(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1溶着工程において、周囲へ放射状に開いた両端側の糸束を、中心部の空間周囲に形成された環状の折り返し部より外側の環状領域で板状に溶着する請求項5に記載の放射状羽根製造方法。
請求項5又は6に記載の放射状羽根製造方法において、第1開放工程と第2開放工程とを同時に実施し、引き続き第1溶着工程と第2溶着工程とを同時に実施する放射状羽根製造方法。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシの一種として、特許文献1に記載されるような360度型歯ブラシが知られている。この歯ブラシは、ブラシハンドルの先端部に円筒形状のブラシヘッドを有している。円筒形状のブラシヘッドは、ディスク型の放射状羽根を中心軸方向に積層することより構成されている。ディスク型放射状羽根の従来構造を
図11(a)(b)に示す。
【0003】
ディスク型の放射状羽根1は、内側をブラシハンドルの先端部が貫通するディスク状の環状コア部2と、環状コア部2の周方向全域から多数本の糸材21が外周側へ延出して形成された放射状の羽根部3とからなる。環状コア部2は、多数本の糸材21を結合する溶着部であり、その内側はハンドル挿通用の
中心孔4である。特許文献1に記載された放射状羽根1では、ブラシヘッドにおける中心軸方向の植毛密度を小さくするために、環状コア部2の両面に環状突起5が一体成形されて所謂ボス部を形成している。
【0004】
このような放射状羽根を製造する方法としては、これまでは特許文献1〜3に記載されているとおり、基本的に同一原理に基づくものが採用されていた。その製造原理を
図12により説明する。放射状羽根の製造装置は、ナイロン樹脂系の糸材21を束ねて形成された糸束20から放射状羽根1を製造する。この製造のために、製造装置は水平な加工ベッド30と、そのベッド上に設けられた円柱状の溶着ヘッド40とを備えている。
【0005】
加工ベッド30には、糸束20が通過する垂直な
中心孔31が設けられている。円柱状の溶着ヘッド40は、加工ベッド30の
中心孔31上に同心状に垂直配置されており、図示されない駆動機構により中心軸方向に昇降駆動される。この溶着ヘッド40は超音波振動による溶着を行う溶着ホーンであり、図示されない振動子により発振駆動される。溶着ヘッド40の円形の先端面は溶着面41である。
【0006】
放射状羽根1の製造では、まず、加工ベッド30上の溶着ヘッド40が上方の退避位置にある状態で、糸束20が加工ベッド30の
中心孔31を通って加工ベッド30の上に所定量突出する。糸束20の押し上げは、加工ベッド30の下に設けられた図示されない押し上げチャックにより行われる。糸束20の突出量は、製造する放射状羽根1の半径に応じて設定される。
【0007】
糸束20が加工ベッド30の上に所定量突出すると、溶着ヘッド40が上方の退避位置から、振動しながら下降することにより、突出部を形成する糸材21が、溶着ヘッド40の先端部により周囲へ均等に押し広げられる。溶着ヘッド40が更に下降を続けることにより、最終的には、溶着ヘッド40の溶着面41により、放射状に開いた糸材21の中心部周囲が、加工ベッド30表面の
中心孔31周囲に押し付けられる。これにより、糸束20の突出部における糸材21は、周囲へ直角に折れ曲がり、放射状に開くと共に、放射状に開いた糸材21の中心部周囲が、溶着ヘッド40先端の溶着面41により溶着される。また、放射状に開いた糸材21の中心部も、中心部周囲からの伝熱により溶着が進み、最終的には溶着固化部25となる。
【0008】
放射状に開いた糸材21の中心部周囲が溶着されると、その環状溶着部22が内側の糸束部分から分離される。これにより、完成した放射状羽根1が糸束20から分離され、環状溶着部22が放射状羽根1におけるディスク状の環状コア部2となる。また、糸束20の先端部に形成された溶着固化部25は、完成した放射状羽根1の分離後、次の放射状羽根1の製造に備えて切断除去される。
【0009】
特許文献1に記載された製法では、放射状に開いた糸材21の中心部周囲の溶着中(環状溶着部22の形成中)に、ブラシヘッドにおける中心軸方向の植毛密度を小さくするためのボス部(環状突起5,5)が、溶融材料の流動により一体的に成形される。また、特許文献3に記載された製法では、放射状に開いた糸材21の中心部周囲の溶着中に、糸束20のガイドを兼ねる円筒状の分離治具により、放射状に開いた糸材21の中心部周囲と中心部が成形分離され、製造工数の削減、製造時間の短縮が図られる。
【0010】
一方、特許文献2に記載された製法では、完成した放射状羽根1の羽根部3における糸材の密度を大きくするため、及び環状コア部2の機械的強度を高めるために、完成された放射状羽根1を加工ベッド30上の定位置に固定したまま、環状コア部2の内側に形成された
中心孔4を通して再度糸束20を放射状羽根1の上に突出させ、その糸束20を再度周囲へ開いて中心部周囲を環状に溶着し、その環状溶着部22の内側を分離する。こうすることにより、環状コア部2で一体化した二重構造(2枚重ね)の放射状羽根1が製造される。
【0011】
しかしながら、いずれの製法においても、加工ベッド30上で放射状羽根1が製造される毎に、放射状羽根1から分離された糸束20の先端部が溶着固化部25となり、次の放射状羽根1の製造に際しての障害となるために切断除去される。除去部の長さは余裕を見越して3mm前後に達し、これによる糸束20のカットロスが、製造コストを上昇させ、製造コスト引き下げの大きな障害となっている。特許文献3に記載された二重構造の放射状羽根1の場合は、1枚の放射状羽根1を製造するごとに2つの除去部が発生するために、1枚あたりの糸束20のカットロスは数mmにもなる。
【0012】
放射状羽根1における
中心孔4の内径は、基本的に糸束20の外径に一致する。
中心孔4の内径をこれより大きくすることも可能であるが、その場合は環状溶着部22(環状コア部2)をより大きく除去することが必要になり、糸束20の溶着部分離に伴うカットロスが更に増加することになる。
【0013】
また、製造された放射状羽根1の環状コア部2は、糸材21が超音波溶着により形成されたものであるから薄く、しかも硬いため(弾性がないため)、コア部内径(内側の
中心孔径)がハンドルの軸部の外径に対して小さいと、放射状羽根1を軸部に嵌合させるときに作業が困難となるだけでなく、環状コア部2が容易に破断する。反対に、環状コア部2の内側に形成される
中心孔4(ハンドル挿通孔)の内径が大きい場合は、放射状羽根1が軸部に固定されず、使用時の空転等が問題になる。
【0014】
この結果、環状コア部2の内径に厳密な精度が要求され、精度不良品が多くなることにより、放射状羽根1の製造コストが上昇する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、
中心孔の内径を自在に設定でき、しかも、その内径の大きさに関係なく糸束のカットロスを可及的に少なくできる経済性に優れた放射状羽根、及びその製造方法を提供することにある。
【0017】
本発明の別の目的は、前記カットロスと共に、それ以外の製造コスト引上げ要因をも取り除いた一層経済的で、しかも高機能な放射状羽根、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明者らは従来とは全く異なる発想に基づく放射状羽根の構造及び製法を案出し、本発明を完成させるに至った。
【0019】
すなわち、従来の放射状羽根の製造においては、二重構造の放射状羽根は2枚分というように最小単位枚数ごとに糸束の突出量を決め、突出部の基端側を起点として糸束を放射状に開いた後、基端部を溶着し、溶着部において糸束から羽根を分離していた。その結果、最小単位枚数ごとに糸束の溶着部分離に伴うカットロスが不可避的に生じていた。
【0020】
そこで本発明者らは、放射状羽根における羽根部の糸材密度としては二重構造(2枚重ね)が適正であることに着目して、2枚分の長さの糸束の長手方向中間部を折り返し部として、その折り返し部両端側の糸束を、中心部から放射状に開いて重ね合わせ、中心部の空間周囲、特に中心部の
周囲に形成される
折り返し部より外側を環状に溶着する製法を考え出した。この製法によると、二つ折りにされた多数本の糸材が中心部の
周囲に放射状に並ぶ。より詳しくは、内周部で立体的に重なり合った多数本の糸材が外周側へ向かうにつれて周方向に分散し平面的になる。そして、内周部で立体的に重なり合った多数本の糸材が環状に溶着されることにより一体化し、二重構造(2枚重ね)の放射状羽根となる。
【0021】
この折り返し製法によるならば、糸束溶着部での羽根分離工程が存在しないため、1本の連続した糸束から糸材密度の大きい二重構造(2枚重ね)の放射状羽根が、糸束の溶着部分離に伴うカットロスを生じることなく製造される。すなわち、2枚分に相当する長さの糸束の長手方向中間部を
折り返し部として、内周部を溶着することにより、成形され放射状羽根の糸束からの分離作業が不要となり、糸束の溶着部分離に伴うカットロスは全く発生しないのである。また、中心部の空間の大きさは任意に設定可能であり、その大小が前記カットロスに影響を及ぼすこともない。
【0022】
中心部の
周囲における環状溶着部に関しては、当初は折り返し部の内周縁まで完全に溶着し、その結果、環状溶着部が中心部の空間に接していたが、その後の溶着位置を検討する過程で、特に、環状折り返し部より外周側を環状に溶着し、中心部の
周囲に環状折り返し部を残した場合は、その環状折り返し部は、中心側へ凸のアーチ形の断面形状を有した厚くて弾性を残すボス部となり、機能的に優れたスライド部及びグリップ部を兼ねることになることが判明した。
【0023】
すなわち、環状溶着部内側に残された環状折り返し部は、未溶着部乃至は不完全溶着部である上に、糸束を形成する糸材が、弾性により丸く湾曲することにより形成されているため、環状折り返し部は外側の環状溶着部より厚くなり、しかも環状溶着部より大きな弾性を残すことになる。また、環状折り返し部の内周面では、糸材が中心軸方向を向いている。これらのために、環状折り返し部は、有効なボス部となってブラシヘッドにおけるスペーサ機能を果すだけでなく、放射状羽根を破断が生じることなく軸にきつく嵌合させることができる。その結果として、折り返し部内側の
中心孔の内径誤差に対する許容度が増大する。
【0024】
かくして、厚くて弾性を残したアーチ形状のボス部により、完成した放射状羽根を軸に押し込んだとき、少々タイトでもスムーズに押し込まれ、その際、環状溶着部が破断する危険性は極めて少なく、しかも一旦押し込まれ嵌合した放射状羽根は軸から抜けにくく、周方向の回転もしにくくなるのである。
【0025】
以上のように、本発明者らが創出した折り返し製法によるならば、放射状羽根の羽根部における糸材密度の適正化、及びブラシヘッドにおける中心軸方向の植毛密度の適正化が図られつつ、製造コストの上昇要因が効果的に取り除かれる。また、糸束の長さ及び折り返し部の位置の選択、更には中心部の空間内径の選択により、様々なサイズ及び形状の放射状羽根の製造が可能である。
【0026】
本発明の放射状羽根はかかる知見に基づいてなされたものであり
、ディスク状で環状のコア部の周方向全域から多数本の糸材が外周側へ延出して放射状の羽根部を形成したディスク型の放射状羽根であって、
各本の糸材の長手方向中間部を折り返し部として、その折り返し部両端側の糸材が二つ折りにされると共に、二つ折りにされた多数本の糸材が、中心部の周囲に折り返し部を形成して、中心部から外周側へ向かうにつれて分散して平面的に放射状に並び、
内周部で立体的に重なり合った多数本の糸材が環状に溶着されて前記コア部を形成していることを構成上の特徴点とし、前記中心部の
周囲に形成される
折り返し部より外側が環状に溶着されて前記コア部を形成する構成が特に好ましい。
【0027】
本発明の放射状羽根においては、中心部
の周囲に環状コア部を介して放射状の羽根部が形成され、好ましくは、
中心部の周囲に断面がアーチ状の環状折り返し部が形成され、その更に外側に環状コア部を介して放射状の羽根部が形成される。
【0028】
ここで、環状折り返し部は、その外側を溶着されているので未溶着部乃至は不完全溶着部である。また、糸束を形成する糸材が完全に折り曲げられているわけではなく、その糸材の弾性によりアーチ状に湾曲している。これらのため、環状折り返し部は、厚みのあるボス部となる。しかも、溶着部である環状コア部より大きな弾性を残しているため、放射状羽根を軸に嵌め込んだときに羽根を固定するグリップ部にもなる。更に、環状折り返し部内面における糸材の向き
に起因して、効果的なスライド部にもなる。更に又、内側の環状コア部に対する効果的な補強部にもなる。更に言えば、環状コア部を溶着成形する際に溶着が両面側から行われると共に、加圧力を集中させやすいために、材料溶融が進み、環状コア部自体の機械的強度も大きい。
【0029】
これから分かるように、本発明の放射状羽根において最も重要な構成は、糸束の中間部で折り返して両側に羽根が形成されること、これに伴って、羽根中心部の周囲に環状折り返し部が形成されることであり、特に当該
中心部に面して、未溶着部乃至は不完全溶着部からなる厚肉の環状折り返し部が形成されていることである。この環状折り返し部の厚さ硬さは、溶着位置の変更、糸材の太さ及び本数等により調整が可能である。
【0030】
また、本発明の放射状羽根製造方法は
、ディスク状で環状のコア部の周方向全域から多数本の糸材が外周側へ延出して放射状の羽根部を形成したディスク型放射状羽根の製造方法であって、連続した1本の糸束の長手方向中間部を折り返し部として、その折り返し部の一端側の糸束を、折り返し部を起点として
中心部から周囲へ放射状に開く第1開放工程と、前記折り返し部の他端側の糸束を、前記折り返し部を起点として
中心部から周囲へ放射状に開く第2開放工程と、周囲へ放射状に開いた
一端側又は/及び他端側の糸束を、
中心部の周囲で環状に溶着する溶着工程とを含んでおり、溶着部での羽根分離を行うことなく効率的に放射状羽根の製造を行うことができる。
【0031】
特に、
前記溶着工程において、周囲へ放射状に開いた両端側の糸束を、中心部の
周囲に形成された
折り返し部より外側で環状に溶着するならば、
中心部周囲に厚くて弾性を残したボス部、スライド部及びグリップ部を兼ねる環状折り返し部が残り、糸束の溶着部で羽根を分離する工程なしで、上述した高機能の放射状羽根を製造することが可能となる。
【0032】
本発明の放射状羽根製造方法においては、
第1開放工程、第2開放工程、溶着工程を段階的に行うものとしてもよく、また他に、第1開放工程と第2開放工程とを同時に実施し、引き続き溶着工程を実施するものとしてもよい。
また、前記溶着工程が、周囲へ放射状に開いた一端側の糸束を中心部の周囲で環状に溶着する第1溶着工程と、周囲へ放射状に開いた他端側の糸束を中心部の周囲で環状に溶着する第2溶着工程とに分けて行うものでも良い。この場合、各工程を第1開放工程、第1溶着工程、第2開放工程、第2溶着工程の順に段階的に
行うものとしてもよいが、他に、第1開放工程と第2開放工程とを同時に実施し、第1溶着工程と第2溶着工程とを同時に実施してもよい。すなわち、1本の糸束を折り返し部の両端側で段階的に加工してもよいが、同時に対称的に加工してもよいということである。
【0033】
第1
、第2開放工程において糸束の中心部に
中心孔の空間を確保するために、その中心部に予め棒状物を挿入しておくのがよい。また、糸束の開放には、
溶着工程に使用する溶着ホーンを使用するのが合理的である。糸束の開放に溶着ホーンを使用する場合、その溶着ホーンの先端面から棒状物を突出させておくのがよい。そうすることにより、第1
、第2開放工程
と溶着工程を連続して行うことができる。棒状物を溶着ホーンに取付ける場合、棒状物が溶着ホーンと共振するのを防止するために、その棒状物は溶着ホーンから独立した別体物とするのがよい。棒状物が溶着ホーンと共振すると、折り返し部が内側から溶着され、放射状羽根の
中心孔周囲に厚くて弾性を残したボス部、スライド部及びグリップ部を兼ねる環状折り返し部を残すのが困難になる。
【0034】
第1開放工程、第1溶着工程、第2開放工程、第2溶着工程の順に段階的に行う場合は、第1溶着工程の他、これに続く第2開放工程及び第2溶着工程においても、第1開放工程において中心部に確保された空間を維持することが必要であり、これにも棒状物を使用するのが合理的である。その棒状物が第2溶着工程に使用される溶着ホーンに取付けられる場合は、その溶着ホーンから独立した別体物とするのがよい。
【0035】
第1溶着工程に使用する溶着ホーンの先端面から棒状物を突出させた場合、その棒状物は第2開放工程及び第2溶着工程において、第1開放工程において中心部に確保された空間の維持に利用可能である。その場合は両ホーンを接近させることになるため、第2溶着工程に使用される溶着ホーンの先端面に、棒状物が挿入される逃げ部を形成しておく必要がある。
【0036】
この逃げ部は、第1開放工程と第2開放工程とを同時に実施し、第1溶着工程と第2溶着工程とを同時に実施する場合にも有効である。なぜなら、この場合も両ホーンを接近させることになるからである。
【0037】
放射状羽根の
中心孔周囲に厚くて弾性を残したボス部、スライド部及びグリップ部を兼ねる環状折り返し部を残すためには、第1溶着工程及び第2溶着工程に使用する溶着ホーンの先端面の環状折り返し部に対応する部分(中心部周囲)に逃げ部を形成しておくのが、製法上、装置構成上、簡単で好ましい。
【発明の効果】
【0038】
本発明の放射状羽根は、中心部の周囲で糸材を放射状に折り返して溶着した構成のため、羽根部における糸材密度を2枚重ねの放射状羽根と同じにできる上に、糸束の溶着部での羽根分離に伴うカットロスを生じることなく製造でき、製造コストの低減を可能にする。
【0039】
特に、中心部の周囲に、未溶着部乃至は不完全溶着部からなる厚肉アーチ状の環状折り返し部を残した構成の場合は、第1に、糸束の溶着部分離に伴うカットロスを生じることなく製造され、製造コストの低減を可能にする。第2に、羽根部における糸材密度を2枚重ねの放射状羽根と同じにできる。第3に、厚みのあるボス部を簡単に形成することができ、中心軸方向に重ね合わせてブラシヘッドとしたときの軸方向における植毛密度の広範囲の調節を可能にする。第4に、当該放射状羽根が嵌め込まれる軸にきつく固定され、その空転を防止できる。第5に、中心部の環状コア部の補強に寄与するので、不良品の発生頻度を低下させることができ、この点からも製造コストの低減を可能にする。
【0040】
そして、本発明の放射状羽根製造方法は、このような放射状羽根を、糸束の溶着部での羽根分離を行うことなく効率的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
本実施形態の放射状羽根は、360度型歯ブラシのハンドル先端部に装着される円筒形状のブラシヘッドに使用されるものである。すなわち、360度型歯ブラシにおけるブラシヘッドは、歯ブラシに使用されるナイロン樹脂系の糸材を加工して形成されたディスク型の放射状羽根を、中心軸方向に所定枚数重ね合わせることにより構成されるが、本実施形態の放射状羽根は、このブラシヘッドを構成するディスク型の放射状羽根に使用されるものである。
【0044】
図1(a)〜(c)に示した放射状羽根10は、2枚の放射状羽根10a,10bを溶着部で一体化して重ね合わせた二重構造羽根であり、多数本の糸材の束(糸束)から形成されている。放射状羽根10の中心部には、ブラシハンドルの先端軸部が貫通する円形の
中心孔11が設けられている。
中心孔11の周囲には、両面側へドーム状に突出し内面側へアーチ状に突出した環状折り返し部12が、
中心孔11に接して形成されており、環状折り返し部12の更に外側には、糸材21の溶着により形成された薄い環状の板体からなる高強度の環状コア部13が設けられている。環状コア部13からは多数本の糸材21が周方向に均一な密度で放射状に延出して環状の羽根部14を形成している。羽根部14を構成する糸材21は、毛足の長い一方の放射状羽根10aのものと、毛足の短い他方の放射状羽根10bのものとが同数混在している。
【0045】
放射状羽根10における糸材21の本数は周方向で同じである。このため、糸材21は内周部、特に環状コア部13より内側の環状折り返し部12では立体的に密集しており、環状コア部13より外側の羽根部14では平面的となって外周側へ向かうにつれて周方向に分散する。
【0046】
図4に示した製造装置は、この放射状羽根10を製造するものであり、併設された第1溶着ユニット50及び第2溶着ユニット60、並びに両者間で共用されるクランパーユニット70及びその水平移動のために両者間に跨がって架設されたクランパー搬送ユニット71を備えている。クランパーユニット70は、分割開閉式のクランパー72を有しており、これを合体、分離することにより、放射状羽根の製造素材である糸束20の拘束、解放を行う。クランパー搬送ユニット71は、クランパーユニット70の水平移動により、第1溶着ユニット50から第2溶着ユニット60への材料搬送を行う。
【0047】
第1溶着ユニット50は、二重構造の放射状羽根10における1枚目の放射状羽根10aの形成を行う。この第1溶着ユニット50は、クランパー搬送ユニット71を挟んでその上下に同心状に配置された糸送りユニット51、第1加工台座52、及び第1溶着ホーン53を有している。クランパー搬送ユニット71の上方に配置された糸送りユニット51は、ナイロン樹脂系の糸材21を束ねて形成された糸束20を下方へ所定量ずつ送り出す。糸送りユニット51とクランパー搬送ユニット71との間に配置された第1加工台座52は、糸送りユニット51により下へ送り出された糸束20を上から下に通す
中心孔52aを有している。クランパー搬送ユニット71の下方に配置された第1溶着ホーン53は、円柱形状をした上向きの超音波振動子であり、図示されない駆動装置により上下に昇降駆動される。
【0048】
第1溶着ホーン53の円形の上端面は溶着面53aであり、より詳しくは、中心部の棒状凸部53b及びその外側の環状凹部53cを除く環状部分が溶着面53aである。すなわち、第1溶着ホーン53の円形の上端面には、細い丸棒状の棒状凸部53bが中心部に位置して設けられると共に、その棒状凸部53bを包囲するように環状凹部53cが設けられており、その環状凹部53cの外側の環状上端面が溶着面53aである。
【0049】
棒状凸部53bは、放射状羽根10の
中心孔11を形成するためのものであり、糸束20の太さ(第1加工台座52における
中心孔52aの内径)より十分に小さい外径を有し、放射状に開いた糸束20の中心部に円形の空間を形成する。そして、この棒状凸部53bは、第1溶着ホーン53との共振防止のために、第1溶着ホーン53の中心部に設けられた
中心孔を挿通する丸棒状の別部材の先端突出部により構成されている。環状凹部53cは、放射状羽根10の環状折り返し部12、特に1枚目の放射状羽根10aの側に環状折り返し部12を形成するための逃げ部である。
【0050】
第2溶着ユニット60は、二重構造の放射状羽根10における2枚目の放射状羽根10bの形成を行う。この第2溶着ユニット60は、クランパー搬送ユニット71を挟んでその上下に同心状に配置された第2溶着ホーン61、第2加工台座62、及び糸束開放に使用される垂直なガイドピン63を有している。クランパー搬送ユニット71の上方に配置された第2溶着ホーン61は、円柱形状をした下向きの超音波振動子であり、図示されない駆動装置により上下に昇降駆動される。
【0051】
第2溶着ホーン61の円形の下端面は溶着面61aであり、より詳しくは、中心部の細長い円形凹部61b、及びその外側の浅い環状凹部61cを除く環状下端面が溶着面61aである。円形凹部61bは上昇するガイドピン63を受け入れる逃げ穴であり、ガイド穴である。環状凹部61cは放射状羽根10の環状折り返し部12、特に2枚目の放射状羽根10bの側に環状折り返し部12を形成するための逃げ部である。
【0052】
クランパー搬送ユニット71の下方に配置された第2加工台座62は、ガイドピン63が挿通する
中心孔62aを有している。第2加工台座62の加工面である上面には、環状凹部62bが
中心孔62aを包囲するように設けられている。環状凹部62bは放射状羽根10の環状折り返し部12、特に1枚目の放射状羽根10bの側に形成された環状折り返し部12を収容する逃げ部である。ガイドピン63はその駆動装置63aにより上下方向に昇降駆動され、上方へは第2加工台座62の上面より上方まで駆動されることにより、2枚目の放射状羽根10bの形成過程で糸束20の中心部に挿入され、羽根中心部に空間を確保すると共に、下降する第2溶着ホーン61の案内を行う。
【0053】
次に、
図4に示した製造装置により、
図1に示した放射状羽根10を製造する方法について、
図5(a)〜(g)及び
図6(a)〜(e)を参照して説明する。
【0054】
放射状羽根10の製造では、まず
図5(a)(b)に示すように、糸送りユニット51により糸束20が第1加工台座52の
中心孔52aを通って第1加工台座52の下まで送り出される。第1加工台座52の下へ送り出される糸束20の長さは、1枚目の放射状羽根10aの製造に必要な量である。
【0055】
糸束20の送り出しが終わると、
図5(c)に示すように、第1溶着ホーン53が超音波振動しながら下方の退避位置から上昇を始め、第1加工台座52の下へ送り出された糸束20の糸材21を周囲へ開く。更に第1溶着ホーン53が上昇を続けると、糸材21が更に周囲へ開き、最終的には、
図5(d)に示すように、周囲へ開いた糸材21が第1溶着ホーン53の環状の溶着面53aにより第1加工台座52下面の
中心孔52a周囲に押し付けられる。
【0056】
第1溶着ホーン53の溶着面53aによる押し付けにより、糸束20の送り出し部における糸材21は、周囲へ完全に開き放射状になる。同時に、第1溶着ホーン53が超音波振動していることから、第1溶着ホーン53の溶着面53aにより押圧された放射状の糸材21の中心部近傍、すなわち第1溶着ヘッド53の環状の溶着面53aと
中心孔52a周囲の第1加工台座52表面との間に挟まれた環状部分が溶着され、環状溶着部22aとなる。
【0057】
このとき、第1溶着ホーン53の上端面中心部に設けられた棒状凸部53bは、糸束20の開放過程の最終段階で、且つ溶着が始まる前に糸束20の中心部に挿入され、糸束20の中心部に円形の空間を確保した状態で溶着を行わせる。棒状凸部53bは又、第1溶着ホーン53から独立した別部材とされて第1溶着ホーン53との共振を阻止されているため、周囲へ放射状に開いた糸材21の前記空間と接する部分の溶着を防止する。また、環状凹部53cは、周囲へ放射状に開いた糸材21の内縁部(前記空間の近傍)が溶着されるのを阻止して、環状折り返し部12の形成に寄与する。こうして、1枚目の放射状羽根10aの形成が終わる。
【0058】
第1溶着ヘッド53による溶着が終わり、1枚目の放射状羽根10aの形成が終わると、
図5(e)に示すように、第1溶着ホーン53が下降すると共に、再度糸送りユニット51により糸束20が第1加工台座52の下へ送り出される。第1加工台座52の下へ送り出される糸束20の長さは、2枚目の放射状羽根10bの製造に必要な量である。
【0059】
糸束20の送り出しが終わると、
図5(f)に示すように、両側の退避位置にあった分離状態のクランパー72が再度、合体位置へ移動し、第1加工台座52の下へ送り出された糸束20を拘束する。この状態で
図5(g)に示すように、カッターユニット100により、糸束20が第1加工台座52の下面に沿って切断される。
【0060】
糸束20の切断が終わると、クランパー72が糸束20を拘束したまま、クランパーユニット70が第1溶着ユニット50から第2溶着ユニット60へ移動する。これにより、1枚目の放射状羽根10aが、2枚目の放射状羽根10bを形成するための糸束20と共に、第1溶着ユニット50から第2溶着ユニット60へ搬送される。
【0061】
第2溶着ユニット60においては、
図6(a)に示すように、1枚目の放射状羽根10a及びその中心部から上に延びる糸束20が、第2溶着ホーン61と第2加工台座62との間に固定される。そうすると、
図6(b)に示すように、ガイドピン63が上昇を開始し、第2加工台座62の
中心孔62aを通り、更にその上の1枚目の放射状羽根10aの中心部に形成された円形の空間を通ってその上の糸束20の中心部に差し込まれ、更にこの糸束20の中心部を貫通して、第2溶着ホーン61の下端面中心部に設けられた円形凹部61bに挿入される。
【0062】
そうなると、
図6(c)に示すように、クランパー72が両側へ開き、糸束20を解放すると共に、第2溶着ホーン61が上方の退避位置から下降を始める。同時にガイドピン63も下降を始める。これにより、1枚目の放射状羽根10aは第2加工台座62の上面に当接し、この状態で、ガイドピン63の周囲に存在する糸材21が、第2溶着ホーン61の溶着面61aにて下方へ押されることにより、周囲へ開く。
【0063】
第2溶着ホーン61及びガイドピン63が更に下降を続けると、
図6(d)に示すように、糸材21は第2加工台座62の上面上で周囲へ完全に開き放射状になる。同時に、超音波振動する第2溶着ホーン61の環状の溶着面61aにより、放射状の糸材21の中心部近傍が、
中心孔62a周囲の第2加工台座62上面との間に挟まれて溶着され、2枚目の放射状羽根10bについても環状溶着部22b〔
図6(d)参照〕が形成される。
【0064】
このとき、第2溶着ホーン61の円形凹部61bの周囲に形成された環状凹部61cは、周囲へ開いた糸材21の内縁部(前記空間の近傍)が溶着されるのを阻止して、2枚目の側に環状折り返し部12が形成されるのに寄与する。また、第2加工台座62の
中心孔62aの周囲に形成された環状凹部62bは、第1溶着ユニット50で1枚目の側に形成された環状折り返し部12の変形を阻止する。更に、第2溶着ホーン61の円形凹部61bに挿入されたガイドピン63は、第2溶着ホーン61から独立した棒状部材であるために、第2溶着ホーン61との共振がなく、環状折り返し部12の内面を溶着する危険がない。
【0065】
かくして、環状溶着部22a,22bで一体化した2枚重ねの放射状羽根10が第2加工台座62上に形成される。一体化した環状溶着部22a,22bは、完成した放射状羽根10の環状コア部13となる。
【0066】
第2加工台座62上に放射状羽根10が形成されると、
図6(e)に示すように、第2溶着ホーン61は上方の退避位置に戻り、ガイドピン63は下方の退避位置に戻り、放射状羽根10を拘束状態から解放する。
【0067】
図7に示した製造装置は、放射状羽根10を製造する別の装置であり、クランパー搬送ユニット71を挟んでその上下に同心状に配置された第1溶着ホーン80及び第2溶着ホーン90を有している。この製造装置の特徴は、同一位置において二重構造の放射状羽根10における1枚目の放射状羽根10aの形成、及び2枚目の放射状羽根10bの形成を行うことであり、二重構造の放射状羽根10における1枚目の放射状羽根10aの形成を第1溶着ホーン80が行い、2枚目の放射状羽根10bの形成を第2溶着ホーン90が行う。
【0068】
クランパーユニット70は、分割式のクランパー73を有しており、これを分離、合体させることにより、放射状羽根の製造素材である糸束20の拘束、解放を行う。このクランパー73は、加工台座を兼ねており、そのために高強度に作製されている。クランパー搬送ユニット71は、図左側の材料受取り位置から、第1溶着ホーン80と第2溶着ホーン90との間の加工位置へ材料搬送を行う。
【0069】
クランパー搬送ユニット71の下方に配置された第1溶着ホーン80は、円柱形状をした上向きの超音波振動子であり、図示されない駆動装置により上下に昇降駆動される。第1溶着ホーン80の円形の上端面は溶着面81であり、より詳しくは、中心部の棒状凸部82及びその外側の環状凹部83を除く環状部分が溶着面81である。
【0070】
棒状凸部82は放射状羽根10の
中心孔11を形成するためのものであり、糸束20の太さより小さい外径を有し、2枚目の放射状羽根10bの形成過程で糸束20の中心部に挿入されて、ここに円形の空間を形成すると共に、下降する第2溶着ホーン61の案内を行う。また、この棒状凸部82は、
図4に示した製造装置の第1溶着ホーン50と同様に、第1溶着ホーン80との共振防止のために、第1溶着ホーン80の中心部に設けられた
中心孔を挿通する丸棒状の別部材の先端突出部により構成されている。環状凹部83も第1溶着ホーン50と同様に、放射状羽根10の環状折り返し部12、特に1枚目の側に環状折り返し部12を形成するための逃げ部である。
【0071】
クランパー搬送ユニット71の上方に配置された第2溶着ホーン90は、円柱形状をした下向きの超音波振動子であり、図示されない駆動装置により上下に昇降駆動される。第2溶着ホーン90の円形の下端面は溶着面91であり、より詳しくは、中心部の細長い円形凹部92、及びその外側の浅い環状凹部93を除く環状部分が溶着面91である。円形凹部61bは上昇する棒状凸部82を収容する逃げ穴であり、環状凹部61cは放射状羽根10の環状折り返し部12、特に2枚目の側に環状折り返し部12を形成するための逃げ部である。
【0072】
次に、
図7に示した製造装置により、
図1に示した放射状羽根10を製造する方法について、
図78a)〜(g)を参照して説明する。
【0073】
放射状羽根10の製造では、まずクランパー搬送ユニット71の左側部分にクランパーユニット70を位置させ、その上方に配置された図示されない糸送りユニットから送り出される糸束20をクランパーユニット70内のクランパー73で拘束する。次いで、糸送りユニットの下に設けられた図示されないカッターユニットにより糸束20を切断する。糸束20の切断長(送り出し長)は、二重構造の放射状羽根10を製造するのに必要な長さであり、より具体的には加工台座を兼ねるクランパー73の下面(加工面)から下方に突出する糸束長が1枚目の放射状羽根10aに必要な量であり、クランパー73の下面(加工面)から上方部分の糸束長が2枚目の放射状羽根10bに必要な量である。
【0074】
糸束20の拘束、切断が終わると、
図8(a)に示すように、クランパー73が糸束20を拘束したまま、クランパーユニット70が第1溶着ホーン80と第2溶着ホーン90との間に移動し、この間に糸束20が搬送される。そうすると、
図8(b)に示すように、第1溶着ホーン80が超音波振動しながら下方の退避位置から上昇を始め、クランパー73の下に突出する糸束20の糸材21を周囲へ開く。更に第1溶着ホーン80が上昇を続けると、糸材21が更に周囲へ開き、最終的には、
図8(c)に示すように、周囲へ開いた糸材21が第1溶着ホーン80の溶着面81によりクランパー73下面のチャック孔周囲に押し付けられる。
【0075】
第1溶着ホーン80の溶着面81による押し付けにより、糸束20の下方突出部における糸材21は周囲へ完全に開き放射状になる。同時に、第1溶着ホーン80が超音波振動していることから、第1溶着ホーン80の溶着面81により押し付けられた放射状の糸材21の中心部近傍が環状に溶着され、環状の溶着部22a〔
図8(d)参照〕となる。
【0076】
このとき、第1溶着ホーン80の上端面中心部に設けられた棒状凸部82は、糸束20の開放過程の最終段階で、且つ溶着が始まる前に糸束20の中心部に挿入され、糸束20の中心部を貫通することにより、その中心部に円形の空間を確保した状態で溶着を行わせる。棒状凸部82は又、第1溶着ホーン80から独立した別部材とされて第1溶着ホーン80との共振を阻止されているため、周囲へ放射状に開いた糸材21の前記空間と接する部分の溶着を防止する。また、環状凹部83は、周囲へ開いた糸材21の内縁部(前記空間の近傍)が溶着されるのを阻止して環状折り返し部12の形成に寄与する。こうして、1枚目の放射状羽根10aの形成が終わる。
【0077】
第1溶着ホーン83による溶着が終わり、1枚目の放射状羽根10aの形成が終わると、
図8(d)に示すように、クランパー73が開く。そうすると、
図8(e)に示すように、第2溶着ホーン90が上方の退避位置から下降を始める。これにより、第1溶着ホーン80のガイドピンを兼ねる棒状凸部82の周囲に存在する糸材21が周囲に開く。また、第1溶着ホーン80の棒状凸部82が、第2溶着ホーン90の逃げ部である円形凹部92に挿入される。第2溶着ホーン90が更に下降を続けると、
図8(f)に示すように、糸材21は放射状に開き、第2溶着ホーン90の溶着面91にて、第1溶着ホーン80の溶着面81に押し付けられる。
【0078】
これにより、2枚目の放射状羽根10bについても、環状溶着部22b〔
図8(g)参照〕が形成される。第1溶着ホーン80の環状の溶着面81は下側の加工台座を兼ねる。このとき、第2溶着ホーン90の逃げ部である円形凹部92に挿入された第1溶着ホーン80の棒状凸部82は、第2溶着ホーン90から独立した別部材でるために、周囲へ放射状に開いた糸材21の内面が溶着されるのを阻止する。第2溶着ホーン90の円形凹部92の周囲に形成された環状凹部93は、周囲へ放射状に開いた糸材21の内縁部(前記空間の近傍)が溶着されるのを阻止して、2枚目の放射状羽根10bの側に環状折り返し部12が形成されるのに寄与する。また、第1溶着ホーン80の棒状凸部82の周囲に形成された環状凹部93は、1枚目の放射状羽根10aの側に形成された環状折り返し部12の変形を阻止する。
【0079】
かくして、環状溶着部22a,22bで一体化した2枚重ねの放射状羽根10が同一位置、すなわち第1溶着ホーン80と第2溶着ホーン90との間で形成される。一体化した環状溶着部22a,22bは、完成した放射状羽根10の環状コア部13となり、その内側に環状折り返し部12が形成される。
【0080】
第1溶着ホーン80と第2溶着ホーン90との間で放射状羽根10が形成されると、
図8(g)に示すように、第1溶着ホーン80は下方の退避位置に戻り、第2溶着ホーン90は上方の退避位置に戻る。
【0081】
この製造方法は、クランパー73及び第2溶着ホーン90が加工台座を兼ね、専用の加工台座を必要とない点、及び第1溶着ホーン80の棒状凸部82がガイドピンを兼ね、専用のガイドピンを必要しない点で、装置コストを安くできる利点がある。
【0082】
図9に示した製造装置は、装置構成については、
図7に示した製造装置と基本的に同じである。主に相違するのは、クランパーユニット70内のクランパー74が、
図4に示した製造装置と同様に加工台座を兼ねない点、代わって、そのクランパー74がサイド溶着ユニットを兼ねる点、第1溶着ホーン80の溶着面81と共に、第2溶着ホーン90の溶着面91が加工台座を兼ねる点の3点である。
【0083】
また、タイミング的に相違するのは、
図10(a)〜(f)に示すように、クランパー搬送ユニット71の下に配置された第1溶着ホーン80と、クランパー搬送ユニット71の上に配置された第2溶着ホーン90とが同時に昇降を行う点である。
【0084】
すなわち、
図9に示した製造装置では、まずクランパー搬送ユニット71の左側部分にクランパーユニット70を位置させ、その上方に配置された図示されない糸送りユニットから送り出される糸束20をクランパーユニット70内のクランパー72で拘束する。次いで、糸送りユニットの下に設けられた図示されないカッターユニットにより糸束20を切断する。糸束20の切断長(送り出し長)は、二重構造の放射状羽根10を製造するのに必要な長さであり、より具体的にはクランパー74によるクランプ位置中央から下の糸束長が1枚目の放射状羽根10aに必要な量であり、クランパー74によるクランプ位置中央から上の糸束長が2枚目の放射状羽根10bに必要な量である。
【0085】
糸束20の拘束、切断が終わると、
図10(a)に示すように、クランパー74が糸束20を拘束したまま、クランパーユニット70が第1溶着ホーン80と第2溶着ホーン90との間に移動し、この間に糸束20が搬送される。そうすると、
図10(b)に示すように、第1溶着ホーン80が超音波振動しながら下方の退避位置から上昇を始めると同時に、第2溶着ホーン90が超音波振動しながら上方の退避位置から下降を始める。これにより、クランパー74の上下に突出する糸束20が同時に周囲へ開く。
【0086】
第1溶着ホーン80及び第2溶着ホーン90が更に下降及び上昇を続けると、
図10(c)に示すように、サイド溶着ユニットを兼ねるクランパー74により、糸束20の拘束部分が仮溶着される。その後は、
図10(d)に示すように、クランパー74が両側へ退避すると共に、第1溶着ホーン80及び第2溶着ホーン90が更に上昇及び下降を続け、最終的には
図10(e)に示すように、糸束20の仮溶着部23〔
図10(d)参照〕より下の部分、上の部分が周囲へ放射状に開き、その中心部周囲が第1溶着ホーン80の溶着面81と第2溶着ホーン90の溶着面91との間で溶着される。
【0087】
溶着中、周囲へ開いた糸束20の中心部は、第1溶着ホーン80の棒状凸部82が挿通することにより
中心孔を形成される。
【0088】
かくして、二重構造(2枚重ね)の放射状羽根10が製造される。この製造方法の利点は、下側の放射状羽根10aと上側の放射状羽根10bが同時に形成されることにより、製造速度が速いことである。第1溶着ホーン80の棒状凸部83が第1溶着ホーン80からも第2溶着ホーン90からも独立した別部材であるために、環状折り返し部12の内周面の溶着が阻止されること、環状折り返し部12の成形に第1溶着ホーン80の環状凹部83及び第2溶着ホーン90の環状凹部93も、その環状折り返し部12の形成に寄与することは、
図7に示した製造装置による製法の場合と同じである。
【0089】
いずれの製造方法においても、糸束20の切断量(送り出し量)、クランパー72,73,74による糸束20のクランプ位置を変更することにより、放射状羽根10の外径、放射状羽根10を構成する放射状羽根10a,10bの各外径を広範囲に調節することができる。
【0090】
図2に示した放射状羽根は、環状折り返し部12の中にリング状の補強材15を挿入したものである。環状折り返し部12は、糸束20を中心部に空間が形成された状態で外側へ湾曲させることにより形成されるので、その湾曲の際にリング状の補強材15を挿入すればよい。そして、環状折り返し部12の中にリング状の補強材15を挿入することにより、環状溶着部の周方向の機械的強度がより向上する。
【0091】
図3に示した放射状羽根は、二重構造の放射状羽根10における1枚目の放射状羽根10aと2枚目の放射状羽根10bが同サイズであり、羽根部14におけるそれぞれの糸長は同一である。製造に使用する糸束20の長さ選択、環状折り返し部12の位置選択により、様々なサイズ、形状の放射状羽根10が製造できることは前述したとおりである。
【0092】
放射状羽根10の
中心孔11周囲に環状折り返し部12を形成しない場合、すなわち空間周囲の糸材21の折り返し部の内周縁まで溶着を行う場合は、第1溶着ユニット50,80における棒状凸部53b,83を第1溶着ユニット50,80から独立させる必要も、逃げ部としての環状凹部53c,83を設ける必要もないことは言うまでもない。