特許第6562902号(P6562902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6562902生体血管内血液置換用液体、生体血管内血液置換用液体製剤およびプレフィルドシリンジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562902
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】生体血管内血液置換用液体、生体血管内血液置換用液体製剤およびプレフィルドシリンジ
(51)【国際特許分類】
   A61K 49/00 20060101AFI20190808BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20190808BHJP
   A61J 1/06 20060101ALI20190808BHJP
   A61M 25/06 20060101ALN20190808BHJP
【FI】
   A61K49/00
   A61K9/08
   A61K47/10
   A61K47/12
   A61K47/18
   A61K47/22
   A61K47/26
   A61K47/36
   A61K47/38
   A61J1/06 G
   !A61M25/06 550
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-509899(P2016-509899)
(86)(22)【出願日】2014年11月12日
(86)【国際出願番号】JP2014080001
(87)【国際公開番号】WO2015145860
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2017年11月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-70571(P2014-70571)
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089060
【弁理士】
【氏名又は名称】向山 正一
(72)【発明者】
【氏名】中村 宏司
(72)【発明者】
【氏名】森 功
(72)【発明者】
【氏名】時田 昌典
【審査官】 名和 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−500142(JP,A)
【文献】 特表2010−512230(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/102210(WO,A1)
【文献】 特表2011−507635(JP,A)
【文献】 特開2015−010065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A61K 49/00−49/22
A61L 15/00−33/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体血管内検査にあたり、生体血管内の検査対象部位の血液と置換するために、血管内に注入される生体血管内血液置換用液体であって、
前記血液置換用液体は、生体に無害な水性媒体と、前記水性媒体に添加された生体に無害かつ、ゲル化特性を付与するためのゲル化特性付与物とからなり、かつ、前記血液置換用液体は、血管内注入時では、粘度が3mPa・s以下であり、さらに、前記ゲル化特性付与物は、グリチルリチン酸と塩基性アミノ酸との混合物、キチンまたはキトサンとヒアルロン酸との混合物、または、コンドロイチン硫酸と塩基性化合物との混合物であることを特徴とする生体血管内血液置換用液体。
【請求項2】
前記水性媒体が、無菌水、生理食塩水あるいは緩衝液である請求項1に記載の生体血管内血液置換用液体。
【請求項3】
前記血液置換用液体は、少なくとも30℃以下では、粘度が3mPa・s以下であり、25℃以上にてゲル化特性を発揮するものである請求項1または2に記載の生体血管内血液置換用液体。
【請求項4】
前記ゲル化特性付与物は、前記グリチルリチン酸と前記塩基性アミノ酸との混合物である請求項1ないし3のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体。
【請求項5】
前記ゲル化特性付与物は、グリチルリチン酸モノアンモニウムとチアミン塩化物塩酸塩との混合物である請求項に記載の生体血管内血液置換用液体
【請求項6】
前記血液置換用液体は、粘度調整剤として、親水性高分子を含有している請求項1ないし5のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体。
【請求項7】
前記粘度調整剤は、ゼラチン、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン− 無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタアクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアスパルトアミド、合成ポリアミノ酸からなる群より選択された少なくとも1種である請求項6に記載の生体血管内血液置換用液体。
【請求項8】
医療用容器と該容器に充填された請求項1ないし7のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体とからなることを特徴とする生体血管内血液置換用液体製剤。
【請求項9】
外筒と、前記外筒内に収納されたガスケットと、前記外筒の先端部を封止する封止部と、前記外筒内に充填された請求項1ないし7のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体とからなることを特徴とするプレフィルドシリンジ。
【請求項10】
前記プレフィルドシリンジは、前記血管内血液置換用液体が充填された状態にて加熱滅菌されている請求項9に記載のプレフィルドシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管の状態の画像診断時に用いられる生体血管内血液置換用液体、生体血管内血液置換用液体製剤およびそれを充填したプレフィルドシリンジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光技術を利用した血管内診断装置が近年、大きく進歩している。光技術を利用した装置の代表例として光干渉断層診断装置(OCT:Optical Coherence Tomography)があげられる。この装置を使用することにより、血管の性状観測(例えば、血管断面、血管内面)が可能となっただけでなく、観察画像の3Dによる可視化および血管性状の定量化が可能となった。光干渉断層診断装置は、先端に光学レンズ及び光学ミラーを内蔵するプローブを取り付けた光ファイバを血管内に挿入し、光ファイバの先端側に配置した光学ミラーをラジアル走査させながら、血管内に光を照射し、生体組織からの反射光をもとに血管の内面画像を描出するものである。さらに、次世代OCTといわれている光学振動数領域画像化法(Optical Frequency Domain Imaging:OFDI)を用いる画像診断装置である特開2011−206375(特許文献1、本件出願人が提案)がある。
【0003】
血管内画像診断時には、ガイドワイヤーを介して観測部位へと血管内画像診断用カテーテルを送達させて、血管内画像診診断を行うことになる。この血管内画像診断時には、赤血球等の血球成分を含む血液による光、超音波の反射が起こることがあり、目的とする血管の高い精度の断層画像、内面画像を構成する妨げとなる。このため、血管内画像診断時には、診断対象血管内より、血球成分を除去する必要がある。
【0004】
臨床現場では、高い粘度を有する造影剤等の液体、または生理食塩水を血管内に注入して血球成分が無い状態を一時的に作り出した後、画像診断性を行っている。この上記液体を放出する操作は、一般にフラッシュ操作と呼ばれ、その際に放出する液体が、いわゆるフラッシュ液である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−206375
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、生理食塩水をフラッシュ液として用いた場合、血液排出持続時間が短く、良好な血液性状測定、言い換えれば、画像診断を行えないものであった。また、フラッシュ液として、造影剤を用いることは、造影剤腎症に代表される副作用を引き起こすことがある。このため、造影剤量を抑制することが求められている。また、フラッシュ液は、ガイディングカテーテルを通じで注入されるため、フラッシュ液の粘度は、注入抵抗力に大きく影響する。また、フラッシュ液の注入抵抗は、フラッシュ液の流路となるカテーテルの内径にも大きく影響を受ける。そして、フラッシュ液の注入抵抗力が、過度に高いと、フラッシュ液の注入不良が起こる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、造影剤を用いることなく、注入抵抗も少なく、かつ、十分な血液排除性とある程度の持続性を有する生体血管内血液置換用液体、生体血管内血液置換用液体製剤およびプレフィルドシリンジを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
生体血管内検査にあたり、生体血管内の検査対象部位の血液と置換するために、血管内に注入される生体血管内血液置換用液体であって、前記血液置換用液体は、生体に無害な水性媒体と、前記水性媒体に添加された生体に無害かつ、ゲル化特性を付与するためのゲル化特性付与物とからなり、かつ、前記血液置換用液体は、血管内注入時では、粘度が3mPa・s以下であり、さらに、前記ゲル化特性付与物は、グリチルリチン酸と塩基性アミノ酸との混合物、キチンまたはキトサンとヒアルロン酸との混合物、または、コンドロイチン硫酸と塩基性化合物との混合物である生体血管内血液置換用液体。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の生体血管内血液置換用液体の投与状態を説明するための説明図である。
図2図2は、本発明のプレフィルドシリンジの正面図である。
図3図3は、図2に示したプレフィルドシリンジの縦断面図である。
図4図4は、本発明のプレフィルドシリンジが接続可能なガイディングカテーテルの一例の正面図である。
図5図5は、本発明の生体血管内血液置換用液体の使用対象となる血管内光干渉断層診断装置用生体内挿入プローブの一例の正面図である。
図6図6は、図5に示した血管内光干渉断層診断装置用生体内挿入プローブの先端部の縦断面拡大図である。
図7図7は、本発明の生体血管内血液置換用液体の使用対象となる血管内超音波診断装置用生体内挿入プローブの一例の正面図である。
図8図8は、図7に示した血管内超音波診断装置用生体内挿入プローブの先端部の縦断面拡大図である。
図9図9は、実験結果を示すグラフである。
図10図10は、実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の生体血管内血液置換用液体およびそれを用いた生体血管内血液置換用液体製剤およびプレフィルドシリンジについて、実施例を用いて説明する。
本発明の生体血管内血液置換用液体1は、生体血管内検査にあたり、生体血管内の検査対象部位の血液と置換するために、血管内に注入されるものである。そして、血液置換用液体1は、生体に無害な水性媒体と、水性媒体に添加された生体に無害かつ、ゲル化特性を付与するためのゲル化特性付与物とからなり、かつ、血液置換用液体は、血管内注入時では、粘度が3mPa・s以下である。
【0011】
本発明の血管内血液置換用液体は、水性媒体に、適量のゲル化特性付与物を添加し、撹拌することにより、容易に作成することができる。
また、本発明の生体血管内血液置換用液体製剤は、医療用容器とこの容器に充填された上記の血管内血液置換用液体とからなる生体血管内血液置換用液体製剤である。
【0012】
また、本発明の血管内血液置換用液体充填済みプレフィルドシリンジ10は、外筒12と、外筒12内に摺動可能に収納されたガスケット16と、外筒12の先端部を封止する封止部15と、外筒内に充填された上記の血管内血液置換用液体1とからなる。
外筒、ガスケットおよび封止部は予め滅菌したものを用いることが好ましい。滅菌の方法は特に限定されず、例えば、ろ過滅菌、高圧蒸気滅菌法、乾式加熱滅菌法、エチレンオキサイドガス滅菌法、放射線(例えば、電子線、X線、γ線など)滅菌法、オゾン水による滅菌法、過酸化水素水を用いる滅菌法を用いることができる。
【0013】
本発明の生体血管内血液置換用液体1およびプレフィルドシリンジ10は、例えば、図1に示すように、生体血管内に挿入された管状体(例えば、カテーテル、プローブ)を用いて、血管内に射出することにより使用される。
図1に示すものでは、血管5内に、ガイディングカテーテル3が挿入されており、さらに、ガイディングカテーテル内には、画像診断用生体内挿入用プローブ2が挿入されている。また、ガイディングカテーテル3のハブ32のサイドポート33に、血管内血液置換用液体充填済みプレフィルドシリンジ10が装着されている。そして、画像診断用生体内挿入用プローブ2の先端部を診断対象部位付近に配置した後、ガイディングカテーテル3に装着されたプレフィルドシリンジ10のプランジャー17を押し込むことにより、血管内血液置換用液体1は、ガイディングカテーテル3内を通り、その先端より血管内に射出される。射出された血管内血液置換用液体1により、当該部位の血液が押し流され、射出部位は、血管内血液置換用液体が充満する状態となる。これにより、画像診断用生体内挿入用プローブ2による血液の影響を受けない血管診断用情報を得ることができる。
【0014】
本発明の生体血管内血液置換用液体1は、生体に無害な水性媒体と、水性媒体に添加された生体に無害かつ、ゲル化特性を付与するためのゲル化特性付与物とからなる。
水性媒体としては、無菌水、生理食塩水あるいは緩衝液などが好適に使用される。無菌水としては、蒸留水、RO水などの注射用水が好適である。また、生体血管内血液置換用液体1は、少なくとも30℃以下では、粘度が3mPa・s以下、より好ましくは2mPa・s以下であり、25℃以上にてゲル化特性を発揮するものであることが好ましい。
これまで、2mPa・s以上の粘度を有するフラッシュ液が血液除去に有効とされてきたが、検討したところ、2mPa・s未満の粘度を有する液体であっても、ゲル化特性を有することにより、血液除去を達成しうることを確認した。
【0015】
また、生体血管内血液置換用液体の粘度は、30℃において、3mPa・s以下であることが好ましい。このような粘度であれば、血管内への注入時における注入抵抗も少なく、注入も容易である。
ゲル化特性付与物としては、単体としてその機能を発揮するものと、2種以上の化合物を混合することにより発揮するものがある。
【0016】
単体としてゲル化特性付与物機能するものとしては、例えば、ムコ多糖類、増粘多糖類およびリン酸基、カルボン酸基あるいは硫酸基を有する化合物であり、グリチルリチン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、硫酸アンモニウム、デキストラン硫酸、グルクロン酸およびこれら塩類ないし誘導体などがあげられる。
また、2材以上の化合物を混合することにより調製されるゲル化特性付与物としては、化合物がイオン結合、水素結合、ファンデルワールス力等の化学的または物理的な相互作用によりゲルへと変化するものがまる。そのようなゲル化特性付与物としては、例えば、グリチルリチン酸類と塩基性アミノ酸またはその誘導体との混合物、キチンまたはキトサンもしくはその誘導体とヒアルロン酸またはその誘導体との混合物、コンドロイチン硫酸またはその誘導体と塩基性化合物との混合物などがある。
【0017】
ゲル化特性付与物は、水性媒体と混和する前に予め溶媒に溶解してもよい。親水性高分子を溶解する溶媒は特に限定されないが、水と混和する必要性を考えると、水、アルコール類、DMF、THF、DMSOなどが望ましく、水であることが最も好ましい。親水性高分子としては、分子量が200〜1000000のものが好ましく、特に、400〜40000のものが好ましい。
【0018】
また、生体血管内血液置換用液体1は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、粘度調整剤として、親水性高分子を含有していてもよい。親水性高分子は特に限定されないが、デキストランを含まず、水溶性であることが好ましい。また、親水性高分子とは、同一の構造(モノマー)が繰り返しで配列しているものである。疾患背景を考慮して、親水性高分子が肝臓などで直接グルコースに分解し、血中グルコース濃度を増加させるような化合物は望ましくない。この範疇に帰属する親水性高分子としてデキストランがある。
【0019】
本発明における親水性高分子としては、具体的には、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル− 無水マレイン酸交互共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタアクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアスパルトアミド、合成ポリアミノ酸などが挙げられる。
親水性高分子は、水性媒体と混和する前に予め溶媒に溶解してもよい。親水性高分子を溶解する溶媒は特に限定されないが、水と混和する必要性を考えると、水、アルコール類、DMF、THF、DMSOなどが望ましく、水であることが最も好ましい。親水性高分子としては、分子量が200〜1000000のものが好ましく、特に、400〜40000のものが好ましい。
【0020】
本発明において、適切な親水性高分子を選択することにより、粘度2mPa・s以上の生体血管内置換用液体を得ることも可能であり、この場合、ゲル化特性付与物を含有しないことも考えられる。
このようなゲル化特性付与物を含有しないタイプの生体血管内血液置換用液体について説明する。
この実施例の生体血管内血液置換用液体は、生体血管内検査にあたり、生体血管内の検査対象部位の血液と置換するために、血管内に注入されるものである。そして、血液置換用液体は、生体に無害な水性媒体と、水性媒体に粘度を高めるために添加された親水性高分子とからなる透明性水性液体である。
そして、血管内血液置換用液体の粘度は、親水性高分子の濃度(添加量)に依存するため、血管内血液置換用液体の粘度設計が容易である。このため、好適な粘度を有する血管内血液置換用液体の作成が容易である。さらに、この実施例の血管内血液置換用液体は、水性媒体に、適量の親水性高分子を添加し、撹拌することにより、容易に作成することができる。
また、この実施例の生体血管内血液置換用液体製剤は、医療用容器とこの容器に充填された上記の血管内血液置換用液体とからなる生体血管内血液置換用液体製剤である。
【0021】
また、この実施例の血管内血液置換用液体充填済みプレフィルドシリンジにおいても、図2および図3に示したプレフィルドシリンジと同様に、プレフィルドシリンジは、外筒12と、外筒12内に摺動可能に収納されたガスケット16と、外筒12の先端部を封止する封止部15と、外筒内に充填された上記の血管内血液置換用液体1とからなる。
外筒、ガスケットおよび封止部は予め滅菌したものを用いることが好ましい。滅菌の方法は特に限定されず、例えば、ろ過滅菌、高圧蒸気滅菌法、乾式加熱滅菌法、エチレンオキサイドガス滅菌法、放射線(例えば、電子線、X線、γ線など)滅菌法、オゾン水による滅菌法、過酸化水素水を用いる滅菌法を用いることができる。
【0022】
この発明の生体血管内血液置換用液体およびプレフィルドシリンジは、上述した実施例と同様に、図1に示し、説明したように、生体血管内に挿入された管状体(例えば、カテーテル、プローブ)を用いて、血管内に射出することにより、使用される。これにより、画像診断用生体内挿入用プローブ2による血液の影響を受けない血管診断用情報を得ることができる。
【0023】
この実施例の生体血管内血液置換用液体1は、生体に無害な水性媒体と、水性媒体に粘度を高めるために添加された親水性高分子とからなる。親水性高分子は特に限定されないが、デキストランを含まず、水溶性であることが好ましい。
本発明における親水性高分子とは、同一の構造(モノマー)が繰り返しで配列しているものである。疾患背景を考慮して、親水性高分子が肝臓などで直接グルコースに分解し、血中グルコース濃度を増加させるような化合物は望ましくない。この範疇に帰属する親水性高分子としてデキストランがある。
【0024】
この発明における親水性高分子としては、具体的には、ポリエチレングリコール、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル− 無水マレイン酸交互共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタアクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアスパルトアミド、合成ポリアミノ酸などが挙げられる。
【0025】
親水性高分子は、水性媒体と混和する前に予め溶媒に溶解してもよい。親水性高分子を溶解する溶媒は特に限定されないが、水と混和する必要性を考えると、水、アルコール類、DMF、THF、DMSOなどが望ましく、水であることが最も好ましい。水性媒体としては、無菌水もしくは生理食塩水、緩衝液が使用される。無菌水としては、蒸留水、RO水などが使用される。親水性高分子としては、分子量が200〜1000000のものが好ましく、特に、400〜40000のものが好ましい。
【0026】
また、生体血管内血液置換用液体の粘度は、2〜100mPa・sであることが好ましく、特に、3〜10mPa・sであることが好ましい。粘度が2mPa・s以上であれば、生体血管内血液置換用液体にある程度の粘度を付与することができ、血管内への射出後、ある程度の時間、生体血管内血液置換用液体を滞留させることができる。また、粘度が、100mPa・s以下であれば、過剰な時間、血管内にとどまることがない。
生体血管内血液置換用液体1における親水性高分子の濃度は、使用する親水性高分子の種類および分子量により相違するが、前記粘度を達成できる濃度であれば限定されない。
【0027】
そして、この実施例の血管内血液置換用液体としては、上述した水性媒体とポリビニルピロリドン以外の物質を実質的に有しないものであることが好ましい。特に、この実施例の血管内血液置換用液体としては、水性媒体が無菌水であり、かつ、ポリビニルピロリドン以外の物質を実質的に有しないものであることが好ましい。
【0028】
また、本発明の生体血管内血液置換用液体製剤は、医療用容器とこの容器に充填された上記の血管内血液置換用液体とからなる生体血管内血液置換用液体製剤である。医療用容器としては、例えば、ソフトバッグ、パウチ容器、プラスチックボトル等の輸液用容器、バイアル、アンプル、プレフィルドシリンジなどを用いることができる。血管内血液置換用液体としては、上述したいずれのタイプのものを用いてもよい。
本発明の血管内血液置換用液体を充填するために使用される容器としては、各国で要求されている法規制を満たしているものであればよい。
本発明の生体血管内置換用液体を充填する容器としては、一般的に医療用容器として使用されている上記の医療用容器があげられる。本発明の用途を鑑みると、後述するプレフィルドシリンジ製剤が好適である。
【0029】
医療用容器がバッグである場合には、その材質は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が好ましい。なお、血管内血液置換用液体の容器としてバッグを選択した場合、医療現場でシリンジに移しかえる作業が必要となる。選択するシリンジ外筒の材料は特に限定されない。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、環状オレオフィン共重合体、環状ポリオレフィンのような各種樹脂で成形されたシリンジ外筒を好ましく使用することができる。
【0030】
本発明の血管内血液置換用液体充填済みプレフィルドシリンジ10は、図1ないし図3に示すように、外筒12と、外筒12内に摺動可能に収納されたガスケット16と、外筒12の先端部を封止する封止部15と、外筒内に充填された上記の血管内血液置換用液体1と、ガスケット16に装着されたプランジャ17とからなる。そして、プレフィルドシリンジ10は、血管内血液置換用液体が充填された状態にて加熱滅菌されていることが好ましい。
外筒12は、外筒本体部41と、外筒本体部41の先端部に設けられたノズル部42と、外筒本体部41の後端部に設けられたフランジ部44を備える。
外筒12は、透明もしくは半透明材料により、好ましくは、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成された筒状体である。
【0031】
外筒本体部41は、ガスケット16を液密かつ摺動可能に収納するほぼ筒状の部分であり、ノズル部42は、外筒本体部41より小径の筒状部となっている。また、外筒本体部41の先端部(肩部)は、ノズル部42に向かってテーパー状に縮径している。また、この実施例の外筒12は、ノズル部42を被包するカラー部43を備える。ノズル部42は、外筒12の先端に設けられており、先端に外筒内の薬液等を排出するための開口を備えるとともに先端に向かってテーパー状に縮径するように形成されている。カラー部43は、ノズル部42を取り囲むようにノズル部42と同心的に円筒状に形成されている。カラー部43の内周面には、後述する封止部材であるシールキャップ15のノズル部収納部51の外周面に形成された螺旋状突出部およびガイディングカテーテル3のサイドポート33の後端突出部などと螺合可能な螺旋状溝部が形成されている。フランジ部44は、外筒12の後端全周より垂直方向に突出するように形成された楕円ドーナツ状の円盤部である。フランジ部44は、向かい合う幅広となった2つの把持部を備える。
【0032】
外筒12の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、環状オレフィン共重合体、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状オレフィン共重合体、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
【0033】
封止部材であるシールキャップ15は、キャップ本体50と、キャップ本体内に収納されたシール部材53とからなる。キャップ本体50は、図3に示すように、キャップ状に作製されており、ノズル部収納部51、カラー部収納部52、ノズル部収納部51の内面に設けられたシール部材保持部を有する。ノズル部収納部51は、シールキャップ15の中央部に設けられ、一端が閉塞し、他端が開口した円筒状部である。ノズル部収納部51の内径は、一端から他端までほぼ同一径となっている。また、ノズル部収納部51の外周面には、外筒12のカラー部43の内周面に形成された螺旋状溝部と螺合可能な螺旋状突出部が形成されている。
【0034】
シールキャップの形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられる。また、シール部材53の形成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を使用することが好ましい。
【0035】
ガスケット16は、図2および図3に示すようにほぼ同一外径にて延びる本体部と、この本体部に設けられた複数の環状リブ(この実施例では2つ)を備え、これらリブが、外筒12の内面に液密に接触する。また、ガスケット16の先端面は、外筒12の先端内面に当接した時に、両者間に極力隙間を形成しないように、外筒12の先端内面形状に対応した形状となっている。また、ガスケット16は、その後端部にプランジャー装着部を備えている。この実施例では、プランジャー装着部は、ガスケットの後端部より内部に延びる凹部と、この凹部の内面に形成された雌ねじ部により構成されている。
【0036】
ガスケット16の形成材料としては、弾性を有するゴム(例えば、ブチルゴム、ラテックスゴム、シリコーンゴムなど)、合成樹脂(例えば、SBSエラストマー、SEBSエラストマーなどのスチレン系エラストマー、エチレン−αオレフィン共重合体等のポリオレフィン系エラストマーなど)等を使用することが好ましい。
プランジャー17は、先端部に筒状に突出する突出部を備え、突出部の外面にはガスケット16の凹部と螺合する雄ねじが形成されている。また、プランジャー17は、断面十字状の軸方向に延びる本体部と、後端部に設けられた押圧用の円盤部を備えている。この実施例のシリンジでは、プランジャー17がガスケットにあらかじめ装着されているが、このようなものに限定されるものではない。プランジャーは、使用時にガスケットに装着するものであってもよい。
【0037】
次に、本発明の生体管内血液置換用液体の使用対象となるガイディングカテーテルおよび画像診断用生体内挿入用プローブについて説明する。
なお、ガイディングカテーテルおよび画像診断用生体内挿入用プローブは、例示であり、このようなものに限定されるものではない。
図4に示すガイディングカテーテル3は、中空の所定長を有するカテーテルチューブ31と、カテーテルチューブ31の後端部に装着された分岐ハブ32とからなる。そして、カテーテル3は、カテーテルチューブ31の先端から分岐ハブ32の開口部34まで延びるルーメン35を備えている。そして、分岐ハブ32の開口部34は、画像診断用生体内挿入用プローブの挿入口として用いられる。また、分岐ハブ32のサイドポート33は、本発明の血管内血液置換用液体充填済みプレフィルドシリンジ10の接続用ポートとして用いられる。
【0038】
図5および図6に示す画像診断用生体内挿入用プローブは、体腔内(ガイディングカテーテル内)に挿入されるシース20と、シース20内に挿入されたデータ取得用シャフト60とからなる。データ取得用シャフト60は、駆動伝達中空シャフト62と、中空シャフト62内を貫通し、かつ、中空シャフト62の先端部より露出したチップ部64を有する光ファイバ61とを備え、かつ、基端部にて付与される回転力により回転する。
【0039】
この実施例の光生体内挿入用プローブ2は、データ取得用シャフト60と、データ取得用シャフトを収納するシース20と、データ取得用シャフトが貫通しかつシース20より基端側に位置する操作部材21とを備える。
シース20は、基端より先端方向に延びるデータ取得用シャフトを収納するためのシャフトルーメン67を有する先端が閉塞したチューブ体である。シース20は、シースチューブと、シースチューブの基端に設けられた耐キンクプロテクター25と、プロテクター25の基端部に固定された基部チューブ23と、基部チューブ23の基端に固定されたチューブハブ24とを備えている。
そして、この実施例の生体内挿入用プローブ2では、シースチューブは、内側チューブ70、中間チューブ63、外側チューブ65により構成されている。そして、プロテクター25は、シースチューブの基端部に固定されている。プロテクター25の基端部には、所定長基端側に延びる基部チューブ23が固定されている。基部チューブ23の基端部には、チューブハブ24が固定されている。
【0040】
データ取得用シャフト60は、図5および図6に示すように、駆動伝達中空シャフト62と、中空シャフト62内を貫通し、かつ、中空シャフト62の先端部より露出したチップ部64を有する光ファイバ61と、光ファイバ61の基端部に接続されたコネクタと、中空シャフト62の基端部とコネクタとを接続する接続部材26とを備える。データ取得用シャフト60は、コネクタにて与えられる回転力により回転する。駆動伝達中空シャフト62は、基端より先端まで貫通した内腔部を有する所定長を有する中空体である。そして、内腔部は、光ファイバを収納可能なものとなっている。駆動伝達中空シャフト62としては、コイル、丸線或いは平板状の金属をコイル状あるいはブレード状に単層もしくは多層に巻いたもの、樹脂チューブに金属製剛性付与体を被覆もしくは埋設したものなどが使用される。
【0041】
光ファイバ61としては、所定長延びる公知の中実の光ファイバを使用することができる。光ファイバとしては、例えば、シングルモード光ファイバを使用することができる。また、光ファイバのクラッドの外面は、ジャケットと呼ばれる樹脂材料で被覆されていることが好ましい。そして、光ファイバ61の先端には、図6に示すように、チップ部64が光学的に接続されている。この実施例の生体内挿入用プローブでは、チップ部64としては、レンズが用いられている。
【0042】
次に、本発明の生体管内血液置換用液体の使用方法について説明する。
生体内挿入用プローブ2は、基端部(データ取得用シャフトのコネクタ部および操作部材21の操作用保持部材の基端部)を外部装置(図示せず)に接続して使用する。
外部装置は、データ取得用シャフトのコネクタと連結され、データ取得用シャフトを高速回転させるための駆動源と、データ取得用シャフトの光ファイバに光を供給するための光源と、データ取得用シャフトのチップ部(レンズ部)より受光した光を用いて画像化する画像表示機能とを備えるものが用いられる。
【0043】
生体内挿入用プローブを使用する場合には、基端部が外部装置と接続された生体内挿入用プローブ2をあらかじめ挿入されているガイディングカテーテルを用いて、目的とする血管部位に挿入する。そして、図1に示すように、ガイディングカテーテル3の分岐ハブに接続されたプレフィルドシリンジを用いて、血管内に生体管内血液置換用液体を注入する。これにより、ガイディングカテーテルより所定距離先端側の血管部位内における血液は、生体管内血液置換用液体により押し流され、生体管内血液置換用液体が充満する状態となる。そして、外部駆動装置を駆動させ、データ取得用シャフトを回転させる。そして、シャフトとともに回転するチップ部より、生体情報を得る。そして、生体内挿入用プローブによる軸方向スキャンを行う場合は、プローブを軸方向に、かつ血管部位内を移動させることにより、新たな生体情報を得ることができる。
【0044】
次に、本発明の生体管内血液置換用液体の使用対象となる画像診断用生体内挿入用プローブの他の例について説明する。
この実施例の生体内挿入用プローブ100は、本発明の生体内挿入用プローブを超音波生体内挿入用プローブに応用したものである。
この実施例の超音波生体内挿入用プローブ100は、図7に示すように、体腔内に挿入されるシース120と、シース120内に挿入されたデータ取得用シャフト101とからなる。シース120については、上述したものと同じである。
そして、この実施例におけるデータ取得用シャフト101は、駆動伝達中空シャフト102と、中空シャフト102の先端部に固定された超音波振動子104と、外部駆動装置の接続部と接続可能なコネクタ110とを備え、コネクタ110にて付与される回転力により回転するデータ取得用シャフト101となっている。
【0045】
データ取得用シャフト101は、図8に示すように、チップ部として超音波を送受信するための超音波振動子機能を有するトランスデューサー104が用いられている。そして、データ取得用シャフト101は、トランスデューサー104を収納したトランスデューサーハウジング107を先端部に備えている。ハウジング107は、トランスデューサー104を露出させるための開口部を有する筒状体であり、その基端部にて、中空シャフト102の先端部に固定されている。ハウジング107の先端部には、先端方向に延びる回転安定化部材103が取り付けられている。回転安定化部材としては、図示するようなコイル体が好適である。駆動伝達中空シャフト102は、基端より先端まで貫通した内腔部を有する所定長を有する中空体である。
【0046】
そして、中空シャフト102内には、図8に示すように、2本のリード線をよった信号線105を内蔵し、その先端は、トランスデューサー104の振動子に接続されている。また、信号線105の後端は、コネクタ110のレセプタクル(図示せず)に接続されている。コネクタ110は、コネクタハウジング181と、その外面に設けられた環状の弾性部材182を有する。そして、この実施例の生体内挿入用プローブ100においても、データ取得用シャフト101は、回転するものとなっている。
【0047】
生体内挿入用プローブ100が接続される外部駆動装置(図示せず)は、モーターを含む駆動源とプローブより伝達される信号のピックアップ機能を備えている。外部駆動装置は、更に送受信回路と画像表示装置等を有するコンソールに電気的に接続される。
そして、超音波を用いるこのタイプの画像診断においても、上述した光を用いるものと同様に、本発明の生体管内血液置換用液体が使用される。
【実施例】
【0048】
1.添加物として、以下のものを準備した。
1)グリチルリチン酸モノアンモニウム (GLZA): 丸善製薬株式会社製
2)ゼラチン: ゼライス株式会社
3)ポリビニルピロリドン:分子量約40,000、Sigma−Aldrich製
4)チアミン塩化物塩酸塩: DSMジャパン株式会社製
5)ポリエチリングリコール400:分子量約400、PEG400(商品名)、関東化学株式会社製
【0049】
2.装置として、以下のものを準備した。
1)OFDI血管内画像診断装置:LUNAWAVE(登録商標)、テルモ株式会社製
2)ガイディングカテーテル(6Fr,5Fr):Heartrail(登録商標)、テルモ株式会社製
3)ガイドワイヤー:Runthrough(登録商標)、テルモ株式会社製
4)画像診断用生体内挿入用プローブ:FirstView(登録商標)、テルモ株式会社製
【0050】
3.乳酸緩衝液を以下のようにして作成した。
塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム二水和物、L−乳酸ナトリウム液をそれぞれ6.0g,0.3g,0.2g,6.2g量りとり、水を加えて溶解する。さらに、水を加えて正確に1Lとする。
【0051】
4.グルコース・塩化ナトリウム溶液を以下のようにして作成した。
グルコース、塩化ナトリウムを4.0g, 0.9gをとり、水を加えて200mLとする。
5.チアミン塩化物塩酸塩溶液を以下のようにして作成した。
チアミン塩化物塩酸塩1gを水に溶解して、100mlとして、チアミン塩化物塩酸塩溶液を作成した。
【0052】
(実施例および比較例)
以下のようにして実施例および比較例の生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を作成もしくは準備した。
【0055】
(実施例
グリチルリチン酸モノアンモニウムを量りとり、乳酸緩衝液を加えてグリチルリチン酸モノアンモニウムとして0.05mg/mLの溶液を調製する。この液に、グリチルリチン酸モノアンモニウム:チアミンのモル比が、1:1となるようにチアミン塩化物塩酸塩溶液を加えて、生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を作成した。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.0mPa・sであった。
【0056】
(実施例
グリチルリチン酸モノアンモニウムを量りとり、乳酸緩衝液を加えてグリチルリチン酸モノアンモニウムとして0.10mg/mLの溶液を調製した。この液に、グリチルリチン酸モノアンモニウム:チアミンのモル比が、1:1となるようにチアミン塩化物塩酸塩溶液を加えて、生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を作成した。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.0mPa・sであった。
【0057】
(実施例
グリチルリチン酸モノアンモニウムを量りとり、乳酸緩衝液を加えてグリチルリチン酸モノアンモニウムとして0.20mg/mLの溶液を調製した。この液に、グリチルリチン酸モノアンモニウム:チアミンのモル比が、1:1となるようにチアミン塩化物塩酸塩溶液を加えて、生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を作成した。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.0mPa・sであった。
【0058】
(実施例
グリチルリチン酸モノアンモニウムを量りとり、乳酸緩衝液を加えてグリチルリチン酸モノアンモニウムとして0.5mg/mLの溶液を調製した。この液に、グリチルリチン酸モノアンモニウム:チアミンのモル比が、1:1となるようにチアミン塩化物塩酸塩溶液を加えて、生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を作成した。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.4mPa・sであった。
【0059】
(実施例
グリチルリチン酸モノアンモニウムを量りとり、乳酸緩衝液を加えてグリチルリチン酸モノアンモニウムとして1.0mg/mLの溶液を調製した。この液に、グリチルリチン酸モノアンモニウム:チアミンのモル比が、1:1となるようにチアミン塩化物塩酸塩溶液を加えて、生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を作成した。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.7mPa・sであった。
【0060】
(実施例
実施例のフラッシュ液50mLに、ゼラチン50mgを加えて溶解することにより、生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を作成した。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.0mPa・sであった。
【0061】
(実施例
実施例のフラッシュ液50mLに、ゼラチン100mgを加えて溶解することにより、生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を作成した。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.1mPa・sであった。
【0062】
(実施例
実施例のフラッシュ液50mLに、ゼラチン200mgを加えて溶解することにより、生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を作成した。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.1mPa・sであった。
【0063】
(実施例
実施例4のフラッシュ液50mLに、PEG400を1gを加えて溶解することにより、生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を作成した。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.5mPa・sであった。
【0064】
(実施例10
実施例4のフラッシュ液50mLに、PEG400を3gを加えて溶解することにより、生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を作成した。このフラッシュ液の25℃における粘度は1.5mPa・sであった。
【0065】
(実施例11
実施例4のフラッシュ液50mLに、PEG400を6gを加えて溶解することにより、生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を作成した。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.7mPa・sであった。

【0066】
(比較例1)
比較例1として、生理食塩液を用いた。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.0mPa・sであった。
【0067】
(比較例2)
比較例2として、乳酸リンゲル液を用いた。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.0mPa・sであった。
【0068】
(比較例3)
グリチルリチン酸モノアンモニウムを量りとり、乳酸緩衝液を加えてグリチルリチン酸モノアンモニウムとして0.20mg/mLの溶液を調製し、フラッシュ液とした。このフラッシュ液の25℃における粘度は、1.0mPa・sであった。
【0069】
(比較例4)
平均分子量40,000の低分子デキストランを含有する(製品名「大塚デキストランL注」、大塚製薬株式会社製)を用い、これをフラッシュ液とした。このフラッシュ液の25℃における粘度は、4.8mPa・sであった。
【0070】
(比較例5)
オムニパーク300注シリンジ(非イオン性造影剤、第1三共株式会社製)を準備し、これをフラッシュ液とした。このフラッシュ液の20℃における粘度は、13.3mPa・sであた。
【0071】
(比較例6)
オムニパーク350(非イオン性造影剤、第1三共株式会社製)を準備し、これをフラッシュ液とした。このフラッシュ液の25℃における粘度は、26.7mPa・sであった。
上記フラッシュ液の粘度は、粘度計を用いて測定した。
【0072】
(実験1)in vitro画像診断評価
上記の実施例および比較例の生体管内血液置換用液体(フラッシュ液)を用いて、モデル血管における画像診断評価を行った。モデル血管として、シリコンチューブを用いて、シリコンチューブ内に豚血液定流量ポンプ用いて流し、シリコンチューブの内径が3秒以上見える状態が続いた時に、画像診断が良好と判断した。なお、フラッシュ液の送液は、画像診断用生体内挿入用プローブとガイドワイヤーを挿入した外径の異なるガイディングカテ―テルについて行い、送液にはシリンジポンプを使用した。本実験における実験条件は、以下の通りである。
送液条件
豚血液送液速度: 250mL/min
フラッシュ液送液速度: 150mL/min
フラッシュ液送液量: 20mL
画像診断性についてin vitroで行った実験結果は、表1に示す通りであった。
【0073】
【表1】
【0074】
表1に示すように、すべての実施例1〜11において、フラッシュ液適用後、5秒以上クリアーな画像診断が得られたことから、本発明のフラッシュ液が有効であることが示された。その一方で、比較例1〜3のフラッシュ液は、実施例1〜と同等の粘度を有しているにも関わらず、画像診断性は悪いという評価結果となった。従って、本発明で検討したフラッシュ液は、粘度とは異なる要因により良好な画像診断性を達成したものと考える。
【0075】
また、比較例4〜6は、OFDIによる血管造影で、現在一般的に使用されるフラッシュ液である。これらをフラッシュ液について画像診断性について評価した結果、6Frのガイディングカテーテルを使用した実施例においては、良好な画像診断性を示したが、5Frのガイディングカテーテルを用いた実施例では、良好な画像診断性は得られなかった。これは、溶液粘度が高いため、目的とする速度あるいは量を注入できないためであると推察する。その一方で、低粘度である本発明のフラッシュ液は、5Frのガイディングカテーテルを用いて良好な画像診断性が得られることが確認された。
【0076】
(実験2)
溶液粘度と注入抵抗値に関する実験を行った。
この実験にて用いたフラッシュ剤は、実施例1、3、4、6および7と比較例1、4、5を用いた。フラッシュ剤を20mLのシリンジに充填し、5Frおよび6Frのガイディングカテーテルに接続した。ガイディングカテーテルには、予め画像診断用生体内挿入用プローブおよびガイドワイヤーを挿入した状態で、AUTOGRAPH(株式会社島津製作所製)を用いて、フラッシュ剤を押しだし、この押し出した際のかかる力の最大値を注入抵抗値として測定を行った。なお、フラッシュ剤の押しだす速度は、100mL/minとした。結果は、表2に示す通りであった。
【0077】
【表2】
【0078】
表2に示すように、6Frおよび5Frのガイディングカテーテルを使用した時の注入抵抗値は、粘度依存的に増加することがわかった。さらに、6Frにおける注入抵抗値と比較して、5Frにおける注入抵抗値は、4倍以上高い値を示すことがわかった。特に、比較例4および比較例5における5Fr使用時の注入抵抗値は非常に高い値となった。これらのことから、注入抵抗値が過度に高くなることにより、一定速度で注入できない可能性がある。その結果として、実験1において、高粘度を有するフラッシュ液の5Frガイディングカテーテル使用時に良好な画像診断性が得られなかった理由は、高粘度に理由があると判断した。
【0079】
(実験3)
実施例、比較例4および比較例6のフラッシュ液について、動物を用いて画像診断性を確認した。豚の血管内に6Frおよび5Frのガイディングカテーテルを挿入し、さらに、そのカテーテル内に準備したガイドワイヤー(外径 0.35mm)およびOFDIカテーテルを挿入した。このカテーテルを通じてフラッシュ液を注入し、血管内画像を取得した血管内画像は、血管内壁が目視できる画像をCLEAR FRAMEとして定義し、CLEAR FRAME時間を取得した血管内画像から算出した。その結果を図9および図10に示した。
【0080】
その結果、本発明である実施例は、比較例4よりもCLEAR FRAME時間の延長が認められ、さらに、比較例6と同等あるいは延長が認められた。さらに、5Frのガイディングカテ―テル時においても6Frと同等のCLEAR FRAME時間が得られた。本実験結果より、この実施例のフラッシュ液は、低粘度であっても高粘度液と同等の画像診断性を有すること、および、内径の細いガイディングカテーテルを用いても良好な画像診断性を有することが確認でた。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の生体血管内血液置換用液体は、以下のものである。
(1) 生体血管内検査にあたり、生体血管内の検査対象部位の血液と置換するために、血管内に注入される生体血管内血液置換用液体であって、
前記血液置換用液体は、生体に無害な水性媒体と、前記水性媒体に添加された生体に無害かつ、ゲル化特性を付与するためのゲル化特性付与物とからなり、かつ、前記血液置換用液体は、血管内注入時では、粘度が3mPa・s以下である生体血管内血液置換用液体。
【0093】
この生体血管内血液置換用液体(いわゆる、フラッシュ液)は、血管内注入時では、溶液粘度が3mPa・s以下の水性液体であるため、注入抵抗が少なく、対象血管内に容易に注入することができ、かつ、血管内に注入後では、含有するゲル化特性付与物により、十分な血液押出能を発揮し、かつ、ある程度の存在するため、血液の影響を受けることなく、画像診断用生体内挿入用プローブを用いて画像診断用情報を得ることできる。
【0094】
また、上記の生体血管内血液置換用液体の実施態様は、以下のものであってもよい。
(2) 前記水性媒体が、無菌水、生理食塩水あるいは緩衝液である上記(1)に記載の生体血管内血液置換用液体。
(3) 前記血液置換用液体は、少なくとも30℃以下では、粘度が3mPa・s以下であり、25℃以上にてゲル化特性を発揮するものである上記(1)または(2)に記載の生体血管内血液置換用液体。
(4) 前記ゲル化特性付与物は、ムコ多糖類、増粘多糖類およびリン酸基、カルボン酸基あるいは硫酸基を有する化合物であり、グリチルリチン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、硫酸アンモニウム、デキストラン硫酸、グルクロン酸およびこれら塩類ないし誘導体を含む上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体。
【0095】
(5) 前記ゲル化特性付与物は、2材以上の化合物を混合して調製されたものであり、かつ、化合物がイオン結合、水素結合、ファンデルワールス力等の化学的または物理的な相互作用によりゲルへと変化するものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体。
(6) 前記ゲル化特性付与物において、グリチルリチン酸類と塩基性アミノ酸またはその誘導体との混合物、キチンまたはキトサンもしくはその誘導体とヒアルロン酸またはその誘導体との混合物、コンドロイチン硫酸またはその誘導体と塩基性化合物との混合物である上記(5)に記載の生体血管内血液置換用液体。
(7) 前記血液置換用液体は、粘度調整剤として、親水性高分子を含有している上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体。
【0096】
(8) 前記粘度調整剤は、ゼラチン、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン− 無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタアクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアスパルトアミド、合成ポリアミノ酸からなる群より選択された少なくとも1種である上記(7)に記載の生体血管内血液置換用液体。
また、本発明の体血管内血液置換用液体製剤は、以下のものである。
(9) 医療用容器と該容器に充填された上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体とからなることを特徴とする生体血管内血液置換用液体製剤。
よって、生体内への生体血管内血液置換用液体の投与準備が極めて容易である。
【0097】
また、本発明のプレフィルドシリンジは、以下のものである。
(10) 外筒と、前記外筒内に収納されたガスケットと、前記外筒の先端部を封止する封止部と、前記外筒内に充填された上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体とからなることを特徴とするプレフィルドシリンジ。
よって、生体内への生体血管内血液置換用液体の投与準備が極めて容易である。
【0098】
また、上記のプレフィルドシリンジの実施態様は、以下のものであってもよい。
(11) 前記プレフィルドシリンジは、前記血管内血液置換用液体が充填された状態にて加熱滅菌されている上記(10)に記載のプレフィルドシリンジ。
また、本発明の生体血管内血液置換用液体製剤は、医療用容器と該容器に充填された上記の血管内血液置換用液体とからなる生体血管内血液置換用液体製剤である。
【0099】
また、生体血管内血液置換用液体は、以下のものである。
(12) 生体血管内検査にあたり、生体血管内の検査対象部位の血液と置換するために、血管内に注入される生体血管内血液置換用液体であって、前記血液置換用液体は、生体に無害な水性媒体と、前記水性媒体に粘度を高めるために添加された親水性高分子とからなる透明性水性液体である生体血管内血液置換用液体。
【0100】
この生体血管内血液置換用液体は、添加された親水性高分子により粘度が高められているため、血管内への注入時に、十分な血液押出能を発揮し、かつ、ある程度の時間をかけて流れて行くため、血液の影響を受けることなく、画像診断用生体内挿入用プローブを用いて画像診断用情報を得ることできる。
【0101】
また、上記の生体血管内血液置換用液体の実施態様は、以下のものであってもよい。
(13) 前記水性媒体が、無菌水、生理食塩水あるいは緩衝液である上記(12)に記載の生体血管内血液置換用液体。
(14) 前記親水性高分子は、生体内投与後において、血中グルコース濃度増加性を持たないものである上記(12)または(13)に記載の生体血管内血液置換用液体。
(15) 前記親水性高分子は、ポリエチレングリコール、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン− 無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタアクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアスパルトアミド、合成ポリアミノ酸である上記(12)ないし(14)のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体。
【0102】
(16) 前記血液置換用液体は、粘度が2〜100mPa・sである上記(12)ないし(15)のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体。
(17) 前記親水性高分子は、ポリビニルピロリドンである上記(12)に記載の生体血管内血液置換用液体。
(18) 前記親水性高分子は、分子量が200〜1000000である上記(12)ないし(17)のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体。
【0103】
また、本発明の体血管内血液置換用液体製剤は、以下のものである。
(19) 医療用容器と該容器に充填された上記(12)ないし(18)のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体とからなる生体血管内血液置換用液体製剤。
よって、生体内への生体血管内血液置換用液体の投与準備が極めて容易である。
【0104】
また、本発明のプレフィルドシリンジは、以下のものである。
(20) 外筒と、前記外筒内に収納されたガスケットと、前記外筒の先端部を封止する封止部と、前記外筒内に充填された上記(12)ないし(18)のいずれかに記載の生体血管内血液置換用液体とからなることを特徴とするプレフィルドシリンジ。
よって、生体内への生体血管内血液置換用液体の投与準備が極めて容易である。
【0105】
また、上記のプレフィルドシリンジの実施態様は、以下のものであってもよい。
(21) 前記プレフィルドシリンジは、前記血管内血液置換用液体が充填された状態にて加熱滅菌されている上記(20)に記載のプレフィルドシリンジ。
図1
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図10