【実施例】
【0015】
図1は用いる横編機2を示し、4は針床で、針床4は例えば前後一対、あるいは前後と上下で合計4枚、横編機2に設けられている。6はキャリッジで、針床4の編針を操作する。なお個々の編針毎にリニアモータを設けて、キャリッジ6を廃止しても良い。キャリッジ6は針床4の長手方向(
図1の左右方向)に沿って往復し、キャリッジ6と一体の連行部8は、ヤーンフィーダー10を備えるキャリア11を、レール12に沿って連行する。
【0016】
横編機2の例えば上部側方に設けられた給糸部13から、編糸をヤーンフィーダー10へ供給し、引き揃えて針床4の編針へ給糸する。給糸部13では、例えばコーン14から成る糸源から編糸を張力制御部15へ供給し、張力制御部15により編糸に所望の張力を加える。張力制御部15では、例えば糸を供給するローラの回転速度をサーボモータにより制御し、ローラを介して張力を制御する。あるいは、アームの先端の小孔を介して編糸を供給し、アームに可変の付勢力を加える。ここでアームを付勢する力を変化させると、編糸の張力も変化する。
【0017】
張力制御部15には、これ以外に、編糸の供給長を測定するロータリーエンコーダ等を設けても良い。また張力切り替えの機構自体は、任意である。
図1では、横編機2の上方から編糸を供給するが、側方から編糸を供給しても良い。以下、2本の編糸を引き揃えて給糸するものとするが、3本以上でも良い。ただし3本以上の編糸を引き揃えて編成する際は、表糸に十分大きな張力を加え、他の添糸には小さな張力を加えることになるが、添糸間での張力差を大きくすることが難しい。このため複数の添糸が編地の裏面に表れて、編地の裏面が混色する場合がある。
【0018】
ヤーンフィーダー10から、編針のフック18への、例えば2本の編糸24,25の供給を
図2に示す。編成の方向(コース方向)は
図2の右から左で、高い位置にあるヤーンフィーダー10から、シンカー先端のガイド面22でガイドされながら、編糸はフック18へ給糸される。そして2本の編糸24,25を引き揃えて、例えば1個あるいは2個のヤーンフィーダー10から給糸する。するとフック18の手前では張力が大きい編糸が下に、張力が小さい編糸が上に表れる。
図1では1個のヤーンフィーダー10から編糸24,25を供給する例を示しているが、異なる2個のヤーンフィーダーからそれぞれ編糸24,25を供給するようにしても良い。
【0019】
図2のフック18aは編目を形成して針床内へ復帰済みであり、フック18b,フック18cは歯口側に進出した状態から針床側へ順次戻りつつある。またフック18a,18b,18cへ編糸をガイドするシンカーのガイド面を、それぞれ22a,22b,22cとする。
【0020】
図3は1組のフック18aとシンカー20a及びそのガイド面22aを示し、フック18,シンカー20は針床の長手方向に沿って所定のピッチで配置されている。19は編針で、先端に前記のフック18aがあり、編針19の種類はベラ針でも複合針等でも良い。シンカー20は例えば固定であるが、キャリッジ6により操作される可動のシンカーでも良い。針床4から見て、シンカー20の先端の面はガイド面22となり、ガイド面22は鉛直でも、あるいは鉛直面23に対して傾斜していても良く、傾斜角をθとする。
図3では傾斜角θが15°の例を示すが、傾斜の向きが逆(傾斜角θが負)でも良い。
【0021】
図3は、編糸24,25への張力を切り替える直前あるいは張力切替の影響が及ぶ前の、フック18aとガイド面22aでの編糸24,25の状況を示す。編糸25の張力は編糸24の張力よりも大きく、張力が大きな編糸25はヤーンフィーダーからフック18aまで最短の経路を取ろうとし、ガイド面22aでの下側に位置し、張力の小さな編糸24がガイド面22aでの上側に位置する。フック18a内では、張力が大きな編糸25が下側に位置して表糸となり、張力が小さな編糸24が上側に位置して添糸となる。
【0022】
図4は、編糸24の張力が編糸25の張力よりも大きくなるように張力を切り替え、その影響がフック18cとガイド面22cまで及んだ際の状況を示す。張力が大きい編糸24が張力の小さな編糸25よりも下側に位置するように、ガイド面22cとフック18cでの編糸24,25の上下の関係が変化し、フック18c内では編糸24が下側に位置して表糸となり、編糸25が上側に位置して添糸となる。
【0023】
2本の編糸に加える張力(張力制御部15での張力)の比は、例えば2倍以上とし、過大な張力のために編糸が切れることを防止するため、好ましくは2倍以上で15倍以下、特に2倍以上で10倍以下とする。実施例では高張力側を40g/本、低張力側を5g/本、張力の比を8倍とした。しかし、高張力側を20g/本、低張力側を5g/本としても、表糸/添糸の関係を保って問題なく編成できた。なおg/本は編糸1本当たりの張力を表す単位である。
【0024】
なお2本の編糸が接触して張力差が小さくなることを防止するため、1個のヤーンフィーダーから給糸する場合、以下のようにすることが好ましい。即ち、ヤーンフィーダーは2本の編糸が接触せずに通過できる程度のサイズとし、ヤーンフィーダーの形状は楕円形等とし、その長軸方向を針床4の長手方向に直交させる。このようにすると、ヤーンフィーダー10及びキャリア内での、編糸間の接触を防止できる。
【0025】
表糸/添糸の関係を定めるのは編糸に加わる張力差なので、例えば一方の編糸の張力を大きな張力と小さな張力の間で制御し、他方の編糸の張力を中間の張力に固定しても良い。この場合、他方の編糸の張力はテンションバネ等でほぼ一定に保っても良く、フィードバック等による制御を施す必要はない。
【0026】
張力制御部15において、張力の大小を切り替えた後に、実際に表糸/添糸の関係が反転するまでの距離は例えば1/5インチ〜1インチ程度で、張力制御部15からヤーンフィーダー10までの距離が長いとこの距離も長くなり、短いとこの距離も短くなる。好ましくは編機のコントローラはこの距離を記憶しておく。
【0027】
張力に大小の差を設けることにより、ガイド面22での編糸の上下関係が変化する。2本の編糸に同じ張力を加えている間、編糸の上下関係は変化しない。そこで常時は2本の編糸への張力を等しくし、表糸/添糸の関係を切り替えるときに、表糸にする編糸への張力を添糸にする編糸の張力よりも大きくし、表糸/添糸の切替が終わると、2本の編糸への張力を等しくしても良い。
【0028】
図5,
図6は、プレーティング編成での張力の制御を示す。
図5は横編機での制御を示し、編成データ中に表糸と添糸とが割当されているので、これを読み出す。この割当では例えば、最初にどの編糸を表糸とし、どの編糸を添糸とするかが割当され、以降の編成でどの位置で表糸と添糸の割当を切り替えるかが指定されている。そこでこれらの割当を読み出し、記憶する(ステップ1)。
【0029】
表糸となる編糸の張力を大きく、添糸となる編糸の張力を小さくするように、張力制御部により張力を制御しながら、2本の編糸を引き揃えて給糸する(ステップ2)。
【0030】
そして表糸と添糸の関係を切り替える位置から、張力の切替後に表糸と添糸の関係が変化するまでの針の本数だけ手前の位置で、編糸に加える張力の大小を切り替え(ステップ3,4)、ステップ2へ戻る。
【0031】
2本の編糸に対する張力の切替と、表糸/添糸の関係の切替を、
図6に模式的に示す。
【0032】
編成データに基づく柄を形成するために表糸/添糸の割当を切り替えるのではなく、編成データによらずに、表糸/添糸の割当をランダムに切り替えても良い。このようにすると色等がランダムに変化する編地が得られる。
【0033】
図7は、一対のヤーンフィーダー30a,30bを先端に備えるキャリア11を示す。キャリア11はレール12に沿って運動し、横編機の長手方向に沿っての前後一対の支持部材31,31の間に、一対のヤーンフィーダー30a,30bが、針床の長手方向に沿って同じ位置にあるように設けられている。一対のアイレット32a,32bを介してヤーンフィーダー30a,30bへ編糸24,25を給糸し、キャリア11の付近で一対の編糸24,25は互いに接触せずに、引き揃えて編針へ給糸される。
【0034】
好ましくは、アイレット32a,32bはレール12の長手方向(針床4の長手方向)に直角な面内に設け、張力制御部15からヤーンフィーダー30a,30bまでの間での、編糸24,25の接触を防止する。
【0035】
図8は実施例で編成するプレーティング編地(前身頃)80を模式的に示し、編成データ中の柄を指定するデータ(柄データ)に基づいて、表糸/添糸の割当を切り替える。そして張力を変化させるタイミングは、キャリッジの位置データ、あるいはどの針を選針しているかの選針データなどから定める。
【0036】
高い側の張力と低い側の張力を一定にする必要はなく、例えば高い側の張力を常時は5〜20g/本、低い側の張力を5〜20g/本とし、表糸/添糸の割当の切替時に高い側の張力を30g/本、低い側の張力を3g/本等と常時から異ならせて、編糸の切替を容易にしても良い。即ち、常時は表糸の張力と添糸の張力差を、表糸/添糸の割当の切替時の張力差よりも小さくしても良く、極端な場合、常時は表糸の張力と添糸の張力が等しくても良い。また一方の編糸の張力を例えば5g/本〜30g/本等の間で変化させ、他方の編糸の張力を例えば15g/本などに固定しても良い。