特許第6562921号(P6562921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6562921植物源に由来するヒト皮脂ミメティックおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562921
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】植物源に由来するヒト皮脂ミメティックおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20190808BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20190808BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 8/68 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20190808BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20190808BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   A61K8/37
   A61K8/9789
   A61K8/63
   A61K8/31
   A61K8/68
   A61K8/55
   A61K8/02
   A61K8/19
   A61Q19/00
   A61Q5/12
【請求項の数】23
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-535212(P2016-535212)
(86)(22)【出願日】2014年12月15日
(65)【公表番号】特表2016-540760(P2016-540760A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】US2014070270
(87)【国際公開番号】WO2015095010
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年10月10日
(31)【優先権主張番号】14/132,260
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500176311
【氏名又は名称】インターナショナル フローラ テクノロジーズ,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジェームス,エス.
(72)【発明者】
【氏名】クレイマン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】コリタラ,サンバシバラオ
(72)【発明者】
【氏名】アシュレー,デイビッド,エー.
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0183260(US,A1)
【文献】 特表2004−505904(JP,A)
【文献】 特表2005−522463(JP,A)
【文献】 特開2001−048721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A61P 17/00−17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホホバ油と
不飽和脂肪酸骨格を有するトリグリセリドを含む油と
のエステル交換により得られるワックスエステルと、
フィトステロールと、
フィトスクアレンと、
フィトステリルマカダミエートと、
ヒト角質層の構成脂質としてセラミドおよび/またはスフィンゴ脂質と
を含み、
前記構成脂質がリン脂質を含み、前記リン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン及びスフィンゴミエリンから成る群から選択される1又は複数を含む、
ヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項2】
前記トリグリセリドを含む油がヘキサデカ−9−エン酸を含む、請求項1に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項3】
前記トリグリセリドを含む油が10wt.%超のヘキサデカ−9−エン酸を含む、請求項2に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項4】
前記トリグリセリドを含む油が精製マカダミア油である、請求項1に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項5】
1〜10wt.%のパルミチン酸をさらに含む、請求項1に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項6】
前記パルミチン酸が全ミメティックの3〜7wt.%である、請求項5に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項7】
25〜35wt.%のオレイン酸をさらに含む、請求項1に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項8】
前記オレイン酸が全ミメティックの30〜34wt.%である、請求項7に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項9】
ヘキサデカ−9−エン酸が全ミメティックの5〜15wt.%である、請求項2に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項10】
ヘキサデカ−9−エン酸が全ミメティックの8〜12wt.%である、請求項2に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項11】
110℃で40時間超の油安定性指数を有する、請求項1に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項12】
前記構成脂質がスフィンゴ脂質を含む、請求項1に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項13】
前記スフィンゴ脂質が全ミメティックの27wt.%までを占める、請求項12に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項14】
前記構成脂質がセラミドを含む、請求項1に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項15】
前記セラミドが全ミメティックの27wt.%までを占める、請求項14に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項16】
表皮のヒト角質層の微量成分としてコレステロールをさらに含む、請求項1に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項17】
前記コレステロールがコレステロール硫酸を含む、請求項16に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項18】
前記微量成分がミネラルを含む、請求項16に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項19】
前記ミネラルがカルシウムを含む、請求項18に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項20】
機能性添加剤をさらに含む、請求項1に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項21】
前記機能性添加剤が、トコフェロール、香気剤、色素、顔料、保存剤、抗酸化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、および増粘剤の少なくとも1つである、請求項20に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項22】
前記ヒト皮脂ミメティック組成物が、ヒトまたは動物の皮膚または毛髪のケアに適したパーソナルケア製品の成分である、請求項1に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【請求項23】
前記パーソナルケア製品がヘアコンディショニングローションである、請求項22に記載のヒト皮脂ミメティック組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年9月5日出願の米国仮特許出願第61/697,240号に基づく利益を主張し、かつ2009年10月26日出願の米国仮特許出願第61/254,909号および2010年7月12日出願の米国仮特許出願第61/363,564号に基づく利益を主張する2010年10月25日出願の米国特許出願第12/911,150号(現在の米国特許第8,343,468号)の一部継続である、2012年11月29日出願の米国特許出願第13/689,501号(現在の米国特許第8,765,106号)の一部継続であり、また本出願は、2010年10月25日出願の米国特許出願第12/911,150号(現在の米国特許第8,343,468号)の分割出願である、2012年11月26日出願の米国特許出願第13/685,206号(現在の米国特許第8,765,105号)の一部継続であり、また本出願は、2010年10月25日出願の米国特許出願第12/911,150号(現在の米国特許第8,343,468号)の再発行出願である、2013年2月25日出願の米国特許出願第13/776,199号(現在の米国再発行特許発明第44,718号)の一部継続であり、そして各出願の開示の全体を参照により組み込む。しかしながら、本出願がいずれかの参照出願と矛盾する限りにおいて、本開示が優先されるべきである。
【0002】
技術分野
本発明は、一般的には、パーソナルケア組成物およびその製造方法に関し、より特定的には、植物源に由来するヒト皮脂ミメティックおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ヒト皮脂は、実質的に全皮膚表面(手掌および足底を除く)にわたり見いだされるが主に頭皮、顔、胸、および背中に見いだされる皮脂腺により分泌される。皮脂は、表皮構造の発達と表皮透過障壁の維持、皮膚表面への抗酸化剤の輸送、微生物コロニー形成からの皮膚の保護、体臭の発生、およびUV保護の提供に関与する。
【0004】
分泌時、ヒト皮脂は、トリグリセリド、ワックスエステル、コレステロール、コレステロールエステル、およびスクアレンの複合混合物である。皮脂の分泌時、それは主にトリグリセリドおよびワックスエステルからなり、それらは微生物によりジグリセリド、モノグリセリド、および構成遊離脂肪酸に分解される。ヒト皮脂の脂肪酸の鎖長は、かなりさまざまであるが、ステアリン酸(炭素数18で二重結合を含まない(これ以降では18:0で表される))、オレイン酸(9番目の炭素に1個の二重結合を含む18:1(これ以降では18:1Δ9で表される))、リノール酸(18:2Δ9Δ12)、パルミチン酸(16:0)、およびサピエン酸(16:1Δ6)の場合のように、炭素数が主に16および18である。
【0005】
経時的な皮脂の喪失は、入浴、天候条件、化学製品、栄養不良などのさまざまな環境因子および遺伝因子に起因しうる。たとえば、アフリカ系アメリカ人の頭皮には生来の皮脂欠乏が認められる。皮脂が喪失すると、掻痒、頭部粃糠疹、皺、おむつかぶれなどが皮膚に発生する可能性がある。そのほかに、毛髪は、その保湿に十分な量の皮脂がないと、脆く乾燥した状態になるおそれがある。皮脂の欠乏が原因で柔軟性の回復を試みたさまざまな製品が存在するが、これらの製品の多くは、合成成分または動物由来成分を含有し、かつヒト皮脂の構造および組成を模倣していない。これに関連して、これらの製品は、ヒト皮脂ほど容易に皮膚に吸収されない。そのほかに、これらの製品は、短い貯蔵寿命を呈する不安定な成分から製造されることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、植物源から製造される安定なヒト皮脂ミメティックを提供することが望ましい。また、ヒト皮脂ミメティックの製造方法を提供することが望ましい。さらに、本発明の他の望ましい特徴および特性は、この発明の背景と合わせて後続の発明の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を考慮すれば、明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
ヒト皮脂ミメティックおよびヒト皮脂ミメティックの製造方法を提供する。例示的な一実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、パルミトレイン酸を含む精製植物性トリグリセリド油とホホバ油(任意選択で精製したもの)とのエステル交換により得られるワックスエステルと、フィトステロールと、フィトスクアレンと、を含みうる。
【0008】
他の例示的実施形態では、ヒト皮脂ミメティックの製造方法は、精製マカダミア油と精製ホホバ油とを混合する工程と、マカダミア油とホホバ油とをエステル交換する工程と、エステル交換の前または後にフィトステロールを添加する工程と、エステル交換の後にフィトスクアレンを添加する工程と、を含みうる。
【0009】
さらなる例示的実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、1個の二重結合を含む炭素数16の脂肪酸を有するワックスエステル(前記ワックスエステルは植物源に由来する)と、フィトステロールと、フィトスクアレンと、を含みうる。
【0010】
さらなる例示的実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、1個の二重結合を含む炭素数16の脂肪酸を有するワックスエステル(前記ワックスエステルは植物源に由来する)と、フィトステロールと、フィトスクアレンと、フィトステリルアシレートと、を含みうる。
【0011】
さらなる例示的実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、ヘキサデカ−9−エン酸を含む精製植物油と精製ホホバ油とのエステル交換により得られるワックスエステルと、フィトステロールと、フィトスクアレンと、フィトステリルマカダミエートと、を含みうる。
【0012】
さらなる例示的実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、パルミトレイン酸を含む精製植物油と精製ホホバ油とのエステル交換により得られるワックスエステルと、フィトステロールと、フィトスクアレンと、フィトステリルマカダミエートと、ヒト角質層の構成脂質と、を含みうる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示にすぎず、本発明または本出願および本発明に係る使用を限定することを意図したものではない。さらに、以上の背景または以下の詳細な説明に示されるいずれかの理論により拘束しようとする意図は存在しない。
【0014】
本明細書で想定される種々の実施形態は、ヒト皮脂を模倣する組成物に関する。ヒト皮脂の近似組成物は、重量パーセント(wt.%)単位で以下のものを含む(Pierre Agache, “Sebaceous Physiology,” Measuring The Skin, Springer-Verlog, 2004, pp. 271-280から抜粋)。
スクアレン 12wt.%
ワックスエステル 26wt.%
グリセリドおよび遊離脂肪酸 57.5wt.%
ステロール(遊離型およびエステル型) 4.5wt.%
本明細書で想定されるヒト皮脂ミメティックは植物性である。すなわち、ミメティクスの成分は、植物源から物理的または化学的に得られる。これに関連して、ミメティックは、フィトスクアレンと、フィトステロールと、マカダミア油(ミメティックのトリグリセリド源である)などの植物油(任意選択で精製されたもの)と、ホホバ油(ミメティックのワックスエステル画分源である)と、から得られるという点で、ヒト皮脂の植物由来アナログである。本明細書で用いられる場合、「精製油」という用語は、遊離脂肪酸、炭水化物、金属、タンパク質などの望ましくない化合物が除去された粗油を意味する。一実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、全ミメティックの約5〜約20wt.%の量のフィトスクアレンと、全ミメティックの約20〜約35wt.%の量の精製ホホバ油と、全ミメティックの約45〜約65wt.%の量の精製マカダミア油と、全ミメティックの約0.5〜約10wt.%の量のフィトステロールと、から得られる。代表的な好ましい実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、全ミメティックの約11〜約15wt.%の量のフィトスクアレンと、全ミメティックの約29〜約33wt.%の量の精製ホホバ油と、全ミメティックの約51〜約55wt.%の量の精製マカダミア油と、全ミメティックの約1〜約5wt.%の量のフィトステロールと、から得られる。代表的なより好ましい実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、重量パーセント単位で実質的に以下の組成物から得られる。
フィトスクアレン 12.9wt.%
精製ホホバ油 30.8wt.%
精製マカダミア油 53.2wt.%
フィトステロール 3.1wt.%
【0015】
ヒト皮脂は、ヘキサデセン酸(16:0)(パルミチン酸としても参照される)と、サピエン酸(16:1Δ6)と、オレイン酸(C18:1Δ9)と、をとくに高レベルで有する。同様に、本明細書で想定されるヒト皮脂ミメティックもまた、マカダミア油自体が約8.8wt%のパルミチン酸と約58wt.%のオレイン酸とを含むので、パルミチン酸とオレイン酸とを高レベルで含む。一実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、約1〜約10wt.%のパルミチン酸、好ましい実施形態では約3〜約7wt.%のパルミチン酸、より好ましい実施形態では約4.8wt.%のパルミチン酸を含む。他の実施形態では、ヒト皮脂は、約25〜約35wt.%のオレイン酸、好ましい実施形態では約30〜約34wt.%のオレイン酸、より好ましい実施形態では約31.6wt.%のオレイン酸を含む。
【0016】
しかしながら、サピエン酸は哺乳動物に特有である。サピエン酸のアナログであるヘキサデカ−9−エン酸(16:1Δ9)(パルミトレイン酸としても参照される)は、サピエン酸の代替物である。パルミトレイン酸は植物界ではかなり稀であるが、マカダミア油は、約16〜22%のパルミトレイン酸を含み、現在利用可能な市販の油の中で最も高いパルミトレイン酸含有率を有する。したがって、本発明者らは、精製マカダミア油とヒト皮脂ミメティックの精製ホホバ油とのエステル交換によりパルミトレイン酸を含むワックスエステルが得られることを見いだした。マカダミア油が好ましいが、10%超のパルミトレイン酸を含有する他の種子油もまた、精製ホホバ油とのエステル交換によりパルミトレイン酸を含むワックスエステルを生成しうる。これらの種の属には、ツンベルギア属(Thunbergia)、ドキサンサ属(Doxantha)、アロフィア属(Alophia)、ロウレオプシス属(Roureopsis)、テロペア属(Telopea)、およびアスクレピアス属(Asclepias)が含まれる。
【0017】
一実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、全ミメティック組成物の約5〜約15wt.%の量のパルミトレイン酸を含む。好ましい実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、全ミメティック組成物の約8〜約12wt.%の量のパルミトレイン酸を含み、より好ましい実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、全ミメティック組成物の約9.7wt.%の量のパルミトレイン酸を含む。最も好ましい実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、重量パーセント単位で以下の脂肪酸および脂肪アルコールを含む。
【0018】
【表1】
【0019】
他の例示的実施形態では、ヒト皮脂ミメティックはアシレートを含みうる。アシレートは、アルコールが任意の好適な供給源に由来するアシル化アルコールを含みうる。アシル化アルコールはステアリルエステルでありうる。一実施形態では、ステアリルエステルはフィトステリルアシレートでありうる。フィトステリルアシレートは、フィトステロールと任意の好適な植物源に由来する脂肪酸とのエステルでありうる。たとえば、フィトステリルアシレートは、マカダミア油に由来するフィトステリルマカダミエートを含みうる。
【0020】
他の例示的実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、例示的な22歳のヒト女性など任意の選択されたプロファイルの皮脂の構成脂質プロファイルを含みうる。ヒト皮脂ミメティックは、全ミメティックの約24.9wt.%の量の精製ホホバ油とトリグリセリドを含む精製植物油とのエステル交換から得られうる。ただし、この精製植物油は、全ミメティックの約61.9wt.%の量のパルミトレイン酸を含む。一実施形態では、パルミトレイン酸を含む精製植物油は、精製マカダミア油を含みうる。ミメティックは、全ミメティックの約12.6wt.%の量のフィトスクアレン、全ミメティックの約0.4wt.%の量のフィトステロール、全ミメティックの約0.1wt.%の量のフィトステリルマカダミエート、および/または全ミメティックの約0.1wt.%(約1000百万分率)の量のトコフェロールをさらに含みうる。
【0021】
本発明の種々の実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、表皮の角質層に見いだされる任意の構成脂質を有効量でさらに含みうる。一実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、構成脂質の誘導体および/または前駆体を含みうる。一実施形態では、構成脂質は、角質層の細胞間ラメラ脂質構造を組織化して皮膚の水透過障壁機能を少なくとも部分的に促進および/または維持するのに有効な量でヒト皮脂ミメティック中に存在しうる。たとえば、一実施形態では、構成脂質は、C16〜C30の鎖長を有する長鎖飽和脂肪酸および/またはリノレエートなどの不飽和脂肪酸のような脂肪酸を含みうる。他の実施形態では、構成脂質は、セラミドおよび/またはスフィンゴ脂質を含みうる。セラミドは、さまざまな長鎖脂肪酸にアミド結合された構造的に多種多様なスフィンゴ脂質塩基誘導体ファミリーを含みうる。たとえば、セラミドは、ヒト角質層に見いだされる任意の1種以上のセラミドたとえばアシルセラミドを含みうる。一実施形態では、ミメティックは、全ミメティックの約27wt.%までの量のセラミドを含みうる。スフィンゴ脂質は、構造的に多種多様な脂質ファミリーの任意の1種以上を含みうる。たとえば、スフィンゴ脂質は、スフィンゴイド塩基と呼ばれることもある炭素数18のアミノアルコール骨格を有しうる。一実施形態では、ミメティックは、全ミメティックの約27wt.%までの量のスフィンゴ脂質を含みうる。
【0022】
本発明の種々の実施形態では、構成脂質はリン脂質を含みうる。リン脂質は、モノエステルまたはジエステルとしてリン酸を含有する任意の脂質を含みうる。一実施形態では、リン脂質は、細胞膜の主成分の一部である両親媒性リン脂質のいずれかを含みうる。たとえば、種々の実施形態では、リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、および/またはホスファチジルセリンの1種以上を含みうる。他の実施形態では、リン脂質は、スフィンゴミエリンなどのリン脂質誘導体を含みうる。
【0023】
一実施形態では、リン脂質は、供給源から少なくとも部分的に精製されうる。供給源は、ダイズ油、ナタネ油、および/またはヒマワリ油などの任意の好適なリン脂質源を含みうる。他の実施形態では、リン脂質は、レシチンなどの未精製供給源の状態で提供されうる。
【0024】
本発明の種々の実施形態では、リン脂質は、角質層の生合成、たとえば、セラミドIの生合成のための1種以上の誘導体を提供するのに有効な量でヒト皮脂ミメティック中に存在しうる。他の実施形態では、リン脂質は、皮膚上に細胞外モノラメラ層またはオリゴラメラ層を組織化して皮膚の障壁機能を少なくとも部分的に促進および/または維持するのに有効な量でヒト皮脂ミメティック中に存在しうる。他の実施形態では、リン脂質は洗浄後に皮膚上に残留しうる。さらに他の実施形態では、リン脂質は、少なくとも部分的な皮膚中湿分の改善、皮膚の炎症たとえばアトピー性皮膚炎および/もしくは尋常性座瘡の改善、脱脂からの皮膚の保護、ならびに/または皮膚の平滑性の向上を行いうる。
【0025】
本発明の種々の実施形態では、リン脂質は、活性剤、たとえば、脂溶性ビタミン、植物油、および/または他の活性成分を皮膚の角質層に輸送するための経真皮送達システムを構成しうる。たとえば、一実施形態では、送達システムは、1つ以上のリン脂質層内に封入された内側水性コアを有するリポソームを含みうる。一実施形態では、送達システムは、非リン脂質成分、たとえば、1%のトコフェロールを含む脂溶性活性剤をさらに含みうる。送達システムは、活性剤を皮膚に送達するように角質層の固定および/または浸透を促進する任意の形状またはサイズを含みうる。
【0026】
本発明の種々の実施形態では、ヒト皮脂ミメティックはいずれも、表皮の角質層の微量成分を有効量でさらに含みうる。一実施形態では、たとえば、微量成分は、コレステロール硫酸などのコレステロールを含みうる。いくつかの実施形態では、コレステロール硫酸は、角質層に見いだされるコレステロール硫酸の量に類似した量、たとえば、全ミメティックの約2〜約5wt.%までの量で、ヒト皮脂ミメティックの一部を構成しうる。他の実施形態では、微量成分は、カルシウム(Ca2+)などのミネラルでありうる。いくつかの実施形態では、ミメティックは、全ミメティックの約12wt.%までの量の微量成分を含みうる。
【0027】
他の例示的実施形態では、本明細書で想定されるヒト皮脂ミメティックは、追加の機能性添加剤、すなわち、特定の機能を行うように添加される成分を含む。たとえば、ヒト皮脂ミメティックはトコフェロールを含みうる。一実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、約100〜約2000百万分率(ppm)、好ましくは約1430ppmの70%トコフェロールを含む。ヒト皮脂ミメティックはまた、香気剤、色素、顔料、保存剤、抗酸化剤、保湿剤なども含みうる。さらなる例として、ヒト皮脂ミメティックは、皮膚軟化剤または増粘剤、たとえば、International Flora Technologies, Ltd.(Chandler, Arizona)から入手可能なFLORAESTERS 20(FE-20)を含みうる。FLORAESTERS 20は、ミメティックの粘度および/またはバルク融点/滴点を増加させてヒト皮脂のワックスエステルプロファイルなどをより厳密に再現するために使用されうる。
【0028】
他の選択肢としてまたは追加として、ヒト皮脂ミメティックは、ヘアケアローション、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアゲル、ヘアオイル、ヘアカラー、ヘアリラクサー、ハンドローション、フェイシャルローション、アイクリーム、フェイシャルソープ、ボディーローションおよびボディークリーム、ボディースクラブ、シェービングゲル、ヘアリムーバー、サニタリーワイプなどの広範にわたるパーソナルケア製品の成分として使用されうる。ヒト皮脂ミメティックは、その組成がヒト皮脂の組成によく類似しているので、ヒト皮膚の自然治癒および回復システムを促進したり、細胞代謝回転および局所血液循環を加速したりすることにより、皺、眼の下の隈、および老人斑の発生を減少させうる。ヒト皮脂ミメティックはまた、自然治癒により頭皮の刺激を低減したり、皮膚の水和を改善したりしうる。ヒト皮脂ミメティックはまた、ヒトに適用する以外にも使用可能であり、動物に使用したり果実や野菜を新鮮に保持したりするためにも使用可能である。
【0029】
本明細書で想定されるヒト皮脂ミメティックは、安定性があるため、失われたヒト皮脂の代替物としてとくに好適である。油安定性は、米国油化学会(American Oil Chemists’ Society)公定法Cd 12b-92に準拠して110℃で測定される。一実施形態では、本明細書で想定されるヒト皮脂ミメティックは、110℃で約50時間超の油安定性指数を有する。他の実施形態では、本明細書で想定されるヒト皮脂ミメティックは、110℃で約40時間超の油安定性指数を有する。これに関連して、ミメティックは、実質的に耐酸化性であり、かつパーソナルケア製品としておよびパーソナルケア製品中で望まれる貯蔵寿命を有する。
【0030】
例示的実施形態によれば、ヒト皮脂ミメティックの製造方法は、精製マカダミア油と精製ホホバ油とを混合する工程と、精製マカダミア油と精製ホホバ油とのエステル交換により1個の二重結合を有する炭素数16の脂肪酸を含むワックスエステルを生成する工程と、フィトステロールを添加する工程と、フィトスクアレンを添加する工程と、を含む。フィトステロールは、エステル交換の前および/またはエステル交換の後に精製マカダミア油および精製ホホバ油に添加可能である。次いで、得られたヒト皮脂ミメティックを漂白および/または脱臭することが可能である。
【0031】
例示的な一実施形態では、53.2グラム(g)の精製マカダミア油と30.8gの精製ホホバ油と2.1gのフィトステロールとの混合物を混合し、真空下で撹拌しながら90℃に加熱する。約0.5時間後、0.84gのナトリウムメトキシドを混合物に添加し、温度を130℃に上昇させ、そして約2〜約2.5時間にわたりその温度に維持する。次いで、混合物を90℃に冷却し、そして0.5時間にわたり撹拌しながら0.84gのクエン酸を添加する。次いで、混合物を濾過する。1gのフィトステロールおよび12.9gのフィトスクアレンを濾液に添加し、これを均一になるまで混合してミメティックを得る。1wt.%の漂白土(American Colloid Company(Arlington Heights, Ill.)から入手可能なClarion 470漂白粘土)をミメティックに添加してもよく、次いで、これを95℃に加熱し、そして真空下で撹拌しながら15〜30分間にわたり維持する。混合物を濾過する。臭気および他の揮発性物質を除去するために、水蒸気を注入しながら高真空下でミメティックを200〜220℃に加熱してもよい。約2時間にわたりこの温度を維持し、次いで、減圧下のまま冷却する。好ましい実施形態では、1430ppmのトコフェロール(70%)をミメティック中に添加して混合する。この時点で任意の追加の添加剤を添加してもよい。
【実施例】
【0032】
以下のものは、以上に記載したように生成されたヒト皮脂ミメティックを含むパーソナルケア製品の例示的実施形態であり、各成分は、パーソナルケア製品に対するwt./wt.%単位で示されている。実施例は、例示の目的で提供されているにすぎず、ヒト皮脂ミメティックの種々の実施形態をなんら限定しようとするものではない。
【0033】
実施例1は、保湿機能、艶出し機能、保持機能、および抗破断機能を含む多機能を提供するヘアコンディショニングローションである。
【0034】
実施例1
【0035】
【表2】
【0036】
実施例1のヘアコンディショニングローションは、撹拌しながら水を45℃に加熱して中程度のプロペラ撹拌を行いながらポリクオタニウム−37を添加することにより作製される。透明なゲルが形成されるまで溶液を混合する。相Aの残りの成分を列挙した順序でゲルに添加する。相Bの成分を45℃で添加一体化させる。次に、急速なプロペラ撹拌を行いながら相Bの成分の混合物を相Aの成分に添加する。相AおよびBの成分を60℃に加熱して、中程度のプロペラ撹拌を行いながら相Cの成分を添加する。60℃で相Dのすべての成分を混合して、中程度のプロペラ撹拌を行いながら相ABCの混合物に添加する。得られた配合物を氷水浴上で急冷する。次いで、相Eの香気剤を添加する。
【0037】
実施例2は、保湿機能、艶出し機能、保持機能、および抗破断機能を含む多機能を提供する他のヘアコンディショニングローションである。
【0038】
実施例2
【0039】
【表3】
【0040】
実施例2のヘアコンディショニングローションは、実施例1に対して以上に記載したのと同一の方法を用いて作製される。
【0041】
したがって、ヒト皮脂ミメティックおよびその製造方法を提供する。ヒト皮脂ミメティックは、フィトスクアレン、フィトステロール、精製ホホバ油、および精製植物油、たとえば、パルミトレイン酸を含むマカダミア油から形成される。ヒト皮脂は、その脂肪酸のうち、パルミチン酸(16:0)、サピエン酸(16:1Δ6)、およびオレイン酸(C18:1Δ9)をとくに高レベルで有する。同様に、本明細書で想定されるヒト皮脂ミメティックもまた、パルミチン酸およびオレイン酸を高レベルで含む。一実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、約1〜約10wt.%のパルミチン酸および約25〜約35wt.%のオレイン酸含む。しかしながら、サピエン酸は哺乳動物に特有であり、天然には稀にしか見いだされない。本発明者らは、精製マカダミア油とヒト皮脂ミメティックの精製ホホバ油とのエステル交換によりサピエン酸の代替物であるパルミトレイン酸を含むワックスエステルが得られることを見いだした。一実施形態では、ヒト皮脂ミメティックは、全ミメティック組成物の約5〜約15wt.%の量のパルミトレイン酸を含む。
【0042】
以上の発明の詳細な説明では少なくとも1つの例示的実施形態を示してきたが、莫大な数の変形形態が存在することを認識すべきである。また、1つまたは複数の例示的実施形態は単なる例にすぎず、本発明の範囲、適用性、または構成をなんら限定することを意図したものではないことも認識すべきである。より正確に言えば、以上の詳細な説明は、本発明の例示的実施形態を実行するのに便利なロードマップを当業者に提供するであろう。添付の特許請求の範囲に示される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的実施形態に記載の要素の機能および配置に種々の変更を加えうることを理解されたい。