹線導入溝91には、それぞれ分割された電源系ライン21の端部が挿し込まれる。
【0053】
回路基板60に対して、ハウジング底板81、弾性部材82及びハウジング90を組み付けるには、図8(a)に示すように、接触片65が延ばされた状態の回路基板60を用意し、図8(b)に示すように、回路基板60にハウジング底板81及び弾性部材82を順に重ねる。そして、回路基板60の両縁から延びる接触片65を回路基板60の上面側へ折り返し、弾性部材82の各弾性片82aを覆うように配置させる。
さらに、図8(c)に示すように、回路基板60の上面側にハウジング90を被せてハウジング底板81に固定し、回路基板60の弾性片82aを覆うように配置された接触片65を各幹線導入溝91内に配置させる。
【0054】
その後、この回路基板60、ハウジング底板81、弾性部材82及びハウジング90からなる組立体を下ケース31内に収容し、下ケース31にカバー32を被せて装着する。
【0055】
このようにして組み立てた分岐ボックス100Cでは、下ケース31の幹線挿通凹部35aと連通するハウジング90の幹線導入溝91に、絶縁被覆15を剥がして丸棒導体13を露出させた電源系ライン21の端部を挿し込む。すると、電源系ライン21の丸棒導体13には、幹線導入溝91内に配置された接触片65の導体露出部65aが弾性片82aの弾性力によって押し付けられ、回路基板60の導体パターンが接触される。これにより、それぞれのタブ端子64に繋がる回路基板60の導体パターンが各電源系ライン21と導通され、また、対向位置で幹線導入溝91に挿し込まれた電源系ライン21同士が導体パターンによって互いに導通される。
【0056】
本第3実施形態では、分岐ボックス100Cのコネクタ62に枝線ハーネス12の分岐側コネクタ70が接続されることで、枝線ハーネス12を構成する分岐線71が、回路基板60の導体パターンを介して、幹線ハーネス11の分割された電源系ライン21と電気的に接続される。また、本第3実施形態では、分割された電源系ライン21同士が回路基板60の導体パターンによって電気的に接続される。
【0057】
このように、本第3実施形態によれば、電源系ライン21の端部を幹線導入溝91へ挿し込むことで、電源系ライン21と分岐線71とを容易に電気的に接続することができる。また、電源系ライン21と分岐線71とを電気的に接続するためのバスバーや端子などの部品を不要にでき、部品点数の削減によりコストを抑えることができる。
【0058】
特に、本第3実施形態によれば、分割された電源系ライン21同士を回路基板60の導体パターンによって電気的に接続するので、幹線導入溝91の向きを変えて電源系ライン21の接続方向を調整することで、分割された電源系ライン21の接続箇所に角度を付けることができる。これにより、必要に応じて幹線ハーネス11の配索経路を屈曲させることができ、配索の自由度を高めることができる。また、幹線導入溝91への電源系ライン21の挿入箇所において、幹線ハーネス11の配索経路の長さのばらつきを吸収しつつ配索することができ、配索作業性を向上させることができる。
【0059】
なお、本第3実施形態では、フレキシブル配線板を回路基板60として用いた場合を例示したが、回路基板60として硬質基板を用いても良い。この場合、硬質基板からなる回路基板60の両縁部に可撓性を有する帯状の接触片65を設けることとなる。
【0060】
ところで、ワイヤハーネス10は、車体1の形状等に応じて、幹線ハーネス11の配索経路を屈曲させる必要が生じる場合がある。したがって、このような幹線ハーネス11の配索経路を屈曲させる場合では、上記分岐ボックス100Cを用いることで、幹線ハーネス11の配索経路を容易に屈曲させることができる。
【0061】
ここで、幹線ハーネス11の配索経路を屈曲させたワイヤハーネス10Aについて説明する。
図9は、配索経路に屈曲部分を有するワイヤハーネス10Aを説明するワイヤハーネスの平面図である。
【0062】
図9に示すように、このワイヤハーネス10Aは、幹線ハーネス11に対する枝線ハーネス12の分岐箇所で幹線ハーネス11の配索経路が屈曲されている。このようなワイヤハーネス10Aでは、幹線ハーネス11と枝線ハーネス12との接続箇所に、幹線ハーネス11の配索方向を屈曲させることが可能な分岐ボックス100Cが設けられる。
即ち、このワイヤハーネス10Aでは、分岐ボックス100Cによって幹線ハーネス11に枝線ハーネス12が電気的に接続されて幹線ハーネス11から枝線ハーネス12が分岐されており、さらに、幹線ハーネス11の配索経路が屈曲されている。
【0063】
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態に係る分岐構造を有する分岐ボックス100Dの分解斜視図である。図11は、図10に示した分岐ボックス100Dの組立手順を示す図であって、図11(a)〜図11(c)は、各工程における斜視図である。
図10に示すように、本第4実施形態に係る分岐構造では、分岐ボックス100Dを用いて幹線ハーネス11に枝線ハーネス12が接続される。
【0064】
回路基板60は、コネクタ62と反対側の縁部に、可撓基板部66が設けられている。この可撓基板部66は、フレキシブル配線板等の可撓性を有する基板であり、回路基板60に対して折り返されて上面側に配置されている。この回路基板60に設けられた可撓基板部66には、コネクタ62のタブ端子64に繋がる導体パターン73が延在されている。
【0065】
また、この回路基板60には、その上面側に、スペーサ85が重ね合わされており、回路基板60の上面側に折り返された可撓基板部66が、スペーサ85の上面側に重ねられている。スペーサ85は、合成樹脂から形成されたもので、可撓基板部66が重ねられる上面側には、幹線ハーネス11の長手方向に沿う保持溝部86が形成されている。保持溝部86は、電源系ライン21の本数と同数形成されており、幹線ハーネス11の各電源系ライン21に対応するように、電源系ライン21と同ピッチで電源系ライン21の配列方向に並んだ位置に形成されている。保持溝部86は、電源系ライン21の外形に沿う形状とされている。具体的には、電源系ライン21における丸棒導体13に合わせて断面視で円弧状に凹んだ形状とされている。
【0066】
このスペーサ85の上面側に重ねられた回路基板60の可撓基板部66は、保持溝部86を有するスペーサ85の上面に沿う形状とされる。この可撓基板部66の上部には、スペーサ85の保持溝部86に対応する位置に幹線ハーネス11の電源系ライン21がそれぞれ配置される。また、可撓基板部66は、それぞれの電源系ライン21が配置される部分において、ソルダーレジストの一部が剥がされている。これにより、これらの電源系ライン21が配置される部分には、ソルダーレジストが剥がされた部分に、タブ端子64から延びる導体パターン73の一部が露出された導体露出部66aが設けられている。そして、それぞれの電源系ライン21における絶縁被覆15を剥がして露出させた丸棒導体13は、導体露出部66aで露出されている導体パターン73に対して、例えば、はんだ付けや超音波接合によって接合される。
【0067】
回路基板60へスペーサ85を組み付けるには、図11(a)に示すように、可撓基板部66を折り返す前の回路基板60を用意し、図11(b)に示すように、可撓基板部66を回路基板60の上面側へ折り返すとともに、回路基板60と可撓基板部66との間に、保持溝部86を上方に向けたスペーサ85を挿し込む。
そして、図11(c)に示すように、回路基板60と可撓基板部66との間にスペーサ85が配置され、このスペーサ85の上面側の可撓基板部66が、保持溝部86を有するスペーサ85の上面に沿う形状とされる。
【0068】
その後、回路基板60の可撓基板部66の上面側におけるスペーサ85の保持溝部86に対応する位置に電源系ライン21を載せ、可撓基板部66の導体露出部66aで露出されている導体パターン73と電源系ライン21の丸棒導体13とを接合させる。これにより、電源系ライン21は、タブ端子64に繋がる回路基板60の導体パターン73と導通される。
【0069】
本第4実施形態では、分岐ボックス100Dのコネクタ62に枝線ハーネス12の分岐側コネクタ70が接続されることで、枝線ハーネス12を構成する分岐線71が、可撓基板部66を有する回路基板60の導体パターン73を介して幹線ハーネス11の電源系ライン21と電気的に接続される。
【0070】
このように、本第4実施形態によれば、スペーサ85の保持溝部86によって形成された可撓基板部66の窪みに電源系ライン21を嵌め込み、電源系ライン21の丸棒導体13と導体露出部66aで露出されている導体パターン73とを接合させることで、電源系ライン21と分岐線71とを容易に電気的に接続することができる。また、電源系ライン21と分岐線71とを電気的に接続するためのバスバーや端子などの部品を不要にでき、部品点数の削減によりコストを抑えることができる。
【0071】
なお、本第4実施形態では、可撓基板部66を含む回路基板60の全部をフレキシブル配線板としても良い。
また、回路基板60と可撓基板部66との間にスペーサ85を配置した後、可撓基板部66の上面側におけるスペーサ85の保持溝部86に対応する位置に折り返し側から順に各電源系ライン21を押し付け、可撓基板部66が保持溝部86を有するスペーサ85の上面に沿う形状に形成されながら丸棒導体13と導体露出部66aとを接合することもできる。
【0072】
(第5実施形態)
図12は、本発明の第5実施形態に係る分岐構造を有する分岐ボックス100Eの分解斜視図である。
図12に示すように、本第5実施形態に係る分岐構造では、分岐ボックス100Eを用いて幹線ハーネス11に枝線ハーネス12が接続される。
【0073】
本第5実施形態では、回路基板60に接続基板部67が設けられている。接続基板部67は、回路基板60における電源系ライン21の配列方向に沿う一方の縁部にフレキシブル配線板等からなる可撓部68によって連結されている。接続基板部67は、可撓部68を屈曲させることで、端縁部が電源系ライン21側である上方へ向けられており、回路基板60を下ケース31に収容させることで、下ケース31の端面板部35によって押圧付勢され、端縁部が上方へ向けられた姿勢に維持される。
【0074】
この接続基板部67の端縁部には、保持凹部67aが形成されている。保持凹部67aは、電源系ライン21の本数と同数形成されており、幹線ハーネス11の各電源系ライン21に対応するように、電源系ライン21と同ピッチで電源系ライン21の配列方向に並んだ位置に形成されている。保持凹部67aは、電源系ライン21における丸棒導体13の外形に沿う形状とされている。具体的には、電源系ライン21の丸棒導体13の外周面に合わせて円弧状に凹んだ形状とされている。
【0075】
接続基板部67の保持凹部67aの内面には、回路基板60に形成されてタブ端子64に繋がる導体パターン75が、可撓部68を介して導かれている。これらの保持凹部67aには、それぞれ電源系ライン21における絶縁被覆15を剥がして露出させた丸棒導体13が嵌め込まれる。そして、それぞれの電源系ライン21における丸棒導体13は、回路基板60の保持凹部67aの内面に導かれた導体パターン75に対して、例えば、はんだ付けや超音波接合によって接合される。これにより、それぞれのタブ端子64に繋がる回路基板60の導体パターン75が各電源系ライン21と導通される。
【0076】
本第5実施形態では、分岐ボックス100Eのコネクタ62に枝線ハーネス12の分岐側コネクタ70が接続されることで、枝線ハーネス12を構成する分岐線71が、接続基板部67を有する回路基板60の導体パターン75を介して幹線ハーネス11の電源系ライン21と電気的に接続される。
【0077】
このように、本第5実施形態によれば、回路基板60の接続基板部67の保持凹部67aの内面に導かれている導体パターン75に電源系ライン21を導通させることで、電源系ライン21と分岐線71とを容易に電気的に接続することができる。また、電源系ライン21と分岐線71とを電気的に接続するためのバスバーや端子などの部品を不要にでき、部品点数の削減によりコストを抑えることができる。
【0078】
また、本第5実施形態においては、回路基板60の両縁部に接続基板部67を設け、それぞれの接続基板部67の保持凹部67aで分割された電源系ライン21の各端部を接合させる構造としても良い。このような構造にすれば、分割された電源系ライン21の接続箇所に角度を付けることができる。これにより、必要に応じて幹線ハーネス11の配索経路を屈曲させることができ、配索の自由度を高めることができる。
【0079】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0080】
例えば、電源系ライン21は、分岐線71との接続の際に、予め設けられた絶縁被覆15を除去して接続箇所の丸棒導体13を露出させても良く、また、接続箇所を除く他の部分に後工程で絶縁被覆15を設けても良い。
【0081】
ここで、上述した本発明に係る分岐構造及びワイヤハーネスの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 棒導体(丸棒導体13)を有する配索材で構成される複数本の幹線(電源系ライン21)が並列に配列された幹線ハーネス(11)に、複数本の分岐線(71)を有する枝線ハーネス(12)が接続された分岐構造であって、
前記幹線に接合されることで前記分岐線を前記幹線に電気的に接続する接続端子(50,50B)は、前記幹線の幅(直径D)より小さい幅寸法(W)を有するとともに、前記幹線における前記棒導体の外周面に面接触した状態で接合される接続板部(51)を備え、
前記接続板部が、前記幹線に対して、その配列方向と直交する位置に接合されている
ことを特徴とする分岐構造。
[2] 前記接続端子(50)は、前記幹線(電源系ライン21)の配列方向に沿って配置される回路基板(60)に実装され、前記回路基板に設けたコネクタ(62)に前記枝線ハーネス(12)側のコネクタ(分岐側コネクタ70)が接合されることで前記分岐線(71)と導通される
ことを特徴とする上記[1]に記載の分岐構造。
[3] 前記接続端子(50B)は、前記接続板部(51)から前記幹線(電源系ライン21)の配列方向に沿って延在するバスバー部(53)を有し、前記バスバー部(53)の端部に設けたコネクタ(62)に前記枝線ハーネス(12)側のコネクタ(分岐側コネクタ70)が接合されることで前記分岐線(71)と導通される
ことを特徴とする上記[1]に記載の分岐構造。
[4] 所定の電流容量を有する電源系ライン(21)を少なくとも有して車体(1)に配索される前記幹線ハーネス(11)と、
車両の補機に接続される前記枝線ハーネス(12)と、
前記幹線ハーネスに供給される前記電源系ラインの電力を前記幹線ハーネスに接続される前記枝線ハーネスへ分配するための制御部を有し、前記幹線ハーネスに沿って分散配置された複数の制御ボックス(E1〜E5)と、を備え、
前記制御ボックスが、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の分岐構造によって前記幹線ハーネスに前記枝線ハーネスを接続している
ことを特徴とするワイヤハーネス(10)。
【符号の説明】
【0082】
1:車体
10:ワイヤハーネス
11:幹線ハーネス
12:枝線ハーネス
13:丸棒導体(棒導体)
21:電源系ライン(幹線)
50,50B:接続端子
51:接続板部
53:バスバー部
60:回路基板
62:コネクタ
70:分岐側コネクタ(コネクタ)
71:分岐線
100A〜100E:分岐ボックス
E1〜E5:制御ボックス
D:直径
W:幅寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12