特許第6562888号(P6562888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562888
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】苗箱補給装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 7/08 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   A01C7/08 320A
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-211145(P2016-211145)
(22)【出願日】2016年10月27日
(65)【公開番号】特開2017-86067(P2017-86067A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年11月9日
(31)【優先権主張番号】特願2015-217996(P2015-217996)
(32)【優先日】2015年11月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000100469
【氏名又は名称】みのる産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108958
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 英一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 明
(72)【発明者】
【氏名】木下 正
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 譲
(72)【発明者】
【氏名】岡本 庄平
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−205831(JP,A)
【文献】 特開平3−95024(JP,A)
【文献】 特開平8−331915(JP,A)
【文献】 特開平2−152821(JP,A)
【文献】 実開昭50−1449(JP,U)
【文献】 特開2002−128276(JP,A)
【文献】 実開平1−111629(JP,U)
【文献】 米国特許第3623618(US,A)
【文献】 特開2002−95313(JP,A)
【文献】 特開平8−331981(JP,A)
【文献】 特開2002−45049(JP,A)
【文献】 実開昭63−139228(JP,U)
【文献】 特開昭59−196010(JP,A)
【文献】 特開2010−124729(JP,A)
【文献】 特開2001−251912(JP,A)
【文献】 特開昭61−86315(JP,A)
【文献】 特開平3−243530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 7/00− 9/08
A01C 11/00−14/00
B65G 59/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空の苗箱を上方から受け入れて段積状態で収容する苗箱収容部を備えるとともに、該苗箱収容部内の最下段の苗箱を1枚ずつ取り出して送出するように構成された苗箱供給装置に対して、苗箱を補給するための苗箱補給装置であって、
前記苗箱収容部の上側に配設され、空の苗箱を上方から受け入れて段積状態で収容する補給用苗箱収容部と、
該補給用苗箱収容部内の最下段の苗箱から少なくとも1枚ずつ取り出して、前記苗箱収容部内に落下させる補給用苗箱取出部と、
前記苗箱収容部に新たな苗箱を受け入れ可能な余地が存在しているか否かを検知する苗箱供給状態検知部と、
前記苗箱供給状態検知部により前記余地の存在を検知すると、前記補給用苗箱取出部を作動させ、前記苗箱供給状態検知部により前記余地の不存在を検知すると、前記補給用苗箱取出部を停止させるように制御する制御部と
を備えている苗箱補給装置。
【請求項2】
前記苗箱は、可撓性を有する樹脂材料からなり、長辺方向及び短辺方向に格子状の配列で多数のポットが形成されているとともに、長辺側縁部に該苗箱を1ポットピッチずつ移送するための送り穴が列設されているものであり、
前記補給用苗箱取出部は、前記補給用苗箱収容部内で段積状態で収容された苗箱を下方へ移送する苗箱移送手段と、該補給用苗箱収容部内における最下段の苗箱から少なくとも1枚ずつ取り出す苗箱取出手段と、該苗箱移送手段及び該苗箱取出手段を駆動する駆動手段とを備え、
前記苗箱移送手段は、前記補給用苗箱収容部の前後それぞれに設けられ、左右方向に延びる一対の移送軸と、該各移送軸に軸長方向へ間隔を置いて列設された複数の歯車とを備え、
前記各移送軸に設けられた歯車は、前記最下段の苗箱の前後の短辺側縁部を、該補給用苗箱収容部の内側に位置する歯で支持するとともに、該内側に位置する歯が下方に移動するように各移送軸が回転駆動されることにより、前記苗箱を下方に移送するように構成されている請求項1記載の苗箱補給装置。
【請求項3】
前記移送軸には、前記苗箱の短辺側縁部における両側部を支持するように前記歯車を列設し、同中央部を支持する前記歯車を設けておらず、
前記苗箱取出手段は、前記補給用苗箱収容部の左右それぞれに設けられ、前後方向に延びる一対の回転軸と、該各回転軸に軸長方向へ間隔をおいて列設された前後一対の回転爪とを備え、該各回転爪は、前記補給用苗箱収容部の内側において下方に移動する方向へ回転するとともに、左右同一のタイミングで前記苗箱に作用することにより、前記最下段の苗箱から少なくとも1枚ずつ掻き落とすように構成されている請求項2記載の苗箱補給装置。
【請求項4】
前記歯車は、前記歯の先端部が該歯車の周方向へ幅広に形成されるとともに、該先端部における周方向の両端部及び該両端部の間にアールが設けられている請求項2又は3記載の苗箱補給装置。
【請求項5】
前記補給用苗箱収容部内の苗箱は、前記苗箱移送手段により前後の短辺側縁部が支持されることにより、長辺方向の中央部が撓んだ状態になっており、
前記回転爪は、その先端縁が、前記回転軸の軸心よりも上側にあるときに前記苗箱の長辺側縁部に接触するように構成されており、
前記先端縁は、前記接触時において、前記撓んだ状態の苗箱の長辺側縁部に略平行になる形状に形成されている請求項2〜4のいずれか一項に記載の苗箱補給装置。
【請求項6】
前記補給用苗箱収容部内で段積状態で収容された苗箱から前記補給用苗箱取出部が落下させようとした少なくとも1枚の苗箱が、前記段済み状態の苗箱から落下したか否かを検知する苗箱落下検知部を備え、
前記制御部は、前記少なくとも1枚の苗箱が落下していない不具合状態を前記苗箱落下検知部が検知すると、前記補給用苗箱取出部が前記苗箱を1回取り出すときに掛かる時間より長く且つ同2回取り出すときに掛かる時間より短く設定された所定時間が経過するまで待ち、それでも前記不具合状態が検知され続けているときに、前記補給用苗箱取出部を停止させるように構成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の苗箱補給装置。
【請求項7】
前記補給用苗箱収容部及び前記補給用苗箱取出部は、前記苗箱供給装置を跨ぐように門型に構成されたフレームにより、該苗箱供給装置とは独立して支持面に支持されるように構成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の苗箱補給装置。
【請求項8】
前記フレームは、移動用の車輪を備えている請求項7記載の苗箱補給装置。
【請求項9】
前記フレームは、平面視で前記苗箱収容部の上側における所定位置に前記補給用苗箱収容部を位置決めするための位置決め手段を備えている請求項7又は8に記載の苗箱補給装置。
【請求項10】
前記補給用苗箱収容部に段積された空の苗箱の数が所定数以下となる要補充状態であることを検知する要補充状態検知部を備え、
前記制御部は、該要補充状態検知部により該要補充状態を検知すると、前記補給用苗箱取出部を停止させるように構成されている請求項1〜9のいずれか一項に記載の苗箱補給装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記要補充状態を検知すると、要補充状態であることを示す要補充状態アラーム信号を外部に出力するように構成されている請求項10記載の苗箱補給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、播種機の苗箱供給装置に対して苗箱を補給する苗箱補給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポット苗の育成に使用される苗箱10は、図11(a)及び(b)に示すように、可撓性を有する樹脂材料で矩形状に形成され、長辺方向及び短辺方向に格子状の配列で多数のポット11が形成されている。苗箱10の長辺側縁部10aには、長辺方向におけるポット11と同一ピッチで矩形の送り穴12が設けられている。苗箱10の下面において、両側の短辺側縁部10bの中点箇所を結ぶ箇所には、隣接するポット11の間隔をあけて連続溝10cを形成するとともに、中央部分には突起10dを二箇所突出している。突起10dは苗箱10を搬送したり、苗箱10を位置決めしたりするために設けられている。苗箱10は、長辺方向及び短辺方向ともに中心線に対し線対称に構成されている。
【0003】
特許文献1に開示されている従来の苗箱供給装置91は、図12に示すように空の苗箱を段積み状態で収容する苗箱収容部92と、該苗箱収容部92から最下段の苗箱を一枚ずつ掻き落として取り出す苗箱取出部93とを備えており、これにより空の苗箱を一枚ずつ播種部94に供給するように構成されている。
【0004】
苗箱取出部93は、最下段の苗箱の両側縁を受ける突出位置及び受けない後退位置の間で往復動するように対向して設けられた一対の掛止爪95と、下から二段目の苗箱の両側縁を受ける突出位置及び受けない後退位置の間で掛止爪95と交互に往復動するように対向して設けられた一対の受爪96と、掛止爪95が後退位置かつ受爪96が突出位置となっているときに最下段の苗箱を掻き落とす掻落爪97とを備えている。
【0005】
図13を参照しながら、この苗箱供給装置91の動作を段階ごとに順を追って説明する。なお、最初は同図(a)に示すように掛止爪95上に苗箱10が多数段積みされた状態にあるものとする。
【0006】
まず、受爪96が下から二段目の苗箱10の側縁に掛止するように突出するとともに、受爪96の突出に対応して掛止爪95が後退する(同図(b)参照)。次いで、受爪96には下から二段目の苗箱10が支持されるとともに、最下段の苗箱10は掛止爪95の掛止を解かれる(同図(c)参照)。このとき、掻落爪97が最下段の苗箱10の側縁を押し下げるように下方へ回転し、該苗箱10を掻き落として一枚の苗箱10を取り出す。次いで、受爪96が後退するとともに、該受爪96の後退に対応して掛止爪95が突出する(同図(d)参照)。その後、受爪96の後退により、該受爪96上に支持されていた苗箱10が掛止爪95上に落下し、該掛止爪95に両側縁が支持される(同図(a)参照)。以上を繰り返すことにより、苗箱10を一枚ずつ取り出して供給するようになっている。
【0007】
苗箱収容部92への苗箱10の補給は、該苗箱収容部92内の苗箱10の減り具合に応じて適宜人手により行われており、図13(a)に示す両掛止爪95が最も突出した状態、即ち最下段の苗箱10の両側縁を確実に掛止している状態となるタイミングで、補給用の苗箱10が苗箱収容部92内の苗箱10上に載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭58−138307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、苗箱収容部92は、掛止爪95又は受爪96で苗箱10の側縁を掛止して支持するように構成されているので、該側縁が支持可能な重量、即ち該側縁の強度によって苗箱収容部92に収容可能な苗箱10の数(例えば20枚程度)が制限される。このため、苗箱収容部92に収容可能な数を大幅に超える大量の苗箱10を処理する必要があるときは、苗箱収容部92内の苗箱10が無くならないように苗箱10を定期的に補給する必要があり、この作業に一人の専任作業者が必要となるという課題がある。
【0010】
また、苗箱10の補給を人手により行っているので、作業者が補給作業に慣れていなかったり、作業者の注意が散漫になっていたりすると、苗箱10を載置するタイミングがずれることがある。特に、図13(b)又は(d)の状態のように、掛止爪95及び受爪96の先端位置が平面視で略一致している状態(掛止爪95及び受爪96がそれぞれ突出位置及び後退位置の中間にある状態)では、掛止爪95及び受爪96による側縁の掛止が浅いので、苗箱収容部92内の最上段の苗箱10から上方に離れた位置から補給用の段積された複数の苗箱10を苗箱収容部92内へ落とし込むと、その衝撃で側縁が掛止爪95や受爪96の掛止を外れることがある。このため苗箱収容部92内の苗箱10が落下してしまい、作業が中断して効率が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、第1の発明の苗箱補給装置は、
空の苗箱を上方から受け入れて段積状態で収容する苗箱収容部を備えるとともに、該苗箱収容部内の最下段の苗箱を1枚ずつ取り出して送出するように構成された苗箱供給装置に対して、苗箱を補給するための苗箱補給装置であって、
前記苗箱収容部の上側に配設され、空の苗箱を上方から受け入れて段積状態で収容する補給用苗箱収容部と、
該補給用苗箱収容部内の最下段の苗箱から少なくとも1枚ずつ取り出して、前記苗箱収容部内に落下させる補給用苗箱取出部と、
前記苗箱収容部に新たな苗箱を受け入れ可能な余地が存在しているか否かを検知する苗箱供給状態検知部と、
前記苗箱供給状態検知部により、前記余地の存在を検知すると前記補給用苗箱取出部を作動させ、前記余地の不存在を検知すると前記補給用苗箱取出部を停止させるように制御する制御部と
を備えている。
【0012】
この構成によれば、前記補給用苗箱収容部に補給用の苗箱を入れておくと、その苗箱を自動的に前記苗箱収容部に補給するように構成されているので、作業者が補給用の苗箱を補給する時間間隔を延長することができる。また、前記補給用苗箱収容部内の最下段の苗箱から少なくとも1枚ずつ取り出して、前記苗箱収容部内に落下させるように構成しているので、その取り出す枚数を少なく設定しておけば、該取り出した苗箱が前記苗箱収容部に落下するときの衝撃を小さくすることができ、該苗箱収容部でのトラブルの発生を防止できる。
【0013】
第2の発明の苗箱補給装置としては、前記第1の発明において、
前記苗箱は、可撓性を有する樹脂材料からなり、長辺方向及び短辺方向に格子状の配列で多数のポットが形成されているとともに、長辺側縁部に該苗箱を1ポットピッチずつ移送するための送り穴が列設されているものであり、
前記補給用苗箱取出部は、前記補給用苗箱収容部内で段積状態で収容された苗箱を下方へ移送する苗箱移送手段と、該補給用苗箱収容部内における最下段の苗箱から少なくとも1枚ずつ取り出す苗箱取出手段と、該苗箱移送手段及び該苗箱取出手段を駆動する駆動手段とを備え、
前記苗箱移送手段は、前記補給用苗箱収容部の前後それぞれに設けられ、左右方向に延びる一対の移送軸と、該各移送軸に軸長方向へ間隔を置いて列設された複数の歯車とを備え、
前記各移送軸に設けられた歯車は、前記最下段の苗箱の前後の短辺側縁部を、該補給用苗箱収容部の内側に位置する歯で支持するとともに、該内側に位置する歯が下方に移動するように各移送軸が回転駆動されることにより、前記苗箱を下方に移送するように構成されている態様を例示する。
【0014】
このように、前記苗箱移送手段は、前記歯車により前記苗箱の短辺側縁部を支持するように構成されている。その理由は、前記段積された苗箱同士は、互いのポット同士が嵌合することにより、一体化して全体の剛性が格段に向上するようになっているため、前記送り穴の存在によりポットから離れている長辺側縁部を支持するよりも、ポットから近い短辺側縁部を支持した方が、前記苗箱が変形し難いからであり、それによって前記補給用苗箱収容部内に多数の苗箱の段積が可能になるからである。
【0015】
第3の発明の苗箱補給装置としては、前記第2の発明において、
前記移送軸には、前記苗箱の短辺側縁部における両側部を支持するように前記歯車を列設し、同中央部を支持する前記歯車を設けておらず、
前記苗箱取出手段は、前記補給用苗箱収容部の左右それぞれに設けられ、前後方向に延びる一対の回転軸と、該各回転軸に軸長方向へ間隔をおいて列設された前後一対の回転爪とを備え、該各回転爪は、前記補給用苗箱収容部の内側において下方に移動する方向へ回転するとともに、左右同一のタイミングで前記苗箱に作用することにより、前記最下段の苗箱から少なくとも1枚ずつ掻き落とすように構成されている態様を例示する。
【0016】
この構成によれば、左右の前記回転軸に列設された前記回転爪は同一のタイミングで前記苗箱に作用するので、可撓性を有する樹脂材料で形成された該苗箱は、短辺側の中央部が一時的に変形し、その上側の苗箱の嵌合から外れるようになっているため、そのような作用を阻害しないようにするために、前記移送軸には該苗箱の短辺側縁部における中央部を支持するための前記歯車を設けていない。
【0017】
第4の発明の苗箱補給装置としては、前記第2又は3の発明において、
前記歯車は、前記歯の先端部が該歯車の周方向へ幅広に形成されるとともに、該先端部における周方向の両端部及び該両端部の間にアールが設けられている態様を例示する。
【0018】
前記歯の先端部が尖っていると、前記段積された苗箱同士の隙間が、破損、変形等により通常より狭かったり、広かったりした場合に、該歯が前記隙間に入り込むことができなかったり、該歯の先端が前記短辺側縁部の端面に突き当たって食い込んだりすることがあり、それによって前後の前記歯車に前記苗箱が水平に支持されず、前記苗箱が前後に片落ちすることがあるが、本構成によれば、それを防止することができる。
【0019】
第5の発明の苗箱補給装置としては、前記第2〜4のいずれかの発明において、
前記補給用苗箱収容部内の苗箱は、前記苗箱移送手段により前後の短辺側縁部が支持されることにより、長辺方向の中央部が撓んだ状態になっており、
前記回転爪は、その先端縁が、前記回転軸の軸心よりも上側にあるときに前記苗箱の長辺側縁部に接触するように構成されており、
前記先端縁は、前記接触時において、前記撓んだ状態の苗箱の長辺側縁部に略平行になる形状に形成されている態様を例示する。
【0020】
この構成によれば、前記回転爪の先端縁が前記撓んだ状態の苗箱の長辺側縁部に広く接触するので、前記苗箱を確実に掻き落とすことができる。このように構成していない場合、前記回転爪の先端縁の端のみが点当たりの状態で前記苗箱に接触するので、力が均等に加わらず、該苗箱の片落ち等の不具合の原因になることがある。
【0021】
第6の発明の苗箱補給装置としては、前記第1〜5のいずれかの発明において、
前記補給用苗箱収容部内で段積状態で収容された苗箱から前記補給用苗箱取出部が落下させようとした少なくとも1枚の苗箱が、前記段済み状態の苗箱から落下したか否かを検知する苗箱落下検知部を備え、
前記制御部は、前記少なくとも1枚の苗箱が落下していない不具合状態を前記苗箱落下検知部が検知すると、前記補給用苗箱取出部が前記苗箱を1回取り出すときに掛かる時間より長く且つ同2回取り出すときに掛かる時間より短く設定された所定時間が経過するまで待ち、それでも前記不具合状態が検知され続けているときに、前記補給用苗箱取出部を停止させるように構成されている態様を例示する。
【0022】
この構成によれば、前記不具合状態が一旦検知されてから前記所定時間が経過するまでの間に、前記不具合状態が検知されなくなったときは、前記補給用苗箱取出部が前記苗箱を2回取り出すときの合計枚数の前記苗箱が一度に取り出されたことになる。このとき、その一度に落下した苗箱の塊は、前記補給用苗箱取出部が作用することにより、前記苗箱同士の結合がほぐされた状態になっており、その後に前記苗箱供給装置において適切に処理される可能性が高い。そのため、このときには、前記補給用苗箱取出部を停止させないようにしている。
【0023】
第7の発明の苗箱補給装置としては、前記第1〜6のいずれかの発明において、
前記補給用苗箱収容部及び前記補給用苗箱取出部は、前記苗箱供給装置を跨ぐように門型に構成されたフレームにより、該苗箱供給装置とは独立して支持面に支持されるように構成されている態様を例示する。
【0024】
この構成によれば、前記苗箱供給装置の形状に関わらず、該苗箱供給装置の前記苗箱収容部の上側に前記補給用苗箱収容部を容易に配設することができる。
【0025】
第8の発明の苗箱補給装置としては、前記第7の発明において、
前記フレームは、移動用の車輪を備えている態様を例示する。
【0026】
この構成によれば、前記苗箱供給装置でトラブルが発生したときに、前記苗箱供給装置から本発明の苗箱補給装置を容易に取り外すことができる。
【0027】
第9の発明の苗箱補給装置としては、前記第7又は8の発明において、
前記フレームは、平面視で前記苗箱収容部の上側における所定位置に前記補給用苗箱収容部を位置決めするための位置決め手段を備えている態様を例示する。
【0028】
この構成によれば、前記苗箱供給装置の前記苗箱収容部の上側における所定位置に、前記補給用苗箱収容部を容易に配設することができる。
【0029】
第10の発明の苗箱補給装置としては、前記第1〜9のいずれかの発明において、
前記補給用苗箱収容部に段積された空の苗箱の数が所定数以下となる要補充状態であることを検知する要補充状態検知部を備え、
前記制御部は、該要補充状態検知部により該要補充状態を検知すると、前記補給用苗箱取出部を停止させるように構成されている態様を例示する。
【0030】
この構成によれば、前記補給用苗箱収容部に段積された苗箱の上に新たな苗箱を追加するよりも、空になった前記補給用苗箱収容部に新たに苗箱をセットする方が、手間が掛かるような構成を本発明の苗箱補給装置が採用している場合に、そのような手間が掛からないように、前記補給用苗箱収容部が空になることを防止することができる。
【0031】
第11の発明の苗箱補給装置としては、前記第10の発明において、
前記制御部は、前記要補充状態を検知すると、要補充状態であることを示す要補充状態アラーム信号を外部に出力するように構成されている態様を例示する。
【0032】
この構成によれば、前記補給用苗箱収容部に新たな苗箱を補充する必要があることを外部に通知することができる。前記要補充状態アラーム信号を利用することにより、例えば、前記苗箱供給装置を含む播種機に動作を停止させるように構成することができるし、アラーム音を鳴らしたり、アラームランプを点灯又は点滅させたりすることにより、作業者に知らせるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る苗箱補給装置によれば、作業者が播種機に対して苗箱を補給する時間間隔を延長することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明を具体化した第一実施形態に係る苗箱補給装置を播種機に装備させた状態を示す側面図である。
図2】同苗箱補給装置を播種機に装備させた状態を示す平面図である。
図3】同苗箱補給装置の拡大側面図である。
図4】同苗箱補給装置の拡大平面図である。
図5】同苗箱補給装置の制御系統を示すブロック図である。
図6】同苗箱補給装置の一連の作動状態を示す図であり、(a1)〜(a4)は要部側面図、(b1)〜(b4)はそれぞれ(a1)〜(a4)に対応する要部正面図である。
図7】本発明を具体化した第二実施形態に係る苗箱補給装置を播種機に装備させた状態を示す側面図である。
図8】同第二実施形態に係る苗箱補給装置の作動状態を、同第一実施形態に係る苗箱補給装置のそれと対比して示した要部側面図であり、(a)は同第一実施形態のもの、(b)は同第二実施形態のものを示している。
図9】同第二実施形態に係る苗箱補給装置の要部側面図である。
図10】同苗箱補給装置の一連の作動状態を示す要部正面図である。
図11】苗箱を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のb矢視図である。
図12】従来の苗箱供給装置を備えた播種機を示す側面図である。
図13】同苗箱供給装置の一連の作動状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1図6は本発明を播種機50の苗箱供給装置51に苗箱10を補給する苗箱補給装置1に具体化した第一実施形態を示しており、各図において矢印Fは苗箱供給装置51の前側を指し示している。
【0036】
本例の苗箱10は、背景技術で説明したもの(図11参照。)と同様に構成されているため、同一符号を付することにより重複説明を省く。
【0037】
本例の苗箱供給装置51は、特許文献1に記載された苗箱供給装置91(図12及び図13参照。)と同様に構成されているため、同装置91と共通する部分については、同一符号を付することにより重複説明を省く。すなわち、図1及び図2に示すように、本例の苗箱供給装置51は、空の苗箱10を段積み状態で収容する苗箱収容部92と、該苗箱収容部92から最下段の苗箱10を一枚ずつ掻き落として取り出す苗箱取出部93とを備えており、これにより空の苗箱10を一枚ずつ播種部52に供給するように構成されている。
【0038】
本発明の苗箱補給装置1は、図1図5に示すように、補給用苗箱収容部2、補給用苗箱取出部3、苗箱供給状態検知部4及び制御部5を備えるとともに、これらの構成を支持するフレーム6を備えている。
【0039】
フレーム6は、4本の脚部21を備え、苗箱供給装置51をその幅方向に跨ぐように、正面視で門型に構成されており、補給用苗箱収容部2、補給用苗箱取出部3、苗箱供給状態検知部4及び制御部5を、苗箱供給装置51とは独立して支持面に支持するように構成されている。各脚部21の下端部には、移動用の車輪22が設けられている。各車輪22にはその回転を停止させるためのストッパ22aが設けられている。また、フレーム6は、苗箱供給装置51を跨ぐ位置にスムーズに移動させるようにガイドするガイド手段を設けている。本例では、そのガイド手段として、前側の2本の脚部21の前側に、それぞれ平面視で前方かつ斜め外方に延びる前側ガイド部材23を設け、それらにより2本の脚部21の中央に苗箱供給装置51が位置するようにガイドさせている。さらに、フレーム6は、平面視で苗箱収容部92の上側における所定位置に補給用苗箱収容部2を位置決めするための位置決め手段を備えている。本例では、その位置決め手段として、苗箱供給装置51に対する左右方向の位置決めのために、苗箱供給装置51の側面に当接し得るように上下方向に延びる軸24aで支持されたガイドローラ24を各脚部21の付近に設けるとともに、苗箱供給装置51に対する前後方向の位置決めのために、苗箱供給装置51の背面に当接し得るように後側ガイド部材27を設けている。
【0040】
補給用苗箱収容部2は、苗箱収容部92の上側に配設され、空の苗箱10を上方から受け入れて段積状態で収容するものであり、フレーム6上の両側に対向するように並列に配された一対の側板25と、該一対の側板25の前後をそれぞれ連結する一対の連結板26とにより、方形枠体状に構成されており、苗箱10を上方から嵌挿したとき、苗箱供給装置51の苗箱収容部92上に案内するようになっている。
【0041】
補給用苗箱取出部3は、該補給用苗箱収容部2内の最下段の苗箱10から1枚ずつ取り出して、苗箱収容部92内に落下させるものであり、苗箱移送部31、苗箱支持部32、苗箱掻落部33及び駆動部34を備えている。
【0042】
苗箱移送部31は、各連結板26の下部において、左右方向に延びる前後一対の移送軸31aと、各移送軸31aに軸長方向へ間隔を置いて列設された複数の歯車31bとを備えている。前後の移送軸31aに設けられた歯車31bは、補給用苗箱収容部2内にある最下段の苗箱10の前後の短辺側縁部10bを、該補給用苗箱収容部2の内側に位置する歯で支持するとともに、該内側に位置する歯が下方に移動するように移送軸31aが回転駆動されることにより、苗箱10を下方に移送するようになっている。本例の複数の歯車31bは、苗箱10の短辺方向における外側から1〜5番目にあるポット11同士の隙間のところの縁部10bをそれぞれ支持するように配設されている。前後の移送軸31aに列設された複数の歯車31bは、同一のタイミングで苗箱10に作用するので、苗箱10は水平姿勢で下方に移送される。苗箱移送部31は、その苗箱10の下方への送出速度が、苗箱供給装置51からの苗箱10の送出速度よりも速くなるように駆動される。本例では、苗箱供給装置51の苗箱10の送出速度が720枚/時である場合に、苗箱移送部31の送出速度が900枚/時になるように駆動することを例示する。以上のように、本例の苗箱移送部31は、苗箱10の短辺側縁部10bを支持するように構成されている。その理由は、段積された苗箱10同士は、互いのポット11同士が嵌合することにより、一体化して全体の剛性が格段に向上するようになっているため、ポット11から離れている長辺側縁部10aを支持するよりも、ポット11から近い短辺側縁部10bを支持した方が、苗箱10が変形し難いからであり、それによって補給用苗箱収容部2内に多数(例えば100枚)の苗箱10の段積が可能になるからである。
【0043】
苗箱支持部32は、平面視で、補給用苗箱収容部2内の苗箱10における長辺側の両縁部10aの前後に対峙するようにそれぞれ配設された4つの支持片32aを備えている。支持片32aはピアノ線等で形成されており、屈曲自在になっている。4つの支持片32aは、苗箱移送部31の支持から外れた最下段の苗箱10が下方に落下したときに、該苗箱10を水平姿勢で支持するように構成されており、これにより苗箱10が傾いた姿勢で苗箱収容部92に落下することを防止するようになっている。
【0044】
苗箱掻落部33は、各側板25の下部において、前後方向に延びる左右一対の回転軸33aと、各回転軸33aに軸長方向へ間隔をおいて列設された一対の回転爪33bとを備えている。この回転爪33bは、補給用苗箱収容部2の内側において下方に移動する方向へ回転するようになっている。この回転爪33bにより、(A)歯車31bの支持から外れているが、自然落下せずに、上側の苗箱10に嵌合している状態の最下段の苗箱10の長辺側縁部10aを押圧することにより苗箱支持部32へ落下させるとともに、(B)苗箱支持部32に支持された苗箱10を、4つの支持片32aの支持力を上回る回転力により、該4つの支持片32aを弾性変形させ、該4つの支持片32aの支持から離脱させて下方に落下させるようになっている。左右の回転軸33aに列設された4つの回転爪33bは同一のタイミングで苗箱10に作用するので、苗箱10は水平姿勢で下方に落下する。なお、前記(A)のときに、可撓性を有する樹脂材料で形成された苗箱10は、短辺側の中央部が一時的に変形し、上側の苗箱10の嵌合から外れるようになっているため、そのような作用を阻害しないようにするために、苗箱移送部31には、苗箱10の短辺側縁部10bにおける中央部を支持するための歯車31bを設けていない。
【0045】
駆動部34は、原動機としてのモータ34aを備え、モータ34aの出力軸34bは伝動機構34cを介して枢軸34dを回転させる。枢軸34dは、移送軸駆動機構34eを介して前後の移送軸31aを同期させて等速度に回転させるとともに、回転軸駆動機構34fを介して左右の回転軸33aを同期させて等速度に回転させるように構成されている。本例では、モータ34aとして、ブレーキ付きのものを採用しており、これにより駆動部34の動作停止時に、補給用苗箱収容部2内にある苗箱10の重量で、苗箱移送部31の歯車31bが回転することを防止するようにしている。
【0046】
本例の苗箱供給状態検知部4は、苗箱収容部92に新たな所定数(少なくとも1枚)の苗箱10を受け入れ可能な余地が存在していることを検知する余地検知部4aと、苗箱収容部92に所定数(少なくとも1枚)の苗箱10を受け入れ可能な余地が存在していないことを検知する満箱検知部4bとを備えている。余地検知部4aによる検知の具体的な態様としては、特に限定されないが、苗箱収容部92に段積された最上段の苗箱10が余地の存在を判断するための所定高さに達していないことを検知する態様や、苗箱収容部92に段積された苗箱10が余地の存在を判断するための所定枚数以下であることを検知する態様等を例示する。満箱検知部4bによる検知の具体的な態様としては、特に限定されないが、苗箱収容部92に段積された最上段の苗箱10が余地の不存在を判断するための所定高さに達していることを検知する態様や、苗箱収容部92に段積された苗箱10が余地の不存在を判断するための所定枚数以上であることを検知する態様等を例示する。苗箱供給状態検知部4で使用する検知手段としては、接触式センサ(リミットスイッチ等)や、非接触式センサ(赤外線センサ、レーザーセンサ、画像センサ、カラーセンサ、光電センサ等)等の公知のセンサを適宜採用することができる。
【0047】
制御部5は、苗箱供給状態検知部4の余地検知部4aにより、前記余地の存在を検知すると、補給用苗箱取出部3の駆動部34を作動させ、補給用苗箱収容部2内から苗箱10を取り出させるように制御する。また、制御部5は、苗箱供給状態検知部4の満箱検知部4bにより、前記余地の不存在を検知すると、補給用苗箱取出部3の駆動部34を停止させるように制御する。
【0048】
なお、図3及び図5に示すように、本例の苗箱補給装置1は、歯車31bのいずれかの歯が補給用苗箱収容部2の内方に向かって略水平方向に最も大きく突出している定位置状態(図6(a2)の状態)にあることを検知する定位置状態検知部36と、定位置設定スイッチ37とを備えている。定位置状態検知部36で使用する検知手段としては、例えば苗箱供給状態検知部4と同様の公知の検知手段を適宜採用することができる。制御部5は、定位置設定スイッチ37が押されたことを検出すると、定位置状態検知部36によって前記定位置状態が検知されるまで、駆動部34を作動させて歯車31bを回転させる。そして、前記定位置状態が検知されると、駆動部34を停止させるようになっている。この定位置状態にある歯車31bの歯に苗箱10を載せると、歯車31bに確実に苗箱10を支持させることができる。
【0049】
また、図3及び図5に示すように、本例の苗箱補給装置1は、補給用苗箱収容部2に段積された空の苗箱10の数が所定数以下となる要補充状態であることを検知する要補充状態検知部35を備えている。要補充状態検知部35による検知の具体的な態様としては、特に限定されないが、例えば、前述した余地検知部4aによる検知の具体的な態様と同様の態様を例示する。要補充状態検知部35で使用する検知手段としては、例えば苗箱供給状態検知部4と同様の公知の検知手段を適宜採用することができる。制御部5は、該要補充状態検知部35により該要補充状態を検知すると、補給用苗箱取出部3の駆動部34を停止させる。それとともに、要補充状態を検知した制御部5は、要補充状態であることを示す要補充状態アラーム信号39を外部に出力するように構成されている。
【0050】
次に、本例の苗箱補給装置1の動作を図6に従って説明する。まず、歯車31bの歯の上に段積された複数の苗箱10における最下段の苗箱10が支持されている(同図(a1)及び(b1))。次に、歯車31bが回転し、最下段の苗箱10が歯の支持から外れ、その上段の苗箱10が歯に支持される。それとともに、回転爪33bが最下段の苗箱10の長辺側縁部10aを押し下げるように下方回転し、該最下段の苗箱10を掻き落として苗箱支持部32の支持片32aに支持させる(同図(a2)及び(b2))。次に、回転爪がさらに下方回転し、支持片32aの支持から苗箱10を離脱させて下方に落下させる(同図(a3)〜(a4)及び(b3)〜(b4))。以上の動作を繰り返すことにより、補給用苗箱収容部2内の苗箱10を1枚ずつ苗箱供給装置51の苗箱収容部92内に落下させる。
【0051】
以上において詳述したように、本例の苗箱補給装置1は、苗箱収容部92の上側に配設され、空の苗箱10を上方から受け入れて段積状態で収容する補給用苗箱収容部2と、該補給用苗箱収容部2内の最下段の苗箱10から1枚ずつ取り出して、苗箱収容部92内に落下させる補給用苗箱取出部3と、苗箱収容部92に新たな苗箱10を受け入れ可能な余地が存在しているか否かを検知する苗箱供給状態検知部4と、苗箱供給状態検知部4により、前記余地の存在を検知すると補給用苗箱取出部3を作動させ、前記余地の不存在を検知すると補給用苗箱取出部3を停止させるように制御する制御部5とを備えている。この構成によれば、補給用苗箱収容部2に補給用の苗箱10を入れておくと、その苗箱10を自動的に苗箱収容部92に補給するように構成されているので、作業者が補給用の苗箱10を補給する時間間隔を延長することができる。また、補給用苗箱収容部2内の最下段の苗箱10から1枚ずつ取り出して、苗箱収容部92内に落下させるように構成しているので、該取り出した苗箱10が苗箱収容部92に落下するときの衝撃を小さくすることができ、該苗箱収容部92でのトラブルの発生を防止できる。
【0052】
また、苗箱10は、可撓性を有する樹脂材料からなり、長辺方向及び短辺方向に格子状の配列で多数のポット11が形成されているとともに、長辺側縁部10aに該苗箱10を1ポットピッチずつ移送するための送り穴12が列設されているものであり、補給用苗箱取出部3は、補給用苗箱収容部2内で段積状態で収容された苗箱10を下方へ移送する苗箱移送手段としての苗箱移送部31と、該補給用苗箱収容部2内における最下段の苗箱10から少なくとも1枚ずつ取り出す苗箱取出手段としての苗箱掻落部33と、該苗箱移送部31及び該苗箱掻落部33を駆動する駆動手段としての駆動部34とを備え、苗箱移送部31は、補給用苗箱収容部2の前後それぞれに設けられ、左右方向に延びる一対の移送軸31aと、該各移送軸31aに軸長方向へ間隔を置いて列設された複数の歯車31bとを備え、各移送軸31aに設けられた歯車31bは、最下段の苗箱10の前後の短辺側縁部10bを、該補給用苗箱収容部2の内側に位置する歯40で支持するとともに、該内側に位置する歯40が下方に移動するように各移送軸31aが回転駆動されることにより、苗箱10を下方に移送するように構成されている。このように、苗箱移送部31は、歯車31bにより苗箱10の短辺側縁部10bを支持するように構成されている。その理由は、段積された苗箱10同士は、互いのポット11同士が嵌合することにより、一体化して全体の剛性が格段に向上するようになっているため、送り穴12の存在によりポット11から離れている長辺側縁部10a(図11参照)を支持するよりも、ポット11から近い短辺側縁部10b(図11参照)を支持した方が、苗箱10が変形し難いからであり、それによって補給用苗箱収容部2内に多数の苗箱10の段積が可能になるからである。
【0053】
また、移送軸31aには、苗箱10の短辺側縁部10bにおける両側部を支持するように歯車31bを列設し、同中央部を支持する歯車31bを設けておらず、苗箱取出手段としての苗箱掻落部33は、補給用苗箱収容部2の左右それぞれに設けられ、前後方向に延びる一対の回転軸33aと、該各回転軸33aに軸長方向へ間隔をおいて列設された前後一対の回転爪33bとを備え、該各回転爪33bは、補給用苗箱収容部2の内側において下方に移動する方向へ回転するとともに、左右同一のタイミングで苗箱10に作用することにより、最下段の苗箱10から少なくとも1枚ずつ掻き落とすように構成されている。この構成によれば、左右の回転軸33aに列設された回転爪33bは同一のタイミングで苗箱10に作用するので、可撓性を有する樹脂材料で形成された該苗箱10は、短辺側の中央部が一時的に変形し、その上側の苗箱10の嵌合から外れるようになっているため、そのような作用を阻害しないようにするために、移送軸31aには該苗箱10の短辺側縁部10bにおける中央部を支持するための歯車31bを設けていない。なお、移送軸31aの両側にそれぞれ複数の歯車31bを列設することにより、苗箱10の短辺側縁部10bの両側をある程度広範囲に支持するようにしているのは、該短辺側縁部10bの被支持部位の一部が破損している場合でも、できるだけ支持可能にするためである。
【0054】
また、補給用苗箱収容部2及び補給用苗箱取出部3は、苗箱供給装置51を跨ぐように門型に構成されたフレーム6により、該苗箱供給装置51とは独立して支持面に支持されるように構成されている。この構成によれば、苗箱供給装置51の形状に関わらず、該苗箱供給装置51の苗箱収容部92の上側に補給用苗箱収容部2を容易に配設することができる。
【0055】
また、フレーム6は、移動用の車輪22を備えている。この構成によれば、苗箱供給装置51でトラブルが発生したときに、苗箱供給装置51から本発明の苗箱補給装置1を容易に取り外すことができる。
【0056】
また、フレーム6は、平面視で苗箱収容部92の上側における所定位置に補給用苗箱収容部2を位置決めするための位置決め手段を備えている。この構成によれば、苗箱供給装置51の苗箱収容部92の上側における所定位置に、補給用苗箱収容部2を容易に配設することができる。
【0057】
また、補給用苗箱収容部2に段積された空の苗箱10の数が所定数以下となる要補充状態であることを検知する要補充状態検知部38を備え、制御部5は、該要補充状態検知部38により該要補充状態を検知すると、補給用苗箱取出部3を停止させるように構成されている。この構成によれば、補給用苗箱収容部2に段積された苗箱10の上に新たな苗箱10を追加するよりも、空になった補給用苗箱収容部2に新たに苗箱10をセットする方が、手間が掛かるような構成(空になった補給用苗箱収容部2に新たに苗箱10をセットする場合は、定位置設定スイッチ37により、歯車31bを前記定位置状態にしてから、新たな苗箱10をセットする構成)を本例の苗箱補給装置1が採用しているので、そのような手間が掛からないように、補給用苗箱収容部2が空になることを防止することができる。
【0058】
さらに、制御部5は、前記要補充状態を検知すると、要補充状態であることを示す要補充状態アラーム信号39を外部に出力するように構成されている。この構成によれば、補給用苗箱収容部2に新たな苗箱10を補充する必要があることを外部に通知することができる。前記要補充状態アラーム信号39を利用することにより、例えば、苗箱供給装置51を含む播種機50に動作を停止させるように構成することができるし、アラーム音を鳴らしたり、アラームランプを点灯又は点滅させたりすることにより、作業者に知らせるようにすることもできる。
【0059】
次に、図7図10は本発明を具体化した第二実施形態を示している。この苗箱補給装置1は、以下に示す点において、主に第一実施形態と相違している。従って、同実施形態と共通する部分については、同一符号を付することにより重複説明を省く。
【0060】
(1)図7図8(a)、図9に示すように、歯車31bは、歯40の先端部が歯車31bの周方向へ幅広に形成されるとともに、該先端部における周方向の両端部及び該両端部の間にアールが設けられている。
【0061】
第一実施形態の歯車31bの歯40のように先端部が尖って狭くなっていると、段積された苗箱10同士の隙間が、破損、変形等により通常より狭かったり、広かったりした場合に、該歯40が前記隙間に入り込むことができなかったり(即ち、本来入り込むべき隙間ではなく、その上側の隙間に入り込んだり)、該歯40の先端が短辺側縁部10bの端面に突き当たって食い込んだり(図8(b)参照)することがあり、それによって前後の歯車31bに苗箱10が水平に支持されず、苗箱10が前後に片落ちすることがあるが、本構成によれば、それを防止することができる(図8(a)参照)。
【0062】
(2)図9に示すように、補給用苗箱収容部2内の苗箱10における最下段の苗箱10は、苗箱移送手段としての苗箱移送部31により前後の短辺側縁部10bが支持されることにより、長辺方向の中央部が下方に撓んだ状態になる。それとともに、最下段の苗箱10のすぐ上段の苗箱10も撓んだ状態になる。本例の回転爪33bは、その先端縁41が、回転軸33aの軸心よりも上側にあるときに苗箱10の長辺側縁部10aに接触するように構成されており、該先端縁41は、前記接触時において、前記撓んだ状態の苗箱10の長辺側縁部10aに略平行になる形状に形成されている。
【0063】
この構成によれば、回転爪33bの先端縁41が前記撓んだ状態の苗箱10の長辺側縁部10aに広く接触するので、苗箱10を確実に掻き落とすことができる。このように構成していない場合、回転爪33bの先端縁41の端のみが点当たりの状態で苗箱10に接触するので、力が均等に加わらず、苗箱10の片落ち等の不具合の原因になることがある。
【0064】
(3)補給用苗箱収容部2内で段積状態で収容された苗箱10から補給用苗箱取出部3が落下させようとした少なくとも1枚の苗箱10が、前記段済み状態の苗箱10から離脱して落下したか否かを検知する苗箱落下検知部42を備えている。苗箱落下検知部42の出力は、制御部5に接続されている。制御部5は、前記少なくとも1枚の苗箱10が落下していない不具合状態(図10(a)参照。この不具合状態は苗箱10への土の付着が多い場合に発生し易い。)を苗箱落下検知部42が検知すると、所定時間が経過するまで待ち、それでも前記不具合状態が検知され続けているときに、補給用苗箱取出部3を停止させるように構成されている。所定時間は、補給用苗箱取出部3が苗箱10を1回取り出すときに掛かる時間より長く且つ同2回取り出すときに掛かる時間より短く設定される。本例では、補給用苗箱取出部3が苗箱10を1回取り出すときに掛かる時間(例えば、4.6秒)より少し長い時間(例えば、5秒)に設定している。
【0065】
この構成によれば、前記不具合状態が一旦検知されてから前記所定時間が経過するまでの間に、前記不具合状態が検知されなくなったときは、図10(b)〜図10(c)に示すようにして、補給用苗箱取出部3が苗箱10を2回取り出すときの合計枚数の苗箱10が一度に取り出されたことになる。このとき、その一度に落下した苗箱10の塊は、補給用苗箱取出部3が作用することにより、苗箱10同士の結合がほぐされた状態になっており、その後に苗箱供給装置51において適切に処理(1枚ずつ分離されて処理)される可能性が高い。そのため、このときには、補給用苗箱取出部3を停止させないようにしている。
【0066】
本例の苗箱補給装置1によれば、第一実施形態と同様の効果に加え、前記本例特有の効果を得ることができる。
【0067】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)余地検知部4aにより検知する所定数と、満箱検知部4bにより検知する所定数を一致させるように構成し、単一の検知手段により、余地の存在の検知と、余地の不存在の検知とを行うようにすること。
(2)補給用苗箱取出部3を、補給用苗箱収容部2内の最下段の苗箱10から複数枚ずつ取り出すように構成すること。
(3)歯車31bの枚数を適宜増減すること。例えば、複数の歯車31bは、苗箱10の短辺方向における外側から1〜4番目にあるポット11同士の隙間のところの縁部10bをそれぞれ支持するように配設されている態様にすることが挙げられる。
(4)移動用の車輪22をストッパ22aが設けられていないものにすること。それとともに、平面視で苗箱収容部92の上側における所定位置に補給用苗箱収容部2が前記位置決め手段により位置決めされた状態で、苗箱供給装置51に対して苗箱補給装置1が少なくとも後方に移動しないようにロックするロック手段を設けること。ロック手段としては、苗箱補給装置1に設けた係止手段(爪やピン等)により、苗箱供給装置51の機体の被係止部(フレームの前向きの側面や穴等)を係止するように構成された手段を例示する。さらに、移動用の車輪22を旋回手段が設けられていないもの、即ち、進行方向が前後方向に固定されたものにすることもできる。
【符号の説明】
【0068】
1 苗箱補給装置
2 補給用苗箱収容部
3 補給用苗箱取出部
4 苗箱供給状態検知部
4a 余地検知部
4b 満箱検知部
5 制御部
6 フレーム
10 苗箱
10a 長辺側縁部
10b 短辺側縁部
10c 連続溝
10d 突起
11 ポット
12 送り穴
21 脚部
22 車輪
22a ストッパ
23 前側ガイド部材
24 ガイドローラ
24a 軸
25 側板
26 連結板
27 後側ガイド部材
31 苗箱移送部
31a 移送軸
31b 歯車
32 苗箱支持部
32a 支持片
33 苗箱掻落部
33a 回転軸
33b 回転爪
34 駆動部
34a モータ
34b 出力軸
34c 伝動機構
34d 枢軸
34e 移送軸駆動機構
34f 回転軸駆動機構
36 定位置状態検知部
37 定位置設定スイッチ
38 要補充状態検知部
39 要補充状態アラーム信号
40 歯
41 回転爪の先端縁
42 苗箱落下検知部
50 播種機
51 苗箱供給装置
52 播種部
92 苗箱収容部
93 苗箱取出部
95 掛止爪
96 受爪
97 掻落爪
F 苗箱供給装置の前側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13