(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料の分野に関する。より詳述すれば、本発明は、式(I)のいくつかのビシクロ誘導体、並びにドイツスズラン(lily of the valley)及びシトラスノートを付与するための付香成分としてのそれらの使用に関する。従って、本明細書において以下で言及されるように、本発明は、付香組成物の又は付香消費者製品の一部としての本発明による化合物も含む。
【0002】
先行技術
我々の知る限り、本発明による化合物は、新規である。
【0003】
我々の知る限り、付香成分として先行技術において報告されている本発明による化合物に最も近い構造類似物は、フローラルのパウダリーなノートを呈するWO2010/052635号において開示されているものである。しかしながら、この先行技術文献は、環状部分において著しく異なる構造を有する式(I)の化合物の任意の感覚刺激性、又は香料の分野における該化合物の任意の使用を、報告又は示唆していない。
【0004】
発明の詳細
驚くべきことに、式
【化1】
[式中、R
1は、水素原子又はC
1-2アルキル基を示し、
R
2は、水素原子又はメチル基を示し、かつ
Aは、式C
3-5アルカンジイル基の基を示し、
R
1又はR
2の少なくとも1つは、少なくとも1つの炭素原子を含む基を示す]
のC
15〜C
18化合物、及びEもしくはZ異性体の形又はそれらの混合物である前記化合物が、付香成分として、例えばドイツスズラン及びシトラスタイプのにおいノートを付与するために使用されうることを発見している。
【0005】
明確性の理由から、“その立体異性体のいずれか1つ”の表現又は同様の表現は、当業者によって理解される通常の意味、すなわち本発明による化合物が、純粋なエナンチオマー(キラルの場合)又はジアステレオマー(例えば、二重結合が立体配座E又はZである)であってよいことを意味する。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、前記化合物(I)は、式
【化2】
[式中、Aは、前記で示した意味を有し、かつR
3は、C
1-2アルキル基を示す]の化合物である。本発明の前記実施形態のいずれか1つによれば、前記化合物(I)又は(II)は、C
15又はC
17化合物である。
【0007】
本発明の前記実施形態のいずれか1つによれば、前記R
1は、水素原子又はメチルもしくはエチル基を示す。本発明の前記実施形態のいずれか1つによれば、前記R
1は、式(II)において前記で定義したR
3基を示す。本発明の前記実施形態のいずれか1つによれば、前記R
3は、メチル基を示す。
【0008】
本発明の前記実施形態のいずれか1つによれば、前記Aは、CH
2CH
2CH
2CH
2、又はCR
2CR
2CH
2のC
3-5アルカンジイル基を示し、式中、それぞれのRは、互いに独立して、水素原子又はメチル基である。
【0009】
本発明の前記実施形態のいずれか1つによれば、前記Aは、式CH
2CH
2CH
2CH
2、CH
2CH
2C(CH
3)
2、CH
2CH
2CH
2又はCH
2C(CH
3)HCH
2の基を示す。
【0010】
本発明の前記実施形態のいずれか1つによれば、前記Aは、式CH
2CH
2CH
2又はCH
2CH
2C(CH
3)
2、及び特にCH
2CH
2CH
2の基を示す。
【0011】
本発明の前記実施形態のいずれか1つによれば、前記化合物は、そのEもしくはZ異性体の形、又はそれらの混合物であってよく、例えば本発明は、同一の化学構造を有するが、しかし二重結合の立体配置によって異なる、式(I)の化合物の1つ以上からなる物質の組成物を含む。特に、化合物(I)は、異性体E及びZからなる混合物の形であってよく、その際該異性体Eは、全混合物の少なくとも50%、又はさらに全混合物の少なくとも75%(すなわち、75/25及び100/0で構成される混合物E/Z)を示す。
【0012】
本発明による化合物の特定の例としては、限定されずに、3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール(Givaudan SA社製のLilial(登録商標)として公知の周知の付香成分)の典型的な“ウェットネス”も有する、ドイツスズラン、アルデヒド及びシトラスのノートによって特徴付けられるにおいを呈する、E/Z=85/15の混合物の形での、5−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4−エナールを挙げてよい。その性能は、先行技術の化合物中で存在しうるアニスの側面を有しない周知の付香成分3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナールの性能を強く連想させる。
【0013】
他の例としては、前記に類似したにおいを呈するが、しかしそれ自体より強いノートを有することによって区別される、5−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4(E)−エナールを挙げてよい。
【0014】
他の特定の限定されない本発明による化合物の例として、次の表1におけるものを挙げてよい:
【表1】
【0015】
本発明の特定の一実施形態に従って、式(I)の化合物は、5−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4−エナールである。
【0016】
本発明による化合物のにおいを、WO2010/052635号において開示された先行技術による化合物のにおいと比較した場合に、本発明による化合物は、それ自体、著しいアニス/パウダリーの二重性を欠くか又は呈さないことによって、及びシトラスノートを有することによって区別される。前記の違いによって、本発明による化合物及び先行技術による化合物は、それぞれ異なる使用に適している、すなわち種々の感覚刺激性の印象を付与する。
【0017】
WO2010/052635号の化合物とのこれらの違いは、極めて驚くべきことであり、それというのも、実際に、アニスの二重性を欠いているWO2010/052635号において挙げられた全ての化合物が、芳香族環が置換されていないか又はアルデヒド鎖のベンジル位においてメチル置換基を有し、かつC
12-14化合物であり、従ってそれらの構造において著しく異なる化合物であるからである。
【0018】
前記のように、本発明は、付香成分として式(I)の化合物の使用に関する。言い換えれば、本発明は、付香成分又は着香物品のにおい特性を付与する、高める、改良する又は改質するための方法に関し、該方法は、該組成物又は物品に、式(I)の少なくとも1つの化合物の有効量を付加することを含む。“式(I)の化合物の使用”に関しては、化合物(I)を含む、及び香料産業において有利に使用されてよいあらゆる組成物の使用もここで理解すべきである。
【0019】
実際に付香成分として有利に使用される前記組成物は、本発明の目的でもある。
【0020】
従って、本発明の他の目的は、
i)付香成分として、前記の少なくとも1つの本発明の化合物、
ii)香料キャリヤー及び香料ベースからなる群から選択される少なくとも1つの成分、並びに
iii)場合により少なくとも1つの香料補助剤
を含む付香組成物である。
【0021】
“香料キャリヤー”に関しては、ここでは、香料の観点から事実上中性である、すなわち付香成分の感覚刺激性の特性を著しく変更しない材料を意味する。前記キャリヤーは液体又は固体であってよい。
【0022】
液体キャリヤーとしては、限定的でない例として、乳化系、すなわち溶剤及び界面活性剤系、又は香料において通常使用される溶剤を挙げてよい。香料において通常使用される溶剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅できない。しかしながら、限定的でない例として、最も慣用的に使用される溶剤、例えばジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール又はクエン酸エチルが挙げられる。香料キャリヤー及び香料ベースの双方を含む組成物に関して、前記よりも他の適した香料キャリヤーは、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン、又は他のテルペン、イソパラフィン、例えば商標名Isopar(登録商標)(出所:Exxon Chemical)又はグリコールエーテル及びグリコールエーテルエステル、例えば商標名Dowanol(登録商標)(出所:Dow Chemical Company)で公知のものであってもよい。
【0023】
固体キャリヤーとしては、制限のない例として、吸収性ゴム又はポリマー、又はさらに封入材料を挙げてよい。かかる材料の例は、造壁材料及び可塑材料、例えば単糖、二糖又は三糖、天然デンプン又は化工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、タンパク質又はペクチン、又はさらに、参考文献、例えばH. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs− und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr's Verlag GmbH & Co., Hamburg, 1996において挙げられている材料を含んでよい。カプセル化は、当業者によく知られた方法であり、かつ例えば噴霧乾燥、凝集又はさらに押し出しのような技術を使用して実施されてよく、又はコアセルベーション及び複合コアセルベーション技術を含む被覆カプセル化からなる。
【0024】
“香料ベース”に関しては、ここでは、少なくとも1つの付香補助成分を含む組成物を意味する。
【0025】
前記付香補助成分は、式(I)のものではない。さらに、“付香補助成分”に関しては、ここでは、心地よい効果を付与するための付香調合物又は組成物において使用される化合物を意味する。言い換えれば、付香補助成分であると考えられるべきかかる補助成分は、ポジティブ又は好ましい方法で組成物のにおいを付与又は改質することができると、及び単に1つのにおいを有するだけでないと当業者によって認識される必要がある。
【0026】
いずれにしても網羅的とはならないであろう前記ベース中に存在する付香補成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、その際当業者は、一般の知識に基づいて、及び任意の使用又は適用及び所望された感覚刺激性効果に従って、前記ベースを選択することができる。一般的な用語で、これらの付香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素又は硫黄の複素環化合物及び精油と多様な化学品種に属し、かつ該付香補助成分は、天然又は合成由来のものであってよい。これらの補助成分の多くは、いずれにしても、参考文献、例えばS. ArctanderによるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、又はその最新版において、又は同様の種類の他の著作において、並びに香料の分野における豊富な特許文献において挙げられている。前記補助成分は、制御された方法で種々のタイプの付香成分を放出することが公知の化合物であってもよい。
【0027】
“香料補助剤”に関しては、ここで、追加の付加効果、例えば色、特定の耐光性、化学安定性等を付与することができる成分を意味する。付香ベースにおいて慣用的に使用される補助剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅的なものにはなりえないが、しかし該成分が当業者に周知であることを挙げるべきである。
【0028】
少なくとも1つの式(I)の化合物及び少なくとも1つの香料キャリヤーからなる本発明の組成物は、本発明の特定の実施態様を示し、及び少なくとも1つの式(I)の化合物、少なくとも1つの香料キャリヤー、少なくとも1つの香料ベース、及び場合により少なくとも1つの香料補助剤を含む付香組成物を示す。
【0029】
ここで、前記組成物において、1つ以上の式(I)の化合物を含有する可能性は、香料製造者が、アコード、香料を製造すること、本発明の種々の化合物のにおい香調を呈すること、したがって彼らの作業のための新たなツールを創造することが可能であるために重要であることを挙げることが有用である。
【0030】
明確性の理由から、本発明の化合物が出発生成物、中間生成物又は最終生成物として含まれる、化学合成から直接得られるあらゆる混合物、例えば十分な精製を行っていない反応媒体は、該混合物が、香料のための適した形で本発明による化合物を提供しない限りは、本発明に従った付香組成物として考えられないことも理解される。したがって、未精製の反応混合物は、一般に、特に明記されない限り本発明から除外される。
【0031】
さらに、本発明の化合物は、現在の香料、すなわちファイン香水又は機能的香料の全ての分野において、前記(I)を付加する消費者製品のにおいをポジティブに付与する又は改良するために、有利に使用されてよい。従って、本発明の他の目的は、付香成分として、前記で定義した式(I)の少なくとも1つの化合物を含む付香消費者製品によって示される。
【0032】
本発明の化合物は、そのままで、又は本発明による付香組成物の一部として添加することができる。
【0033】
明確性の理由から、“付香消費者製品”に関しては、少なくとも1つの心地よい付香効果を、付香効果が適用される表面(例えば皮膚、髪、織物、又は家の表面)に提供することが期待された消費者製品を意味することに注意すべきである。言い換えれば、本発明による付香消費者製品は、機能的な調合物、並びに場合により所望の消費者製品に対応する追加の有効物質、例えば洗剤又はエアフレッシュナー、及び嗅覚有効量の本発明による化合物の少なくとも1つを含む、着香消費者製品である。
【0034】
いずれにしても網羅的とはならないであろう付香消費者製品の成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、その際当業者は、一般的な知識に基づいて、及び該製品の性質及び所望の効果に従って、前記ベースを選択することができる。
【0035】
適した付香消費者製品の限定的でない例は、香料、例えばファイン香料、コロン、又はアフターシェービングローション;織物ケア製品、例えば液体又は固形洗剤、織物柔軟剤、織物リフレッシャー、アイロン水、紙、又は漂白剤;ボディケア製品、例えばヘアケア製品(例えばシャンプー、染毛料又はヘアスプレー)、化粧品調合物(例えばバニシングクリーム又はデオドラント又は発汗抑制剤)、又はスキンケア製品(例えば着香石鹸、シャワー用又はバス用ムース、オイル又はゲル、又は衛生製品);エアケア製品、例えばエアフレッシュナー又は“すぐ使用できる”粉末エアフレッシュナー;又はホームケア製品、例えばワイプ、皿用洗剤又は硬質表面洗剤であってよい。
【0036】
いくつかの前記消費者製品は、本発明の化合物にとってアグレッシブな媒体であることもあるため、適切な外部刺激、例えば酵素、光、熱又はpHの変化に対して、例えばカプセル化によって、又は本発明の成分の放出に適した他の化学物質との化学的結合によって本発明による化合物を早すぎる分解から保護する必要がある場合がある。
【0037】
種々の前記物品又は組成物中に組込まれてよい本発明による化合物における割合は、広い範囲の値で変動する。これらの値は、着香されるべき物品の性質に、並びに所望の感覚受容性効果及び本発明による化合物が、付香補助成分、溶剤又は先行技術において通常使用される添加剤と混合される場合に、与えられたベースにおける補助成分の性質に依存する。
【0038】
例えば、付香組成物の場合において、典型的に濃度は、組込まれてよい組成物の質量に対して、本発明の化合物の0.1質量%〜30質量%、又はそれ以上の範囲である。これらより低い濃度、例えば1質量%〜10質量%の範囲は、これらの化合物が着香された物品中に組込まれる場合に使用されてよく、その際パーセンテージは物品の質量に対する。
【0039】
本発明による化合物は、以下の主要ステップを含むプロセスによって得られる:
【化3】
【0040】
全ての前記方法論の例は、本明細書において以下で実施例において提供される。
【0041】
実施例
本発明を以下の例に基づいてさらに詳細に記載するが、ここで略号は当業界で通常の意味を有し、温度は摂氏(℃)で示されている。NMRスペクトルのデータは、CDCl
3(その他の記載がない限り)で
1Hおよび
13Cに関して360MHz又は400MHzの機器で記録し、ケミカルシフトδは、TMSを標準液としてppmで記載し、結合定数Jは、Hzで記載されている。
【0042】
実施例1
2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルボアルデヒド
インダン(15g、127mmol)を、窒素下で乾燥ジクロロメタン(150ml)中で溶解し、そしてその溶液を−30℃で冷却した。四塩化スズ(50g、190mmol、1.5当量)を全て一度に添加し、続いてジクロロメチルメチルエーテル(11.6g、127mmol)を滴加した。冷却浴を20分後に取り出した。反応物が室温に達した後に、それを0℃まで冷却し、そして氷水(100ml)の添加によって急冷した。その反応物を、ジエチルエーテルで抽出した(2×250ml)。それぞれ、抽出物を、水(2×100ml)、5%水性HCl(50ml)及び塩水(2×100ml)で洗浄した。合した抽出物を、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その生成物を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 98:2)によって、続いてバルブツーバルブ蒸留(80℃/0.005mbar)によって精製した。
その生成物を液体として得た(9.8g、純度97%、収率:51%)。
【0043】
1−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−メチルプロプ−2−エン−1−オールの製造
リチウム(1%ナトリウムを含有、1.16g、168mmol、2.5当量)を、乾燥ジエチルエーテル(30ml)で窒素下で覆った。−30℃まで冷却後に、乾燥ジエチルエーテル(50ml)中で2−ブロモプロペン(10.14g、84mmol、1.25当量)を、45分にわたって添加した。3時間超後に、その反応物を、−78℃まで冷却し、そして乾燥ジエチルエーテル(70ml)中で2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルボアルデヒド(9.8g、67mmol)を、60分にわたって滴加した。90分超後に、その反応物を、水性飽和NH
4Cl上に注いだ。その混合物をジエチルエーテルで2回抽出した。それぞれ、有機相を水及び塩水で洗浄した。合した抽出物を、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その生成物を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 5:1)によって、続いてバルブツーバルブ蒸留(140℃/0.05mbar)によって精製した。
その生成物を液体として得た(純度:97%、54mmol、81%)。
【0044】
式(I)の化合物の合成
1. E/Z=85/15の混合物の形での、5−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4−エナールの製造
3,6,9,12−テトラオキサテトラデカ−1,13−ジエン(50g、242mmol)、酢酸水銀(3.8g、12mmol)及び1−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−メチルプロプ−2−エン−1−オール(40g、202mmol)を、一緒に撹拌して100〜105℃まで一昼夜加熱した。60℃まで冷却後に、AcOH/水/酢酸ナトリウム(64/18/18(80ml))を含有する溶液を添加し、そしてその混合物を120℃まで窒素下で(浴温度)1.5時間加熱した。室温まで冷却後に、ジエチルエーテル(500ml)を添加した。その混合物を、水(2×1.5リットル)、水性飽和NaHCO
3(1リットル)及び塩水(500ml)で洗浄した。それぞれの水相を、ジエチルエーテル(500ml)で再抽出した。合した抽出物を、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その生成物を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 15:1〜5:1)によって、続いてバルブツーバルブ蒸留(120〜130℃/0.014mbar)によって精製した。
その生成物を、85:15のE/Z異性体混合物として得た(20.5g、収率:47%)。
【0045】
2. 5−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4(E)−エナールの製造
a) (E)−エチル5−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4−エノエート
1−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−メチルプロプ−2−エン−1−オール(10g、53mmol)、2−エチルヘキサン酸(0.21g、1.6mmol、0.03当量)及びトリエチルオルトアセテート(22g、133mmol、2.5当量)を、トルエン中で溶解した(20ml)。その溶液を、ステンレス鋼オートクレーブ(窒素でパージした)中で180℃まで一昼夜加熱した。室温まで冷却後に、その反応物を、回転蒸発器上で濃縮させた。その生成物を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 9:1)によって、続いてバルブツーバルブ蒸留(95℃/0.05mbar)によって精製した。
その生成物を液体で得た(11.4g、純度:92%、収率:76%)。
【0046】
b) (E)−5−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4−エン−1−オール
乾燥ジエチルエーテル(100ml)中で(E)−エチル5−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4−エノエート(11.4g、44mmol)を、乾燥ジエチルエーテル(50ml)中での水素化アルミニウムリチウム(1.93g、48.5mmol)のスラリーにゆっくりと添加した。1時間後に、その反応物を、0〜5℃まで冷却し、そして水(2ml)、5%水性NaOH(6ml)及びさらに水(2ml)を、連続して非常に注意深くその反応物に添加した。冷却浴を取り出し、そしてその反応物を、スラリーが得られるまで撹拌した。その反応媒体を、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。そして固体を濾過で除き、完全にジエチルエーテルで洗浄した。濾過物を、回転蒸発器上で濃縮させた。その生成物をバルブツーバルブ蒸留(95℃/0.02mbar)によって精製した。
その生成物を液体として得た(7g、純度:98%、収率:72%)。
【0047】
c) 5−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4(E)−エナール
PCC(5.34g、24.3mmol)を、乾燥ジクロロメタン(70ml)中で前記で製造したアルコール(3.5g、16.2mmol)及びセライト(10g)の混合物に、0℃で、窒素下で少量ずつ添加した。そして、その反応物を、室温まで暖めた。その反応物を、ジエチルエーテルで洗浄したシリカゲルを通して濾過した。その濾過物を、真空下で濃縮させた。その生成物を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 9:1)によって、続いてバルブツーバルブ蒸留(100℃/0.05mbar)によって精製した。
その生成物を液体で得た(1.7g、純度:95%、収率:47%)。分析は、実質的にE異性体であることを示す。
【0048】
3. E/Z=80/20の混合物の形での4−メチル−5−(5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)ペント−4−エナールの製造
a) 5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−カルボアルデヒドの製造
1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(14.5g、110mmol)を、乾燥CH
2Cl
2(100ml)中で溶解し、そしてその溶液を0℃まで氷浴上で冷却した。激しく撹拌しながら、SnCl
4(33.4g、164mmol)を、シリンジを介して全て一度に添加し、続いて20分間にわたってジクロロメチルメチルエーテル(12.6g、110mmol)を滴加で導入した。20分超後に、氷浴を取り出し、そしてその濃い混合物を、氷水100mlの添加によって急冷した。その反応物を、ジエチルエーテルで抽出した(2×250ml)。それぞれ、抽出物を、水(2×100ml)、5%水性HCl(50ml)及び塩水(2×100ml)で洗浄した。合した抽出物を、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その生成物を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 98:2)によって、続いてバルブツーバルブ蒸留(85℃/0.002mbar)によって精製した。
その生成物を液体として得た(40.5mmol、収率:44%)。
【0049】
b) 2−メチル−1−(5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)プロプ−2−エン−1−オールの製造
リチウム(1%ナトリウムを含有、0.68g、98mmol)を、乾燥ジエチルエーテル(30ml)でアルゴン下で覆った。−30℃まで冷却後に、乾燥ジエチルエーテル(50ml)中で2−ブロモプロペン(5.95g、49mmol)を、45分にわたって添加した。−30℃で2時間超後に、その反応物を、−78℃まで冷却し、乾燥ジエチルエーテル(70ml)中で前記で製造したアルデヒド(6.3g、39mmol)を、1時間にわたって添加した。−7℃まで90分超の間撹拌した後に、その反応物を、水上に注ぎ、そしてジエチルエーテルで2回抽出した。その有機相を塩水で洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その生成物を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 5:1)によって、続いてバルブツーバルブ蒸留(140℃/0.05mbar)によって精製した。その生成物を液体として得た(6g、30mmol、収率:60%)。
【0050】
c) 4−メチル−5−(5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)ペント−4−エナールの製造
前記で製造したアルコール(5g、24mmol)、酢酸水銀(0.46g、1.4mmol)及び3,6,9,12−テトラオキサテトラデカ−1,13−ジエン(5.94g、29mmol)を、一緒に、窒素下で110℃で一昼夜加熱した。室温まで冷却した後に、その反応物を、シリカゲル上で直接クロマトグラフィーにかけた(ヘプタン/酢酸エチル 98:2〜90:10)。その生成物を、さらにバルブツーバルブ蒸留(160℃/0.03mbar)によって精製した。
その生成物を、液体として、及び80:20のE/Z混合物の形で得た(1.8g、収率:33%)。
【0051】
4. E/Z=50/50の混合物の形での
5−((3,3/1,1)−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4−エナールの製造
a) (3,3/1,1)−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルボアルデヒドの製造
1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン(20g、137mmol)を、乾燥CH
2Cl
2(150ml)中で溶解させ、そしてその溶液を−30℃まで冷却した。激しく撹拌しながら、SnCl
4(54g、205mmol)を、シリンジを介して全て一度に添加し、続いて30分間にわたってジクロロメチルメチルエーテル(15.72g、137mmol)を滴加で導入した。20分後に、氷浴を取り出した。室温まで達したら、その反応物を0℃まで冷却し、そしてその濃い混合物を、氷水100mlの添加によって急冷した。その反応混合物をジエチルエーテルで2回抽出した。それぞれの有機相を、水で(2回)、5%水性HCl、及び塩水(2回)で連続して洗浄した。合した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その生成物を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 98:2)によって、続いてバルブツーバルブ蒸留(90℃/0.02mbar)によって精製した。
その生成物を、液体として、及び1/1の混合物の位置異性体(1,1)/(3,3)の形で得た(純度:96%、12.9g、収率:52%)。
【0052】
b) 1−((3,3/1,1)−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−メチルプロプ−2−エン−1−オールの製造
前記で製造したアルデヒド(12.9g、74mmol)を、1時間にわたって、グリニャール試薬溶液(THF中で0.5M、178ml、89mmol)に、−78℃で、窒素下で添加した。添加の終了時点で、冷却浴を取り出し、その反応物を2時間撹拌した。その反応物を、氷−エタノール浴中で冷却し、そして水性飽和NH
4Cl(200ml)をゆっくりと添加した。その混合物を室温まで暖め、そしてその相を分離した。その有機相を塩水(150ml)で洗浄した。それぞれの水相を、ジエチルエーテル(200ml)で再抽出した。合した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その生成物をバルブツーバルブ蒸留(100〜110℃/0.01mbar)によって精製した。
その生成物を、液体として、1/1の混合物の位置異性体の形で得た(14.1g、純度:98%、収率:86%)。
【0053】
c) エチル5−((3,3/1,1)−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4−エノエートの製造
トルエン(20ml)中で、前記で製造したアルコール(1:1の位置異性体混合物、8.7g、40.2mmol)、トリエチルオルトアセテート(16.64g、101mmol)及び2−エチルヘキサン酸(0.16g、1.2mmol)を、ステンレス鋼オートクレーブ(窒素でパージした)中で160℃で2時間、そして180℃で4時間加熱した。室温まで冷却後に、その反応物を、真空で濃縮させた。その生成物を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 9:1)によって、続いてバルブツーバルブ蒸留(95℃/0.01mbar)によって精製した。
その生成物を、1:1混合物の位置異性体として得た(8.7g、収率:64%)。
【0054】
d) エチル5−((3,3/1,1)−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4−エノエートの製造
乾燥ジエチルエーテル(100ml)中で前記で製造したエステル(8.7g、GCによる84%の純度、25.5mmol)を、水素化アルミニウムリチウムのスラリー(1.34g、33.4mmol)に滴加した。1時間後に、その反応物を、氷/水浴中で冷却し、そして連続して(及び注意深く)水(2ml)、5%水性NaOH(6ml)及び水(2ml)で処理した。室温まで暖めた後、スラリーを得た。それを硫酸ナトリウムの添加によって乾燥させた。そして固体を濾過で除き、完全にジエチルエーテルで洗浄した。濾過物を、真空で濃縮した。その生成物をバルブツーバルブ蒸留(95℃/0.02mbar)によって精製した。その生成物を、1:1混合物の位置異性体として得た(4.9g、純度:96%、収率:75%)。
【0055】
e)
5−((3,3/1,1)−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4−エナールの製造
乾燥ジクロロメタン(150ml)中で前記で得られたアルコール(4.9g、19.2mmol)及びセライト(20g)の混合物を、氷/水浴中で冷却し、そしてPCC(6.62g、30mmol)で少量ずつ処理した。その溶液を、室温まで暖めた。その混合物を、ジエチルエーテルで洗浄したシリカゲルを通して濾過した。濾過物を、真空で濃縮した。その生成物を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 9:1)によって、続いてバルブツーバルブ蒸留(100℃/0.05mbar)によって精製した。
その生成物を、1:1混合物の位置異性体として得た(純度:95%、2.4g、収率:49%)。
【0056】
実施例2
付香組成物の製造
フローラルなグリーンタイプのシャンプーのための付香組成物を、次の成分を混合することによって製造した:
1) 3−メチル−2−ヘキセニルアセテート;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
2) ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフト[2,1−b]フラン;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
3) 4−シクロヘキシル−2−メチル−2−ブタノール;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
4)テトラヒドロ−2−イソブチル−4−メチル−4(2H)−ピラノール;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
5) ペンタデカノリド;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
6) メチルジヒドロジャスモネート;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
7) (1S,1’R)−2−[1−(3’,3’−ジメチル−1’−シクロヘキシル)エトキシ]−2−メチルプロピルプロパノエート;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
8) 1−(オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−エタノン;出所:International Flavors & Fragrances、USA
9)4/3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボアルデヒド;出所:International Flavors & Fragrances、USA
10) 3−メチル−5−シクロペンタデセン−1−オン;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
11) 1−(5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
12) (1S,1’R)−[1−(3’,3’−ジメチル−1’−シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
13) 2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセテート;出所:International Flavors & Fragrances、USA。
【0057】
前記組成物への実施例1.1)において得られた5−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4−エナールの1000質量部の添加は、前記組成物にスイートで暖かみのあるドイツスズランのコノテーションを付与した。この効果は、本発明の化合物の代わりに3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナールを添加することによって得られた効果に非常に類似した。
【0058】
実施例3
付香組成物の製造
フローラルなオリエンタルタイプの柔軟剤のための付香組成物を、次の成分を混合することによって製造した:
1) 実施例2を参照
2) 9/10−エチリデン−3−オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン−4−オン;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
3) 3−(3,3/1,1−ジメチル−5−インダニル)プロパナール;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
4) 6,7−エポキシ−3,7−ジメチル−1,3−オクタジエン;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
5) (2Z)−2−フェニル−2−ヘキセンニトリル;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
6) 2,2,5−トリメチル−5−ペンチル−1−シクロペンタノン;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
7) (1S,4S,9S,10R,13R)−5,5,9,13−テトラメチル−14,16−ジオキサデカン[11.2.1.0(1,10).0(4,9)]ヘキサデカン;出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland。
【0059】
前記組成物への実施例1.1)において得られた5−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4−メチルペント−4−エナールの1000質量部の添加は、前記組成物に、美容効果を有しパチュリノートをソフトにする、よいグリーンなドイツスズランのツイストを付与した。この効果は、本発明の化合物の代わりに3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナールを添加することによって得られた効果に改めて類似した。