(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジングは、地板と受け板を有しており、前記回転部材は、前記地板と前記受け板間で軸支され、前記文字板の窓部、前記地板の窓部、前記回転部材、前記帯電膜、前記対向電極、前記対向基板、前記受け板の順序で配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電誘導発電器付き電子時計。
前記ハウジングは、地板と受け板を有しており、前記回転部材は、前記地板と前記受け板間で軸支され、前記文字板の窓部、前記地板の窓部、前記回転部材、前記対向電極、前記帯電膜、前記対向基板、前記受け板の順序で配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電誘導発電器付き電子時計。
前記ハウジングは、地板と受け板を有しており、前記回転部材は、前記地板と前記受け板間で軸支され、前記文字板の窓部、前記地板の窓部、前記対向基板、前記対向電極、前記帯電膜、前記回転部材、前記受け板の順序で配置され、前記対向基板と前記対向電極が、光透過性材料で構成されているか、又は、ブランク部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電誘導発電器付き電子時計。
前記受け板に作業確認窓を設けることにより、組立時に前記回転部材の設置状況及び作動状況を確認することができるようにしたことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の静電誘導発電器付き電子時計。
前記対向電極及び前記対向基板を光透過性材料とし、前記対向基板と前記受け板との間に、第1ソーラーセルが配置されたことを特徴とする請求項3に記載の静電誘導発電器付き電子時計。
前記回転部材の回転軸の半径方向で前記回転部材から離れた位置に、第2ソーラーセルが配置されたことを特徴とする請求項3から10のいずれか1項に記載の静電誘導発電器付き電子時計。
前記回転部材の回転軸と前記回転錘の回転軸とが歯車伝動機構によって連結されたことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の静電誘導発電器付き電子時計。
前記回転部材と前記回転錘とを一体化し、前記回転錘の回転軸の円周方向に、前記帯電膜と前記対向電極をリング状に配置し、前記外装ケーシングに光透過性材料の窓部を設けて、前記回転部材の回転を視認できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の静電誘導発電器付き電子時計。
前記回転部材の回転を、歯車伝動機構を介して伝動する回転体をさらに有し、前記窓部から前記回転体の回転を視認できるようにするとともに、前記静電誘導発電器が遮光されるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の静電誘導発電器付き電子時計。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の概要を視覚的に示した
図2を一例として念頭に置きながら、各図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0016】
窓部の設置は静電誘導発電器においては思いがけない逆効果が発生する。直接外光が帯電膜に照射されると、帯電膜によっては特性を劣化させるばかりでなく、クオーツムーブメントの回路基板上のICなどに入射された外光によって消費電流を大きくさせたりICの誤動作を招くことがあり、消費電力節減と誤作動防止の観点からも好ましくない。このため、直接外光が帯電膜に照射されることを防止するために、実施態様ごとに様々な工夫がなされている。以下の各実施形態では、腕時計で実施形態を説明するが、必ずしも腕時計に限定されるものではない。携帯用の静電誘導発電器付き電子電気機器であれば、窓部を設置して本発明の効果を同様に発揮することができ、適用可能なものである。
【0017】
(第1実施形態)
図3は、本発明の第1実施形態を示す
図2のA−A線に関する模式的断面図である。
図4は、本発明の第1実施形態の地板の平面図である。
図5は、本発明の第1実施形態の内部構造を示す概要である。
図6は、本発明の第1実施形態を説明するための部分的斜視図である。
図7は、本発明の第1実施形態の対向電極2と帯電膜3のパターンを示す図である。
図8は、本発明の第1実施形態の対向電極2と帯電膜3の別のパターンを示す図である。
図3の断面図において、風防(glass)24側を上部、上側、上方といい、裏蓋(case back)42側を下部、下側、下方と称す。
【0018】
以下、第1実施形態を、各図面を参照して説明する。
本実施形態は、腕時計など携帯用電子時計に適用した場合の実施形態である。携帯用電子時計は、風防24を含む外装ケーシング41、42(裏蓋42)と、文字板25と、ハウジング33、34と、このハウジング内に配置されたクオーツムーブメント200と、ハウジング内に配置された静電誘導発電器とを有している。風防24は、パッキン43を介して外装ケーシング41に嵌めこまれている。風防24は、ミネラルガラスに限らずプラスチックなどの一般的な透明材料で形成されている。
【0019】
ハウジングは、以下において腕時計の場合によくつかわれる呼称、すなわち、地板(main plate)33、受け板(bridge or plate)34として説明する。地板33は、ハウジングの一種であって、様々なパーツを組み込む土台、支持板、内装ケーシングなどを意味している。また、受け板とは、回転体の軸を支えたり、部品を固定・保持する役割を果たす場合に良くつかわれる用語である。文字板25と地板33には、それぞれ、内部を視認できる窓部(文字板の窓部51、地板の窓部52)が設けられている。
図2では、文字板25の6時の位置に窓部を設けたが、12時や3時、9時なども設置可能である。
図4には、地板の窓部52の形状が、一例として示されている。文字板の窓部51も同様な形状をしているが、文字板の窓部51、地板の窓部52の形状は、両者を通して内部(回転部材4)を視認できる形状であれば任意の形状でよく、これに限定されるものではない。文字板の窓部51、地板の窓部52は、通常は穴部で構成するが、穴部に光透過性材料を嵌め込んだりしても良い。
【0020】
クオーツムーブメント200は、ここでは、水晶振動子28と、回路基板5と、コイル26及びモータ用のロータ・ステータを備えたステップモータと、運針用歯車と、2次電池22などを含むものとして定義される。回路基板5には、発振回路、分周回路、ステップモータの駆動回路、整流回路、電源回路などが組み込まれている。歯車駆動部21には、クオーツムーブメントの一部である、コイル26、ステップモータ、運針用歯車などが含まれている。
図3にみられるように、歯車駆動部21からは、指針軸が、文字板25の上方に突き出て時針、分針、秒針(秒針図示せず)などの指針23が取り付けられている。
図5は、クオーツムーブメント200と静電誘導発電器などの時計内部構造の概要を示しており、
図5のZ部分は、地板やクオーツムーブメント200の一部が適宜レイアウトされた概略領域である。27はりゅうず(crown)を示している。Z部分には、クオーツムーブメントのうち歯車駆動部21や回路基板5などが配置されるが、そのレイアウトは適宜設計的に定めればよい。
【0021】
次に、
図3、
図6を参照して静電誘導発電器の構成について述べる。
軸8には回転部材4が固定されており、回転部材4の下面には帯電膜3が配置されている。一方、帯電膜3に対向するように、上部表面に対向電極2が配置された対向基板1が、地板33に設置固定されている。クオーツムーブメント200の回路基板5も、対向基板と同様に地板33に設置固定されている。
ここでは、対向基板1と帯電膜3とのギャップを精密に管理するため、対向基板1と回路基板5を別体で作製しているが、同様の位置精度が満たされるなら回路基板5と対向基板1を同一の基板に形成することも可能である。回路基板5と対向基板1とが別基板の場合は接続コネクタ、導通バネ、接続端子などで導通を行う。これらは、後述の実施形態においても同様である。
【0022】
回転部材4が回転すると、静電誘導発電が引き起こされ、帯電膜3と対向電極2間で発生した電力を、クオーツムーブメント200(回路基板5)に出力する。
図6には、回転部材4の下面には帯電膜3が配置され、帯電膜3に対向するように、対向電極2が配置された状況が斜視図で模式的に示されている。本実施形態では、上部から下部に向かって、文字板25の窓部51、地板33の窓部52、回転部材4、帯電膜3、対向電極2、対向基板1、受け板34の順序で配置されている。
【0023】
回転部材4、及び、その下面の帯電膜3は、
図6、7に示すように、それぞれ、放射状に形成され、放射状の各一片との間にはブランク部(透し孔、貫孔)が形成されている。ここで、窓部51、52を通して外光が入射するので、非光透過性材料の回転部材4の下面に、帯電膜3が配置されている点(遮光されている)が重要である。軸8は、地板33、受け板34にそれぞれ設けた上下耐震装置(shock protection systems)(一例としてパラショック(parashock))などの軸受50で軸支されている。2つの扇形地板窓部52の間にはブリッジ52’(
図4)が地板に形成されて、そこに軸受50が設けられている。ブリッジ52の方向は、A−A線と直角方向であるが、これに限定されることなく、適宜、任意の方向に設定をすればよい。
【0024】
軸8は、ブリッジ52’の軸受50で軸支されるとともに、対向基板1を貫通して、受け板34において、軸受50で軸支されている。回転錘(rotor)10は腕の動きなどを捉えて回転する。軸8の対向基板1の下側において、軸9に固定された回転錘10から軸8への歯車伝動機構として、軸9に固定された歯車15と、軸8に固定された歯車14とが設けられている。この場合、回転錘10の回転が増速されて軸8を回転させると、回転部材に設置された帯電膜(エレクトレット膜)3を、地板上に静止した対向電極2に対して、増速回転させることができる。回転部材4の回転数が高まると、発電量を上昇させることができる。なお、歯車伝動機構としては、2枚の歯車に限らず、3枚以上の歯車を組み合わせた歯車列を構成しても良く、また、特殊歯車、カム、リンク、一方向クラッチ等を途中に介在させたものもここでの歯車伝動機構に含まれる。軸9は、ここでは、受け板34にベアリング16を介して軸支されている。軸9の軸支については、地板33と受け板34で軸支することも可能である。
【0025】
軸9に固定された回転錘10から軸8への歯車伝動機構としては、機械式腕時計においてこれまで公知の自動巻きの回転駆動技術を転用することが可能である。たとえば、腕の運動などの振動による、軸9に固定された回転錘10の正逆両方向の回転を、歯車伝動機構に内在した変換クラッチ機構によって、常に一方向の回転に変換するようにすれば、発電効率を一層高めることができる。
【0026】
このような変換クラッチ機構は、ツゥーウェイクラッチ機構として機械式自動巻き腕時計の公知技術として、よく知られているので、これらの公知技術などを適用することが可能である。また、回転錘10による軸9の回転や揺動の正逆一方向のみを、ワンウェイクラッチで軸8に伝動しても良い。この場合、回転錘10の軸9(回転部材4の軸8)の回転が逆回転する時に動きを阻害することがなくなるので運動エネルギの無駄がなくなり、発電効率を高めることができる。以上述べた回転部材4と回転錘10との歯車伝動機構は、以下に述べる実施形態においても適宜適用することができる。
【0027】
続いて、本実施形態の詳細について以下に説明する。
本発明で帯電膜として用いられるエレクトレット材料には、帯電しやすい材料を用い、例えばマイナスに帯電する材料としてはシリコン酸化物(SiO
2)や、フッ素樹脂材料などを用いる。具体的には一例としてマイナスに帯電する材料として旭硝子製のフッ素樹脂材料であるCYTOP(登録商標、Amorphous Fluoropolymer)などがある。
【0028】
さらに、その他にもエレクトレット材料としては、高分子材料としてポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルデンジフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)などがあり、無機材料としては前述したシリコン酸化物(SiO
2)やシリコン窒化物(SiN)なども使用することができる。その他、周知の帯電膜を使用することができる。
【0029】
図7、8を参照して、帯電膜3と対向電極2を説明する。
帯電膜3(エレクトレット膜)の内面には、負電荷が保持されているので、対向電極2には、静電誘導により正電荷が引き寄せられる。対向基板1に設けられた対向電極2、回転部材4の下面に設けられた帯電膜3は、
図7に示すようなパターンであって、中心から等しい角度の放射部2’、3’が等間隔で形成されている。
図7のパターンでは、
図6の斜視図にみられるように、放射部3’、3’相互間はそれぞれブランク部(透し孔)となっており、放射部2’、2’相互間には電極が設けられておらず、対向基板1が露出しているか、対向基板1をブランク部にしても良い。なお、放射部3’、3’相互間はブランクでなく、透過性の部材で構成しても良く、その場合には前記透明性部材の窓部側に、回転を目立たせる印刷や凹凸などを設けることで、時計上面から窓部51と52を通して回転部材4が回転している様子を認識しやすくなる。もちろん、前記印刷や凹凸は、放射部3’の窓部側に施されていても良い。
【0030】
この
図7の帯電膜と対向電極のパターンを、以下、「第1パターン」と称す。帯電膜3は、個別の放射部3’からなるパターンに形成されていて、導電部材の軸8に電気接点を介して接続されて出力されている(各放射部3’毎に軸8に接続するか、各放射部3’を連結配線後軸8に接続するようにしても良い)。回転部材(基板)4が金属の場合には各放射部3’はそれぞれ基板を通じて軸8と直接接続される。一方、対向電極も、外周側の電極部から出力が取り出される。両出力端子は、整流回路20に接続している。軸8からの電流の取り出し方については、ブラシ電極や軸受部の導電体構成部を利用して回転しながら電気的接続を行えばよい。
【0031】
回転錘10によって、軸8に固定された回転部材4が回転すると、帯電膜(エレクトレット膜)3と対向電極2間との重なり面積が増減し、対向電極2に引き寄せられる正電荷が増減して、帯電膜(エレクトレット膜)3と対向電極2間に交流電流を発生させる。対向電極2と帯電膜3間の発生電流を、出力部として、整流回路20を通し直流変換して、クオーツムーブメント200に出力させるものである。
【0032】
整流回路20は、ブリッジ式であり、4個のダイオードを備え、入力側には、対向電極2と帯電膜3がそれぞれ接続されている。出力側には平滑回路を介して、所定電圧に変換する図示しない電源回路が接続されており、この直流変換された発電電流は、クオーツムーブメント200に電力として供給されるとともに、2次電池22に蓄電される。本実施形態における帯電膜および対向電極は放射状にパターニングされていたが、対向基板1、回転部材4に対して相対回動したときに、重なり面積が増減するのであれば、他の形状にパターニングされていても良い。
【0033】
その他のパターンの一例として、
図7の下部に示すパターンとは異なり、
図8の下部に示すように対向基板1上の対向電極2の放射部2’を、それぞれ独立させ、とびとびに接続配線した放射部2’を、2端子としてそれぞれ整流回路20の入力側に接続させてもよい。
図8の上部の帯電膜3のパターンは、
図7の上部の場合と同じであるが、出力端子が不要となっている。(特許文献5の
図9、10の実施例の原理説明を参照。特許文献5を引用補充する。)この場合には、静止する対向基板1上の対向電極2のみから電流を取り出せばよいので、回転する回転部材の電気的接続が不要になって便利である。
【0034】
ここで、
図8の下部に示す対向基板1上の対向電極2の放射部2’のパターンと、
図8の上部に示す帯電膜3のパターンを、以下、「第2パターン」と称す。なお、放射部3’、3’相互間はブランクでなく、透過性の部材で構成しても良く、その場合には前記透明性部材の窓部側に、回転を目立たせる印刷や凹凸などを設けることで、時計上面から窓部51と52を通して回転部材4が回転している様子を認識しやすくなる。もちろん、前記印刷や凹凸は、放射部3’の窓部側に施されていても良い。
【0035】
第1実施形態では、文字板25と地板33の窓部51、52の真下に、直接回転部材が配置されており、しかも回転部材4の下部に帯電膜3が設置されているので、窓部51、52から帯電膜3に直接外光を受けずに済み、帯電膜の特性劣化を生じることがないため、
図7の「第1パターン」であっても、
図8の「第2パターン」であっても、いずれも実施可能である。しかしながら、後述する実施形態では各部材の配置順序が異なり、回転部材4の視認上や帯電膜3の外光遮蔽上の都合などから、いずれかのパターンに限定されることがあるが、通常は双方適用可能である。
【0036】
本実施形態では、回転部材4の下面に帯電膜3が配置され、帯電膜3は窓部51、52とは反対側にある。このため、窓部51、52から直接外光を受けないため、帯電膜3の劣化を防止できる。回転部材4の帯電膜以外の部分がブランク部になっていれば、回転する様子が窓部51、52を通して視覚的に明確に確認できるため、ユーザーが発電状態を認識することが出来る。
詳しい時計製作工程は後述するが、本実施形態では、軸8、回転部材4、対向電極2を時計に組み込む際に位置合わせが必要であり、特に帯電膜3と対向電極2とのギャップは発電特性にかかわるため微調整が必要となる。したがって、第1パターンにおいて、回転部材4の放射部3’、3’相互間と、対向基板1の放射部2’、2’相互間に位置する部位を、ブランクかあるいは透明部材にした場合には、時計の裏ブタ42側、あるいは、時計の風防側24から、相互の位置と状態を目視しながらの調整が可能となる。これにより調整工程を簡易化できる。この調整作業においては、すべての放射部3’、3’相互間と、対向基板1の放射部2’、2’相互間に位置する部位とを、ブランクか透明部材で構成する必要は無く、それぞれ一部に相互の位置を確認できるブランクか透明部材による窓を設けるだけでも良い。
【0037】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、
図3の第1実施形態における回転部材4の下面に、帯電膜3の代わりに対向電極2、対向基板1の上面に、対向電極2の代わりに帯電膜3が設置されたものであり、その他の構成は第1実施形態と同様である。したがって、本実施形態では、上部から下部に向かって、文字板25の窓部51、地板33の窓部52、回転部材4、対向電極2、帯電膜3、対向基板1、受け板34の順序で配置されている。対向電極2、帯電膜3のパターンは、
図7の第1パターンを採用しており、対向電極2は回転部材4が固定された軸8から出力端子を取出し、静止している対向基板1の上面に設置された帯電膜3からも出力端子を取り出している。
【0038】
本実施形態の場合には、帯電膜3が対向基板1の上面に配置されていることから、窓部51、52の方向からの外光に曝されることになる。このため、本実施形態では、次のような構成を採ると良い。
図7の第1パターンを採用して回転部材4にブランク部がある場合には、帯電膜3の上には遮光塗料を塗布すると良い。遮光塗料としては数ミクロン程度又はそれ以上の厚さでUVカット材をコーティングすると良い。一方、外光がブランク部から通過しないように、回転部材4を非光透過性、かつ、ブランク部を設けないようにしても、遮光可能である。その場合には、回転部材4の窓部側に回転を目立たせる印刷や凹凸などを設けても良い。回転部材4が光透過性であっても、対向電極2の全面に亘って光を透過しないように、非光透過性材料で対向電極2を構成することも可能である。
【0039】
本実施形態においても、回転する様子が窓部51、52を通して視覚的に確認できるため、ユーザーが発電状態を確認することが出来るとともに、直接外光が帯電膜3に照射されることを防止することができる。第1パターンにおいて、回転部材4の放射部3’、3’相互間と、対向基板1の放射部2’、2’相互間に位置する部位を、ブランクかあるいは透明部材にする場合に、時計の裏蓋42側、あるいは、時計の風防24側から、相互の位置と状態を目視しながらのギャップ調整などの調整作業が可能となり、調整工程を簡易化できる。この目的においては、回転部材4と対向基板1の一部に相互の位置を確認できるブランクか透明部材による窓を設けるだけでも良い。
【0040】
図9は、本発明の第1、2実施形態において、歯車伝動機構の配置位置を変更した場合の模式的断面図である。
【0041】
これまで説明した
図3の第1、2実施形態においては、軸8の対向基板1の下側において、軸9に固定された回転錘10から軸8への歯車伝動機構として、軸8に固定された歯車14と、軸9に固定された歯車15とが設けられていた。これに対して、
図9の場合には、軸9に固定された回転錘10から軸8への歯車伝動機構として、地板33の窓部52と回転部材4との間において、軸8に固定された歯車14と、軸9に固定された歯車15とが設けられている。対向基板1は、受け板34に設置されているので、対向基板1が反ってしまった場合でも、受け板34の平坦度に矯正されるため、組み立て調整が容易になる。その他の構成は、先に述べた第1、2実施形態と同様である。
【0042】
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態を示す模式的断面図である。
【0043】
図10を参照して静電誘導発電器の構成について述べる。これまで述べた第1、2実施形態との相違は、窓部52側に対向基板1を設置した点である。このため、対向基板1をガラスなどの透過性の部材にしており、対向電極2も透過性の酸化インジウムスズ膜(ITO膜)などの透明電極を用いている。これによって、文字板25の窓部51、地板33の窓部52を通して、回転部材の回転を視認することができる。その他の構成は先に述べた第1実施形態と同様である。
【0044】
地板33の窓部52に続いて、対向基板1が載置設置されている(後述するが、組立時に好都合)。本実施形態では、対向基板1の下面には対向電極2が配置されている。対向基板1と対向電極2はいずれも透過性であって、窓部51、52から内部を視認することができる。なお、対向基板1と対向電極2はいずれもブランク部を有していれば、必ずしも双方を透過性にしなくても内部を視認することができる。回転部材4は軸8に固定されている。回転部材4の上面には帯電膜3が配置されている。窓部51、52を通して外光が入射するので、帯電膜3の上には遮光塗料が塗布されている。こうすれば、窓部51、52からの直接光は受けないため、帯電膜3の劣化を防止できる。帯電膜と対向電極のパターンは第1、第2パターンとも実施可能である。
【0045】
クオーツムーブメント200の回路基板5も、対向基板と同様に地板33に設置固定されている。回転部材4が回転すると、静電誘導発電が引き起こされ、帯電膜3と対向電極2間で発生した電力を、クオーツムーブメント200(回路基板5)に出力する。
図10の実施形態では、対向基板1から回路基板5には接続コネクタ、導通バネ、接続端子などで導通されており、対向基板1からの電力供給はこの接続コネクタ、導通バネ、接続端子などを通して回路基板5に供給し、クオーツムーブメント200の駆動と2次電池22への充電を行っている。
【0046】
本実施形態では、上部から下部に向かって、文字板25の窓部51、地板33の窓部52、対向基板1、対向電極2、帯電膜3、回転部材4、受け板34の順序で配置されている。軸8の回転部材4の下側において、軸9に固定された回転錘10から軸8への歯車伝動機構として、軸8に固定された歯車14と、軸9に固定された歯車15とが設けられている。
【0047】
図11は、本発明の第3実施形態の組立工程(a)〜(d)を説明する説明図である。
図12は、本発明の第3実施形態の組立工程(e)〜(g)を説明する説明図である。
図11、12では、説明のため地板33の一部や部品を省略して、工程を模式的にしてわかりやすくしている。
【0048】
通常、時計の組み立て方向としては、地板33の文字板側を下にして組み立てるので、下側に地板33があり、対向基板1、回転部材4、受け板34の順に組み立てて、回転部材4の作動状況を確認する。このため、組立順に下から対向基板1、回転部材4とした方が、対向電極2と帯電膜3とのギャップ調整(エレクトレット膜による発電効率上極めて重要)を、まず第1に決定できるので、本実施形態のように、地板33、対向基板1、対向電極2、帯電膜3、回転部材4、受け板34の順序で(又は、後述する第4実施形態の地板33、対向基板1、帯電膜3、対向電極2、回転部材4、受け板34の順序で)配置されていることが、作業工程上有利である。受け板34に、組立時に前記回転部材の設置状況及び作動状況を確認することができるようにした、作業確認窓53が必要となる。
【0049】
図11、12の(a)〜(g)を参照して、本実施形態の以下の(a)〜(g)の組立工程を説明する。
(a)地板33に、対向電極2が設置された対向基板1を組み込む。
(b)クオーツムーブメント(歯車駆動部21、回路基板5など)を組み込み、回路基板5と対向基板1との導通をとる。
(c)回転部材4を上方に寄せる(押圧)ためのバネ7を設置する。
【0050】
(d)下面に帯電膜3が設置された回転部材4をバネ7に設けた穴に挿入する。このとき、回転部材の帯電膜3と対向基板の対向電極2が接触していないことを確認する。
(e)回転錘10と歯車15が軸9に固定されて、軸9が受け板34にベアリングで支持されて一体化している。受け板34には、回転部材4が取り付けられた軸8を軸支する軸受け50を設けられている。歯車15を軸8に固定された歯車14にかみ合わせつつ、軸受50の高さ調整により、回転部材の帯電膜3と対向基板の対向電極2とのギャップ調整を行なう。このとき、作業確認窓53より、目視しながらギャップ調整を行うことができる。帯電膜3と対向基板1が接触すると電荷が逃げてしまい帯電量が減るので、接触しないように留意しなければならない。
(f)回転錘を取り付ける。
(g)地板33に2次電池22を載置する。
【0051】
本実施形態においても、ユーザーが回転する様子を窓部51、52を通して視覚的に確認できるため、ユーザーは発電状態を認識することが出来る。また、本実施形態によれば、組立時の回転部材4の帯電膜3と、対向基板1の対向電極2とのギャップ調整が、作業工程上有利である。先に帯電膜3と対向電極2とのギャップ調整を終了させ、後から歯車15などを組み立てた方が、作業上有利である。したがって、組立上、対向基板1を地板33の文字板側に先に設置すると帯電膜(エレクトレット)3が組み立て易い。さらに、受け板34に作業確認窓53が設置されているので、組立時に前記回転部材の設置状況及び作動状況を確認することができる。
【0052】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態は、
図10の第3実施形態における対向基板1の下面に、対向電極2の代わりに帯電膜3、回転部材4の上面に、帯電膜3の代わりに対向電極2が設置されたものである。したがって、本実施形態では、上部から下部に向かって、文字板25の窓部51、地板33の窓部52、対向基板1、帯電膜3、対向電極2、回転部材4、受け板34の順序で配置されている。
【0053】
第3実施形態では、対向基板1と対向電極2はいずれも透過性であって、窓部51、52から内部を視認することができるようにしていた。第4実施形態では、窓部51、52の真下に、直接対向基板1が配置されており、しかも対向基板1の下部に帯電膜3が設置されている。このため、対向基板1を非光透過性として、かつ、放射状のブランク部を設けて、ブランク部を透して回転部材4の動作状態を視認できるようにする。この場合、
図7の第1パターンを採用する。非光透過性の対向基板1の下部に、帯電膜3が設置されているので、帯電膜3は、窓部51、52からの外光を直接受けない。回転部材の上部には対向電極2が設置されている。なお、回転部材4の方は、ブランク部を設けなくても実施可能である。その場合には、回転部材4の窓部側に回転を目立たせる印刷や凹凸などを設けても良い。本実施形態においても、組立時の回転部材4の帯電膜3と対向基板1の対向電極2とのギャップ調整が、作業工程上有利である。その他の構成・効果は第3実施形態と同様である。
【0054】
(第5実施形態)
図13は、本発明の第5実施形態の一例を示す模式的断面図である。
図14は、本発明の第5実施形態のソーラーセル(a)〜(c)を示す模式的平面図である。
【0055】
図13は、
図10の第3実施形態に、回転部材4の下方にソーラーセル6を設置した第5実施形態の一例である。
図13の一例に限定されることなく本明細書における各実施形態において、窓部からの外光が照射されるようにソーラーセル6(第1ソーラーセルともいう)を設置することができる。
【0056】
第3実施形態の場合は、窓部51、52からの外光が対向基板1で遮蔽されないように、対向基板1と対向電極2はいずれも透過性である。また、第4実施形態の場合では、対向基板1を非光透過性として、かつ、放射状のブランク部を設けて、ブランク部を透して外光が通過する。これらの外光を、回転部材4の下方に設置したソーラーセル6で発電に利用する。ソーラーセル6は一段ソーラーセルである。
図14(a)のように、一段ソーラーセルの場合には、放射状のブランク部がある回転部材4の回転によって、発電量が変化しないので好ましい。ソーラーセルの段数とは、直列に接続するソーラーセルの数のことを言い、
図14(a)のように1段にした場合には、ソーラーセル6からの発電電圧が時計の動作電圧に満たないため昇圧充電するのが望ましい。63は、軸8の貫通穴である。
【0057】
また、
図14(b)のように、ソーラーセルは同心円状に多段にして、高い電圧を安定して発電できるようにしても良い。同心円状なので、放射状のブランク部がある回転部材4の回転によっても、発電量が変化しない。この場合、各ソーラーセル61、62の面積は同一とし、ソーラーセル61、62の出力が、それぞれ最大になるようにした方が良い。また、
図3(c)のようにソーラーセル6に、孤立した回転検出ソーラーセル64を設け、回転電極の回転状態を検出させ、回転部材が動作しているときは帯電膜(エレクトレット)3と対向電極2からの発電電力を降圧充電し、回転部材4が停止しているときはソーラーセル6からの充電を行うようにしても良い(もちろん、回転部材4が停止の有無にかかわらずソーラーセル6からの充電を行うようにしても良い)。回転検出ソーラーセル64を設け、回転電極の回転状態を検出させることは、振動センサーを設置する手間が省け、時計の携帯状況の判断を行うことにも利用することができ、時計の節電状態の制御にも活用することができる。このように、本実施形態では、第1ソーラーセルの段数は、1段か又は多段に構成し、多段の場合は、同心円状に各段のソーラーセルを形成したことを特徴とする。また、第1ソーラーセルには、回転部材の回転を検出するための回転検出ソーラーセルが設けられていても良い。
【0058】
第5実施形態は、主に第3実施形態を用いて記載したが、第4実施形態でも良いことは明らかである。ソーラーセル6の受光量を考慮すると第3実施形態が望ましい。なぜなら、第3実施形態の場合には、対向基板1、対向電極は光透過性材料で、遮光部材は回転部材4のみとなっている。第4実施形態の場合、ブランクを設けた対向基板1、回転部材4は遮光部材なので、第3実施形態より、ソーラーセル6の受光量が少ない。
第1実施形態を用いた場合には、対向電極2、対向基板1を第3実施形態と同様に透過性の基板、電極を用いれば、これらの下にソーラーセル6を設置することができるので、第5実施形態が、実現可能である。また、第2実施形態を用いた場合、回転部材のブランク部を透過性の部材、穴などにし、対向基板1上の帯電膜3に遮光塗料を塗布し、放射状の非帯電膜部分を、透過性の部材、ブランク部などにすれば、第5実施形態が可能となる。第5実施形態は、後述する実施形態においても同様に適用することが可能である。
【0059】
(第6実施形態)
図15は、本発明の第6実施形態の一例を示す模式的断面図である。
【0060】
図15は、
図10の第3実施形態に、回転部材4の側方に、リング状のソーラーセル6’を設置した第6実施形態の一例である。
図15のリング状の一例に限定されることなく本明細書における各実施形態において、窓部からの外光が照射されるように、地板33の内部側方面にソーラーセル6’(第2ソーラーセルともいう)を設置することができる。
【0061】
第6実施形態は、第3実施形態の回転部材の半径方向の周辺に、ソーラーセル6’を設置して、第5実施形態と同様に発電能力を向上させている。ソーラーセルを複数直列に接続した場合には、発電量の少ないソーラーセルにより全体の発電量が大きく低下してしまう。したがって、ソーラーセル6’の段数は光の入射角度によって受光量に差が出ることから、一段ソーラーセルにすることが望ましい。対向基板1にブランク部を設けた第4実施形態の場合、第6実施形態のように側面にソーラーセルを配置した方が窓部51、52からの光が安定して側面のソーラーセル6’に照射されるので、側面にソーラーセル6’があるほうが望ましい。第6実施形態は、第5実施形態と併用すれば、更なる電力取得が可能となる。また、歯車14、15あるいは受け板34など、窓部51、52からの光が届く部位の表面に反射・散乱加工を施すことによって、ソーラーセル6’の受光量が向上し発電量を増やすことができる。回転部材4と歯車14との間に反射・散乱を意図した板を設置しても前記と同様の効果が得られる。
また、
図15では、第3実施形態を用いて第6実施形態を説明しているが、これに限定されるものではなく、本明細書に記載の各実施形態に適用可能である。ソーラーセル6’のリング状のソーラーセル6’を、回路基板5などのICに外光が当たらないように、遮光壁の役割を持たせるように配置するとより効果的である。
【0062】
(第7実施形態)
図16は、本発明の第7実施形態を示す模式的断面図である。
【0063】
本実施形態は、回転部材4に回転錘10’(付加錘)を一体化して設置した実施形態である。すなわち、本実施形態は、回転部材と前記回転錘とを一体化したことを特徴とする。したがって、別個の回転錘10や、歯車伝動機構を設ける必要がなく、組立が容易であるとともに、時計をきわめて薄型構造にすることができる。回転錘10’は、回転部材の周辺部に設置するので、文字板25と地板33の窓部51、52の真下の回転部材の動きの視認を妨げることもない。対向基板1、回路基板5は、受け板34上に設置されている。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
図16では、回転部材4の下面に帯電膜3が設置され、対向基板1の上面に対向電極2が設置されているが、もちろん帯電膜3と対向電極2がこの逆に配置された場合もこの実施形態に含まれる。本実施形態においても、回転部材4の回転する様子が窓部51、52を通して視覚的に確認できるため、ユーザーが発電状態を認識することが出来る。上述の実施形態とは異なり、別体の回転錘10を、回転部材4の上方で軸8に設置しても良く、本発明に含まれる。すなわち、回転部材の回転軸に回転錘が設けられていても良い。
【0064】
(第8実施形態)
図17は、本発明の第8実施形態を示す模式的断面図である。
【0065】
本実施形態は、軸8に別々に半円形の回転錘10と回転部材4を固定して、軸8と地板34との間にヒゲゼンマイ12(時計用語、渦巻きバネ)を設置して、回転錘10の振動でヒゲゼンマイ12撓ませて、回転部材4の回転振幅を大きくさせて、発電効率を向上させたものである。すなわち、本実施形態では、ヒゲゼンマイの一端がハウジングに固定され、ヒゲゼンマイの他端が回転部材の回転軸に固定されたことを特徴とする。第7実施形態と同様に、回転錘と一体化した回転部材としても良い。
【0066】
回転部材4の下面には帯電膜3が配置されている。一方、帯電膜3に対向するように、対向基板1の上の対向電極2が配置されて、対向基板1が受け板34に載置固定されている。回転部材4が回転すると、静電誘導発電が引き起こされ、帯電膜3と対向電極2間で発生した電力をクオーツムーブメント200に出力する。軸8は、地板33、受け板34に設けられた上下耐震装置50(ここではパラショック)で軸支されている。ヒゲゼンマイ12は、一端が、地板33から突き出したブラケット36に設置したヒゲ持ち(stud)13で固定され、ヒゲゼンマイ12の他端が、軸8にヒゲ玉(hairspring collet)12’によって圧入や加締めで固定されている。
【0067】
回路基板5も、受け板34上に設置されている。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
図17では、回転部材4の下面に帯電膜3が設置され、対向基板1の上面に対向電極2が設置されているが、もちろん帯電膜3と対向電極2がこの逆に配置された場合もこの実施形態に含まれる。本実施形態においても、回転部材4の回転する様子が窓部51、52を通して視覚的に確認できるため、ユーザーが発電状態を確認することが出来る。
【0068】
(第9実施形態)
図18は、本発明の第9実施形態を示す模式的断面図である。
【0069】
第9実施形態は、これまで述べてきた実施形態とは異なり、
図18に示すように、回転部材4の回転を、歯車伝動機構を介して、その回転伝動(回転体17)を窓部51、52から視認できるようにしたものである。
【0070】
回転部材4の上方において、軸8に固定された歯車14と、軸9に固定された歯車15とが設けられている。さらに、歯車15に噛合う歯車17が、軸8’に固定されている。回転部材4の回転伝動が、歯車列を構成する歯車14、15、17によって歯車17に伝動されている。この歯車列の構成の仕方は適宜ハウジング内のレイアウトによって設定されるべきものであるので、
図18の実施形態に限定されるものではない。歯車17(回転体)は窓部51、52から良く視認できる位置に設置する。これにより、窓部51、52を通して外光が入射しても、静電誘導発電機内の帯電膜3に外光が当たらないように、窓部51、52から奥まった所に設置したり、壁で遮蔽することが容易となる。
【0071】
本実施形態では、回転錘10の回転が軸9を通して、軸8と軸8’に伝動する構成であるが、軸9の代わりに、軸8’に回転錘10を固定して、歯車17、15、14(又は、17、14)の順に、回転部材4に回転を伝動させることも可能である。そして、回転錘10の回転を窓部51、52から視認するようにしても良い。その他の部材の構成は、先に述べた第1、2実施形態などと同様である。
【0072】
本実施形態においては、回転部材4の回転する様子が、回転伝動によって歯車17の回転(又は回転錘10の回転)として、窓部51、52を通して視覚的に確認できるため、ユーザーは発電状態を確認することが出来る。また、窓部51、52からの直接光は受けないため、帯電膜3の劣化を防止でき、帯電膜の遮蔽が容易かつ完全に行うことができる。歯車17などの窓部側に回転を目立たせる印刷や凹凸などを設けても良い。また、回路基板1の設置も、外光が当たらないように、窓部51、52から奥まった所に設置したり、壁で遮蔽すると良い。これにより、回路基板上のICを光遮蔽できるので、消費電力の増大と誤作動を避けることができる。
【0073】
(第10実施形態)
図19は、本発明の第10実施形態を示す模式的断面図である。
【0074】
第10実施形態は、第9実施形態と同様に、回転部材4の回転伝動を窓部51、52から視認できるようにしたものである。本実施形態では、回転部材4と回転錘10とを一体化し、回転錘10の回転軸である軸9の円周方向に、帯電膜3と対向電極2をリング状に向かい合うよう配置し、回転錘10(回転部材)の回転を、軸9に固定した歯車14から歯車15に歯車伝動して、歯車15(回転体)の回転を、第9実施形態と同様に、視認できるようにした実施形態である。帯電膜3と対向電極2を、回転錘10の側方外周円筒面と外部ケーシンク41の側方内周円筒面との間に設けることもできる。回転錘10は半円形であっても、全円形に付加錘をつけても良い(以下の第11実施形態も同様)。
【0075】
本実施形態では、いわば回転錘10が回転部材4を兼ねており、回転錘10の側方内周円筒面に回転部材(基板)4が設けられており、そこに帯電膜3が設置されている。また、地板33の側方外周円筒面には対向基板1が設けられており、対向電極2が設置されている。回転錘10が回転すると、静電誘導発電が引き起こされ、帯電膜3と対向電極2間で発生した電力を、接続コネクタ(図示せず)、導通バネ、接続端子などを介して、クオーツムーブメント200(回路基板5)に出力する。
図19では、回転部材4に帯電膜3が設置され、対向基板1に対向電極2が設置されているが、もちろん帯電膜3と対向電極2がこの逆に配置された場合もこの実施形態に含まれる。
【0076】
歯車15は窓部51、52から良く視認できる位置に設置する。これにより、窓部51、52を通して外光が入射しても、帯電膜3に外光が当たらないように、窓部51、52からの外光を遮蔽することが容易となる。本実施形態においても、回転錘10の回転する様子が、回転伝動によって歯車15の回転として、窓部51、52を通して視覚的に確認できるため、ユーザーが発電状態を認識することが出来る。
【0077】
(第11実施形態)
図20は、本発明の第11実施形態を示す模式的断面図である。
図21は、本発明の第11実施形態を示す斜視図及び側面図である。
【0078】
第11実施形態は、第10実施形態の窓部の設置位置を外装ケーシング41に変更したものである。透視部材で構成された窓部54を外装ケーシング41に設けて、窓部54から回転部材4の回転を直接視認できるようにしたものである。回転部材4と回転錘10は一体化し、回転錘10の回転軸である軸9の円周方向に、帯電膜3と対向電極2をリング状に配置している。回転錘10に回転部材4が設けられており、そこに帯電膜3が設置されている。また、地板33の側方外周円筒面には対向基板1が設けられており、対向電極2が設置されている。回転錘10が回転すると、静電誘導発電が引き起こされ、帯電膜3と対向電極2間で発生した電力を、接続コネクタ(図示せず)、導通バネ、接続端子などを介して、クオーツムーブメント200(回路基板5)に出力する。
図20では、回転部材4に帯電膜3が設置され、対向基板1に対向電極2が設置されているが、もちろん帯電膜3と対向電極2がこの逆に配置された場合もこの実施形態に含まれる。回転部材4は非光透過性材料にしている。
【0079】
これにより、回転錘10の回転する様子が、窓部54を通して視覚的に確認できるため、ユーザーが発電状態を確認することが出来る。
【0080】
第10と第11実施形態を除く上記各実施形態において、対向基板1は、クオーツムーブメントの回路基板5と同一基板上に形成すると、基板の共用化が可能であり、時計の薄型化に利するものである。また、
図22に示すように文字板25と地板33の窓部はそれぞれ1つであっても良く、
図21の第11実施形態の窓部54も1つであって良い。各実施形態において必要に応じて適宜窓部の個数を設定すればよい。第1〜9実施形態において、文字板25を省略して地板33の窓部のみで構成しても良い。
【0081】
(第12実施形態)
図23は、本発明の第12実施形態の地板を示す平面図である。
【0082】
第12実施形態は、第1〜10実施形態の1つの回転部材4に対する窓部51、51、52、52のセットが複数個設けられた実施形態である。
図23は、第12実施形態の一例であって、文字板25の窓部51、51と地板33の窓部52、52と、文字板25の窓部55、55と地板33の窓部56、56が設けられている。(
図23のかっこ内の符号は文字板の場合を示す。)
図23に示すように、それぞれの回転部材4の回転する様子が、文字板25の窓部51、55とともに、地板33の窓部52、56を通して視覚的に確認できるようにしている。窓部は、
図23の一例の2セットに限定されるものではなく、それ以上の複数設けても良い。
【0083】
(第13実施形態)
図24は、本発明の第13実施形態を示す模式的断面図である。
【0084】
第13実施形態は、裏蓋42から、回転部材4の回転を視認することができるようにした実施形態である。本実施形態では、裏蓋42に、透明材料からなる窓部58がパッキン43’を介して嵌め込まれている。本実施形態では、文字板25、地板33には窓部は設けられていないが、さらに、第9実施形態のように、歯車14(回転体)の回転を視認することができるように、窓部を文字板25、地板33に設けることも可能である。受け板34には、
図4の窓部52と同様な窓部57(2箇所ある)が設けられており、回転部材4の回転を視認することができる。軸8は、2つの窓部57間のブリッジに設けられた軸受50で、軸支されるとともに、対向基板1を貫通して、受け板34において、軸受50で軸支されている。対向基板1と回路基板5は地板33に支持されている。回転部材4には帯電膜3が設置され、対向基板1には対向電極2が設置されているが、もちろん帯電膜3と対向電極2がこの逆に配置された場合もこの実施形態に含まれる。その他の構成、作用効果は、他の実施形態と同じである。
【0085】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的構成はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。